特許第5936144号(P5936144)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936144
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月15日
(54)【発明の名称】洗浄可能に制御された排水管
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/12 20060101AFI20160602BHJP
【FI】
   E21B43/12
【請求項の数】17
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-528215(P2013-528215)
(86)(22)【出願日】2011年8月22日
(65)【公表番号】特表2013-539829(P2013-539829A)
(43)【公表日】2013年10月28日
(86)【国際出願番号】US2011048652
(87)【国際公開番号】WO2012033632
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年5月1日
(31)【優先権主張番号】61/381,423
(32)【優先日】2010年9月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594077596
【氏名又は名称】ドレッサー ランド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DRESSER−RAND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ウィリアム シー.
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−542008(JP,A)
【文献】 特表2010−534288(JP,A)
【文献】 米国特許第06093320(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0192718(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/12
B01D 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下側排水管と流体的に連結した出口が形成された下側フランジと連結した、上側排水管と流体的に連結した入口が形成された上側フランジと、
前記上側フランジの前記入口と流体的に連結し、かつ前記上側フランジ内に形成された入口空洞と流れが連通する誘導開口部と、
前記上側フランジ内に配置されかつ前記入口および前記誘導開口部を通して排出流を受け入れかつその上に屑の集積を収容するように形成された渦流ノズルプレートと、
前記上側フランジ内で前記渦流ノズルプレートと連結した屑防壁と、
前記渦流ノズルプレ−ト内に形成されかつ前記屑防壁によって少なくとも部分的に囲まれ、前記入口空洞と渦流室との間の流れの連通を提供する渦流ノズルと、
前記渦流室と流体的に連通しかつ前記下側フランジ内に形成され、それに関して対称的に配置された一連の洗浄液注入ポートを有する環状溝と、
排出量制限器内に形成されかつ前記出口および前記下側排水管と流れが連通する排出制御流路とを有する制御流排水管。
【請求項2】
前記屑防壁は、前記渦流ノズルプレートに集まる前記屑から前記渦流ノズルを隔離する請求項1に記載の制御流排水管。
【請求項3】
前記屑防壁は、前記排出流が前記屑防壁の頂点を越えて前記渦流ノズルに流れ込むことを可能にする請求項1に記載の制御流排水管。
【請求項4】
前記渦流ノズルは、ノズルの入口からノズルの出口間で延びる中心軸線を有する請求項1に記載の制御流排水管。
【請求項5】
前記中心軸線は、水平面に関して角度αで配置され、それによって前記渦流ノズルに対する下方向のピッチを分け与えている請求項4に記載の制御流排水管。
【請求項6】
前記角度αは約20°またはそれより小さい請求項5に記載の制御流排水管。
【請求項7】
前記渦流室は、前記下側フランジの前記渦流ノズルプレートの下側表面および前記排出量制限器の傍に形成された請求項1に記載の制御流排水管。
【請求項8】
前記渦流ノズルプレートの下側表面および前記排出量制限器の上側表面は各々円錐台状の対向する平行平面である請求項7に記載の制御流排水管。
【請求項9】
前記排出制御流路は、そこを通して液体の排出を可能とするが同時にガスのキャリアンダを制限するように設けられた鋭角の端を有する請求項1に記載の制御流排水管。
【請求項10】
排出流を、出口が形成された下側フランジと連結した、入口が形成された上側フランジに受け入れ、
前記排出流を前記上側フランジ内に形成された入口空洞に集め、
渦形ノズルプレート内に形成され、前記入口空洞と前記下側フランジ内に形成された渦流室との間の流れの連通を提供する渦流ノズルから前記排出流内の屑を分離し、
前記渦流ノズルを通して前記排出流を加速して渦流体の流れを生み出して前記排出流内の高濃度の屑を前記渦流室の半径方向に沿った外側領域に押し付け、
前記高濃度の屑を前記渦流室と流体的に連結し前記下側フランジ内に形成された環状溝内の高濃度の屑を集め、
排出制御流路を通して前記下側フランジから前記排出流を排出する排出流制御方法。
【請求項11】
前記環状溝に関して対称的に配列された一連の洗浄液注入ポートから射出された洗浄液によって前記渦流室を洗浄することをさらに有する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記渦流室を前記洗浄液で加圧して前記排出制御流路を通して前記排出流を押し込むことをさらに有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記高濃度の屑の少なくとも一部を浮かして前記高濃度の屑が前記排出制御流路を通して排出されることをさらに有する請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記渦流ノズルおよび前記排出制御流路からの蓄積された汚染を除去して前記洗浄液によって除去することをさらに有する請求項12に記載の方法。
【請求項15】
下側排水管と流体的に連結した出口を形成する下側フランジと連結し、上側排水管と流体的に連結した入口を形成する上側フランジと、
前記入口と流体的に連結した入口空洞と、
前記出口と流体的に連結した渦流室と、
前記入口空洞と前記渦流室との間に配置されかつそこと連結しかつ前記入口空洞内に配置された屑防壁を有する渦流ノズルプレートと、
前記渦流ノズルプレート内に形成されかつ前記入口空洞と前記渦流室との間の流れの連通を提供する渦流ノズルと、
前記下側フランジ内に形成されかつ前記渦流室と流れが連通しかつ前記渦流室と合するその上側の周辺の回りに形成された湾曲した丸みを有する環状溝と、
前記下側フランジ内に形成されかつ前記出口および前記下側排水管と流れが連通する排出制御流路とを有する制御流排水管。
【請求項16】
前記環状溝について対称的に配置された一連の洗浄液注入ポートをさらに有する請求項15に記載の制御流排水管。
【請求項17】
前記渦流ノズルは水平面に関して角度αで配置された中心軸線を有し、それによって下方向のピッチを前記渦流ノズルに分け与えている請求項16に記載の制御流排水管。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、2010年9月9日に提出された米国仮特許出願第61/381,423号に対し優先権を主張する。この先の出願は、本出願と矛盾しない限度において、全体としてここに含まれる。
【0002】
モータ式コンプレッサが海中の環境で使用されて炭化水素の回収の利用を支援することが良くある。高い介入費用を考慮すると、海中のモータ式コンプレッサは概して頑丈で、信頼性の高い機械であって、絶え間のない活動の長い期間において相変わらず効率的のままであることが求められる。しかしながら、モータ式コンプレッサを海中の環境下で運転することは、種々の理由から大変難しいおそれがある。例えば、海中の機械は、前記モータ及びベアリングシステムが配置されている前記空洞内での猛烈な詰まりや汚れおよび液体の偶発的な集積を促進する環境で、メンテナンスの介入なしで生き延びることが求められている。前記モータおよびベアリングシステムの損傷を避けまたは炭化水素の産出の中断を回避するために、この液体は連続的でないとしても周期的に液体に過敏なこれらの空洞から排出されなければならない。
【0003】
しかしながら、前記液体を排出することは、排水管の開口部の汚染を促進しかつ、ついには本質的な排流部分を塞ぐおそれがある屑の前記集積に導きうる。さらに、液体集積の排出は、「ガスのキャリアンダ」として一般に言及される冷却流体または作業流体のようなガスの損失を伴うことが良くある。前記排水システムを通してのガスのキャリアンダの量は前記コンプレッサによって用いられた動力の総計に、したがって、前記圧縮システムの全体的な効率に直接的な影響を与える。
【0004】
少なくとも1の従来の排水システムでは、能動的に制御された防臭弁や他のガス破壊システムが採用されて、液体が排出されることを可能にする一方、前記排水システムを通してガスが漏れるのを防止している。それにも拘らず、海中での利用に適当な能動的な防臭弁システムは非常に高価でかつ複雑であるか、さもなければ重要な部分の計数に起因して信頼性がない。
【0005】
他の制御流排水システムは受動的な制限流排水装置を採用する。そのような装置は、好ましくないガスの脱出を制限するように配置されたある種の流量制限器または絞り弁を使用する一方、全ての液体は、前記空洞から、前記システムの適当な液体の耐性のある部分に排出することを可能にする。しかしながら、この種のシステムに対しては、最小の流量制限器サイズが求められ、特に、前記流量制限器の詰まりや汚れが問題となる。
【0006】
他の種類の制御流排水システムは、前記流れに周速度を与えるように配置された純粋に接線方向に沿ったノズルを有する渦流絞り弁を使用する。排出流路は典型的には、円形の渦流室の底で、前記渦流絞り弁の中心線に接近して配置されている。これらの装置は前記渦流室内に設定された渦流内でのエネルギーの散逸に起因する低い流量係数を享受している。渦流絞り弁は低い流量係数を提供することによって能動的に制御される排水管の前記感度を緩和するけれども、前記流量制限流路は厳しい活動の中での汚れや詰まりをさらに被る。加えて、前記渦流絞り弁の前記典型的な接線方向に沿った入口の形態は、高圧の海中の利用のための頑健でコンパクトな構造に適っていない。
【0007】
したがって、必要とされることは、従来の制御流排水管のこれらの限界および他の限界を克服する制御流排水システムである。
【発明の概要】
【0008】
本開示の実施の形態は、制御流排水管を提供することがある。前記排水管は下側フランジと連結した上側フランジを有し、該上側フランジは、上側の排水管と流体的に連結した入口を形成し、前記下側フランジは、下側排水管と流体的に連結した出口を形成している。前記排水管はさらに前記上側排水管の前記入口と流体的に連結しかつ前記上側フランジ内に形成した入口空洞と流れが連通する誘導開口部と、前記上側フランジ内に配置されかつ前記入口及び誘導開口部を通して排出流を受け入れて屑の集積を収容するように形成された渦流ノズルプレートとをさらに有することがある。前記排水管は、前記上側フランジ内の前記渦流ノズルプレートと連結した屑防壁と、前記渦流ノズルプレート内に形成され前記屑防壁によって少なくとも部分的に囲まれ、かつ前記入口空洞と渦流室との間での流体の連通を提供する渦流ノズルと、前記渦流室と流体的に連通可能であって前記下側フランジ内に形成され、かつそれに対して対称的に配列された一連の洗浄液注入ポートを有する環状溝と、を有することもある。前記排水管は、前記排出量制限器内に形成されかつ前記出口および前記下側排水管と流体が連通する排出制御流路を有することもある。
【0009】
本開示の実施の形態は、排出流を制御する方法をさらに提供することもある。該方法は、出口を形成した下側フランジと連結しかつ入口を形成した上側フランジ内に前記排出流を受け入れること、前記上側フランジ内に形成された入口空洞に前記排出流を集めること、および、前記排出流内の屑を渦流ノズルプレート内に形成されかつ前記入口空洞と前記下側フランジに形成された渦流室との間での流体の連通を提供する渦流ノズルから分離することを含有することがある。前記方法は、前記渦流ノズルを通して前記排出流を加速させて前記渦流室の半径方向に沿った外側領域にまで前記排出流内の高密度の屑を押しやる渦流体の流れを生み出すこと、および、前記渦流室と流体的に連結しかつ前記下側フランジ内に形成された環状溝内に前記高密度の屑を集積することをさらに含有することがある。前記排出流はそれから前記下側フランジから排出制御流路を通して排出されることがある。
【0010】
本開示の実施の形態は、他の制御流排水管をさらに提供することがある。該排水管は、下側フランジと連結した上側フランジを含有することがあり、該上側フランジは上側排水管と流体的に連結した入口を形成し、該下側フランジは下側排水管と流体的に連結する出口を形成している。前記排水管は前記入口と流体的に連結した入口空洞と、前記出口と流体的に連結した渦流室と、前記入口空洞と前記渦流室との間に配置されかつそれと連結しかつ前記入口空洞内に配置された屑防壁を有する渦流ノズルプレートとをさらに含有することがある。前記排水管は、前記渦流ノズルプレート内に形成されかつ前記入口空洞と前記渦流室との間の流体の連通を提供する渦流ノズルと、前記下側フランジ内に形成されかつ前記渦流室との流れの連通を提供する環状溝とを有することもあり、該環状溝が前記渦流室と合するその上側周縁部の周りに形成された湾曲した丸みを該環状溝が有する。前記排水管は、下側フランジ内に形成され前記出口及び前記下側排水管と流れが連通する排出制御流路を有することもある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示は、添付の図面を用いて読み取る場合には、下記の詳細な説明から最も良く理解される。工業上の通常の慣例にしたがって、種々の構成要素が一定の比率に描かれていない。実際、前記種々の構成要素の前記大きさは、考察の明瞭性のために任意に拡大されまたは縮小されている可能性がある。
【0012】
図1】は、開示された1または2以上の実施の形態に係る典型的な排水管の断面図を表す。
【0013】
図2A】は、開示された1または2以上の実施の形態に係る屑防壁および渦流ノズルの側面図を表す。
【0014】
図2B】は、開示された1または2以上の実施の形態に係る屑防壁および渦流ノズルの平面図を表す。
【0015】
図3】は、図1に表した前記排水管の等角投影法による断面図を表す。
【0016】
図4】は、本開示の1または2以上の実施の形態に係る図1に表した前記排水管の一部の詳細な断面図を表す。
【0017】
図5】は、本開示の1または2以上の実施の形態に係る排出流を制御する模式的な方法を表す。
【発明の詳細な説明】
【0018】
下記の開示は、本発明の種々の構成要素、構造または機能を実施するためのいくつかの典型的な実施の形態を記述していることが理解されるべきである。構成部分、配列および形状の典型的な実施の形態が下記に説明されて本開示を簡単化している。しかしながら、これらの典型的な実施の形態は、単に、実施例として提供されるものであって、本発明の前記範囲を制限する意図はない。加えて、本開示は、種々の典型的な実施の形態においておよびここに提供された図面に渡って、参照符号および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、簡単化及び明瞭化の目的のためであって、それ自体が前記種々の典型的な実施の形態および/または前記種々の図面で考察された構成の間の関係を規定するものではない。さらに、下記の説明内での第2の構成要素上にまたは第2の構成要素上方での第1の構成要素の形成は、前記第1および第2の構成要素が、直接の接触で形成される実施の形態を含有することがあり、かつ、追加の構成要素が、前記第1および第2の構成要素の間に挿入されるように形成され、それによって、前記第1および第2の構成要素が直接的な接触状態にないこともある実施の形態を含有することもある。最後に、下記に提示される前記典型的な実施の形態は、任意の結合方法で結合されることがある。すなわち、1の典型的な実施の形態からの任意の要素が、本開示の範囲を逸脱することなく任意の他の典型的な実施の形態において使用されることがある。
【0019】
加えて、ある種の語句が下記の説明および特許請求の範囲を通して使用されて特定の構成部分を言及している。いわゆる当業者が認めるように、種々の団体が、異なる名称によって同一の構成部分を言及することがあり、そうであるので、ここに記載された前記要素に対する命名の伝統的手法は、ここでそうでないように特に規定しない限りは、本発明の範囲を制限する意図はない。さらに、ここで用いられた前記命名の伝統的手法は、名称において異なるが機能において異ならない構成部分間を識別する意図はない。加えて、下記の考察及び特許請求の範囲において、前記語句「含有すること」および「有すること」は、開放型様式で使用され、したがって、「(それ)を有するが、(それ)に限定されない」ことを意味するように解釈すべきである。本開示での全ての数値は、もしそうでないと特に記述しない限りは、厳密または近似的な値である可能性がある。したがって、本開示の種々の実施の形態は、前記意図した範囲から逸脱することなく、ここに開示された前記数値、値及び範囲から外れることがある。さらに、前記特許請求の範囲または明細書で使用されているように、前記語句「または」は、排他的および包括的な場合の両方を含有するように意図している。すなわち、「AまたはB」は、そうでないようにここに明示していない限りは、「AおよびBの内の少なくとも1つ」と同義語であることを意図している。
【0020】
図1は、ここに開示された1または2以上の実施の形態に係る典型的な制御流排水管100の断面図を表す。前記排水管100はモータ式コンプレッサのようなターボ機関(図示せず)内の1または2以上の汚染に敏感な空洞から、好ましくない流体および/または汚染物質を除去し去るために使用されることがある。前記排水管100は、同時に、前記汚染に敏感な空洞からのガスの不必要な退出の制限またはそうでなければ防止をするように配置されることがある。少なくとも1の実施の形態では、前記排水管100は、天然ガスまたはメタンを含有するがこれに限定されない炭化水素のような、作業流体を受け入れかつ圧縮するように形成された海中のモータ式コンプレッサとともに用いられることがある。
【0021】
前記排水管100は、改変した高圧管フランジ内に埋められまたはそうでなければ形成されることがあり、上側フランジ102および下側フランジ104を含有する。少なくとも1の実施の形態では、前記上側および下側フランジ102,104は、一体成形の管状フランジを形成することがある。しかしながら、描かれた実施の形態では、前記上側および下側フランジ102,104は、相互に、機械的締め具(例えば、ボルト)、溶接、鑞付け又はこれらの組み合わせによるよう、いわゆる当業者によって知られているように連結されることがある。環状の封止材103が、前記フランジ102,104の間に配置されかつ前記フランジ102,104を封止係合するように形成されることがあり、それによって、それらの間に水密封止を創り出す。1の実施の形態にあっては、前記環状封止材103は、Oリングのことがあるが、本開示の範囲を逸脱することなく他の種類の封止材を含めることもある。
【0022】
前記上側および下側フランジ102,104は、付随するターボ機関の上側及び下側排出管(図示せず)と各々連結されて、前記好ましくない流体および/または汚染物質を前記ターボ機関内の前記液体に敏感な空洞から流しかつ除去することがある。前記好ましくない流体および/または汚染物質は、水または炭化水素に基づく液のような液体を含有することがあるが、上述した前記汚染に敏感な空洞の前記内部から引き出されたガスを含有することもある。
【0023】
詰りを最小化するために、前記連結している上側及び下側排水管は、前記排水管100の流れ面積の4倍を提供することがある。少なくとも1の実施の形態では、前記連結している上側及び下側排出管は前記排水管100の流れ面積の10倍またはそれ以上を提供している。描かれているように、前記排水管100は、重力に関して方角が定められ、前記上側フランジ102内に形成されたその上側領域に入口106を有し、前記下側フランジ104内に形成されたその底領域に出口108を有することがある。したがって、矢印AおよびBによって描かれているように、排出流体の流れは前記排水管の対称軸Qに関し大体軸方向に沿って進む。
【0024】
前記排出流が前記入口106に入る時に、それは、入ってくる前記排出流を集めかつそれを入口空洞112に導くように形成された誘導開口部110を通り、実質的に次の前記渦流ノズルプレート114の中央に導かれる。前記入口空洞112は、前記上側フランジ102内に形成されかつ前記渦流ノズルプレート114の前記上側表面によってその基部が部分的に形成される線対称的な輪郭を有する空洞のことがある。前記入口空洞112は前記排出流を受け入れる際に、前記排出流内に含まれる粒子状の汚れまたは屑116が前記渦流ノズルプレート114の前記上側表面に沈積されまたはそうでなければ集められる。典型的な屑116は、金属片、さび、石、砂、腐食粒子、沈澱堆積物、および/またはこれらの組合せを含有することがある。
【0025】
屑防壁118は、前記入口空洞112内に配置されかつ前記渦流ノズルプレート114に溶接されまたはそうでなければフライス加工されることがある。図2Aおよび図2Bに関して以下に示されかつ記述されているように、前記屑防壁118は渦流ノズル202のノズル入口204を囲むことがある。運転中において、前記屑防壁118は、少なくとも部分的に、前記渦流ノズルプレート114の前記上側表面に積もっている前記屑116から前記渦流ノズル202の入口領域204を隔離するように形成されている。同時に、前記屑防壁118は排出流が前記屑防壁118の前記頂点を越えて前記渦流ノズル202にまで流れることができる。従って、以下に記載されるように、前記渦流ノズル202は、前記入口空洞112と渦流室120との間の流れの連通を提供することがある。
【0026】
図2A図2Bを参照すると、ノズル入口204とノズル出口206を有する前記渦流ノズル202が表されている。図2Aは前記渦流ノズル202の側面図を描き、図2Bは、前記渦流ノズル202の平面図を描いている。表されているように、前記渦流ノズル202は前記渦流ノズルプレート114に画定されまたはそうでなければ形成され、前記屑防壁118は少なくとも部分的に前記ノズル入口204を囲むことがある。前記渦流ノズル202は、中心軸線Rをもつプリズム状の円柱状流路を含有することがある。
【0027】
1または2以上の実施の形態では、前記渦流ノズル202は、複合した傾斜角度を用いて形成されまたはそうでなければ配列されることがある。例えば、図2Aに示すように、前記渦流ノズル202の中心軸線Rは、前記水平のX軸に関して角度αで配列されることがあり、それによって、水平に関して前記渦流ノズル202に対し下向のピッチを分け与えている。少なくとも1の実施の形態にあっては、前記角度αは約20°またはそれより小さいことがある。図2Bに示されているように、前記渦流ノズル202は、さらに、Z軸に関して角度βで配列されることがあり、それによって前記ラジアル平面での接線方向の排出ピッチの円形構造に関して角度βで前記中心軸線Rの位置を定めている。言い換えれば、角度βで前記中心軸線Rの位置を定めることは、効率的に、前記渦流ノズルプレート114の下方に配置された部分領域に関して純粋に接線方向の排出位置から離れて回転することになる。少なくとも1の実施の形態では、前記角度βは、約15°のことがある。しかしながら、ご察しのように、前記角度βは前記渦流ノズル202の望ましい径に応じて調節されることがある。したがって、前記渦流ノズル202に対する広い範囲の径を、前記角度βを単純に調整することによって得ることがある。
【0028】
二重の複合傾斜角度α、βの使用は、前記渦流ノズル202の前記ノズル入口204及びノズル出口206の両方が同じ同心の環状の境界内に含まれるコンパクトな構造を見込んでいる。そのような設計は、純粋に接線方向の渦流ノズルの設計を用いる上述した前記先行技術のより嵩張った設計に比べて、前記理論的な接線方向の渦流速度の90%を維持している。
【0029】
1または2以上の実施の形態では、前記渦流ノズルプレート114の前記全般的な厚さT(図2A)は、そのノズルの入口204と出口206の脱出領域の間の前記渦流ノズル202の前記完全な円柱状部分が前記ノズル202の流路の径に長さにおいてほぼ等しいことを見込んでいる。ガスのキャリアンダに関する懸念が抑制の制御である場合には、前記渦流ノズル202の前記サイズは、起こりうる付着している粒子や屑による閉塞に対する耐性のためにいわゆる当業者によって受け入れられるとみなせる前記最小の径に固定されることがある。少なくとも1の実施の形態にあっては、前記渦流ノズル202の工業的に受け入れ可能なサイズは、径が約1/8インチから約1/4インチの範囲のことがある。
【0030】
図1に戻ると、前記排水管100は、さらに、前記下側フランジ104内に形成されまたはそうでなければ画定された渦流室120を含有することがあり、前記渦流室は、前記渦流ノズルプレート114の前記円錐台状の下側表面によって画定されたその上側領域と排出量制限器122によって確定されたその下側領域とを有する。前記排出量制限器122は、全体として円錐台の形状を有しかつその中央に画定された排出制御流路124を有することもある。少なくとも1の実施の形態では、前記渦流ノズルプレート114の前記円錐台状の下側表面及び前記排出量制限器122の全体的に円錐台状の前記形状は、相互に反射するようにやや傾斜した対向する平行面のことがある。1の実施の形態では、前記渦流ノズルプレート114の前記円錐台状の下側表面および前記全体として円錐台状の前記排出量制限器122の形状の前記傾斜角は約10°のことがあるが、そのような角度は種々の流量係数を持った流体が用いられる種々の利用に適するように修正されることがある。前記排出量制限器122の前記円錐台の形状は、排出流が集まりかつ前記排出制御流路124を通して排出することになる前記渦流室120の低点をさらに生み出すことがある。前記円錐台形状は、前記排出量制限器122の前記表面上における固体及び/または液体の偶発的な積層を防止することもある。これは、前記排出量制限器122に渡って課せられる小さい圧力差または圧力差のない液体が存在する場合の排出にとって特に重要となることがある。
【0031】
前記排出制御流路124は貫流を最小限化するように形成され、それによって制限器として作動することがある。1の実施の形態では、前記排出制御流路124は、そこを通る液体の排出を可能にするが同時にガスのキャリアンダを制御しさもなければ制限するように設けられた鋭角の縁を有する。前記排出制御流路124は前記下流側の出口108の排出と流れが連通し、該排出は前記下流側の排出配管システムと流体的に順次連通している。運転中には、排出制御流路124を通しての流量は全体として、前記排出流を前記渦流ノズル202を通過させるために要求される圧力の低下、前記渦流ノズル202によって生み出される前記渦流及び前記排出制御流路124の前記全体的な形状の前記一連の組合せによって全体として制御される。少なくとも1の実施の形態においては、前記排出制御流路124の前記径は、前記渦流ノズル202の前記径と同一のことがある。しかしながら、ご察しのように、前記排出制御流路124の前記径は、本開示の前記範囲を逸脱することなく、前記渦流ノズル202の前記径よりも大きいこともあり、小さいこともある。
【0032】
前記渦流室120は、一般的に円柱状の空間のことがあり、前記渦流ノズル202(図2A,2B)から排出する前記排出流が完全に渦状の流れに発展することを可能にする。前記渦流室120の前記構造の幾つかの新規な構成要素が、扱いにくい無人の海中の条件における長い活動を容易化することに向けられている。例えば、少なくとも1の実施の形態では、前記渦流室120の構造は前記渦流ノズル202の径にほぼ等しい高さを有する。しかしながら、ご察しのように、前記渦流室120の前記高さは、本開示の前記範囲を逸脱することなく、前記渦流ノズル202の径よりも大きいまたは小さいように変形することがある。加えて、前記流量係数を最小化するために、前記渦流室120の前記径は前記渦流ノズル202の径の約5倍から約10倍のことがある。
【0033】
前記渦流室120の他の顕著な特徴は、前記屑116及び任意の他の汚染物質を前記渦流室120から洗い流すことによって前記渦流室120からの屑116の収集と除去のための対策である。これを達成するために、前記渦流室120は、環状溝126及び前記環状溝126に関して対称的に配列された一連の洗浄液注入ポート128(図1に2個が示されている)と流体的に連通することがある。表されているように、前記環状溝126は前記下側表面上で前記渦流室120の外側領域の前記排出量制限器122の周りに形成されることがある。前記洗浄液注入ポート128は、外部の配管連結部(図示せず)から前記渦流室120に洗浄液を供給するように形成されることがある。1の実施の形態では、前記洗浄液は、水のことがあるが、炭化水素またはこの分野で公知の他の液体源から引き出される液体を含有することもある。洗浄のために必要な限りは、前記洗浄液注入ポート128は封止されて、流体の流れがそこを通過しないようにする。
【0034】
前記渦流ノズル202から前記渦流室120に排出した前記渦流体の流れは前記排出流内に配置された高濃度の屑116を前記渦流室120の半径方向に沿った外側領域に押しやられ、前記屑116はついには、前記渦流室120自体の全領域を塞ぐことなく前記環状溝126に落ち着く。前記ターボ機関の負荷サイクルの間のある時点で、たとえば、前記環状溝126内に集積した前記屑116は、洗浄液を前記環状溝126に、前記洗浄液注入ポート128を介して注入することによって洗い去ることができる。洗浄が実行される時、前記洗浄液は、これらのポート128から一様に流れて、前記渦流室120を加圧し、それによって集積した屑116を渦流室120から前記排出制御流路124を通して脱出させる。ご察しのように、前記渦流室202を加圧することは、前記環状リング126に集積した固体の汚染物または屑の少なくとも一部を浮かせることに役立つことが可能である。一旦、浮かせると、前記屑はより簡単に前記排出制御流路124を排出する。
【0035】
前記加圧した洗浄液は、前記排出制御流路124の前記端に積もった可能性がある汚れを除去するのにも役立つ。さらに、前記渦流室120は、加圧されているので、前記洗浄液の小部分が同時に、かなりの圧力で、前記渦流ノズル202を通して押し込まれる。したがって、前記渦流室120の洗浄は、前記渦流ノズル202に形成された屑116または汚染物質も取り除き、そのような取り除かれた屑116および/または汚染物質は、それから前記排出制御流路124を通って前記排水管100から除去されることができる。
【0036】
さて、図3を参照すると、図1に表した前記排水管100と等角投影法による断面図が表されている。そうであるので、図3は、図1を参照することで最も良く理解されることができ、そこでは類似の参照符号が類似の要素に対応するので、詳細には再び説明されない。典型的な運転では、排出流体は、矢印Cで表されるように、前記入口106を通って前記排水管100に入る。矢印Dで表わされるように、前記誘導開口部110は、前記流入する排出流を中心に集めそれを前記入口空洞112及びそれに続く渦流ノズルプレート114に導く。矢印Eで表すように、前記より一層高濃度の屑116(図1)及び他の汚染物質が前記渦流ノズルプレート114の前記上側表面に集積する一方、より一層低濃度の流体が前記屑防壁118の前記頂点を越えて前記渦流ノズル202方向へ流れる。
【0037】
矢印Fで表すように、前記排出流が前記渦流ノズル202を通して流れるので、それは加速されかつ前記渦流室120内で完全な渦流体の流れに発展する。矢印Gで表すように、前記渦流ノズル202から排出する前記渦流体の流れは、前記排出流内の高濃度の屑及び他の汚染物質を前記渦流室120の半径方向に沿った外側領域に押し付け、そこでは、ついには前記環状溝126に沈澱させる。矢印Hで表すように、前記洗浄液注入ポート128(1つが図3に示された)を通して洗浄液を注入することによって、前記屑及び汚染物質が除去されまたはそうでなければ前記環状溝126から前記排出量制限器122の前記円錐台状表面に洗い流される。矢印Iで表すように、前記渦流室120を洗い流すことも前記渦流室を加圧することにも役立ち、それによって、排出流および好ましくない汚染物質を前記排出制御流路124に押し付ける。少なくとも1の実施の形態にあっては、前記入口106から前記排水管100までの上流に位置した弁(図示せず)が洗浄動作の間に閉成されることがあり、それによって、前記排水管の完全な加圧を前記排出制御流路124を介して、結果として起きる屑116(図1)の除去を増進する。
【0038】
さて、図4を参照すると、前記排水管100の部分的な横断面図が表され、特に前記渦流室120の断面図と、前記環状溝126との相互作用または流れの連通が表されている。少なくとも1の実施の形態にあっては、前記環状溝126の上側の周囲であって前記渦流室120と合する場所は、前記渦流室120の周辺の回りに湾曲した丸みを有する。ご察しのように、矢印Jで表すように、前記湾曲した丸み402は、全体として洗浄された屑または汚染物質を前記排出制御流路124に導くように形成されることがあり、矢印Kで表すように、前記渦流ノズル202を通して集められた屑の潜在的な逆流を最小化する。
【0039】
ここに全体として開示されているような前記排水管100はいくつかの利益を提供することが承認されることになる。例えば、前記入口流の誘導開口部110、前記渦流ノズルプレート114、および前記屑防壁118の組合せは、前記排出制御流路124のようなより小さな前記下流側流れ制御流路から、潜在的な妨害物質を除くことによって厳しい汚染または詰りの活動において長期の動作を可能にする。また、その驚くべき複合角度を含有する前記渦流ノズル202のコンパクトな形態は、前記排水管100が、通常の配管フランジ内に都合よく包含されることを可能にする。さらに、前記環状リング126と、前記環状リング126の前記周辺の回りに配置された一様に配列された洗浄液注入ポート128は、さらに、特に海中の利用における、前記排水管100の厳しい活動への利用を長期化する。最後に、前記渦流室120の前記円錐状の端壁は、前記排水管100に渡って小さい圧力差または圧力差のない場合に、重力で支援された液体の排出を積極的に増進する一方、同時に、前記排出制御流路124を通しての有害なガスの移動を制限する。したがって、本開示は、排水メンテナンスを要求する海中の装置の高い信頼性と効率的な長期間の動作を可能にする。
【0040】
さて、図5を参照すると、排出流の制御に関する模式的な方法500が描かれている。前記方法500は、ステップ502におけるように、排水管内の排出流を受けることを含有することがある。前記排出流は、下側のフランジと連結した上側フランジを含有することがあり、前記上側フランジは、入口を形成し、前記下側フランジは出口を形成する。ステップ504におけるように、前記排出流は、それから誘導開口部によって入口空洞内に集中化されることがある。前記誘導開口部は流体的に前記上側フランジの前記入口と連結されることがある。ステップ506におけるように、前記流入する排出流内の屑は、そのとき、渦流ノズルから分離することができる。前記渦流ノズルは、渦流ノズルプレート内に画成されて、前記入口空洞と渦流室との間の流れの連通を提供することがある。前記渦流室は、前記下側フランジ内に画成されることがある。
【0041】
ステップ508におけるように、少なくとも前記排出流の一部は、前記渦流ノズルを通して加速されて、渦流体の流れを生成することがある。前記渦流体の流れは前記排出流内の高濃度の屑を前記渦流室の半径方向に沿った外側領域に押し付けるように配置されることがある。ステップ510におけるように、一旦前記排出流から分離すると、前記高濃度の屑は、環状溝内に集まることがある。前記環状溝は、前記渦流室と流体的に連結されて、前記下側フランジ内に画成されることがある。ステップ512におけるように、前記排出流は、そのとき、前記下側フランジから排出制御流路を通して、排出されることがある。
【0042】
ここで使用されているように、「約」は、確認された特別な性質に対する典型的な実験的な誤差に基づく変位の程度に関連している。前記語句「約」によって提供された許容範囲は特定の文脈および特別な性質に依存することになり、いわゆる当業者によって容易に識別されることができる。前記語句「約」は、そうでなければ他の値が提供されるかもしれない等価の程度を広げまたは制限するつもりはない。さらに、そうでないように述べられていないならば、前記語句「約」は、範囲および数値データに関する下記に記述されているものと合致する「厳密に」を明白に含有するものとする。
【0043】
前述したことはいくつかの実施の形態の構成要素を概説したものなので、いわゆる当業者が本開示をより良く理解することができる。いわゆる当業者は、ここに紹介した実施の形態と同一の目的を実行し、および/または同一の利益を達成するために他の方法及び構造を設計しまたは変更するための基礎として本開示を喜んで使用する可能性があることを承認すべきである。いわゆる当業者は、また、そのような等価な構成は、本開示の主旨及び範囲から逸脱していないこと、および、彼らが本開示の主旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変形、置換えおよび変更を行なう可能性があることを十分に理解すべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5