(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記止水栓部材の回転軸部は、上記調圧弁の調圧ばねが上記調圧弁体の受圧部を軸方向外側に付勢しているときに、上記調圧弁体が上記止水栓部材の回転軸部の所定位置よりも軸方向外側に移動しないように規制するための移動規制手段を備えている請求項1記載の調圧機能付き止水栓装置。
上記移動規制手段は、上記止水栓部材の回転軸部の所定位置に形成された切欠きに嵌め込まれて上記調圧弁体の軸方向外側端部に当接可能に半径方向外側に突出する止め環部材である請求項2記載の調圧機能付き止水栓装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に記載されている水栓装置では、止水栓が調圧弁の外部の同一軸上に直列に配置されているため、止水栓と調圧弁が組み込まれる水栓装置全体の軸方向の長さが、単に止水栓のみを備えた水栓装置の軸方向の長さに比べて少なくとも調圧弁の全長分だけ長くなり、水栓装置全体の大きさも大きくなるという問題がある。また、単に止水栓のみを備えた既存の水栓装置に別部品の調圧弁を取り付けた場合には、コストアップにつながるという問題もある。
【0008】
また、上述した特許文献2に記載されている水栓装置では、止水栓と調圧弁が並列して配置されているため、止水栓と調圧弁を通過する水をろ過するフィルター部材を止水栓と調圧弁に対して同軸上に配置することができないため、コストアップにつながるという問題がある。
【0009】
さらに、上述した特許文献3に記載されている装置では、調圧ばねが配置されている作動室内とガス通路が連通しているため、水栓装置として適用した場合には、通水路から作動室内に水が流入してしまうという問題がある。また、作動室の外周面が、ガス通路の出口路を形成するハウジングによって一体的に形成されているため、ハウジングを取り外すと共に、ピストン部材と調圧ばねが作動室から外れ、ピストン部材の先端の弁体がガス通路の流入口を閉鎖できなくなるという問題がある。したがって、開閉弁がガス通路を閉鎖した状態を維持しながら、装置のメンテナンスを行うことができないという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するためになされたものであり、装置全体を小型化すると共に、止水状態を維持しながら、メンテナンスを容易に行うことができる調圧機能付き止水栓装置、及び、それを備えた水栓装置及び湯水混合水栓装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するために、本発明は、通水路を止水状態又は通水状態に切り替え、流出する水の圧力を調整する調圧機能付き止水栓装置であって、水栓装置の上流側に形成される通水路内に螺合されるねじ部と、一端部が上記ねじ部の一部と一体的に形成されて他端部が長手方向軸線の軸線回りの回転操作可能な操作部となる回転軸部と、この回転軸部から半径方向外側に突出し上記ねじ部及び上記回転軸部の回転に応じて上記通水路の流入口に対して軸方向に相対的に移動して上記流入口を開閉する止水弁体部と、を備えた止水栓部材と、上記止水栓部材の回転軸部に対して軸方向に移動可能に取り付けられて上記止水栓部材の回転軸部及び止水弁体部のそれぞれの外周を取り囲むようにほぼ筒状に形成された調圧弁体と、この調圧弁体の内部に設けられて上記調圧弁体を軸方向外側に付勢する調圧ばねと、を備えた調圧弁であって、上記調圧弁体は、上記調圧ばねからの軸方向外側への付勢力を内側から受けると共に上記止水栓部材の止水弁体部が上記通水路の流入口を開放した通水状態のときに上記調圧弁体を軸方向内側に移動させる水圧を外側から受ける受圧部を備え、この受圧部で受圧した上記調圧弁体が軸方向に移動することにより上記調圧弁体と上記通水路の流入口との相対的な距離を調整して上記通水路から上記水栓装置へ流出する水の圧力を調整する上記調圧弁
と、上記止水栓部材の回転軸部の操作部が操作可能となるように上記止水栓部材及び上記調圧弁の外周の一部を取り囲み、上記止水栓部材及び上記調圧弁の軸方向の移動をガイド
する止水栓ガイド部材と、上記止水栓部材の止水弁体部にとりつけられ、上記通水路の流入口に当接して上記通水路が止水状態のときに上記通水路の流入口を密封するシール部材と、を有し、このシール部材は、上記調圧弁体が上記シール部材に対して軸方向に摺動可能となるように上記調圧弁の調圧弁体の内周面と上記止水栓部材との隙間をシールすることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、調圧弁の調圧ばねが調圧弁体の内部に設けられる構造となっており、調圧弁の調圧弁体が止水栓部材の回転軸部及び止水弁体部と調圧ばねのそれぞれの外周を取り囲むようにほぼ筒状に形成され、調圧ばねと止水栓部材の止水弁体部が調圧弁の調圧弁体の内部に収容されている構造となっているため、止水栓部材の止水弁体部が調圧弁の調圧弁体の外部に軸方向に直列に配置された構造に比べて、止水栓部材の止水弁体部から調圧弁の調圧弁体の受圧部までの軸方向の距離を短くすることができ、調圧機能付き止水栓装置全体の軸方向の長さを短くすることができる。さらには、止水栓部材の止水弁体部のシール部材が、通水路が止水状態のときに通水路の流入口を密封する機能と、通水路が通水状態のときに調圧弁体がシール部材に対して軸方向に摺動可能となるように調圧弁の調圧弁体の内周面との隙間を密封する機能を兼ね備えることができる。このため、別途調圧弁体の内部を密封するシール部材を設ける必要がなく、シール部材を含めた止水栓部材の止水弁体部の軸方向の幅を抑え、調圧機能付き止水栓装置全体の軸方向の幅も小さくすることができる。
したがって、調圧機能付き止水栓装置全体の大きさについて、従来の調圧機能を備えていない止水栓装置全体と同程度の大きさに抑えることができ、調圧機能を備えていない従来の止水栓装置が取り付けられていた通水路の取付箇所においても、従来の止水栓装置を取り外して本発明の調圧機能付き止水栓装置を容易に取り換えることができる。
【0012】
本発明において、好ましくは、上記止水栓部材の回転軸部は、上記調圧弁の調圧ばねが上記調圧弁体の受圧部を軸方向外側に付勢しているときに、上記調圧弁体が上記止水栓部材の回転軸部の所定位置よりも軸方向外側に移動しないように規制するための移動規制手段を備えている。
このように構成された本発明においては、調圧弁体が止水栓部材の回転軸部の所定位置よりも軸方向外側に移動しないように規制するための止水栓部材の回転軸部の移動規制手段により、止水栓部材の回転軸部に対する調圧弁の調圧弁体の軸方向の移動範囲を規制することができるため、調圧機能付き止水栓装置全体の軸方向の長さを効果的に抑えることができる。
【0013】
本発明において、好ましくは、上記移動規制手段は、上記止水栓部材の回転軸部の所定位置に形成された切欠きに嵌め込まれて上記調圧弁体の軸方向外側端部に当接可能に半径方向外側に突出する止め環部材である。
このように構成された本発明においては、調圧弁体が止水栓部材の回転軸部の所定位置よりも軸方向外側に移動しないように規制するための移動規制手段として、簡易な構造である止め環部材を採用し、止水栓部材の回転軸部の所定位置に形成された切欠きに嵌め込むことにより、この止め環部材が調圧弁体の軸方向外側端部に当接可能に半径方向外側に突出し、止水栓部材の回転軸部に対する調圧弁の調圧弁体の軸方向の移動範囲を容易に規制することができる。したがって、簡単な構成によって調圧機能付き止水栓装置全体の軸方向の長さを効果的に抑えることができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、上記止水栓ガイド部材は、上記通水路に取り付けられた上記止水栓部材及び上記調圧弁に軸方向外側から着脱可能に取り付けられ、上記止水栓部材の止水弁体部が上記通水路の流入口を閉鎖している止水状態で上記通水路から取り外し可能であり、止水栓ガイド部材本体と、上記調圧弁の調圧弁体の外周側の通水路を取り囲むように上記止水栓ガイド部材本体に取り付けられて上記通水路から流出する水をろ過するフィルター部材と、を備えている。
このように構成された本発明においては、止水栓部材の止水弁体部が通水路の流入口を閉鎖している止水状態で止水栓ガイド部材を通水路から取り外すことにより、止水栓ガイド部材以外の部材を通水路に取り付けた状態を維持しながら、止水状態を維持しながら、止水栓ガイド部材のフィルター部材についてのメンテナンスを容易に行うことができる。
【0015】
本発明において、好ましくは、上記調圧ばねは一端部が止水弁部に当接し、他端部が調圧弁体と当接している。
このように構成された本発明においては、調圧ばねが直接止水弁部および調圧ばねと当接することによって、必要なばねの性質を確保しながら調圧弁と止水弁部の距離を最短とすることが可能となる。したがって、調圧機能付き止水栓装置全体の軸方向の長さをより効果的に抑えることができる。
【0016】
つぎに、本発明は、上記調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置であって、吐水口が形成された水栓装置本体と、吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、を有し、上記水栓装置本体の上流側に形成される通水路には、上記調圧機能付き止水栓装置の止水栓部材及び調圧弁が取り付けられた状態で上記調圧機能付き止水栓装置の止水栓ガイド部材が上記止水栓部材及び上記調圧弁の軸方向外側方向から着脱可能に取り付けられ、上記止水栓ガイド部材は、上記通水路に取り付けられた状態で上記止水栓部材の回転軸部の操作部の操作可能となるように上記止水栓部材及び上記調圧弁の外周の一部を取り囲むと共に上記止水栓部材及び上記調圧弁の軸方向の移動をガイドし、上記止水栓部材の止水弁体部が上記通水路の流入口を閉鎖している止水状態で上記通水路から取り外し可能となることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、水栓装置本体の上流側に形成される通水路に取り付けられた調圧機能付き止水栓装置の止水栓部材の回転軸部の操作部を操作することにより、止水栓部材の止水栓弁部が通水路の流入口を閉鎖する止水操作を容易に行うことができると共に、止水状態において止水栓ガイド部材を通水路から取り外すことにより、止水栓ガイド部材以外の部材を通水路に取り付けた状態を維持しながら、止水状態を維持しながら、調圧弁や止水栓ガイド部材のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0017】
つぎに、本発明は、湯と水を混合して所定温度に調節した湯水を吐水又は止水する、上記調圧機能付き止水栓装置を備えた湯水混合水栓装置であって、湯と水が混合される湯水混合水栓装置本体と、この湯水混合水栓装置本体に設けられた吐水部と、吐水状態と止水状態に切り替える吐止水切替手段と、上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、湯側通水路を形成する湯側脚部材と、上記湯水混合水栓装置本体の上流側に接続され、水側通水路を形成する水側脚部材と、を有し、上記湯側脚部材又は上記水側脚部材の少なくとも一方の脚部材には、上記調圧機能付き止水栓装置の止水栓部材及び調圧弁が取り付けられた状態で上記調圧機能付き止水栓装置の止水栓ガイド部材が上記止水栓部材及び上記調圧弁の軸方向外側方向から着脱可能に取り付けられ、上記止水栓ガイド部材は、上記脚部材に取り付けられた状態で上記止水栓部材の回転軸部の操作部の操作可能となるように上記止水栓部材及び上記調圧弁の外周の一部を取り囲むと共に上記止水栓部材及び上記調圧弁の軸方向の移動をガイドし、上記止水栓部材の止水弁体部が上記脚部材の通水路の流入口を閉鎖している止水状態で上記脚部材から取り外し可能となることを特徴としている。
このように構成された本発明においては、湯水混合水栓装置本体の上流側に接続される湯側脚部材又は水側脚部材の少なくとも一方の脚部材に取り付けられた調圧機能付き止水栓装置の止水栓部材の回転軸部の操作部を操作することにより、止水栓部材の止水栓弁部が脚部材の通水路の流入口を閉鎖して止水操作を容易に行うことができると共に、止水状態において止水栓ガイド部材を脚部材から取り外すことにより、止水状態を維持しながら、調圧弁や止水栓ガイド部材のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、現場で湯側通水路及び水側通水路のそれぞれから湯水混合水栓装置本体に供給される湯と水のそれぞれの供給圧力が大きく異なる場合であっても、調圧機能付き止水栓装置の調圧弁を通過する水の圧力がほぼ一定に調整されるため、湯水混合水栓装置本体に供給された湯水が所定の設定温度とほぼ等しい温度に調節され、湯水混合水栓装置の吐水部から適温な湯水を吐水することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の調圧機能付き止水栓装置、及び、それを備えた水栓装置及び湯水混合水栓装置によれば、装置全体を小型化すると共に、止水状態を維持しながら、メンテナンスを容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して本発明の調圧機能付き止水栓装置、及び、調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置(湯水混合水栓装置)を示す概略斜視図である。
図1に示すように、本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置1を備えた水栓装置である湯水混合水栓装置2は、湯水混合水栓装置本体4を有し、湯水混合水栓装置本体4は、その背面側に突出する湯側流入部6及び水側流入部8、先端部に吐水口10aが形成されたスパウト10、シャワーホース12、温度調節装置14、スパウト10の吐水口10aによるカラン吐水又はシャワーホース12によるシャワー吐水に切り替え可能な流量調整機能を備えたカラン/シャワー切替装置16を備えている。このような温度調節装置14を備えた湯水混合水栓装置2は、いわゆる「サーモスタット混合栓」と呼ばれている。
【0021】
また、湯水混合水栓装置2は、湯水混合水栓装置本体4の湯側流入部6及び水側流入部8のそれぞれの背面側(上流側)に接続され且つ調圧機能付き止水栓装置1がそれぞれ取り付けられる湯側脚部材18及び水側脚部材20をそれぞれ備え、湯側脚部材18及び水側脚部材20のそれぞれの内部には、湯側通水路22及び水側通水路24がそれぞれ形成されている。
なお、本実施形態では、例として、調圧機能付き止水栓装置1を湯水混合水栓装置2の湯側脚部材18及び水側脚部材20の双方に適用させる形態について説明するが、このような形態に限定されず、湯側脚部材18については、調圧機能を備えずに止水機能のみを備えた脚部材となるように構成し、水側脚部材20のみに本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を適用させる形態であってもよい。また、このような形態とは逆に、湯側脚部材18のみに本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を適用させてもよい。
また、湯側脚部材18及び水側脚部材20の構成については同一であるため、以下、湯側脚部材18については説明を省略し、水側脚部材20のみについて具体的に説明する。
【0022】
つぎに、
図1〜
図9を参照して、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1の詳細と、この調圧機能付き止水栓装置1が組み込まれた湯水混合水栓装置2の水側脚部材20の詳細について具体的に説明する。
図2は本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置の分解斜視図であり、
図3は本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材を示す正面図であり、
図4は本発明の第1実施形態による止水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の平面断面図であり、
図5は本発明の第1実施形態による中圧時の通水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
また、
図6は本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置の止水栓部材を正面側斜め上方から見た斜視図であり、
図7は本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置の調圧弁の調圧弁体を正面側斜め上方から見た斜視図であり、
図8は本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置の止水栓ガイド部材の止水栓ガイド部材本体とこの止水栓ガイド部材本体に取り付けられるフィルター部材を示す斜視図である。
さらに、
図9は、本発明の第1実施形態による高圧時の通水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
【0023】
図2〜
図5に示すように、水側脚部材20の水側通水路24は、水道等の給水源(図示せず)に接続される配管(図示せず)に接続される水側脚部材20の上流側接続部26に形成された入口24aから、湯水混合水栓装置本体4の水側流入部8に接続される水側脚部材20の下流側接続部28に形成された出口24bまで、水側脚部材20の内部にクランク状に形成されている。
また、この水側通水路24は、その入口24aから調圧機能付き止水栓装置1が取り付けられる取付室24cまで延びる1次側通水路30と、水側通水路24の取付室24cから下流側に向って水側脚部材20の正面20a及び背面20bとほぼ平行に所定距離に延びた後、前方の出口24bに向って延びる2次側通水路32とを備えている。
【0024】
つぎに、
図2に示すように、調圧機能付き止水栓装置1は、水側通水路24の取付室24cを形成する水側脚部材20の所定の取付部20cに取り付けられ、上流側から下流側にかけて止水栓部材34、調圧弁36及び止水栓ガイド部材38を備えている。
【0025】
図2、
図5及び
図6に示すように、止水栓部材34は、水側通水路24の取付室24cの流入口24dから上流側の1次側通水路30の所定区間S1の内周に沿って形成された雌ねじ部24eに螺合される雄ねじ部40を備えている。
また、止水栓部材34は、前後方向に延びる回転軸部42を備え、この回転軸部42の後端部42aは、雄ねじ部40の前面40aの一部から前方へ突出する柱部40bに一体的に形成されている。さらに、雄ねじ部40の内周面40cは、水側通水路24の取付室24cの流入口24dが開放された通水状態のときに、一次側通水路30と取付室24cとを連通させる通水路を形成している。
【0026】
一方、回転軸部42の前端部は、回転軸部42について調圧機能付き止水栓装置1の長手方向の中心軸線Cの軸線回りに回転操作可能な操作部42bとなっている。この操作部42bには、キー溝42cが形成され、このキー溝42cにマイナスドライバー等の工具(図示せず)を嵌め込んで回すことにより、止水栓部材34の雄ねじ部40及び回転軸部42について中心軸線Cの軸線回りの回転操作を行うことができるようになっている。
【0027】
さらに、止水栓部材34は、回転軸部42の後端部42aから半径方向外側に突出するように形成された止水弁体部44を備え、この止水弁体部44は、止水栓部材34の操作部42bによる回転操作が行われると、回転軸部42の軸回りの回転に応じて水側通水路24の取付室24cの流入口24dに対して軸方向に相対移動することにより、流入口24dを開閉することができるようになっている。
【0028】
また、止水栓部材34の止水弁体部44は、前後方向に所定間隔をおいて半径方向外側に突出するように形成された前側支持突起44a及び後側支持突起44bと、これらの前側支持突起44aと後側支持突起44bとの間に取り付けられて保持される円環状のシール部材であるパッキン46とを備えている。パッキン46は、ゴム材料又は樹脂材料、或いはこれらの複合材料によって形成され、
図4に示すように、止水栓部材34の止水弁体部44の後側支持突起44bの後端部(回転軸部42の後端部42a)及びパッキン46の後端面46aが水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接して密着しているときには、流入口24dが弁座となって水側通水路24の1次側通水路30と2次側通水路32とが止水された状態となるようになっている。
一方、
図5及び
図9に示すように、止水栓部材34の止水弁体部44の後側支持突起44b及びパッキン46が水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接していないときには、水側通水路24の1次側通水路30と2次側通水路32とが通水された状態となり、後述する調圧弁36の調圧弁体48がパッキン46の外周面46bに対して軸方向に摺動可能となり且つ水側通水路24の取付室24c内に流入した水が調圧弁体48の内部の後述する調圧ばね50のばね室52内に浸入しないように、パッキン46の外周面46bが調圧弁体48の内周面48aとの隙間を密封するようになっている。
【0029】
調圧弁36は、止水栓部材34の回転軸部42に対して軸方向に移動可能に取り付けられた調圧弁体48と、この調圧弁体48を軸方向外側(
図5の前側方向)に付勢する調圧ばね50とを備えている。なお、「軸方向外側」とは、止水栓部材34が流入口24dを開放する方向、すなわち、止水栓部材34の回転軸部42の軸方向において、流入口24dから離間する方向を意味する。
調圧弁体48は、止水栓部材34の回転軸部42及び止水弁体部44のそれぞれの外周を取り囲むようにほぼ筒状に形成され、その内部に設けられた調圧ばね50が軸方向に伸縮して作動するためのばね室52を形成している。
調圧ばね50は、軸方向の圧縮力により軸方向に伸縮可能な圧縮コイルばねであり、予め所定の圧縮荷重(予荷重)を与えられた状態で調圧ばね50の後端部50aが止水栓部材34の止水弁体部44の前側支持突起44aに当接し、調圧ばね50の前端部50bが調圧弁体48の肩部48bの内面に当接している。
【0030】
また、
図5及び
図7に示すように、調圧弁体48の肩部48bの前面は、止水栓部材34の止水弁体部44が水側通水路24の取付室24cの流入口24dを開放した通水状態のときに、調圧弁体48を止水栓部材34の回転軸部42に対して軸方向内側(
図5の後側方向)に移動させる水圧P1を外側から受ける受圧部48cとなっている。
例えば、調圧弁体48の受圧部48cに作用する水側通水路24の取付室24c内の水圧P1が所定値未満の場合には、調圧ばね50は軸方向に撓まず、調圧弁体48も止水栓部材34の回転軸部42に対して軸方向内側(
図5の後側方向)に移動しないようになっている。
一方、調圧弁体48の受圧部48cが受圧する水圧P1が所定値以上の場合には、この水圧P1が調圧弁体48を軸方向内側(
図5の後側方向)に押圧する力が調圧ばね50の付勢力F1(
図5参照)を上回り、調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42に対して軸方向内側(
図5の後側方向)に移動することにより、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d1を調整し、一次側通水路30から取付室24c内の流入口24dを経て水側通水路24の出口24bから湯水混合水栓装置本体4へ流出する水の圧力が調整されるようになっている。
【0031】
ここで、
図5及び
図9は、水圧P1の中圧時の通水状態の調圧弁36の調圧弁体48の軸方向の位置と、この水圧P1よりも高い水圧P2の高圧時の通水状態の調圧弁36の調圧弁体48の軸方向の位置をそれぞれ示しているが、
図9に示す水圧P2の高圧時の通水状態においては、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d2が、
図5に示す水圧P1の中圧時の調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d1よりも小さくなり、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの間の流路が狭くなり、調圧弁36の調圧弁体48を通過する水の流量が絞られることにより調圧が行われるようになっている。
【0032】
つぎに、
図2、
図5及び
図6に示すように、止水栓部材34の回転軸部42は、調圧弁36の調圧ばね50の前端部50bが調圧弁体48の肩部48b(受圧部48c)の内面を軸方向外側(
図5の前側方向)に付勢しているときに、調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1よりも軸方向外側に移動しないように規制するための移動規制手段である止め環部材54を備えている。
この止め環部材54は、上下方向から見て概ねC型形状となっており、止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1の外周面の周方向に沿って形成された切欠き42dに嵌め込まれるようになっている。
さらに、止め環部材54は、止水栓部材34の回転軸部42の切欠き42dに嵌め込んだ状態では、調圧弁体48の首部48eの前端部48f(
図7参照)に当接可能に止水栓部材34の回転軸部42の所定位置A1の外周面から半径方向外側に突出している。
なお、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1では、調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1よりも軸方向外側に移動しないように規制するための移動規制手段の例として、止め環部材54を採用した形態について説明するが、このような形態に限定されず、止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1の外周面に半径方向外側に突出する突起を一体的に形成し、調圧弁体48の首部48eの前端部48fに当接可能とするような形態であってもよい。
【0033】
つぎに、
図2〜
図5及び
図8に示すように、止水栓ガイド部材38は、水側通水路24の取付室24c内に取り付けられた止水栓部材34及び調圧弁36に軸方向外側から着脱可能に取り付けられる止水栓ガイド部材本体56と、水側通水路24の取付室24c内における調圧弁36の調圧弁体48の外周側の2次側通水路32を取り囲むように止水栓ガイド部材本体56の後端部の内周面56aに着脱可能に取り付けられて水側通水路24の取付室24c流入する通水中に含まれるごみをろ過するフィルター部材58とを備えている。
【0034】
止水栓ガイド部材本体56の外周面には、外周面に形成された雄ねじ56bを備え、この雄ねじ56bは、水側脚部材20の調圧機能付き止水栓装置1の取付部20cの雌ねじ20dに螺合させるようになっている。
また、止水栓ガイド部材38は、止水栓ガイド部材本体56の外周面の雄ねじ56bの前方側に取り付けれる外側オーリング60を備え、この外側オーリング60により、止水栓ガイド部材本体56が調圧弁36の外周側を覆うように正面側から水側脚部材20の取付部20cに取り付けられた状態で、止水栓ガイド部材本体56の外周面と水側脚部材20の取付部20cの内周面との隙間が密封されるようになっている。
【0035】
さらに、止水栓ガイド部材本体56の内周面は、前側ガイド部56cと、後側ガイド部56dとを備え、前側ガイド部56cは、止水栓ガイド部材本体56が水側通水路20の取付部20cに取り付けられた状態で止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bが操作可能となるように、止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bと調圧弁36の調圧弁体48の首部48eの外周を取り囲み、止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bと調圧弁36の調圧弁体48の軸方向の移動をガイドすることができるようになっている。
また、止水栓ガイド部材本体56の内周面の後側ガイド部56dは、調圧弁36の調圧弁体48の肩部48bから後方の段部48gまで延びる調圧弁体48の側壁部48h(
図7参照)の軸方向の移動をガイドすることができるようになっている。
【0036】
さらに、止水栓ガイド部材本体56の前側ガイド部56cには、その内周面と調圧弁36の調圧弁体48の首部48eの外周面との隙間を密封するための内側オーリング62が設けられている。
また、止水栓ガイド部材本体56の後側ガイド部56dには、調圧弁36の調圧弁体48の側壁部48hを軸方向に摺動可能に保持するC型リング64が設けられ、このC型リング64により、調圧弁36の調圧弁体48が軸方向に移動する際のガタツキを抑制し、このガタツキによる異音の発生を抑制することができるようになっている。
【0037】
さらに、
図8に示すように、止水栓ガイド部材38のフィルター部材58のほぼ円筒状の外周面の前側と後側のそれぞれの部分には、半径方向外側に突出する複数の前側取付用突起58aと後側取付用突起58bが形成され、フィルター部材58の前側取付用突起58aが止水栓ガイド部材本体56の後端部の内周面56aに嵌合され、フィルター部材58の後側取付用突起58bが水側通水路24の取付室24cの内周面の後方側に嵌合されるようになっている。また、止水栓ガイド部材38を水側脚部材20の取付部20cから着脱する際には、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58が一体に取り付けられた状態で着脱することができるようになっている。
【0038】
また、止水栓ガイド部材本体56は、その前端部にスパナ等の工具(図示せず)が取り付け可能で、この工具により止水栓ガイド部材本体56の中心軸線Cの軸線回りの回転操作が可能な操作部56eを備えている。
止水栓ガイド部材38が水側脚部材20の取付部20cに取り付けられた状態で止水栓ガイド部材38のみを取り外す際には、まず、止水栓部材34の操作部42bのキー溝42cにマイナスドライバー等の工具(図示せず)を嵌め込んで回すことにより、止水栓部材34の雄ねじ部40及び回転軸部42について中心軸線Cの軸線回りの回転操作して軸方向の後方へ移動させる。そして、止水栓部材34の止水弁体部44の後側支持突起44bの後端部(回転軸部42の後端部42a)及びパッキン46の後端面46aを水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接して密着させることにより、水側通水路24の取付室24cの流入口24dを閉鎖した止水状態にした後、スパナ等の工具(図示せず)を用いて止水栓ガイド部材38の止水栓ガイド部材本体56の操作部56eを中心軸線Cの軸線回りの回転操作することにより、水側脚部材20の取付部20cの雌めじ20dと止水栓ガイド部材本体56の雄ねじ56bとの螺合を解除することにより、水側脚部材20の取付部20cに止水栓部材34と調圧弁36が取り付けられて水側通水路24の取付室24cの流入口24dが止水された状態で、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58が水側脚部材20の取付部20cから取り外し可能となっている。
【0039】
つぎに、上述した本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の動作(作用)について説明する。
まず、
図5及び
図9に示すように、止水栓部材34の止水弁体部44によって、流入口24dが開放された状態では、一次側通水路30内の水は、止水栓部材34の雄ねじ部40の内周面40cによって形成される流路を通過して流入口24dを経て取付室24c内に流れ込む。そして、この取付室24c内に流れ込んだ水は、止水栓部材34の止水弁体部44のパッキン46により調圧弁36の調圧弁体48の内部のばね室52への浸入が阻止された状態で、調圧弁体48の外側からフィルター部材58を通過して、2次側通水路32へ流出する。
【0040】
このとき、
図5に示すように、取付室24c内において、調圧弁36の調圧弁体48の受圧部48cが受圧する水圧P1が所定値以上に達すると、この水圧P1が調圧弁体48を軸方向内側(
図5の後側方向)に押圧する力が調圧ばね50の付勢力F1を上回り、調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42に対して軸方向内側(
図5の後側方向)に移動し、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d1が調整され、一次側通水路30から取付室24c内の流入口24dを経て水側通水路24の出口24bから湯水混合水栓装置本体4へ流出する水の圧力が調整される。
【0041】
さらに、
図9に示すように、調圧弁36の調圧弁体48の受圧部48cが受圧する水圧P2が
図5に示す中圧時の通水状態の水圧P1よりも高い高圧時の通水状態では、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d2が、
図5に示す水圧P1の中圧時の調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d1よりも小さくなり、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの間の流路が狭くなり、調圧弁36の調圧弁体48を通過する水の流量が絞られることにより調圧が行われる。
【0042】
一方、調圧弁36の調圧弁体48の受圧部48cで受圧した水圧P1が所定値未満である場合には、調圧弁体48から調圧ばね50の軸方向に作用する圧縮荷重も所定値未満となり、調圧ばね50は軸方向に圧縮されることなく、調圧弁体48の首部48eの前端部48fが、止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置Aの止め環部材54に当接し、調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離は、
図5に示す水圧P1の中圧時の調圧弁体48の後端側口縁部48dと水側通水路24の取付室24cの流入口24dとの相対的な距離d1よりも大きくなる。
【0043】
その後、通水状態の2次側通水路32内の水は、水側脚部材20の下流側接続部28(湯水混合水栓装置本体4の水側流入部8)から湯水混合水栓装置本体4内に流れ込み、この本体4内で湯側脚部材18から流れ込んだ湯と混合される。この湯水混合水栓装置本体4内で湯水が混合される際、温度調節装置14によって混合された湯水の温度が調整され、その後、スパウト10の吐水口10aまたはシャワーホース12へ送られて吐水される。
【0044】
また、湯水混合水栓装置本体4側の各部や、フィルター部材58等の調圧弁36の各部についてメンテナンスを行う際には、まず、吐水口/シャワー切替装置16によって湯水混合水栓装置2のスパウト10の吐水口10a若しくはシャワーホース12を開放する。このようにすることで、確実に止水されていることを確認できるようになる。
【0045】
つぎに、調圧機能付き止水栓装置1の止水栓部材34の止水弁体部44が流入口24dを閉鎖するように、止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bのキー溝42cを回転させて、止水栓部材34の雄ねじ部40を中心軸線Cの軸線回りに回転し、止水栓部材34の雄ねじ部40が、螺合する水側通水路24の雌ねじ部24eに沿って回転すると、止水栓部材34の回転軸部42及び雄ねじ部40が軸方向上流側(後方)に移動する。これにより、止水栓部材34の止水弁体部44の後側支持突起44bの後端部(回転軸部42の後端部42a)及びパッキン46の後端面46aが水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接して密着し、1次側通水路30及び2次側通水路32が止水状態となる(
図4参照)。このとき、調圧弁36の調圧弁体48の首部48e及び側壁部48hのそれぞれについても、止水栓ガイド部材本体56の前側ガイド部56c及び後側ガイド部56dのそれぞれによって軸方向上流側(後方)にガイドされる。
【0046】
その後、止水栓ガイド部材38の止水栓ガイド部材本体56の雄ねじ56bと水側脚部材20の調圧機能付き止水栓装置1の取付部20cの雌ねじ20dとの螺合を解除するように止水栓ガイド部材本体56の操作部56eを中心軸線Cの軸回りに回転させることにより、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58を一体的に回転させることにより、止水栓部材34の止水弁体部44及びパッキン46が水側通水路24の取付室24cの流入口24dを閉鎖して1次側通水路30を止水した状態にしたまま、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58を水側脚部材20の取付部20cから取り外す。
【0047】
さらに、フィルター部材58についてメンテナンスを行う場合には、フィルター部材58を止水栓ガイド部材本体56に対して軸方向に引く抜くことにより、フィルター部材58を止水栓ガイド部材本体56から取り外す。
また、調圧弁36についてメンテナンスを行う場合には、止水栓部材34の止水弁体部44及びパッキン46が水側通水路24の取付室24cの流入口24dを閉鎖して1次側通水路30を止水した状態にしたまま、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58を取り外した状態で、止め環部材54と止水栓部材34の回転軸部42の切欠き42dとの嵌合を解除し、調圧弁36の調圧弁体48や調圧ばね50を止水栓部材34に対して前方に引き出すことにより、水側脚部材20の取付部20cの内部から前方に取り出す。
【0048】
また、調圧弁36のメンテナンスの終了後、調圧弁36を止水栓部材34に取り付けた後、止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58を調圧弁36の軸方向外側(前方)から水側脚部材20の取付部20cに取り付ける。その後、止水状態の水側脚部材20を再び通水状態に設定する場合には、止水弁体部44が流入口24dを開放するように、止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bのキー溝42cを回転させて、止水栓部材34の雄ねじ部40を中心軸線Cの軸線回りに回転し、止水栓部材34の回転軸部42及び雄ねじ部40が軸方向下流側(前方)に移動する。これにより、止水栓部材34の止水弁体部44の後側支持突起44bの後端部(回転軸部42の後端部42a)及びパッキン46の後端面46aが水側通水路24の取付室24cの流入口24dから離間し、流入口24dが開放されて1次側通水路30及び2次側通水路32が通水状態となる(
図5及び
図9参照)。
【0049】
上述した本発明の第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を備えた湯水混合水栓装置2によれば、調圧弁36の調圧ばね50が調圧弁体48の内部のばね室52に設けられ、この調圧ばね50の後端部50aが止水栓部材34の止水弁体部44の前側支持突起444aに当接し、調圧ばね50の前端部50bが調圧弁体48の肩部48b(受圧部48c)の内面を軸方向外側(前方)に付勢する構造となっていることに加え、調圧弁36の調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42、止水弁体部44、パッキン46及び調圧ばね50のそれぞれの外周を取り囲むようにほぼ筒状に形成され、調圧ばね50と止水栓部材34の止水弁体部44が調圧弁36の調圧弁体48の内部に収容されている構造となっている。したがって、止水栓部材34の止水弁体部44が調圧弁36の調圧弁体48の外部の軸方向に直列に配置された構造に比べて、止水栓部材34の止水弁体部44から調圧弁36の調圧弁体48の受圧部48cまでの軸方向の距離を短くすることができ、調圧機能付き止水栓装置1の全体の軸方向の長さを短くすることができる。したがって、調圧機能付き止水栓装置1の全体の大きさについて、従来の調圧機能を備えていない止水栓装置全体の大きさの程度に抑えることができ、調圧機能を備えていない従来の止水栓装置が取り付けられていた湯水混合水栓装置の脚部材の通水路の取付箇所においても、従来の止水栓装置を取り外して本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を容易に取り換えることができる。また、止水栓部材34の止水弁体部44が水側通水路24の取付室24cの流入口24dを閉鎖している止水状態で止水栓ガイド部材38の止水栓ガイド部材本体56とフィルター部材58を水側脚部材20の取付部20cから取り外すことができるため、止水状態を維持しながら、調圧弁36や止水栓ガイド部材38のフィルター部材58のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0050】
また、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を備えた湯水混合水栓装置2によれば、調圧弁36の調圧弁体48が止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1所定位置よりも軸方向外側に移動しないように規制するための手段として、簡易な構造である止め環部材54を採用し、止水栓部材34の回転軸部42の前端部近傍の所定位置A1に形成された切欠き42dに嵌め込むことにより、この止め環部材54が調圧弁36の調圧弁体48の首部48eの前端部48fに当接可能に半径方向外側に突出し、止水栓部材34の回転軸部42に対する調圧弁36の調圧弁体48の軸方向の移動範囲を容易に規制することができる。したがって、簡単な構造によって調圧機能付き止水栓装置1の全体の軸方向の長さを効果的に抑えることができる。
【0051】
さらに、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を備えた湯水混合水栓装置2によれば、止水栓部材34の止水弁体部44のパッキン46が、水側通水路24が止水状態のときに、水側通水路24の取付室24cの流入口24dをパッキン46の後端面46aにより密封する機能と、水側通水路24が通水状態のときに、調圧弁36の調圧弁体48がパッキン46に対して軸方向に摺動可能となるように調圧弁36の調圧弁体48の内周面48aとパッキン46の外周面46bとの隙間を密封する機能を兼ね備えることができるため、パッキン46を含めた止水栓部材34の止水弁体部44の軸方向の幅を抑えることができ、この止水弁体部34に当接する調圧弁36の調圧ばね50の後端部50aの取付位置をより水側通水路24の取付室24cの流入口24d側に設定することができる。したがって、調圧機能付き止水栓装置1の全体の軸方向の長さをより効果的に抑えることができる。
【0052】
また、本実施形態の調圧機能付き止水栓装置1を備えた湯水混合水栓装置2によれば、湯水混合水栓装置本体4の上流側に接続される湯側脚部材18及び水側脚部材20のそれぞれに取り付けられた調圧機能付き止水栓装置1の止水栓部材34の回転軸部42の操作部42bを操作することにより、止水栓部材34の止水栓弁部44が各脚部材18,20の各通水路22,24の取付室24cの流入口24dを閉鎖して止水操作を容易に行うことができると共に、止水状態において止水栓ガイド部材38を各脚部材18,20から取り外すことにより、止水状態を維持しながら、調圧弁36や止水栓ガイド部材38のフィルター部材58のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、現場で湯側通水路18及び水側通水路20のそれぞれから湯水混合水栓装置本体4に供給される湯と水のそれぞれの供給圧力が大きく異なる場合であっても、調圧機能付き止水栓装置1の調圧弁36を通過する水の圧力がほぼ一定に調整されるため、湯水混合水栓装置本体4に供給された湯水が、温度調節装置14により設定された温度とほぼ等しい温度に調節され、湯水混合水栓装置1のスパウト10又はシャワーホース12から適温な湯水を吐出することができる。
【0053】
つぎに、
図10を参照して、本発明の第2実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置について説明する。
図10は、本発明の第2実施形態による低圧時の通水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
ここで、
図10において、本発明の第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0054】
図10に示すように、本発明の第2実施形態による調圧機能付き止水栓装置100においては、止水栓ガイド部材138が、上述した本発明の第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置1の止水栓ガイド部材本体56と同一の構成を備え、第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置1の止水栓ガイド部材38のフィルター部材58を省略している点で第1実施形態による調圧機能付き止水栓装置1と異なっている。
【0055】
本発明の第2実施形態による調圧機能付き止水栓装置100によれば、第1実施形態の調圧機能付き止水栓装置1の止水栓ガイド部材38のフィルター部材58を省略しているため、調圧機能付き止水栓装置100の全体の軸方向の長さをさらに短くすることができる。
【0056】
つぎに、
図11を参照して、本発明の第3実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置について説明する。
図11は、本発明の第3実施形態による低圧時の通水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
ここで、
図11において、本発明の第1及び第2実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0057】
図11に示すように、本発明の第3実施形態による調圧機能付き止水栓装置200においては、止水栓部材234の止水弁体部244が、前後方向に所定間隔をおいて半径方向外側に突出するように形成された前側支持突起244a及び後側支持突起244bと、これらの前側支持突起244aと後側支持突起244bとの間に取り付けられて保持される円環状のシール部材であるパッキン246と、前側支持突起244aの外周面に形成されて半径方向内側に凹んだ凹部244cに嵌め込まれた円環状のシール部材であるオーリング248とを備えている。
【0058】
また、止水栓部材234の止水弁体部244の後側支持突起244b及びパッキン246の後端面246aが水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接して密着しているときには、流入口24dが弁座となって水側通水路24の1次側通水路30と2次側通水路32とが止水された状態となるようになっている。
【0059】
一方、止水栓部材234の止水弁体部244の後側支持突起244b及びパッキン246が水側通水路24の取付室24cの流入口24dに当接していないときには、水側通水路24の1次側通水路30と2次側通水路32とが通水された状態となり、調圧弁36の調圧弁体48がパッキン246の外周面246bに対して軸方向に摺動可能となり且つ水側通水路24の取付室24c内に流入した水が調圧弁体48の内部の調圧ばね50のばね室52内に浸入しないように、パッキン246の外周面246bとオーリング248の外周面248aが調圧弁体48の内周面48aとの隙間を密封するようになっている。
【0060】
さらに、止水栓部材234の止水弁体部244の前側支持突起244aにおける前面には、調圧ばね50の後端部50aが取り付けられる取付用凹部244dが形成されている。
【0061】
上述した本発明の第3実施形態調圧機能付き止水栓装置200によれば、止水栓部材234の止水弁体部244のパッキン246が、水側通水路24が止水状態のときに、水側通水路24の取付室24cの流入口24dをパッキン246の後端面246aにより密封することができ、水側通水路24が通水状態のときに、調圧弁36の調圧弁体48がパッキン246及びオーリング248に対して軸方向に摺動可能となるように調圧弁36の調圧弁体48の内周面48aとパッキン246の外周面246b及びオーリング248の外周面248aとの隙間を密封することができる。また、止水栓部材234の止水弁体部244の前側支持突起244aの前面に形成されて調圧ばね50の後端部50aが取り付けられる取付用凹部244dにより、止水弁体部234の取付用凹部244dに当接する調圧弁36の調圧ばね50の後端部50aの取付位置をより水側通水路24の取付室24cの流入口24d側に設定することができるため、調圧機能付き止水栓装置200の全体の軸方向の長さをより効果的に抑えることができる。
【0062】
なお、上述した本発明の第1〜第3実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置においては、例として、湯水混合水栓装置であるサーモスタット混合栓に適用した形態ついて説明したが、このような形態に限定されず、例えば、湯水混合水栓装置については、サーモスタット混合栓以外にも、吐水及び止水を切り替える開閉弁について湯側用と水側用を共用するシングルレバータイプの混合栓や、開閉弁を湯側用と水側用で別々に設けた2ハンドルタイプの混合栓等に適用してもよい。あるいは、単水栓等にも適用してもよい。
【0063】
つぎに、
図12を参照して、本発明の第4実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置について説明する。
図12は本発明の第4実施形態による低圧時の通水状態の調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置の水側脚部材の部分を拡大した部分拡大断面図である。
ここで、
図12において、本発明の第1〜第3実施形態による調圧機能付き止水栓装置を備えた水栓装置と同一の部分については同一の符号を付し、それらの説明は省略する。
【0064】
図12に示すように、本発明の第3実施形態による調圧機能付き止水栓装置1においては、調圧ばね50は、軸方向の圧縮力により軸方向に伸縮可能な圧縮コイルばねであり、予め所定の圧縮荷重(予荷重)を与えられた状態で調圧ばね50の後端部50aが止水栓部材34の調圧ばね支持部に当接し、調圧ばね50の前端部50bが調圧弁体48の肩部48bの内面に当接している。