特許第5936141号(P5936141)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936141
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】心臓情報を再構成するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0402 20060101AFI20160602BHJP
   A61B 5/0452 20060101ALI20160602BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20160602BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20160602BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20160602BHJP
【FI】
   A61B5/04 310M
   A61B5/04 312A
   A61B5/04 312C
   A61B5/04 300J
【請求項の数】16
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2013-503930(P2013-503930)
(86)(22)【出願日】2011年4月6日
(65)【公表番号】特表2013-523344(P2013-523344A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】US2011031468
(87)【国際公開番号】WO2011127209
(87)【国際公開日】20111013
【審査請求日】2014年4月7日
(31)【優先権主張番号】61/342,016
(32)【優先日】2010年4月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507296779
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
(73)【特許権者】
【識別番号】512088486
【氏名又は名称】トペラ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】特許業務法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ナラヤン,サンジヴ エム.
(72)【発明者】
【氏名】セラ,ルチル
【審査官】 門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−037730(JP,A)
【文献】 特表2008−523929(JP,A)
【文献】 米国特許第05868680(US,A)
【文献】 HOUBEN R P M,AUTOMATIC MAPPING OF HUMAN ATRIAL FIBRILLATION BY TEMPLATE MATCHING,HEART RHYTHM,米国,ELSEVIER,2006年10月 1日,V3 N10,P1221-1228
【文献】 RICHARD P M HOUBEN,PROCESSING OF INTRACARDIAC ELECTROGRAMS IN ATRIAL FIBRILLATION,IEEE ENGINEERING IN MEDICINE AND BIOLOGY MAGAZINE,米国,IEEE SERVICE CENTER,2006年11月 1日,V25 N6,P40-51
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/04−5/053
A61N1/00−1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複雑な律動障害の源を示すために患者の心臓に関連付けられる心臓情報を再構成するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの計算デバイスを備え、前記計算デバイスが、
前記複雑な律動障害中に前記患者の心臓に空間的に関連付けられた複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
前記心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、当該信頼性しきい値は、前記高信頼性と低信頼性の信号のそれぞれに関する信号で検査された全拍動のうち判別可能な活性化開始を有する拍動の所定のパーセンテージに関連しており、
関連する許容時間窓内で前記低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を特定し、ここで許容時間窓はそれぞれ、1の低信頼性の信号に関して当該低信頼性の信号における1の拍動が活性化しうる最も早い時間から始まり、当該拍動が集束しうる最も遅い時間に終わり
活性化開始の時間的情報、センサの空間的情報および拍動のフェーズ情報のうち少なくとも1つに基づいて前記高信頼性の信号および低信頼性の信号に関する活性化開始を順序付けし、
前記複雑な律動障害の源を示すために、前記高信頼性の信号および前記低信頼性の信号に関する活性化開始を順序通りに出力する
ように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、空間的に隣接するセンサに関する高信頼性の信号の少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐ時間ベクトルを使用して、前記低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することを特徴とするシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、前記心臓情報信号が静止しているのが認められる判別可能な期間を含まない複雑な律動障害に関する信号を受信するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、判別可能な最も早い活性化開始がない、複雑な律動障害に関する心臓情報信号を受信するよう構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記全拍動のうち判別可能な活性化開始を有する拍動の所定のパーセンテージは、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して判定され、前記活性化開始が、時間に対する電圧の最大変化率、テンプレートマッチング、周波数、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定されることを特徴とするシステム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、活動電位期間(APD)、伝達速度(CV)、線維角、空間的に隣接するセンサに関連する信頼の信号の少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトル、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して前記許容時間窓を決定することを特徴とするシステム。
【請求項7】
請求項5に記載のシステムにおいて、エキスパートシステムをさらに備え、前記エキスパートシステムがテンプレートマッチングを行うことを特徴とするシステム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、最小の活動電位期間(APD)以上であり最大のサイクル長(CL)以下である拍動に関連付けられるCLに応答して、前記心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類することを特徴とするシステム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、最小の活動電位期間(APD)よりも小さい、または最大のサイクル長(CL)よりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応じて、前記心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類することを特徴とするシステム。
【請求項10】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、拍動形状、拍動極性、コア領域の周囲の回転発散およびコア領域からの半径方向発散の少なくとも1つを使用して前記時間ベクトルを修正することを特徴とするシステム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、エキスパートシステムをさらに備え、前記エキスパートシステムが、活動電位期間(APD)、伝達速度(CV)、空間的に隣接するセンサに関する高信頼性信号の少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐ時間ベクトル、周波数、および線維角の少なくとも1つを使用して前記許容時間窓を決定することを特徴とするシステム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、判別可能な活性化開始を有する拍動を含む信号の一部の移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、前記低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することを特徴とするシステム。
【請求項13】
請求項2に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、前記時間ベクトル前記許容時間窓に加え判別可能な活性化開始を有する拍動を含む信号の一部の移動平均、および位相同期のうちの少なくとも1つを使用することによって、決定された活性化開始を調和することによって、前記低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することを特徴とするシステム。
【請求項14】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
前記患者の心臓に空間的に関連付けられた複数のセンサから受信された前記心臓情報信号を記憶するように構成された少なくとも1つの記憶デバイスを備え、前記少なくとも1つの記憶デバイスが、前記少なくとも1つの計算デバイスに前記信号を提供するために前記少なくとも1つの計算デバイスに作動的に結合していることを特徴とするシステム。
【請求項15】
請求項1に記載のシステムにおいて、さらに、
複数のセンサを備えるカテーテルを備え、前記センサが、前記患者の心臓に空間的に関連付けられた前記心臓情報信号を受信し、前記少なくとも1つの計算デバイスに前記心臓情報信号を提供するために前記少なくとも1つの計算デバイスに作動的に結合していることを特徴とするシステム。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載のシステムにおいて、前記少なくとも1つの計算デバイスが、命令を記憶するコンピュータ可読媒体を備え、前記命令が、前記少なくとも1つの処理デバイスによって実行されるときに、前記少なくとも1つの処理デバイスに、前記少なくとも1つの計算デバイスの動作を実施させることを特徴とするシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
政府権利
本発明は、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health)によって付与された契約R01 HL83359およびHL83359−S1の下で、政府支援を受けた。米国政府は、本発明に特定の権利を有する。
【0002】
本発明は、一般に医療の分野に関し、より詳細には、生物学的律動の不規則性および他の障害を診断し、その根源を見つけ出し、それを治療するための方法、システム、および機械に関する。特に、本発明は、障害を検出、診断、および治療するための最小侵襲性技法または手術技法に適用することができる。一実施形態は、本発明に関して、心律動の障害を対象としており、別の実施形態は、脳および神経系の電気的な障害を対象としており、他のものは、胃腸管および泌尿生殖器系の平滑筋の電気的または収縮性の障害を対象としている。
【背景技術】
【0003】
心律動障害は、米国では非常に一般的であり、病的状態、就業不能、および死の重大な原因である。心律動障害は多くの形態で生じ、そのうち最も複雑で治療が難しいのは、心房細動(AF)、心室頻拍(VT)、および心室細動(VF)である。他の律動は、より治療が単純であるが、やはり臨床的に重要であることがあり、そのような律動としては、心房細動(AF)、上室頻拍(SVT)、心房粗動(AFL)、心房性期外収縮/拍動(SVE)、および心室性期外収縮/拍動(PVC)が挙げられる。いくつかの特定の条件下では、正常な洞房結節の急速な活性化が、不適切洞性頻拍または洞房結節リエントリといった心律動障害を引き起こすことがある。
【0004】
心律動障害、特にAF、VF、およびVTといった複雑な障害の治療は非常に難しいことがある。薬理療法は、特に、AFには最適でなく(Singh,Singh et al.2005)、VTまたはVFにも最適でなく(Bardy,Lee et al.2005)、その結果、非薬理療法にかなりの関心が向けられている。アブレーションは、心律動障害を解消するために有望であり使用が増えている療法であり、これは、血管を通して、または手術で直接、センサ/プローブを心臓に導き、次いで心律動障害に関する原因にエネルギーを送達して心律動障害を収束させることによって行われる。アブレーションは、当初はSVT、AFL、PVC、PACなど「単純な」障害に使用されていたが、AFに対する使用(Cappato,Calkins et al.2005)、VTに対する使用(Reddy,Reynolds et al.2007)、さらには、より少ないものの、VFに対する使用(Knecht,Sacher et al.2009)も増えている。
【0005】
しかし、心律動障害の原因を識別して位置特定するためのツールが優れておらず、障害を収束させて解消するために適切な領域にエネルギーを送達する試みを妨げているため、アブレーションは難しいことが多い。広く見られるAFの形態である持続性のAFでは、アブレーションは、4〜5時間の長い処置にもかかわらず、1回の処置の成功率がわずか50〜60%であり(Cheema,Vasamreddy et al.2006;Calkins,Brugada et al.2007)、死亡例(Cappato,Calkins et al.2009)を含めた重大な合併症の率が5〜10%である(Ellis,Culler et al.2009)。心房頻拍など「単純な」障害に関してさえ、診断を行って、アブレーションが成功する見込みの高い位置を示唆するツールは存在しない。
【0006】
最も洗練された既知のシステムでさえ、術者が解釈しなければならないデータを表示するが、障害の原因を術者が検出、診断、および治療することができるように障害の原因を直接識別および位置特定することはしない。これは、Beattyと共同研究者らによる米国特許第5,662,108号、米国特許第5,662,108号、米国特許第6,978,168号、米国特許第7,289,843、および他の特許、HauckおよびSchultzによる米国特許第7,263,397号、Tarjanと共同研究者らによる米国特許第7,043,292号、Ben−Haimと共同研究者らによる米国特許第6,892,091号および他の特許、ならびにXueと共同研究者らによる米国特許第6,920,350号に記載されている現在使用されている方法を含む。これらの方法および機器は、しばしば洗練された3次元の解剖学的表現で電位を検出、解析、および表示するが、特にAFなど複雑な障害に関しては、心律動障害の原因を識別して位置特定することは依然としてできない。これはまた、心臓に電位を「射影(project)」するために身体表面からの信号を使用するRudyと共同研究者らによる特許(とりわけ米国特許第6,975,900号および米国特許第7,016,719号)にも当てはまる。
【0007】
心律動障害に関する原因を識別して位置特定するためのいくつかの既知の方法は、単純な律動障害には有効であることがあるが、AF、VF、または多形性VTなど複雑な障害に関する原因の識別に成功している既知の方法はない。活性化マッピング(活性化を最も早い部位に遡及させる)は、単純な頻拍に関してしか有用でなく、AFL(明確な「開始」がない連続律動)にはあまり有効でなく、変化する活性化経路を有するAFには全く有効でない。エントレインメントマッピングは、律動の原因に刺激電極が位置している部位を識別するためにペーシングを使用するが、ペーシングは、自動メカニズムにより、AF、さらには心房頻拍などいくつかの「単純な」律動には適用することができない。房室結節リエントリ、典型的なAFL、および早期(発作性)のAFを起こしている患者の原因に関しては典型的な位置(stereotypical locations)が知られているが、持続性のAF(Calkins,Brugada et al.2007)、VF、および他の複雑な障害を起こしている患者の大半に関しては知られていない。したがって、AFなど複雑な心律動障害の原因を識別して位置特定する方法はまだ存在しない(Calkins,Brugada et al.2007)。
【0008】
拍動ごとに一貫した活性化を有する「単純な」律動に関するシステムの一例は、SvensonおよびKingによる米国特許第5,172,699号によって与えられている。このシステムは、心拡張インターバルの所見に基づき、心拡張インターバルは、「単純な律動」では定義することができるが、心房細動(AF)や心室細動(VF)など複雑な律動では定義することができない(Calkins,Brugada et al.2007;Waldo and Feld 2008)。さらに、このシステムは、活性化自体ではなく(活性化の間の)心拡張インターバルを検査するので、原因を識別または位置特定しない。さらに、ECGでのQRS群間の時間間隔を分析するので、AFまたはVFではなく心室頻拍に焦点を当てられる。
【0009】
別の例は、CiaccioおよびWitによる米国特許第6,236,883号である。この発明は、リエントリ性の回路を識別して局所化するために電極の同心アレイを使用する。したがって、これは、限局性拍動などリエントリ性でない原因は所見しない。さらに、特徴および検出局所化アルゴリズムを使用するこの方法は、心臓内の活性化が拍動ごとに変化するAFやVFなど複雑な律動には有効でない。この方法は、「リエントリ回路の峡部内でのゆっくりとした伝達」を識別し、これは、心室頻拍など「単純な」不整脈の特徴であるが、AFおよびVFに関しては定義されない。
【0010】
その後の米国特許第6,847,839号において、Ciaccoと共同研究者らは、正常な(正弦波の)律動でのリエントリ回路を識別および局所化するための発明を述べている。やはりこれも、活性化が半径方向に発散する、リエントリ性ではなく限局性の不整脈に関する原因を所見しない。第2に、この特許は、リエントリに関する「峡部」の正弦波の律動の存在に基づき、これは、VTなど拍動間で一貫した活性化を有する「単純な」律動に関しては許容される((Reddy, Reynolds et al. 2007)参照)。しかし、これは、AFやVFなど変化する活性化経路を有する複雑な律動には許容されない。
【0011】
Desaiによる米国特許第6,522,905号は、最も早い活性化部位を見つけ出し、これを不整脈の原因であると判断する原理を使用する発明である。この手法は、リエントリによる単純な不整脈には有効でない。単純な不整脈では、活性化が連続的な「円」であるので、リエントリでの「最も早い」部位は存在しない。また、この手法は、AFやVFなど拍動ごとに活性化が変化する複雑な不整脈にも有効でない。
【0012】
しかし、単純な心律動障害においてさえ、既知の方法を適用して原因を識別するのは難しいことが多い。例えば、心房頻拍(「単純な」障害)のためのアブレーションの成功は、70%と低いことがある。外科医が心律動障害手術を行うとき(Cox2004;Abreu Filho,2005)、外科医は、心律動障害の専門家(心臓電気生理学者)によって補佐されるのが理想的である。すなわち、心律動障害の原因をアブレートすることは難題であることがあり、熟練した術者でさえ、心房頻拍や異型の(左心房)AFLなど、(拍動間の活性化パターンが一貫している)特定の「単純な」律動障害をアブレートするのに数時間かかることがある。活性化シーケンスが拍動ごとに変化するAFやVFなど複雑な心律動障害に関しては、状況はさらに難しくなる。
【0013】
律動障害を診断するための先行技術は、センサで活性化の時間を測定することが多い。しかし、そのような先行技術は、各記録部位で、拍動の形状およびしばしばタイミングがかなり一貫している信号に適用されている。これらの先行技術の解決策は、AFやVFなど複雑な律動に適用するのは非常に難しく、そのような律動では、任意の部位での各拍動に関する信号(「サイクル」)が、短時間のうちに1つの偏向、複数の偏向、および多数の偏向の間で移り変わることがある。例えばAFでの信号が、5個、7個、11個、またはそれよりも多くの偏向を含むとき、AFレートを分析するための研究(Ng and coworkers, Heart Rhythm 2006)で示されているように、どの偏向がセンサ(「局所」)におけるものであり、どの偏向が隣接部位(「遠視野」)におけるものであるかを識別することは難しい。別の近年の報告では、AFなどの律動での信号は、局所活性化を遠視野活性化と区別するために「対話式の方法」を必要とする(Elvan et al. Circulation: Arrhythmias and Electrophysiology 2010)。
【0014】
ヒトのAFに関する原因を識別して位置特定するための方法がない中で、医師は、動物の文献に目を向けることが多い。動物モデルでは、(人工的な手段によって誘発される)複雑で不規則なAFに関する局所化された原因は、局所化された「電気ロータ」または反復的な限局性拍動の形態で識別されて位置特定されている(Skanes,Mandapati et al.1998;Warren,Guha et al.2003)。動物では、ロータは、高いスペクトル優位周波数(DF)(高速)と狭いDF(規則性を示す)を示す信号によって表される(Kalifa,Tanaka et al.2006)。スペクトル優位周波数のそのような使用は、Berenfeldと共同研究者らに付与された米国特許第7,117,030号に記載されている。
【0015】
残念ながら、これらの動物データは、有効なヒト療法にはつながっていない。AFおよびVFの動物モデルは、ヒトの疾患とは異なる可能性が高い。例えば、動物のAFは発作性であることはめったになく、(ヒトの発作性のAFで一般的である)肺動脈トリガによってはめったに生じない。AFもVFも、典型的にはこれらの症状を起こしている高齢のヒトで見られる複数の共存する病理を有さない若い動物で典型的には研究される(Wijffels,Kirchhof et al.1995; Gaspo,Bosch et al.1997;Allessie,Ausma et al.2002)。
【0016】
AF患者では、レートが高い部位(または高いスペクトル優位周波数DFの部位)は、アブレーションに関する有用なターゲットではなかった。Sandersと共同研究者らによる近年の研究は、AFが、高いDFの部位でのアブレーションではめったに収束しないことを示した(Sanders, Berenfeld et al.2005a)。他の研究は、高いDFの部位は心房内で一般的なものであり、これらの部位でのアブレーションは、(その高いDF部位が原因であった場合に期待されるように)急激にはAFを収束させないことを示している(Calkins,Brugada et al.2007)。1つには、これは、多くの研究者らが示しているように、動物で有効なDF法が、多くの理由により、ヒトのAFにおいては不正確になることがあるためである(Ng,Kadish et al.2006;Narayan,Krummen et al.2006d;Ng,Kadish et al.2007)。Nademaneeと共同研究者らは、高周波数成分を有する低い振幅の信号(複雑な細分化された心房電位図CFAE)が、AFの原因を示すことがあることを示唆している(Nademanee,McKenzie et al.2004a)。この診断法は、Johnson and Johnson/Biosenseによって市販のシステムに組み込まれている。しかし、この方法も疑問視されている。Oralと共同研究者らは、CFAEのアブレーションが、AFを収束させない、または単独ではAFの再発を防止しない(Oral,Chugh et al.2007)、もしくは既存のアブレーションに追加されたときにAFの再発を防止しない(Oral,Chugh et al.2009)ことを示した。
【0017】
Ben−HaimおよびZachmanによる米国特許第5,718,241号など先行技術のいくつかの発明は、今日まで正しいと考えられていた以下のことを認めている。すなわち、AFは「検出可能な解剖学的ターゲットを有さない、すなわち一定の迷入経路を有さない心臓不整脈である」。その結果、この特許は、心律動障害に関する原因を識別および位置特定しない。そうではなく、これは、「生じ得る各幾何学的形状を中断する」ようにアブレーションのラインを送達することによって、心臓の幾何形状に関する治療に焦点を当てる。この特許は、心臓の様々なパラメータのマップを作成する。
【0018】
多くの発明は、原因を識別および位置特定せずに、心臓不整脈の実際の原因に関する代用物を使用する。例えば、SteinerおよびLeshによる米国特許第5,868,680号は、心臓内の組織化の尺度を使用し、これらの尺度は、1つの活性化事象(拍動)に関する活性化シーケンスを後続の拍動に関する活性化シーケンスと比較することによって構成されて、「何らかの時空秩序の変化が起こっている」かどうか判断する。しかし、その発明は、組織化が、AFに関する重要な部位の近くで最大であり、他の部位ではより低いと仮定している。しかし、この仮定は適切でないことがある。動物実験では、組織化の指標はAFの根源からの距離と共に減少し、次いで、より離れた部位で活性化が再び組織化するときに再び実際に増加する(Kalifa,Tanaka et al.2006)。さらに、米国特許第5,868,680号は、複数の拍動を必要とする。その結果、米国特許第5,868,680号などの方法は、多くの部位を識別し、それらのほとんどがたいていAFの原因ではない。このようにAFに関する原因を識別および位置特定できないことが、組織化に基づく方法がまだAFを急激に収束させるための治療の改良に至っていない理由を表すことがある。同様に、Reisfeldによる米国特許第6,301,496号は、局所活性化時点およびベクトル関数から生成された生理学的特性のマッピングという代用物に基づく。これを使用して、心臓の物理的な画像に、伝達速度、または生理学的特性の別の勾配関数をマップする。しかし、この特許は、心律動障害の原因を識別または位置特定しない。例えば、AFでの複数の活性化経路は、三角法(triangulation)に使用される点の間で伝達経路、したがって伝達速度が、分かっていないことを意味する。さらに、ロータの場合、コア領域の周りで回転する、またはコア領域から対称的に発散する活性シーケンスは、実際には正味の速度がゼロになることがある。
【0019】
これらの理由から、専門家は、AFにおいて「ヒトの心房で、電気ロータの直接の証拠は得られていない」と述べている(Vaquero,Calvo et al.2008)。したがって、ヒトのAFに関する局所化された原因を識別(および次いで位置特定)することが望ましいことがあるが、これは現在可能でない。
【0020】
ヒトのAF、特に持続性のAFに関して、原因が識別されて位置特定されず、その結果、アブレーションが経験的なものになり、しばしば心房の約30〜40%までの損傷を伴う。これは、最小侵襲性のアブレーションおよび/または手術療法に関して、原因が識別および位置特定される場合には理論上は回避することができる(Cox2005)。
【0021】
ヒトのVTまたはVFは、薬剤による治療があまり有効でない重大な死因である(Myerburg and Castellanos 2006)。現在、治療は、発症の危険がある患者に埋込型の心臓変圧除細器(ICD)を配置することを含むが、VT/VFによって繰り返されるICDへの衝撃を防止するためにアブレーションを使用することに関心が高まっている(Reddy,Reynolds et al.2007)。VTに関する原因の識別および位置特定は難しいことがあり、アブレーションは専門センターで行われる。VFでは、動物データは、ヒス−プルキンエ(His−Purkinje)組織の近くの固定領域にVFの原因があることを示唆するが、これも、ヒトにおいては非常に不十分な理解である。VFに関する原因を識別および位置特定する唯一の従来の説明は、外科的露出を必要とするもの(Nash,Mourad et al.2006)、または心臓移植後に身体から取り出された心臓で行われたもの(Masse,Downar et al.2007)である。したがって、VFに関する最小侵襲性のアブレーションは、まれな症例におけるVFの誘因の特定に焦点を当てているが(Knecht,Sacher et al.2009)、より広い母集団ではまだ行うことができない。
【0022】
また、存在する単一または複数センサ設計を含めた既存の感知ツールは、AFなど複雑な障害に関する原因を識別して位置特定するには最適でない(例えば、Triedman他による米国特許第5,848,972号)。しかし、そのようなツールは、典型的には限られた視野しか有さず、いずれかの心房内のどこかにあって変化することがあるAFに関する原因を識別するには不適切である(Waldo and Feld 2008)。あるいは、それらは、広範囲のサンプリングのためには、ヒトでの使用には実用的でないほど多くの増幅器を必要とすることがある。広範囲のサンプリングは有利であり、動物では、心臓を外科的に露出する(Ryu,Shroff et al.2005)、または心臓を身体から取り出す(Skanes,Mandapati et al.1998;Warren,Guha et al.2003)ことによって実現される。ヒトでは、外科的研究でさえ、常に部分領域しか検査されず(例えば(Sahadevan,Ryu et al.2004))、空気、麻酔、および臨床で生じた形から律動障害を変化させることができる他の薬剤への心臓の露出によって問題が生じる。
【0023】
したがって、従来の方法は、障害の原因または根源を特定するのではなく、患者が心臓障害を患っているかどうか識別するために、解剖学的形態のマッピングに主に焦点を当てている。したがって、治癒的療法を可能にするために、それぞれの患者における心律動障害に関する原因を直接識別して位置特定するための方法およびツールが早急に必要とされている。これは、特に、AFおよび他の複雑な律動障害に重要であり、それらに関して、理想的には、システムは、局所化された原因を検出して、最小侵襲性の方法、外科的方法、または他の方法によってアブレーションを行う。
【発明の概要】
【0024】
本発明は、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報の再構成を容易にするためのシステム、アセンブリ、および方法を開示する。エネルギーを印加して律動障害の根源を修正することによって、複雑な律動障害を治療することができる。
【0025】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成する方法において、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信するステップと、
計算デバイスによって、心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類するステップと、
計算デバイスによって、少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定するステップと、
計算デバイスによって、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けするステップと、
計算デバイスによって、複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力するステップと
を含む方法が提供される。
【0026】
決定するステップは、さらに、許容窓を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定するステップを含むことができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まない。
【0028】
他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を含まない。
【0029】
分類するステップは、さらに、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類するステップを含むことができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0030】
いくつかの実施形態では、許容窓は、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して決定することができる。
【0031】
心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去することができ、心臓情報信号をフィルタリングすることができる。
【0032】
信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視することができる。
【0033】
テンプレートマッチングは、さらに、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別するステップを含むことができる。テンプレートマッチングは、エキスパートシステムを使用して行うことができ、エキスパートシステムは、テンプレートマッチングを行うために拍動タイプを使用する。
【0034】
さらに、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類することができる。
【0035】
心臓情報信号の分類は、さらに、最小のAPDよりも大きく最大のCLよりも小さい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類するステップを含むことができる。
【0036】
いくつかの実施形態では、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して、波経路ベクトルを修正することができる。
【0037】
心臓情報信号の分類は、さらに、最小のAPDよりも小さく最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類するステップを含むことができる。
【0038】
許容窓の決定は、さらに、エキスパートシステムを使用するステップを含むことができ、エキスパートシステムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定する。
【0039】
活性化開始の決定は、さらに、エキスパートシステムを使用するステップを含むことができ、エキスパートシステムは波形を備える。
【0040】
低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始の決定は、さらに、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して活性化開始を決定するステップを含むことができる。
【0041】
低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始の決定は、さらに、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用することによって、決定された活性化開始を調和するステップを含むことができる。
【0042】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられた心臓信号を再構成する方法において、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類するステップであって、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であるステップと、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別するステップであって、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応するステップと、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算するステップと、
ベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義するステップであって、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示すステップと、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択するステップと
を含む方法が提供される。
【0043】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、この方法は、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定するステップであって、第2の時間インターバルが、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及ぶステップと、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げるステップと、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成するステップと、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新するステップと
を含むことができる。
【0045】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定する方法において、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別するステップであって、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有するステップと、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算するステップと、
ベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義するステップであって、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示すステップと、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択するステップと
を含む方法が提供される。
【0046】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0047】
この方法は、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定するステップであって、第2の時間インターバルが、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及ぶステップと、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げるステップと、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成するステップと、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新するステップと
を含むことができる。
【0048】
本発明の一態様では、命令を備えるコンピュータ可読媒体において、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成させ、再構成が、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、かつ
複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
ことによって行われるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0049】
命令は、計算デバイスに、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成させるように提供することができ、再構成が、許容窓を使用して低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することによって行われる。
【0050】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まない。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を含まない。
【0051】
命令は、計算デバイスに、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類させるように提供することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0052】
命令は、計算デバイスに、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定させるように提供することができる。
【0053】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去させ、心臓情報信号をフィルタリングさせるように提供することができる。
【0054】
命令は、計算デバイスに、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視させるように提供することができる。
【0055】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行わせるように提供することができる。
【0056】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用してテンプレートマッチングを行わせるように提供することができ、エキスパートシステムは、テンプレートマッチングを行うために拍動タイプを使用する。
【0057】
命令は、計算デバイスに、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類させるように提供することができる。
【0058】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも大きく最大のCLよりも小さい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0059】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも小さく最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0060】
命令は、計算デバイスに、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して、波経路ベクトルを修正させるように提供することができる。
【0061】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して許容窓を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定する。
【0062】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して活性化開始を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは波形を備える。
【0063】
命令は、計算デバイスに、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0064】
命令は、計算デバイスに、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0065】
本発明の一態様では、命令を備えるコンピュータ可読媒体において、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成させ、再構成が、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類し、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別し、ここで、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、中間信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算し、
ベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ことによって行われるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0066】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0067】
いくつかの実施形態では、命令は、計算デバイスに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、第2の時間インターバルは、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0068】
本発明の一態様では、命令を備えるコンピュータ可読媒体において、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、複雑な律動障害での活性化時間を決定させ、決定が、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別し、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算し、
ベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ことによって行われるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0069】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、命令は、計算デバイスに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、第2の時間インターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0071】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの計算デバイスを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも1つの計算デバイスが、少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
少なくとも1つの計算デバイスが、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
システムが提供される。
【0072】
少なくとも1つの計算デバイスは、許容窓を使用して低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まない。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を含まない。
【0074】
少なくとも1つの計算デバイスは、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0075】
少なくとも1つの計算デバイスは、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定することができる。
【0076】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去することができ、心臓情報信号をフィルタリングすることができる。
【0077】
少なくとも1つの計算デバイスは、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視することができる。
【0078】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行うことができる。
【0079】
このシステムは、さらに、テンプレートマッチングを行うためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0080】
少なくとも1つの計算デバイスは、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類することができる。
【0081】
少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPD以上であり最大のCL以下である分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類することができる。
【0082】
少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPDよりも小さい、または最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類することができる。
【0083】
少なくとも1つの計算デバイスは、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して波経路ベクトルを修正することができる。
【0084】
このシステムは、さらに、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0085】
このシステムは、さらに、波形を使用して活性化開始を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0086】
少なくとも1つの計算デバイスは、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0087】
少なくとも1つの計算デバイスは、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用することによって、決定された活性化開始を調和することによって、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0088】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの計算デバイスを含み、計算デバイスが、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類し、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別し、ここで、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算し、
波経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0089】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0090】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、そのインターバルは、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0091】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの計算デバイスを含み、計算デバイスが、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別し、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算し、
波経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0092】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0093】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、そのインターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0094】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの記憶デバイスと、
少なくとも1つの記憶デバイスに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも1つの計算デバイスが、少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
少なくとも1つの計算デバイスが、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
システムが提供される。
【0095】
少なくとも1つの計算デバイスは、許容窓を使用して低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まない。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を含まない。
【0097】
少なくとも1つの計算デバイスは、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0098】
少なくとも1つの計算デバイスは、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定することができる。
【0099】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去することができ、さらに、心臓情報信号をフィルタリングすることができる。
【0100】
少なくとも1つの計算デバイスは、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視することができる。
【0101】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行うことができる。
【0102】
このシステムは、さらに、テンプレートマッチングを行うためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0103】
少なくとも1つの計算デバイスは、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPD以上であり最大のCL以下である分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類することができる。他の実施形態では、少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPDよりも小さい、または最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類する。
【0105】
少なくとも1つの計算デバイスは、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して波経路ベクトルを修正することができる。
【0106】
また、システムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0107】
また、システムは、波形を使用して活性化開始を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0108】
少なくとも1つの計算デバイスは、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0109】
少なくとも1つの計算デバイスは、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用することによって、決定された活性化開始を調和することによって、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0110】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの記憶デバイスと、
記憶デバイスに結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、少なくとも1つの計算デバイスが、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類し、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別し、ここで、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算し、
波経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられるタイマーインターバルを定義し、ここで、定義された時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0111】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0112】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、そのインターバルは、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0113】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定するためのシステムにおいて、
少なくとも1つの記憶デバイスと、
記憶デバイスに結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、少なくとも1つの計算デバイスが、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別し、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算し、
定義されたベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0114】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0115】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、第2の時間インターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0116】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成するためのシステムにおいて、
複数のセンサを備えるカテーテルと、
複雑な律動障害中にセンサに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも1つの計算デバイスが、少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
少なくとも1つの計算デバイスが、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
システムが提供される。
【0117】
少なくとも1つの計算デバイスは、許容窓を使用して低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まないことがある。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を備えない。
【0119】
少なくとも1つの計算デバイスは、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0120】
少なくとも1つの計算デバイスは、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定することができる。
【0121】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去することができ、心臓情報信号をフィルタリングすることができる。
【0122】
少なくとも1つの計算デバイスは、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視することができる。
【0123】
少なくとも1つの計算デバイスは、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行うことができる。
【0124】
このシステムは、さらに、テンプレートマッチングを行うためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0125】
少なくとも1つの計算デバイスは、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類することができる。
【0126】
少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPD以上であり最大のCL以下である分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類することができる。
【0127】
少なくとも1つの計算デバイスは、最小のAPDよりも小さい、または最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類することができる。
【0128】
少なくとも1つの計算デバイスは、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して波経路ベクトルを修正することができる。
【0129】
このシステムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0130】
また、システムは、波形を使用して活性化開始を決定するためにエキスパートシステムを含むことができる。
【0131】
少なくとも1つの計算デバイスは、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0132】
少なくとも1つの計算デバイスは、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用することによって、決定された活性化開始を調和することによって、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定することができる。
【0133】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成するためのシステムにおいて、
複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、少なくとも1つの計算デバイスが、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類し、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別し、ここで、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算し、
波経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、定義された時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0134】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0135】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、第2の時間インターバルが、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0136】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定するためのシステムにおいて、
複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、少なくとも1つの計算デバイスが、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別し、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算し、
定義されたベクトル経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義し、ここで、定義された時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択する
ように構成されたシステムが提供される。
【0137】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0138】
少なくとも1つの計算デバイスは、さらに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定し、ここで、インターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成し、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新する
ように構成することができる。
【0139】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報の再構成を容易にするためのアセンブリにおいて、
心臓情報信号を提供するように適合された複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを備え、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成させ、再構成が、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、
複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
ことによって行われるアセンブリが提供される。
【0140】
命令は、計算デバイスに、許容窓を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まないことがある。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を備えない。
【0142】
命令は、計算デバイスに、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類させるように提供することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0143】
命令は、計算デバイスに、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定させるように提供することができる。
【0144】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去させ、心臓情報信号をフィルタリングさせるように提供することができる。
【0145】
命令は、計算デバイスに、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視させるように提供することができる。
【0146】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行わせるように提供することができる。
【0147】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用してテンプレートマッチングを行わせるように提供することができ、エキスパートシステムは、テンプレートマッチングを行うために拍動タイプを使用する。
【0148】
命令は、計算デバイスに、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類させるように提供することができる。
【0149】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも大きく最大のCLよりも小さい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0150】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも小さく最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0151】
命令は、計算デバイスに、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して、波経路ベクトルを修正させるように提供することができる。
【0152】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して許容窓を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定する。
【0153】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して活性化開始を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは波形を備える。
【0154】
命令は、計算デバイスに、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0155】
命令は、計算デバイスに、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0156】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成させるためのアセンブリにおいて、システムが、
心臓信号を受信するために複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能なコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、処理装置によって実行されるときに、処理装置に、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類させ、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別させ、ここで、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算させ、
定義されたベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義させ、ここで、定義された時間インターバルは、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択させる
アセンブリが提供される。
【0157】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0158】
命令は、処理装置に、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、ここで、第2の時間インターバルが、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0159】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定するためのアセンブリにおいて、
心臓信号を受信するために複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能なコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、処理装置によって実行されるときに、処理装置に、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別させ、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算させ、
波経路が判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義させ、ここで、定義された時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択させる
アセンブリが提供される。
【0160】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0161】
命令は、処理装置に、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、ここで、インターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0162】
本発明の一態様では、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成するためのシステムにおいて、
計算デバイスと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを備え、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、複雑な律動障害の根源を示すために患者の心臓に関連付けられる複雑な律動障害を表す心臓情報を再構成させ、再構成が、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
心臓情報信号を、信頼性しきい値によって分けられる高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類し、
少なくとも2つの判別可能な活性化開始をつなぐベクトルを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定し、
低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始と、高信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を順序付けし、
複雑な心律動障害の根源を示すために、高信頼性の信号および低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を出力する
ことによって行われるシステムが提供される。
【0163】
命令は、計算デバイスに、許容窓を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号が休止している判別可能な期間を含まない。他の実施形態では、複雑な律動障害が、心臓情報信号に関連付けられる判別可能な最も早い活性化開始を含まない。
【0165】
命令は、計算デバイスに、活性化開始、サイクル長(CL)、活動電位期間(APD)、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号を高信頼性の信号と低信頼性の信号に分類させるように提供することができ、活性化開始は、最大のdV/dt、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用することによって決定される。
【0166】
命令は、計算デバイスに、APD、伝達速度(CV)、線維角、および解剖学的因子の少なくとも1つを使用して許容窓を決定させるように提供することができる。
【0167】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号からベースライン変動および雑音を除去させ、さらに、心臓情報信号をフィルタリングさせるように提供することができる。
【0168】
命令は、計算デバイスに、信号対雑音比(SNR)、テンプレートマッチング、および振幅の少なくとも1つを使用して、心臓情報信号の少なくとも1つを無視させるように提供することができる。
【0169】
命令は、計算デバイスに、心臓情報信号に関連付けられる高い信頼性水準の拍動をテンプレートとして識別することによって、テンプレートマッチングを行わせるように提供することができる。
【0170】
命令は、計算デバイスに、テンプレートマッチングを行うためのエキスパートシステムを使用してテンプレートマッチングを行わせるように提供することができる。
【0171】
命令は、計算デバイスに、分類すべき拍動に関連付けられる形状に基づいて、心臓情報信号に関連付けられる拍動を分類させるように提供することができる。
【0172】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも大きく最大のCLよりも小さい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を高信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0173】
命令は、計算デバイスに、最小のAPDよりも小さく最大のCLよりも大きい分類すべき拍動に関連付けられるCLに応答して、心臓情報信号に関連付けられる拍動を低信頼性の拍動として分類させるように提供することができる。
【0174】
命令は、計算デバイスに、拍動形状、拍動極性、および一周する回転/半径方向発散の少なくとも1つを使用して、波経路ベクトルを修正させるように提供することができる。
【0175】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して許容窓を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは、APD、CV、および線維角の少なくとも1つを使用して許容窓を決定する。
【0176】
命令は、計算デバイスに、エキスパートシステムを使用して活性化開始を決定させるように提供することができ、エキスパートシステムは波形を備える。
【0177】
命令は、計算デバイスに、移動平均と位相同期の少なくとも一方を使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0178】
命令は、計算デバイスに、波経路ベクトル、許容窓、移動平均、および位相同期のうちの少なくとも2つを使用して、低信頼性の信号に関連付けられる活性化開始を決定させるように提供することができる。
【0179】
本発明の一態様では、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成するためのシステムにおいて、
計算デバイスと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、
全拍動の少なくとも所定のパーセンテージの判別可能な拍動を含み、各判別可能な拍動が識別可能な活性化開始を有する高信頼性チャネルと、第1の数の判別可能な拍動および第2の数の判別不能な拍動を含む低信頼性チャネルとを分類させ、ここで、各判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、第1の数の判別可能な拍動が所定のパーセンテージ未満であり、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルでの複数の判別可能な拍動を識別させ、高信頼性チャネルでの判別可能な拍動が、低信頼性チャネルでの判別不能な拍動に対応し、
低信頼性チャネルでの判別不能な拍動を通る、隣接するチャネルでの識別された判別可能な拍動の少なくとも2つの活性化開始間のベクトルを計算させ、
計算されたベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義させ、定義された時間インターバルは、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルでの前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択させる
システムが提供される。
【0180】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0181】
命令は、計算デバイスに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルでの判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、ここで、第2の時間インターバルが、低信頼性チャネルでのそれぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0182】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での活性化時点を決定するためのシステムにおいて、
計算デバイスと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、
低信頼性チャネルに隣接する高信頼性チャネルの信号での少なくとも2つの判別可能な拍動を識別させ、ここで、判別可能な拍動が、低信頼性チャネルの信号での判別不能な拍動に対応し、判別不能な拍動が、活性化開始の候補に関連付けられる複数の偏向および休止期間を有し、
判別不能な拍動を通る、判別可能な拍動の活性化開始間のベクトルを計算させ、
計算されたベクトルが判別不能な拍動を横切る領域付近で、判別不能な拍動に関連付けられる時間インターバルを定義させ、ここで、定義された時間インターバルが、選択または決定された活性化開始を有する低信頼性チャネルの信号での前の拍動に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ早く活性化することができるかを示し、少なくとも1つの所定の特性に基づいて、判別不能な拍動がどれだけ遅く収束することができるかを示し、
判別不能な拍動に関する計算されたベクトルに最も近い定義された時間インターバル中の活性化開始の候補を選択させる
システムが提供される。
【0183】
活性化開始の候補は、定義された時間インターバル中の偏向または休止期間に関連付けて選択することができる。
【0184】
命令は、計算デバイスに、
判別不能な拍動の前に生じる、低信頼性チャネルの信号での判別可能な拍動間の第2の時間インターバルを決定させ、ここで、インターバルは、それぞれの判別可能な拍動の第1の活性化開始から第2の活性化開始まで及び、
第1の活性化開始が前の拍動の活性化開始に近似するように信号内で第2の時間インターバルを広げさせ、
選択された活性化開始を第2の活性化開始と調和させて、調和された活性化開始を生成させ、
判別不能な拍動に関して、選択された活性化開始を調和された活性化開始に更新させる
ように提供することができる。
【0185】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定する方法において、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信するステップと、
計算デバイスによって、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定するステップと
を含む方法が提供される。
【0186】
本発明の一態様では、命令を備えるコンピュータ可読媒体において、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、複雑な律動障害での判別不能な拍動の活性化時間を決定させ、決定が、
複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
計算デバイスによって、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定する
ことによって行われるコンピュータ可読媒体が提供される。
【0187】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定するシステムにおいて、
少なくとも1つの計算デバイスを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定する
システムが提供される。
【0188】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定するシステムにおいて、
少なくとも1つの記憶デバイスと、
少なくとも1つの記憶デバイスに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定する
システムが提供される。
【0189】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定するシステムにおいて、
複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能な少なくとも1つの計算デバイスとを含み、
少なくとも1つの計算デバイスが、複雑な律動障害中に複数のセンサから心臓情報信号を受信し、
少なくとも1つの計算デバイスが、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定する
システムが提供される。
【0190】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定するためのアセンブリへのシステムにおいて、
複雑な律動障害中に心臓信号を提供するように適合された複数のセンサを備えるカテーテルと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定することによって、複雑な律動障害での判別不能な拍動の活性化開始を決定させる
システムが提供される。
【0191】
本発明の一態様では、複雑な律動障害での判別可能でない拍動の活性化時点を決定するシステムへのシステムにおいて、
計算デバイスと、
センサに作動的に結合可能であるように適合されたコンピュータ可読媒体とを含み、コンピュータ可読媒体が命令を備え、命令が、計算デバイスによって実行されるときに、計算デバイスに、波経路ベクトルと許容窓の少なくとも一方を使用して、判別不能な拍動に関連付けられる活性化開始を決定することによって、複雑な律動障害での判別不能な拍動の活性化開始を決定させる
システムが提供される。
【0192】
前述の構成要素、操作、ステップ、または実施形態の任意のものは、開示の具体的な順序には限定されず、任意の組合せで使用することができることを理解すべきである。
【0193】
図面は、本明細書の一部を成し、様々な形態で具現化することができる本発明に対する例示的な実施形態を含む。いくつかの例では、本発明を理解しやすいように、本発明の様々な態様を誇張または拡大して示すことがあることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0194】
図1図1は、センサ、アブレーションカテーテル、および本発明に従って心臓からの信号を処理してそれらを順序付けする本発明による電子処理構成要素の使用を示す心臓の図である。
図2図2は、心臓内腔の広い領域にわたって生体信号を低分解能で検出し、次いでより高い分解能でより狭い領域にわたって生体信号を検出する本発明のセンサ装置設計を示す図である。
図3図3は、心臓内腔の広い領域にわたって生体信号を検出し、次いでより高い分解能でより狭い領域にわたって生体信号を検出する本発明の別のセンサ装置設計を示す図である。
図4図4は、心臓内腔の広い領域にわたって生体信号を検出し、次いでより高い分解能でより狭い領域にわたって生体信号を検出する本発明の別のセンサ装置設計を示す図である。
図5図5は、本発明によって分析すべき心臓からのいくつかの信号タイプを示し、活性化開始、活性化終了、および心拡張インターバルを含むいくつかの選択された用語を定義する図である。
図6図6は、本発明に従って生物学的律動障害に関する原因を識別して位置特定するための複数の位置での信号の分析を示す流れ図である。
図7図7は、いくつかの場合における生理学的パターンの挿入を伴う、ヒトの信号に関するレート−挙動(回復)曲線の計算を示す本発明の一実施形態を示す図である。
図8図8は、ペーシングされた律動とAFとの間で測定したときに、ヒトの単相活動電位期間のレート−応答(回復)が異なることがあることを示す図である。
図9図9は、位相の直接の割当てを示す図である。
図10図10は、感知された信号と、データベース内に記憶されているデータとを使用して確率マップを生成し、これを使用して、生物学的律動障害に関する原因を識別および局所化するための明瞭性を改良することができる様子を示す、一実施形態の流れ図である。
図11図11は、47才の男性における本発明の使用の一例である。療法を行うために来院した心室細動を起こしている患者の左心房および右心房および冠状静脈洞の内部からの1組の信号(電位図)が示される。
図12図12は、電気ロータを識別し、それを右心房に位置特定した、本発明の方法およびシステムを使用した結果を示す図である。活性化トレールが、コア領域の周りで回転するものとして見られる。また、コア領域が、この患者からの心房形状内で右心房の側壁に暗色の点として示されている。
図13図13は、図12で識別されたコア領域での6分未満の直接のアブレーション中に、AFが遅くなって収束し、正常な律動(正弦波の律動)となり、それにより、AFの原因が実際に位置特定されて首尾良く治療されたことを示す図である。
図14図14は、AFが収束した後に、心房を非常に高速(260回の拍動/分を超える速度に相当するサイクル長さ230ms)でペーシングさせてもAFを再開することができなかったことを示す図である。より速いレートのペーシングは、ここではブロックされた(心房を刺激しなかった)。
図15図15は、本発明を用いて検出されたヒトのAFの局所化された原因の、他の患者における例を示す図である。2名の患者において、電気ロータが左心房に示される。本発明者らの知る限りでは、これらは、ヒトのAFでの電気ロータの存在を実際に実証した最初の例である。
図16図16は、56才の患者におけるAFの局所化された限局性拍動原因の別の例を示す図である。この図は、左心房での限局性拍動原因を示し、活性化トレールが、そこから放射状に発散する活性化を示す。この位置でのアブレーションも、AFを急激に収束させた。
図17A図17Aは、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成する方法を示す。
図17B図17Bは、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成する方法を示す。
図17C図17Cは、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられる心臓信号を再構成する方法を示す。
図18図18は、検出された活性化開始を確認するために、一連の再構成された活動電位、および再構成された活動電位の失敗を示す図である。
図19図19Aは、複雑な律動障害(心房細動)中に患者の心臓から心臓(電気的)活動を受信するセンサから得られる複数の時間変動信号を示す。複数の偏向が多くの信号に存在し、同じセンサ位置でさえ異なる信号の特徴が記され、各信号開始の特定を困難にする。図19Bは、図19Aに示される窓内での電気的活動の部分のみを示す図である。図19Cは、信号がレート調節された活動電位期間(APD)内にあり、したがってアーチファクトとみなされるのでその信号検出が除外される信号の拡大図である。図19Dは、患者の心房での格子を提供する心臓センサ位置または電極の2次元表現である。
図20図20Aは、図19Aおよび図19Cに示される時間変動心臓信号での拍動を検出し、活性化開始を決定し、雑音を無視するための様々な方法の例を示す図である。図20Bは、低信頼性チャネルからの信号を示す図である。図20Cは、個々の拍動信号の形状が拍動ごとに大きく異なり、したがって活性化開始の決定に非常に難しい、複雑な低信頼性のチャネルからの信号を示す図である。
図21図21Aは、ベクトルを使用してクラスBの拍動に関する活性化開始を決定する方法を定義するために、図19BAに示されるものに対する追加の詳細を与える図である。図21Bは、ベクトルを使用してクラスBの拍動に関する活性化開始を決定する方法を定義するために、図19Dに示されるものに対する追加の詳細を与える図である。
図22図22Aは、本明細書で説明する方法およびシステムによる、選択された活性化開始からの細動時における再構成された波経路の表示を示す図である。図22Bは、本明細書で説明する方法およびシステムによる、選択された活性化開始からの細動時における再構成された波経路の表示を示す図である。図22Cは、本明細書で説明する方法およびシステムによる、選択された活性化開始からの細動時における再構成された波経路の表示を示す図である。
図23図23Aは、心房表面上に重畳された点または電極位置として示されるセンサのマトリックスの2次元表現を示す図である。図23Bは、図23Aに示される心臓電極またはセンサのうちの9個から得られる時間変動心臓信号を示す図である。図23Cは、本明細書で述べるシステムおよび方法に従って図23Bに示される生の信号それぞれでの拍動に関する活性化開始にタグを付けた結果を示す図である。図23Dは、図19Aで決定された活性化開始から始まり、その後、指定された時間または減衰の間にわたる活動電位期間(APD)の再構成を示す図である。
図24図24Aは、当技術分野で知られている従来の方法を使用して図23Bで示される生の信号から得られる例示的な表示を示す図である。図24Bは、図23Cでの活性化開始のタグ付けから導出される例示的な表示を示す図であり、ここではロータが示されている。図24Cは、図23Cで決定されたタグ付けされた活性化時点と、図23Dで決定された再構成されたAPDとを使用して、脱分極線の交点を定義する表示を示す図である。この交点は、ロータのコアであり、そこに、律動障害を治療するために療法を送達することができる。
図25図25は、開示する実施形態によるコンピュータシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0195】
定義
本発明においては、以下の定義を適用するものとする。
【0196】
「検出/診断」:律動障害の「検出」と「診断」という用語は、本出願では交換可能に使用する。
【0197】
「活性化時点」は、所与の心臓信号に関する活性化開始の時点を意味する。
【0198】
「活性化期間」は、所与の心拍の信号に関する活性化開始の時点と活性化終了の時点の間の時間間隔および信号波形を意味する。心拡張インターバルは、前の拍動の活性化終了から現在の拍動の活性化開始までの時間間隔である(図3)。
【0199】
「活性化トレール」は、判別可能なシグネチャパターンを生成するためにセンサ位置での活性化時間の開始を順序付けすることを意味し、そのようなシグネチャパターンとしては、例えば、限定はせずに、ロータを示唆するコア領域の周りでの回転パターン、限局性拍動原因を示唆するコア領域から半径方向に発散するパターン、またはさらなる信号サンプリングおよび上記の分析ステップの反復を必要とする散逸パターンが挙げられる。
【0200】
「識別および位置特定」は、心律動障害の局所化または散逸された原因の存在を判別し、センサ位置に対して、または心臓内の既知の解剖学的位置に対して前記原因を位置特定するプロセスを意味する。
【0201】
「心律動障害」は、多くの場合には治療が必要となる異常な律動を意味する。そのような律動としては、限定はしないが、正常な洞房結節の高速であり異常な活性化(不適切洞性頻拍または洞房結節リエントリ)、心房頻拍(AT)、上室頻拍(SVT)、心房粗動(AFL)、心房性期外収縮/拍動(PAC)、および心房細動(AF)の複雑な律動、ならびにいくつかの形態の異型の心房粗動など、心臓の上室(心房)の高速の律動が挙げられる。また、高速の律動は、心臓の下室(心室)内で生じることもあり、そのような律動としては、心室頻拍(VT)、心室細動(VF)、トルサードドポアン、および心室性期外収縮/拍動(PVC)が挙げられる。また、心律動障害は遅いこともあり、そのような律動障害としては、洞性徐脈、異所性の心室性徐脈、接合部徐脈、房室ブロック、および心室固有調律が挙げられる。
【0202】
本出願では「生物学的律動障害または心律動障害の根源」と交換可能に使用する「生物学的律動障害または心律動障害の原因」は、限定はしないが、ロータを示唆するコア領域の周りでの活性化シーケンスの回転パターン、限局性拍動原因を示唆するコア領域から半径方向に発散するパターン、または散逸パターンを表す。本発明では、散逸性の原因が所見されると、信号サンプリングがさらなる複数の位置に拡張され、本発明の検出および分析ステップが繰り返される。これらの原因は、心律動障害の永続化に関与している。
【0203】
「電極」と交換可能に使用する「センサ」は、心臓からの信号を検出するため、または心臓に信号を送信するための装置を表す。
【0204】
本発明の発見の以前には、ヒトの生物学的律動障害、特に心律動障害の原因は特定されていなかった。本発明は、ヒトの生物学的障害を持続する、永続化する、または「駆り立てる」原因を、正確に最小侵襲で検出し、診断し、その後、効果的に治療する方法を述べた知られている最初の事例である。この方法により、医師は、これらの根源に狙いを定めて根源を修正または解消して、障害をなくすことができるようになる。1つの好ましい実施形態は、心律動障害に対する最小侵襲性処置に関するものであるが、本発明は外科的療法に適用することもでき、また、脳などの臓器、中枢神経系(癲癇や発作の原因を位置特定することがある)、末梢神経系(腫瘍を検出することがある)、骨格筋、および胃腸管、膀胱、子宮などの平滑筋における電気パルス発生または伝播の障害に対して適用することもできる。
【0205】
本発明の一実施形態によれば、様々な空間分解能および視野で、したがって感知チャネルの数を変えるための装置を用いて、ヒトの心臓などヒトの臓器内の複数の位置から信号をサンプリングするための装置、例えば電極カテーテルなどのセンサデバイスが開示される。
【0206】
本発明の一実施形態によれば、AF、VF、および多形性VTなど複雑な律動を含めた心律動に関する電気ロータ、限局性拍動、および他の局所化された原因を識別して局所化するための方法が開示される。
【0207】
本発明の実施形態は、活性化トレールを生成するための活性化シーケンスの順序付けなどのプロセスおよびソフトウェア方法、ヒルベルト変換などのプロセス、他の位相遅延法、空間コヒーレンス解析、および他の方法を使用することができる。
【0208】
本発明の一実施形態では、センサから収集されて分析されるデータは、自動的に更新されるデータベースにデータとして記憶される。このデータベースは、医師が局所化された原因の診断/検出を行うのを補助するため、または律動障害の原因のパターンを分類するために使用される。このデータベースは、特定の特徴を有する患者における原因の確率分布マップの形態を取ることができる。
【0209】
本発明の別の実施形態によれば、医師が治療を行うのを補助することができる形式で生物学的律動に関する原因を表示するための装置が提供される。例えば、視覚表示画面を処理装置に接続することができ、活性化トレールの閲覧を可能にし、また、ロータのコア、限局性の根源、または障害の他の原因の視覚的な位置特定を可能にする。また、音声形式を、単独で、または視覚形式と組み合わせて使用することもできる。例えば、コアを視覚的に識別することができるようにする根源の視覚的な描写に加えて、またはその代わりに、障害の位置および原因に関して、根源およびそのコアの座標を音声表示によって使用者に提供することができる。視覚的な描写が特に望ましい。なぜなら、視覚的な描写は、術者に原因の明瞭な表現を提供し、また原因のコアを識別するための基準を提供し、これが治療の選択を大幅に容易にするからである。例えば、実際のロータまたは限局性拍動の視覚的表現により、術者は、アブレーションカテーテルまたは他の治療をどこに向けるかを正確に決定することができるようになる。
【0210】
本発明の別の実施形態によれば、障害の原因が識別されると、律動障害を治療または解消するために、識別および局所化された根源の部位を修正または破壊するための治療デバイスまたは方法の使用を採用することができる。治療デバイスおよび方法の非限定的な例としては、アブレーションカテーテルなどによる破壊エネルギーの使用(アブレーション)、外科的アブレーション法、外科的切除、または埋め込んだリードや他の物理的なデバイスなど心臓内でのデバイスの使用、刺激エネルギー(ペーシング)、薬理剤の直接の送達、細胞療法、または他の介入技法が挙げられる。一実施形態では、身体、特に心臓からの信号を感知することができるカテーテルが、アブレーションエネルギー、刺激エネルギー、薬物療法、幹細胞などの細胞療法、遺伝子療法、または他の治療手段を送達することができる機能など、治療手段を含むこともできる。したがって、そのようなカテーテルは、障害の検出と治療どちらにも採用することができる。
【0211】
本発明は、複雑な心律動障害の検出、診断、および治療に特に適している。そのような心律動障害は、例えば、VF、多形性VT、トルサードドポアン、およびAFであり、局所化された原因が正確に識別されて位置を示されると、局所化された原因に対する正確な、狙いを定めたアブレーションを実施することができる。上で論じたように、原因の識別および物理的な位置特定は以前は行うことができず、したがって、熟練した術者にとってさえ、治療を成功させることは非常に難しく、実質的に改善または解消できることははるかに少なかった。
【0212】
複雑な心律動障害の原因を所見し、続いて治療することに加えて、本発明はまた、術者のために、分析を高速化および単純化することによって、ただ1つの部位から発散する「単純な」律動の診断および治療を補助するために適用することもできる。心律動障害に関して、そのような単純な障害としては、限局性心房頻拍、多源性心房頻拍(MAT)、洞房結節リエントリまたは不適切洞性頻拍、心室頻拍(VT)、心房性期外収縮(PAC)、および心室性期外収縮(PVC)が挙げられる。
【0213】
本発明には、感知デバイスおよび記録システムを含めた、データを収集するためのプロセスおよびシステムが含まれる。収集されたデータは、少なくとも、1つまたは複数の信号を送信した各センサの位置と、各活性化信号または活性化期間が生じた開始時点とを含む。処理装置は、この情報を受信し、活性化開始時点を逐次に順序付けする。この計算の結果により、活性化トレールが生成され、これは、障害に関するシグネチャパターンを生成し、障害に対する原因の位置とタイプ両方を示す。すなわち、ロータであるか、限局性の根源であるか、または散逸パターンである(すなわち局所化された根源がなく、したがって心臓の別の領域または他の身体領域からさらなるデータを収集する必要がある)かを示す。このようにして順序付けを成されたデータは、活性化トレールを生成し、これは、視覚ディスプレイ上に視覚的に表示することができ、ロータ根源の場合にはロータの実際の回転パターンを示し、それによりロータのコアが視覚的に明らかになり、容易に識別し、したがって治療することができる。限局性拍動など半径方向に発散する根源の描写にも同じことが当てはまる。各センサにおける活性化開始時点の逐次の順序付けは、限局性律動障害の位置特定を可能にし、それにより、視覚ディスプレイ上で限局性コアを容易に位置特定して、狙いを定めた正確な治療を行うことができる。望ましくは、律動の根源または原因はある期間にわたって表示されて、術者が原因の点または領域を十分良く観察できるようにし、また原因の位置での適切な治療に関する快適な評価を行うことができるようにする。一実施形態では、データ、および/または処理されたデータの視覚表示(すなわち活性化トレールの「動画」)が、律動障害の原因のシグネチャパターンを明らかにする。そのような記憶された情報は、術者が以前のパターンを調べることができるようにし、同様の原因の識別、局所化、および治療を改善する助けとなる。いくつかの例では、そのような記憶された情報は、測定されたリアルタイムデータの外挿を可能にして予測モデルを提供するか、またはいくつかの測定されたパターンを、同様の既知のパターンを用いて明瞭にする。
【0214】
本発明のさらなる実施形態は、原因が存在する組織を大抵は修正または破壊することによってそのような原因の治療を行うためのプロセスおよびシステムを提供する。第6に、1つの好ましい実施形態は、本発明を、患者を治療する処置中に直接使用するのではなく、「オフライン」の非リアルタイム検討モードで使用することができるようにする。
【0215】
本発明のプロセスおよびシステムを採用して、発作もしくは癲癇または限局性腫瘍(悪性または良性)を識別して治療できるように侵襲性療法(手術)または外部ビーム照射をガイドするために、脳波図または他の指標を使用して脳または中枢神経系での異常な電気パルス発生または伝播に関する根源を局所化する(すなわち原因の物理的な位置を見出す)ことができる。本発明はまた、横紋筋(骨格筋の損傷など)、消化管系(食道痙攣など)、泌尿生殖器系、および呼吸器系での異常パルス伝播に関する根源を識別するために使用することもできる。本発明はまた、任意の身体系における腫瘍(悪性または良性)を検出するために使用することもできる。本発明はまた、レーダーまたはソナーなどの方法と併用して、地震事象の根源を位置特定する、またはエネルギー源を位置特定するなど、医学以外の用途もある。
【0216】
本発明は、そのプロセス、およびプロセスを実施するためのシステムに関していくつかの態様を有する。例として、限定はしないが、本発明の一態様では、律動障害時に、前記感知の明瞭性を最適にするためにセンサの間隔を変えて、臓器内の複数の位置から信号が検出される。また、特に望ましい実施形態は、律動障害中に、心臓または他の身体部分からのこれらの信号を記録して、データベースに記憶する。特定の信号に関連付けられた各センサの位置と、各センサでの活性化開始時点とが、処理装置に伝送されて、逐次の順序付けを含めた分析が行われ、障害の原因および体内でのその具体的な位置を識別する活性化トレールを生成する。手動または自動で更新することができる原因のデータベースを作成することにより、障害の原因の識別および局所化を補助するためにデータベースにアクセスすることができるようになる。これは、現在の患者でのデータ収集の質が限られているときに使用され、ある患者でのパターンを、その患者に関して以前に記録された律動と比較して、律動が同じであるか異なるかを判断する。あるいは、ある患者でのパターンを、同様の臨床的特徴を有する者など別の患者からのパターンと比較する。以前の症例からの以前に記憶されたデータを使用して、現在の症例での律動障害に関する原因の識別、局所化、および表示を補助することができる。
【0217】
障害の根源を視覚的に表示することは、術者にとって非常に有用である。なぜなら、これは、原因の存在および位置に対する視覚的なガイドとして働き、律動障害を改善または解消するために、その後の狙いを定めた正確な治療を可能にするからである。
【0218】
本発明の他の態様では、別の症例からの以前に記憶されたデータを使用して、現在の症例での律動障害に関する原因を識別、局所化、および表示することができる。次いで、これを使用して、将来の処置での本発明の使用を計画することができる。
【0219】
有用な構成要素、モジュール、およびデバイスの説明
図1は、本発明のプロセスおよびシステムで使用することができる様々な有用な構成要素(モジュール)の概略図を示す。モジュールは、互いに別個であり、それらの機能を提供するために協働してインターフェースすることができる。あるいは、それらの1つまたは複数が互いに一体化されて処理装置内に含まれていてもよく、それによりシステムは、あまり分かれていないハードウェアユニットを有する。図1は、最小侵襲性の経皮的処置中、または他の処置中、例えば体表面ECGの使用、心磁図の使用、あるいは超音波、電磁放射、音波、マイクロ波、もしくは電気インピーダンス変化からの心エコーおよび/またはドップラー測定の使用中に障害の原因を局所化できるようにする一実施形態を示す。
【0220】
図1において、心臓10内での電気的事象が、感知電極を用いて記録される。これらの電極は、図2図4に例示されるカスタム設計の記録カテーテルを含めた、心臓の内腔または脈管構造の内部に配置されたカテーテル20でよい。また、電極は、埋込型ペースメーカーもしくは電気除細動機−細動除去器からのリード線の延長部でよく、典型的には大静脈20〜21もしくは冠状静脈洞22を通って到達する単相活動電位もしくは他の信号を記録するために使用されるカテーテルでもよい。したがって、本発明のプロセスおよびシステムは、活性化時点およびそれらの発生位置を正確に伝送することができる体内または体外で使用される任意のカテーテルまたは感知デバイスを採用することができるので、本発明において特に有用ではあるが図2図4の特殊化されたカテーテルを採用する必要は必ずしもない。
【0221】
電極23は、冠状静脈洞内の電極21によってアクセスされた心臓の心外膜または心膜の表面から、心膜空間または他の経路内の電極23を介して記録することができる。電極は、左心房および左心室内に位置することがある心臓15を支配する神経の近位に位置させることができる。電極は、コンピュータ化されたマッピングシステムからの仮想(計算された)電極、ルーチンもしくは高分解能ECGマッピング電極30、皮下に埋め込まれた電極もしくは皮膚上の電極、または心臓もしくは身体に直接接触することなく信号を非侵襲性で検出するための方法における電極でよい。また、電極情報は、データベース160内に記憶されている電位図から導出することもできる。
【0222】
心臓の近くに配置された電極25を使用して、律動障害に関する原因の近くにある、または原因の位置にある領域を修正または破壊することができる。電極がアブレーションカテーテルである場合、エネルギー発生器60にインターフェースする。他の電極は、制御装置40およびペーシングモジュール50とインターフェースすることがあり、すべての電極が望ましくはプロセス制御装置70と連絡する。アブレーションまたはペーシングは、心臓の多くの位置にある心臓15を支配する神経に向けることができる。内部アブレーション電極を外部アブレーションシステムで置き換えることもでき、そのようなシステムは、例えば、手術中の外部プローブ、または癌療法に関しては外部集光照射または光子ビームにおけるものである。さらに、根源の修正、すなわち障害の原因の治療は、適切な薬理組成物、遺伝子療法、細胞療法を送達することによって、または(手術で、もしくは特殊なデバイスを使用して)組織を切除することによって実現することができる。
【0223】
プロセス制御装置70は、様々な構成要素またはモジュールを含むことがある。1つのそのような構成要素またはモジュールとしてサンプリングモジュール80があり、このモジュール80は、律動障害中に信号を記録する、(ペーシングによって)律動障害時ではないときに様々なレートで記録する、および/または(ペーシングまたは他の方法によって)心律動障害をシミュレートするレート中に記録することができる。信号増幅器(図示せず)を使用して信号の明瞭性および強度を高めることができ、また、プロセス制御装置は、原因を識別して局所化できるように十分な数の位置から感知するために最小数の記録増幅器を知的に割り当てることもできる。例えば、システムは、128個のセンサ(例えば2つの市販の多極カテーテル)から記録するために50〜60個の物理的な増幅器チャネルのみを使用することがあり、これは、タイムスライシングによって「タイムシェア」ベースでそれら128個のセンサを記録することによって、または律動の原因に近い個々の/複数のセンサを活動化させ、他のものは非活動化させることによって行われる。この「切替え」機能は、切替え構成要素によって行うことができ、切替え構成要素は、センサデバイスを電子制御システムと接続し、1つまたは複数の他の構成要素で具現化することができる。切替えは、手動でも自動でもよく、例えば、心律動障害の原因の場所に基づいて決定される。モジュール90は、ペーシングモジュールとインターフェースして追加の心拍数を提供し、生体信号を感知する。これは、本明細書で説明する非リアルタイムモード(モード6)に関して特に有用である。なぜなら、特定の心律動障害が診断および治療されないときでさえ、様々な心拍数で心臓を検査することができるからである。
【0224】
本発明による方法およびシステムは、収集されたデータを、分析モジュールによって行うことができる分析法を使用して処理する。例えば、図1で、モジュール100は「分析エンジン」の部分Iである。分析エンジンのこの部分は、各感知位置で、時間にわたって生物学的信号に関する開始および終了を決定する。これは、時間にわたって律動中に一連の活性化時点(開始タイミング)およびリカバリ時点(終了タイミング)を生成することによって実施される(図6に示される)。信号は、典型的には、時間にわたる電圧として(すなわち、電圧−時間系列として)表される。活性化時点は、多くの方法で処理することができる。最も単純なものとしては、各位置での手動の割当てがある。最大の立ち上がりまたは立ち下がりを示すために2次導関数の最大値、最小値、またはゼロを定義するために1次導関数のゼロを使用することによって、自動化または計算された割当てを実現することができる。また、活性化開始時点および終了時点は、電圧−時間系列がしきい値を横切るときに割り当てることもできる。活性化時点を割り当てるための別の可能な方法は、パターンマッチングの使用である。例えば、活性化期間を表すために選択されるパターンを、時間にわたって複数の時点で信号に相関させることができる。前記相関値が高い時間は、前記テンプレートの再発生を示し、したがって活性化時点とみなされる。また、この分析に使用されるテンプレートは、データベース内に記憶されているデータから得ることもでき、またはその位置での律動に関するレート推定値から計算することもできる。信号品質が雑音の多いものであるとき、低品質であるとき、または異なる時間に複数の成分を示すとき、複数のセンサからの同時記録は、特にAFやVFなど複雑な律動に関して活性化を分析する助けとなることがある。同時記録から、好ましくは分析されるチャネルに近い位置で基準信号が選択される。基準チャネルでの信号を使用して、分析されるチャネルでの信号または信号成分を選択する。これは、パターンマッチングもしくは相関関数、ベクトル解析、または他の方法を使用して、時間にわたって同様のタイミングを保つ成分を使用することによって行うことができる。多くの方法が必要とされる場合、心房の既知の病態生理学的特徴による制約の下で、ヒューリスティック、パターン認識法、およびいわゆる「ファジー論理」手法を適用することができる。
【0225】
モジュール110は、分析エンジンの部分IIであり、これは、心律動障害に関する根源(原因)の存在および位置を実際に計算して局所化する、すなわち特定する。
【0226】
本発明のいくつかの実施形態は、「療法エンジン」を含み、これは、システムおよびプロセスで様々な機能を協働して行うように設計されたより多くのモジュールのうちの1つを含むことがある。例えば、図1でのモジュール120は、心臓内での律動障害に関する根源の位置および移動パターンの決定を担当することができる。モジュール120は、療法エンジンの第1のモジュールでよく、これを使用して、律動障害を治療または解消するために修正する必要がある位置および空間領域を計算する。治療は、本明細書で論じるようにアブレーションエネルギーまたは他の手段の送達によるものでよく、アブレーション中に根源が移動する場合には単純に1点または1領域ではない。モジュール130は、療法エンジンの別のモジュールを表し、望ましくは、エネルギー発生器と直接インターフェースして、根源である見込みが高い部位で組織をアブレート(破壊)、修正(アブレーションもしくはペーシング)、または刺激(ペーシング)する。あるいは、モジュール130を使用して、例えば薬理剤または遺伝子療法もしくは細胞療法を送達することによって、破壊エネルギーなしで組織を修正することができる。
【0227】
図1に示されるシステムのモジュール170は、医師が律動障害を治療または解消するのを補助するために、視覚的にまたは音声で原因の識別または位置を表示するためのツールを表す。例えば、このモジュールは表示画面を含むことがあり、これにより、画面上で、障害のロータ、限局性の原因、または他の原因の文字、画像、および/または音声による可視化を術者が明瞭に見ることが可能になる。いくつかの実施形態では、所見された障害の「動画」クリップが画面上に表示される。このクリップは、障害の実際の原因および位置のリアルタイム表現である。例えば、本発明のプロセスに従ってデータの分析が行われた後、すなわち、信号の位置およびそれらの活性化開始時点が逐次に順序付けされた後、この分析および計算の結果が、活性化トレールの形で画面上に示される。活性化トレールのパターンが、中心コアの周りで回転する一連の活性化を表す場合、ロータが所見されており、実際にそれが障害の原因である。同様に、活性化トレールのパターンが、中心コア領域から半径方向に発散する一連の活性化を表す場合、限局性拍動が所見されており、実際にそれが障害の原因である。したがって、本発明によるプロセスは、術者に対して、障害の原因の直接の所見、ならびに障害の存在、タイプ、および位置の簡便な視覚化を可能にする。判別可能なパターンが所見されない場合、すなわち活性化トレールが局所化されない場合、センサ位置を移動させることによって、および/または既に配置されているセンサをオンに切り替えることによって追加の信号サンプリングを行うことが適切であることがある。次いで、追加の信号サンプルを本発明に従って処理して、画面上に示すことができる。データの追加のサンプリングおよび処理によって原因が所見された場合、適切な治療に関する決定を下すことができる。散逸した活性化トレールおよびパターンが所見された場合、術者が十分であると感じる時間までさらなる追加のサンプリングを行うことが賢明であることがある。いくつかの例では、プロセスの結果が、ロータまたは半径方向に発散する病巣の存在および位置の所見となる。サンプリングおよび処理を繰り返した後でさえ散逸パターンが残る他の例では、原因としてロータまたは限局性拍動を除外するという診断を下すことができる。したがって、ロータまたは限局点(拍動)の所見は、本質的に検出と診断を同時に行い、一方、そのような所見がないときは、障害のこれらの原因の存在をいずれも除外することができるという診断が下される。
【0228】
モード1 信号サンプリング(図1、参照番号80)
信号サンプリングは、律動障害をアブレートまたは治療するための処置中、処置に関する計画前、または障害の検討後に、リアルタイムで行うことができる。上述したように、信号は、様々なセンサタイプを使用して臓器から1つまたは複数の位置で収集される。接触センサが、組織との接触をできるだけ良好に保つべきである。好ましいモードでは、電極は、複数の部位で同時に、またはほぼ同時に記録すべきである。AFなど最も速い心律動障害は、サイクル長>100msを有し、したがって、この時間よりも実質的に短い時間での信号獲得が「ほぼ同時」とみなされる。代替の動作モードは、一連の部位へのセンサの移動を可能にする。本発明は、任意の既存のセンサ装置と共に使用することもできる。
【0229】
信号サンプリングを得るために様々な市販の電極デバイスを使用することができるが、信号サンプリングのために特に有用なデバイス実施形態を図2図4に示す。これらの装置は複数のセンサを使用し、センサは、個別に活動化または非活動化することができ、または相互に移動させることができる。これは、センサ間隔を望みに応じて増減させることができるので、適応空間分解能を可能にする。間隔を広く空けられたセンサは、広い視野を提供して、臓器(例えば心臓の左心房)の大きな部分に関して律動を「調査」する。根源の位置に近付くと、望ましくはセンサ間隔を狭めるように構成が変えられて、狭い視野にわたるより高い空間分解能となる。狭い間隔のセンサ構成は、根源を治療するために、合焦した領域にエネルギーを印加するのに好ましい。
【0230】
適応空間分解能は、本発明の様々な実施形態の重要な利点である。これは、センサを物理的に移動させることによって実現することができる。図2は、信号を感知し、いくつかの例ではエネルギーまたは他の治療療法を送達するための複数の感知要素(電極またはプローブ)(要素205)を備える同心螺旋(要素200)を示す。螺旋は、カテーテルの一部がシャフト(要素215)の内部で展開しないままである(要素210)ときに広く間隔を空けられる。アセンブリを回転および前進させることで、より多くのプローブを内腔内に導入し、プローブの間隔を狭める。図3は、調節可能なファンカテーテルの形態での本発明によるセンサカテーテルの別の実施形態であり、複数の経線(要素230)がそれぞれ複数の感知要素(電極またはプローブ)(要素240)を含み、感知要素は、ここでも感知を行い、いくつかの例ではエネルギーまたは他の治療療法を送達する。図面に示されるように、シャフト軸(要素245)に沿ったねじりまたはひねり運動の組合せによって、経線は、間隔をより広くすることも(要素230)、間隔をより狭くすることも(要素235)でき、すなわち空間的に調節することができる。図4は、調節可能なコルク抜きのような設計形状での本発明によるセンサカテーテルの別の実施形態を示し、少数の螺旋経線(要素260)が、鋭利でない非外傷性端部(要素270)で終端する。図2および図3の設計構造と同様に、図4の経線も、複数の要素(電極またはプローブ)(要素265)を含むことがある。シャフト(要素280)を操作することによってこのコルク抜き形状をシース内で前進後退させて、コルク抜き形状のサイズおよび/またはプローブ間隔を増減させることができる。これらの設計は、AFなどの律動に関する根源であり得るより大きいまたはより小さい臓器(例えば様々な大きさの心房)、または肺静脈もしくは上大静脈を含めた副次構造に適合するように、より大きくまたはより小さくすることができる。物理的な移動は、医師によって手動で、または機械を使用することによって自動で実現することができる。本発明者らによって観察された心律動障害に関する根源の観察された特性に鑑みて、センサが、心臓の1つまたは複数の内腔それぞれの表面積の少なくとも約25%から感知することが望ましい。これらの設計は、例示にすぎず、本発明の実際の物理的な設計または用途を限定する意図はない。
【0231】
各センサに関する最適な接触は、適切性を様々な方法でプロセス制御装置70によって監視することができる。例えば、プロセス制御装置70は、感知された信号の振幅の安定性によって接触を検証することができる。あるいは、プロセス制御装置70は、電極20〜30を介して信号を放出し、誘発された応答の振幅を使用して接触を検証するように、ペーシングモジュール50を調整することができる。第3の代替形態として、処理モジュール70は、(例えばペーシングが可能でないAFにおいて)安定な組織インピーダンスを確認することによって接触を確かめることができる。他の代替形態として、軽度外傷パターンを検査するように設計された、または接触力を直接測定するように設計されたカテーテルを使用することができる。さらに、カテーテル操作は、ロボットによって半自動または自動で制御することができ、また手動で制御することもできる。
【0232】
適応空間分解能は、電子的に実現することもできる。この調節可能なセンサデバイスでのセンサが、個々のセンサを活動化または非活動化することができる電子制御システムに接続される。これは、医師が臓器の一領域のみに焦点を合わせることを望む場合などに手動で行うことができ、または、心律動の根源が存在する場所と判断された領域に焦点を合わせるように図1のプロセス制御装置によって自動的に行うことができる。電子的切替え装置が、センサと電子制御システムの接続の独立した切替えを制御して、実際の増幅器チャネルの数の使用を最大にする。これらの電子構成要素は、従来の(有線)電極、光ファイバ、エッチングウェハ回路設計、生物学センサ、化学センサ、薬理センサ、圧電センサ、赤外線センサ、患者に適合した光学撮像、オプトロード(optrodes)、遠隔センサ、および他の設計の様々な組合せによって具現化することができる。
【0233】
また、電子的な切替えは、タイムスライシングによって実現することもできる。多数の位置を感知することが必要となることがあるが、感知チャネルの数は制限することができる。信号タイムスライシングは、より少数のチャネルからより多数の感知チャネルを記録することができる。例えば、信号はしばしば(1kHzで)1msごとにサンプリングされるが、AFまたはVFの根源の分析には、しばしば10ミリ秒(ms)程度ごとに獲得されるデータで十分である。したがって、システムは、位置1で3ms感知し、位置2および位置3でそれぞれ3ms感知し、次いでセンサ1に戻って、10msの時点でサイクルを繰り返すことができる。このようにすると、30個のチャネルを使用して90箇所を感知することができる。ハードウェアまたはソフトウェアでの切替え時間に応じ、チャネル間の切替えの際の雑音因子を許容する任意の適切な構成を使用することができる。チャネルの実効数を増加させるために多くの他の方法を使用することができ、そのような方法としては、光ファイバまたは他のデバイスに沿って多重化信号を送信すること、またはランダムアクセスメモリに信号を記憶し、次いでオフライン分析を使用して順にそれぞれ増幅および分析することが挙げられる。
【0234】
また、異なる心臓面に接触して位置するセンサの組合せを使用して、感知される位置の数を増加させることもできる。例えば、心臓の心内膜(内側)表面上の電極を、心外膜(外側)表面上の電極、場合によっては心筋自体の中にある電極(埋込型の電極)によって補完して、全体の空間分解能を高めることができる。これは、壁が薄く、心外膜の電極と心内膜の電極が同じ領域を対象とすることができる心房で特に価値がある。心室、または壁が厚い心房領域では、異なる平面が異なる情報を提供することがある。
【0235】
特定の好ましい実施形態では、心律動障害中に臓器内で逐次に移動される1つまたは複数のセンサ(プローブ)を使用して感知を行うことができる。ただ1つのプローブが使用されるとき、各位置からの信号は、タイミング信号基準に対して位置合わせされる。この方法は、限局性心房頻拍または心房粗動といった「単純な」障害など、律動が心臓内で比較的規則的であるときに容易に適用することができる。しかしまた、この方法は、AFまたはVFといった複雑な律動など、律動が心臓内で不規則である場合に、適切なガイドとして使用することもできる。この方法は、より少数のセンサしか必要としないという利点を有し、根源が空間的にいくらかの安定性を示す場合に働く。例えば、AFは不規則であるが、局所化された根源では、例えば肺静脈の近くなど特定の位置において活性化が規則的であることがある。
【0236】
ここでは、複数の位置での逐次感知を使用するための1つの特に有用な実施形態を、2つのセンサを有する移動プローブ(臨床での4極カテーテルの2つのバイポールなど)に関して例示するが、利用可能である場合にはより多くのセンサを適用することもできる。各位置で、1つのセンサが基準とみなされ、連続するサイクル(拍動)に関する開始時点が基準点である。第2のセンサでの活性化時点の相違が、相対的なタイミングを示すために使用される。ここでプローブが移動され、それにより、1つのセンサが、前に感知された位置に重なる。次いで、第2のセンサが新たな位置を感知し、複数の拍動に関する相対的なタイミング開始をここで記録することができる。プロセスは、対象の領域全体にわたって繰り返される。このプロセスは、位置間の相対的なタイミングの安定性をもたらすので、各位置での観察された拍動間のタイミング変動を使用して、変動性を確率的に再導入することができる。
【0237】
代替の手法は、内腔内部のレートおよび/または組織化の勾配を使用するものであり、これが、(AFまたはVFを含む)その律動に関するデータベースからの記憶されているデータと比較される。連続する位置を感知した後、両方の内腔での活性化レートが、様々な根源(ロータまたは限局性拍動)およびその周囲の部位でのこの関係を記述する記憶されているパターンと比較される。誤差最小化手法(最小自乗誤差など)を使用して、根源の位置を推定することができる。推定は、記憶されているパターンの部分集合との類似性に基づいて、かつアルゴリズム、ヒューリスティック、ファジー論理、または他のパターン認識方式を使用して、適応的に洗練することができる。このプロセスは、繰り返し反復される。空間的に不変の根源に関して、2回目の反復およびその後の反復が、元の推定に精度を加え、推定された根源に最も近い位置に焦点を合わせることができる。
【0238】
治療療法の送達が、本明細書で以下に詳細に述べるセンサデバイスの別の特徴であることがある。
【0239】
モード2 心律動障害の原因の計算
分析における最初のステップは、図5の参照番号400〜460で示されるように、ルックアップテーブルを使用して信号タイプを決定することである。このステップは、信号が、心臓、脳、循環器系、胃腸管、泌尿生殖器系など、どこから生じているかを決定する。心臓の場合、信号は、表面ECG信号、心臓内信号、心エコー信号、または他の信号であることがある。心臓外である場合、信号は、活動電位(単相活動電位)、双極電位図、単極電位図などとしてさらに分類される。これらの信号の中には、高品質の情報(例えば心臓内での単相活動電位記録)を提供するものも、提供しないものもある。より低品質の信号は、根源の局所化を可能にするために、前処理、フィルタリング、平均化、その患者における様々な時点でのデータベース内に記憶されている信号との比較、および他の計算ステップを必要とする可能性がより高い。
【0240】
図6で、信号は、ステップ800〜840の間にパーズされて、(図5からの)ルックアップテーブルでそのタイプを識別する。これは、図5におけるルックアップテーブルに示される信号タイプに依存する活性化開始および終了の割当て、ならびに拍動間のインターバル(心拡張インターバル)を含む。ルックアップテーブルは、包括的な生体信号インベントリでよく、計算目的での、各成分の異なる生理学的な役割に関するデータを有する。成分は、レートによって異なることがあり、拍動ごとに変動することがある。各信号成分は、正常または異常な生理学的機能の異なる側面を反映することがあり、したがって、律動障害が生じることがある尤度を示す。例は、ルックアップテーブルの範囲を限定する意図はなく、ルックアップテーブルは、他の筋肉(例えば骨格筋、膀胱、および胃腸管)、脳、および神経系からの信号を含むこともある。
【0241】
分析における次のステップは、各感知位置ごとに、分析すべき生理学的信号を定義することである。この目的は、得られる信号が、各位置で心律動障害時に生じる実際の生理学的活性化およびリカバリを最も良く表すようにすることである。記録された信号が「クリーン」である(高い信号対雑音比を有する)とき、これは、生理学的信号である。信号が雑音を多く含むものである場合、生理学的信号を表出させるために、フィルタリング、雑音減少、および他の方式が必要とされることがある。前記雑音方式は、患者が数秒間息を止めている間に記録することを必要とすることがある。心房律動障害の分析に関しては、生理学的信号は、心室活性化の間(R−Rインターバル)に最も良く記録され、心臓拍動が低下される(R−Rインターバルが伸びる)場合には、遅い心室レートに対して薬剤を使用して、またはペースメーカーを備える患者でのペースメーカーレートを減少させることによって記録を容易にすることができる。
【0242】
図7のパネル600〜670は、雑音を多く含むデータまたは品質の低いデータによる制限を補償するための計算法を使用して生理学的信号を構成するための特に有用な実施形態を示す。まず、各信号タイプのレートに対する応答(パネル600、620、640に示される単相活動電位(MAP))が決定される。これは、律動障害時に、または律動障害でないときに(例えばペーシングによって。モード6参照)、様々なレートで信号を感知することによって行われる。レートに対する(MAPに関して示される)信号期間の応答がパネル610、630、650に示され、より高いレートでは(すなわち心拡張インターバルが短くなるときには)MAPが短くなることを示す。同じ組のレートに対する応答は、患者が心律動障害を起こしているときとそうでないときで異なることがあることに留意されたい。図8のパネル700〜740がこれを示す。パネル700における単一の追加の拍動の送達を用いたペーシングは、AFが始まるとすぐに、図6のパネル710で示される回復プロットをもたらす。しかし、数分後、回復曲線は、パネル720〜740に示されるように変化する。
【0243】
本発明で具現化される1つの手法は、各活性化時間の開始時点で生理学的パターンを挿入することによって、「ハイブリッド」信号を生成することである(パネル660〜670)。生理学的パターンは、記録された信号を時間にわたって平均化することによって(代数的に、メジアン拍動平均から、または他の方法で)、隣接する位置での信号を平均化することによって(空間的平均化)、様々な位置での単相活動電位から(パネル660〜670)、周波数もしくは時間周波数領域内で既存の単極もしくは双極信号をフィルタすることによって、またはデータベースからの記憶されているパターンを使用することによって(図1、160)得ることができる。記憶された信号が使用されるとき、これらの生理学的パターンの期間を含めた特性を、レート−応答(回復)挙動を使用してレートに関して調節することができる。記憶された信号は、この患者、同様の特徴を有する別の患者、または別の記憶された関係から得ることができる。これらのプロセスは、個々の活性化に、または信号全体に適用することができる。
【0244】
この方法は、時間にわたる各位置での活動の生理学的表現をもたらし、これは、最小侵襲性処置中に患者の拍動する心臓において得ることが普通は難しいことがある。この方法には、心律動障害以外の用途もある。例えば、前記生理学的パターンは、細胞イオン機能のモデルでよい。これは、各センサでのこれらのイオン電流の働きを、各観察される活性化にタイミングを合わされたモデル化されたセルにすることができるようにし、この患者の拍動する心臓内でのカルシウム流、カリウムの流れ、または他のプロセスのダイナミクスを研究できるようにする。さらなる例として、この生理学的パターンは、薬理学的配位子のモデルでよく、特定の薬理剤に対する拍動する心臓の挙動に関する研究を可能にする。胃腸管では、細胞ホルモン解放モデルを、蠕動する「拍動」それぞれに関して研究することができる。脳では、(頭皮上脳波によって非侵襲性での、または手術として侵襲性での)離散的な脳波に関する神経伝達物質またはエンドルフィン放出の既知の動力学が、様々な症状を理解して治療する助けとなることがある。例えば、本発明を使用する癲癇の症状の治療が、本発明の一実施形態である。また、本発明は、拍動する心臓の挙動または別の身体部分の律動を、身体での薬剤の解放、結合能力もしくはレート、または他の作用と相関させることによって、身体に対する薬理剤または生体有効剤の効果を決定するための方法も含む。
【0245】
次いで、複数の位置で、生理学的信号の活性化のシーケンスから活性化トレールが決定される。この分析の最も単純な形態は、各位置での活性化を時間的に逐次に順序付けすることである。他の実施形態では、分析は、周波数領域法、時間領域法、または空間位相法を使用して、律動障害に関する原因を識別および位置特定することができる。周波数領域法は、ヒルベルト変換またはウェーブレット変換または位相遅延法を含む。空間位相法は、活性化トレールを定義するために、ある特定の位置で活性化を示す部位間の空間的な相関性を分析することを含む。
【0246】
位相空間法に関して、よく知られている技法は、あらゆる電極で、あらゆる時点で信号に位相φを割り当てる。ロータの先端の正確な位置での位相は定義されず、隣接する電極の位相の和が、2πの「位相跳躍(phase jump)」を生じる。したがって、ロータ位置は、位相特異点に対応する。数学的には、これらの位相特異点は、
として、閉曲線にわたる線積分を評価することによって見出すことができ、ここで、線積分は、位相特異点の周りを一周する経路lにわたって取られる。電極からの信号は、唯一の観察可能なものであるので、位相の決定は特別な注意を要する。本発明者らは、電極信号の品質に応じていくつかの異なる方法を採用する。
【0247】
最初の位相空間法は、電極からの信号が雑音を多く含む、および/または小さな振幅を有する場合に利用される。この場合、各電極に関する活性化時点が決定され、次いで、波面のダイナミクスの新規の分析が行われる。第1のステップとして、プローブおよびそれらの活性化時点の空間分解能は、表面にわたって生成される細かい規則的な格子を使用して活性化を補間する双線形補間方式を使用して高めることができる。活性化、リカバリ、および心拡張インターバル情報を含む高品質の生理学的信号では、これは、洗練された格子の各点に関する時間トレースV(t)を生じる。
【0248】
活動電位の形状は拍動間で安定していることがあるので、方法は、次に、膜電位Vから位相φへのマッピングを定義する。このマップは、位相変数の最大値と最小値が2π異なるように、各V値に一意のφ値を割り当てる。このマップの詳細な形態は任意であり、位相は、φ=2π(V−0.5)を使用して計算される。位相変数の対応する時間トレースは、図8(パネル710〜730)におけるような信号の構造とその位相を瞬時に生じる。
【0249】
位相マップが構成されると、方法は、各時間に関して、正方形を成す、格子間隔だけ離隔された細かい規則的な格子の4点すべてに関する位相の和を計算する(トポロジカルチャージ法)。ゼロでない結果は、位相特異点およびロータの存在を示す。分析は、波面の追跡によってさらに補助される。これらの波面の位置は、正の導関数dV/dtを用いて、Vがしきい値を横切る場所および時を決定することによって、規則的な細かい格子を使用して計算される。細かい規則的な格子のxおよびy方向に沿ってこの計算を行い、格子点の間の線形補間を使用することにより、波面上に位置する1組の点が得られる。
【0250】
次いで、これらの点をつなぐことによって波面が構成される。同様の分析が位相に関して行われ、ここでは等位相線が追跡される。次いで、各時点に関して、グレースケールまたはカラースケールを使用した膜電位の値、波面を表す線、同様の位相を表す線(等位相線)、および位相特異点を位置特定する記号を記す2次元の視覚的表現が構成される。この視覚的な補助は、術者が本発明によるプロセスおよびシステムの結果を解釈するのに非常に有益である。波面を表す線と等位相線の交点が位相特異点となることに留意されたい。位相特異点はコア領域を示し、したがってこれを使用してロータを局所化することができる。
【0251】
位相変換は、AFでの限局性拍動を、(典型的には局所化された領域から発散する遠心性の根源として)示すことができる。限局性拍動は、以下の3つの基準を満たす位置によって特徴付けられる。1)その活性化時点が、周囲の位置での活性化時点よりも早い。2)この領域が、以前に、特定の時間間隔にわたって(心拡張期に)不活性であった。3)活性化のその後の広がりが、コア領域から半径方向に発散する。これら3つの基準を認識して、本発明は、これらの根源を自動的に所見する。このアルゴリズムは、まず、4つの最も近い位置および4つの次に近い位置よりも先に活性化時点を示す位置を決定し、これらを、限局性の根源の候補としてマークする。次に、限局性の根源の候補を取り囲む位置での活性化時点を決定する。これらの位置の活性化時点がそれらの周囲の電極よりも早い場合、限局性の根源の候補が裏付けられ、それに従ってマークされる。これらの部位は、上述した本発明者らのプロット技法を使用してプロットされ、術者がこれらの根源を局所化して解釈するのを非常に良く補助する。
【0252】
あるいは、周波数領域法を使用することができる。心律動障害中の生理学的信号(これは、記録された信号でよく、またはフィルタリング、雑音減少、および上述した他のストラテジの後に導出された信号でよい)に対して、いくつかの方法を採用することができる。
【0253】
1つのそのような方法は、ヒルベルト変換である。ヒルベルト変換は、信号の負の周波数の位相をπ/2偏移し、正の周波数の位相を−π/2偏移する。この手法では、信号の位相φの決定は、電圧のヒルベルト変換に対して電圧をプロットすることによって実現される。特に有用な実施形態は、活性化時点での電圧(最大のdV/dt)をゼロに設定するためにデトレンドアルゴリズムを適用する。ヒルベルト変換を使用して、デトレンドされた信号の位相面を構成する。すべての位置でのヒルベルト変換が、生物学的表面にわたって生成される細かい規則的な格子にわたって補間される。次いで、位相が、電圧とそのヒルベルト変換の状態−位相プロットから計算される。ここでも、上述したトポロジカルチャージ技法を用いて位相の空間分布が分析されて、リエントリ性の波の先端などでの位相特異点(波面の端部)に関連付けられる位相特異点を位置特定する。上述したのと同じ技法を使用して活性化波面が構成され、それと同時にゼロ位相の等位相線も追跡される。ヒトの心房における本発明による方法の一例が、図12に要素1030および1040で示されており、これらは、周波数領域法を使用して計算された左心房でのロータを示す。
【0254】
別の有用な方法は、信号の位相を決定するために、時間遅延埋め込み技法を採用する。この技法は、一定の時間遅延τおよびオフセットVに関してV(t+r−V)とV(t)−Vの関係をプロットすることからなり、各時点および各位置に関して位相φの値が得られる。実際には、時間遅延およびオフセットは、術者が、τおよびVに関する様々な値を使用していくつかの位置に関するこれらのプロットを検査した後に決定する。最適な値は、交差する(位相に関する一意でない値をもたらす)ことがなく、原点の周りを一周する(最小位相と最大位相が2π異なることを保証する)軌跡をもたらす。信号と位相はどちらも、生物学的な表面にわたって生成される細かい規則的な格子にわたって補間される。次いで、得られた位相マップが位相特異点について検査され、上述したように波面が追跡される。
【0255】
信号の位相を決定するために使用されるさらに別の有用な方法は、ウェーブレット変換である。このウェーブレットの正確な形式は様々であり、一例としてHaarウェーブレットが挙げられる。ウェーブレット変換が各位置に関して計算される。ウェーブレットにより、多重周波数分解能で信号を見ることができるようになる。これは、特定の周波数(または周波数帯域)で、望ましくない雑音をフィルタできるようにする。この手法では、位相変換は、電圧の位相偏移ウェーブレット変換に対して電圧をプロットすることによって実現される。位相φが計算された後、前述したように、双線形補間によって格子を洗練し、位相特異点を所見し、波面を追跡する。
【0256】
他の情報、例えば、律動障害中の高速レートの部位の臓器内部における位置、あまり規則的でない部位によって取り囲まれる非常に規則的な部位の存在、変化する信号構成とは異なり、連続する信号に関して複数の拍動にわたって安定な構成(形状)の存在、特定の律動障害に関連付けられることが分かっている解剖学的特徴への近接性(例えば、AFにおいては肺静脈、VFにおいてはヒス−プルキンエ系(His−Purkinje system))、またはそれらの組合せも、根源を識別して位置特定する助けとなることがある。
【0257】
いくつかのタイプの活性化トレールが生じることがあり、律動障害に関する様々なタイプの原因に関して、対応する判別可能なシグネチャパターンを生成する。活性化のシーケンスが中心「コア」領域の周りで回転する活性化トレールを、ロータと呼ぶ。コア領域から半径方向に発散する活性化トレールを、限局性拍動(または反復的な限局性活性化もしくは拍動の部位)と呼ぶ。別の活性化トレールタイプは、局所化された根源が明確には識別されない散逸パターンである。特に有用な実施形態では、そのような場合、追加の位置で、または追加の時間間隔にわたって信号感知が繰り返される。心律動障害に関する原因の局所化は、コア領域の位置、およびこの領域からの追加の活性化に基づく。いくつかの実施形態は、コア領域を直接識別する。例えば、ヒルベルト変換および直接位相割当て法は、コア領域を、分析の実部と虚部が交わる部位として識別する。対照的に、本発明の直接逐次順序付け法は、コア領域を視覚的に、または分析的に示す。
【0258】
パネル1400〜1495によって表される図10は、律動障害の主要な原因である見込みが最も高い原因を最適に識別、位置特定、および選択するプロセスを説明する。1つの特に望ましい実施形態では、障害の根源に関する確率マップ1480が構成される。これは、他の感知位置と比較して各感知位置が律動障害の原因を含んでいる尤度を示す。より高い相対尤度が割り当てられるのは、より長い時間間隔にわたって(またはより多くの回転または拍動に関して)コア領域が持続する部位、活性化のレートがより速い部位、活性化のレートがより組織化されている部位、1:1で周囲組織を活性化し(すなわち電位図リンクがあり)、同位相でより大きな組織領域を活性化する(すなわち大きな空間定数を有する)部位、さらに、より少ない併発する根源が識別されるときには、ヒトのAFでの肺静脈など律動障害に関する高い尤度を有する既知の領域の近くにある根源、時間にわたってあまり移動しない根源、および限局性拍動タイプの根源に対するロータである。1つの特に有用な実施形態では、データベース内に記憶されている例と比較した後に確率が割り当てられる。比較は、段階的な多変数の比較の形態を取ることがある。限定された場合には、単一の電気ロータであって臓器全体を直接活性化する空間的に固定された根源が、定義によりその心律動障害の主要な原因である。
【0259】
活性化トレールに関する代用物も存在する。これらは、より少数の位置からのデータ、あまり長くないもしくはあまり詳細でない記録、または心臓内からではなくECGなど他のリソースからの情報を使用して、本発明によって提供される識別および局所化を近似するデータである。したがって、代用物は、活性化トレールを直接測定する分析に比べて少数のセンサ位置を使用して、活性化トレールの近似を可能にする。個別にまたは組み合わせて使用されるこれらの代用物、例えば、律動障害中の高速レートの部位、あまり規則的でない部位によって取り囲まれる非常に規則的な部位の存在、変化する信号構成とは異なり、連続する信号に関して複数の拍動にわたって安定な構成(形状)の存在、振幅が特に低い信号、非常に長い各活性化に関する非常に長い信号、特定の律動障害に関連付けられることが分かっている解剖学的特徴への近接性(例えば、AFにおいては肺静脈、VFにおいてはヒス−プルキンエ系(His−Purkinje system))、またはそれらの組合せも、根源を識別して位置特定する助けとなることがある。
【0260】
代用物はECGから検出することができ、したがって、これを使用して、患者における処置を計画する、または療法をガイドすることができる。規則性があり高いレートである領域に関するECGのベクトル解析は、特に、規則性およびレートがより低い領域によって取り囲まれている場合に、根源が位置する心臓内の位置を示す。
【0261】
図10のパネル1400〜1495は、根源を識別して位置特定するための手法を要約する。パネル1400〜1450は、原因を識別するために十分なセンサ分解能が存在するかどうか決定する。十分性に関する基準には、波面計算における不連続性がないこと、コア領域の位置での跳躍がないこと、および約1cmを超えるべきでない絶対センサ間隔が含まれる。これは、リエントリ波の最小円周が、ヒトの心房においては>2cmであり、ヒトの心室におけるよりも大きいという計算に基づく。次いで、パネル1460〜1490は、最適化された感知されたデータと記憶されているデータとの組合せを使用して根源を計算し、これが次いで処理される(パネル1495)。本発明は、フィルタされた臨床データもしくはフィルタされていない臨床データ、当該患者および他の患者を含むデータベースからのデータ、または分析すべき信号を表すための計算推定値、ならびに分析結果の広範な使用を含む。さらに、患者から獲得した既存のデータ、信号処理法、数値法、およびデータベースからの記憶されている信号のハイブリッド使用が、本発明によるプロセスおよびシステムの主要な利点である。これは特に、開心手術なしでは、ヒトの心房または心室からの高分解能の生理学的データを臨床での電気生理学的検査で得ることは不可能ではないにせよ非常に難しいことがあるからである。
【0262】
上記の手法はすべて、VFを含めた任意の複雑な律動に適用することができる。当然、これらの手法はまた、解剖学的な障害物を巡るリエントリ、または(心房粗動など)瘢痕組織に係留されたロータなど、「単純な律動」にも適用することができる。
【0263】
進歩性のあるこれらのプロセスは、非常に高速で動作されるソフトウェアで実装されることがあり、リアルタイム分析およびオフライン分析に適しており、埋込型のデバイスで見られる構成要素、ポータブル緊急機械、リストウォッチサイズのデバイスなど小型の構成要素、および電気生理学的実験で見られるより大型のコンピュータを使用する。
【0264】
モード3 データベースへの心律動の根源に関するデータの記憶
律動障害の根源に関するデータは、望ましくは、データベース160に記憶することができる。これは、様々な患者での根源を分類するため、単一の患者での根源の識別を補助するため、または患者が同じ根源または異なる根源で再び受診しているかどうか判断するために有用であることがある。したがって、データベース内のデータは上述した特徴を含み、そのような特徴には、併発する根源の数、レート、時間にわたるレートの変動性、期間、根源によって活性化が直接引き起こされる生物学的臓器のサイズ(空間定数)、位置、この位置が時間にわたって移動するかどうか、根源が検出された時点での心臓の複数の領域におけるレート(例えばAF中の左心房および右心房でのレート)、およびアブレーションに対する各根源の応答が含まれる。
【0265】
データベースに記憶すべき追加の情報は、性別(男性/女性)、年齢、体重、身長、真性糖尿病の有無、血圧、心房サイズ、心室サイズ、心房または心室瘢痕の領域、左心室駆出率からなる群からの1つまたは複数の臨床因子を含む。
【0266】
特に有用な実施形態では、AFの根源のデータベース160は、追加の症例からの新たな根源局所化に基づいて、連続的に更新される。これを使用して、既に記憶されているパターンに新規患者を合致させるソフトウェアエキスパートシステムによって、新規患者を検査する術者が根源を局所化するのを補助する。
【0267】
記憶すべき根源データは、上記の変数が合致する既存のデータとの整合性に関して分析される。データ完全性に関する厳格な基準に見合う生のデータのみが取り込まれ、他は拒絶される。データ完全性を保証した後、データがデータベースに追加されて、将来の患者のための局所化を改善する。
【0268】
本発明およびデータベースインターフェースは、現行のデータを記憶されているデータと比較するエキスパートシステムを含むことがある。最も近い合致に基づいて、本発明における論理は、追加の心律動の根源または追加の特徴を検査すべきであるか、およびそれらの根源または特徴が、記憶されている情報に基づいているかどうかを判断する。これは、様々な記憶されているパラメータに対する「適合度(goodness of fit)」を使用する。この機能が含まれるのは、実際には、感知位置の数が時間的な制約によって制限されるからであり、また、実際には、多くのセンサ位置が最適でないデータを提供することがあり、したがって実際の感知分解能を制限するからであり、さらにまた、多くの患者が同様の根源位置および特徴を示すことを本発明者が観察しているからである。
【0269】
データベースの更新は、上記の情報を含む、中央に配置されて機密保護されたデータベースから術者が定期的に利用可能である。患者の名前、地理的位置、検査日、またはHealth Information Portability Act(HIPAA;医療保険の携行性と責任に関する法律)によって禁止されている他の項目に関する情報は含まれない。このデータベースは遠隔位置で保守されるが、有線および無線通信、CD、DVD、およびソリッドステート記憶デバイスなど電子媒体を含む手段によって電子的に利用可能である。
【0270】
モード4 生物学的律動障害の根源の表示
本発明は、生物学的律動障害に関する根源の識別、位置、および上記の特徴を術者に通信するための方法および装置を含む。これは、典型的にはコンピュータモニタ上でのグラフィカル表示の形での視覚表示手段、または心臓の解剖学的形態に関係付けて根源を示すプリントアウト、または根源が存在する位置および/またはセンサ部位の基本的な文章での概要を含む。
【0271】
また、聴覚表示も使用することができ、これは、術者に、生物学的律動障害に関する根源の識別、位置、および上記の特徴を音声で知らせる。一実施形態では、これは、分析結果自体ではなく、分析の結論または要約を含む。
【0272】
モード5 生物学的律動障害の原因での療法
律動障害の原因を検出して診断するために使用される本発明のプロセスおよびシステムに加えて、本発明はまた、生物学的律動障害に関する根源を治療して、前記律動障害を修正、改善、または解消するためのデバイスおよび方法も含む。
【0273】
根源の治療は、無線周波、凍結エネルギー、マイクロ波、または他のエネルギー源を用いたアブレーションを含めた任意の有用な技法を採用することができる。また、修正は、(幹細胞などを用いる)細胞療法、遺伝子療法、薬理送達、心臓の内部または外部にあるデバイスによって送達されるイオン化もしくは非イオン化放射、または他の介入も含むことがある。
【0274】
治療は、原因を修正するために送達される。心房頻拍や心房粗動など単純な心律動障害では、原因を解消するためにエネルギーが直接印加される。AFなど複雑な律動障害では、エネルギーを印加して、根源をアブレート(破壊)する、根源と生存可能な心臓内腔の残りの部分との間の組織を破壊することによって根源を隔離する、または様々な根源間の相互作用を修正することができる。この後者の形態の治療は、非常に新規なものであり、非常に効果的であることが本発明者によって実験で示されている。修正は、確率的に行うことができる。
【0275】
特に望ましい実施形態では、療法は、心律動障害を治療するために原因を解消する狙いで、律動障害に関する識別または局所化された原因のコア領域を標的とすることができる。これは、前記障害に関する複数の原因を識別、位置特定、および治療するために逐次に適用することができる。
【0276】
あるいは、療法は、周囲の組織から根源を切り離す狙いで、根源に関するコア領域に隣接する位置を標的とすることができる。
【0277】
あるいは、療法は、決定的な治療がより容易に達成される組織に向けて根源を移動させる狙いで、根源に関するコア領域に隣接する位置を標的とすることができる。例えば、解剖学的構造、組織の厚さ、または他の要因によりアブレーションが困難な位置に根源がある場合、根源の片側でアブレーションを行うことで、比較的薄い組織または解剖学的要因によりアブレーションを比較的容易に行うことができる位置に根源を移動させることができる。
【0278】
あるいは、療法は、根源の移動を防止し、したがって根源を閉じ込める狙いで、根源に関するコア領域に隣接する位置を標的とすることができる。
【0279】
あるいは、療法は、根源が持続するのに利用可能な組織の質量を減少させて、それにより根源を収束させる狙いで、根源に関するコア領域に隣接する位置を標的とすることができる。
【0280】
治療は、心臓内のカテーテル(図1での要素25)、または本明細書で挙げる多電極カテーテルの1つに存在する電極(例えば図2図4参照)を介して送達される心外膜表面上でのアブレーションの形態を取ることができる。
【0281】
散逸した活性化トレールが観察されるときには、まず、識別が困難な根源が存在することがある位置が標的とされる。AFを起こしている患者では、そのような部位として、肺静脈および他の胸静脈および心耳が挙げられる。したがって、まず肺静脈の隔離が行われ、次いで、臨床的に疑わしい場合には追加の部位で療法が行われる。次いで、原因を識別して位置特定するために信号感知が繰り返される。
【0282】
好ましい特に望ましい実施形態では、マルチセンサカテーテル(図2図4)が、アブレーションの形での療法を送達することができるアセンブリを含む。この実施形態では、根源が存在する位置にあるセンサは、根源を修正または解消するためにアブレーションエネルギーを送達するように活動化される。
【0283】
このシステムは、空間的地点および固定位置に療法を送達することができる。このシステムでは、根源のコア領域の位置が、療法を通じて常に分析される。アブレーションエネルギーなどの療法は、根源の移動を制約するために様々な位置、場合によっては多数の位置に向けられる。例えとしては、根源を1箇所に留めるために、移動する根源の周りに、アブレートされた組織の「フェンス」を構成する。これは、前記アセンブリの前記極の複数のセンサに同時に療法送達(アブレーションなど)を行うことを必要とすることがある。このプロセスは、律動が収束するまで、または遠隔の根源が優勢となるまで続けられる。
【0284】
本発明は、心臓を直に露出させる手術室で外科的に行われる療法を対象とするのによく適している。これは、最小侵襲性手法または従来の開胸心臓露出によるものでよい。記録電極、ソック(sock)、プラーク(plaque)、または他の機器の選択は、外科医の自由裁量に委ねられ、療法の根源を変えない。
【0285】
あるいは、前記修正は、組織を刺激(ペーシング)することによって行うことができる。ペーシングに関して、プロセス制御装置70は、心臓内の電極20〜25、身体表面上の電極30、または例えば食道など他の場所にある電極150を使用して心臓を刺激するようにペーシングモジュール50を調整する。電極制御装置40は、ペーシング前、ペーシング中、およびペーシング後に、電極から信号を受信する。ペーシングは、心拍数を高め、追加の拍動を導入するために使用される。
【0286】
代替実施形態では、本発明は、根源を修正または解消するために心臓神経をアブレートまたは刺激することができる。すなわち、根源が心臓神経叢の位置にある場合、そのような位置のアブレーションまたはペーシングを使用して根源を修正することができる。
【0287】
根源の修正または解消後に異常な律動が収束した場合、律動を再開する試行を行うことができる。心律動障害の場合、これは、非常に高速のペーシング、イソプロテレノールの投与、または他の介入を含むことがある。次いで、本発明の適用全体が繰り返される。
【0288】
異常な律動がもはや開始されない場合、医師は、根源であり得る追加の領域を修正するかどうか自由裁量を下すことができる。この情報は、データベース内に記憶されているデータから直接利用可能であることがあり、同様の分類の患者と現在の患者を合致させる。
【0289】
モード6 非リアルタイム検討モード
1つの重要な動作モードでは、本発明は、非リアルタイムで、オフライン分析様式で使用することができる。この検討モードは、以前の電気生理学的検査などこの個人からの別の時点でのデータ、異なるデバイス(埋込型ペースメーカーまたは細動除去器など)からのデータ、さらには以前の失敗したアブレーションからのデータに適用することができる。これを使用して、以前の処置からの結果を検討することができ、本発明の適用を計画する前に患者からのデータを検討することができ、または、律動障害に関する同じ根源または異なる根源を同じ患者が現時点で有するか評価することができる。
【0290】
まず、信号が、データベース160内に記憶されている電位図から処理装置制御装置70にアップロードされる。このデータベースは、複数の患者に関するデータを記憶するマスタデータベースでも、患者専用のデータベースでもよい。データ記憶および検索は、任意の信号タイプに関して実施することができる。記憶される信号は、別の信号源、カタログ化された信号源、あるいはSt Jude MedicalによるEnsite 3000もしくはNavX、またはBiosense− WebsterによるCartoからのものなど計算された信号もしくは仮想の信号から導出することができる。また、信号は、異なる個人から導出することもでき、同様の背景および心律動障害をもつ患者に関してデータベースをクエリする。
【0291】
個別の非リアルタイムモードにおいて、本発明によって、患者が心律動障害を起こしていないときに得られるデータを使用して、律動障害に関する根源を識別および位置特定することができる。これは、例えば、心律動障害が処置の時点で観察されず、従来の方法を用いては開始することができない場合に有用であることがある。このモードは、内腔の生物学的特性を使用して、心律動障害時に根源/原因が存在することがある位置を予測する。そのような位置は、活動電位期間の回復の最大の傾きが>1である部位、再極性化信号形状または再極性化期間において拍動間の振動が観察される部位、または伝達速度回復が臨界レートでゆっくりとした伝達を示すことが明らかな部位を含む。
【0292】
好ましい実施形態では、回復を測定するために、図1の要素90で示されるように、各位置で広範囲のレートに関して信号を感知する必要がある。これは、ペーシングを使用して実現することができる。この場合、プロセス制御装置(図1、要素70)は、心臓内の電極20〜25、身体表面上の電極30、食道内の電極150、または他の場所の電極を使用して心臓を刺激するようにペーシングモジュール50を調整する。レート、特に高速レートの範囲が広ければ広いほど、回復の分析に関するその信号に関するデータ範囲がより広範になる。ペーシングがオプションでないとき、本発明は、他のオプションを使用して心拍数を高めるように、またはデータベースからの記憶されている情報を使用するように使用者に促す。
【0293】
この実施形態では、レート−応答(「回復」)曲線は、図5に示される信号の各成分に関して各レートで生成される。例えば、このステップは、単相活動電位期間(位相0〜位相3の時間)がレートと共に変化する様子(APDレート回復)を計算することができる。心房APD回復の例が、図5図6(要素600〜720)に示されている。サンプリングされた心拍数の範囲を広げるためにペーシングを使用することで、各生体信号のレート応答の広範な評価が提供される。
【0294】
図7の参照番号600、620、640は、有用な実施形態を示し、ここでは、本発明者によって取られた左心房420でのヒトの活動電位の記録がそれぞれ、脱分極を含む高品質の情報(段階0)、再分極(段階1〜3)、段階2の振幅および活動電位期間(段階0〜段階3の時間インターバル)を含む情報を提供する。段階4は、1つの拍動と次の拍動のインターバルを示す。本発明は、AP期間(段階0〜3からの時間)のレート−応答およびAP段階IIの振幅に焦点を当てて、複数の成分のレート応答(回復)を決定することができる。
【0295】
参照番号400(図5)はECGである。これは、心房内成分(P波およびPRインターバル)と、脱分極(QRS群)および再分極(T波)を含む心室成分とを含む。心房に関しては、本発明は、図7の参照番号600〜650での後で示す分析を使用して、P波期間がレートと共に変化する様子を記録する。心室に関しては、本発明は、心室APDレート挙動(回復)の尺度として、QTインターバルがレートと共に変化する様子を記録する。個々のQRS群は、いくつかのコラム技法(columnar techniques)の1つを使用して位置合わせされ、これらの技法としては、最大の正または負の傾きを有する点の周りに電位図を位置合わせする方法、またはそれらのピーク値もしくはそれらの平均自乗差を最小にする方法、または導出された信号に基づく基準が挙げられる。同様に、T波が識別および位置合わせされる。心房活動は、介在するインターバル中に生じるとみなされる。
【0296】
信号が単極電位図である場合、この信号も同様に分析される。各信号が、波形および期間に関して分析される。図5の要素430〜440は、それぞれヒトの左心房430および左心室440からの単極電位図を示し、脱分極と再分極が、活性化−リカバリインターバルとして併せて測定され、これが単相活動電位期間の代用物となる。本発明は、レートに関する様々な成分の調節を決定する。
【0297】
また、信号は双極電位図でもよく(要素450、460)、本発明は、各成分のレート応答を決定する。
【0298】
代替実施形態では、上述したリアルタイム動作モードと同様に、ECGおよび電位図データが分析のためにデータベース160からアップロードされる。データベースからのデータは、同じ患者または異なる患者から、任意の時点で、任意の獲得システムを使用して記録されたものでよい。
【0299】
AFでは、MAP回復は、AFが起きていないときのMAPとは異なることがある。図8の要素700は、ペーシング後のAFの開始を示す。要素710は、黒で、ペーシング中のMAP回復を示す。AF開始直後(赤い点)、APDが、前に導出されたMAP回復を追跡する。しかし、これは、より長く続くAFに関しては当てはまらないことがある。要素720、730、および740は、長く持続するAFを起こしている患者を示し、これらの患者では、APD回復は、AFの前にペーシングで得られたものとは異なる。
【0300】
したがって、信号処理および分析のために、この時点または前の時点でAF時に患者から得られたAPD回復、またはこの患者または他の患者に関する記憶されているAPDから得られたAPD回復、またはフィルタもしくは計算されたデータから得られたAPD回復を使用することが有利であることがある。
【0301】
ここで、これらの分析から、その後の心律動障害中に根源が生じることがある位置を予測することができる。単相活動電位に関して、MAPDレート−挙動(回復)の最大の傾きが>1である部位は、VFまたはAFに関する原因のすぐ傍にあることがある。心律動障害の開始に関する高い尤度の他の指標には、伝達の広いレート−応答(回復)が含まれる。これは、動的な伝達が遅いそのような部位が、心律動の原因が存在する部位を示すことがあるからである。
【0302】
アブレーション電極25を介して破壊エネルギー(無線周波数、低温アブレーション、またはマイクロ波放射)を印加するために、エネルギー発生器70を活動化させることができる。この電極は、操作者が手動で心臓内で移動させることができ(すなわち従来の手法)、またはロボットもしくはコンピュータ支援ガイダンスを使用して遠隔で移動させることもできる。
【0303】
本明細書で説明するシステムの実装は、主としてデジタル信号処理技法に基づくことがある。しかし、当業者が、デジタル技法をアナログ信号処理に容易に適合させることができることを理解すべきである。
【0304】
本発明の様々な特徴は、添付の特許請求の範囲に記載されている。
【0305】
本発明を特に望ましい実施形態に関連付けて説明してきたが、記載した特定の形態に本発明の範囲を限定する意図はなく、逆に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲内に含まれることがある代替形態、修正形態、および均等形態を網羅するものと意図される。
【実施例】
【0306】
47才の男性におけるAFに関する根源の識別および局所化
図11のパネル900〜910は、代表的な患者、すなわち5年以上にわたって持続性の心房細動(AF)を患っていた47才の男性を示す。この患者は、アミオダロンを用いた様々な療法や他の適切な療法にもかかわらず、またAFに対する以前のアブレーション手術にもかかわらず、心臓の症候性の動悸を引き続き有し、治療のために病院の緊急治療室に入る必要があった。そこで、自分の症候の深刻さに鑑みて、その患者は、さらなる評価およびアブレーションのために電気生理学的検査室に戻ることを選んだ。
【0307】
図11のパネル900〜910は、電気生理学的検査の開始時のAF中の右心房および左心房からの信号を示す。AFサイクル長(連続する活性化開始時点間の時間)はかなり短く、右心房での最初の2つのサイクルに関しては172msおよび165msと示されており(パネル910)、AFに関して典型的であるように変化していることを見ることができる。顕著には、信号は、よくそうであるように、左心房(「post LA」)、および冠状静脈洞(「CSP」近位冠状静脈洞;「CSD」遠位冠状静脈洞)において、右心房(「HRA」右心房上方;「Lat RA」右心房側方;「post RA」右心房後方)におけるよりも形状が細分化され、無秩序であった。
【0308】
これらの所見は、通常は、左心房に向けてアブレーションをガイドする。この症例での典型的な処置は、肺静脈の近くでアブレートして隔離を確認することから始まり、続いて、以下のものを含めたいくつかの部位での追加のアブレーションの選択を行う。(a)細分化された電位図の左心房部位、天蓋部での線形アブレーション、僧帽弁輪での線形アブレーション、他の線形アブレーション、次いで(b)細分化の部位および解剖学的峡部を含めた右心房アブレーション。この提案されている処置は、約2〜3時間かかり、AFを収束させる可能性が<50%であり、これは、処置の終わりに正常な律動を回復するために電気除細動が必要とされることを意味する(Calkins, Brugada et al. 2007)。
【0309】
この既知の手法を使用せずに、本発明の方法および治療の一実施形態を適用した。64個のセンサ(電極)を含むカテーテルアセンブリを、大腿静脈を通して右心房内に挿入し、また、経中隔穿孔にわたって患者の左心房内に挿入した。これらを、ワイヤケーブルを介して、AF中に各センサで信号を収集するための記録システムに接続した。これらの信号をデジタル形式に変換し、コンピュータプログラムに入力した。活性化開始時点を、AFの2秒間に各センサで記録した。この患者では2秒を使用したが、任意のより大きいまたはより小さい時間間隔が有用であることもある。1秒以下を使用することができることが望ましい。いくつかの実施形態では、数ミリ秒を使用することもできる。各センサ位置での活性化開始時点を、時間的に逐次に順序付けした。記憶されている活動電位トレーシングを使用して、各センサに関して活性化時間の開始時に前記トレーシングを挿入することによって電位図(電圧−時間系列)を生成した。最後に、直接位相割当て技法を使用して、コア領域を識別した。活性化トレールは、コア領域に対するこれらの活性化シーケンスの関係によって直接示される。すなわち、それらがコアの周りで回転する場合には、電気ロータが検出され、それが原因とみなされるが、それらがコア領域から半径方向に発散する場合には、限局性拍動が検出され、それが原因とみなされる。医師の検討のために、結果をコンピュータモニタ上にアニメーションとして表示した。
【0310】
活性化トレール(図12でのパネル1035)は、この男性のAFに関する原因として電気ロータを表した。図12のパネル1000において、活性化開始時点が、10ms(レベル「a」)〜200ms(レベル「f」)までグレースケールでアルファベットで符号化された時間に、右心房内でコア領域の周りで回転することを見ることができる。左心房では、局所化された原因は見つからなかった(パネル1020)。パネル1040は、脱分極(活性化;「赤」)および再分極(非活性化;「青」)された組織の3つの時間スナップショットとして、この同じロータを異なる形態で表示する。時系列で見て(左から右)、これらのスナップショットも、コア領域の周りで回転する活性化シーケンス(ロータ)を追跡する。このコア領域は、原因である高い尤度を有していた。なぜなら、これは、周囲の心房のほぼすべて(大きな空間定数)に関する電気的活性化を制御していた唯一の根源であったからである。
【0311】
臨床的には、この電気ロータが右心房にあったことは驚くべきことであった。右心房のロータ部位は、高いスペクトル優位周波数も、低い振幅の細分化された信号も示しておらず、普通であればアブレーションのために識別されない、またはアブレーションの標的とされない。
【0312】
右心房内のロータコア(パネル1050)で、すなわち図12のパネル1060において暗色のドットによって示される部位でアブレーションを直接開始した。顕著には、AFは、30秒のエネルギー送達の間に、サイクル長227msまで遅くなった。図10のパネル1050において白い点によって示されるすぐ傍の部位での後続のアブレーションがさらにAFを遅くし、AFは収束して、図13に示されるように6分間のアブレーションの間に正弦波の律動になった。図13のパネル1100〜1120では、AFは停止しており(パネル1110)、正常な正弦波の律動(参照番号1120を付されている)が回復されたと見ることができる。この時点で、AFは、図14に示されるような典型的な高速ペーシング技法を使用して再開することはできず、ここで、パネル1210は、心房捕捉を伴う高速ペーシングを示し、パネル1220は、AFの誘発がないことを示し、パネル1230は、ペーシングの終了後の正弦波の律動を示す。
【0313】
この結果は、現況技術に対するパラダイムシフトである。典型的には、広範囲に経験的に印加される冗長なアブレーション(心室の30〜40%)によってAFを遅くすることはできるが、それでも、持続性のAFが収束することはまれである。対照的に、本発明者らは、心房の約2〜3%未満のアブレーションによってAFを急激に遅くして、急激に収束させた。持続的なAFにおいて、先験的に(a priori)識別された1つの部位のみでアブレートしてAFの即時の減速および収束を確認した、以前に行われた事例は知られていない。
【0314】
AFに関する根源の識別および局所化の他の実施例
77才の男性が、心房細動(AF)のアブレーションのために来院した。複数の抗不整脈剤、わずかに拡大した左心房(直径45mm)、および正常な左心室駆出率(58%)にもかかわらず、その男性の病歴は、発作性のAFに関して顕著であった。侵襲性の電気生理学的検査で、上述したようにカテーテルを心房に挿入した。本発明を複数のセンサに適用した。図15で、パネル900が、左下肺静脈の近くでの電気ロータの形で、局所化された根源を示す。左から右へ(時間的に進む方向で)パネルを見ると、より暖色(赤)での脱分極(活性化)組織が、左下肺静脈の内側唇(黒い砂時計形状での外形を参照)にあるコア領域を中心として時計周りに回転することが示されている。この部位でのアブレーションは、AFを急激に収束させた。
【0315】
持続性のAFを起こしている40才の患者がアブレーションのために来院した。AFは、フレカイニドおよび他の抗不整脈剤に対する耐性があった。患者の左心房直径は52mmであり、左心室駆出率は69%であった。侵襲性の電気生理学的検査で、上述したようにカテーテルを心房に挿入した。本発明を複数のセンサに適用した。図15のパネル910は、左心房の前壁での電気ロータの形で、局所化された根源を示す。ここでも、左から右へパネルを見ると、活性化(脱分極)された組織が、肺静脈の間の左心房の前壁にあるコア領域を中心として反時計回りに回転することが示されている。この部位でのアブレーション後、患者はAFを発症していない。
【0316】
発作性のAFおよび重大な症候を起こしている56才の患者がアブレーションのために来院した。AFは、いくつかの抗不整脈剤にもかかわらず続いていた。この患者の左心房は、少し拡大していた。侵襲性の電気生理学的検査で、上述したようにカテーテルを心房に挿入した。本発明を複数のセンサに適用した。図16のパネル1610は、肺静脈には位置していないが肺静脈の間にある、左心房内での局所化された根源の出力を示す。根源は反復的なものであった(パネル1620)。パネル1630で、活性化トレール(1630)は、この部位から半径方向に発散する活性化を示す。パネル1640で、左心房の活性化は、細動している(無秩序である)と見られる。この限局性拍動原因にアブレーションを施したところ、AFが急激に止まった。本出願の時点で、患者は、数ヶ月にわたってAFを全く発症していない。これは、パラダイムシフトである。なぜなら、肺動脈を取り囲むこの患者での通常のアブレーション損傷であれば、この根源からは外れていた(missed)からである。したがって、この患者は、AFを治療する先行技術の既知の技法が使用されていた場合、アブレーション後に再発していた可能性が高かった。
【0317】
図17A図17Cは、患者の心臓から複数のチャネルを介して受信される複雑な律動障害に関連付けられた心臓信号を再構成する方法を示す。心臓信号は、心電図(ECG)信号、心臓内部からの信号(電位図)、これらの信号の表現、例えば心磁図信号、または機械的な活動の表現(ドップラー心エコー図またはそれ以外の心エコー電図)、あるいは一般に患者の生物学的律動を表現する任意の信号でよい。心臓信号は、受信して記憶媒体に記録することができる。信号は、患者の心臓から複数のセンサによって捕捉され、チャネルを介して少なくとも1つの計算デバイスに送信される。少なくとも1つの計算デバイスは、図17A図17Cに従って心臓信号を再構成するように構成される。また、図17A図17Cは、複雑な律動障害での拍動の活性化時間を決定する構成的方法を示す。さらに、少なくとも1つの計算デバイスは、図17A図17Cに従って拍動の活性化時点を決定するように構成される。
【0318】
図17Aは、チャネルを介して受信された信号での拍動の品質に従って複数のチャネルを分類するための例示的な方法の流れ図を示す。この方法は、複数のチャネルから1つのチャネルが選択される操作100Aから始まる。チャネルを介して受信される信号(またはその一部)が検索される。操作105Aで、信号からベースライン変動および雑音を取り除くために、1つまたは複数のフィルタが適用される。周波数領域フィルタリング(例えば帯域通過、高域通過、低域通過、および/または他の周波数領域フィルタリング)、および時間領域フィルタリング(例えばメジアン拍動フィルタリング、相関フィルタリングを生成するためのテンプレートマッチング、および/または他の時間領域フィルタリング)など、信号の追加のフィルタリングを行うことができる。操作110Aで、受信された信号の一部が、拍動(例えばテンプレート拍動)の高い信頼性水準の表現として識別または選択される。例えば、テンプレート拍動は、(アルゴリズムで、データベースから、またはユーザ対話によって)1つまたは複数の属性によって選択することができ、そのような属性としては、限定はしないが、許容できる振幅(信号対雑音比>1)、許容できるサイクル長(予想されるレート関連の活動電位期間よりも大きい)、および信号形状を歪めることがある識別可能な雑音がないことが挙げられる。選択されたテンプレート拍動は、信号での他の高信頼性の拍動を識別するために使用される。一実施形態では、テンプレート拍動は、エキスパートシステム115Aを使用して、患者または信号に関連付けられるもう1つの基準に従って、拍動タイプのライブラリから選択することができる。これらの基準としては、限定はしないが、年齢、性別、AFタイプ(発作性または持続性)、AF病歴の長さ、AFサイクル長、信号振幅、心房内部での記録位置(例えば左心房、右心房、冠状静脈洞)、左心室駆出率が挙げられる。
【0319】
操作120Aで、例えば選択されたテンプレート拍動を使用してテンプレートマッチングを行うことによって、信号での連続する拍動が識別される。また、しきい値を超える電圧、またはしきい値を上回る電圧の最大変化率(1次導関数dV/dt)を含めた、信号での拍動を識別する代替法を使用することもできる。操作125Aで、選択された信号が許容できる信号対雑音比(SNR)を有するかどうかについて判断が下される。SNRは、一般には1よりも大きい(すなわち信号がノイズフロアよりも大きい)が、センサの位置および雑音の性質に応じて変えることができる。例えば、信号と雑音が周期的であるが、異なる期間を有する場合、それらの異なるスペクトル特性によってそれぞれを分離することができる。操作125Aで、信号のSNRが許容できないと判断された場合、そのチャネルは、操作130Aで、解釈不能または使用不能なチャネルとしてマークされる。あるいは、操作125Aで、信号のSNRが許容できると判断された場合、例示的な方法は、操作135A〜175Aに進み、このチャネルに関連付けられた信号での拍動に従って、このチャネルを高信頼性チャネルまたは低信頼性チャネルとして分類する。
【0320】
操作135Aで、選択されたチャネルの信号での複数の識別された拍動から、1つの識別された拍動が選択される。操作140Aで、選択された拍動が、活性化開始(例えば偏向)を表す可能性がある複数の成分を含むかどうか判断が下され、それらの成分のうちの1つを、選択された拍動の活性化開始として選択することができる。操作140Aで、選択された拍動が複数の成分を有すると判断された場合、操作145Aで、選択された拍動が「クラスB」の拍動としてタグを付けられ、選択された拍動の成分に関連して活性化開始が選択される。クラスBの拍動は、「クラスA」の拍動とは対照的に高い信頼度で活性化開始を決定することができないものである。クラスAの拍動は、典型的には、低雑音環境での単相であり(すなわち活性化開始が問題とならない複雑でない拍動)、したがって高い信頼度を有する拍動とみなされる。
【0321】
活性化開始は、以下のものの少なくとも1つに基づいて選択される。選択された拍動の最大dV/dt;(自動で選択される、または患者のタイプおよび心臓内の位置に基づいてデータベースから選択される、またはユーザによって対話によって選択される)テンプレートに対する拍動のテンプレートマッチ;選択された拍動の振幅;選択された拍動での成分と、隣接するチャネルでの対応する拍動の成分との比較;および/または別の1つまたは複数の選択基準。その後、この方法は、本明細書で以下に述べる操作150Aに進む。あるいは、操作140Aで、選択された拍動が、活性化開始を表す可能性がある複数の成分を有さないと判断された場合(例えば上で定義したクラスAの拍動(典型的には、低雑音領域での単相の拍動))、活性化開始が選択され、この方法も、本明細書で以下に述べる操作150Aに進む。
【0322】
操作150Aで、選択された活性化開始に基づいて、選択された拍動のサイクル長が許容できるものであるかどうかについて判断が下される。選択された活性化開始からの許容できるサイクル長は、最小値(レート関連の活動電位期間APD)から最大値(定義されたサイクル長CL)までの範囲と定義される。例えば、図19Cで、偏向608Aは許容できない。なぜなら、それらが、(606Aによって示される)活性化開始から始まる最小のレート関連のAPD内にあるからである。最大のCLは、選択された活性化開始から次の拍動までの時間の尺度である。本発明者の観察から、最小のレート関連のAPDは、90〜400msの範囲内でよい。最大CLも、約90ms〜400msの範囲内でよい。操作150Aで、サイクル長が許容できると判断された場合、選択された拍動は、操作153で「クラスA」の拍動としてタグを付けられる。
【0323】
しかし、操作150Aで、決定されたサイクル長が許容できないものである場合、操作156A、158Aで、選択された拍動の成分(欠陥)は、選択された成分の活性化開始からのサイクル長が操作150Aで許容できるものと判断されるまで、所定数の反復(例えば2回の反復)を繰り返される。(操作140Aから)「クラスA」とみなされた拍動は、典型的には修正されず、すなわちそれらの拍動の活性化開始は、これらの操作によって変更されない。その後、操作160Aで、選択された信号に(または検査される拍動の所定数に対して)残っている拍動がなくなるまで、選択された信号から次の拍動が選択され、選択された拍動に対して操作135A〜160Aが繰り返される。
【0324】
操作165Aで、「クラスA」の拍動が、拍動の総数、または選択されたチャネルの信号において検査される拍動の数の所定のパーセンテージを占めるどうか判断が下される。所定のパーセンテージは、拍動の総数または検査される拍動の75%に選択することができる。他の所定のパーセンテージを使用することもできることに留意されたい。操作165Aで、十分な数のクラスAの拍動があると判断された場合、操作170Aで、選択されたチャネルが高信頼性チャネルとして分類される。あるいは、操作165Aで、十分な数のクラスAの拍動がないと判断された場合、操作175Aで、選択されたチャネルが低信頼性チャネルとして分類される。方法は、操作180Aに進み、そこで、複数のチャネルから次のチャネルが選択され、この選択されたチャネルに対して操作100A〜175Aが繰り返され、最終的に、複数のチャネルが図17Aに示される例示的方法に従って分類される。
【0325】
図17Bは、チャネルを介して受信された信号における特定の品質の拍動の選択された活性化開始を改定または更新するための例示的方法の流れ図を示す。具体的には、図17Bの方法は、複数のチャネルのクラスBの拍動に対して反復され、場合によっては、選択された活性化開始を改定または更新する。したがって、この方法は、チャネルが選択され、選択されたチャネルでクラスBの拍動が選択される操作200Aから始まる。選択されたチャネルでクラスBの拍動が処理されると、クラスBの拍動を有する次のチャネルが選択され、最終的に、(図17Aの操作130Aで解釈不能とマークされたチャネルは除いて)複数のチャネルのクラスBの拍動が処理される。
【0326】
操作210Aで、選択されたチャネルに隣接するチャネルにおいて、選択されたクラスBの拍動に対応する(例えばクラスBの拍動の所定時間内にある)クラスAの拍動が存在するかどうかについて判断が下される。操作210Aで、隣接するチャネルの信号での対応するクラスAの拍動があると判断された場合、方法は、操作220A〜240Aに進む。あるいは、操作210Aで、隣接するチャネルの信号での対応するクラスAの拍動がないと判断された場合、この方法は、以下に述べるように操作250Aに進む。
【0327】
操作220Aで、選択されたクラスBの拍動での活性化開始の選択をガイドするために、対応する(近くの)クラスAの拍動の活性化開始を使用してベクトルが計算される。操作230Aで、計算されたベクトルが、少なくとも1つの特性に基づいて洗練される。計算されるベクトルは、対象のチャネルを取り囲むチャネル位置によって定義される。図19Bに示されるように、これらの各チャネルでの考慮中の拍動に関して活性化開始が定義される。これらの活性化開始を使用して、(各チャネルの空間的位置が分かっている)図19Dに示されるような1組の妥当なベクトルを定義する。これらの周囲のチャネル位置に基づくベクトルは、その拍動に関する対象のチャネルに関して、最良の活性化開始時点を決定することができるようにする(例えば図19D図21A図22A図22C)。また、選択された拍動の形状もしくは極性の変化に基づいて、またはこの部位からの活性化が回転するか(すなわちロータ)、それとも半径方向であるか(すなわち限局性拍動)に基づいて(これらはどちらも、選択されたクラスB拍動でゼロベクトルを与える)、および/または1つまたは複数の他の特性に基づいて、ベクトルを洗練させることもできる。明らかに、このベクトルは、拍動ごとに(サイクルごとに)異なることがある。
【0328】
操作240Aで、選択されたクラスBの拍動に関して時間インターバル(すなわち許容窓)が定義される。時間インターバルは、選択されたクラスBの拍動の(前の拍動に対する)許容可能な最も早い開始、および(少なくとも1つの特性に基づく)選択されたクラスBの拍動の許容可能な最も遅い開始を示す。考慮または使用される特性には、ベクトル、APD回復、伝達速度(CV)回復、心拡張インターバル(DI)、線維角、1つまたは複数の解剖学的因子、および1つまたは複数の追加の特性が含まれる。具体的には、本発明者は、様々な患者タイプにおいて、様々な心房領域で様々なレートで伝達速度測定値を記録している。これらの伝達速度ダイナミクスを使用して、提案された信号偏向が、計算されたベクトルに沿って伝達するには早すぎるか、または遅すぎるかを判断する。同様に、本発明者は、複数の心房位置での線維角の向き、および解剖学的因子(分界稜などの領域が伝達ブロックを示す既知の傾向など)に基づいて、活動電位期間レートダイナミクスの測定値を記録している。
【0329】
一実施形態では、特性は、患者(例えば、患者が高齢であるかどうか、または非常に大きい心房を有するかどうか。これらについてはどちらもより遅い伝達が予測される)または信号(例えば、信号が比較的単純であるか、それともより複雑であるか)に関連付けられたもう1つの基準に従って、特性のライブラリからエキスパートシステム245Aによって提供することができる。エキスパートシステム245Aで考慮されるパラメータには、年齢、性別、AFが発作性であるか持続性であるか、血圧、心房体積、左心室駆出率、真性糖尿病の有無、および1つまたは複数の他の基準が含まれる。許容窓を定義するためのDIの使用を、本明細書で以下により詳細に説明する。
【0330】
操作250Aで、選択されたクラスBの拍動に関する以前に選択された活性化開始が、許容窓内にあるクラスBの拍動に関する信号の選択された成分(偏向)の活性化開始と比較することによって改定または更新される。一実施形態では、選択されたクラスBの拍動を通る計算されたベクトルに最も近い成分を選択することができる。別の実施形態では、患者または信号に関連付けられるもう1つの基準に従って信号形状のライブラリを記憶するエキスパートシステム255Aを使用して、許容窓内の選択されたクラスBの成分を選択することができる。例えば、年齢、性別、および1つまたは複数の他の基準を使用して、エキスパートシステム255Aで信号形状を分類することができる。したがって、許容窓は、レート、位置、患者背景、および/または1つまたは複数の他の因子に基づいて、拍動ごとに定義することができる。
【0331】
操作260Aで、選択されたチャネルに少なくとも2つのクラスAの拍動があるかどうかについて判断が下される。操作260Aで、選択されたチャネルに少なくとも2つのクラスAの拍動があると判断された場合、方法は、操作265Aに進み、(例えばクラスAの拍動の活性化開始時点の差を取ることによって)クラスAの拍動間のサイクル長の時間インターバルを決定する。操作270Aで、信号の偏向が許容窓内でこの時間インターバルの位置にある、またはその近くにあるかどうか判断するために、選択されたチャネルの信号に沿って、決定された時間インターバルが連続的に進められる。一実施形態では、時間インターバルは、選択されたチャネルの信号で利用可能な場合には、連続するクラスAの拍動に基づいて平均化する(またはメジアンを使用する)ことができる。しかし、操作260Aで、選択されたチャネルにクラスAの拍動がないと判断された場合には、方法は、操作290Aに進む。
【0332】
操作280Aで、選択されたクラスBの拍動の改定または更新された活性化開始が、決定された時間インターバルの第2の活性化開始と調和され、調和された活性化開始を割り当てられる。一実施形態では、これらの開始の平均に最も近い(許容窓内の)偏向を、調和された活性化開始として選択することができる。他の実施形態は、(重要性の順に重み付けされた)これらの活性化時点の1つに最も近い偏向、または操作145A、250A、もしくは270Aからの他の出力を使用することができる。
【0333】
操作290Aで、選択されたチャネルの信号から次のクラスBの拍動が選択され、この方法は、次のクラスBの拍動に対して操作200A〜290Aを繰り返す。選択されたチャネルでクラスBの拍動が処理されると、クラスBの拍動を有する次のチャネルが選択され、最終的に、図17Aでマークされた解釈不能なチャネルは除いて、複数のチャネルのクラスBの拍動が図17Bに従って処理される。
【0334】
図17Cは、複数のチャネルを介して受信された信号でのすべての拍動の最終的な活性化開始を選択するための例示的方法の流れ図を示す。具体的には、図17Cの方法は、複数のチャネル(高信頼性チャネルおよび低信頼性チャネル。図17Aでマークされた解釈不能なチャネルは除く)にわたってクラスAおよびクラスBの拍動に対して繰り返され、拍動に関連付けられる活性化開始を最終決定する。したがって、この方法は、チャネルが選択される操作300から始まる。操作310Aで、選択されたチャネルで拍動が選択される。
【0335】
操作320Aで、それぞれ図17Bの操作220Aおよび240Aで述べたのと同様に、選択された拍動を通るベクトルが計算され、選択された拍動に関して許容窓が定義される。図17Cの操作は、ここではベクトルをクラスAの拍動および(図17Bにおいて改定された)クラスBの拍動から計算することができるという点で、前述の操作とは異なる。この目的は、すべてのクラスAの拍動とクラスBの拍動の間で活性化開始が一致していることを保証することである。ここで生じている不一致を最小限にするために、活性化開始の最終的な調整を行うことができる。一実施形態では、許容窓を定義するために、エキスパートシステム325Aを使用して、APDおよびCV回復、DI、および/または他の特性など1つまたは複数の特性を提供することができる。操作330Aで、計算されたベクトルが、少なくとも1つの特性に基づいて洗練される。例えば、計算されたベクトルは、心房上にマッピングされたときの波面曲率、拍動信号形状、既知の解剖学的因子、例えば分界稜での伝達ブロック、推定される線維角、および/または1つまたは複数の他の特性に基づいて洗練することができる。一実施形態では、これらの因子は、患者の年齢、性別、AFが発作性であるか持続性であるか、血圧、心房体積、左心室駆出率、真性糖尿病の有無、および1つまたは複数の他の基準に基づいて、エキスパートシステム335Aにおいて定量化および符号化される。操作338Aで、選択された拍動に関して、選択された拍動をベクトルが横切る許容窓内で活性化開始が決定される。
【0336】
操作340Aで、(図17Bからの)選択された拍動に関する以前の活性化開始が、選択された拍動の現在決定された活性化開始と近似的に等しい(例えば所定のしきい値内にある)かどうかについて判断が下される。操作340Aで、選択された拍動に関する以前の活性化開始が近似的に等しいと判断された場合、この方法は、以下の操作370Aに進む。あるいは、操作340Aで、選択された拍動に関する以前の活性化開始が近似的に等しくないと判断された場合には、この方法は、操作350Aに進む。
【0337】
操作350Aで、以前の活性化開始が現在の活性化開始と調和されて、調和された活性化開始が得られる。一実施形態では、これらの活性化開始の平均に最も近い(許容窓内の)偏向を、調和された活性化開始として選択することができる。エキスパートシステム355Aを使用してサイクル長の推定値を提供することができ、この推定値を使用して、この場合には信号がこのチャネルで規則性を示すと仮定して、特定の拍動に続く各活性化開始の位置を推定することができる。操作360Aで、活性化開始の調和が必要とされるかどうかについて判断が下される。操作360Aで、調和が必要とされた場合、操作363Aで、選択された拍動のタグ付けが、クラスBの拍動へと更新される。しかし、操作360Aで調和が必要とされなかった場合には、操作368Aで、選択された拍動のタグ付けが、クラスAの拍動へと更新される。
【0338】
操作363Aおよび368Aの後、この方法は、操作370Aに進み、調和された活性化開始、(操作338Aからの)決定された活性化開始、または(操作280Aからの、またはクラスAの拍動に関して操作140Aおよび153Aを参照して述べた)既存の活性化開始が、選択された拍動に関する最終的な活性化開始として選択される。操作380で、選択されたチャネルですべての拍動が処理されるまで、選択されたチャネルで次の拍動が選択され、選択された拍動に対して操作320A〜370Aが繰り返される。選択されたチャネルですべての拍動が処理されると、操作390Aで次のチャネルが選択され、選択されたチャネルに対して操作310A〜380Aが繰り返され、最終的に、図17Aでマークされた解釈不能のチャネルを除いてすべてのチャネルが図17Cに従って処理される。
【0339】
心拡張インターバル(DI)と活動電位期間(APD)の関係を使用して、信号の拍動での活性化開始を識別することができる。複雑な律動障害(例えば心臓細動)において、チャネルを介して受信された信号でのクラスBの拍動の活性化開始を正確に決定するには信号の品質が不十分であるとき、以前のDIに対するAPDの依存性と共に、信号でのクラスAの拍動の活性化開始を使用して、クラスBの拍動に関する許容窓を推定することができる。より具体的には、信号から活動電位(AP)トレースを再構成するために、各活性化サイクルに関して、以前のDIに基づいてAPDを定義することができる。
【0340】
任意の定義されたAPDが事前定義された最小値(例えば90ms)未満であるか、またはAPDがそれ以内に収まらなければならない利用可能なサイクル長(CL)を超えるときには、AP再構成の試行は失敗と考えられる。図18に示されるAPトレースは、そのような失敗を示す。
【0341】
例えば、破線を選択された活性化開始とみなし、曲がった垂直線をAP再構成でのAPDとみなすと、第5のAPDは、次の活性化開始に達する前に、再活性化のための許容レベルになっていない。これは再構成の失敗と考えられ、使用されたAPD−DI関係と、最初のAPD(DIシード)を計算するために使用された初期DIとの対が、実際のAPDを表すには有効でないことを示唆する。APD−DI関係が不適切であった、DIシードが不適切であった、またはその両方であった可能性がある。
【0342】
DIと後続のAPDとの関係が分かっている場合、DI−APD関係での定数に関するある範囲の値にわたる複数回の計算を行わずに、患者特有の回復曲線を使用して一連の選択された活性化開始をチェックすることができる。患者特有の回復曲線に従って、適切に再構成されたAPトレースをもたらすDIシードがない場合には、一連の活性化開始が不適切とみなされる。APトレースを再構成するとき、(最初の4つの活性化開始の後の)任意の低信頼性の活性化開始に関して、(各DIシードに関する)過度に多数の再構成の試行が失敗する場合、その活性化開始は不適切と考えられ、再評価すべきである。
【0343】
線形または対数関数(アルゴリズム)を使用して、DIとAPDを関係付けることができる。例えば、線形関数は、APD=C1*DI+C2でよい。対数関数は、APD=C*ln(DI)+Cでよい。DIとAPDの関係における定数が分かっていない場合、線形関数APD=C1*DI+C2を仮定することができる。AP再構成は、妥当なDIシードに関して、および妥当な定数C1およびC2に関して行うことができる。マークされた各活性化開始に関して、AP再構成の失敗の総数を追跡することができる。AP再構成の失敗の数は、最初のいくつかの活性化開始において最大であると予想される。これは、不適切なDIシードおよび定数は通常、最初のいくつかの活性化開始においてシーケンスに適合しないからである。AP再構成において、その後、過度に多数の失敗が生じた場合、活性化開始は、「妥当でない」とみなされ、検討および/またはさらなる分析のためにマークされる。
【0344】
DIとAPDの関係が心臓内のすべての位置に関して不変であると仮定される場合、高信頼性の活性化開始を有する信号においてトレース再構成の失敗をもたらす定数C1およびC2を除外することによって、計算の精度を改善することができる。このようにして、前述のアルゴリズムは、分析される特定の患者に当てはまらない可能性が高い数学的なDI−APD関係をすべて除外する。
【0345】
図19Aは、複雑な律動障害中に患者の心臓から心臓(電気的)活動を受信するセンサから得られる複数の時間変動信号404を示す。センサは、患者内に導入された心臓カテーテル内に含めることができ、または患者の体外に配設することもできる。各信号は、「A1A2」、「B3B4」、および「B5B6」などの信号識別子によって表される。図19Aに網掛け部分によって示される例示的なスナップショットまたは窓402Aは、指定された時間間隔(例えば2ms)内での12個の心臓信号404Aそれぞれに対する例示的な活動を表す。心臓信号402Aは、心房細動(AF)など複雑な律動障害中における、対応するセンサが位置される心房内の様々な位置の電気的な心臓活動を表す。「最も早い」活性化開始の検出は、図19Aに示される心臓信号404Aの目視検査のみでは不可能であることに留意されたい。なぜなら、信号404Aからの最も早い活性化開始の検出を可能にするような心臓信号404Aでの判別可能な休止期間はないからである。
【0346】
図19Bは、図19Aに示される窓402A内での電気的活動の部分のみを示す。垂直線504Aが、時間変動心臓信号それぞれに関する活性化開始を表す。図19Bに示される心臓信号から容易に分かるように、少なくともC5C6、C7C8、およびD7D8によって識別される信号に関する活性化開始504Aは、よく定義されない。矢印512Aは、隣接する時間変動心臓信号での対応する点をつなぐベクトルを定義する。理解できるように、図19Bに示される信号において、判別可能な最も早い活性化開始は存在しない。すなわち、単純に活性化を最も早いチャネル(この場合はチャネルC7C8)に遡及させることはできない。これは、(上室頻拍などの律動とは異なり)AFでは、複数の共存する波が存在することがあるからである。図19Dは、これらのあり得る波方向のいくつかを図示し、複数のあり得る波経路を示す。最大および最小の可能な伝達速度、および上述した他の生理学的特性を考慮することで、各電極における観察された連続的であり変動する複雑な信号を記述している可能性がより高い、またはより低い波経路が決定される。
【0347】
図19Cは、複数の偏向があるため活性化開始を決定することができない符号C7C8によって識別される信号の拡大図、および対応するレート調節された活動電位期間(APD)の表示(要素606)を示す。レート調節されたAPD606は、この特定のチャネルC7C8での信号が、レート調節されたAPD606Aの終了の近くまでは生じることができないことを示す。このことを用いて、矢印608Aによって示されるようなAPD606A中に生じる信号C7C8の偏向を除外して、それらの偏向を活性化開始とみなさないようにする。これは、APD(「再分極」)606Aの期間に心臓組織は物理的に再活性化することができないからである。当然、APD606Aの実際の位置は、以前の活性化開始時点610Aのタイミングに依存する。
【0348】
図19Dは、心臓センサまたは電極の位置の2次元表現であり、これは、患者の心室での格子を提供する。「B78」、「C56」、および「D12」など格子上の点の表現は、図19Aおよび図19Bに示される「B7B8」、「C5C6」、および「D1D2」などそれぞれ対応する時間変動心臓信号を提供するために使用される電極またはセンサに対応する。したがって、センサ「B78」は時間変動心臓信号「B7B8」に対応し、センサ「C56」は心臓信号「C5C6」に対応する。図19Dにおいて指定されたセンサをつなぐ矢印714Aは、患者の心房の対応する位置の間で方向付けられたベクトルを表す。したがって、心臓信号C5C6での情報のみを使用して、どちらも活性化が既知であるセンサC78からC34へのベクトルの非線形補間を用いて、信号C5C6に関連付けられる活性化開始を決定することができる。センサB34からC34へのベクトルなど別のベクトルは見込みがない。なぜなら、それらは、心臓組織が示すには速すぎる伝達速度を必要とするからである。心臓信号D7D8は、典型的には、解釈不能なチャネルまたは信号として除外される。
【0349】
図20Aは、図19Aに示される時間変動心臓信号での拍動を検出し、活性化開始を決定し、雑音を無視するための様々な方法の例を示す。高信頼性チャネルからの時間変動心臓信号は、信号802Aとして示される。信号802Aでの活性化開始にマークまたはタグ付けするために、信号802Aの所与の時間間隔におけるより判別可能な偏向(または拍動)の1つからテンプレート804Aを導出することができる。次いで、このテンプレート804Aを使用して、相関関数または他の方法を用いることによって、信号802での後続の拍動および前の拍動を検出することができる。信号802Aでの活性化開始にタグを付けるために使用することができる別の方法は、レート適合されたAPD806Aを使用して示され、これは、図19Cを参照して基本的に上述した。すなわち、APD806Aの終了808A前に信号802で生じる偏向は、除去されるか、または雑音として分類される。なぜなら、心臓組織がこの時間中に再活性化することは物理的に不可能であるからである。したがって、矢印810によって示される偏向は、考慮する活性化開始から除外される。活性化開始を正確に決定するさらに別の方法は、図20Aで矢印812Aによって示されるように、指定された周波数範囲または帯域内で雑音をフィルタ除去することによるものであり、この雑音も次いで活性化開始としての考慮から除外される。活性化開始時点は、テンプレートマッチ、所定の電圧しきい値との交差、および最大dV/dt(時間に対する電圧の最大変化率または時間変動心臓信号の傾きとして定義される)の組合せを使用して決定される。
【0350】
図20Bは、低信頼性チャネルからの信号902Aを示す。低信頼性チャネルに関して、様々なテンプレートを使用して、信号成分の様々な形状または偏向を検出することができる。したがって、図20Bでの「A」、「B」、および「C」によって識別される複数の異なる形状それぞれに関連付けられる活性化開始を検出するために、異なるテンプレートを定義して使用することができる。
【0351】
図20Cは、複雑なチャネルからの信号1010Aを示し、この信号1010Aでは、個々の拍動表現の形状が拍動ごとに大きく変化する。上述した方法の中にベクトルおよびAPD回復方法があり、これを使用して、このタイプの信号に関する活性化開始を決定することができる。
【0352】
図21Aおよび図21Bは、ベクトルを使用してクラスBの拍動に関する活性化開始を決定する方法を定義するために、それぞれ図19Bおよび図19Dに示されているものに対する追加の詳細を与える。図19Bと同様に、図21Aに示される短い垂直線1102Aは、時間変動心臓信号に対して決定された例示的な活性化開始を表す。各垂直線の傍に記された数値1104Aは、所与の開始時点に対する、対応する時間変動心臓信号に関する活性化開始の時点を表す。例えば、「37」と記されている心臓信号B3B4に関する活性化開始時点は、「42」と記されている心臓信号B1B2に関する活性化開始時点の前に生じる。図21Bは、「B34」、「B12」、「C12」、および「D12」などの識別番号1106によって表されるセンサのマトリックスまたは格子を示す。見込みのあるベクトルが、特定のセンサ1106Aをつなぐ矢印または線1108Aとして図21Bに示されている。例えば、Bチャネルとして表される心臓信号C5C6での活性化開始は、決定的な活性化開始を有する周囲のチャネルからのベクトルを使用して決定することができると仮定する。図21Bから、(活性化開始が分かっていない)心臓信号C5C6を通る最も見込みのあるベクトル経路は、センサC78からC34へのものである。なぜなら、例えばセンサC56を通る他の経路は、速すぎる伝達速度を示す(センサB56からC56へのものなど)か、またはセンサC78からC34へのものよりも蓋然性が低い(例えば、センサB78、B56、C78、およびC56を通るジグザグ進行など)からである。したがって、分析の結果は、心臓信号C5C6に関する活性化開始が、センサC78とC34、したがってそれぞれ心臓信号C7C8およびC3C4に関連付けられる活性化開始の間でのベクトル(直線である必要は必ずしもない)を使用して導出されることを示す。
【0353】
図22A図22Cは、本出願で説明する方法およびシステムによる選択された活性化開始からの、細動時の再構成された波経路の表示を示す。活性化開始は、2次元アレイまたは格子に配列された数値(単位はミリ秒)として提供される。図22A図22Cそれぞれに示される数値の格子は、図19B、19D、および21Bに示される心臓センサの格子に対応し、したがって、同じ位置にある対応する心臓センサによって決定される活性化開始時点を表す。各チャネルに関して、考慮中の拍動は、その活性化開始時点をミリ秒単位で表す数値、およびそこから得られるこの2次元空間にわたる活性化ベクトルを与えられる。これらの活性化時点は、図17Bからの初期割当て後に、クラスAの拍動あるいはまたクラスBの拍動を示すことがあることに留意されたい。低信頼性チャネルは、疑問符で示される。波経路は、同じまたは同様の活性化開始の空間的な輪郭として再構成される。例えば、図22Aで、非常に類似した活性化開始(12msおよび11ms)を有する2つのセンサをつないで等高線1302Aが描かれ、約11ms〜12msでの波面の位置を表す。同様に、類似した活性化開始時点(90ms、81ms、および81ms)に関連付けられるセンサをつないで等高線1304Aが描かれ、約81ms〜90msでの波面の位置を表す。各等高線は、残りの等高線に対する各等高線の相対時間を示すようにマークされる。したがって、最も早い等高線は記号「E」で示され、線1306Aとして識別される最も遅い等高線は記号「L」で示される。矢印1310A、1312Aは、等高線を横切って波が伝播するときのベクトルの方向を示す。したがって、図22Aは、2つの別個のベクトル1310A、1312Aの衝突を示す。等高線およびベクトルを使用して、疑問符でマークされた低信頼性の信号での活性化開始を定義する。
【0354】
さらに、APD回復および再分極時間、ならびに線維角(解剖学的経路)を使用して、活性化開始が決定される。例えば、線維角が、示される衝突時の伝播のベクトルに垂直である場合、これは、結果に信頼性を加える。そうでない場合、このゆっくりとした外観を与えるクラスBのチャネルでの特定の偏向によって活性化開始時点が歪められないことを保証するために、さらなる反復が必要とされることがある。一般に、線維角に垂直な波伝播は、線維角に平行な伝播よりも遅いと予想される。線維角は、実験から、ならびに心室内の特定の位置、例えば左心室前壁やPapezのseptopulmonary束での既知の角度および異方性から与えられる。
【0355】
拍動形状の変化または経路の不連続性は、青線として示される。一般に、拍動信号の極性の反転は、波が双極記録電極を逆方向に通過していることを示すと考えられる。この情報は、実質的な拍動極性変化の時点で波の輪郭が実際に変化したかどうか判断するために、追加の検証ステップとして使用することができる。
【0356】
同様に、図22Bは、別の例示的な表示を示し、それによって定義される波面は、「E」から「L」への等高線1402A〜1412Aの進行および矢印1414Aによって示されるように、ロータまたは回転パターンである以外は上記の例と同じ表示を示す。。
【0357】
同様に、図22Cは、等高線1502Aによって定義される中心位置から発散する限局性拍動を表す例示的な表示を示し、これは、等高線1506Aに向けて矢印1504Aに沿って外方向に進む。
【0358】
図23Aは、センサ1602Aのマトリックスの2次元表現を示し、センサ1602Aは、手描き形状で示される心房表面上に重ね合わされた点または電極位置として示される。この形状は、僧帽弁の平面を通って水平方向に切断した左心房を示し、2つの半分の部分が上下に折り畳まれている。したがって、上部は上側僧帽弁を示し、下部は下側僧帽弁を示す。
【0359】
図23Bは、図23Aに示される心臓電極またはセンサ1602Aのうちの9個から得られる時間変動心臓信号を示す。心臓信号は、生の信号1702Aとして表される。なぜなら、それらは、心臓センサから直接得られるか、または最小量の処理またはフィルタリングのみを行って得られるからである。
【0360】
図23Cは、当技術分野で知られている従来の方法を使用して、図23Bに示される生の信号1702Aから得られる例示的な表示を示す。表示は生の信号から直接得られているので、結果は、複雑な律動障害に関連付けられる原点または最も早い活性化開始を示すパターンをなんら示さない(すなわち活性化トレールを示さない)複数の遷移パターンを含む込み入ったマップである。図24Aの表示は、図23Aに示される格子に対応し、格子内の位置は、心臓体積内の位置に関係付けられるので、センサの位置に対応する。この表示に示される網掛け領域は、表示の右側にあるスケール1802Aに従って、所与の開始時点に対する活性化開始を表す。グレースケール1802Aは、活性化開始に関連付けられる網掛けを(例えばミリ秒単位で)示す。したがって、例えば、領域1804Aで示される表示の部分は、領域1806Aで示される部分よりも早い活性化開始を有し、領域1806Aで示される部分は、領域1808Aで示される部分よりも早い。
【0361】
図23Cは、本明細書で述べるシステムおよび方法に従って9個の生の信号それぞれでの拍動に関する活性化開始にタグを付けた結果を示す。活性化開始は、点線1902Aとして示される。図17A図17Cに概説したプロセスを使用して、図23Cでの垂直線によって示される各チャネルでの各拍動に関する活性化時点を生成する。
【0362】
図24Bは、図23Cでの活性化開始時点のタグ付けから導出された例示的な表示を示し、ここで、ロータは、コアの周りの矢印2002によって示されるように、赤色の領域(「R」で示す)から青色の領域(「B」で示す)に達するまで、これらの網掛け領域間の様々なグレースケール網掛け網掛け領域を通って進む場所として示される。このコアは、活性化がその周りで回転してロータを生成する支点である。図24Bでの表示が、図24Aで示される表示からは検出不可能であったロータを明瞭に示すことに留意されたい。また、ロータコアの厳密な位置は、時間にわたって空間的に移動(移行)することがあるが、典型的には小さな空間的位置(「地点(locus)」)に留まることにも留意されたい。
【0363】
図23Dは、活動電位期間(APD)2102Aの再構成を示し、この活動電位期間2102Aは、図23Cで決定された活性化開始から始まり、その後、指定された時間または減衰の間にわたる。したがって、APD2102Aは、活性化開始2104Aで始まり、APDの終了2106Aまで続く。
【0364】
図24Cは、図23Cで決定されたタグ付きの活性化時点と、図23Dで決定された再構成されたAPDを使用して、等高線2202Aで示される脱分極線と、等高線2204Aで示される再分極線との交点を定義する表示を示す。具体的には、再構成された各APD時間系列が、ヒルベルト変換への入力として使用される。デトレンドアルゴリズムを適用して、活性化時間での電圧をゼロに設定する。ヒルベルト変換を使用して、デトレンドされた信号の位相面を構成する。次いで、すべての電極でのヒルベルト変換が、細かい規則的な格子にわたって補間される。トポロジカルチャージ技法を用いて位相の空間分布が分析されて、リエントリ性の波の先端などでの波面の端部に関連付けられる位相特異点を位置特定する。次いで、活性化波面が、アクティブエッジ技法を使用して、ゼロ位相の等位相線を追跡することによって構成される。要約すると、時間スナップショットに関して、線2202Aが、組織にわたる脱分極の前縁を示し、線2204Aが、再分極の後縁を示す。これらの線の交点がロータコアを示す。臨床での実践への還元によって、このロータコアは、狙いを定めたアブレーションエネルギーがAFを収束させて解消することができる位置であることが示されている。脱分極または再分極電流の送達や、遺伝子療法や他の活性剤の送達など他の治療も、ロータが位置する組織の地点(空間領域)に適用することができる。
【0365】
これらの同じ技法が限局性拍動を表すこともでき、これに関しては、活性化時点の等高線およびヒルベルト変換が、限局性拍動の原点から発散する活性化を表し、律動が心房細動または心室細動をもたらす場合には、それに続く無秩序化を伴う(それに関する治療の例は上述した)ことに留意されたい。
【0366】
図25は、コンピュータシステム2300Aのブロック図である。コンピュータシステム2300Aは1組の命令を含み、この命令を実行しては、図17A図24Cに関して本明細書で開示した方法またはコンピュータベースの機能の任意の1つまたは複数をコンピュータシステム2300Aに行わせることができる。コンピュータシステム2300Aまたはその任意の部分は、スタンドアローンデバイスとして動作することができ、または図17A図24Cに関して本明細書で開示した他のコンピュータシステムまたはデバイスに(例えばネットワーク2324Aを使用して)接続することもできる。例えば、コンピュータシステム2300Aは、図1図24Cに関して本明細書で開示したカテーテル、計算デバイス、サーバ、生物学的センサ、および/または任意の他のデバイスまたはシステムのうちの任意の1つまたは複数を含むことができ、またはその内部に含めることができる。
【0367】
ネットワーク化された展開では、コンピュータシステム2300Aは、サーバ−クライアントネットワーク環境でのサーバもしくはクライアント機械、またはピアツーピア(もしくは分散)ネットワーク環境でのピア機械の機能で動作することができる。また、コンピュータシステム2300Aは、様々なデバイスとして実装することができ、または様々なデバイスに組み込むことができ、そのようなデバイスは、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、携帯情報端末(PDA)、ウェブアプライアンス、通信デバイス、モバイルデバイス、サーバ、クライアント、または機械が取るべき動作を指定する1組の(逐次または他の)命令を実行することができる任意の他の機械である。さらに、単一のコンピュータシステム2300Aが示されているが、用語「システム」は、1つまたは複数のコンピュータ機能を行うために1組または複数組の命令を個別にまたは協働して実行するシステムまたはサブシステムの任意の集合を含むと解釈されるものとする。
【0368】
図25に示されるように、コンピュータシステム2300Aは、処理装置2302A、例えば中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、またはそれら両方を含むことができる。さらに、コンピュータシステム2300Aは、メインメモリ2304Aおよびスタティックメモリ2306Aを含むことができ、これらは、バス2326Aを介して互いに通信することができる。図示されるように、コンピュータシステム2300Aは、さらに、ビデオ表示ユニット2310A、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)、フラットパネルディスプレイ、ソリッドステートディスプレイ、または陰極線管(CRT)を含むことがある。さらに、コンピュータシステム2300Aは、入力デバイス2312A、例えばキーボード、およびカーソル制御デバイス2314A、例えばマウスを含むことがある。また、コンピュータシステム2300Aは、ディスクドライブユニット2316A、信号発生デバイス2322A、例えばスピーカや遠隔制御装置、およびネットワークインターフェースデバイス2308Aを含むこともある。
【0369】
図25に示される特定の実施形態では、ディスクドライブユニット2316Aは、機械またはコンピュータ可読媒体2318Aを含むことがあり、そこに1組または複数組の命令2320A(例えばソフトウェア)を埋め込むことができる。さらに、命令2320Aは、図1図24Cを参照して本明細書で説明した1つまたは複数の方法、機能、または論理を具現化することができる。特定の実施形態では、命令2320Aは、コンピュータシステム2300Aによる実行中に、メインメモリ2304A、スタティックメモリ2306A、および/または処理装置2302Aに完全に、または少なくとも一部、常駐することができる。また、メインメモリ2304Aおよび処理装置2302Aがコンピュータ可読媒体を含むこともある。
【0370】
代替実施形態では、本明細書で述べた方法、機能、または論理の1つまたは複数を実装するために、専用のハードウェア実装形態、例えば特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウェアデバイスを構成することができる。様々な実施形態の装置およびシステムを含むことがあるアプリケーションは、様々な電子およびコンピュータシステムを広範に含むことができる。本明細書で述べる1つまたは複数の実施形態は、モジュール間で、およびモジュールを介して通信することができる関連の制御信号およびデータ信号を用いて、相互接続された2つ以上の専用のハードウェアモジュールまたはデバイスを使用して機能を実装することができ、または特定用途向け集積回路の一部として機能を実装することができる。したがって、本発明によるシステムは、ソフトウェア、ファームウェア、およびハードウェア実装形態を包含する。
【0371】
様々な実施形態によれば、本明細書で述べた方法、機能、または論理は、処理装置可読媒体で有形に具現化され、処理装置によって実行することができるソフトウェアプログラムによって実装することができる。さらに、例示的な非限定的な実施形態では、実装が、分散処理、コンポーネント/オブジェクト分散処理、および並列処理を含むことができる。あるいは、本明細書で述べた方法、機能、または論理の1つまたは複数を実装するために、仮想コンピュータシステム処理を構成することができる。
【0372】
コンピュータ可読媒体は、単一の媒体として示されているが、用語「コンピュータ可読媒体」は、1組または複数組の命令を記憶する単一の媒体または複数の媒体、例えば中央データベースもしくは分散データベース、および/または関連のキャッシュやサーバを含む。また、「コンピュータ可読媒体」は、処理装置によって実行するための1組の命令を記憶、符号化、もしくは担持することができる任意の媒体、または本明細書で開示した方法、機能、論理、もしくは操作の任意の1つまたは複数をコンピュータシステムに実施させる任意の媒体を含むものとする。
【0373】
特定の非限定的な例示的実施形態では、コンピュータ可読媒体は、1つまたは複数の不揮発性の読み出し専用メモリを収納するメモリカードまたは他のパッケージなどソリッドステートメモリを含むことができる。さらに、コンピュータ可読媒体は、ランダムアクセスメモリまたは他の揮発性の書き換え型メモリでもよい。さらに、コンピュータ可読媒体は、伝送媒体を介して通信される信号など搬送波信号を捕捉するために、磁気光媒体または光媒体、例えばディスクまたはテープまたは他の記憶媒体を含むことができる。電子メールへのデジタルファイル添付や、他の自立型の情報アーカイブまたはアーカイブの組を、有形の記憶媒体と同等の配布媒体とみなすことができる。したがって、本開示は、データまたは命令を記憶することができるコンピュータ可読媒体または配布媒体および他の均等物ならびにサクセサ媒体の任意の1つまたは複数を含むものとみなされる。
【0374】
様々な実施形態によれば、本明細書で述べる方法、機能、または論理は、コンピュータ処理装置上で実行される1つまたは複数のソフトウェアプログラムとして実装することができる。同様に、限定はしないが、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理アレイ、および他のハードウェアデバイスを含めた専用ハードウェア実装形態も、本明細書で述べる方法を実施するように構成することができる。さらに、限定はしないが、分散処理またはコンポーネント/オブジェクト分散処理、並列処理、または仮想機械処理を含めた代替のソフトウェア実装形態も、本明細書で述べた方法、機能、または論理を実施するように構成することができる。
【0375】
また、開示した方法、機能、または論理を実施するソフトウェアは、任意選択で、有形の記憶媒体に記憶することができることに留意されたい。そのような有形記憶媒体は、例えば、磁気媒体、例えばディスクやテープ;磁気光媒体もしくは光媒体、例えばディスク;またはソリッドステート媒体、例えば、1つまたは複数の読み出し専用(不揮発性)メモリ、ランダムアクセスメモリ、もしくは他の書き換え型(揮発性)メモリを収納するメモリカードもしくは他のパッケージである。電子メールへのデジタルファイル添付や、他の自立型の情報アーカイブまたはアーカイブの組が、有形の記憶媒体と同等の配布媒体とみなされる。したがって、本開示は、本明細書におけるソフトウェア実装を記憶することができる本明細書に列挙した有形の記憶媒体または配布媒体、および他の均等物、ならびにサクセサ媒体を含むものとみなされる。
【0376】
以上、生物学的な(複雑な)律動障害の検出、診断、および治療のための方法、システム、および装置を述べてきた。具体的な例示的実施形態を説明してきたが、本明細書で述べた進歩性のある主題(発明)のより広範な範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に様々な修正および変更を施すことができることは明らかである。したがって、本明細書および図面は、限定の意味合いではなく、例示とみなすべきである。本明細書の一部を成す添付図面は、限定ではなく例として、主題を実施することができる具体的な実施形態を示す。例示した実施形態は、本明細書で開示した教示を当業者が実施できるように十分に詳細に述べてある。他の実施形態を利用することができ、また例示した実施形態から他の実施形態を導き出すことができ、したがって、本開示の範囲から逸脱することなく、構造および論理上の置換および変形を施すことができる。したがって、発明を実施するための形態は、限定の意味合いとみなされるべきでなく、様々な実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲、およびそのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等形態の全範囲のみによって定義される。
【0377】
進歩性のある主題のそのような実施形態を、本明細書では個別におよび/または総称して単に便宜上「発明」と呼ぶことがあり、これは、実際に複数のものが開示されている場合、任意の単一の発明または進歩性のある概念に本明細書の範囲をあえて限定する意図はない。したがって、具体的な実施形態を本明細書で例示して説明してきたが、同じ目的を実現するように考慮された任意の構成を、図示される具体的な実施形態の代わりに用いることができることを理解すべきである。本開示は、様々な実施形態のあらゆる適応形態または変形形態を網羅するものと意図される。上述した実施形態、および本明細書で具体的には述べていない他の実施形態の組合せは、上記の説明を検討すれば当業者には明らかであろう。
【0378】
前述の実施形態の説明では、本開示を合理化する目的で、様々な特徴を単一の実施形態にまとめてある。この開示法は、特許請求される実施形態が、各請求項に明示的に記載されているよりも多くの特徴を有することを反映するものと解釈すべきではない。そうではなく、添付の特許請求の範囲が反映するとき、進歩性のある主題は、単一の開示された実施形態のすべての特徴ではない。したがって、添付の特許請求の範囲は、各請求項が個別の例示的実施形態として独立した状態で実施形態の説明に組み込まれる。
【0379】
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