【実施例】
【0024】
図1を参照すると、本発明の実施例による迷惑電話防止装置30は、企業などで用いられるボタン電話システムに適用されたものである。このボタン電話システムは、公衆回線100に接続したPBX10と、PBX10に接続され、個別のダイヤルイン番号が与えられた複数のボタン電話機20A〜20Jとを有している。
【0025】
尚、本実施例において、公衆回線100は、加入者電話回線のみならず、その一部にインターネットを含んでいてもよい。
【0026】
また、本実施例において、ボタン電話機20A〜20Jとしては、外線通話および内線通話の両方を実行できる電話機でありさえすれば、固定電話機のみならず、携帯電話機、PHS(Personal Handy-phone System)機、スマートフォン、通話機能付き情報処理タブレット、通話機能付きパーソナルコンピュータ等の形態を呈するものであってもよい。また、PBX10との間の配線については、構内電話専用の構内配線に限らず、その一部または全部に、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、あるいはUSB(Universal Serial Bus)を利用した配線であってもよい。
【0027】
ボタン電話機20A〜20Jは、
図2に示されるように、担当者A〜Jに対して用意された電話機であり、「03-1234-5671」から「03-1234-5680」まで、連番のダイヤルイン番号が与えられている。尚、本例では、複数の電話機に対して連番のダイヤルイン番号が与えられているが、本発明は、連番でないダイヤルイン番号の場合でも、迷惑電話を防止できる。
【0028】
PBX10については、基本的には既存のPBXと同様の構成および動作であるため、詳細な説明は省略するが、情報を記憶するメモリと、メモリに記憶されたオペレーティングシステムならびに専用のアプリケーションプログラムソフトウエアに基づいて情報を処理するCPUと、周辺機器とのインターフェースと、ユーザーインターフェースと、電源部と、筐体とを有している。
【0029】
尚、本実施例において、迷惑電話防止装置30は、その一部または全部が、PBX10の上記構成要素を利用して構成されている。換言すれば、本実施例において、PBX10は、迷惑電話防止機能を有するPBXであるとも云える。
【0030】
本迷惑電話防止装置30は、複数のボタン電話機20A〜20Jのうちの1台または複数台が所定の「インターバル時間」内に連続して発信者情報非通知で着呼すること(前述した第1の条件)が、所定の「上限着呼回数」以上であるとき(前述した第2の条件)に、現在、発信者情報非通知で着呼しているボタン電話機による着信と、現在から所定の「拒否時間」が経過するまでの間に発信者情報非通知で着呼するであろうボタン電話機による着信とを拒否する着信拒否処理を実行する。
【0031】
図3を参照すると、迷惑電話防止装置30は、本装置の動作全般を制御する制御部31と、メモリ32と、公衆回線100に接続した回線インターフェース33と、複数のボタン電話機20A〜20Jに接続した電話機インターフェース34と、本装置とユーザとの間で情報のやり取りを行う例えばタッチパネル付きディスプレイ等のユーザーインターフェース35とを有している。
【0032】
メモリ32は、上記「インターバル時間」(例えば、10秒間)をユーザーインターフェース35を介して書き換え可能に登録する第1のメモリ32aと、上記「上限着呼回数」(例えば、3回)をユーザーインターフェース35を介して書き換え可能に登録する第2のメモリ32bと、上記「拒否時間」(例えば、3分間)をユーザーインターフェース35を介して書き換え可能に登録する第3のメモリ32cとを含んでいる。
【0033】
一方、制御部31は、第1のメモリ32aに登録された「インターバル時間」を計時する第1のタイマ31bと、第2のメモリ32bに登録された「上限着呼回数」を計数するカウンタ31cと、第3のメモリ32cに登録された「拒否時間」を計時する第2のタイマ31dとを有している。
【0034】
そして、制御部31は、複数のボタン電話機20A〜20Jのうちのいずれか1台で発信者番号非通知の着呼があると、第1のタイマ31bの計時を開始する。
【0035】
第1のタイマ31bによる「インターバル時間」内に、この着呼に連続して同じく発信者情報非通知の着呼が、その1台または他の1台であった場合は、制御部31は、カウンタ31cのカウント値を1カウントアップする。
【0036】
カウンタ31cのカウント値が、即ち、上記の繰り返しによって発信者番号非通知の着呼が、第2のメモリ32bに登録された「上限着呼回数」に達したときに、制御部31は、現在、発信者情報非通知で着呼しているボタン電話機による着信を拒否すると共に、第2のタイマ31dを計数開始して現在から第3のメモリ32cに登録された「拒否時間」が経過するまでの間は、発信者情報非通知で着呼するであろうボタン電話機による着信をも拒否する着信拒否処理を実行する。
【0037】
尚、着信拒否処理は、着呼を報知するアラート音声またはアラートバイブレーションならびに/もしくはアラート表示を休止することによってなされる。着信拒否処理としてさらに、ボイスメールへの転送や、相手側に対して発信者情報の通知を促す自動メッセージで応答するようにしてもよい。
【0038】
尚、発信者情報の通知がある着呼については、ユーザが任意に着信拒否を設定するようにしてもよい。即ち、本迷惑電話防止装置30の制御部31は、発信情報の通知がある着呼があると、その発信者情報から相手側のダイヤル番号を抽出し、メモリ32に記憶する。メモリ32に記憶されたダイヤル番号に対しては、ユーザは、ユーザーインターフェース35を介して、着信拒否フラグを更新可能に付すことが可能である。その後は、発信者情報通知がある着呼が、着信拒否フラグが付されたダイヤル番号からの着呼であるときは、その着呼に対し、上述した着信拒否処理を実行する。
【0039】
次に、
図1〜
図4を参照して、本実施例による迷惑電話防止装置の動作を説明する。
【0040】
公衆回線100を介して、ボタン電話機20A〜20Jのいずれかに着呼があると(ステップS11)、制御部31は、その着呼相手からの発信者番号の通知の有無を確認する(ステップS12)。確認の結果、発信者番号通知が非通知の場合はステップS13に、発信者番号通知が有る場合はステップS21に移行する。
【0041】
ステップS13において、制御部31は、第1のタイマ31bの計時を開始する。第1のタイマ31bによる「インターバル時間」内に、この着呼に連続して、同じく発信者情報非通知の着呼が、その1台または他の1台であった場合は、制御部31は、カウンタ31cのカウント値を1カウントアップする(ステップS14)。
【0042】
ステップS15において、カウンタ31cのカウント値が、即ち、上記の繰り返しによって発信者番号非通知の着呼が、第2のメモリ32bに登録された「上限着呼回数」に達すると、制御部31は、現在、発信者情報非通知で着呼しているボタン電話機による着信を拒否すると共に、第2のタイマ31dを計数開始して現在から第3のメモリ32cに登録された「拒否時間」が経過するまでの間は、発信者情報非通知で着呼するであろうボタン電話機による着信をも拒否する着信拒否処理を実行する(ステップS16)。
【0043】
以上のようにして、発信者情報非通知であっても、複数の電話機に対する迷惑電話を防止することができる。しかも、迷惑電話ではない発信者情報非通知の着呼を着信拒否してしまうことが軽減される。
【0044】
一方、ステップS12での確認によって発信者情報通知が有った場合は、ステップS21に移行し、本迷惑電話防止装置30の制御部31は、発信者情報から相手側のダイヤル番号を抽出し、メモリ32に既に記憶された番号かどうかを確認する。確認の結果、記憶された番号の場合はステップS23に、記憶されていない場合は、ステップS22に移行して、メモリ32にそのダイヤル番号を記憶した後、ステップS23において、ユーザーインターフェース35を介してユーザによって着信拒否フラグが必要に応じて付される。
【0045】
ステップS24において、制御部31は、メモリ32を参照して、相手側のダイヤル番号に着信拒否フラグが付されているか否かを確認する。確認の結果、着信拒否フラグが付されている相手からの着呼の場合、ステップS25に移行する。
【0046】
ステップS25において、制御部31は、制御部31は、現在、発信者情報非通知で着呼しているボタン電話機による着信を拒否する着信拒否処理を実行する。
【0047】
以上のようにして、発信者情報が通知される場合も、迷惑電話を防止することができる。