(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
5’から3’に向かって、前記(y)ヒスチジンタグのコード核酸、前記(x)抗体候補のコード核酸および前記(z)核酸分子のコード核酸が、この順序で配置されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の核酸構築物。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の核酸構築物>
本発明の第1の核酸構築物は、前述のように、抗原に対する抗体候補を発現するための核酸構築物であり、下記(x)、(y)および(z)のコード核酸を有し、
前記(x)、(y)および(z)のコード核酸は、
前記(x)、(y)および(z)のコード核酸が、融合転写物として転写され、
前記(x)および(y)のコード核酸が、融合翻訳産物として翻訳されるように連結されていることを特徴とする。
(x)抗体の可変領域のコード核酸に任意ペプチドのコード核酸が挿入された、抗体候補のコード核酸
(y)ペプチドタグのコード核酸
(z)前記ペプチドタグに結合する核酸分子のコード核酸
【0012】
本発明において、「抗体候補」は、例えば、目的の抗原への結合性を示すか否かを確認する、ペプチド候補(peptide candidate)を意味する。本発明の第1の核酸構築物は、例えば、目的の抗原に結合可能なペプチドまたはそのコード核酸をスクリーニングするためのスクリーニング用核酸構築物ともいう。
【0013】
本発明において、以下、前記任意ペプチドを「ランダムペプチド」、そのアミノ酸配列を「任意ペプチド配列」または「ランダムペプチド配列」、前記任意ペプチドのコード核酸を「任意コード核酸」または「ランダムコード核酸」、その核酸配列を「任意コード配列」または「ランダムコード配列」ともいう。本発明において、以下、前記ペプチドタグを「タグ」、そのアミノ酸配列を「ペプチドタグ配列」または「タグ配列」、前記タグのコード核酸を「タグコード核酸」または「ペプチドタグコード核酸」、その核酸配列を「タグコード配列」または「ペプチドタグコード配列」ともいう。本発明において、以下、前記タグに結合する核酸分子を「アプタマー」または「タグアプタマー」、その配列を「アプタマー配列」または「タグアプタマー配列」、前記アプタマーのコード核酸を「アプタマーコード核酸」または「タグアプタマーコード核酸」、その配列を「アプタマーコード配列」または「タグアプタマーコード配列」ともいう。
【0014】
本発明において、アンチセンス鎖は、二本鎖のうち、転写の鋳型となる鎖をいい、センス鎖は、二本鎖のうち、前記アンチセンス鎖の相補鎖であって、転写の鋳型とならない鎖をいう。転写産物は、前記アンチセンス鎖と相補的であり、TがUに代わる以外は、前記センス鎖と同じ配列である。「転写産物」は、例えば、RNAであり、具体的にはmRNAである。「翻訳産物」は、例えば、ペプチドであり、タンパク質の意味も含む。本発明において、「ペプチド」は、例えば、2個以上のアミノ酸残基が結合したものである。本発明において、前記ペプチドは、例えば、いわゆるポリペプチドの意味を含み、前記ポリペプチドは、いわゆる前記オリゴペプチドの意味を含む。一般的に、前記オリゴペプチドは、例えば、アミノ酸残基数10個程度以下のペプチドである。本発明において、5’側は、上流側、3’側は、下流側ともいう。
【0015】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、一本鎖でもよく、二本鎖でもよく、後者が好ましい。本発明の説明において、センス鎖またはアンチセンス鎖という用語を使用するが、これは、本発明の第1の核酸構築物を二本鎖に限定するものではない。これらの用語の使用は、例えば、各コード核酸の配列およびこれらの位置関係等を説明する際、転写の鋳型となるアンチセンス鎖として説明するか、その相補鎖(センス鎖)として説明するかを明確にするためである。
【0016】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、DNAが好ましく、前記各コード核酸は、例えば、それぞれ、DNA配列を含み、好ましくはDNA配列からなる。
【0017】
本発明の第1の核酸構築物は、前記(x)抗体候補コード核酸、前記(y)タグコード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、融合転写産物として転写可能である。前記融合転写物は、例えば、前記(x)から転写されたmRNA、前記(y)から転写されたmRNAおよび前記(z)から転写されたRNAアプタマーを含む融合転写産物であり、これらのRNAが連結している。また、本発明の第1の核酸構築物は、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(y)タグコード核酸が、融合翻訳産物として翻訳可能である。前記融合翻訳産物は、例えば、前記(x)から翻訳された前記抗体候補および前記(y)から翻訳された前記タグを含む融合翻訳産物であり、これらのペプチドが連結している。
【0018】
本発明の第1の核酸構築物において、前記(x)抗体候補コード核酸と前記(y)タグコード核酸と前記(z)アプタマーコード核酸との位置関係は、特に制限されない。前記(x)抗体候補コード核酸と前記(y)タグコード核酸との位置関係は、例えば、センス鎖において、前記(x)抗体候補コード核酸の5’側に、前記(y)タグコード核酸を有してもよいし、前記(x)抗体候補コード核酸の3’側に、前記(y)タグコード核酸を有してもよく、好ましくは前者である。前記(z)アプタマーコード核酸の位置は、例えば、センス鎖において、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(y)タグコード核酸の5’側でもよいし、3’側でもよく、好ましくは後者である。
【0019】
前記(x)抗体候補コード核酸、前記(y)タグコード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸は、例えば、センス鎖において、前記(y)タグコード核酸、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されていることが好ましい。これらの配列方向は、特に制限されず、例えば、センス鎖において、5’側から3’側に向かって、または、3’側から5’側に向かって、前記(y)タグコード核酸、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されてもよい。好ましくは、センス鎖において、5’側から3’側に向かって、前記(y)タグコード核酸、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されている。前記(z)アプタマーコード核酸は、例えば、前記核酸構築物において、転写終結点または転写終結点近傍のステムループ構造に含まれることが好ましい。
【0020】
前記(x)抗体候補コード核酸は、前述のように、抗体の可変領域コード核酸に前記任意コード核酸が挿入されている。前記(x)抗体候補コード核酸は、例えば、前記任意コード核酸が挿入された前記可変領域コード核酸のみを有してもよいし、前記可変領域を含む抗体全体または抗体の部分断片のコード核酸を有してもよい。
【0021】
本発明において、前記任意コード核酸の挿入の形態は、特に制限されない。本発明において、前記任意コード配列の挿入は、例えば、前記可変コード核酸の末端への付加による挿入、前記可変コード核酸の内部への付加による挿入、前記可変コード核酸の部分領域との置換による挿入等の意味を含む。以下、便宜上、末端への付加による挿入を「付加」、内部への付加による挿入を「挿入」、置換による挿入を「置換」として説明する場合もあるが、本発明における「任意コード核酸の挿入」は、いずれであってもよい。
【0022】
前記任意コード核酸は、例えば、前記可変領域コード核酸が部分的に欠失することなく、前記可変領域コード核酸の末端に付加されてもよく、および/または、前記可変領域コード核酸の内部に挿入されてもよい。また、前記任意コード核酸は、例えば、前記可変領域コード核酸の少なくとも一部の領域を欠失させ、その欠失部位に挿入されてもよい。この場合、前記任意コード核酸は、例えば、前記抗体候補コード核酸において、前記可変領域コード核酸の少なくとも一部の領域との置換により挿入されているともいえる。本発明において、前記任意コード核酸の挿入は、特に制限されず、例えば、置換による挿入が好ましい。
【0023】
前記可変領域の由来となる抗体、例えば、Igの種類は、何ら制限されない。前記Igは、例えば、単量体、2量体、5量体等があげられ、Igのサブタイプは、例えば、IgA、IgM、IgG、IgD、IgE等があげられる。前記Igの由来となる種も、特に制限されず、例えば、ヒト、マウス、モルモット等のネズミ科、ウサギ、ラクダ、ラマ等のラクダ科等の哺乳類があげられる。また、前記可変領域は、例えば、人工的に設計された配列でもよい。
【0024】
前記可変領域は、特に制限されず、例えば、VHドメイン、VLドメイン、VHHドメイン等があげられる。前記可変領域は、例えば、これらのドメインの組合せでもよい。具体例として、前記可変領域は、例えば、VHドメインとVLドメインとをリンカーペプチド等で連結したscFv/sFv、VHドメインと、VLドメインまたはVpreBとを共発現したペプチド等があげられる。
【0025】
前記可変領域は、例えば、VHHドメインが特に好ましい。VHHドメインは、例えば、前記ラクダ科由来Igの可変領域であり、前記Igは、軽鎖を欠失する一本鎖の重鎖抗体である。前記VHHドメインは、例えば、ジスルフィド結合の形成を防止できることから、例えば、Cys残基を、Cys残基以外のアミノ酸残基に置換した配列であることが好ましい。
【0026】
前記可変領域における前記任意コード核酸の挿入部位は、特に制限されず、例えば、抗原の認識領域となる超可変領域が好ましい。前記任意コード核酸を、前述のように付加する場合、付加する部位は、例えば、前記可変領域の末端があげられ、前記任意コード核酸を、前述のように挿入する場合、挿入する部位は、例えば、前記可変領域の内部があげられる。また、前記任意コード核酸を、前述のように置換により挿入する場合、置換する部位は、例えば、前記可変領域全体でもよいし、前記可変領域の部分領域でもよい。つまり、例えば、前記可変領域の全体を前記任意コード核酸で置換してもよいし、前記可変領域の部分領域を前記任意コード核酸で置換してもよい。
【0027】
具体例として、前記可変領域がVHHドメインの場合、前記任意コード核酸の挿入部位(付加、挿入および/または置換の部位)は、例えば、CDR1領域、CDR2領域またはCDR3領域があげられ、いずれか1領域でもよいし、いずれか2領域または全3領域でもよい。中でも、前記任意コード核酸の挿入部位は、例えば、前記CDR3領域が好ましく、特に、前記CDR3領域の全体または部分領域に、前記任意コード核酸が挿入されていることが好ましい。前記任意コード核酸は、前述のように、例えば、付加、挿入および置換のいずれでもよく、具体的には、例えば、前記CDR3領域の全体または部分領域が、前記任意コード核酸に置換されることで、前記任意コード核酸が挿入されていることが好ましい。
【0028】
前記任意コード核酸の配列は、何ら制限されない。前記任意コード核酸は、例えば、ランダムに設計した塩基配列でもよいし、任意のアミノ酸配列に基づいて設計した塩基配列でもよい。前記任意コード核酸の長さは、特に制限されない。前記任意コード核酸を、前記可変領域コード核酸に置換により挿入する場合、例えば、前記可変領域コード核酸における欠失部位の長さに応じて適宜設計できる。前記任意コード核酸の長さは、例えば、3の倍数の塩基長であり、下限は、特に制限されず、例えば、3塩基長、好ましくは12塩基長、より好ましくは18塩基長、さらに好ましくは36塩基長であり、上限は、特に制限されず、例えば、60塩基長、好ましくは51塩基長、より好ましくは45塩基長であり、その範囲は、例えば、3〜60塩基長、好ましくは12〜51塩基長、より好ましくは36〜45塩基長である。
【0029】
前記任意コード核酸の塩基配列は、例えば、その配列途中において、終止コドンの出現確率が低くなるように設計することが好ましい。このため、センス鎖において、前記任意コード核酸の塩基配列は、例えば、コドンの3番目に当たる塩基をA以外の塩基とすることが好ましく、具体的には、コドンの配列を「NNK」とすることが好ましい。ここで、Nは、A、G、C、TまたはUであり、Kは、G、TまたはUである。さらに、終始コドンの出現を防ぐため、センス鎖において、前記任意コード核酸の塩基配列は、例えば、コドンの1番目に当たる塩基をT以外の塩基としてもよく、具体的には、コドンの配列を「VNK」とすることができる。ここで、Vは、A、GまたはCである。
【0030】
前記任意コード核酸は、例えば、前記任意ペプチドのアミノ酸配列に従った読み枠となるように、挿入されていることが好ましい。また、前記任意コード核酸は、例えば、前記可変領域コード核酸の読み枠が変化しないように、また、前記任意コード核酸の読み枠が変化しないように、挿入されていることが好ましい。
【0031】
本発明の第1の核酸構築物において、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(y)タグコード核酸は、例えば、両方が、それぞれ開始コドンを有してもよく、また、5’側に位置するいずれか一方のコード核酸が開始コドンを有することが好ましい。すなわち、前記(x)抗体候補コード核酸が、前記(y)タグコード核酸の5’側に配置されている場合、前記(x)抗体候補コード核酸は、例えば、その5’側に、開始コドンを含むことが好ましい。また、本発明の第1の核酸構築物において、前記(y)タグコード核酸が、前記(x)抗体候補コード核酸の5’側に配置されている場合、前記(y)タグコード核酸は、例えば、その5’側に、開始コドンを含むことが好ましい。本発明の第1の核酸構築物において、後者がより好ましい。
【0032】
5’側から3’側に向かって、前記(x)抗体候補コード核酸、前記(y)タグコード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されている場合、例えば、前記(x)抗体候補コード核酸は、終止コドンを有さず、前記(y)タグコード核酸は、その3’側に終始コドンを有することが好ましい。具体的には、前記(y)タグコード核酸において、前記タグのC末端アミノ酸残基に対するコドンの3’側に、終止コドンが隣接していることが好ましい。また、5’側から3’側に向かって、前記(y)タグコード核酸、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されている場合、例えば、前記(y)タグコード核酸は、終止コドンを有さず、前記(x)抗体候補コード核酸は、その3’側に終始コドンを有することが好ましい。具体的には、前記(x)抗体候補コード核酸において、前記抗体候補のC末端アミノ酸残基に対するコドンの3’側に、終止コドンが隣接していることが好ましい。本発明の第1の核酸構築物において、後者がより好ましい。このように、前記(z)アプタマーコード核酸よりも5’側に配置された前記(x)抗体候補コード核酸が終止コドンを有することによって、例えば、前記アプタマーコード核酸の翻訳を十分に防止できる。
【0033】
本発明において、前記タグの種類は、特に制限されず、また、前記タグに結合する核酸分子(アプタマー)の種類も、特に制限されず、両者が結合可能であればよい。前記タグと、それに結合可能なアプタマーに設定することで、本発明の第1の核酸構築物により、前記融合転写産物および前記融合翻訳産物が生成された際、前記融合翻訳産物における前記タグと前記融合転写産物における前記アプタマーとの結合により、前記複合体を形成できる。本発明において、「タグ」は、例えば、分子の目印として、前記分子に結合または付加させるペプチドを意味する。
【0034】
本発明において、「タグに結合可能である」は、例えば、前記タグに対する結合能を有している、または、前記タグに対する結合活性(タグ結合活性)を有しているということもできる。前記アプタマーと前記タグとの結合は、例えば、表面プラズモン共鳴分子相互作用解析等により決定でき、前記決定には、例えば、ビアコアX(商品名、GE Healthcare UK Ltd.)等の装置を使用できる。前記タグに対する前記アプタマーの結合活性は、例えば、前記アプタマーと前記タグとの解離定数で表わすことができる。本発明において、前記アプタマーの解離定数は、特に制限されない。
【0035】
前記アプタマーは、例えば、前記タグに特異的に結合可能であることが好ましく、また、前記タグに対する結合力に優れることが好ましい。前記アプタマーは、前記タグに対する結合定数(K
D)が、例えば、1×10
−9mol/L以下であることが好ましく、より好ましくは、5×10
−10mol/Lであり、さらに好ましくは1×10
−10mol/Lである。
【0036】
前記アプタマーは、例えば、単独の前記タグに結合する他、前記タグを含む融合ペプチドに、前記タグを介して結合可能である。前記融合ペプチドは、例えば、N末端側に前記タグを含む融合ペプチド、C末端側に前記タグを含む融合ペプチド、内部に前記タグを含む融合ペプチド等があげられ、さらに、他のペプチドを含んでもよい。前記アプタマーの長さは、特に制限されず、例えば、20〜160塩基長であり、好ましくは30〜120塩基長であり、より好ましくは40〜100塩基長である。
【0037】
前記タグは、例えば、ヒスチジンタグ、FLAGタグ、Xpressタグ、GSTタグ、抗体Fc領域タグ等があげられ、中でもヒスチジンタグが好ましい。前記タグの長さは、特に制限されず、アミノ酸残基は、例えば、6〜330個が好ましく、または、6〜33個が好ましく、もしくは、6〜30個が好ましく、より好ましくは6〜15個であり、さらに好ましくは8〜15個である。
【0038】
本発明の第1の核酸構築物において、前記(y)タグコード核酸は、例えば、前記タグのアミノ酸配列に従った読み枠となるように配置される。また、本発明の第1の核酸構築物において、前記(y)タグコード核酸と前記(x)抗体候補コード核酸は、例えば、翻訳された際に、前記抗体候補に前記タグが付加されるように配置される。翻訳された際、前記タグは、例えば、前記抗体候補に、直接付加されてもよいし、アミノ酸またはペプチド等のリンカーを介して間接的に付加されてもよい。
【0039】
本発明において、以下、ヒスチジンを「His」、ヒスチジンタグを「Hisタグ」、前記Hisタグのコード核酸を「Hisタグコード核酸」ともいう。また、前記Hisタグに結合可能な核酸分子を「Hisタグアプタマー」または「アプタマー」、前記Hisタグアプタマーのコード核酸を「Hisタグアプタマーコード核酸」または「アプタマーコード核酸」ともいう。
【0040】
前記Hisタグは、通常、複数個のHisを有するペプチド、すなわち、Hisペプチドを意味する。本発明において、前記Hisタグは、例えば、複数の連続するHisを有するペプチドであり、具体的に、複数個の連続したHisのみからなるペプチドでもよいし、複数の連続したHisを含むペプチドでもよい。後者の場合、例えば、複数の連続したHisのN末端側およびC末端側の少なくとも一方に、さらに付加配列を有してもよい。前記付加配列は、例えば、1個のアミノ酸残基でもよいし、2個以上のアミノ酸残基からなるペプチドでもよい。本発明の第1の核酸構築物において、前記Hisタグコード核酸がコードする前記Hisタグの長さは、特に制限されない。前記Hisタグのアミノ酸残基数は、例えば、6〜30個であり、好ましくは6〜15個であり、より好ましくは8〜15個である。前記HisタグにおけるHisの個数は、例えば、6〜10個が好ましく、より好ましくは6〜8個であり、連続するHisの個数は、例えば、6〜10個が好ましく、より好ましくは6〜8個である。
【0041】
前記Hisタグコード核酸の配列は、特に制限されず、Hisペプチドをコードする配列(以下、「Hisペプチドコード配列」という)を有していればよく、具体的には、例えば、Hisのコドンを連続して有していることが好ましい。また、前記Hisタグは、前述のように、Hisペプチドの他に、さらに、前記付加配列を有してもよい。このため、前記Hisタグコード核酸は、例えば、前記付加配列をコードする配列(以下、「付加コード配列」という)を、前記Hisペプチドコード配列の5’側および3’側の少なくとも一方に有してもよい。前記付加コード配列は、特に制限されない。
【0042】
具体例として、前記Hisペプチドコード配列の5’側における前記付加コード配列は、例えば、開始コドンを含む配列があげられる。前記開始コドンを含む配列は、例えば、前記開始コドンのみでもよいし、前記開始コドンと、3の倍数の塩基長の配列とを有してもよい。後者の場合、例えば、前記3の倍数の塩基長の配列は、例えば、1以上のアミノ酸残基をコードする配列であり、前記開始コドンの3’側に隣接している。
【0043】
また、前記Hisペプチドコード配列の3’側における前記付加コード配列は、例えば、3の倍数の塩基長の配列が好ましい。中でも、前記(y)Hisタグコード核酸の5’側に、前記(x)抗体候補コード核酸を有する場合、例えば、前記3’側の前記付加コード配列は、終止コドンを有することが好ましい。具体例として、例えば、センス鎖において、5’側から3’側に向かって、前記(x)抗体候補コード核酸、前記(y)Hisタグコード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されている場合、前述のように、前記(y)Hisタグコード核酸は、終止コドンを有することが好ましい。一方、前記(y)Hisタグコード核酸の3’側に、前記(x)抗体候補コード核酸を有する場合、前記3’側の前記付加コード配列は、終止コドンを有さないことが好ましい。具体例として、例えば、前記センス鎖において、5’側から3’側に向かって、前記(y)Hisタグコード核酸、前記(x)抗体候補コード核酸および前記(z)アプタマーコード核酸が、この順序で配置されている場合、前記3’側の前記付加コード配列は、前記抗体候補コード核酸の翻訳を効率良く行うため、終止コドンを含まないことが好ましい。
【0044】
本発明の第1の核酸構築物において、前記(z)アプタマーコード核酸は、特に制限されず、前記タグに結合可能な核酸分子(アプタマー)をコードする核酸であればよい。前記アプタマーコード核酸がコードするアプタマーの具体例は、後述する。
【0045】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、2つ以上のタグコード核酸を有してもよい。この場合、1つのタグコード核酸は、前述した、前記アプタマーが結合可能なタグのコード核酸である。このタグコード核酸を、以下、「主ペプチドタグコード核酸」といい、このコード核酸でコードされるタグを「主ペプチドタグ」という。前記主ペプチドタグおよび前記主ペプチドタグコード核酸は、前述のようなタグおよび前記コード核酸があげられ、好ましくは、前記Hisタグと前記Hisタグコード核酸である。他方、本発明の第1の核酸構築物において、前記主ペプチドタグコード核酸以外のタグコード核酸を、以下、「副ペプチドタグコード核酸」といい、このコード核酸でコードされるタグを「副ペプチドタグ」という。前記副ペプチドタグおよび前記副ペプチドタグコード核酸は、特に制限されず、例えば、T7 gene 10 leaderおよびT7 gene 10 leaderのコード配列があげられる。本発明の第1の核酸構築物が、前記主ペプチドタグコード配列と前記副ペプチドタグコード配列とを有する場合、本発明の第1の核酸構築物の転写および翻訳により、例えば、前記主ペプチドタグコード核酸、前記副ペプチドタグコード核酸、前記抗体候補コード核酸および前記アプタマーコード核酸を含む塩基配列の融合転写物と、前記主ペプチドタグ、前記副ペプチドタグおよび前記抗体候補を含む融合翻訳産物との複合体が形成される。前記副ペプチドタグコード核酸の位置は、特に制限されず、例えば、センス鎖において、前記主ペプチドタグコード核酸と隣接していることが好ましく、前記主ペプチドタグコード核酸の5’側および3’側のいずれに配置されてもよく、より好ましくは、前記主ペプチドタグコード核酸の3’側である。
【0046】
具体例として、本発明の第1の核酸構築物は、例えば、前記主ペプチドタグコード核酸として、前記Hisタグコード核酸を有する他に、さらに、前記副ペプチドタグコード核酸を有してもよい。この場合、本発明の第1の核酸構築物の転写および翻訳により、例えば、前記Hisタグコード核酸、前記副ペプチドタグコード核酸、前記抗体候補コード核酸および前記アプタマーコード核酸を含む塩基配列の融合転写物と、前記Hisタグ、前記副ペプチドタグおよび前記抗体候補を含む融合翻訳産物との複合体が形成される。前記副ペプチドタグは、例えば、T7 gene 10 leaderが好ましく、本発明の第1の核酸構築物は、前記副ペプチドタグコード核酸として、T7 gene 10 leaderのコード配列を有することが好ましい。前記副ペプチドタグコード核酸の位置は、特に制限されず、例えば、センス鎖において、前記Hisタグコード核酸と隣接していることが好ましく、前記Hisタグコード核酸の5’側および3’側のいずれに配置されてもよく、より好ましくは、前記Hisタグコード核酸の3’側である。
【0047】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、さらに、リンカーをコードする配列(以下、「リンカーコード配列」という)を有してもよい。前記リンカーは、例えば、1個のアミノ酸残基でもよいし、2個以上のアミノ酸残基からなるペプチドでもよい。前記リンカーコード配列の位置は、特に制限されず、例えば、前記ペプチドタグコード核酸と、前記抗体候補コード核酸または前記アプタマーコード核酸との間、前記抗体候補コード核酸と前記アプタマーコード核酸との間等があげられる。
【0048】
本発明の第1の核酸構築物を用いて転写および翻訳を行った際、前述のように、転写により生成される前記アプタマーコード核酸の転写産物(RNAアプタマー)は、その配列情報に基づいて、ペプチドに翻訳されないことが望ましい。そこで、本発明の第1の核酸構築物は、例えば、さらに、前記アプタマーの翻訳を防止するための配列を有することが好ましい。前記アプタマーの翻訳防止用の配列は、例えば、前述のような終止コドンがあげられる。前記アプタマーの翻訳防止用の配列は、例えば、センス鎖において、前記タグコード核酸および前記抗体候補の3’側に前記アプタマーコード核酸が配置されている場合、前記両者と前記アプタマーコード核酸との間に、配置されていることが好ましい。
【0049】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、その構成単位は、特に制限されない。前記構成単位は、例えば、ヌクレオチド残基である。前記ヌクレオチド残基は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基およびリボヌクレオチド残基があげられる。本発明の第1の核酸構築物は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基とリボヌクレオチド残基のいずれか一方から構成されてもよいし、両方を含んでもよい。本発明の第1の核酸構築物は、例えば、デオキシリボヌクレオチド残基を含むDNAまたはデオキシリボヌクレオチド残基からなるDNAであることが好ましい。
【0050】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、修飾化ヌクレオチド残基を含んでもよい。前記修飾化ヌクレオチド残基は、例えば、糖残基が修飾されているものがあげられる。前記糖残基は、例えば、リボース残基およびデオキシリボース残基があげられる。前記糖残基における修飾部位は、特に制限されず、例えば、前記糖残基の2’位および/または4’位があげられる。前記修飾は、例えば、メチル化、フルオロ化、アミノ化、チオ化等があげられる。前記修飾化ヌクレオチド残基は、例えば、2’−メチルピリミジン残基、2’−フルオロピリミジン等があげられ、具体例として、2’−メチルウラシル(2’−メチル化−ウラシルヌクレオチド残基)、2’−メチルシトシン(2’−メチル化−シトシンヌクレオチド残基)、2’−フルオロウラシル(2’−フルオロ化−ウラシルヌクレオチド残基)、2’−フルオロシトシン(2’−フルオロ化−シトシンヌクレオチド残基)、2’−アミノウラシル(2’−アミノ化−ウラシル−ヌクレオチド残基)、2’−アミノシトシン(2’−アミノ化−シトシンヌクレオチド残基)、2’−チオウラシル(2’−チオ化−ウラシルヌクレオチド残基)、2’−チオシトシン(2’−チオ化−シトシンヌクレオチド残基)等があげられる。
【0051】
前記ヌクレオチド残基における塩基は、例えば、天然塩基(非人工塩基)でもよいし、非天然塩基(人工塩基)でもよい。前記天然塩基は、例えば、A、C、G、T、Uおよびこれらの修飾塩基があげられる。前記非天然塩基は、例えば、修飾塩基および改変塩基等があげられ、前記天然塩基と同様の機能を有することが好ましい。前記同様の機能を有する人工塩基は、例えば、グアニン(g)に代えて、シトシン(c)に結合可能な人工塩基、シトシン(c)に代えて、グアニン(g)に結合可能な人工塩基、アデニン(a)に代えて、チミン(t)またはウラシル(u)に結合可能な人工塩基、チミン(t)に代えて、アデニン(a)に結合可能な人工塩基、ウラシル(u)に代えて、アデニン(a)に結合可能な人工塩基等があげられる。前記修飾塩基は、例えば、メチル化塩基、フルオロ化塩基、アミノ化塩基、チオ化塩基等があげられる。前記修飾塩基の具体例としては、例えば、2’−メチルウラシル、2’−メチルシトシン、2’−フルオロウラシル、2’−フルオロシトシン、2’−アミノウラシル、2’−アミノシトシン、2’−チオウラシル、2’−チオシトシン等があげられる。本発明において、例えば、a、g、c、tおよびuで表わされる塩基は、前記天然塩基の他に、前記天然塩基のそれぞれと同様の機能を有する前記人工塩基の意味も含む。
【0052】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、前記構成単位として人工核酸モノマー残基を含んでもよい。前記人工核酸モノマー残基は、例えば、PNA(ペプチド核酸)、LNA(Locked Nucleic Acid)、ENA(2’−O,4’−C−Ethylenebridged Nucleic Acid)等があげられる。前記モノマー残基における塩基は、例えば、前述と同様である。
【0053】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、ベクターが好ましい。前記ベクターを、以下、「発現ベクター」ともいう。前記発現ベクターは、例えば、ベクターの基本骨格に、前記抗体候補コード核酸、前記タグコード核酸および前記アプタマーコード核酸を挿入することで構築できる。前記ベクターの基本骨格は、特に制限されず、例えば、従来のベクターが使用できる。以下、前記ベクターの基本骨格を、「基本ベクター」という。前記基本ベクターが、例えば、前記抗体候補および前記タグコード核酸を有している場合、所望の部位に、前記アプタマーコード核酸を挿入することで、前記発現ベクターを構築できる。前記基本骨格となる基本ベクターは、例えば、プラスミドベクター、ウイルスベクター等があげられる。前記プラスミドベクターは、例えば、pColdシリーズ(登録商標、タカラバイオ社)、pETシリーズ(Merck社、Invitrogen社他)、pRSETシリーズ(Invitrogen社)、pBADシリーズ(Invitrogen社)、pcDNAシリーズ(Invitrogen社)、pEFシリーズ(Invitrogen社)、pBR322、pBR325、pUC118、pUC119等の大腸菌由来プラスミドベクター;pUB110、pTP5等の枯草菌由来のプラスミドベクター;YEp13、YEp24、YCp50等の酵母由来のプラスミドベクター等があげられる。また、前記ウイルスベクターは、例えば、Charon4A、Charon21A、EMBL3、EMBL4、λgt10、λgt11、λZAP等のλファージベクター;M13KE、pCANTAB5E等の繊維状ファージベクター;T7Selectシリーズ等のT7ファージベクター;レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス等の動物DNAウイルスベクターまたはRNAウイルスベクター;バキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクター;植物ウイルスベクター等があげられる。これらの基本ベクターの中でも、例えば、コールドショック発現系のベクターであるpColdが好ましい。このようなベクターによれば、例えば、大腸菌等の生細胞中で発現されるペプチドの不溶化を防止して、可溶化を促進できるため、発現したペプチドの回収が容易になる。
【0054】
本発明の第1の核酸構築物は、例えば、前記融合翻訳物が効率良く発現するように、T7プロモーター、コールドショック発現プロモーター(cspAプロモーター)、trpプロモーター、lacプロモーター、PLプロモーター、tacプロモーター等のプロモーターを有することが好ましい。この他にも、例えば、ターミネーター;エンハンサー等のシスエレメント;ポリアデニル化シグナル;複製起点配列(ori);選択マーカー;SD配列、KOZAK配列等のリボソーム結合配列;サプレッサー配列等を有してもよい。前記選択マーカーは、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等があげられる。
【0055】
本発明の第1の核酸構築物において、前記アプタマーコード核酸の配列は、前述のように、前記タグに結合可能な前記アプタマーをコードする核酸であればよい。以下に、前記アプタマーとして、前記Hisタグアプタマーを例示するが、これには制限されない。
【0056】
前記Hisタグアプタマーは、前記Hisタグに結合可能であればよく、その配列は、特に制限されない。前記Hisタグアプタマーの解離定数は、特に制限されず、例えば、1×10
−9mol/L以下である。一般的に、Hisタグに対する抗体の解離定数(Kd)は、1×10
−9mol/Lを超えることから、前記Hisアプタマーは、例えば、抗体よりも優れた結合性を有している。前記Hisタグアプタマーの解離定数は、好ましくは、5×10
−10mol/L以下であり、さらに好ましくは、1×10
−10mol/L以下である。このようなHisタグアプタマーを利用することによって、例えば、前記複合転写産物と前記複合翻訳産物との複合体を、非常に安定に形成できる。
【0057】
前記Hisタグアプタマーは、例えば、単独のHisタグに結合する他、Hisタグを含む融合ペプチドに、前記Hisタグを介して結合可能である。前記融合ペプチドは、例えば、N末端側にHisタグを含む融合ペプチド、C末端側にHisタグを含む融合ペプチド、内部にHisタグを含む融合ペプチド等があげられ、さらに、他のペプチド断片を含んでもよい。
【0058】
前記Hisタグアプタマーの具体例を以下に示す。本発明において、前記アプタマーは、これらの例には制限されない。以下に示す前記Hisタグアプタマーは、例えば、解離定数が1×10
−9mol/L以下のアプタマーであり、一般的な抗体よりも、Hisタグに対して優れた結合性を有している。以下に示す配列は、前記Hisタグアプタマーの配列である。前記Hisタグアプタマーのコード核酸の配列は、例えば、以下のHisタグアプタマーの配列に対して、相補性を示す配列または同一性を示す配列であり、且つ、UがTに代わった配列である。
【0059】
前記Hisタグアプタマーは、例えば、下記(a)、(b)、(c)および(d)のいずれかのポリヌクレオチドを含むことが好ましい。
(a)配列番号17で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
GGUN
nAYU
mGGH (配列番号17)
ここで、Nは、A、G、C、UまたはTを表わし、N
nのnは、前記Nの個数であって、1〜3の整数を表わし、Yは、U、TまたはCを表わし、U
mのmは、前記Uの個数であって、1〜3の整数を表わし、Hは、U、T、CまたはAを表わす。
(b)前記(a)の塩基配列において、1または複数の塩基が、置換、欠失、付加および/または挿入された塩基配列を含み、且つ、前記Hisペプチドに結合するポリヌクレオチド
(c)配列番号18で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
GGCGCCUUCGUGGAAUGUC (配列番号18)
(d)前記(c)の塩基配列において、1または複数の塩基が、置換、欠失、付加および/または挿入された塩基配列含み、且つ、前記Hisペプチドに結合するポリヌクレオチド
【0060】
前記(a)〜(d)のポリヌクレオチドは、前記塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。また、前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a)〜(d)のいずれかのポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0061】
前記(a)のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号17の塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよい。配列番号17の塩基配列を、以下、「結合モチーフ配列」ともいう。配列番号17の結合モチーフ配列において、Nは、A、G、C、UまたはTを表わし、A、G、CまたはUが好ましく、N
nのnは、前記Nの個数であって、1〜3の整数を表わし、Yは、U、TまたはCを表わし、UまたはCが好ましく、U
mのmは、前記Uの個数であって、1〜3の整数を表わし、Hは、U、T、CまたはAを表わし、U、CまたはAが好ましい。前記結合モチーフ配列は、後述する配列番号1〜16の塩基配列等に共通して見出されるコンセンサス配列である。前記結合モチーフ配列において、N
nにおけるNの個数(n)は、特に制限されず、例えば、1個(N)、2個(NN)または3個(NNN)のいずれでもよく、Nは、それぞれ同じ塩基でもよいし、異なる塩基でもよい。前記結合モチーフ配列において、U
mにおけるUの個数(m)は、特に制限されず、例えば、1個(U)、2個(UU)または3個(UUU)のいずれでもよい。
【0062】
前記(a)において、前記結合モチーフ配列を含むポリヌクレオチドは、例えば、下記(a1)〜(a4)のポリヌクレオチドがあげられる。
【0063】
(a1)配列番号89〜104のいずれかで表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
【0064】
前記(a1)において、前記配列番号で表わされる塩基配列は、それぞれ、前記結合モチーフ配列を有する。前記(a1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a1)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。下記表1に、配列番号89〜104で表わされる塩基配列を示す。下記表1において、下線部は、配列番号17の結合モチーフ配列である。以下、下記表1におけるポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むアプタマーは、配列の前に示す名称で示すこともある(以下、同様)。
【0066】
前記(a1)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(a1−1)のポリヌクレオチドがあげられる。
(a1−1)配列番号1〜16のいずれかで表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
【0067】
前記(a1−1)において、前記配列番号で表わされる塩基配列は、それぞれ、前記(a1)で述べた配列番号89〜104の塩基配列を含む。前記(a1−1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a1−1)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。下記表2に、配列番号1〜16で表わされる塩基配列を示す。下記表2において、下線部が、配列番号17の前記結合モチーフ配列である。以下、下記表2におけるポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むアプタマーは、配列の前に示す名称で示すこともある(以下、同様)。
【0069】
(a2)配列番号105〜114、配列番号116〜124および配列番号127〜146のいずれかで表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
【0070】
前記(a2)において、前記配列番号で表わされる塩基配列は、それぞれ、前記結合モチーフ配列を有する。前記(a2)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a2)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。下記表3および表4に、配列番号105〜114、配列番号116〜124、配列番号127〜146で表わされる塩基配列を示す。下記表3および表4において、下線部は、配列番号17の前記結合モチーフ配列である。以下、下記表3および表4におけるポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むアプタマーは、配列の前に示す名称で示すこともある(以下、同様)。
【0073】
前記(a2)のポリヌクレオチドは、例えば、下記(a2−1)のポリヌクレオチドがあげられる。
(a2−1)配列番号26〜35、配列番号37〜45、配列番号65〜68、配列番号19〜25および配列番号48〜56のいずれかで表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
【0074】
前記(a2−1)において、配列番号26〜35、配列番号37〜45、配列番号65〜68、配列番号19〜25および配列番号48〜56で表わされる塩基配列は、それぞれ、前述した配列番号105〜114、配列番号116〜124および配列番号127〜146で表わされる塩基配列を含む。前記(a2−1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a2−1)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。下記表5および表6に、配列番号26〜35、配列番号37〜45、配列番号65〜68、配列番号19〜25および配列番号48〜56で表わされる塩基配列を示す。下記表5および表6において、下線部が、配列番号17の前記結合モチーフ配列である。以下、下記表5および表6におけるポリヌクレオチド、および前記ポリヌクレオチドを含むアプタマーは、配列の前に示す名称で示すこともある(以下、同様)。
【0077】
(a3)配列番号147で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
GGUN
nAYU
mGGHGCCUUCGUGGAAUGUC (配列番号147)
【0078】
配列番号147で表わされる塩基配列において、「GGUN
nAYU
mGGH」は、配列番号17の前記結合モチーフ配列である。また、配列番号147の塩基配列において、「GGHGCCUUCGUGGAAUGUC」は、後述する配列番号18で表わされる塩基配列(ここで、HはC)である。配列番号18の塩基配列は、例えば、アプタマーにおいて、ステムループ構造を形成する領域の塩基配列であり、以下、「ステムループモチーフ配列」ともいう。配列番号147の塩基配列において、前記結合モチーフ配列の3’末端の3塩基と、前記ステムループモチーフ配列の5’末端の3塩基とは重複している。
【0079】
前記(a3)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a3)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0080】
配列番号147の塩基配列は、例えば、配列番号148で表わされる塩基配列があげられる。
GGUAUAUUGGCGCCUUCGUGGAAUGUC (配列番号148)
【0081】
前記(a3)のポリヌクレオチドを含む核酸は、例えば、下記(a3−1)のポリヌクレオチドがあげられる。
(a3−1)配列番号2、12、14、15および55のいずれかで表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチド
【0082】
前記(a3−1)において、前記配列番号で表わされる塩基配列は、それぞれ、前述した配列番号147、具体的には、配列番号148で表わされる塩基配列を含む。前記(a3−1)のポリヌクレオチドは、例えば、前記配列番号の塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(a3−1)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。下記表7に、配列番号2、12、14、15および55で表わされる塩基配列を示す。下記表7において、下線部が、配列番号17で表わされる塩基配列であり、四角で囲んだ領域が、配列番号18で表わされる塩基配列である。また、この他に、配列番号157で表わされるアプタマーがあげられ、このアプタマーとHisタグとの解離定数は、例えば、約4×10
−12Mである。
GGUAUAUUGGCGCCUUCGUGGAAUGUCAGUGCC
(配列番号157)
【0084】
前記(b)のポリヌクレオチドは、前述のように、前記(a)の塩基配列において、1または複数の塩基が、置換、欠失、付加および/または挿入された塩基配列を含み、且つ、前記Hisペプチドに結合可能であるポリヌクレオチドである。
【0085】
前記(b)のポリヌクレオチドは、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(b)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0086】
前記(b)において、「(a)の塩基配列」とは、例えば、前述した配列番号17の塩基配列の他、前記(a1)〜(a3)に示す各配列番号の塩基配列が該当する(以下、同様)。
【0087】
前記(b)において、「1または複数」は、特に制限されず、前記(b)のポリヌクレオチドが、Hisタグに結合可能であればよい。前記「1または複数」は、前記配列番号17の塩基配列において、例えば、1〜5個であり、好ましくは1〜4個であり、より好ましくは1〜3個であり、さらに好ましくは1個または2個であり、特に好ましくは1個である。また、「1または複数」は、前記(a1)〜(a3)の塩基配列において、例えば、1〜10個であり、好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1個または2個であり、最も好ましくは1個である。また、「1または複数」は、前記(a)のポリヌクレオチドを含むアプタマーの全長塩基配列において、例えば、1〜10個であり、好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1個または2個であり、最も好ましくは1個である。
【0088】
置換、付加および/または挿入に使用する塩基は、特に制限されず、例えば、前述した各種塩基があげられる。また、塩基の置換、付加および/または挿入は、例えば、前記ヌクレオチド残基の置換、付加および/または挿入により行ってもよいし、前記人工核酸モノマー残基の置換、付加および/または挿入により行ってもよい。以下、同様である。
【0089】
前記(b)のポリヌクレオチドは、例えば、前記表3および表5に示す塩基配列があげられる。具体例としては、例えば、配列番号115(#736)または配列番号36(#736)で表わされる塩基配列があげられる。配列番号36の塩基配列は、配列番号115の塩基配列を含む。また、例えば、配列番号125(#7009)および配列番号46(#7009)で表わされる塩基配列があげられる。配列番号46の塩基配列は、配列番号125の塩基配列を含む。前記表3および表5において、これらの塩基配列の二重下線部は、配列番号17の前記結合モチーフ配列に対応し、四角で囲んだ塩基は、配列番号17の塩基配列と異なる置換塩基である。また、例えば、配列番号126(#7062)および配列番号47(#7062)で表わされる塩基配列があげられる。前記表3および表5において、これらの塩基配列の二重下線部は、配列番号17の前記結合モチーフ配列に対応し、四角で囲んだ塩基(UU)のいずれか一方が、配列番号17の前記結合モチーフ配列のAとは異なる置換塩基である。また、例えば、配列番号143(#AT5−5)および配列番号53(#AT5−5)で表わされる塩基配列があげられる。
【0090】
前記(c)のポリヌクレオチドは、前述のように、配列番号18で表わされる塩基配列を含むポリヌクレオチドである。配列番号18の塩基配列は、前述のように、例えば、前記アプタマーにおいて、ステムループ構造を形成する領域の塩基配列である。
GGCGCCUUCGUGGAAUGUC (配列番号18)
【0091】
前記前記(c)のポリヌクレオチドは、例えば、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列を含むポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(c)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0092】
前記(c)のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号2、配列番号12、配列番号14、配列番号15および配列番号55で表わされる塩基配列があげられる。これらの塩基配列は、前記表7に示す通りである。
【0093】
前記(d)のポリヌクレオチドは、前述のように、前記(c)の塩基配列において、1または複数の塩基が、置換、欠失、付加および/または挿入された塩基配列を含み、且つ、前記Hisペプチドに結合可能であるポリヌクレオチドである。
【0094】
前記(d)のポリヌクレオチドは、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(d)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0095】
前記(d)において、「(c)の塩基配列」とは、例えば、前述した配列番号18の塩基配列の他、列挙した各配列番号の塩基配列が該当する(以下、同様)。
【0096】
前記(d)において、「1または複数」は、特に制限されず、前記(d)のポリヌクレオチドが、Hisタグに結合可能であればよい。前記「1または複数」は、配列番号18の塩基配列において、例えば、1〜5個であり、好ましくは1〜4個であり、より好ましくは1〜3個であり、さらに好ましくは1個または2個であり、特に好ましくは1個である。また、「1または複数」は、配列番号2、配列番号12、配列番号14、配列番号15および配列番号55で表わされる塩基配列において、例えば、1〜10個であり、好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1個または2個であり、最も好ましくは1個である。また、「1または複数」は、前記(d)のポリヌクレオチドを含むアプタマーの全長塩基配列において、例えば、1〜10個であり、好ましくは1〜5個であり、より好ましくは1〜4個であり、さらに好ましくは1〜3個であり、特に好ましくは1個または2個であり、最も好ましくは1個である。前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号18の塩基配列により形成されるステムループ構造と実質的に同一のステムループ構造を有することが好ましい。
【0097】
前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号13、配列番号65〜68、配列番号16、配列番号54および配列番号56で表わされる塩基配列があげられる。これらの塩基配列を、前記表7に示す。前記表7に示す配列番号13、配列番号65〜68、配列番号16、配列番号54および配列番号56の塩基配列において、四角で囲んだ塩基が、配列番号18のステムループモチーフ配列と比較して、同一部位であり、白抜きで示した塩基が、前記ステムループモチーフ配列と比較して、欠失または置換された部位である。前記表7において、欠失部位は、「−」で示す。前記(d)のポリヌクレオチドは、例えば、配列番号18のステムループモチーフ配列において、7番目および11番目のUならびに15番目のAが保存されていることが好ましい。
【0098】
前記Hisタグアプタマーは、例えば、その他に、下記(e)または(f)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよい。
(e)前記(a)または(c)の塩基配列において、60%以上の同一性を有する塩基配列を含み、且つ、前記Hisペプチドに結合可能であるポリヌクレオチド
(f)前記(a)または(c)の塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列またはその相補的塩基配列を含み、且つ、前記Hisペプチドに結合可能であるポリヌクレオチド
【0099】
前記(e)および(f)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよいし、前記塩基配列からなるポリヌクレオチドでもよい。前記Hisタグアプタマーは、例えば、前記(e)または(f)のポリヌクレオチドを含む核酸でもよいし、前記ポリヌクレオチドからなる核酸でもよい。
【0100】
前記(e)および(f)において、「(a)の塩基配列」とは、例えば、前述した配列番号17の塩基配列の他、前記(a1)〜(a3)に示す各配列番号の塩基配列が該当する(以下、同様)。前記(e)および(f)において、「(c)の塩基配列」とは、例えば、前述した配列番号18の塩基配列の他、列挙した各配列番号の塩基配列が該当する(以下、同様)。
【0101】
前記(e)において、前記同一性は、例えば、70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%以上、さらに好ましくは95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、特に好ましくは99%以上である。前記同一性は、例えば、BLAST等を用いてデフォルトの条件で計算することにより、算出できる。
【0102】
前記(e)のアプタマーは、例えば、配列番号18の塩基配列により形成されるステムループ構造と実質的に同一のステムループ構造を有することが好ましい。
【0103】
前記(f)において、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする」は、例えば、当該技術分野の当業者において、周知のハイブリダイゼーションの実験条件である。具体的には、「ストリンジェントな条件」は、例えば、0.7〜1mol/LのNaCl存在下、60〜68℃でハイブリダイゼーションを行った後、0.1〜2倍のSSC溶液を用い、65〜68℃で洗浄することにより同定することができる条件をいう。1×SSCは、150mmol/LのNaCl、15mmol/Lのクエン酸ナトリウムからなる。
【0104】
前記(e)のアプタマーは、例えば、配列番号18の塩基配列により形成されるステムループ構造と実質的に同一のステムループ構造を有することが好ましい。
【0105】
前記(b)〜(e)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(a)または(c)のポリヌクレオチドの部分配列でもよく、前記(a)または(c)のポリヌクレオチドにおける連続する5〜40塩基長の配列が好ましく、より好ましくは8〜30塩基長、特に好ましくは10〜12塩基長である。
【0106】
前記Hisタグアプタマーの一例として、
図2に、アプタマーshot47(配列番号2)、#701(配列番号1)、#716(配列番号3)、#714(配列番号10)および#746(配列番号9)の予想される二次構造の模式図を示す。
図2において、白抜きの黒四角で示された配列が、これらのコンセンサス配列であり、配列番号17で表わされる前記結合モチーフ配列である。前記結合モチーフ配列は、
図2において、ステムの折れ曲がった部分に位置する。本発明は、これには制限されない。
【0107】
前記アプタマーの一例として、
図3に、さらに、RNAアプタマーshot47(配列番号2)、#701(配列番号1)、#714(配列番号10)および#746(配列番号9)の予想される二次構造の模式図を示す。
図3において、文字が白抜きの黒四角で示された配列が、配列番号17で表わされるコンセンサス配列であり、前記コンセンサス配列は、ステムの折れ曲がった部分に位置する。本発明は、これには制限されない。
【0108】
また、前記アプタマーは、例えば、前述の例示以外にも、例えば、SELEX法等により、調製することもできる。
【0109】
<スクリーニング方法>
本発明のスクリーニング方法は、前述のように、抗原に結合可能な抗体またはそのコード核酸をスクリーニングするスクリーニング方法であり、前記本発明の第1の核酸構築物を使用し、下記(A)〜(C)工程を含むことを特徴とする。
(A)前記核酸構築物を発現させ、前記(x)抗体候補のコード核酸、前記(y)ペプチドタグのコード核酸、および前記(z)核酸分子(アプタマー)のコード核酸から転写された融合転写産物と、前記(x)抗体候補のコード核酸および前記(y)ペプチドタグのコード核酸から翻訳された融合翻訳産物とのとの複合体を形成する工程
(B)前記複合体と抗原とを接触させる工程
(C)前記抗原に結合した前記複合体を回収する工程
【0110】
前記(A)工程は、前記任意コード核酸が挿入された前記本発明の第1の核酸構築物を発現させる。これによって、前記抗体候補コード核酸、前記タグコード核酸および前記アプタマーコード核酸から、これらの融合転写物が転写され、さらに、前記抗体候補および前記タグを含む融合翻訳産物が翻訳される。そして、前記アプタマーは、前記タグに結合可能であることから、前記融合転写産物における前記アプタマーが、前記融合翻訳産物における前記タグと結合する。これによって、前記融合転写産物と、前記融合翻訳産物との複合体が形成される。本発明において形成される複合体は、例えば、ファージディスプレイ法と比較して、非常に小さい分子サイズで安定した複合体を形成できる。このため、例えば、後述する(B)工程において、前記複合体と前記抗原とが接触する確率をさらに増加でき、また、非特異的吸着をさらに抑制できると考えられる。
【0111】
前記複合体は、例えば、in vitroで形成させる。この場合、例えば、生細胞等の細胞を使用し、これに前記核酸構築物を導入し、前記細胞内で前記核酸構築物の発現を行い、前記複合体を形成することが好ましい。前記細胞に前記核酸構築物を導入すると、例えば、前記細胞内で前記核酸物のクローンが増加し、各クローンから前記複合体が形成できる。また、例えば、無細胞タンパク質合成系等を使用して、前記核酸構築物の発現を行ってもよい。本発明においては、例えば、操作が簡易であることから、細胞を使用することが好ましい。
【0112】
前記細胞の種類は、特に制限されず、例えば、種々の宿主があげられる。前記宿主は、例えば、大腸菌(
Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バシラス・ズブチリス(
Bacillus subtilis)等のバシラス属、シュードモナス・プチダ(
Pseudomonas putida)等のシュードモナス属、リゾビウム・メリロティ(
Rhizobium meliloti)等のリゾビウム属の細菌;サッカロミセス・セレビシエ(
Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(
Schizosaccharomyces pombe)等の酵母があげられる。前記宿主は、例えば、trxB/gor変異株である、Origami(登録商標)(メルク社製)等も好ましい。また、前記宿主は、例えば、COS細胞、CHO細胞等の動物細胞;Sf9、Sf21等の昆虫細胞等も使用できる。
【0113】
前記宿主は、例えば、前記核酸構築物のベクターの種類に応じて適宜決定できる。前記宿主とベクターとの組み合わせは、特に制限されず、例えば、ペプチド(タンパク質の意味を含む)の発現誘導、トランスフェクションの効率等に優れるものが好ましい。具体例として、例えば、宿主は、大腸菌が好ましく、前記ベクターは、大腸菌由来のベクターが好ましく、さらに、低温での前記誘導が可能であることから、コールドショック発現系のベクターであるpColdが好ましい。前記コールド発現系のベクターは、前述のように、例えば、大腸菌等の細胞中で発現されるペプチドの不溶化を防止して、可溶化を促進できるため、発現したペプチドの回収が容易である。また、ペプチドの不溶化は、例えば、ペプチドの封入体が形成されることが原因であるため、前記封入体を破壊して、ペプチドを取り出す必要がある。しかしながら、前記ベクターを用いれば、このような処理も不要であるため、例えば、前記封入体の破壊に伴う、前記複合体における前記融合転写産物と前記融合翻訳産物との結合の解離も十分に防止できる。また、前記コールドショック発現系のベクターは、例えば、低温での発現誘導により、宿主由来のペプチドの発現を抑制できるため、前記核酸構築物由来のペプチドを効率良く合成できる。
【0114】
前記in vitroでの前記核酸構築物の発現は、例えば、前記細胞に、前記核酸構築物をトランスフェクションし、トランスフェクション後の前記細胞について、ペプチドの発現誘導を行うことで実現できる。
【0115】
前記核酸構築物のトランスフェクションの方法は、特に制限されず、例えば、前記細胞の種類、前記ベクターの種類等によって、適宜設定できる。前記トランスフェクションの方法は、例えば、プロトプラスト法、酢酸リチウム法、Hanahan法、エレクトロポレーション法、ウイルスベクター等を用いた感染導入法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、バクテリオファージ等を用いた感染導入法、超音波核酸導入法、遺伝子銃による導入法、DEAE−デキストラン法等があげられる。
【0116】
前記ペプチドの発現誘導の方法は、特に制限されず、例えば、前記トランスフェクション後の細胞の培養によって行うことができる。前記培養条件は、特に制限されず、前記細胞の種類、前記ベクターの種類等によって、適宜決定できる。具体例として、前記細胞が大腸菌の場合、培養条件は、例えば、培養温度20〜40℃、培養時間0.5〜6時間であることが好ましく、より好ましくは培養温度30〜37℃、培養時間1〜3時間である。使用する培地は、例えば、LB培地、NZYM培地、Terrific Broth培地、SOB培地、SOC培地、2×YT培地等があげられる。
【0117】
また、前記核酸構築物における前記基本ベクターがpColdの場合、例えば、低温での発現誘導が可能である。このため、発現誘導時の培養条件は、例えば、培養温度4〜18℃、培養時間1〜24時間とすることが好ましく、より好ましくは培養温度10〜16℃、培養時間12〜24時間である。また、前記細胞および前記ベクターの種類に応じて、前記培養の際、適宜、発現を誘導する誘導物質を培地に添加してもよい。前記誘導物質は、特に制限されず、例えば、IPTG(イソプロピル−1−チオ−β−ガラクトシド)等があげられ、培地における前記誘導物質の濃度は、例えば、0.1〜2mmol/Lであり、好ましくは0.5〜1mmol/Lである。
【0118】
前記宿主には、例えば、前記任意コード核酸の配列が異なる複数の前記核酸構築物を導入してもよい。具体例としては、例えば、それぞれ異なるランダムな任意コード核酸を有する、複数の核酸構築物を含むライブラリーを、前記細胞に導入してもよい。このように、前記核酸構築物のライブラリーを導入すれば、例えば、前記宿主内で、各核酸構築物のクローンが増加し、且つ、各核酸構築物に由来する異なる複数の前記複合体が形成される。したがって、複数の核酸構築物についてのスクリーニングが可能となるため、結果的に、抗原に結合する前記抗体候補のスクリーニング効率が、さらに向上する。
【0119】
前記(B)工程は、前記(A)工程で得られた前記複合体と、目的の抗原とを接触させる工程である。前記複合体は、前述のように、融合転写産物と融合翻訳産物との複合体であり、前記融合翻訳産物における任意ペプチドが前記抗原に結合可能であれば、例えば、前記抗原に、前記任意ペプチドを介して、前記複合体が結合する。
【0120】
前記(A)工程において、前記複合体を細胞内で形成させた場合、例えば、前記細胞の内部から前記複合体を回収して、前記抗原と接触させる。前記細胞からの前記複合体の回収方法は、何ら制限されず、前記細胞の種類に応じて適宜選択できる。
【0121】
また、前記(A)工程において、前記無細胞タンパク質合成系等を使用した場合、例えば、前記無細胞タンパク質合成系等から前記複合体を回収して、前記抗原と接触させる。
【0122】
前記抗原の種類は、何ら制限されず、タンパク質等のペプチド、ホルモン、核酸、低分子化合物、有機化合物、無機化合物、糖類、脂質、ウイルス、細菌、細胞、生体組織等のいずれでもよい。前記抗原は、例えば、取扱いが容易であることから、固相に固定化された固定化ターゲットが好ましい。前記固相は、特に制限されず、例えば、ウェルプレート、マイクロプレート等のプレート、チップ、マイクロスフェア等のビーズ、ゲル、レジン、セルロース膜等のメンブレン、フィルム、試験管、マイクロチューブ、プラスチック容器、前記抗原を含む細胞、組織またはパラフィン固定切片、粒子等があげられる。
【0123】
前記固相は、例えば、不溶性であることが好ましい。前記不溶性材料は、特に制限されず、例えば、有機樹脂材料、無機材料等があげられる。前記有機樹脂材料は、例えば、天然物でもよく、合成物でもよく、具体例としては、例えば、アガロース、架橋アガロース、架橋デキストラン、ポリアクリルアミド、架橋ポリアクリルアミド、セルロース、微結晶セルロース、架橋アガロース、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリフッ化ビニル、ポリアミンメチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体、6−ナイロン、6,6−ナイロン、ラテックス等があげられる。前記無機材料は、例えば、ガラス、シリカゲル、ケイ藻土、二酸化チタン、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化鉛、ケイ砂等があげられる。前記固相は、例えば、前記不溶性材料のいずれか一種類を含んでもよいし、二種類以上を含んでもよい。
【0124】
前記固相が前記粒子の場合、例えば、磁性粒子が好ましい。前記固相が磁性粒子であれば、例えば、磁力によって、容易に前記磁性粒子を回収できる。
【0125】
前記抗原は、例えば、前記固相に、直接結合してもよいし、間接的に結合してもよい。前記抗原の前記固相への固定化は、例えば、物理的な結合でも化学的な結合でもよく、具体例としては、例えば、吸着、共有結合等の化学結合等があげられる。
【0126】
前記複合体と前記抗原との接触条件は、特に制限されず、例えば、前記抗原の種類に応じて適宜決定できる。前記接触条件は、例えば、温度4〜37℃、pH4〜10、時間10分〜60分が好ましく、より好ましくは、温度4〜20℃、pH6〜9、時間15〜30分である。前記両者の接触は、例えば、溶媒中で行うことが好ましく、前記溶媒は、例えば、水性溶媒であり、具体例として、HEPES緩衝液、炭酸緩衝液、リン酸緩衝液等の緩衝液等が使用できる。
【0127】
前記(C)工程は、前記抗原に結合した前記複合体を回収する工程である。前記複合体は、その融合翻訳産物における任意ペプチドを介して、前記抗原に結合している。したがって、前記抗原に結合した複合体を回収すれば、前記抗原に結合可能なペプチドならびに前記ペプチドのコード核酸を選択できる。
【0128】
前記抗原に結合した複合体は、例えば、前記抗原に結合した状態で回収してもよいし、前記抗原から遊離させた状態で回収してもよい。
【0129】
前記抗原に結合した前記複合体の回収は、例えば、前記抗原の洗浄により行える。このように、前記抗原の洗浄によって、例えば、前記抗原に結合しない複合体を除去し、前記抗原に結合した複合体のみを回収できる。この場合、前記抗原は、前述のように、前記固相に固定化されていることが好ましい。前記固相を洗浄することで、例えば、前記固相に固定化された前記抗原に未結合の複合体が除去される。そして、前記固相上には、固定化された前記抗原に結合した複合体が残るため、前記抗原に結合した状態で前記複合体を回収できる。前記固相は、特に制限されず、いわゆる基材があげられ、具体例として、プレート、シート、フィルム等の基板;ウェルプレート、チューブ等の容器;ビーズ、粒子、フィルター、ゲル等があげられる。
【0130】
前記(C)工程は、例えば、さらに、前記抗原から、前記抗原に結合した複合体を遊離させる工程を含んでもよい。前記抗原からの前記複合体の遊離方法は、特に制限されない。
【0131】
また、前記(C)工程は、例えば、さらに、前記複合体から、前記複合体を構成する前記融合転写産物を遊離させる工程を含んでもよい。前記融合転写物は、例えば、前記抗原から前記複合体を回収した後に遊離させてもよいし、前記抗原に結合した前記複合体から遊離させてもよい。前記複合体から前記融合転写産物を遊離させる方法は、何ら制限されず、例えば、フェノール等を含む溶出液が使用できる。前記フェノールを含む溶出液は、例えば、Trizol(商品名、invitrogen社)等が使用できる。
【0132】
本発明のスクリーニング方法は、さらに、下記(D)工程を含むことが好ましい。
(D)前記複合体における前記融合転写物を鋳型として、前記抗体候補における任意ペプチドのコード核酸を合成する工程
【0133】
このように、さらに、前記抗原に結合した前記複合体における、前記融合転写物を鋳型として、具体的には、前記融合転写物における前記任意コード核酸の転写物を鋳型として、前記任意コード核酸を合成することにより、前記抗原に結合可能な任意ペプチドおよびそのコード核酸を同定できる。前記合成した前記任意コード核酸は、例えば、クローニングしてから、同定してもよい。前記任意コード核酸について、例えば、その塩基配列を同定すれば、間接的に、前記任意ペプチドのアミノ酸配列を同定できる。
【0134】
前記(D)工程において、前記任意コード核酸の合成は、例えば、RT(Reverse Transcription)−PCRにより行うことが好ましい。具体的には、例えば、前記融合転写物(RNA)を鋳型として、逆転写反応により前記任意コード核酸(DNA)を合成し、さらに、合成した前記任意コード核酸を増幅することが好ましい。
【0135】
前記任意コード核酸の合成は、例えば、前記任意コード核酸の転写産物が前記複合体に含まれる状態で行ってもよいし、前記複合体から前記融合転写産物を遊離させた状態で行ってもよい。
【0136】
本発明のスクリーニング方法によれば、前述のように、例えば、前記(A)、(B)および(C)工程により、前記抗原に結合可能な任意ペプチドおよびそのコード核酸を選択でき、さらに、前記(D)工程によって、前記任意ペプチドおよびそのコード核酸を同定できる。
【0137】
また、本発明のスクリーニング方法によれば、前記抗原に結合可能な前記任意ペプチドおよびそのコード核酸の配列情報を同定できる。このため、これらの情報に基づいて、例えば、キメラ抗体、ヒト型抗体、ヒト化抗体等を構築することもできる。
【0138】
また、本発明のスクリーニング方法は、例えば、前記(D)工程で得られた前記任意コード核酸を用いて、前記任意ペプチドコード核酸が挿入された本発明の第1の核酸構築物を新たに調製し、再度、前記(A)、(B)および(C)工程を実行することが好ましく、より好ましくは、前記(A)、(B)、(C)および(D)工程を、繰り返し行うことが好ましい。繰り返しの回数は、特に制限されず、2回以上が好ましい。
【0139】
前述のように、前記核酸構築物のライブラリーを前記細胞に導入すると、異なる核酸構築物が導入された複数の形質転換体(クローン)が得られる。そして、前記複数の形質転換体が混在する状態で培養を行うと、前記各形質転換体由来の複合体が混在する複合体ミックスが得られる。この複合体ミックスについて、前記(B)および(C)工程を実行すると、例えば、前記抗原に結合する複数の複合体が回収される。そこで、前記(D)工程において、前記(C)工程で回収した複数の複合体について、例えば、それぞれの前記任意コード核酸を合成する。そして、合成した前記任意コード核酸を用いて、前記任意コード核酸が挿入された、複数の核酸構築物のライブラリーを作製し、同様に、前記(A)、(B)および(C)工程を実行することが好ましい。これによって、前記抗原に結合する任意ペプチドならびにそのコード核酸を、さらに濃縮して、前記抗原への結合能に優れる任意ペプチドならびにそのコード核酸を選択可能となる。前記(A)、(B)、(C)および(D)工程を1サイクルとした場合、サイクル数は、特に制限されず、例えば、2サイクル以上が好ましい。
【0140】
また、前記核酸構築物のライブラリーを前記細胞に導入した場合、例えば、複数の形質転換体を、各クローンに分離し、または、数種のクローンを含む複数のグループに分離してから、前記(A)、(B)および(C)工程、さらに、前記(D)工程を行ってもよい。前記クローンまたは前記グループへの分離は、例えば、1サイクルの段階で行ってもよいし、2サイクル以降の段階で行ってもよい。
【0141】
このように分離されたクローンは、例えば、前記抗原に結合可能な試薬として、例えば、そのまま使用することも可能であり、また、前記クローンを用いて大量に前記複合体を合成し、前記タグを用いた精製により使用することもできる。
【0142】
前記抗原に対する前記複合体の結合性の評価方法は、特に制限されない。具体例として、例えば、標識物質で標識化した標識抗タグ抗体を使用する方法があげられる。この方法では、例えば、前記抗原と前記複合体とが結合したものに、前記標識タグ抗体を接触させた後、前記標識抗タグ抗体の検出を行う。前記標識抗タグ抗体の検出によって、前記タグの有無が確認できる。すなわち、前記抗原に前記複合体が結合していれば、前記複合体におけるタグに前記標識抗タグ抗体が結合する。このため、前記標識抗タグ抗体の検出により、間接的に、前記抗原に前記複合体が結合していると判断できる。一方、前記抗原に前記複合体が結合していなければ、前記タグは存在しない。このため、前記標識抗タグ抗体を検出できず、前記抗原に複合体は結合していないと判断できる。前記標識抗タグ抗体の標識は、例えば、HRP(horseradish peroxidase)等があげられ、前記HRPの検出試薬は、例えば、TMB(3,3’,5,5’−tetramethylbenzidine)等の発色試薬があげられる。また、例えば、前記抗原の分子量が増加しているか否かによって、複合体の結合を確認することもできる。
【0143】
本発明のスクリーニング方法において、前記結合性の評価は、例えば、前記(C)工程において行ってもよいし、前記抗体候補および前記候補コード核酸を選択した後に、行ってもよい。
【0144】
以下に、本発明のスクリーニング方法の一例について、
図1を用いて説明する。
図1は、in vitroで複合体を形成させたスクリーニング方法の概略を示す模式図である。この例において、本発明の第1の核酸構築物は、ベクターとし、前記タグは、前記Hisタグとした。
【0145】
まず、
図1(A)に示すように、前記Hisタグコード核酸(H)と前記アプタマーコード核酸(A)とを有するベクターに、前記任意コード核酸が挿入された可変領域コード核酸(以下、ランダムDNAという)を挿入して、組換えベクターを作製する(
図1(B))。この際、Hisタグコード核酸(H)と、ランダムDNAとは、正しい読み枠となるように配置される。
【0146】
そして、前記組換えベクターを宿主に導入して、形質転換を行う(
図1(C))。続いて、得られた形質転換体を増幅させ(
図1(D))、さらに、ペプチドの発現誘導を行う(
図1(E))。
図1(E)に示すように、発現誘導によって、まず、前記組換えベクターにおける前記Hisタグコード核酸(H)と前記ランダムDNAと前記アプタマーコード核酸(A)とから、それぞれの転写産物を含む融合転写産物(融合mRNA)が形成される。さらに、前記融合転写産物に基づいて、前記Hisタグと前記ランダムDNAがコードするランダムペプチドとを含む融合翻訳産物(融合ペプチド:His−pep)が形成される。そして、前記融合mRNAにおけるRNAアプタマーは、前記Hisタグに結合可能であることから、
図1(F)に示すように、前記融合mRNAにおけるRNAアプタマーが、前記融合ペプチドにおけるHisタグに結合し、複合体が形成される。
【0147】
続いて、前記形質転換体の内部から、前記複合体およびその他のタンパク質を取り出し、固相に固定化した抗原と接触させる。その結果、前記複合体における前記ランダムペプチドが前記抗原に結合可能であれば、前記ランダムペプチドを介して、前記複合体が、前記固定化抗原に結合する(
図1(G))。ここで、前記固定化抗原に結合した前記ランダムペプチドには、Hisタグが結合しており、前記Hisタグには、前記アプタマーを介して、前記融合mRNAが結合している。この融合mRNAにおける前記ランダムDNAの転写産物は、前記固定化抗原に結合したランダムペプチドをコードするmRNAである。したがって、前記固定化抗原に結合した前記複合体における前記融合転写産物(
図1(H))を選択することにより、前記固定化抗原に結合するランダムペプチドならびにそのコード核酸の情報を得ることができる。
【0148】
具体的には、前記複合体における前記融合転写産物を鋳型として、RT−PCRを行い、ランダムDNAのmRNAに基づきcDNAを合成する(
図1(I))。これによって、前記抗原に結合可能なペプチドのコード核酸の塩基配列、ならびに、前記ペプチドのアミノ酸配列の情報が得られる。また、RT−PCRにより得られるcDNAを、再度、前記ベクターに導入して(
図1(A))、一連の処理を繰り返すことによって、前記抗原に結合可能なペプチドのコード核酸を、さらに選択できる。
【0149】
つぎに、本発明のスクリーニング方法について、前記細胞が大腸菌であり、前記核酸構築物として、ランダムDNAを有するプラスミドライブラリーを導入して、スクリーニングを行う一例をあげて説明する。なお、以下の方法は、あくまでも一例であって、本発明は、これには制限されない。
【0150】
まず、プラスミドライブラリーをエレクトロポレーション等により大腸菌に導入し、振盪培養する。前記培養の培地は、例えば、アンピシリンを含むLB培地があげられる。前記大腸菌の培養は、例えば、OD600nmの吸光度が0.5〜0.6になるまで行うことが好ましい。そして、前記プラスミドライブラリーのベクターが、前記コールドショック発現系のベクターの場合は、例えば、15℃で18時間、0.5〜1mmol/L IPTG存在下で、コールドショック発現誘導を行うことが好ましい。
【0151】
つぎに、培養した大腸菌を遠心により集菌し、10mmol/L EDTAを含む生理食塩水50mLに懸濁して、再度、遠心により集菌する。回収した大腸菌を、20%スクロース、1mmol/L EDTAを含む20mmol/L HEPES緩衝液5mLに懸濁し、10mgのリゾチームを加え、氷上で1時間インキュベートすることにより、細胞壁を溶解する。続いて、終濃度2mmol/LになるようにMg
2+を加え、遠心により、集菌する。そして、0.1mmol/L 酢酸マグネシウムを含む生理食塩水50mLに懸濁し、再度、遠心することにより、スフェロプラストを回収する。
【0152】
前記回収したスフェロプラストを、0.05〜0.5% Triton(登録商標)−X100、0.1mmol/L 酢酸マグネシウム、0.1mg/mL tRNA、0.1% HSAまたはBSA(RNase free)、プロテアーゼインヒビターを含む20mmol/L HEPES緩衝液2.5〜5mLに速やかに懸濁し、溶菌させた後、機械的剪断、またはDNase Iにより、大腸菌のゲノムDNAを細断する。そして、終濃度150mmol/LになるようにNaClを加えて5分放置し、遠心により、前記複合体を含む上清を得る。前記上清は、例えば、ターゲットに対する結合の評価を行うまで、例えば、−80℃で保管できる。
【0153】
前記複合体を含む上清を、抗原に接触させ、4℃で10〜30分間インキュベートする。前記抗原は、前述のように、前記固相に固定化されていることが好ましい。前記抗原が固定化された固相は、特に制限されず、例えば、前記抗原が固定されたゲル、前記抗原が固定されたプラスチック容器、または、前記抗原を含む細胞または組織があげられる。前記抗原が固定化された固相は、例えば、前記溶菌の際に添加したのと同じ、HSAまたはBSAにより、予めブロックキングしておくことが好ましい。
【0154】
続いて、前記固相を洗浄液により洗浄して、前記抗原に未結合の複合体を除去する。前記洗浄液は、例えば、0.05〜0.5% Triton(登録商標)−X100、0.1mmol/L 酢酸マグネシウム、100〜150mmol/L NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液があげられる。
【0155】
つぎに、前記固相に固定化された前記抗原から、前記溶出液により、前記複合体を遊離して回収する。前記溶出液は、例えば、Trizol(invitrogen社)、Isogen(Wako社)、8mol/L urea、6mol/L guanidine、1% SDS等の変性剤を含む緩衝液、前記変性剤の他に、さらに、例えば、0.05〜0.5% Triton(登録商標)−X100、1〜10mmol/L EDTAを含む緩衝液があげられる。前記緩衝液は、特に制限されず、例えば、Tris緩衝液があげられる。
【0156】
つぎに、得られた複合体から、融合転写産物(RNA)を精製する。前記RNAの精製は、例えば、Trizol(商品名、invitrogen社)等が使用できる。また、エタノール沈澱の場合は、例えば、tRNA、グリコーゲン、Ethatinmate(商品名、Nippongene社)等の沈殿補助剤を使用することが好ましい。前記RNAの精製においては、例えば、RNase freeのDNaseを用いて、37℃で30分間インキュベートしてから、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行うのが好ましい。
【0157】
続いて、精製したRNAを鋳型として、RT−PCRによりcDNAを合成する。合成したcDNAは、例えば、相補的な二本鎖を形成させるために、さらに、PCRを行うことが好ましい。任意コード核酸として複数のランダムDNAを使用した場合、例えば、前記RT−PCRによって、前記任意コード核酸における5’側領域と3’側領域とが共通し、中間領域の配列が異なる複数のcDNAが合成され、ヘテロの二本鎖cDNAが形成される場合がある。そこで、RT−PCRにより合成したcDNAについて、さらに、PCRを行うことによって、相補鎖を伸長し、相補的な二本鎖cDNAを増幅することが好ましい。前記相補的な二本鎖cDNAを増幅する方法は、特に制限されず、例えば、前記RT−PCRの反応液に、さらに、フォワードプライマーおよびリバースプライマーを添加し、熱変性の後、アニーリング反応および伸長反応を繰り返し行うことで実行できる。前記反応液に添加するプライマーの量は、特に制限されず、例えば、各プライマーを、終濃度10mmol/Lとなるように添加することが好ましい。また、熱変性は、例えば、95℃で30秒処理した後、94℃で3分間処理することが好ましく、アニーリング反応は、例えば、63.2℃で3分間、伸長反応は、例えば、72℃で3分間であり、前記アニーリング反応と前記伸長反応を、例えば、5回繰り返すことが好ましい。このようにして、相補的な二本鎖cDNAを得ることができる。
【0158】
得られた二本鎖cDNAは、再度、前述したプラスミド等のベクターに挿入して、前述した一連の工程を繰り返し行うことが好ましい。これによって、抗原に結合可能な任意プラスミドを、さらに選択できる。
【0159】
また、選択効率を向上させるため、例えば、大腸菌に、前記核酸構築物を導入した後、前記大腸菌を、マルチウェルプレートに分注し、クローンの限定を行ってもよい。具体的には、前記プレート内で前記大腸菌の増殖を行い、培養した大腸菌の一部を保存した後、発現誘導と溶菌を行う。前記溶菌は、例えば、前記プレートにおいて、大腸菌を集菌した後、0.05〜0.5% Triton(登録商標)−X100、1mmol/L EDTA、2mg/mL リゾチームおよび1mg/mL DNaseを含む20mmol/L HEPES緩衝液を加えることによって行える。このようにして調製した溶菌液を、前記抗原を固定したプレートに添加して、前記溶菌液中の複合体と、前記抗原とを結合させる。その後、前記プレートを、0.05〜0.5% Triton(登録商標)−X100および1mmol/L EDTAを含む20mmol/L HEPES緩衝液で洗浄した後、前記抗原に結合した複合体を、前述のように、HRP標識抗Hisタグ抗体等を用いて検出する。これによって、前記抗原に結合する複合体を形成するクローンを多く含むウェルを特定する。そして、予め保存した大腸菌から、対応するウェルのものを選択して増殖させ、引き続き、一連の処理により、選択を行う。
【0160】
<第2の核酸構築物>
本発明の第2の核酸構築物は、前記任意コード核酸が挿入可能な核酸構築物であり、例えば、実験者が設定した前記任意コード核酸を挿入することによって、前記本発明の第1の核酸構築物を調製可能である。すなわち、本発明の第2の核酸構築物は、抗体候補を発現するための核酸構築物であって、下記(x’)、(y)および(z)のコード核酸を有し、前記(x’)、(y)および(z)のコード核酸は、前記(x’)、(y)および(z)のコード核酸が、融合転写物として転写され、前記(x’)および(y)のコード核酸が、融合翻訳産物として翻訳されるように連結されていることを特徴とする。
(x’)任意ペプチドのコード核酸が挿入可能な、抗体の可変領域のコード核酸
(y)ペプチドタグのコード核酸
(z)前記ペプチドタグに結合可能なアプタマーのコード核酸
【0161】
本発明の第2の核酸構築物は、前記(x’)のコード核酸に、前記任意コード核酸が挿入可能であればよく、その他の構成は、何ら制限されない。本発明の第2核酸構築物は、特に示さない限り、前記第1の核酸構築物と同様であり、その記載を援用できる。
【0162】
本発明の第2の核酸構築物において、前記可変領域およびそのコード核酸は、前記第1の核酸構築物の記載を援用できる。
【0163】
前記(x’)コード核酸は、例えば、前記可変領域コード核酸そのものでもよいし、部分的に欠失した可変領域コード核酸でもよい。前者の場合、前記任意コード核酸は、例えば、前記(x’)可変領域コード核酸の末端および/または内部に、付加により挿入されてもよい。また、前記任意コード核酸は、例えば、前記(x’)可変領域コード核酸において、少なくとも一部の領域を欠失させ、その欠失部位に、挿入してもよい(置換)。他方、後者の場合、前記任意コード核酸は、例えば、前記(x’)可変領域コード核酸の欠失部位に、付加により挿入してもよい。このようにして、本発明の第2の核酸構築物に前記任意コード核酸を挿入することで、前記第1の核酸構築物を調製できる。
【0164】
<スクリーニング用キット>
本発明のスクリーニング用キットは、前記本発明のスクリーニング方法に使用するためのキットであり、本発明の第2の核酸構築物を含むことを特徴とする。本発明のスクリーニング用キットは、本発明の第2の核酸構築物を含むことが特徴であって、その他の構成等は、何ら制限されない。本発明のスクリーニング用キットは、例えば、本発明の第1の核酸構築物を含んでもよい。
【0165】
本発明のキットは、さらに、前記核酸構築物を導入するための生細胞を含んでもよい。また、本発明の各キットは、例えば、前記核酸構築物を生細胞に導入するための試薬、使用説明書等を含んでもよい。
【実施例】
【0166】
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、下記実施例により制限されない。市販の試薬は、特に示さない限り、それらのプロトコルに基づいて使用した。
【0167】
(実施例1)
タグペプチドとVHHとの融合タンパク質(HTX−VHH)を発現し、前記タグに対するアプタマーが前記融合タンパク質に結合する、プラスミドベクターを構築した。
【0168】
(1)VHH人工遺伝子
ラマ由来VHHのアミノ酸配列に基づいて、以下に示すCDR3領域を含まないVHH人工遺伝子(配列番号57)を合成した。
【0169】
【表8】
【0170】
前記配列において、5’側の二重下線部が、CDR1のコード核酸配列(ACCTTCAGTAGCTATGGCATGGGC:配列番号58)であり、3’側の二重下線部が、CDR2のコード核酸配列(TTCGTCGCAGCGATCAGCTGGTCTGGCGGTTCCACCTAC:配列番号59)である。また、3’側の一重下線部は、上流側がPstIの認識部位、下流側がNotIの認識部位であり、この認識部位の間に、後述するようにして、ランダム配列を挿入する。また、5’末端からの一重下線部の配列は、pRSET(商品名、インビトロジェン社)由来のHTXタグのコードDNAである。前記HTXタグは、Hisタグ、TタグおよびXpressタグが連結されたタグペプチドである。HisタグのコードDNAは、連続した6個のHisを含むHisタグ(MRGSHHHHHHG:配列番号60)のコードDNA(ATGCGGGGTTCTCATCATCATCATCATCATGGT:配列番号61)である。前記TタグコードDNAは、10アミノ酸残基のT7 gene 10 leaderを含むペプチドタグ(MASMTGGGGMG:配列番号62)のコードDNA(ATGGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAATGGGT:配列番号63)である。前記XpressタグコードDNAは、14アミノ酸残基のXpress
TMEpitope(RDLYDDDDKDRWGS:配列番号64)のコードDNA(CGGGATCTGTACGACGATGACGATAAGGATCGATGGGGATCC:配列番号155)である。
【0171】
(2)VHH人工遺伝子を含むプラスミドベクターの構築
前記Hisタグに結合可能なアプタマーのコードDNAを異なる部位に挿入した、3種類のプラスミドベクターを構築した。
【0172】
(2−1)HTX−VHH−shot/pColdv1
pCold(登録商標)4ベクター(商品名、タカラバイオ社)のNdeI−XbaIに、配列番号156で表わされるDNAを挿入した。なお、下記配列において、3’側の二重下線部のTは、挿入時にTからAに置換された。下記配列において、大文字領域は、前記VHH人工遺伝子であり、一重下線部は、配列番号157のアプタマーのコードDNA(配列番号158)であり、配列番号102のshot47sssのコードDNAを含む。下記配列において、四角で囲んだ領域は、制限酵素認識部位であり、上流側がPstI、下流側がNotIである。このようにして得られたベクターを、HTX−VHH−shot/pColdv1という。
【0173】
【表9】
【0174】
(2−2)HTX−VHH−shot/pColdv3
pCold(登録商標)4ベクター(商品名、タカラバイオ社)のNdeI−ClaIに、配列番号69で表わされるDNAを挿入した。下記配列において、大文字領域は、前記VHH人工遺伝子であり、一重下線部は、アプタマーコードDNAである。下記配列において、四角で囲んだ領域は、制限酵素認識部位であり、上流側がPstI、下流側がNotIである。このようにして得られたベクターを、HTX−VHH−shot/pColdv3という。
【0175】
【表10】
【0176】
(2−3)HTX−VHH−shot/pColdv4
pCold(登録商標)4ベクター(商品名、タカラバイオ社)のNheI−XbaIに、配列番号70で表わされるDNAを挿入した。なお、下記配列において、5’末端から6番目の二重下線部のCは、挿入時にCからTに置換された。下記配列において、一重下線部は、アプタマーコードDNA、大文字領域は前記VHH人工遺伝子である。下記配列において、四角で囲んだ領域は、制限酵素認識部位であり、上流側がPstI、下流側がNotIである。このようにして得られたベクターを、HTX−VHH−shot/pColdv4という。
【0177】
【表11】
【0178】
前記3種類のプラスミドベクターの概略を、
図4の模式図に示す。前記HTX−VHH−shot/pCold v1は、VHH遺伝子の下流であって、且つ、ターミネーターの上流に、前記アプタマーDNAを挿入した。前記HTX−VHH−shot/pCold v3は、VHH遺伝子の下流であって、ターミネーターの領域内に、前記アプタマーDNAを挿入した。前記HTX−VHH−shot/pCold v4は、HTXタグのコードDNAの上流に、前記アプタマーDNAを挿入した。
【0179】
(3)ライブラリーベクターの作製
図5にVHHの構成の概略を示す。
図5に示すように、VHHは、CDR1、CDR2およびCDR3領域を有する。そこで、前記「2.」で作製した各プラスミドベクターについて、VHHのCDR3領域のコードDNA内をランダム配列に置換して、ランダム配列を有するライブラリーベクターを作製した。
【0180】
(3−1)ライブラリー用インサート
まず、ランダム領域(下線部)を含むオリゴヌクレオチドA1(配列番号71)およびオリゴヌクレオチドA2(配列番号72)、ならびに、相補鎖のオリゴヌクレオチドB1(配列番号73)およびオリゴヌクレオチドB2(配列番号74)を、それぞれ合成した。下記配列において、Vは、A、CまたはG、Nは、A、C、GまたはT、Kは、GまたはTとした。コドンをVNKとすることで、停止コドン、Cys残基、疎水性の高いPhe残基、Trp残基の出現を抑制し、残りのアミノ酸の出現確率を比較的均等にした。なお、下記オリゴヌクレオチドA1およびオリゴヌクレオチドA2は、それぞれ四角で囲んだ部位に、チロシンのコドンを設定した。
【0181】
【表12】
【0182】
50pmolのオリゴヌクレオチドA1、50pmolのオリゴヌクレオチドA2、および、1000pmolのオリゴヌクレオチドB1またはB2を混合し、TaKaRa Ex Taq(商品名、タカラバイオ社)を用いて、計100μLの反応液を調製した。前記反応液を、98℃で30秒加熱した後、60℃ 1分および72℃ 1分を1サイクルとして、5サイクル繰り返した。前記反応液から、エタノール沈殿によりDNAを回収し、50 unitsのexonuclease I(タカラバイオ社)で37℃ 7時間処理し、一本鎖DNAを消化した。前記回収したDNAを、フェノール・クロロフォルム抽出した後、エタノール沈殿した。得られた二本鎖DNAを、30 unitsのPstIおよび30 unitsのNotIで、37℃ 18時間消化した。消化断片を、3% NuSieve GTG agarose(タカラバイオ社)を用いて、電気泳動により分離し、100 bp付近のバンドを切り出し、AgarACE enzyme(商品名、プロメガ社)を用いてDNA抽出した。抽出したDNAについて、さらに、フェノール抽出、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行った。得られたDNAを、そのまま、または、alkaline phosphatase(calf intestine)(商品名、タカラバイオ社)を用いた酵素処理、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、ライブラリー用インサートとした。
【0183】
(3−2)ライブラリー用ベクター
前記「2.」で作製したプラスミドベクター(HTX−VHH−shot/pColdv1、HTX−VHH−shot/pColdv3、またはHTX−VHH−shot/pColdv4)20μgを、30 unitsのPstIにより、37℃で8時間処理した後、30 unitsのNotIを加えて、さらに37℃で18時間消化した。消化断片を、3% NuSieve GTG agarose(タカラバイオ社)を用いて、電気泳動により分離し、5000bp付近のバンドを切り出し、AgarACE enzyme(商品名、プロメガ社)を用いてDNAを抽出した。抽出したDNAについて、さらに、フェノール抽出、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、得られたDNA断片を、ライブラリー用ベクターとした。以下、ランダム領域を含む前記オリゴヌクレオチドを未挿入のベクターを、「ライブラリー用ベクター」といい、前記オリゴヌクレオチドを挿入したベクターを、「ライブラリーベクター」という。
【0184】
(3−3)ライブラリー用ベクターへのライブラリー用インサートの挿入
ライブラリー用インサート0.2μgおよび前記ライブラリー用ベクター1μgを混合し、1750unitsのT4 DNA ligase(タカラバイオ社)を用いて、14℃で18時間ライゲーション反応を行った。前記反応は、0.1mg/mLウシ血清アルブミン、7mmol/L 2−メルカプトエタノール、0.1mmol/L ATP、2mmol/L ジチオスレイトール、1mmol/L スペルミジン、5mmol/L NaClおよび6mmol/L MgCl
2を含む、6mmol/L トリス緩衝液(pH7.5)中で行った。これにより、前記ライブラリー用ベクターに前記ライブラリー用インサートを挿入し、ランダム領域が挿入されたライブラリーベクターを構築した。
【0185】
前記反応液に、10μgのtRNA(パン酵母由来、シグマ社)を添加し、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、TE 10μLに溶解した。得られた溶液全量を、大腸菌に混合し、トランスフォームを行った。前記トランスフォームは、大腸菌として、E.coli DH5α Electoro−cells(タカラバイオ社)100μLを使用し、エレクトロポレーター(BRLライフテクノロジー社)を用いて、380V、4kΩ/330μFの条件で行った。トランスフォームした前記大腸菌を、SOC 6mLに懸濁し、37℃で1時間振盪培養した後、少量を採取し、ライブラリーの複雑度を測定した。残りの培養液に、終濃度100μg/mLのアンピシリンを含む14mLのLBを加え、37℃で5時間振盪培養した。得られた培養液を4mLに分け、0.28mLのDMSOを加えて混合した後、速やかに液体窒素にて凍結し、−80℃で保存した。なお、この方法1回あたりのライブラリーの複雑度は、5×10
6〜10×10
6cfuであった。
【0186】
(4)ライブラリーベクターの選択
(4−1)タンパク質の発現
前記「3.」で作製した、各種ライブラリーベクターをトランスフォームした凍結大腸菌のライブラリーを、終濃度100μg/mLのアンピシリンを含む46mLのLBで、急速に溶解し、600nmの吸光度が0.5となるまで、37℃で振盪培養した。得られた培養液を10℃で30分冷却し、終濃度0.5mmol/LのIPTGを加え、10℃で18時間振盪培養した。得られた培養液を、6,500×g、4℃で10分間遠心し、回収した菌体を、10mmol/L EDTAを含む生理食塩水50mLに懸濁した後、6,500×g、4℃で10分間遠心し、菌体を洗浄した。前記菌体を20%スクロースおよび1mmol/L EDTAを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)5mLに懸濁し、0.1g/mLの卵白リゾチーム(シグマ社)を100μL加えて撹拌し、氷上で1時間処理した。さらに、1mol/L MgCl
2を含む1mol/L 酢酸マグネシウムを5μL加え、6,500×g、4℃で10分間遠心し、スフェロプラストを回収した。回収したスフェロプラストを、0.1mmol/L 酢酸マグネシウムおよび0.9% NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)50mLに懸濁し、氷上で5分静置後、遠心して洗浄した。前記洗浄後のスフェロプラストの沈殿に、溶菌試薬を添加し、4℃で激しく撹拌して、溶菌させた。前記溶菌試薬は、100μg/mL tRNA(パン酵母由来、シグマ社)、0.1% ヒト血清アルブミン(シグマ社)、50units RNase A inhibitor(東洋紡社)、210units DNase I(インビトロジェン社)、1/6ピースのcomplete mini EDTA−free proteinase inhibitor cocktail tablets(ロシュ社)、0.5% TritonX(登録商標)−100および0.1mmol/L 酢酸マグネシウムを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)2mLを使用した。前記溶菌液を、27ゲージの注射針をセットしたシリンジで吸引排出し、スフェロプラストの破壊促進およびゲノムDNAの剪断を行った後、氷上で5分静置し、17,000×gで10分間遠心して、上清を回収した。
【0187】
(4−2)タンパク質発現量の測定
HTX−VHHタンパク質の発現量を、以下に示すサンドイッチELISAで測定した。前記サンドイッチELISAの概略図を、
図6(A)に示す。
図6(A)に示すように、HTX-HVVタンパク質を、固定化した抗ラマIgG抗体でトラップし、さらに、前記HTX−HVVタンパク質におけるHisタグに、標識抗Hisタグ抗体を結合させることで、前記HTX−HVVタンパク質の発現量を測定できる。
【0188】
まず、96穴プレート(旭硝子社)に、5μg/mLのヤギ抗ラマIgG抗体を含む50mmol/L 炭酸緩衝液(pH9.0)を1ウェルあたり80μL加え、室温で3時間静置して、前記抗体を吸着させた。その後、前記ウェルを、1% ヒト血清アルブミン(シグマ社)および0.9% NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)200μLでブロッキングした。他方、陰性コントロールとして、ブロッキングのみを行ったウェルを用意した。これらのウェルに、前記「4.」で得られた、各種ライブラリーベクターを使用した大腸菌のライブラリーの溶菌液を、200μL加え、4℃で1時間培養した。前記ウェルを、0.1% Tween−20および0.9% NaClを含むトリス緩衝液(pH7.6)で4回洗浄し、1/2000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Hisタグ抗体(キアゲン社)、0.2% ウシ血清アルブミンおよび0.9% NaClを含む20mmol/L トリス緩衝液(pH7.6)を加え、室温で1時間反応させた。前記ウェルを、0.1% Tween−20および0.9%NaClを含むトリス緩衝液(pH7.6)で4回洗浄し、1 Step Ultra TMB−ELISA(商品名、サーモサイエンティフィック社)を加えて発色反応を行い、硫酸で反応を停止した後、450nmの吸光度を測定した。
【0189】
この結果を、
図6(B)に示す。
図6(B)は、HTX−VHHタンパク質の発現量を示すグラフである。
図6(B)に示すように、いずれのライブラリーベクターを使用した場合も、HTX−VHHタンパク質の発現が確認された。
【0190】
(4−3)結合mRNAの測定
HTX−VHHタンパク質に結合したmRNAの量を、以下の方法により測定した。mRNA測定の原理を、
図7(A)の概略図に示す。大腸菌内で、前記ライブラリーベクターを発現させると、アプタマーを含む融合mRNAが転写され、HTX-HVVタンパク質が翻訳される。前記アプタマーは、Hisタグに結合するため、前記アプタマーとHisタグとの結合を介して、前記融合mRNAと前記HTX-HVVタンパク質とが結合する。このため、
図7(A)に示すように、前記HTX-HVVタンパク質を、固定化した抗ラマIgG抗体でトラップすることにより、前記HTX-HVVタンパク質に結合した前記融合mRNAを測定できる。
【0191】
96穴プレート(旭硝子社)に、5μg/mLのヤギ抗ラマIgG抗体を含む50mmol/L 炭酸緩衝液(pH9.0)を1ウェルあたり120μL加え、室温で3時間静置して、前記抗体を吸着させた。その後、前記ウェルを、1% ヒト血清アルブミン(シグマ社)および0.9% NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)200μLでブロッキングした。他方、陰性コントロールとして、ブロッキングのみを行ったウェルを用意した。これらのウェルに、前記「4.」で得られた、各種ライブラリーベクターを使用した大腸菌のライブラリーの溶菌液を、200μL加え、4℃で1時間培養した。前記ウェルを、0.5% TritonX−100および0.1mmol/L 酢酸マグネシウムを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)で4回洗浄し、Trizol reagent(商品名、インビトロジェン社)150μL加え、mRNAを回収した。回収したmRNAに、アルコール沈殿用キャリアとしてEthatinmate(商品名、ニッポンジーン社)1μLを加え、そのプロトコルに従って、RNAの精製を行った。得られたRNAを、5unitsのDNase I(プロメガ社)を用いて37℃で30分処理し、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、精製RNAを得た。
【0192】
前記精製RNAを全量用いて、Onestep RT−PCR kit(商品名、キアゲン社)により、RT−PCRを行った。条件は、アニーリング温度を55℃とし、サイクル数を15サイクルまたは20サイクルとした。プライマーは、以下の二種類を併用した(配列番号75および76)。
プライマーC1(配列番号75)
GGCTAGCATGACTGGTGGACAGCAAA
プライマーC2(塩基配列76)
GGCAGGGATCTTAGATTCTG
【0193】
前記RT−PCRの反応液を、1.5%アガロースを用いて電気泳動に供し、臭化エチジウムによりPCR断片を染色した。この電気泳動の結果を、
図7(B)の写真に示す。
図7(B)において、v1、v3およびv4は、使用したライブラリーベクターの種類であり、BSAは、陰性コントールの結果、Igが、ヤギ抗ラマIgG抗体を固定化した結果である。
図7(B)の20サイクルの結果に示すように、いずれのプラスミドベクターにおいても、BSAの結果と比較して、Igは、濃いバンドが確認された。
【0194】
これらの結果から、いずれの部位に前記アプタマーDNAを挿入した場合でも、融合タンパク質と融合mRNAとの複合体が形成できることがわかった。
【0195】
(実施例2)
前記実施例1で作製したHTX−VHH−shot/pColdv1を使用して、ヒトインテレクチン−1に結合する可変領域のスクリーニングを行った。
【0196】
(1)ライブラリーの構築
ライブラリー用ベクターは、前記HTX−VHH−shot/pColdv1を使用した。また、ライブラリー用インサートは、前記オリゴヌクレオチドA1(配列番号71)およびA2(配列番号72)と相補鎖オリゴヌクレオチドB1(配列番号73)とから、前記実施例1と同様に調製した。そして、前記実施例1の「3.(3−3)」と同様にして、ランダム領域が挿入されたライブラリーベクターの構築、および、これをトランスフォームした凍結大腸菌のライブラリーの調製を行った。
【0197】
前記凍結大腸菌のライブラリーを、終濃度100μg/mLのアンピシリンを含む100mLのLBで、急速に溶解し、600nmの吸光度が0.6となるまで、37℃で振盪培養した。得られた培養液を、10℃で30分冷却し、終濃度1mmol/LのIPTGを加え、10℃で1時間振盪培養した。得られた培養液を、6,500×g、4℃で10分間遠心し、回収した菌体を、10mmol/L EDTAを含む生理食塩水50mLに懸濁した後、6,500×g、4℃で10分間遠心し、菌体を洗浄した。前記菌体を、20%スクロースおよび1mmol/L EDTAを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)5mLに懸濁し、0.1g/mLの卵白リゾチーム(シグマ社)を100μL加えて撹拌し、氷上で1時間処理した。さらに、1mol/L MgCl
2を含む1mol/L 酢酸マグネシウムを5μL加え、6,500×g、4℃で10分間遠心し、スフェロプラストを回収した。回収したスフェロプラストを、0.1mmol/L 酢酸マグネシウムおよび0.9% NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)50mLに懸濁し、氷上で5分静置後、遠心して洗浄した。前記洗浄後のスフェロプラストの沈殿に、溶菌試薬を添加し、4℃で激しく撹拌して溶菌させた。前記溶菌試薬は、100μg/mL tRNA(パン酵母由来、シグマ社)、0.1% ヒト血清アルブミン(シグマ社)、50units RNase A inhibitor(東洋紡社)、210units DNase(インビトロジェン社)、1/2ピースのcomplete mini EDTA−free proteinase inhibitor cocktail tablets(ロシュ社)、0.5% TritonX−100および0.1mmol/L 酢酸マグネシウムを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)4mLを使用した。前記溶菌液を、27ゲージの注射針をセットしたシリンジで吸引排出し、スフェロプラストの破壊促進およびゲノムDNAの剪断を行った後、氷上で5分静置し、17,000×gで10分間遠心して、上清を回収した。この上清を溶菌液とした。
【0198】
(2)複合体からのRNAの回収
セレクションビーズを、予め以下のようにして作製した。まず、Polybead polystyrene 1.0micron microspheres(ポリサイエンス社)20μLを、1mLの0.1mol/L ほう酸緩衝液(pH8.5)で3回遠心洗浄し、400μg/mLのヒトインテレクチン−1を含む0.1mol/L ほう酸緩衝液(pH8.5)40μLに懸濁した。この懸濁液を、振盪しながら室温で18時間インキュベートした後、遠心して前記ビーズを回収した。前記ビーズを、10mg/mLのヒト血清アルブミンを含む0.1mol/L ほう酸緩衝液(pH8.5)100μLに懸濁し、振盪しながら室温で30分インキュベートした後、遠心して前記ビーズを回収し、同様の操作を計3回繰り返した。そして、回収した前記ビーズを、10mg/mLのヒト血清アルブミンおよび0.9% NaClを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)40μLに懸濁して保存した。これをセレクションビーズとして使用した。
【0199】
つぎに、前記セレクションビーズ3μLに、前記溶菌液1.5〜4mLを加え、4℃で30分撹拌した後、17,000×g、4℃で5分間遠心し、前記ビーズを回収した。回収した前記ビーズを、0.5% TritonX−100および0.1mmol/L 酢酸マグネシウムを含む20mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)で計4回遠心洗浄し、Trizol reagent(商品名、インビトロジェン社)150μLを加え、室温で5分静置した後、Ultrafree(0.22μm、ミリポア社)を用いて、mRNAを含む可溶性画分を回収した。前記可溶性画分についてクロロフォルム抽出を行い、水層を回収し、Ethatinmate(商品名、ニッポンジーン社)1μLを加え、イソプロパノール沈殿を行った。得られた沈殿を、5unitsのDNase I(プロメガ社)を用いて、37℃で30分処理し、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、精製RNAを得た。
【0200】
(3)新たなライブラリーの構築
前記精製RNAの半量を用いて、Onestep RT−PCR kit(商品名、キアゲン社)により、RT−PCRを行った。条件は、アニーリング温度を57℃とし、サイクル数を20サイクルとした。プライマーは、以下の二種類を併用した(配列番号77、78)。
プライマーD1(配列番号77)
CGGAAGACACGGCCGTTTATTACGC
プライマーD2(配列番号78)
TCTAGATTAGCGGCCGCTGGAAACG
【0201】
20サイクルのRT-PCR後、前記RT−PCRの反応液に、100μmol/Lの前記プライマーD1および100μmol/Lの前記プローブD2を、それぞれ、前記反応液量の1/10ずつ加えた。そして、前記反応液を、95℃で30秒、94℃で3分加熱した後、57℃で1分および72℃で1分を1サイクルとして計5回繰り返した。反応後、前記反応液からエタノール沈殿によりDNAを回収し、25unitsのexonuclease I(タカラバイオ社)を用いて、37℃で3時間処理し、過剰なプライマーを消化した。そして、前記回収DNAについて、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、得られた二本鎖DNAを10μLのTEに溶解した。このDNA溶液1μLを、15 unitsのPstIおよび15unitsのNotIを用いて、37℃で7時間消化した後、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、DNA断片を回収した。前記DNA断片を、そのまま、または、alkaline phosphatase (calf intestine) (タカラバイオ社)処理後、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、選別断片とした。
【0202】
前記選別断片の1/3量と、前記実施例1「3.(3−2)」で作製したライブラリー用ベクター(HTX−VHH−shot/pColdv1)1μgとを混合し、1750unitsのT4 DNA ligase(タカラバイオ社)を用いて、14℃で18時間ライゲーション反応を行った。前記反応は、0.1mg/mL ウシ血清アルブミン、7mmol/L 2−メルカプトエタノール、0.1mmol/L ATP、2mmol/L ジチオスレイトール、1mmol/L スペルミジン、5mmol/L NaClおよび6mmol/L MgCl
2を含む6mmol/L トリス緩衝液(pH7.5)中で行った。これにより、前記ライブラリー用ベクターに前記ライブラリー用インサートとして前記選別断片を挿入し、ランダム領域が挿入されたライブラリーベクターを、新たに構築した。
【0203】
前記反応液に、10μgのtRNA(パン酵母由来、シグマ社)を添加し、フェノール・クロロフォルム抽出、エタノール沈殿を行い、TE 5μLに溶解した。得られた溶液全量を、大腸菌に混合し、トランスフォームを行った。トランスフォームの条件は、前記実施例1と同様とした。トランスフォームした前記大腸菌を、SOC 3mLに懸濁し、37℃で1時間振盪培養した後、終濃度100μg/mLになるようにアンピシリンを加え、37℃で5時間振盪培養した。この培養液に、0.21mLのDMSOを加えて混合した後、速やかに液体窒素にて凍結し、−80℃で保存した。
【0204】
以上に記載した、ライブラリーベクターの構築、HTX−HVVタンパク質の回収、前記タンパク質に結合したRNAの回収、ランダム領域を含むDNAの増幅、DNA増幅物の断片化および前記DNA断片のライブラリー用ベクターへの挿入という工程を、合計2〜3回繰り返し行った。そして、トランスフォームした大腸菌の一部を、50μg/mLのアンピシリンを含むLBプレートに播種し、コロニーを形成させた。得られたコロニーを、100μg/mLのアンピシリンを含む0.5mLのLB培地に接種し、37℃で8時間振盪培養した。前記培養には、96穴ディープウェルプレート(サーモサイエンティフィック社)を用いた。得られた培養液を、10℃で30分冷却し、終濃度0.5mmol/LとなるようにIPTGを加え、10℃で18時間振盪培養した。この培養液を、1,800×g、室温で15分間遠心して菌体を回収し、液体窒素で凍結した。凍結菌体を室温で溶解した後、5,000units/mL rLysozyme(メルク社)、12.5units/mL Benzonase(メルク社)、0.5% TritonX(登録商標)−100および1mmol/L EDTAを含む10mmol/L HEPES緩衝液(pH7.6)200μLを加え、振盪しながら室温で15分間インキュベートして、溶菌させた。この混合液を、液体窒素を用いて凍結し、再度融解した後、終濃度2.5mmol/Lの酢酸マグネシウムを添加し、撹拌した後、室温で10分間静置することによって、溶菌液を得た。
【0205】
(4)スクリーニング
前記溶菌液を、0.1% Tween−20、0.2% ウシ血清アルブミン(シグマ社)および0.9% NaClを含む20mmol/L トリス緩衝液(pH7.6)で、2倍に希釈した。スクリーニングには、この希釈溶菌液を使用した。
【0206】
結合クローンのスクリーニングは、以下に示すELISAにより測定した。まず、96穴プレート(旭硝子社)に、抗原として1μg/mLのヒトインテレクチン−1を含む50mmol/L 炭酸緩衝液(pH9.0)を1ウェルあたり50μL加え、室温で3時間静置して、前記抗原を吸着させた。その後、前記ウェルを、1% ウシ血清アルブミン(シグマ社)および0.9% NaClを含む20mmol/L トリス緩衝液(pH7.6)200μLでブロッキングした。前記ウェルに、前記希釈溶菌液を50μL加え、室温で1.5時間培養した。前記ウェルを、0.1% Tween−20および0.9%NaClを含むトリス緩衝液(pH7.6)で4回洗浄し、1/2000に希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ標識抗Hisタグ抗体(キアゲン社)、0.2% ウシ血清アルブミンおよび0.9% NaClを含む20mmol/L トリス緩衝液(pH7.6)を50μL加え、室温で1時間反応させた。前記ウェルを、0.1% Tween−20および0.9%NaClを含むトリス緩衝液(pH7.6)で4回洗浄し、1 Step Ultra TMB−ELISA(商品名、サーモサイエンティフィック社)を加えて発色反応を行い、硫酸で反応を停止した後、450nmの吸光度を測定した。そして、陽性クローンについて、シークエンスを行い、前記抗原に結合性を示した結合クローンのアミノ酸配列を決定した。得られた陽性クローンのうち、代表的なクローンの可変部領域のアミノ酸配列およびELISAの結果を、
図8に示す。
【0207】
図8において、左側は、各クローンから発現したHTX−HVVタンパク質のヒトインテレクチン−1に対する結合を示すグラフであり、右側は、各クローンから発現したランダム領域およびその周囲のアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は、上から順に、配列番号いたスクリーニング方法によれば、前述の工程を繰り返すことのみによって、抗原に対して結合性を示すペプチドをスクリーニングできる。このため、本発明によれば、例えば、従来のように動物への免疫等を行うことなく、抗原に対して結合性を示す可変領域のペプチドを得ることができ、これに基づいて、例えば、ヒト化抗体等も容易に設計可能である。
【0208】
(実施例3)
前記実施例1で作製したHTX−VHH−shot/pColdv1を使用して、ヒトTNF−αに結合する可変領域のスクリーニングを行った。
【0209】
セレクションビーズの作製において、ヒトインテレクチン−1に代えて、ヒトTNF−α(ペプロテック社)を使用し、RT−PCRのプライマーとして、前記プライマーD2に代えて、下記プライマーD3を使用した以外は、前記実施例2と同様の処理を行い、ヒトTNF−αに特異的に結合するクローンを得た。
プライマーD3(配列番号79)
CTAGTAGCGGCCGCTTATCTACCGCTGGAAACGGTCACCTGGGT
【0210】
この結果を、下記表13に示す。下記表13において、A〜Hおよび1〜12は、プレートのウェル番号を示し、各マスの値は、前記実施例2と同様に、ELISAの測定値を示す。このように、本発明によれば、前記プレートのウェルにおけるELISAの測定値から、抗原への結合性を示すクローンを選択することが可能である。
【0211】
【表13】
【0212】
(実施例4)
前記実施例1で作製したHTX−VHH−shot/pColdv1を使用して、ヒトインテレクチン−1に結合する可変領域のスクリーニングを行った。
【0213】
ライブラリー用インサートの調製において、前記相補鎖オリゴヌクレオチドB1(配列番号73)に代えて、前記相補鎖オリゴヌクレオチドB2(配列番号74)を使用し、RT−PCRのプライマーとして、前記プライマーD2に代えて、下記プライマーD4を使用した以外は、前記実施例2と同様の処理を行い、ヒトインテレクチン−1に特異的に結合するクローンを得た。
プライマーD4(配列番号80)
CACTTAGCGGCCGCTCACGTAGGC
【0214】
この結果を、下記表14に示す。下記表14において、A〜Hおよび1〜12は、プレートのウェル番号を示し、各マスの値は、前記実施例2と同様に、ELISAの測定値を示す。このように、本発明によれば、前記プレートのウェルにおけるELISAの測定値から、抗原への結合性を示すクローンを選択することが可能である。
【0215】
【表14】
【0216】
このように、本発明によれば、前記ペプチドタグとそれに対するアプタマーとの結合を利用することで、抗原に結合する抗体候補のコード核酸情報を容易に解析でき、その解析結果から、前記抗体候補のアミノ酸配列を決定できる。このため、本発明によれば、例えば、免疫法等による抗体の取得のように、多大な時間および労力を費やすことなく、抗体候補の選択を行うことができる。
【0217】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0218】
この出願は、2011年9月29日に出願された日本出願特願2011−215049を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。