(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一端部が前記ヘッド本体に固定され、他端部が前記電線チャック部に固定されて、前記電線チャック部を圧接方向の前記ヘッド本体側に向かって付勢する第1コイルばねと、
前記第1コイルばねによって付勢された前記電線チャック部を前記ヘッド本体に対して位置決める第1位置決め部材と、を備え、
前記第1位置決め部材は、その長手寸法が調節可能に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電線圧接装置。
前記圧接駆動部は、モータと、該モータの出力軸に連結されるシャフトと、該シャフトに中心部が連結される回転板と、一端部が前記回転板の前記中心部以外の位置に軸支され、他端部が前記ヘッド本体に軸支される軸支部材と、を備え、
前記ヘッド本体が前記圧接端子から離隔した離隔位置から、前記モータの回転に伴って前記シャフトが180度回転され、前記回転板が回転することで、前記軸支部材の一端部が圧接方向側に移動されて、前記ヘッド本体が前記電線を圧入する圧入位置に移動され、
前記ヘッド本体が圧入位置から、前記モータの回転に伴って前記シャフトが180度回転されて、前記回転板が回転することで、前記軸支部材の一端部が圧接方向反対側に移動されて、前記ヘッド本体が離隔位置に移動されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の電線圧接装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された従来の電線圧接装置では、コネクタ等の圧接端子に電線の先端部近傍を圧接する機能しか有しておらず、特許文献2記載の圧接布線装置のように、電線を所定の配索経路に沿って配索することができない。一方、特許文献2記載の圧接布線装置は、電線を圧接した複数のコネクタを作業者が手作業によって布線板上に引き出し、各コネクタ及び電線を布線に引っ掛けて布線するとともに、布線後にテープ巻き等によって配索形態を維持する必要があることから、作業手間及び作業時間を要してしまい圧接及び布線作業の効率化を図ることが困難であった。さらに、手作業の布線によって電線の配索経路が決定されてしまうため、電線の引き出し長さがばらついたり、途中で電線同士が絡み合ってしまったりなど、電線の無駄が生じたり、さらなる作業効率の低下を招いたりなどの不都合が起きる可能性があった。
【0006】
本発明は、電線の配索及び圧接工程の効率化を図ることができる電線圧接装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の電線圧接装置は、圧接端子が取り付けられたケースに電線を配索するとともに前記圧接端子に前記電線を圧接する電線圧接装置であって、ヘッド本体と、該ヘッド本体を前記ケースにおける前記電線の配索経路に沿って移動させる配索駆動部と、前記ヘッド本体に固定されて前記電線を前記圧接端子に圧接する圧接刃部と、前記ヘッド本体を移動させて前記圧接刃部を圧接方向に進退させる圧接駆動部と、前記ヘッド本体に対して圧接方向にスライド自在に支持されるとともに前記電線の先端部をチャックする電線チャック部と、前記ヘッド本体に対して圧接方向にスライド自在に支持されるとともに、前記電線の中間部分を互いの間に挟んでガイドする電線ガイド部と、を備え、前記圧接駆動部の駆動に伴って、前記ヘッド本体が圧接方向側に移動され、前記電線チャック部及び前記電線ガイド部の移動が規制されるとともに、前記電線チャック部の前記電線へのチャック、及び前記電線ガイド部の前記電線へのガイド、が解除され、前記圧接駆動部のさらなる駆動に伴って、前記圧接刃部が前記電線を前記圧接端子に圧入することを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記圧接刃部は、前記電線を前記圧接端子に圧入する第1刃部と、該第1刃部に隣り合って設けられて前記電線を前記ケースに打ち込む第2刃部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1、又は請求項2記載の発明において、一端部が前記ヘッド本体に固定され、他端部が前記電線チャック部に固定されて、前記電線チャック部を圧接方向の前記ヘッド本体側に向かって付勢する第1コイルばねと、前記第1コイルばねによって付勢された前記電線チャック部を前記ヘッド本体に対して位置決める第1位置決め部材と、を備え、前記第1位置決め部材は、その長手寸法が調節可能に設けられたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項記載の発明において、一端部が前記ヘッド本体に固定され、他端部が前記電線ガイド部に固定されて、前記電線ガイド部を圧接方向の前記ヘッド本体側に向かって付勢する第2コイルばねと、前記第2コイルばねによって付勢された前記電線ガイド部を前記ヘッド本体に対して位置決める第2位置決め部材と、を備え、前記第2位置決め部材は、その長手寸法が調節可能に設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか一項記載の発明において、前記圧接駆動部は、モータと、該モータの出力軸に連結されるシャフトと、該シャフトに中心部が連結される回転板と、一端部が前記回転板の前記中心部以外の位置に軸支され、他端部が前記ヘッド本体に軸支される軸支部材と、を備え、前記ヘッド本体が前記圧接端子から離隔した離隔位置から、前記モータの回転に伴って前記シャフトが180度回転され、前記回転板が回転することで、前記軸支部材の一端部が圧接方向側に移動されて、前記ヘッド本体が前記電線を圧入する圧入位置に移動され、前記ヘッド本体が圧入位置から、前記モータの回転に伴って前記シャフトが180度回転されて、前記回転板が回転することで、前記軸支部材の一端部が圧接方向反対側に移動されて、前記ヘッド本体が離隔位置に移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載された発明によれば、電線チャック部が電線の先端部をチャックした状態で、配索駆動部がヘッド本体を電線の配索経路に沿って移動させて電線をケースの配索経路に沿って配索し、圧接駆動部がヘッド本体を圧接端子に向かって移動させ、そして、電線チャック部及び電線ガイド部の移動が規制されるとともに、電線チャック部のチャック、及び電線ガイド部のガイドが解除され、圧接駆動部のさらなる駆動に伴って、圧接刃部が電線を圧接端子に圧入することで、ケースの配索経路に沿った電線の配索、及び電線の圧接端子への圧接、を同一の装置で実施することができる。また、電線チャック部及び電線ガイド部の移動が規制された後、圧接刃部が電線を圧接端子に圧入するから、電線は、圧入の直前まで、電線チャック部でチャックされているとともに電線ガイド部でガイドされていることとなり、電線が圧接刃部の板厚方向へ脱落することを防止して、電線を確実に圧接端子に圧接することができる。また、電線チャック部が電線の先端部をチャックした状態で、配索駆動部がヘッド本体を電線の配索経路に沿って移動させるから、手作業によらずに電線を配索することができ、電線の長さがばらつくことなく所定の配索経路に沿って所定長さの電線を配索することができる。
【0013】
請求項2に記載された発明によれば、圧接刃部は、電線を前記圧接端子に圧入する第1刃部と、該第1刃部に隣り合って設けられて電線をケースに打ち込む第2刃部と、を備えたから、第1刃部による電線の圧接端子への圧入と、第2刃部による電線のケースへの打ち込みが、略同時に行われるから、電線やケースに作用するストレスを抑制するとともに、圧接エラーや打込みエラーの発生を低減させることができる。さらに、配索した電線の中間部分を第2刃部がケースに打ち込むことで、所定の配索経路に沿って配索した電線の配索形態を維持したままでケースに打ち込んで固定化することができる。
【0014】
請求項3に記載された発明によれば、一端部がヘッド本体に固定され、他端部が電線チャック部に固定され、電線チャック部を圧接方向のヘッド本体側に向かって付勢する第1コイルばねと、第1コイルばねによって付勢された電線チャック部をヘッド本体に対して位置決める第1位置決め部材と、を備えているから、圧接駆動部がヘッド本体を圧接端子に向かって移動させ、ヘッド本体の移動に伴って第1コイルばねに引っ張られて電線チャック部が移動され、電線チャック部がケースの内部の段差に当接されて電線チャック部の移動が規制され、さらに圧接駆動部が駆動することにより、圧接刃部が電線を圧接端子に圧入する動作を実現できる。このように、電線は、圧入の直前まで、電線チャック部でチャックされているから、電線が圧接刃部の板厚方向へ脱落することを防止して、電線を確実に圧接端子に圧接することができる。
【0015】
また、第1位置決め部材は、その長手寸法が調節可能に設けられているから、例えば、電線を径寸法が大きな電線に変更する際に、第1位置決め部材の長手寸法を小さくし、電線を径方向が小さな電線に変更する際に、第1位置決め部材の長手寸法を大きくすることで、圧接刃部の先端と、電線チャック部の先端との位置関係を調節することができ、圧接端子に圧接される電線を、径寸法が異なる電線に変更する際に、電線チャック部全体を変更せずとも、容易に変更することができる。
【0016】
請求項4に記載された発明によれば、一端部がヘッド本体に固定され、他端部が電線ガイド部に固定され、電線ガイド部を圧接方向のヘッド本体側に向かって付勢する第2コイルばねと、第2コイルばねによって付勢された電線ガイド部をヘッド本体に対して位置決める第2位置決め部材と、を備えているから、圧接駆動部がヘッド本体を圧接端子に向かって移動させ、ヘッド本体の移動に伴って第2コイルばねに引っ張られて電線ガイド部が移動され、電線ガイド部がケースの内部の段差に当接されて電線ガイド部の移動が規制され、さらに圧接駆動部が駆動することにより、圧接刃部が電線を圧接端子に圧入する動作を実現できる。このように、電線は、圧入の直前まで、電線ガイド部でガイドされているから、電線が圧接刃部の板厚方向へ脱落することを防止して、電線を確実に圧接端子に圧接することができる。
【0017】
また、第2位置決め部材は、その長手寸法が調節可能に設けられているから、例えば、電線を径寸法が大きな電線に変更する際に、第2位置決め部材の長手寸法を小さくし、電線を径方向が小さな電線に変更する際に、第2位置決め部材の長手寸法を大きくすることで、圧接刃部の先端と、電線ガイド部の先端との位置関係を調節することができ、圧接端子に圧接される電線を、径寸法が異なる電線に変更する際に、電線ガイド部全体を変更せずとも、容易に変更することができる。
【0018】
請求項5に記載された発明によれば、圧接駆動装置は、モータと、該モータの出力軸に連結されるシャフトと、該シャフトの中心部が連結される回転板と、一端部が回転板の中心部以外の位置に軸支され、他端部がヘッド本体に軸支される軸支部材と、を備えた偏心機構であり、これにより、ヘッド本体、電線チャック部、及び電線ガイド部全体を圧接方向に進退移動させることとなり、よって、駆動力を大きくでき、これに伴って圧接力を大きくできるから、電線を圧接端子に確実に圧入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一実施の形態にかかる電線圧接装置を、
図1乃至
図19に基づいて説明する。本実施形態に係る電線圧接装置1は、
図1に示すように、圧接端子T
1、T
2が取り付けられたケースCに対して電線Wを配索し、電線Wの先端部、後端部を圧接端子T
1、T
2に圧接するとともに、電線Wの中間部分等の適宜箇所をケースCの電線打込部(図示しない)に打ち込むことで、電線WをケースCに組み付けるための装置である。ケースCは、合成樹脂製の一体成形品からなるとともに、例えば、自動車等に搭際される電気接続箱の一部を構成するものであって、図示しないリレーやヒューズ等の電気部品が取り付けられるようになっている。
【0021】
圧接端子T
1、T
2は、導電性の金属からなり、打ち抜き加工や曲げ加工によりコ字状に成形されるとともに、コ字状の対向各片に電線Wを挟持する挟持片T1(
図14、
図15に示す)を有し、挟持片T1間に圧入された電線Wの絶縁被覆を破って電線Wの内部導体と電気的に接続されるものである。また、圧接端子T
1、T
2は、ケースC内部に設けられた図示しないバスバーやケースCの外側に設けられた図示しないコネクタ、ケースC内部に搭載される電気部品等と電気的に接続され、このような圧接端子T
1、T
2及び電線Wを介して電気回路が構成されるようになっている。
【0022】
電線圧接装置は、
図1に示すように、適宜な載置台上に水平に支持されたベース2と、ベース2の一端縁(図の右側端縁)に設けられて電線Wを検尺する検尺ユニット3と、この検尺ユニット3に隣り合ってベース2上に支持されて圧接端子T
2に電線Wを圧接する第2圧接ユニット4と、ベース2の中央部にてベース2の上面よりも一段高い位置に設けられる第2ベース5と、第2ベース5の上側に支持されて電線WをケースCの電線打込部に打ち込む電線打込ユニット6と、第2ベース5の片側(図の上側)に隣り合って設けられて圧接端子T
1に電線Wを圧接する圧接ユニット7と、第2ベース5の反対側(図の下側)に隣り合って設けられてケースCを搬送する搬送ユニット8と、を有して構成されている。この電線圧接装置1は、図示しない駆動制御部をさらに備え、この駆動制御部によって各ユニットが同期して動作するように駆動制御される。
【0023】
なお、以下では、各図中において矢印Xで示す方向をX方向と記し、矢印Yで示す方向をY方向と記し、矢印Zで示す方向をZ方向と記すことがある。また、X方向、Y方向、及びZ方向は、互いに直交する直交三軸方向であり、X−Y平面が水平面に平行に設けられ、Z方向が鉛直方向であるものとして説明する。ただし、これらの各方向は、本実施形態の説明を簡明にするために用いるものであって、本発明における各部の形状、配置、動作等に関する方向を限定するものではない。
【0024】
ベース2は、
図1に示すように、厚みのある金属板から形成された平面矩形状のベース板21を有し、図示しない複数の脚部によってベース板21が載置台に支持されている。ベース板21には、前記各ユニットを固定するためのボルト孔が設けられているとともに、各ユニットに電力や電気信号を供給するための図示しない電力線や信号線が配索されている。
【0025】
検尺ユニット3は、
図1に示すように、電線供給装置(図示しない)から供給された電線Wの長さを検尺して送り出すものであって、この検尺ユニット3から送り出された電線Wが圧接ユニット7によって引き出されるとともに、ケースCに沿って配索されるようになっている。
【0026】
第2圧接ユニット4は、
図1に示すように、検尺ユニット3から引き出された電線Wの後端部を切断するとともに、電線Wの後端部近傍をケースCの圧接端子T
2に圧接するものであって、圧接ユニット本体41と、この圧接ユニット本体41をベース2の上面に沿ってY方向に案内するガイドレール42と、このガイドレール42に沿って圧接ユニット本体41を移動させる駆動部(図示しない)と、圧接ユニット本体41に設けられる圧接ヘッド43と、を有して構成されている。
【0027】
第2ベース5は、
図1に示すように、ベース2の上面から上方に離れて設けられるとともに、それぞれ平面区形状の金属板からなる一対の第2ベース板51、52を有して構成されている。一対の第2ベース板51、52は、互いにY方向に離隔して設けられ、ベース板51、52間に隙間53が形成されている。そして、ベース2の上面とベース板51、52との間に搬送ユニット8によってケースCが搬送され、搬送されたケースCに対してベース板51、52の隙間53において上方から電線Wの圧接及び打ち込みが実施されるようになっている。
【0028】
電線打込ユニット6は、
図1に示すように、第2ベース5のベース板51、52上に支持されるとともに、圧接ユニット7によってケースCに沿って配索された電線Wの中間部分を支持する複数の電線支持部61を備えて構成されている。複数の電線支持部61は、X方向に並列して設けられるとともに、ベース板51に設けられる第1支持部材61Aと、ベース板52に設けられる第2支持部材61Bと、からなる一対の支持部材によって構成され、これらの第1支持部材61Aと第2支持部材61BとをY方向に接近させることで、電線Wの中間部分を把持して支持するように構成されている。また、電線打込ユニット6には、打込刃部(図示しない)が設けられ、この打込刃部によって、ケースCに沿って配索された電線Wの中間部分をケースCの電線打込部に打ち込むように構成されている。
【0029】
圧接ユニット7は、
図1に示すように、検尺ユニット3から電線Wの先端部を把持して引き出し、この電線WをケースCの上方に沿って配索するとともに、電線Wの先端部近傍を圧接端子T
1に圧接するものであって、圧接ユニット本体71と、この圧接ユニット本体71をベース2の上面に沿ってX方向に案内するガイドレール72と、このガイドレール72に沿って圧接ユニット本体71を移動させる配索駆動部73と、を有して構成されている。配索駆動部73は、モータ73Aと、このモータ73Aの出力軸に固定されてX方向に延びるねじ軸73Bと、圧接ユニット本体71のベース板71Aに設けられてねじ軸73Bに螺合される雌ねじ部73Cと、を有した送りねじ機構であって、モータ73Aでねじ軸73Bを回転させることにより雌ねじ部73Cを介して圧接ユニット本体71をX方向に移動させ、これにより検尺ユニット3から引き出された電線WをケースCに沿って配索するように構成されている。
【0030】
搬送ユニット8は、
図1に示すように、ケースCを保持する保持板81と、この保持板81をベース2の上面に沿ってY方向に案内するガイドレール82と、このガイドレール82に沿って保持板81を移動させる駆動部83と、を有して構成されている。駆動部83は、モータ83Aと、このモータ83Aの出力軸に固定されてY方向に延びるねじ軸83Bと、保持板81の下面に設けられてねじ軸83Bに螺合される雌ねじ(図示しない)と、を有した送りねじ機構で構成されている。この搬送ユニット8は、保持板81に保持したケースCを第2ベース5から
図1中下方に離れた位置(搬入搬出位置)と第2ベース5における隙間53の下方位置(圧接位置であり打ち込み位置、圧接打込位置)と、の間に亘って搬送するものであって、搬入搬出位置において、保持板81上にケースCが搬入される又は保持板81からケースCが搬出されるとともに、圧接打込位置において、圧接ユニット7によって電線Wが圧接端子T
1に圧接され、かつ電線打込ユニット6によって電線WがケースCの電線打込部に打ち込まれるようになっている。
【0031】
次に、圧接ユニット7の詳細構造及び、動作について、
図2乃至
図15も参照して説明する。前述した圧接ユニット本体71は、
図2に示すように、下端部に圧接刃部702が固定されるヘッド部74と、このヘッド部74を上下(Z方向)に移動させる圧接駆動部75と、ヘッド部74をX−Y平面内で回転させる回転駆動部76と、を有して構成されている。さらに、圧接ユニット本体71は、ベース板71A上に立設されて互いに対向する2枚の支持板77と、2枚の支持板77のY方向のヘッド部74側の縁に固定される板状のスライドガイド78と、ヘッド部74が固定されるとともにスライドガイド78に設けられた一対のレール78A(
図3に示す)に上下スライド自在に支持されるスライド板79と、を備え、圧接駆動部75が、スライド板79に固定されたヘッド部74を、圧接端子T
1、T
2から離隔した「離隔位置」、及び圧接端子T
1、T
2に接近して電線Wを圧接片T1間に圧入する「圧入位置」の上下に移動させ、かつ回転駆動部76が、スライド板79のY方向のヘッド部74側の面にフランジ79Aを介して固定されたヘッド部74を回転駆動する。
【0032】
圧接駆動部75は、
図3に示すように、モータ75Aと、一端部がモータ75Aの出力軸に連結されるとともに他端部側がY方向に沿って延びて設けられたシャフト75Bと、シャフト75Bに中心部が連結される回転板75Cと、一端部が回転板75Cに軸支され他端部がスライド板79に軸支される軸支部材75Dと、を有して構成された偏心機構である。回転板75Cは、そのY方向のヘッド部74反対側の面の中心部にシャフト75Bが固定され、そのY方向のヘッド部74側の面の中心部以外の位置に軸支部材75Dが固定されている。このような圧接駆動部75は、ヘッド部74が「離隔位置」から、モータ75Aの回転に伴ってシャフト75Bが180度回転され、これにより、回転板75Cが回転し、軸支部材75Dの一端部が上端から下端に回転移動され、スライド板79が下降して、スライド板79に固定されたヘッド部74を圧入位置に移動させる。また、ヘッド部74が「圧入位置」から、モータ75Aの回転に伴ってシャフト75Bが180度回転され、これにより、回転板75Cが回転し、軸支部材75Dの一端部が下端から上端に回転移動され、スライド板79が上昇して、スライド板79に固定されたヘッド部74を離隔位置に移動させるように構成されている。
【0033】
回転駆動部76は、
図2に示すように、上部のフランジ79Aに固定されたモータ76Aと、モータ76Aの出力軸に連結されるとともに中部、下部のフランジ79A間に軸支されたシャフト76Bと、を有し、モータ76Aでシャフト76Bを回転させることによりヘッド部74をX−Y平面内で回転させるように構成されている。
【0034】
ヘッド部74は、
図4〜
図8にも示すように、シャフト76Bの下端部(Z方向)に連結されるヘッド本体701と、このヘッド本体701の下端部にボルト固定される圧接刃部702と、ヘッド本体701に対して上下にスライド自在に支持される電線チャック機構703と、ヘッド本体701に対して上下にスライド自在に支持される電線ガイド機構(電線ガイド部)704と、を有して構成されている。ヘッド本体701は、全体直方体状の金属部材であって、その上端部がシャフト76Bに連結されるとともに、前後(X方向)両端縁には、電線チャック機構703及び、電線ガイド機構704をそれぞれスライド案内するガイドレール705、706が設けられている。
【0035】
なお、ここで、ヘッド部74の前後方向としては、X方向に沿うとともに、検尺ユニット3から電線Wを引き出す方向(
図1の左方)を前方とし、その逆向き(
図1の右方)を後方とする。また、
図8において、電線ガイド機構704の図示が省略されている。
【0036】
圧接刃部702は、
図8に示すように、3枚の刃から構成され、具体的には、電線Wを圧接端子T
1に圧入する第1刃部711と、この第1刃部711の後方側(X方向)に隣り合う位置にて電線WをケースCの電線打込部に打ち込む第2刃部712と、この第2刃部712の後方側に隣り合う位置にて、その先端が第2刃部712の先端よりも僅かに上方に設けられて電線Wを押圧する第3刃部713と、を有して構成されている。圧接刃部702の先端部における板厚は、第1刃部711の板厚が第2刃部712の板厚より小さく形成され、第2刃部712の板厚が第3刃部713の板厚より小さく形成されている。
【0037】
第1刃部711は、その先端に電線Wを受け入れる凹溝702a(
図8に示す)を有した刃部本体714と、この刃部本体714の板厚方向両端部に取り付けられた樹脂製の規制片715と、を有し、さらの刃部本体714の表面には、先端部に、圧接端子Tの挟持片T1間に挿入される挿入凹部716が設けられている。規制片715は、刃部本体714の先端から突出して設けられるとともに、刃部本体714先端の凹溝702a内に受け入れた電線Wが板厚方向へ脱落することを規制するものである。第2刃部712は、その先端に、第1刃部711の凹溝702aに連続して設けられて電線Wを受け入れる凹溝702aを有して構成されている。第1刃部711の凹溝702a、及び第2刃部712の凹溝702aは、その幅寸法が、電線Wの直径寸法よりも小さく形成されている。
【0038】
電線チャック機構703は、
図4に示すように、圧接刃部702の前方側に隣接して設けられるとともにガイドレール705に上下スライド自在に支持されるチャック部本体721と、ヘッド本体701に対してチャック部本体721を下向きに付勢する第1コイルばね722と、この第1コイルばね722によって付勢されたチャック部本体721をヘッド本体701に対して位置決める第1位置決め部材723と、チャック部本体721に取り付けられるとともに、チャック部本体721の下端部に設けられて電線Wの先端部をチャックする一方のチャック片721A、721Bの各々をY方向に駆動する一対のシリンダ724A、724Bと、を有して構成されている。チャック部本体721は、一対のチャック片721A、721Bと、ガイドレール705に上下にスライド支持されるスライド板725と、このスライド板725に連なるとともにヘッド本体701と対向して設けられ、かつ第1コイルばね722の一端部が固定される固定片726と、を備えている。
【0039】
第1コイルばね722は、
図4に示すように、その長手方向が上下方向(Z方向)に沿って設けられるとともに、その下端部がヘッド本体701の第1固定部701Aに固定され、その上端部がチャック部本体721の固定片726に固定されている。
【0040】
第1位置決め部材723は、
図4に示すように、長手方向が上下方向(Z方向)に沿って設けられたボルトと、ボルトに螺合する一対のナットと、を有して構成されている。第1位置決め部材723は、下方側のナットがヘッド本体701の第1固定部701Aに固定されることにより、その下端部がヘッド本体701の第1固定部701Aに固定され、その上端部(上方側のナット)がチャック部本体721の固定片726の端面に当接可能に設けられている。この第1位置決め部材723は、ボルトを回転させることにより、その長手寸法が調節可能に設けられている。これにより、例えば、電線Wを径寸法が大きな電線に変更する際に、第1位置決め部材723の長手寸法を小さくし、電線Wを径方向が小さな電線Wに変更する際に、第1位置決め部材723の長手寸法を大きくすることで、圧接刃部702の先端と、チャック片721A、721Bの先端との位置関係を調節することができる。
【0041】
このような電線チャック機構703は、ヘッド部74が、圧接端子T
1、T
2から離隔した「離隔位置」に位置した状態では、一対のシリンダ724A、724Bが駆動し、一対のチャック片721A、721Bを互いに近接するように移動させることで、一対のチャック片721A、721B間に電線Wを挟持し、
図6(A)に示すように、第1コイルばね722が、チャック部本体721を下方側に付勢しているとともに、第1位置決め部材723の上端部がチャック部本体721の固定片726に当接している。この状態で、圧接駆動部75が駆動し、ヘッド部74の下降に伴い、ヘッド部74のヘッド本体701に固定された第1コイルばね722が、チャック部本体721を下方に向かって引っ張るから、チャック部本体721がヘッド本体701とともに下降される。さらに、圧接駆動部75が駆動することにより、チャック片721A、721Bの先端がケースCの内部の段差に当接してチャック部本体721の下降が規制される。この際、チャック部本体721の下降規制と同時に一対のシリンダ724A、724Bで一対のチャック片721A、721Bを開くから、電線Wのチャックが解除される。さらなる圧接駆動部75の駆動に伴って、ヘッド本体701がさらに下降され、
図6(B)に示すように、圧接刃部702の第1刃部711が圧接端子T
1の圧接刃T1間に進入し、圧接駆動部75の駆動が停止されて、ヘッド部74が「圧入位置」に位置し、電線Wは圧接端子T
1に圧接される。電線Wは、その先端部が、圧入の直前までチャック片721A、721Bでチャックされていることになり、電線チャック機構703は、電線Wが第1刃部711の板厚方向へ脱落するのを防止する。
【0042】
次に、ヘッド部74が「圧入位置」から「離隔位置」に移動する際の、電線チャック機構703の動作について説明する。ヘッド部74が、圧接端子T
1、T
2から離隔した「圧入位置」に位置した状態では、
図6(B)に示すように、ヘッド部本体701及び第1コイルばね722によって、チャック部本体721がヘッド本体701側(下方側)に付勢されているが、チャック片721A、721Bの先端がケースCの内部の段差に当接しているから、チャック部本体721の下降が規制され、第1位置決め部材723の上端部がチャック部本体721の固定片726から離間して設けられている。この状態で、圧接駆動部75が駆動し、ヘッド部74のヘッド部本体701の上昇に伴い、ヘッド本体701に固定された第1コイルばね722が自然状態に戻るように収縮し、第1位置決め部材723の上端部と、チャック部本体721の固定片726との間隔が徐々に小さくなり、第1位置決め部材723の上端部が、チャック部本体721の固定片726に当接して、圧接駆動部75の駆動が停止される。こうして、ヘッド部74は「離隔位置」に位置付けられる。
【0043】
電線ガイド機構704は、
図4に示すように、圧接刃部702の板厚方向両側に沿って設けられる一対のガイド板731を有し、一対のガイド板731によって電線Wを両側から挟んでガイドするものであって、各ガイド板731は、ガイドベース732と、ガイドベース732から、それぞれ下方に延びる4本のガイド片733と、を備えている。この電線ガイド機構704は、ガイドレール706に上下にスライド自在に支持さえるガイド部本体730と、ヘッド本体701に対してガイド部本体730を下向きに付勢する第2コイルばね734と、この第2コイルばね734によって付勢されたガイド部本体730をヘッド本体701に対して位置決める第2位置決め部材735と、一対のガイド板731をX方向に駆動するシリンダ736(
図5に示す)と、を有して構成されている。ガイド部本体730は、さらに、ガイドレール706に上下にスライド支持されるスライド板737と、このスライド板737に連なるとともにヘッド本体701と対向して設けられ、かつ第2コイルばね734の一端部が固定される固定片738と、を備えている。
【0044】
第2コイルばね734は、
図4に示すように、その長手方向が上下方向(Z方向)に沿って設けられるとともに、その下端部がヘッド本体701の第2固定部701Bに固定され、その上端部がガイド部本体730の固定片738に固定されている。
【0045】
第2位置決め部材735は、
図4に示すように、長手方向が上下方向(Z方向)に沿って設けられたボルトと、ボルトに螺合する一対のナットと、を有して構成されている。第2位置決め部材735は、下方側のナットがヘッド本体701の第2固定部701Bに固定されることにより、その下端部がヘッド本体701の第2固定部701Bに固定され、その上端部(上方側のナット)がガイド部本体730の固定片738の端面に当接可能に設けられている。
【0046】
このような電線ガイド機構704は、ヘッド部74が、圧接端子T
1、T
2から離隔した「離隔位置」に位置した状態では、
図6(A)に示すように、電線ガイド機構704は、第2コイルばね734が、ガイド部本体730を下方側に付勢しているとともに、第2位置決め部材735の上端部がガイド部本体730の固定片738に当接している。この状態で、圧接駆動部75が駆動し、ヘッド部74の下降に伴い、ヘッド部74のヘッド本体701に固定された第2コイルばね734が、ガイド部本体730を下方に向かって引っ張るから、ガイド部本体730がヘッド本体701とともに下降される。さらに、圧接駆動部75が駆動することにより、ガイド部本体730のガイドベース732の端面がケースCの内部の段差に当接してガイド部本体730の下降が規制される。さらなる圧接駆動部75の駆動に伴って、ヘッド本体701がさらに下降され、
図6(B)に示すように、圧接刃部702の第1刃部711が圧接端子T
1の圧接刃T1間に進入し、圧接駆動部75の駆動が停止されて、ヘッド部74が「圧入位置」に位置し、電線Wは圧接端子T
1に圧接される。電線Wは、その先端部が、圧入の直前までガイド片733でガイドされていることになり、電線ガイド機構704は、電線Wが第1刃部711の板厚方向へ脱落するのを防止する。また、電線ガイド機構704は、シリンダ736によってガイドベース732をX方向に駆動することで、ガイド片733で電線Wを挟んでガイドする位置を変更することも可能に構成されている。
【0047】
次に、ヘッド部74が「圧入位置」から「離隔位置」に移動する際の、電線ガイド機構704の動作について説明する。ヘッド部74が、圧接端子T
1、T
2から離隔した「圧入位置」に位置した状態では、
図6(B)に示すように、ヘッド部本体701及び第2コイルばね734によって、ガイド部本体730がヘッド本体701側(下方側)に付勢されているが、ガイド片733の先端がケースCの内部の段差に当接しているから、ガイド部本体730の下降が規制され、第2位置決め部材735の上端部がガイド部本体730の固定片738から離間して設けられている。この状態で、圧接駆動部75が駆動し、ヘッド部74のヘッド部本体701の上昇に伴い、ヘッド本体701に固定された第2コイルばね734が自然状態に戻るように収縮し、第2位置決め部材735の上端部と、ガイド部本体730の固定片738との間隔が徐々に小さくなり、第2位置決め部材735の上端部が、ガイド部本体730の固定片738に当接して、圧接駆動部75の駆動が停止される。こうして、ヘッド部74は「離隔位置」に位置付けられる。
【0048】
このようなヘッド部74は、ヘッド本体701の「離隔位置」では、
図6(A)、
図7に示すように、電線ガイド機構704のガイド片733の先端よりも電線チャック機構703のチャック片721A、721Bの先端が、圧接端子T
1に接近した位置に位置し、圧接刃部702の第1刃部711、及び第2刃部712の先端よりも電線ガイド機構704のガイド片733の先端が、圧接端子T
1に接近した位置に位置している。この際、圧接刃部702の規制片715の先端よりも電線ガイド機構704のガイド片733の先端が、圧接端子T
1に接近した位置に位置している。また、ヘッド本体701の「圧入位置」では、
図6(B)、
図14、
図15にも示すように、電線ガイド機構704のガイド片733の先端よりも電線チャック機構703のチャック片721A、721Bの先端が、圧接端子T
1から離隔した位置に位置し、圧接刃部702の第1刃部711、及び第2刃部712の先端よりも電線ガイド機構704のガイド片733の先端が、圧接端子T
1から離隔した位置に位置している。この際、圧接刃部702の規制片715の先端よりも電線ガイド機構704のガイド片733の先端が、圧接端子T
1から離隔した位置に位置している。
【0049】
以上の圧接ユニット7は、配索駆動部73のモータ73Aの駆動により圧接ユニット本体71を検尺ユニット3に向かって移動させ、
図9に示すように、検尺ユニット3から送り出された電線Wの先端部W1を電線チャック機構703の一対のチャック片721A、721Bで挟持する。この際、第2圧接ユニット4は、圧接ユニット7と干渉しないように退避位置に退避されている。検尺ユニット3に対しては、シリンダ724A、724Bで一対のチャック片721A、721Bを開いた状態で上方からヘッド部74を下降させることで、検尺ユニット3上面にガイド板731のガイド片733の下端が当接し、ヘッド本体701に対して電線ガイド機構704の移動が規制する。さらに、ヘッド部74を下降させ、チャック片721A、721Bの間に電線Wが挿通された位置でシリンダ724A、724Bを駆動し、一対のチャック片721A、721Bを閉じて電線Wを挟持する。一対のチャック片721A、721Bで電線Wを挟持した圧接ユニット7は、配索駆動部73により圧接ユニット本体71をヘッド部74のX方向前方(検尺ユニット3から離れる方向)に移動させ、
図10に示すように、ケースCに沿って電線Wを配索する。
【0050】
次に、所定位置まで圧接ユニット本体71を移動させたら、圧接ユニット7は、回転駆動部76のモータ76Aの駆動によりヘッド部74を回転させ、
図11に示すように、電線Wの配索経路に沿って電線Wの先端部をY方向に屈曲させる。この際、電線ガイド機構704は、シリンダ736を駆動してガイド部本体730を後方(チャック片721A、721Bから離れる方向)にスライドさせ、電線Wの先端部から若干後方にガイド板731を後退させておく。このように、電線Wの先端部W1をY方向に屈曲させてから、電線ガイド機構704のシリンダ736を駆動してガイド部本体730をスライドさせ、電線Wの先端部W1側にガイド板731を位置させる。次に、圧接ユニット7は、回転駆動部76のモータ76Aの駆動によりヘッド部74を逆回転させ、
図12に示すように、電線Wの先端部W1を再度X方向に屈曲させる。このように電線Wの屈曲部をガイド板731のガイド片733で挟持した状態で、ヘッド部74を回転させることで、ケースCの形状に応じた配索経路に沿って電線Wに癖付けを行う。
【0051】
次に、圧接ユニット7は、クランク状に癖付けした電線Wの先端部W1をケースCの圧接端子T
1に圧接するとともに、電線Wを電線打込部に打ち込む。即ち、圧接駆動部75の駆動によりスライドガイド78に対してスライド板79を下方にスライドさせ、これによりヘッド部74を下降させる。このヘッド部74の下降によって、ヘッド本体701に固定された圧接刃部702も下降し、
図13〜
図15に示すように、第1刃部711によって電線Wが圧接端子T
1の挟持片T1間に圧入される。さらに第2刃部712、及び第3刃部713によって、電線WがケースCの電線打込部に打ち込まれる。この際、電線チャック機構703は、チャック片721A、721Bの先端がケースCの内部の段差に当接することで下降が規制され、チャック片721A、721B間から電線Wの先端部W1が解除される。さらに、電線ガイド機構704は、ガイドベース732がケースCの内部の段差に当接することで下降が規制され、ガイド板731やケースCが圧接端子T
1に干渉しないようになっている。
【0052】
以上の電線圧接装置1によってケースCに電線Wを打ち込んで圧接端子T1、T
2に圧接する手順を
図16〜
図19も参照して以下説明する。先ず、
図16(A)に示すように、搬送ユニット8によってケースCを搬送搬出位置から圧接打込位置に搬送する。さらに、圧接ユニット7が圧接ユニット本体71をX方向に沿って検尺ユニット3側に移動させ、検尺ユニット3から送り出される電線Wの先端部を電線チャック機構703のチャック片721A、721Bによって挟持する。次に、
図16(B)に示すように、圧接ユニット7が圧接ユニット本体71を検尺ユニット3から離れる側に移動させ、検尺ユニット3から引き出した電線WをケースCの上方に沿って配索する。この際、打込ユニット6は、複数の電線支持部61を通過した電線Wを第1支持部材61A、及び第2支持部材61B間に挟んで、電線Wの中間部分を支持する。
【0053】
次に、
図17(A)に示すように、圧接ユニット7が回転駆動部76を駆動してヘッド部74を回転させ、電線ガイド機構704のガイド板731でガイドした電線WをY方向に屈曲させる(一次屈曲)。さらに、
図17(B)に示すように、ガイド板731を電線Wの先端部側に移動させてから、
図18(A)に示すように、圧接ユニット7が回転駆動部76を駆動してヘッド部74を回転させ、電線WをX方向に屈曲させることで、電線Wにクランク状の癖付けを行う。このようにして、電線WをケースCの上方に配索したら、検尺ユニット3が電線Wの送り出しを規制するとともに、第2圧接ユニット4がチャック部材44で電線Wの後端部近傍を挟持する。次に、
図18(B)に示すように、打込ユニット6が第1支持部材61Aと第2支持部材61Bとを互いに離れる方向へ移動させるとともに、
図19に示すように、圧接ユニット7によって電線Wの先端部近傍を圧接端子T
1に圧接し、打込ユニット6によって電線Wの中間部分をケースCの電線打込部に打ち込み、第2圧接ユニット4によって電線Wの後端部近傍を圧接端子T
2に圧接する。
【0054】
なお、電線Wの先端部、中間部分、及び後端部の圧接、及び打ち込みのタイミングとしては、圧接ユニット7、打込ユニット6及び第2圧接ユニット4を同時に駆動することによって、先端部、及び後端部の各近傍を同時に圧接端子T
1、T
2に圧接して、先端部、及び後端部の各近傍と中間部分とをそれぞれケースCの電線打込部に打ち込んでもよい。あるいは、圧接ユニット7、打込ユニット6、及び第2圧接ユニット4を各々別に順次駆動することによって、先端部近傍を圧接端子
1に圧接し、かつ電線打込部に打ち込んでから、中間部分を電線打込部に打ち込み、最後に後端部近傍を圧接端子T
2に圧接し、かつ電線打込部に打ち込んでもよい。また、先端部、及び後端部の圧接及び打ち込みと、中間部分の打ち込みと、のタイミングを前後させてもよい。
【0055】
本実施形態によれば、電線チャック機構703(電線チャック部)が電線Wの先端部をチャックした状態で、配索駆動部73がヘッド本体701を電線Wの配索経路に沿って移動させて電線WをケースCの配索経路に沿って配索し、圧接駆動部75がヘッド本体701を圧接端子T
1に向かって移動させ、そして、電線チャック機構703及び電線ガイド機構704(電線ガイド部)の移動が規制されるとともに、電線チャック機構703のチャック、及び電線ガイド機構704のガイドが解除され、圧接駆動部75のさらなる駆動に伴って、圧接刃部702が電線Wを圧接端子T
1に圧入することで、ケースCの配索経路に沿った電線Wの配索、及び電線Wの圧接端子T
1への圧接、を同一の装置で実施することができる。また、電線チャック機構703及び電線ガイド機構704の移動が規制された後、圧接刃部702が電線Wを圧接端子T
1に圧入するから、電線Wは、圧入の直前まで、電線チャック機構703でチャックされているとともに電線ガイド機構704でガイドされていることとなり、電線Wが圧接刃部702の板厚方向へ脱落することを防止して、電線Wを確実に圧接端子T
1に圧接することができる。また、電線チャック機構703が電線Wの先端部をチャックした状態で、配索駆動部73がヘッド本体701を電線Wの配索経路に沿って移動させるから、手作業によらずに電線Wを配索することができ、電線Wの長さがばらつくことなく所定の配索経路に沿って所定長さの電線Wを配索することができる。
【0056】
例えば、前記実施形態では、圧接ユニット7のヘッド部74を回転させることで、電線Wを屈曲させ、クランク状に屈曲させた電線Wに癖付けしてからケースCに打ち込むようにしたが、これに限らず、直線状に配索した電線WをケースCに打ち込んで圧接端子T
1、T
2に圧接してもよい。さらに、電線Wを屈曲させる場合であっても、前記実施形態にようにクランク状に屈折させるものに限らず、L字形に屈曲させてもよいし、90度以外の適宜な角度に屈曲させてもよく、さらには、X−Y平面内で屈曲させるものに限らず、Z方向を含めた三次元的に屈曲させてもよい。
【0057】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。