(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
n型ドーパントとして、カーボンナノチューブより電気陰性度の小さい物質または電気陰性度の小さい部分を有してカーボンナノチューブに電子を付与する物質を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
p型ドーパントとして、カーボンナノチューブより電気陰性度の大きい物質または電気陰性度の大きい部分を有してカーボンナノチューブから電子を奪う物質を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施例に係る太陽電
池の製造方法
および太陽電池を用いた太陽電池装置について説明する。
ま
ず、太陽電池の基本的な構成について説明すると、金属電極と光を透過し得る電極(ここでは、透明電極と称して説明するが、光を透過し得る電極には、櫛型電極などの光を通過させ得る電極も含まれる)との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置された太陽電池であって、上記発電層を、カーボンナノチューブにn型ドーパントが添加されてなるn型カーボンナノチューブ層(膜とも言える)と、カーボンナノチューブにp型ドーパントが添加されてなるp型カーボンナノチューブ層(膜とも言える)とを積層させたものである。
【0014】
この基本的な構成に係る太陽電池を、参考例1および参考例2として説明する。
参考例1に係る太陽電池を
図1および
図2に基づき説明する。
図1に示すように、この太陽電池1は、金属電極11と透明電極16との間に配置される発電層を、カーボンナノチューブCNTにn型ドーパントAを添加してなるn型カーボンナノチューブ層12と、カーボンナノチューブCNTにp型ドーパントBを添加してなるp型カーボンナノチューブ層13とを積層させて形成したものである。
【0015】
以下、この太陽電池1について、その製造方法とともに詳しく説明する。
まず、金属電極(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)11の表面に、n型ドーパントとしてカーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素(物質の一例で、Ba,Ca,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどが用いられる)Aが半導体カーボンナノチューブCNTに真空蒸着またはスパッタリングにより付着(添加の一例である)されてなるn型カーボンナノチューブ層12を形成する。
【0016】
次に、このn型カーボンナノチューブ層12の表面に、p型ドーパントとしてカーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(物質の一例で、N,O,F,Clなどが用いられる)Bが半導体カーボンナノチューブCNTに真空蒸着またはスパッタリングなどより付着(添加の一例である)されてなるp型カーボンナノチューブ層13を積層(配置)する。
【0017】
次に、このp型カーボンナノチューブ層13の表面に、窓部材としての透明基板14の下面に例えば電線(線状電極とも言える)15が周期的に(所定間隔おきに)配置されてなる透明電極16が積層(配置)される。
【0018】
そして、最後に、側面部材などにて内部を封止することにより太陽電池1が得られる。
ところで、上記説明では、n型若しくはp型のカーボンナノチューブを得る際に、カーボンナノチューブCNTに電気陰性度が小さい元素(つまり、カーボンナノチューブに電子を付与する物質)A若しくは大きい元素(つまり、カーボンナノチューブから電子を奪う物質)Bを付着させるように説明したが、例えばこれらの元素(原子)A,Bを部分的に含む物質(分子)または分子構造にそのような性質を持った物質を付着させるようにしてもよい(図面では、元素AとBとを区別するために、異なる斜線を付しており、後述する
参考例2についても同様である)。また、これらの元素A,Bを付着させる代わりに、これらの元素A,BをカーボンナノチューブCNTに内包させるようにしてもよい。さらに、これらの元素A,Bの代わりに、フラーレンやこれらの元素を含む物質を、カーボンナノチューブCNTの表面に担持若しくはカーボンナノチューブCNTに内包させるようにしてもよい。勿論、上記以外に、n型若しくはp型のカーボンナノチューブを得るのに、元素周期表の第5族または第3族の元素(原子)をカーボンナノチューブCNTの炭素原子に置き換えるようにしてもよい。なお、この原子置換については、後述する
参考例2にも当てはまるものである。
【0019】
また、n型カーボンナノチューブ層12については、n型にされたカーボンナノチューブをDMF(ジメチルホルムアミド)などの有機溶媒に分散させ、そしてDMFの沸点以上にされたホットプレート上に載置した金属電極11の表面にスプレー塗布することにより形成される。場合によっては、金属電極11の表面にカーボンナノチューブ層を形成しておき、後から、電気陰性度が小さいまたは大きい元素を付着させてもよい。
【0020】
さらに、n型カーボンナノチューブ層12の表面に形成されるp型カーボンナノチューブ層13については、カーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(物質の一例で、N,O,F,Clなどが用いられる)Bを吸着・内包またはこの元素Bを含む物質を真空蒸着、スパッタリングなどより付着されてなるp型カーボンナノチューブを、上記n型カーボンナノチューブ層12の表面にスプレー塗布することにより形成される。
【0021】
なお、透明基板14の下面に配置される線状電極としての電線15の代わりに、ITO膜などの透明導電膜を配置してもよい。
また、上記説明においては、金属電極11の表面に、順次、n型カーボンナノチューブ層12、p型カーボンナノチューブ層13、および透明電極16を形成するように説明したが、例えば、金属電極11の表面に形成されたn型カーボンナノチューブ層12の表面に、透明電極16の表面に形成されたp型カーボンナノチューブ層13を重ね合わせることにより、太陽電池1を得るようにしてもよい。
【0022】
さらに、上記説明においては、金属電極側にn型カーボンナノチューブ層を配置したが、逆に、金属電極側にp型カーボンナノチューブ層を配置してもよい。
このように、カーボンナノチューブにて太陽電池を構成する場合、p型にされたカーボンナノチューブ層の表面にn型にされたカーボンナノチューブ層を配置するようにしたので、背景技術の欄にて説明したように、薄いカーボンナノウォールの表面に、さらにカーボンナノウォールを形成してpn接合を得るものとは異なり、厚いpn接合を得ることができ、したがって非常に高い光電変換効率を得ることができる。
【0023】
なお、この太陽電池を構成するカーボンナノチューブとしては無配向性のものが用いられるが、配向性を有するものであってもよい。
上記のことを踏まえて、上記
参考例1に係る太陽電池の製造方法を簡単に説明すると、以下のようになる。
【0024】
この製造方法は、金属電極11と光を透過し得る電極、例えば透明電極16との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置された太陽電池の製造方法であって、
一方の電極11(または16)に、カーボンナノチューブにn型ドーパントが添加されてなるn型カーボンナノチューブ層12を形成する工程と、
他方の電極16(または11)に、カーボンナノチューブにp型ドーパントが添加されてなるp型カーボンナノチューブ層13を形成する工程と、
上記各工程で得られたn型カーボンナノチューブ層12とp型カーボンナノチューブ層13とを接合する工程とを具備した製造方法である。
【0025】
ここで、
図2に基づき太陽電池1のエネルギーバンドについて説明しておく。
図2に係る太陽電池の発電層におけるカーボンナノチューブは、n型およびp型ともに直径1nmの半導体カーボンナノチューブであり、そのバンドギャップVg
cntは約0.835Vであるが、直径を変化させることにより、カーボンナノチューブのバンドギャップも変化させることができる。半導体カーボンナノチューブの場合は、概ね下記(1)式で表される。
【0026】
Vg
cnt=0.8352/dt ・・・(1)
但し、dtはカーボンナノチューブの直径である。
すなわち、(1)式で示されるように、カーボンナノチューブの直径を制御することにより、バンドギャップを制御することができる。また、それに応じて、太陽電池から出力される電圧も変化することになる。
【0027】
さらに、n型部分とp型部分とでカーボンナノチューブの直径を変えることができ、この場合バンドギャップが異なるため、種々の波長に対して吸収ピークを持つことになり、より多くの太陽光線のエネルギーを吸収することができる。
【0028】
すなわち、カーボンナノチューブのpn接合部分に太陽光線(光子)が入射すると、価電子帯(充満帯)の電子が伝導帯に励起され、価電子帯にはホールができる。そして、このpn接合部分で発生する内蔵電位により、電子はn型カーボンナノチューブ層に移動し、一方、ホールはp型カーボンナノチューブ層に移動するため、外部に接続された回路に電流が流れる。
【0029】
次に、
参考例2に係る太陽電池を
図3および
図4に基づき説明する。
上述の
参考例1に係る太陽電池では、発電層をn型カーボンナノチューブ層とp型カーボンナノチューブ層とで形成したが、つまりpn接合として説明したが、
本参考例2に係る太陽電池においては、発電層をpin型にしたものである。
【0030】
すなわち、
図3に示すように、この太陽電池21は、
参考例1で説明したのと同じn型カーボンナノチューブ層12と同じくp型カーボンナノチューブ層13との間に電気陰性度が異なる元素などが付着されない真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層22を配置したものである。なお、このi型カーボンナノチューブ層22における内部のカーボンナノチューブ同士間には、透明絶縁材料(例えば、紫外線硬化樹脂、TEOS、水ガラスなどが用いられる)を含浸させてもよい。含浸させない場合には、カーボンナノチューブを真性半導体に保つために不活性ガスで封止が行われる。
【0031】
この太陽電池21の構成を簡単に説明すると、以下のようになる。
この太陽電池21は、金属電極11と光を透過し得る電極、例えば透明電極16との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置された太陽電池であって、上記発電層を、カーボンナノチューブにn型ドーパントを添加してなるn型カーボンナノチューブ層12とカーボンナノチューブにp型ドーパントを添加してなるp型カーボンナノチューブ層13との間に、真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層22を配置したものである。
【0032】
勿論、
参考例2においても、金属電極側にn型カーボンナノチューブ層を配置する代わりに、金属電極側にp型カーボンナノチューブ層を配置してもよい。
また、
参考例1と同様に、太陽電池を構成するカーボンナノチューブとしては無配向性のものが用いられるが、配向性を有するものであってもよい。
【0033】
また、その製造方法は、金属電極11と光を透過し得る電極、例えば透明電極16との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置された太陽電池の製造方法であって、
一方の電極11(または16)の表面に、カーボンナノチューブにn型またはp型ドーパントが添加されてなるn型またはp型カーボンナノチューブ層12(または13)を形成する工程と、
上記工程で得られたn型またはp型カーボンナノチューブ層の表面に、ドーパントが添加されない真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層22を形成する工程と、
上記工程で得られたi型カーボンナノチューブ層の表面に、カーボンナノチューブにp型またはn型ドーパントが添加されてなるp型またはn型カーボンナノチューブ層を形成する工程と、
上記工程で得られたp型またはn型カーボンナノチューブ層の表面に他方の電極16(または11)を形成する工程とを具備した製造方法である。
【0034】
なお、
図4に、
参考例2に係る太陽電池のエネルギーバンド図を示す。
この図は、
参考例1におけるp型層とn型層との間にi型層が設けられた場合に相当するもので、このi型層である傾斜電位内に太陽光線(光子)が入射すると価電子帯(充満帯)の電子を伝導帯に励起させて、価電子帯にはホールができる。
【0035】
そして、電子は電位勾配でn型層に移動するとともにホールは電位勾配でp型層に移動するため、外部に接続された回路に電流が流れることになる。
このように、カーボンナノチューブにて太陽電池を構成する場合、n型にされたカーボンナノチューブ層の表面に、i型にされたカーボンナノチューブ層を介して、p型にされたカーボンナノチューブ層を配置するようにしたので、背景技術の欄にて説明したように、薄いカーボンナノウォールの表面に、さらにカーボンナノウォールを形成してpn接合を得るものとは異なり、厚いpn接合を得ることができ、したがって非常に高い光電変換効率を得ることができる。
【0036】
次に、本発明の
実施例に係る太陽電池を
図5に基づき説明する。
上述の
参考例2においては、主として、発電層をn型カーボンナノチューブ層、i型カーボンナノチューブ層およびp型カーボンナノチューブ層を積層してなるpin接合にするとともにカーボンナノチューブを無配向性のものとして説明したが、
本実施例に係る太陽電池においては、pin型の発電層を形成するカーボンナノチューブとして配向性を持たせたものである。
【0037】
以下、この
実施例に係る太陽電池31について、その製造方法とともに詳しく説明する。
図5に示すように、まず金属電極(例えば、Ag,Au,Cu,In,Pdなどが用いられる)41の表面に、n型ドーパントであるカーボンナノチューブより電気陰性度が小さい元素(物質の一例で、Ba,Ca,K,Li,Mg,Na,Rb,Srなどが用いられる)Aが半導体カーボンナノチューブCNTに真空蒸着またはスパッタリングにより付着(添加の一例である)された第1のカーボンナノチューブ層42を形成する。このカーボンナノチューブとしては配向性のものが用いられるとともに、金属電極41とは反対側部分(例えば、長さの1/3程度)は電気陰性度が小さい元素が添加されない部分が設けられる。すなわち、この第1のカーボンナノチューブ層42には、金属電極41寄りのn型カーボンナノチューブ層42aと、金属電極41とは反対側部分(例えば、長さの1/3程度)は電気陰性度が小さい元素が添加されない(ドーパントが行われない)真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層42bとが設けられる。
【0038】
次に、この第1のカーボンナノチューブ層42の表面に、p型ドーパントであるカーボンナノチューブより電気陰性度が大きい元素(物質の一例で、N,O,F,Clなどが用いられる)Bが半導体カーボンナノチューブCNTに真空蒸着またはスパッタリングなどより付着(添加の一例である)されてなる第2のカーボンナノチューブ層43を積層(配置)する。そして、上記第1のカーボンナノチューブ層42と同様に、このカーボンナノチューブとしては配向性のものが用いられるとともに、上記第1のカーボンナノチューブ層42寄りの部分(例えば、長さの1/3程度)は電気陰性度が大きい元素が添加されない(ドーパントが行われない)部分が設けられている。すなわち、この第2のカーボンナノチューブ層43には、光を透過し得る電極寄りのp型カーボンナノチューブ層43aと、金属電極41寄り(例えば、長さの1/3程度)の電気陰性度が大きい元素が添加されない真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層43bとが設けられている。
【0039】
したがって、発電層は、n型カーボンナノチューブ層42aと、真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層42b,43bと、p型カーボンナノチューブ層43aとから構成されていることになる。
【0040】
次に、このp型カーボンナノチューブ層43aの表面に、窓部材である透明基板44の下面に導電部材としての金属カーボンナノチューブ45および電極部材としての櫛状金属板(櫛状電極ともいう)46が配置されてなる透明電極47が積層(配置)される。
【0041】
なお、これら各カーボンナノチューブ層42,43において、その一部側だけに元素を添加する場合、配向性のカーボンナノチューブ群の一方の側から、所定の元素を蒸着させればよい(染み込ませることもできる)。すなわち、他方の側には、元素が付着されない部分ができる。そして、何も付着していない部分同士を重ね合わせると、中間部分にi型カーボンナノチューブ層42b,43bが形成されることになる。
【0042】
そして、最後に、側面部材などにて内部を封止することにより太陽電池31が得られる。
ところで、上記説明では、n型若しくはp型のカーボンナノチューブを得る際に、カーボンナノチューブCNTに電気陰性度が小さい元素(つまり、カーボンナノチューブに電子を付与する物質)A若しくは大きい元素(つまり、カーボンナノチューブから電子を奪う物質)Bを付着させるように説明したが、例えばこれらの元素(原子)A,Bを部分的に含む物質(分子)または分子構造にそのような性質を持った物質を付着させるようにしてもよい(図面では、元素AとBとを区別するために、異なる斜線を付している)。また、これらの元素A,Bを付着させる代わりに、これらの元素A,BをカーボンナノチューブCNTに内包させるようにしてもよい。さらに、これらの元素A,Bの代わりに、フラーレンやこれらの元素を含む物質を、カーボンナノチューブCNTの表面に担持若しくはカーボンナノチューブCNTに内包させるようにしてもよい。勿論、上記以外に、n型若しくはp型のカーボンナノチューブを得るのに、元素周期表の第5族または第3族の元素(原子)をカーボンナノチューブCNTの炭素原子に置き換えるようにしてもよい。
【0043】
また、上記説明においては、金属電極側にn型カーボンナノチューブ層を配置したが、逆に、金属電極側にp型カーボンナノチューブ層を配置してもよい。
上述のことを踏まえて、上記実施例に係る太陽電池の製造方法を、簡単に説明すると、以下のようになる。
【0044】
この製造方法は、金属電極41と光を透過し得る電極、例えば透明電極47との間にカーボンナノチューブよりなる発電層が配置された太陽電池の製造方法であって、
一方の電極41(または47)の表面に、カーボンナノチューブの当該一方の電極寄り部分にn型ドーパントが添加されてなる第1のカーボンナノチューブ層42を形成する工程と、
他方の電極47(または41)の表面に、カーボンナノチューブの当該他方の電極寄り部分にp型ドーパントが添加されてなる第2のカーボンナノチューブ層43を形成する工程と、
上記各工程で得られた両カーボンナノチューブ層をドーパントが添加されない部分が対向するように接合して、n型カーボンナノチューブ層42aとp型カーボンナノチューブ層43aとの間にドーパントが存在しない真性半導体としてのi型カーボンナノチューブ層42b,43bを形成する工程とを具備した製造方法である。
【0045】
本実施例に係る太陽電池についても、
参考例2のものと同様に、カーボンナノチューブにて太陽電池を構成する場合、n型にされたカーボンナノチューブ層の表面に、i型にされたカーボンナノチューブ層を介して、p型にされたカーボンナノチューブ層を配置するようにしたので、背景技術の欄にて説明したように、薄いカーボンナノウォールの表面に、さらにカーボンナノウォールを形成してpn接合を得るものとは異なり、厚いpn接合を得ることができ、したがって非常に高い光電変換効率を得ることができる。
【0046】
なお、
本実施例に係る太陽電池のエネルギーバンド図は、
参考例2で示したものと同じであるため、その説明を省略する。
次に、
上記実施例に係る太陽電池を用いた太陽電池装置について説明する。
【0047】
なお、この太陽電池装置は、
上記実施例に係る太陽電池における発電層が複数並列に設けられたもので、すなわちバンドギャップが異なる発電層が複数列でもって並置されたものである。
【0048】
図6に示すように、この太陽電池装置51は、太陽電池52における各発電層52aに太陽光線を例えば5つの波長領域に分光して導くためのプリズムなどの分光器(分光素子と呼ぶこともできる)53と、列状に並置された各発電層52aにて得られた電気を電気配線54を介して導き所定電圧に調整するための電圧調整器(電圧出力回路でもある)55とを具備することで構成されており、その詳細については後述する。なお、
図6において、各発電層52aが形成される透明電極16は一体化したものとして図示している。
【0049】
また、分光器53の手前には、太陽光線を集める集光用レンズ部56が配置されている。
この集光用レンズ部56としては、例えば、径の大きさが異なる凸レンズおよび径の大きさが異なるシリンドリカルレンズが用いられている。
【0050】
すなわち、この集光用レンズ部56は、径が大きい第1凸レンズ56aと、径が小さい第2凸レンズ56bと、径が大きい第1シリンドリカルレンズ56cと、径が小さい第2シリンドリカルレンズ56dとから構成されている。
【0051】
したがって、第1凸レンズ56aで集光されて第2凸レンズ56bで太陽光線の幅が調整された後、第1シリンドリカルレンズ56cと第2シリンドリカルレンズ56dとで入射光の短冊化およびその幅の調整が行われて、平行光線で出射することになる。
【0052】
そして、この平行光線を分光器(プリズム)53により分光光線として太陽電池52(正確には窓部材上)に入射させる。
すなわち、太陽電池52の各発電層52aに太陽光線の分光が照射されるように、分光器53を配置し、分光された光線が、それぞれの波長に対応する発電層52aの窓部材上に導かれるようにする。
【0053】
そして、各金属電極11に電気配線54を介して電圧調整器55が接続されて、それぞれ所定の電圧が得られるようにされている。なお、この電圧調整器55は、発電層52aに電気配線54を介して接続されたDC/DCコンバータ57と、これらDC/DCコンバータ57に電気配線58を介して接続された電力加算部59とから構成されて、所定電圧の電力が出力される。なお、DC/DCコンバータ57は、各発電層52aから取り出される電圧が同一(所定電圧)となるように調整(変換)するためのものである。
【0054】
この構成によると、バンドギャップが異なる複数の発電層を有しているため、広範囲の波長の太陽光のエネルギーを吸収することができるので、高効率の太陽電池装置が得られる。
【0055】
ところで、上述した
実施例で説明したカーボンナノチューブとしては、シングルウォールカーボンナノチューブまたはダブルウォールカーボンナノチューブが用いられる。なお、マルチ(3つ以上)ウォールカーボンナノチューブを用いた場合には、金属カーボンナノチューブが含まれる確率が高くなってpn部同士が導通するため、太陽光による発電機能が悪くなる。