(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本願発明に係る車両情報取得装置の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本発明に係る車両情報取得装置は、
図1に示すように、例えば、コネクタと一体型に作成されており、車両のエンジン電子制御装置に備えられた故障診断コネクタ(OBDコネクタ)32に接続して、この故障診断コネクタ32からの様々なデータを受信するというものであるが、特に、電源関係の問題で、故障診断コネクタ32に後付けの電子装置(車両情報取得装置)を取付けたときに、コネクタ42からのバッテリ10直の電源を自身に供給することができ、そのため、車両のイグニッションSWがOFFのときでオルタネータが廻っていないときにバッテリ10の電圧を直に測定することができ、この電圧の測定を経時的に行うことでバッテリ10の電圧の一定時間経過後の電圧変化を捉えて劣化状態を把握して、且つこの電圧変化状態を記憶手段に記憶させ、さらに外部のスマートフォン等の無線LAN機器61に送信する機能を備えたところに特徴がある。
【0012】
エンジン電子制御装置11は、所謂、ECUであり、インジェクタやイグナイタ等の車載機器の動作を制御するものであり、このエンジン電子制御装置11は、回転数を測定する回転センサ12、空気量を測定するエアフロアセンサ13、冷却水温を測定する水温センサ14、スロットルバルブの開度を測定するスロットルセンサ15、排ガス中の酸素濃度を検出するO
2センサ16、スタータモータを始動するスタータスイッチ17等の信号を入出力回路21を経由でマイコン23のI/O24に入力し、これらの入力信号を基に、マイコン23のCPU25がROM27に記憶された各種制御プログラムにしたがって、適宜データをRAM26に一時記憶させながら、エンジンにとって最適な噴射量、噴射タイミング、点火時期を計算し、インジェクタ18、イグナイタ19等の車載機器にI/O24、入出力回路21を経由して出力する。
【0013】
電源回路22は、外部の蓄電池であるバッテリ10とイグニッションSWを介して接続され、イグニッションSWがONされるとバッテリ10からの電源が供給される。
【0014】
また、マイコン23のシリアルI/O28は通信回路31経由でCAN/K−Lineに接続され、このCAN/K−Lineは故障診断コネクタ32に接続されている。
この故障診断コネクタ32には、CAN/K−Lineの接続の他に、バッテリ10からの電源の12V/24Vラインが直に接続されている。
【0015】
故障診断コネクタ32に接続されたコネクタ42を介して様々なデータを受信することができる車両情報取得装置41は、例えば、コネクタ一体型無線接続タイプの車載端末であり、故障診断コネクタ32から出力されるエンジン回転数等の各種データを車両I/F回路43で受けて、その受けた各種データをCPU49で処理する。CPU49で処理された各種のデータは走行データ記録用メモリ51に記録されると同時に無線LANモジュール52を介して外部の無線LAN機器であるスマートフォンに送信する。
尚、無線LAN機器は、スマートフォンに限定されることなく、例えば、車載AV、ナビゲーション、ドライブレコーダ、デジタルタコグラフ、ゲーム機器、テレマ端末、計測器等でもよく、これらは無線LANモジュールを備え、各種のデータを処理するCPUが搭載されていることが必要である。
【0016】
CPU49は、電源回路44からの電力供給によって動作し、設定記憶用不揮発性メモリ48内の各種設定パラメータに応じてこの車両情報取得装置41の全体動作を制御する。この設定記憶用不揮発性メモリ48には、自動車メーカー、車種、通信方法、その他車両情報取得装置41の動作に必要な各種パラメータ等が格納されている。
【0017】
無線LANモジュール52は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うもので、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0018】
そして、CPU49で処理する一つとして、バッテリ10の電圧を直に取込んで信号に変換して処理するA/Dコンバータ54を備えた構成となっている。
尚、図示していないがA/Dコンバータ54の入力回路には、必要に応じて分圧回路を設けてあるものとする。
このA/Dコンバータ54は、所謂、測定手段であり、バッテリ10からの電源電圧12V/24Vであるアナログ値の入力電圧を入力し、この入力した入力電圧に応じてデジタル出力値を出力するものである。
デジタル出力値は、CPU49に入力され、予め設定されている演算式を使用してデジタル出力値に基づいた電圧値を得る。
この電圧値が例えばイグニッションSWがOFFしてから所定時間経過後の値で、その値が予め設定されている値よりも低いものであればバッテリ10の劣化状態が進行しているものと推定する。このイグニッションSWがOFFしてから所定時間経過後についての所定時間は自由に設定変更できることは勿論のことである。
【0019】
そして、このA/Dコンバータ54に取り込むタイミングとしてリアルタイムクロック(RTC)47を利用して、取り込む時期や取り込む時間の間隔を設定する。例えば、エンジン停止1時間後、2時間後などに、リアルタイムクロック(RTC)47からのトリガでCPU49を起動し、バッテリ電圧データを測定したり、同様に、定時測定(毎日午前3時とか・・)の電圧も得ることができる。
このようにして、A/Dコンバータ54を介して得られた電圧値を測定する。そして、例えば、時間軸に対して電圧の値が一定の水準よりも小さくなっている場合には、バッテリ10の劣化が進んでいると推定することができるのである。
【0020】
このように、車両のイグニッションSWがOFF時においても、バッテリ10の電圧を測れるようにすることで、オルタネータから充電電流を供給されていない状態のバッテリ10の電圧を測定することができ、バッテリ10の劣化具合をより正確に把握することができる。
【0021】
また、バッテリ10の電圧は、例えバッテリ10が劣化していてもオルタネータが廻っていると充電が継続されある程度の電圧になってしまうため、オルタネータの動作時にはバッテリ10の電圧で劣化程度を推定するのは難しい。
そのため、本実施例のように、エンジン停止(イグニッションSWがOFF)一定時間経過後にバッテリ10の電圧を測定した場合、劣化しているバッテリ10の場合は正常なバッテリ10に比べて電圧の低下が大きくなる。これを記録・通知することにより、バッテリ10の不具合に基づくトラブルになる前にバッテリ交換を促すことができる。
【0022】
図2に示すフローチャートは、車両の電源がオフ(イグニッションSWがOFF)の状態で、直接バッテリ10の電圧を測定する手法を示したものである。
先ず、車両情報取得装置41の電源がONされている状態から、CPU49が起動している状態で車両のイグニッションSWがOFFであるかどうかを検出する(ステップST11、ST12、ST13)。イグニッションSWがOFFであるならば車両に電源が供給されておらず且つオルタネータも廻っていないため、バッテリ10への充電がなされていないことを示す。
次に、イグニッションSWがOFFであるときには、CPU49をスリープモードに移行する(ステップST14)。
次に、リアルタイムクロック(RTC)47を利用して、所定時間経過したかを検出する。これは、例えば、イグニッションSWがOFFになったこと、即ち、エンジンが停止したときから所定時間、例えば、エンジン停止1時間後に検出する(ステップST15)。
イグニッションSWがOFFしてから所定時間経過したときに、リアルタイムクロック(RTC)47からのトリガによりCPU49を起動し、バッテリ10からの電源電圧(12V/24V)であるアナログ値の入力電圧をA/Dコンバータ54に入力する(ステップST16、ST17)。
次に、A/Dコンバータ54から出力されたデジタル出力値を、予め設定されている演算式を使用して測定電圧値を特定する(ステップST18)。
特定された測定電圧値をメモリに記憶し、或は無線LANモジュール52を利用して、外部の無線LAN機器61であるスマートフォンに送信して、バッテリの状態を検知できるようにする(ステップST19)。
【0023】
無線LAN機器61であるスマートフォンは、通信機能、電子メール機能、インターネット接続機能などのほか、無線LANモジュール63が搭載され、その構成要素であるCPU73は、二次電池を備えた電源部62からの電力供給によって動作し、記憶部67内の各種のプログラムに応じてこのスマートフォンの全体動作を制御する。この記憶部67は、ROM、RAMを有する構成で、そのプログラム領域には、例えば、車両情報取得装置41で得られた様々な走行データを参酌して瞬間燃費、平均燃費、積算距離等を算出するためのプログラムが格納されている。
【0024】
無線通信部66は、アンテナに接続された送受信部の受信側から信号を取込んで受信ベースバンド信号に復調したのちに、スピーカ71から音声出力させる。また、無線通信部66は、マイク69から入力された音声データを取込み、送信ベースバンド信号に符号化したのちに送受信部の送信側に与えられたアンテナから送信出力させる。また、電子メール機能或はインターネット接続機能によって無線通信部66を介して受信取得した表示データは、高品位表示が可能なLCD(液晶表示装置)などの表示部64に与えられて表示出力される。また、無線LANモジュールから得られたデータをパケットデータとしてインターネット等で送信することも出来る。
【0025】
操作部65は、各種の操作キー、ポインティングデバイスなどを有し、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行う。CPU73は、操作部65からの操作入力信号に応じた処理を実行する。RTC(リアルタイムクロックモジュール)68は、時計部を構成するもので、CPU73は、RTC68から現在日時を取得する。報知部72は、スピーカ71、LED(発光ダイオード)、振動モータを備え、電話・メール着信時に駆動されて着信報知を行うほか、アラーム報知時にも駆動される。
【0026】
無線LANモジュール63は、無線LAN通信機能を構成するもので、アンテナを有し、無線LANに接続されて高速無線通信を行うものであり、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。
【0027】
以上のような構成からなる車両情報取得装置を、エンジン電子制御装置の故障診断コネクタにコネクタを差込んで接続する。するとエンジン電子制御装置で得られた様々な各種のデータを故障診断コネクタを介して得ることができる。この各種のデータ、即ち、各種の走行データを無線LANモジュールを介して無線LAN機器であるスマートフォン側に送信すると共に走行データ記録用メモリに逐次蓄積する。このように、得られた各種の走行データをメモリに蓄積することで、スマートフォン側で受信できていなくとも、メモリに蓄積することで、受信できていない分を補充等することが可能となる。一方、スマートフオン側では操作部の操作により車両情報取得装置からの各種の走行データを読み込むようにすると、無線LANモジュールを介して車両情報取得装置側から、走行データを受信できる。
【0028】
そして、車両のイグニッションSWがOFFになったときから一定時間経過後のバッテリからの電圧をA/Dコンバータ54に入力し、その出力されたデジタル出力値を予め設定されている演算式を使用して測定電圧値を特定し、この特定された測定電圧値をメモリに記憶し、或は無線LANモジュール52を利用して、外部の無線LAN機器61であるスマートフォンに送信して、バッテリ10の状態を検知できるようにするというものである。
【0029】
また、イグニッションSWがOFFした後の一定時間経過後にバッテリ10の電圧を測定した場合、劣化しているバッテリ10の場合は正常なバッテリ10に比べて電圧の低下が大きくなるため、バッテリの不具合を早期に検出することが可能となる。