特許第5936075号(P5936075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936075
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   F16K31/06 305G
   F16K31/06 305K
   F16K31/06 385F
   F16K31/06 305N
   F16K31/06 305S
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-157983(P2013-157983)
(22)【出願日】2013年7月30日
(65)【公開番号】特開2015-28363(P2015-28363A)
(43)【公開日】2015年2月12日
【審査請求日】2014年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】松枝 和輝
(72)【発明者】
【氏名】吉村 公博
【審査官】 加藤 一彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平7−224961(JP,A)
【文献】 実開平1−139183(JP,U)
【文献】 実開昭61−28954(JP,U)
【文献】 特表2001−501290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路の途中に形成された空間を上方に開放する開口が設けられ、この空間からガスを流出させる弁口が形成されたマニホールドと、このマニホールドの上部に上記開口を塞ぐように取り付けられるソレノイドユニットとからなる電磁弁であって、先端に上記弁口を開閉する弁体が取り付けられたプランジャをガイドするガイドパイプの下端に外側に広がるフランジ部形成されており、上記開口の周縁に形成されたシール装着部にリング状のシール部材、ソレノイドユニットをマニホールドに取り付けた状態で上記フランジ部で圧縮されて配設されており、ソレノイドユニットとマニホールドとの間におけるシールがされているものにおいて、上記リング状のシール部材はOリングであり、ソレノイドユニットをマニホールドに装着した状態でOリングの位置を正規の位置に矯正する斜面部、上記フランジ部に形成されており、上記プランジャは、先端に取り付けられた上記弁体と上記フランジ部との間に縮設されたバネによって弁体が上記弁口に向かう方向に付勢されており、このバネの位置決めを行う環状の起伏部が上記傾斜部の内側になるようにフランジ部に形成されていることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】
上記フランジ部に断面が三角形の畝状の突部環状に形成されており、この突起の外側面上記傾斜部であり、内側面上記起伏部であることを特徴とする請求項に記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス通路の途中に設置され、ガス通路を開閉する電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電磁弁として、マニホールドとソレノイドユニットとからなるものが知られている。マニホールドには、ガス通路の途中に形成された空間を上方に開放する開口が設けられ、更にこの空間からガスを下流へと流出させる弁口がこの開口の奥に形成されている。一方、ソレノイドユニットは、このマニホールドの上部に上記開口を塞ぐように取り付けられるものである。
【0003】
このソレノイドユニットには中空のソレノイドコイルが設けられおり、その中空部分にはプランジャが進退自在に配設されている。プランジャの先端には、マニホールドに形成された上記弁口を開閉する弁体が取り付けられており、プランジャがソレノイドコイルから突き出す方向に移動すると、先端の弁体で上記弁口を閉鎖するように構成されている。ソレノイドコイルのボビンとプランジャとの間には、プランジャの進退をガイドするガイドパイプが設けられており、そのガイドパイプの下端には外側に広がるフランジ部が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
マニホールドに形成された上記開口の周縁には1段掘り下げられたシール装着部が設けられている。そして、マニホールドにソレノイドユニットを装着する際に、そのシール装着部にリング状のシール部材をセットし、ソレノイドユニットを装着すると、フランジ部でシール部材を上方から圧縮してマニホールドとソレノイドユニットとの間のシール性を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−114151号公報(図1図2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の電磁弁では、マニホールドにソレノイドを装着する際に、シール装着部内にシール部材を装着した状態でソレノイドユニットをマニホールドにセットするが、その際、シール部材が捩れ等によってシール装着部内でシール部材が正常な形状を保持していなければ、その捩れたままの形状で上記フランジ部がシール部材を圧縮し、シール性が確保できない。
【0007】
そのため、シール部材として、断面が矩形で上面にビード状の突部が形成された環状のビードパッキンを専用で製作し、シール装着部にビードパッキンをセットした際に、ビードパッキンの形状保持力によってビードパッキンが捩れないようにしている。
【0008】
ところが、このビードパッキンは専用で製造しなければならないので、コストが高くなるという不具合が生じる。ただし、このビードパッキンを安価な汎用のOリングに単に置き換えたのではOリングの形状保持性が低いので上記のようにOリングが捩れる可能性があり、使用することができない。
【0009】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、汎用のOリングを用いてもOリングがシール装着部内で捩れ等が生じない電磁弁を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明による電磁弁は、ガス通路の途中に形成された空間を上方に開放する開口が設けられ、この空間からガスを流出させる弁口が形成されたマニホールドと、このマニホールドの上部に上記開口を塞ぐように取り付けられるソレノイドユニットとからなる電磁弁であって、先端に上記弁口を開閉する弁体が取り付けられたプランジャをガイドするガイドパイプの下端に外側に広がるフランジ部形成されており、上記開口の周縁に形成されたシール装着部にリング状のシール部材、ソレノイドユニットをマニホールドに取り付けた状態で上記フランジ部で圧縮されて配設されており、ソレノイドユニットとマニホールドとの間におけるシールがされているものにおいて、上記リング状のシール部材はOリングであり、ソレノイドユニットをマニホールドに装着した状態でOリングの位置を正規の位置に矯正する斜面部、上記フランジ部に形成されており、上記プランジャは、先端に取り付けられた上記弁体と上記フランジ部との間に縮設されたバネによって弁体が上記弁口に向かう方向に付勢されており、このバネの位置決めを行う環状の起伏部が上記傾斜部の内側になるようにフランジ部に形成されていることを特徴とする。
【0011】
Oリングがシール装着部内にセットした際に捩れ等が生じても、上記傾斜部がOリングの位置を正規の位置に矯正することによって捩れ等が解消される。
【0012】
なお、上記プランジャは、先端に取り付けられた上記弁体と上記フランジ部との間に縮設されたバネによって弁体が上記弁口に向かう方向に付勢されており、このバネの位置決めを行う環状の起伏部を上記傾斜部の内側になるようにフランジ部に形成し
【0013】
更に、上記フランジ部に断面が三角形の畝状の突部環状に形成されており、この突起の外側面上記傾斜部であり、内側面上記起伏部であるようにすることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明は、汎用のOリングを用いることができるので、専用品であるビードパッキンを用いていた従来のものよりコストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
図2】ソレノイドユニットをマニホールドに装着する状態を示す図
図3】Oリングがシール装着部内で捩れた状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照して、1は本発明による電磁弁の一例である。この電磁弁1は上部にソレノイドユニット2と下部にマニホールド3とを有している。マニホールド3には内部に空間30が形成されている。この空間30には水平方向からガスが流入する流入部31と、流入したガスを下方に流出させる流出部32とが連通されている。そして、流出部32の上端が弁口33となり、後述する弁体23によって開閉される。従って、図示のように弁口33が弁体23によって閉鎖されている状態であれば、空間30から流出部32へとガスが流れないので、電磁弁1より下流へはガスが供給されないが、弁体23が上昇して弁口33が開放されると、空間30内のガスが流出部32を通って下流へと供給されることになる。
【0017】
空間30は上方に向かって開放されており、その開口34の周囲には1段下げられたシール装着部35が形成されている。このシール装着部35には汎用品であるOリング4が装着されており、ソレノイドユニット2とマニホールド3との接合面から空間30内のガスが漏出することを防止している。
【0018】
図2を参照して、ソレノイドユニット2内には中空のボビンに巻回されたソレノイドコイル21が設けられており、その中心には上下方向に進退自在なプランジャ22が配設されている。プランジャ22の下端には上記弁体23が取り付けられており、この弁体23には弁体23を下方に向かって付勢するバネ24が装着されている。従って、ソレノイドコイル21に通電していない状態では、バネ24の付勢力とプランジャ22の自重とによってプランジャ22は下方に移動しており、上記図1に示した、弁口33を弁体23が閉鎖する位置で停止している。その状態でソレノイドコイル21に通電すると、ソレノイドコイル21が発生する電磁力によりプランジャ22が上方に吸引され、弁体23が上昇することによって弁口33が開放される。
【0019】
プランジャ22はガイドパイプ5内に収納されている。このガイドパイプ5はプランジャ22の上下方向の進退をガイドすると共にガスの漏出を防止するためのものであり、非磁性の金属、例えば銅で形成された板材をプレス加工で形成されている。
【0020】
このガイドパイプ5はソレノイドコイル21内に位置する筒状の部分とその筒状の部分の下端から外側に広がるフランジ部51とで構成されている。このフランジ部51は上記Oリング4を上方から圧縮してシール性を確保すると共に、空間30内のガスがガイドパイプ5とソレノイドコイル21のボビンとの間に流れ込まないようにするために形成されている。
【0021】
従来の電磁弁ではこのフランジ部51は単に平板状であったが、本実施の形態では、筒状の部分と同心状に断面が三角形である畝状の突部52を環状に形成した。この突部52は従来の形状のガイドパイプをプレス加工したあとで再度プレス加工することにより形成する。その際、フランジ部51も再度プレスされるので、フランジ部51の、特にOリング4を圧縮する部分の平面度が向上する。更に、突部52が形成されているので、2回目のプレス加工のあとでフランジ部51の歪み等による変形が抑制される。
【0022】
突部52は断面が三角形であるため、外側斜面52aと内側斜面52bとが形成される。従来のフランジ部ではこの突部52が形成されていないので、上記バネ24はプランジャ22と同心に位置決めされていなかった。そのため、バネ24の位置がずれるおそれがあったが、バネ24の位置がずれると弁体23を弁口33に均一に押接できなくるとともに、プランジャ22のスムーズな進退を阻害する可能性があった。ところが、本発明ではバネ24を内側斜面52bで位置決めするので、弁体23を弁口33に対して常に均一に押接させることができる。
【0023】
上記Oリング4は汎用の市販品であるため価格が安いが、捩れ等により変形しやすい。そのため、シール装着部35に装着した場合に、図3に示すように正規の姿勢でシール装着部35内に収まらない状態が生じる。その状態でソレノイドユニット2をマニホールド3に取り付けるが、ソレノイドユニット2の陰になり、Oリング4が捩れているか否かを確認しづらい。仮に捩れている状態でソレノイドユニット2をマニホールド3に取り付ければ、Oリング4によるシール性が損なわれるという不具合が生じる。
【0024】
ところが本実施の形態では、外側斜面52aが形成されているので、Oリング4がシール装着部35内で図3に示すように多少捩れていても、外側斜面52aがOリング4の姿勢を内側から矯正して、本来の正規の状態にすることができる。このため、Oリング4でのシール不良が生じない。
【0025】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0026】
1 電磁弁
2 ソレノイドユニット
3 マニホールド
4 Oリング
5 ガイドパイプ
22 プランジャ
23 弁体
24 バネ
30 空間
33 弁口
34 開口
35 シール装着部
51 フランジ部
52 突部
52a 外側斜面
52b 内側斜面
図1
図2
図3