(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記多価不飽和脂肪酸が、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、ω−3ドコサペンタエン酸、ω−6ドコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、オキシリピン、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1または2に記載のエマルジョン。
前記乳化剤が、変性アカシアガム、レシチン、寒天、変性ガティガム、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、変性食物デンプン、変性アルギネート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、糖エステル、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエマルジョン。
前記酸化防止剤が、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノール、フェノール誘導体、カルノシン酸、リポ酸、タウリン、芳香族カルボン酸、およびこれらの組み合わせから選択される、請求項8に記載のエマルジョン。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】凍結/融解サイクルの前(四角)、1回の凍結/融解サイクルの後(三角)、2回の凍結/融解サイクルの後(×)、および3回の凍結/融解サイクルの後(星)の、実施例4の表5のエマルジョンの平均粒径(μm)を提供する。
【
図2】熱安定性(凍結可能な)エマルジョンを製造するための処理の図を提供する。
【0024】
[0025]本発明の1つまたは複数の実施形態は、添付図面を参照してこれから記載されるであろう。
【0025】
[発明の詳細な説明]
[0026]本明細書は、本発明の特徴を組み込んだ1つまたは複数の実施形態を開示する。開示される実施形態は単に本発明を例示するだけである。本発明の範囲は開示される実施形態に限定されない。本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0026】
[0027]本開示を通して、百分率、比率、取り込み(incorporation)などの語句は全て、他に記載されない限り「重量による」。本明細書で使用される場合、「重量による」は「質量による」という用語と同義であり、本明細書において定義される比率または百分率が体積(または他の何らかの尺度)ではなく重量に従って計算されることを示す。
【0027】
[0028]本明細書で使用される場合、「組成物」および「混合物」は交換可能に使用され、2つ以上の材料、物質、賦形剤、部分などの組み合わせを指す。
【0028】
[0029]本明細書で使用される場合、「均質な」は、例えば、連続水相中の油粒子の実質的に均一の分布を有する、混合物、組成物、および特に、エマルジョンを指す。均質性は均一性と同義であり、サンプル内の均一性、バッチ間の均一性、および/またはラン間(run−to−run)の均一性を指すことができる。例えば、サンプル内の均一性は、エマルジョン、混合物、または組成物の第1の部分を分析し、これを、同じエマルジョン、混合物、または組成物の第2の部分と比較することによって決定することができる。実質的に均質な混合物の組成の典型的な偏差(例えば、賦形剤の重量百分率、粒径などの変動)は約10%以下、約5%以下、約3%以下、約2%以下、約1%以下、あるいは実験誤差の範囲内である。
【0029】
[0030]本発明の水中油エマルジョンは、連続水性液相と不連続油相との非混和性混合物を含む。本明細書で使用される場合、「連続水性液相」は、エマルジョンの不連続油相が分散される部分を指す。従って、「不連続油相」は、連続水性液相内に分散され、そして連続水性液相と非混和性である、非常に多数の個別の要素を指す。不連続油相は粒子の形態で存在する。本明細書で使用される場合、「微粒子」は、複数の別個の粒子を含むエマルジョンの油相を指す。本明細書で使用される場合、「粒径」という用語は粒子直径を指し、これは、粒子の容積測定に基づいて、ほぼ球状の粒子形状に基づく粒子の直径である。球状粒子に加えて、本発明の水中油エマルジョンは、限定なしに、半球状、楕円状および/または円柱状の粒子も含むことができる。
【0030】
[0031]エマルジョンの粒径分布の経時変化が存在したかどうかを評価することは、エマルジョン安定性の良好な尺度である。エマルジョンの粒径分布の経時変化がないかあるいは少ないことは、エマルジョンが安定であることを示す。本明細書で使用される場合、粒径「分布」は、本発明の所与のエマルジョン、ロットおよび/またはバッチ内の特定のサイズ(すなわち、直径)またはサイズ範囲を有する粒子の数または濃度(例えば、百分率)を指す。本明細書で使用される場合、粒径「分布」は、本発明の所与のエマルジョン、ロットおよび/またはバッチ内の特定のサイズ(すなわち、直径)またはサイズ範囲を有する粒子の数または濃度(例えば、百分率)を指す。粒径および粒径分布は、例えば、Mastersizer Hydro 2000S(Malvern Instruments Ltd.,Worcestershire,UK)による小角レーザ光散乱(LALLS)を用いて測定することができる。また粒径および粒径分布は、例えば、マイクロ写真、ビデオ顕微鏡、ビデオ強化型顕微鏡、カウンター計数、示差走査熱量測定、比濁法、動的および/または静的光散乱、低強度超音波、核磁気共鳴、または当業者に既知の他の任意の粒径測定技術によって測定することもできる。
【0031】
[0032]本明細書で使用される場合、「D
50」または「d(0.5)」値は、油相の粒径、特に、油相粒子の測定可能な粒子の50%がより大きい等価直径を有し、粒子の別の50%がより小さい等価直径を有するような直径を指す。従って、D
50は、通常、粒子直径中央値を指す。
【0032】
[0033]いくつかの実施形態では、不連続油相粒子は、約20nm〜約1.5μm、約50nm〜約1μm、約100nm〜約1.5μm、好ましくは、約100nm〜約1μm、約150nm〜約700nm、または約200nm〜500nmの平均(中央値)粒径を有する。
【0033】
[0034]本明細書で使用される場合、「D
90」または「d(0.9)」値は、油相の粒径、特に、油相の全ての測定可能な粒子の90%がD
90値以下の直径を有し、測定可能な粒子の10%がD
90値よりも大きい直径を有するような直径を指す。
【0034】
[0035]いくつかの実施形態では、不連続油相粒子は、約10μm以下、約5μm以下、約2μm以下、または約1μm以下のD
90を有する。
【0035】
[0036]本明細書で使用される場合、「D
10」または「d(0.1)」値は、油相の粒径、特に、油相の全ての測定可能な粒子の10%がD
10値以下の直径を有し、測定可能な粒子の90%がD
10値よりも大きい直径を有するような直径を指す。
【0036】
[0037]いくつかの実施形態では、不連続油相粒子は、約50nm以下、約60nm以下、約70nm以下、約80nm以下、約90nm以下、約100nm以下、約200nm以下、約250nm以下、約300nm以下、約400nm以下、または約500nm以下のD
10を有する。
【0037】
[0038]本明細書で使用される場合、「D
100」または「d(1.000)」値は、油相の粒径、特に、油相全ての測定可能な粒子の100%がD
100値以下の直径を有し、測定可能な粒子の0%がD
100値よりも大きい直径を有するような直径を指す。
【0038】
[0039]混合物中の粒径の分布は、D
10:D
50比、D
10:D
90比、およびD
50:D
90比によって定義することもできる。いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンの粒径分布は、エマルジョン中の分布が約1:10以下、約1:8以下、約1:6以下、約1:5以下、または約1:3以下のD
10:D
50比を有するようなものである。いくつかの実施形態では、混合物またはエマルジョン中の粒径の分布は、直径が約0.1μm〜約0.36μmである粒子の範囲によって定義することもできる。いくつかの実施形態では、直径が約0.01μm〜約0.36μmの範囲内である粒子の割合は、粒子の約95%よりも大きい、約96%よりも大きい、約97%よりも大きい、約98%よりも大きい、約99%よりも大きい、または100%である。
【0039】
[0040]いくつかの実施形態では、粒子の少なくとも90%が約0.02〜約0.36ミクロンの粒径を有することが好ましい。
【0040】
[0041]本明細書で使用される場合、「粒径の実質的な変動」は、D
10、D
50および/またはD
90のいずれかの、約10%以上、例えば、約20%以上、約25%以上、約30%以上、または約40%以上の増大を指す。いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、9か月以上、または1年以上の間、粒径の実質的な変動を伴わずに貯蔵することができる。
【0041】
[0042]本明細書で使用される場合、「D[3,2]」は、油相の粒径、特に、表面加重平均(surface weighted mean)直径を指す。
【0042】
[0043]本明細書で使用される場合、「D[4,3]」は、油相の粒径、特に、体積加重平均(volume weighted mean)直径を指す。
【0043】
[0044]本明細書で使用される場合、「エマルジョン安定性」は、エマルジョンが、エマルジョンの物理的および化学的特性の変化(クリーム状化、軟凝集、合体、部分合体、転相およびオストワルド熟成などの経時的な物理的不安定化、ならびにエマルジョン製剤の化学的変化を含む)に耐性であり、例えば酸化から、PUFAを保護および安定化できることを指す。物理的不安定性の変化はエマルジョンの1つまたは複数の物理的特性の変化に反映され、例えば、pH、粘度、粒径および/または分布の変化を含むことができる。
【0044】
[0045]本明細書で使用される場合、「均一性」は中央値からの絶対偏差を指す。
【0045】
[0046]本明細書で使用される場合、他に記載されるかあるいは内容から明らかでない限り、「〜以下(or less)」または「約〜未満(less than about)」という用語は、0%を含む割合、または現在の手段によって検出できない量を指す。
【0046】
[0047]本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、1つまたは複数の多価不飽和脂肪酸(PUFA)を含む油と、水と、乳化剤と、(1)塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、(2)プロピレングリコールおよび単糖の混合物、ならびに(3)グリセロールから選択される水溶性安定剤とを含む。水溶性安定剤が塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、またはプロピレングリコールおよび単糖の混合物から選択される場合、安定剤は、エマルジョンの約20重量%〜約50重量%の濃度で存在し得る。水溶性安定剤がグリセロールである場合、水溶性安定剤は、エマルジョンの約20重量%〜約55重量%の濃度で存在し得る。熱安定性水中油エマルジョンは、約−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、好ましくは、約−40℃〜約−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月間貯蔵した後に、粒径および官能特性の変動がない。
【0047】
[0048]本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、粒径または官能品質の実質的な変化を受けることなく0℃未満の温度で長期間(例えば、6か月以上、9か月以上、または1年以上)貯蔵することができるので、本エマルジョンは特に有利である。
【0048】
[0049]例えば、いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、約−40℃〜約−15℃で9か月以上、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月以上の間貯蔵したときに、粒径の変動がない。本明細書で使用される場合、「粒径の変動」は、D
10、D
50および/またはD
90のいずれかの、約40%以上、約30%以上、約25%以上、約20%以上、または約10%以上の増大を指すことができる。あるいは、「粒径の変動」は、特定の粒径範囲よりも大きい粒子の割合の減少を指すことができる。いくつかの実施形態では、特定の粒径範囲内にある粒子の割合の減少は、95%未満まである。いくつかの実施形態では、特定の粒径範囲は、約0.01〜約0.36μmである。いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、粒径または粒径分布の変動を伴わずに9か月以上または1年以上の間貯蔵することができる。
【0049】
[0050]いくつかの実施形態では、熱安定性水中油エマルジョンは、約−40℃〜約−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で6か月以上経っても、合体、部分合体、軟凝集、オストワルド熟成、クリーム状化、沈降、脱乳化、転相、粒径の変化、および/または官能特性の変化などが実質的に存在しない。
【0050】
[0051]本発明の熱安定性水中油エマルジョンは「凍結可能」であり、−40℃(または、いくつかの実施形態では、約−80℃の温度)でも凍結に耐えるように配合することができる。本明細書で使用される場合、本発明の水中油エマルジョンが「凍結可能」であるとみなされる場合、水中油エマルジョンは、水の氷点よりも低い温度、例えば、約−41℃という低温で流動性の非固体状態のままであることが意図される。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約−40℃〜約−15℃、約−40℃〜約0℃の温度、または−80℃〜0℃、または−80℃〜−40℃の温度で流動性のままである。
【0051】
[0052]いくつかの実施形態では、例えば、約−80℃〜0℃の凍結温度、好ましくは−80℃、−75℃、−70℃、−65℃、−60℃、−55℃、−50℃、−45℃、−40℃、−35℃、−30℃、−25℃、−20℃、−15℃、−10℃、−5℃、0℃、5℃、10℃、または15℃の温度において、水中油エマルジョンは流動性の非固体状態のままである。本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、冷蔵または周囲のエマルジョンが凍結し得る温度、例えば、約−17℃〜約−21℃の温度で流体である(すなわち、流動性のままである)。従って、これらは使用前に融解させることなく多数の用途で使用することができるので、これらはユーザーにとって使いやすい。例えば、水中油エマルジョンを凍結貯蔵(すなわち、水が通常凍結する温度での貯蔵)、すなわち例えば約−40℃から取り出して、水中油エマルジョンを融解(または液化)させることなく直ちに使用することができる。所望される場合には、エマルジョンの温度は、凍結貯蔵から取り出した後、使用のために室温またはそれよりも高温まで上昇され得る。
【0052】
[0053]本明細書で使用される場合、「流動性」という用語は、重力によってあるいは従来の機械的または空気式ポンピング手段によって組成物が貯蔵容器から運ばれる能力を指す。従って、使いやすさおよび所有コストの観点から、本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、0℃以下の温度で凝固するエマルジョンを上回る著しい利点を提供する。
【0053】
[0054]本明細書で使用される場合、「凍結融解サイクル」は、水中油エマルジョンが約−40℃〜0℃の温度(あるいは、そのように記載されていれば、異なる温度)まで冷却され、この温度で少なくとも24時間保持されてから、周囲温度(例えば、4℃〜25℃)に戻されるプロセスを指す。いくつかの実施形態では、本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、少なくとも5回または6回の凍結融解サイクル、好ましくは少なくとも12回の凍結融解サイクルの間、粒径の変動がない。いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、10回以上、12回以上、15回以上、20回以上、25回以上、または30回以上の凍結融解サイクルの後に粒径の変動がない。
【0054】
[0055]特に有利なのは、本発明の水中油エマルジョンが、約−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度において実質的に液体であることである。従って、いくらかの固体が本発明の水中油エマルジョン中に形成され得るが、凍結温度、特に−40℃という低温、特に、いくつかの実施形態では約−80℃にさらされた場合でも、水中油エマルジョンは非固体状態のままである。
【0055】
[0056]どの特定の理論によっても束縛されていないが、本発明の水中油エマルジョンは水の通常の凍結温度である0℃よりも低温に冷却されるので、水性固体の形成は、エマルジョンの20重量%〜55重量%の濃度で存在する水溶性安定剤の存在によって阻害される。従って、本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、−40℃の温度、または約−80℃の温度で実質的に液化したままである。
【0056】
[0057]いくつかの実施形態では、本発明は、多価不飽和脂肪酸油を含む油と、水と、乳化剤と、塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、プロピレングリコールおよび単糖の混合物、ならびにグリセロールから選択される水溶性安定剤とを含む熱安定性水中油エマルジョンを提供する。水溶性安定剤が塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、またはプロピレングリコールおよび単糖の混合物から選択される場合、安定剤は、エマルジョンの約20重量%〜約50重量%の濃度で存在することができる。水溶性安定剤がグリセロールである場合、水溶性安定剤は、エマルジョンの約20重量%〜約55重量%の濃度で存在し得る。熱安定性水中油エマルジョンは−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、好ましくは、−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月間貯蔵した後に、粒径および官能特性の変動がない。
【0057】
[0058]いくつかの実施形態では、エマルジョンは、凍結温度、すなわち0℃以下の温度で最低9か月または12か月の有効期間を有し、例えば、いくつかの実施形態では、エマルジョンは、−40℃〜−15℃、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で最低9か月または12か月の有効期間を有する。いくつかの実施形態では、熱安定性水中油エマルジョンは、10回の凍結融解サイクルの後に粒径および官能特性の変動がない。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、凍結温度、すなわち0℃以下の温度で最低9または12か月の有効期間を有すると共に、10回の凍結融解サイクルの後に粒径および官能特性の変動もない。
【0058】
[0059]いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、エマルジョンの約10重量%〜約25重量%の濃度で存在し、単糖は、エマルジョンの約3重量%〜約15重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、エマルジョンの約10重量%〜約30重量%の濃度で存在し、単糖は、エマルジョンの約10重量%〜約30重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、エマルジョンの約25重量%〜約55重量%、例えば、約46重量%、約47重量%、約48重量%、約49重量%、約50重量%、約51重量%などの濃度で存在する。
【0059】
[0060]いくつかの実施形態では、PUFAは、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸、ω−3ドコサペンタエン酸、ω−6ドコサペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、PUFAは、エマルジョンの約5重量%〜約40重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、PUFAは、エマルジョン1グラム当たり約50mg〜約80mg、エマルジョン1グラム当たり約60mg〜約75mg、またはエマルジョン1グラム当たり約65mg〜約70mgの量で水中油エマルジョン中に存在する。
【0060】
[0061]いくつかの実施形態では、乳化剤は、変性アカシアガム、レシチン、寒天、変性ガティガム、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、変性食物デンプン、変性アルギネート、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、糖エステル、およびこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、乳化剤はエマルジョンの約10重量%〜約30重量%の濃度で存在する。
【0061】
[0062]いくつかの実施形態では、水は、エマルジョンの約20重量%〜約60重量%の濃度で存在する。
【0062】
[0063]従って、一実施形態において、本発明は、約5重量%〜約40重量%の濃度の多価不飽和脂肪酸を含む油と、約20重量%〜約60重量%の濃度の水と、例えば、変性アカシアガムおよび/またはデンプン、特に変性デンプン(変性食物デンプン、例えばキラヤなど)などの乳化剤と、約10重量%〜約25重量%の濃度の塩化ナトリウムおよび約3重量%〜約15重量%の濃度の単糖である水溶性安定剤とを含む熱安定性水中油エマルジョンに関し、本熱安定性水中油エマルジョンは−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月間貯蔵した後に粒径の変動がない。
【0063】
[0064]別の実施形態では、本発明は、約5重量%〜約40重量%の濃度の多価不飽和脂肪酸を含む油と、約約20重量%〜約約60重量%の濃度の水と、例えば、変性アカシアガムおよび/またはデンプン、特に変性デンプン(変性食物デンプン、例えばキラヤなど)などの乳化剤と、約10重量%〜約30重量%の濃度のプロピレングリコールおよび約約10重量%〜約約30重量%の濃度の単糖である水溶性安定剤とを含む熱安定性水中油エマルジョンに関し、本熱安定性水中油エマルジョンは−40℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月間貯蔵した後に粒径の変動がない。
【0064】
[0065]別の実施形態では、本発明は、約5重量%〜約40重量%の濃度の多価不飽和脂肪酸を含む油と、約20重量%〜約60重量%の濃度の水と、例えば、変性アカシアガムおよび/またはデンプン、特に変性デンプン(変性食物デンプン、例えばキラヤなど)などの乳化剤と、約30重量%〜約40重量%の濃度のグリセロールである水溶性安定剤とを含む熱安定性水中油エマルジョンに関し、本熱安定性水中油エマルジョンは−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度で9か月間貯蔵した後に粒径および官能特性の変動がない。
【0065】
[0066]別の実施形態では、本発明は、約5重量%〜約40重量%の濃度の多価不飽和脂肪酸を含む油と、乳化剤としてのデンプン、特に変性デンプン(変性食物デンプン、例えばキラヤなど)と、(1)塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、(2)プロピレングリコールおよび単糖の混合物、ならびに(3)グリセロールから選択される水溶性安定剤(このような安定剤は、29〜40重量%の濃度で存在する)と、所望される場合には他の成分とを含む熱安定性水中油エマルジョンに関し、本熱安定性水中油エマルジョンは−40℃、または−80℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、−40℃〜−15℃の温度、または約−40℃〜約0℃の温度、または約−80℃〜0℃の温度、または約−80℃〜約−40℃の温度の温度で9か月間貯蔵した後に粒径および官能特性の変動がない。
【0066】
[0067]別の実施形態では、本発明は、約5%重量〜約20重量%の濃度の多価不飽和脂肪酸を含む油と、約10〜約40%の植物源からの高分子親水コロイドと、約5〜約45重量%の濃度のグリセロールである水溶性安定剤と、約15〜約50重量%の水と、所望される場合には他の成分とを含む熱安定性水中油エマルジョンに関する。
【0067】
[0068]本請求項発明の乳化剤の個々の成分は以下でさらに説明される。
【0068】
[水溶性安定剤]
[0069]本発明の熱安定性エマルジョンは、塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、プロピレングリコールおよび単糖の混合物、ならびにグリセロールから選択される水溶性安定剤を含む。本発明の水中油エマルジョンの凝固を防止することに加えて、水溶性安定剤は、より小さい油相粒子の形成を可能にし、多数の凍結融解サイクルを通して不連続油相の粒径を安定化することができる。いくつかの実施形態では、水溶性安定剤は、水中油エマルジョンの1つまたは複数の官能特性(例えば、風味、匂い、質感など)を改善することもできる。いくつかの実施形態では、本発明のエマルジョンを含有する製品は、本発明のエマルジョンを含有しない製品と比較して良好な官能品質を有する。いくつかの実施形態では、エマルジョンを有する製品と、エマルジョンを実際に有する製品との間には、全く差異がないか、あるいは非常に僅かな/微量の差異しかない。
【0069】
[0070]いくつかの実施形態では、水溶性安定剤は連続水性液相の粘度および/または表面張力を減少させる。結果として、PUFAを含む不連続油相は、水中油エマルジョン中により容易に分散されることが可能である。いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンの安定性は、不連続油相と連続水相との間の密度の差異を最小限にすることによって高めることもできる。
【0070】
[0071]本発明の水中油エマルジョンと共に使用するのに適した水溶性安定剤は、塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、プロピレングリコールおよび単糖の混合物、またはグリセロールを含む。
【0071】
[0072]本発明の水中油エマルジョン中の水溶性安定剤の全濃度は、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約25重量%、約35重量%〜約40重量%、約20重量%、約25重量%、約35重量%、または約37重量%である。
【0072】
[0073]いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムは、エマルジョンの約10重量%〜約25重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、単糖は、エマルジョンの約重量%〜約15重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、単糖は、エマルジョンの約5重量%〜約10重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウムおよび単糖は、約1:1.5〜約5:1、1:1〜4:1、1:1〜3:1、2:1〜3:1、1:1、2:1、2.5:1、3:1、または4:1の比率で存在する。
【0073】
[0074]いくつかの実施形態では、プロピレングリコールは、エマルジョンの約10重量%〜約30重量%の濃度で存在し、単糖は、エマルジョンの約10重量%〜約30重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、プロピレングリコールおよび単糖は、約3:5〜約5:3、3:4〜4:3、または1:1の比率で存在する。
【0074】
[0075]いくつかの実施形態では、グリセロール(グリセリン)は、エマルジョンの約46〜約55重量%、約40〜約46重量%、約25重量%〜約40重量%、約30重量%〜約40重量%、約32重量%〜約38重量%、約34重量%〜約38重量%、または約36重量%の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、グリセロールは、約45%よりも高い、例えば、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%または約55%の濃度で存在し得る。デンプン乳化剤がカプセル化を十分な程度まで可能にし得るように、デンプン乳化剤を水和するのに十分な水が存在する限り、グリセロールの量は上記のように45%よりも多くなり得る。
【0075】
[0076]エマルジョンのpHの経時的な変化はエマルジョン安定性の尺度である。好ましい実施形態では、エマルジョン製剤は十分に緩衝化される。このような緩衝は、プロセスまたは製造および使用における変化、その成分および他の因子における変化に耐えるエマルジョン製剤の能力を高める。
【0076】
[0077]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは酸性であり、いくつかの実施形態では、中性または塩基性pHであり得る。防腐剤として硫酸カリウムが使用される場合、水中油エマルジョンは酸性であるのが好ましい。水中油エマルジョンのpHは、適切な量の酸および/または塩基の添加によって調整することができる。本発明と共に使用するのに適した酸および塩基には、酢酸、クエン酸、塩酸、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなどが含まれるが、これらに限定されない。どの特定の理論によっても束縛されていないが、酸性pHは、貯蔵の間、水中油エマルジョンを安定化することができる。いくつかの実施形態では、無水クエン酸は、エマルジョンの約3重量%〜約8重量%の量で存在する。
【0077】
[0078]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、約7以下、約6以下、約5以下、または約4以下のpHを有する。いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンは、約2〜約7、約2.5〜約6、約3〜約5、約3.5〜約5、約4〜約4.5、または約4のpHを有する。
【0078】
[水性液相]
[0079]連続水性液相は、PUFA油、乳化剤、および水溶性安定剤と相溶性である水性液体、例えば、飲料を含む。連続水性液相と共に使用するのに適した水性液体には、水、炭酸水、シロップ、ダイエット飲料、炭酸ソフトドリンク、果実ジュース(白ブドウ、コンコードダークグレープ(concord dark grape)、ミックスベリー、トロピカルブレンド、オレンジ/パイナップル/マンゴー、イチゴ/バナナ、ザクロ/ブルーベリー、白ブドウ/ラズベリーを含むがこれらに限定されない)、野菜ジュース、アイソトニック飲料、非アイソトニック飲料、果実ジュースを含有するソフトドリンク、コーヒー、茶、乳製品(例えば、乳、クリームなど)、大豆製品(例えば、乳)など、およびこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
[0080]いくつかの実施形態では、水性液体成分(例えば、水)は、エマルジョンの約20重量%〜約75重量%、約20重量%〜約60重量%、約25重量%〜約65重量%、約25重量%〜約60重量%、約25重量%〜約50重量%、約25重量%〜約45重量%、約28重量%〜約35重量%、約35重量%〜約50重量%、約40重量%〜約50重量%、約40重量%〜約45重量%、約28重量%、約30重量%、約35重量%、約40重量%、または約45重量%の濃度で存在する。
【0080】
[0081]いくつかの実施形態では、連続水性液相(すなわち、水性液体およびその中の可溶性の任意の賦形剤)は、水中油エマルジョンの約55重量%〜約95重量%、約60重量%〜約95重量%、約70重量%〜約90重量%、約80重量%〜約90重量%、約80重量%〜約90重量%、約80重量%、約85重量%、または約90重量%を構成する。いくつかの実施形態では、不連続油相は、エマルジョンの約5重量%〜約45重量%、約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約20重量%、約15重量%〜約30重量%、約15重量%〜約25重量%、約15重量%、または約20重量%の濃度で、本発明の水中油エマルジョン中に存在する。
【0081】
[PUFA油]
[0082]本発明の熱安定性エマルジョンはPUFA油を含む。本発明の熱安定性エマルジョンは、PUFA油の安全かつ有効な投与を提供するために使用可能なエマルジョンを提供する。
【0082】
[0083]本発明の水中油エマルジョンはPUFA油の安全かつ有効な投与を提供する。本明細書で使用される場合、「PUFA」(「PUFA」)は、16個以上の炭素原子(例えば、16、18、20または22個の炭素原子(それぞれ、「C16」、「C18」、「C20」、または「C22」))と、2つ以上の炭素−炭素二重結合とを骨格中に含む骨格を有する脂肪酸を指す。本明細書で使用される場合、「長鎖PUFA」(「LC−PUFA」)は、18個以上の炭素原子と、2つ以上の炭素−炭素二重結合とを骨格中に含む骨格を有する脂肪酸、例えばC18:3n−3(アルファ−リノレン酸またはALA)を指す。メチレン中断型PUFAに対してCA:Bn−Xという表記が使用される場合、「CA」は炭素数(例えば、C18、C20またはC22)であり、Bは二重結合の数であり、Xは脂肪酸鎖のメチル端部から数えて最初の二重結合の位置である。
【0083】
[0084]本明細書で使用される場合、「PUFA」という用語は、その遊離酸形態、ならびにその塩およびエステルを包含する。本明細書で使用される場合、「エステル」という用語は、PUFA分子のカルボン酸基中の水素の、別の置換基による置換を指す。典型的なエステルは当業者に知られており、その議論は、Higuchi,T.et al.,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,A.C.S.Symposium Series,Bioreversible Carriers in Drug Design,Ed.Edward B.Roche,Amer.Pharma.Assoc.,Pergamon Press(1987)、およびProtective Groups in Organic Chemistry,McOmie ed.,Plenum Press,New York(1973)によって提供されており、これらはそれぞれ、参照によって全体が本明細書中に援用される。一般的なエステルの例としては、メチル、エチル、トリクロロエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、tert−ブチル、ベンジル、ニトロベンジル、メトキシベンジルおよびベンズヒドリルが挙げられる。PUFAのその他のエステルは、参照によってその全体が本明細書中に援用される米国特許出願公開第2010−0130608A1号明細書に記載されている。
【0084】
[0085]本発明と共に使用するためのPUFAには、オメガ−3、オメガ−6、およびオメガ−9脂肪酸、ならびにこれらから誘導されるオキシリピンが含まれる。本発明と共に使用するためのオメガ−3PUFAの例としては、α−リノレン酸(C18:3n−3)、C18:4n−4、ω−3エイコサペンタエン酸(20:5n−3)(エイコサペンタエン酸)、ω−3ドコサペンタエン酸(ドコサペンタエン酸)、ω−3ドコサヘキサエン酸(22:6n−3)、ドコサテトラエン酸(22:4n−6)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本発明と共に使用するための例示的なオメガ−6PUFAとしては、γ−リノレン酸、リノール酸、共役リノール酸、アラキドン酸(20:4n−6)、ω−6ドコサペンタエン酸、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本発明と共に使用するためのPUFA油は全てシスである。
【0085】
[0086]いくつかの実施形態では、PUFAはDHAを含む。「DHA」は、その化学名(all−Z)−4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸としても知られているドコサヘキサエン酸、およびそのあらゆる塩または誘導体を指す。従って、「DHA」という用語は、DHAエチルエステル(DHA−EE)、ならびにDHA遊離脂肪酸、リン脂質、他のエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、およびトリグリセリド含有DHAを包含する。DHAは、ω−3多価不飽和脂肪酸である。
【0086】
[0087]「DHA−エチルエステル」という用語中の「エステル」という用語は、DHA分子のカルボン酸基中の水素の、エチル基による置換を指す。いくつかの実施形態では、エステル置換基は、DHAが精製または半精製された状態である場合に、DHA遊離酸分子に付加され得る。あるいは、DHAエステルは、トリグリセリドがエステルに転換される際に形成される。
【0087】
[0088]いくつかの実施形態では、熱安定性エマルジョンを製造するために使用されるPUFA油は、1つまたは複数の特定の脂肪酸を実質的に含まない。例えば、DHA−EEを含有するPUFA油は、エイコサペンタエン酸(EPA)を実質的に含まなくてもよい。
【0088】
[0089]EPAは、その化学名(all−Z)−5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸によって知られるエイコサペンタエン酸、ならびにそのあらゆる塩または誘導体を指す。従って、「EPA」という用語は、遊離酸EPA、ならびにEPAアルキルエステルおよびトリグリセリド含有EPAを包含する。EPAは、ω−3多価不飽和脂肪酸である。他に記載されない限り、「EPAを実質的に含まない」熱安定性エマルジョンを製造するために使用される油は、EPAが油の全脂肪酸含量の約3重量%未満である油を指す。いくつかの実施形態では、熱安定性エマルジョンを製造するために使用される油は、油の全脂肪酸含量の約2重量%未満のEPA、油の全脂肪酸含量の約1重量%未満のEPA、油の全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のEPA、油の全脂肪酸含量の約0.2重量%未満のEPA、または油の全脂肪酸含量の約0.01重量%未満のEPAを含む。いくつかの実施形態では、油は検出可能な量のEPAを有さない。
【0089】
[0090]本明細書で使用される場合、「EPAを実質的に含まない」エマルジョンは、EPAが、エマルジョンの全脂肪酸含量の約3重量%未満であるエマルジョンを指すことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、エマルジョンの全脂肪酸含量の約2重量%未満のEPA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約1重量%未満のEPA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のEPA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約0.2重量%未満のEPA、またはエマルジョンの全脂肪酸含量の約0.01重量%未満のEPAを含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは検出可能な量のEPAを有さない。
【0090】
[0091]いくつかの実施形態では、DHAを含有する、または特にDHA−EEを含有する油またはエマルジョンは、ドコサペンタエン酸22:5n−6、(DPAn6)を実質的に含まない。「DPAn6」という用語は、その化学名(all−Z)−4,7,10,13,16−ドコサペンタエン酸によって知られるドコサペンタエン酸、オメガ6、およびそのあらゆる塩またはエステルを指す。従って、DPAn6という用語は、遊離酸DPAn6、ならびにDPAn6エチルエステルおよびトリグリセリド含有DPAn6を包含する。DPAn6はDHAの精製中に除去され得るか、あるいは、DHAは、DPAn6を産生しない生物体またはDPAn6をほとんど産生しない生物体から得ることができる。
【0091】
[0092]本明細書で使用される場合、「DPAn6を実質的に含まない」油は、油の全脂肪酸含量の約2重量%未満のドコサペンタエン酸22:5n−6(DPAn6)を含有するエマルジョンを製造するために使用される油を指す。いくつかの実施形態では、油は、油の全脂肪酸含量の約1重量%未満のDPAn6を含有する。いくつかの実施形態では、油は、油の全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のDPAn6を含有する。いくつかの実施形態では、油は、検出可能な量のDPAn6を含有しない。
【0092】
[0093]本明細書で使用される場合、「DPAn6を実質的に含まない」エマルジョンは、エマルジョンの全脂肪酸含量の約2重量%未満のドコサペンタエン酸22:5n−6、(DPAn6)を含有するエマルジョンを指す。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、エマルジョンの全脂肪酸含量の約1重量%未満のDPAn6を含有する。いくつかの実施形態では、油は、エマルジョンの全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のDPAn6を含有する。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、検出可能な量のDPAn6を含有しない。
【0093】
[0094]DHAを含油する、または特にDHA−EEを含有する油またはエマルジョンは、アラキドン酸(ARA)を実質的に含まなくてもよい。ARAは、化合物(all−Z)5,8,11,14−エイコサテトラエン酸((5Z,8Z,11Z,14Z)−イコサ(icosa)−5,8,11,14−テトラエン酸とも称される)、およびそのあらゆる塩または誘導体を指す。従って、「ARA」という用語は、遊離酸ARAならびにARAアルキルエステルおよびトリグリセリド含有ARAを包含する。ARAは、ω−6多価不飽和脂肪酸である。本明細書で使用される場合、「ARAを実質的に含まない」エマルジョンを製造するために使用される油は、ARAが油の全脂肪酸含量の約3重量%未満である油を指す。いくつかの実施形態では、油は、油の全脂肪酸含量の約2重量%未満のARA、油の全脂肪酸含量の約1重量%未満のARA、油の全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のARA、油の全脂肪酸含量の約0.2重量%未満のARA、または油の全脂肪酸含量の約0.01重量%未満のARAを含む。いくつかの実施形態では、油は検出可能な量のARAを有さない。本明細書で使用される場合、「ARAを実質的に含まない」エマルジョンは、ARAがエマルジョンの全脂肪酸含量の約3重量%未満であるエマルジョンを指す。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、エマルジョンの全脂肪酸含量約2重量%未満のARA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約1重量%未満のARA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約0.5重量%未満のARA、エマルジョンの全脂肪酸含量の約0.2重量%未満のARA、またはエマルジョンの全脂肪酸含量の約0.01重量%未満のARAを含む。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、検出可能な量のARAを有さない。
【0094】
[0095]PUFAは、液体(例えば、油)、固体(例えば、粉末)、またはこれらの組み合わせとして、本発明のエマルジョンに添加することができる。
【0095】
[0096]本発明と共に使用するためのPUFAは、エマルジョン中に分散させることが可能な少なくとも1つのPUFAを含む任意のPUFA源から単離することができる。本発明と共に使用するためのPUFAは、例えば、微生物源、植物源、種子源、動物源、魚源、またはこれらの組み合わせに由来することができる。本発明と共に使用するのに適したPUFAおよびPUFA源には、参照によってその全体が本明細書に援用される米国特許出願公開第2009−0023808号明細書に記載されるものが含まれる。例えば、本発明と共に使用するためのPUFAは、油性微生物に由来することができる。本発明と共に使用するためのPUFAおよび/またはPUFA含有油は、合成することもできる。
【0096】
[0097]いくつかの実施形態では、粗PUFA含有油(例えば、魚、植物、種子および/または微生物源に由来)は、精製(リン脂質および遊離脂肪酸を除去するため)、漂白(あらゆる着色体を除去するため)、酵素処理、および/または脱ろう(winterize)(飽和脂肪を除去するため)される。
【0097】
[0098]本発明と共に使用するのに適した市販のPUFAとしては、Martek DHA(商標)−S Oil(Martek Biosciences Corp.,Columbia,Md.)、Rosemary−Free Martek DHA(商標)−S Oil(Martek Biosciences Corp.,Columbia,Md.)、Microalgae DHA(商標)Oil(Martek Biosciences Corp.,Columbia,Md.)、OMEGAPURE(登録商標)油(Omega Protein Corp.,Houston,Tex.)、MARINOL(登録商標)油(Lipid Nutrition,Wormerveer,NL)、MEG−3油および粉末(Ocean Nutrition Corp.,Dartmouth,CA)、Evogel(Symrise AG,Holzminden,DE)、Marine Oil(Arista Industries,Wilton,Conn.)、およびOMEGASOURCE(登録商標)油(Source Food Technology,Inc.,Raleigh,N.C.)が挙げられるがこれらに限定されない。
【0098】
[0099]いくつかの実施形態では、PUFA油は、エマルジョンの約5重量%〜約40重量%、約10重量%〜約30重量%、約12重量%〜約25重量%、約15重量%〜約20重量%、約12重量%、約15重量%、約18重量%または20重量%の濃度で、本発明の水中油エマルジョン中に存在する。
【0099】
[00100]いくつかの実施形態では、PUFA油は、不連続油相の約50重量%〜約99重量%、約60重量%〜約99重量%、約70重量%〜約99重量%、約80重量%〜約99重量%、約90重量%〜約99重量%、または約95重量%〜約99重量%の濃度で、本発明の水中油エマルジョンの不連続油相中に存在する。
【0100】
[00101]いくつかの実施形態では、水溶性安定剤およびPUFAは、約4:1〜約1:1の重量比、約3:1〜約1:1、約2:1〜約1:1、約3:1、約2:1、約3:2、または約1:1の重量比で存在する。
【0101】
[乳化剤]
[00102]本明細書で使用される場合、「乳化剤」は、不連続油相が連続水性液相中に実質的に分散されたままであるように、水中油エマルジョンの安定性を促進する材料を指す。通常、乳化剤は、少なくとも連続水性液相または不連続油相中に、少なくとも部分的に可溶性である。いくつかの実施形態では、乳化剤は、連続水性液相および不連続油相の両方の中に部分的に可溶性である。
【0102】
[00103]本発明のエマルジョンにおける使用に適した乳化剤は、エマルジョン中に存在するLC−PUFAと相溶性の任意の乳化剤を含み、天然、変性、および合成乳化剤、ならびにこれらの組み合わせが含まれる。変性乳化剤は、化学的、酵素的、および/または物理的なプロセスによって変性された天然乳化剤を含む。本発明と共に使用するのに特に適した乳化剤は、変性アカシアガム(例えば、TIC Gums,White Marsh,Md.からのTICAMULSION(登録商標))、レシチン、寒天、変性ガティガム、ペクチン、カラギナン、キサンタンガム、変性デンプン、特に変性食物デンプン、例えば、変性トウモロコシデンプン(例えば、National Starch & Chemical,Bridgewater,N.J.から入手可能)、変性アルギネート(例えば、アルギン酸プロピレングリコールなどのアルギン酸のエステル)、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンソルビタンエステル(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート80など)、糖エステル(例えば、モノステアリン酸スクロースなど)、脂肪アルコール(例えば、セトステアリルアルコール、セテアリルアルコール、セチルステアリルアルコールなど)、モノ−および/またはジ−グリセリド、タンパク質、およびこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、乳化剤は、高分子親水コロイド、特に植物源に由来するものであり得る。植物源に由来する高分子親水コロイドの例としては、植物デンプン、アラビアガム(アカシアガム)およびリグノスルホネート、特に食品グレードのリグノスルホネートが挙げられる。いくつかの実施形態では、乳化剤は、変性アカシアガムまたは変性デンプン(アセチル化デンプンまたはオクテニルコハク酸デンプンなど)であり得る。市販のオクテニルコハク酸デンプンの例としては、モチトウモロコシデンプンに由来するCargill EmulTru(商標)12674が挙げられる。いくつかの実施形態では、乳化剤は、HLB値を有さない。「HLB」値は、化合物が親水性または親油性である程度の表示である「親水性親油性バランス」値を指す。いくつかの実施形態では、乳化剤は、10未満のHLB値を有する。いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンは、ポリグリセロール脂肪酸エステルを含有しない。いくつかの実施形態では、乳化剤は、植物から抽出された天然製品などの天然製品であり得る。従って、いくつかの実施形態では、乳化剤は高分子親水コロイドではないが、代わりに、例えば、キラヤとして提供される分子など、またはキラヤの木から得られるQ−Naturale(商標)(National Starch Food Innovationにより販売)、および上記のものなどの乳化剤の組み合わせである。
【0103】
[00104]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョン中に存在する乳化剤の全濃度は、10重量%〜約25重量%、約10重量%〜約30重量%、約12重量%〜約20重量%、約14重量%〜約18重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約20重量%、または約25重量%である。いくつかの実施形態では、例えば、乳化剤がレシチンである場合、乳化剤はエマルジョンの約10重量%未満の量で存在する。
【0104】
[賦形剤]
[00105]本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、1つまたは複数の賦形剤を含むことができる。本明細書で使用される場合、「賦形剤」という用語は、水中油エマルジョンを提供するため、またはこのようなエマルジョンに1つまたは複数の所望の特性を提供するためにPUFAと組み合わせるのに有用な物質を指す。本発明と共に使用するのに適した賦形剤は、現在の米国および欧州薬局方の要件、ならびに医薬品、食物、および化粧品の添加剤についてのその他の種々の規制および基準を全て満たす。有用な賦形剤の一例は、トリアセチン(1,2,3−トリアセトキシプロパン、三酢酸グリセリン)である。通常、本発明と共に使用するのに適した賦形剤は、米国食品医薬品局(U.S.Food and Drug Administration)によって人間が食するのに安全であると見なされる。本明細書で使用される場合、「食用として安全」は、妥当な利益/リスク比と見合って、過剰の毒性、刺激作用、アレルギー応答、または他の可能性のある合併症がなく、正しい判断の範囲内で人間および動物の組織との接触に適切である賦形剤、化合物、材料、および/または組成物を指す。さらに、当業者は、参照によってその全体が本明細書中に援用されるThe Handbook of Pharmaceutical Excipients,5th Ed.,The Pharmaceutical Press and American Pharmacists Association,London,UK and Washington,DC(2006)に記載されるものを含む、薬学的に許容可能な賦形剤が本発明において使用可能であることを認識するであろう。
【0105】
[00106]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョン中に含有されるPUFAは、風味および/または匂いによって消費者に実質的に検出不能である。従って、本発明のエマルジョンは、望ましくない臭気および/または風味を伴わずに消費者に摂取されることが可能である。いくつかの実施形態では、エマルジョンはさらに、本発明の水中油エマルジョンまたは本発明の水中油エマルジョンを用いて調製された製品から、香りおよび/または風味をマスキングするために適切な風味マスキング剤または香味マスキング剤を含む。本発明と共に使用するのに適した風味マスキング剤としては、バニラ香味の一種であるMartek Masker(Martek Biosciences Corp.,Columbia,Md.)(Firmenich(Geneva,Switzeland)によって供給され、Firmenich Maskerとしても知られている)、Givaudan(Vernier,Switzerland)、International Flavors and Fragrances(New York,NY)、Sensient Technologies(Milwaukee,WI)、およびOgawa Flavors and Fragrances(東京,日本)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、風味マスキング剤は、エマルジョンの5重量%未満、2重量%未満、または1重量%未満の量で存在する。
【0106】
[00107]本発明の水中油エマルジョンは、延長された有効期間を有する。本明細書で使用される場合、「有効期間」は、エマルジョンの実施形態が貯蔵され、消費者の使用に適切であり続けることができる期間を指す。従って、粒径安定性に加えて、本発明の水中油エマルジョンは、例えば酸化からPUFAを保護および安定化する。例えば、32mgDHA/250mlで投与される場合、本発明のエマルジョンは、コンコードグレープジュースのような常温保存可能なダークジュースにおいて9〜12か月間、安定かつ官能的に許容可能であり続ける。
【0107】
[00108]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに、ソルビン酸カリウム、または安息香酸ナトリウム、またはプロピレングリコール(エマルジョン中に既に存在しなければ)、またはこれらの混合物などの抗菌剤を含む。このような抗菌剤は、食物および/または飲料組成物中の最大許容量までの量で組成物中に含まれ得る。例えば、本発明の組成物は、エマルジョンの約0.05〜約0.1重量%の量の抗菌剤を含むことができる。
【0108】
[00109]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに防腐剤を含む。本発明と共に使用するのに適した防腐剤としては、ビタミンC、トコフェロール、アスコルビン酸またはその塩(例えば、ソルビン酸カリウム)、金属キレーター(すなわち、金属キレート剤)(例えば、エチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)およびその塩)、亜硫酸およびその塩(例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウムなど)、重亜硫酸およびその塩(例えば、重亜硫酸ナトリウムなど)、システイン塩酸塩、ポリリン酸塩(例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム二ナトリウム(mono sodium disodium phosphate)など)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、防腐剤は、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満の量で存在する。
【0109】
[00110]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに、1つまたは複数の酸化防止剤を含む。本明細書で使用される場合、「酸化防止剤」は、ビタミン、顔料および脂質などの別の化学種の酸化を遅延させるかあるいは防止する化合物を指す。本発明と共に使用するのに適した酸化防止剤としては、ビタミンC(パルミチン酸アスコルビルなどの脂溶性形態を含む)、ビタミンE(トコフェロール)、ポリフェノール、フェノール誘導体(例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、tert−ブチルヒドロキノンなど)、カルノシン酸、リポ酸、タウリン、芳香族カルボン酸(例えば、ケイ皮酸、安息香酸、アスコルビン酸など)、芳香族カルボン酸の塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カリウム、およびアスコルビン酸カルシウム)、抗酸化特性を有するアミノ酸、抗酸化特性を有するタンパク質、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。アスコルビン酸塩(アスコルビン酸)は、酸素と反応して食物から酸素を除去することによって、脂質の酸化を遅延させるのに役立つ。またアスコルビン酸は、トコフェロールがフリーラジカルスカベンジャーとしての役割を果たし続けることができるように、酸化トコフェロールを還元状態に再生するのにも役立つことができる。従って、アスコルビン酸およびトコフェロールの組み合わせは特に有利であり、このような組み合わせは、トコフェロールのフリーラジカルスカベンジャー能力の増強に関して相乗効果をもたらす。
【0110】
[00111]適切なポリフェノール酸化防止剤は、植物(例えばローズマリー、クミン、ブドウ種子、マツ樹皮、オート麦、クレソン、バジル、ショウガ、レッドクローバーなどの抽出物)、茶葉(例えば、緑茶、マテ茶(シマロン(chimarraoまたはcimarron)としても知られる)など)、果実(例えば、ザクロ、リンゴ、ホワイトチェリー、プラム、ウルフベリー、ブルーベリー、トマト、パパイヤ、ブドウなど)、野菜(例えば、アルファルファなど)、およびココアを含む様々な食品中に見出され、そして抽出されることもできるし、あるいは合成されてもよい。例示的なポリフェノールは、天然抽出物および合成化合物の両方を含む。またポリフェノールとしては、フラボン(例えば、アピゲニン、ルテオリン、タンゲリチン(tangeritin)、クリシン、バイカレイン、スクテラレイン(scutellarein)、オウゴニン、ジオスミン、フラボキサートなど)、フラボノール(例えば、3−ヒドロキシフラボン、アザレアチン、フィセチン、ガランギン、ゴシペチン、ケンペリド、デンプフェロール(daempferol)、イソラムネチン、モリン(morin)、ミリセチン、ナツダイダイン、パキポドール、クェルシチン(quercitin)、イソクェルシチン(isoquercitin)、クェルシトリン、ラムナジン、ラムネチンなど)、フラバノール(例えば、(+)−カテキン、(−)−エピカテキン、(−)−没食子酸エピカトキン(epicatchin gallate)、(−)−エピガロカテキン、および没食子酸エピガロカテキン)、フラボン(例えば、アピゲニン、ルテオリン、タンゲリチン、クリシン、バイカレイン、スクテラレイン、オウゴニン、ジオスミン、フラボキサートなど)、フラバノン、イソフラボン、タンニン、スチルベン誘導体、(例えば、リスベラトロールなど)、アントシアニン、アントシアニジン、プロアントシアニジン、没食子酸、クルクミン、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
[00112]酸化防止剤は、エマルジョンの約0.01重量%〜約10重量%、約0.02重量%〜約8重量%、約0.05重量%〜約5重量%、約2重量%〜約20重量%、約3重量%〜約18重量%、約4重量%〜約15重量%、約5重量%〜約12重量%、約6重量%〜約10重量%、または約7重量%〜約9重量%の濃度で、本発明の水中油エマルジョン中に存在し得る。いくつかの実施形態では、酸化防止剤は、エマルジョンの約10重量%未満、約5重量%未満、または約2重量%未満の量で存在する。
【0112】
[00113]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンはさらに香味料(flavorant)を含み、これは、合成、天然、果実、もしくは植物の香味料、またはこれらの組み合わせであり得る。本発明と共に使用するのに適した香味料としては、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、サクランボ、アーモンド、柑橘果実、オレンジ、タンジェリン、レモン、ライム、レモン−ライム、バニラ、バニラクリーム、ココア、チョコレート、コーヒー、コーラ、茶、ミント、スペアミント、ウィンターグリーン、メントール、甘草、バタースコッチ、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
[00114]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンはさらに香味強化剤(flavor enhancer)を含み、これは、本明細書で使用される場合、より優れた風味の製品を達成しするため、または投与中により心地良い口当たりを提供するために添加される賦形剤を指す。本発明と共に使用するのに適した香味強化剤の非限定的な例としては、リボチドおよびグルタミン酸モノナトリウムが挙げられる。
【0114】
[00115]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンはさらに、天然または人口甘味料を含む。適切な甘味料としては、スクロース、ラクトース、フルクトース、アセスルファム塩(例えば、アセスルファムカリウムなど)、アリテーム、アスパルテーム、ブラゼイン、クルクリン、シクラム酸およびその塩(例えば、シクラム酸ナトリウム)、ジヒドロカルコン、グリチルリジンおよびその塩、モグロシド、マビンリン、モナチンおよびその塩、モネリン、ネオテーム、サッカリンおよびその塩(例えば、サッカリンナトリウム)、シアメノシド、ステビア、ステビオシド、スクラロース、タウマチン、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
[00116]いくつかの実施形態では、甘味料は、エマルジョンの約0.01重量%〜約20重量%、約0.01重量%〜約1重量%、約0.02重量%〜約15重量%、約0.05重量%〜約10重量%、約5重量%〜約20重量%、約0.1重量%〜約5重量%、約0.5重量%〜約4重量%、約1重量%〜約3重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約1重量%、約5重量%、または約10重量%の濃度で本発明の水中油エマルジョン中に存在する。
【0116】
[00117]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンは「糖を含まない」、すなわち、糖および/または複合糖質および/または多糖類(口腔内で容易に糖に変換され得る)を実質的に含まない。
【0117】
[00118]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンはさらに着色剤を含む。「着色剤」は、例えば、アントシアニンおよびオリゴマープロシアニジンなどの、色または外観を増強および/または変更するために水中油エマルジョンに添加され得る物質を指す。また着色剤は、コードまたは識別子(すなわち、濃度、使用目的などを示すため)として水中油エマルジョンに添加されることも可能である。FDAによって「一般に安全と認められる」(GRAS)ことが知られているので菓子類業において通常使用されるか、あるいは医薬および/または栄養補助調製物における使用のためにFDAによって認可された、任意のタイプの着色剤(すなわち、「自然色」および/またはF.D.&C.染料などの「人口色」)を本発明と共に使用することができる。
【0118】
[00119]いくつかの実施形態では、不連続油相はさらに、テルペン(例えば、リモネン、ピネンなど)、香味油、植物油、精油など、およびこれらの組み合わせから選択される材料を含む。本発明と共に使用するのに適した精油としては、シトラス油(例えば、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ、マンダリン、ダイダイなどの油)、葉油(例えば、油またはミント、ペパーミントなど)、スパイス油(例えば、ベルガモット、ローズマリーなどの油)、種子油(例えば、亜麻種子油、クランベリー種子油など)、皮油、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
[00120]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに増量剤を含む。本発明と共に使用するのに適した増量剤としては、臭素化油(例えば、臭素化植物油)、エステルガムおよび他のウッドロジン、二酢酸ヘキサイソブチウレートスクロース(sucrose diacetate hexa−isoburtyurate)(SAIB)、精製ダンマルガム、ガヌアバワックス(ganuaba wax)、安息香酸ベンジルポリグリセリルエステル、三安息香酸グリセリル、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
[00121]いくつかの実施形態では、増量剤は、連続水性液相の約1重量%〜約30重量%、約2重量%〜約25重量%、または約3重量%〜約20重量%の濃度で連続水性液相中に存在する。
【0121】
[00122]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに、水分散性または油分散性の生物活性剤を含む。本明細書で使用される場合、「水分散性生物活性剤」は、水(または水性液体)中に分散性である材料および可溶性である材料の両方を指し、「油分散性生物活性剤」は、油中に分散性である材料および可溶性である材料の両方を指す。本発明と共に使用するのに適した水分散性および/または油分散性生物活性剤としては、酵素(例えば、パパイン)、カロテノイド(例えば、β−カロテン、リコペン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、ルテインなど、およびこれらの酸素化変異体)、テルペンおよび/またはテルペノイド(例えば、ユーカリプトール、カンファー、メントール、シトラルなど)、精油(例えば、オイゲノール、ジンゲロール、アベナコシドなど)、フェノール酸(例えば、没食子酸、ロスマリン酸など)、フラボノイド(例えば、ナリンギン、ケルセチン、カテキン、アントシアニン、クマリンなど)、植物エストロゲン、プロアントシアニジン、クルクミノイド、ビタミン(例えば、ビタミンE、ビタミンKなど)、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、水分散性生物活性剤は、エマルジョンの約0重量%〜約20重量%、約0.5重量%〜約15重量%、または約1重量%〜約10重量%の濃度で、水中油エマルジョン中に存在する。
【0122】
[00123]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンはさらに、倍油(folded oil)を含む。本発明と共に使用するのに適した倍油としては、ベルガモット(ベルガプテンフリーのベルガモット油を含む)、グレープフルーツ(高アルデヒドグレープフルーツ油およびグレープフルーツジュース抽出物を含む)、レモン、ライム、マンダリン、オレンジ(およびオレンジジュース抽出物)、タンジェリンなど、ならびにこれらの組み合わせの3倍、4倍、5倍、6倍、8倍、10倍、15倍、20倍油が挙げられるが、これらに限定されない。また本発明と共に使用するのに適した倍油には、上記の例示的な倍油の洗浄、蒸留、コールドプレスされたテルペンフリーおよび/またはセスキテルペンフリー変異体も含まれる。
【0123】
[00124]いくつかの実施形態では、倍油は、エマルジョンの約0.1重量%〜約10重量%、約0.2重量%〜約5重量%、約0.3重量%〜約1重量%、約0.5重量%〜約5重量%、または約1重量%〜約3重量%の濃度で本発明の水中油エマルジョン中に存在する。
【0124】
[00125]いくつかの実施形態では、本発明の水中油エマルジョンは、モノ−および/またはジ−グリセリドを実質的に含まない。本明細書で使用される場合、「モノ−および/またはジ−グリセリドを実質的に含まない」は、本発明の水中油エマルジョンが、エマルジョンの約10重量%以下、約5重量%以下、約1重量%以下、約0.5重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、または検出不能な濃度のモノ−および/またはジ−グリセリドを含むことを指す。
【0125】
[00126]本発明の熱安定性水中油エマルジョンは、例えば、食品、飲料、ハーブ組成物、ダイエットサプリメント、栄養製品、医薬組成物(特に、経口でまたは経腸栄養によって投与されるもの)、および/または栄養補助組成物において、成分または機能性成分として使用することができる。本発明の水中油エマルジョンは、製品の使用(例えば、摂取)時に消費者に健康上の利益を提供するのに適切な濃度で、このような組成物中に存在することができる。
【0126】
[00127]従って、いくつかの実施形態では、本発明の方法は、PUFA、特にDHA、あるいは最も特別には、エイコサペンタエン酸(EPA)を実質的に含まないDHA−EEを含む本発明の熱安定性エマルジョンまたはそれを含有する製品もしくは組成物を、それを必要としている被験者に毎日投与することを含み、ここでDHAは、非藻類源、例えば魚に由来する。
【0127】
[00128]「被験者」という用語は、類人猿、サル、オランウータン、ヒヒ、テナガザル、およびチンパンジーなどのヒトまたは霊長類などの哺乳類を指す。「被験者」という用語は、コンパニオン動物(例えば、イヌおよびネコ)、動物園の動物、ウマ科動物(例えば、ウマ)、食用動物(例えば、雌ウシ、ブタ、およびヒツジ)、ならびに疾患モデル動物(例えば、ウサギ、マウス、およびラット)を指すこともできる。被験者はヒトでも非ヒトでもよい。被験者はどの年齢でもよい。例えば、いくつかの実施形態では、被験者は、ヒト乳児、(すなわち、生後約1歳)、ヒト子供(すなわち、約1歳〜12歳のヒト)、思春期のヒト(すなわち、約12歳〜18歳のヒト)、または成人、すなわち、約18歳よりも上のヒト)である。いくつかの実施形態では、被験者は男性または女性の成人である。
【0128】
[00129]本明細書で使用される場合、「処置する」および「処置」という用語は治療処置および予防または防止措置の両方を指し、その目的は、望ましくない生理学的状態または疾患を防止または減速(減少)させること、あるいは有益なまたは所望の臨床結果を得ることである。「処置」という用語は、上記の状態または疾患に関連する症状の軽減も指す。
【0129】
[00130]いくつかの実施形態では、本発明のエマルジョンによって提供されるPUFAを含有する調製物は連続的に投与される。「連続的」または「継続的」という用語は、「投与」に関連して本明細書で使用される場合、投与の頻度が少なくとも1日1回であることを意味する。しかしながら、本明細書において指定される投与レベルが達成される限り、投与の頻度は1日1回よりも多くてもよく、それでもまだ「連続的」または「継続的」であることに注意されたい(例えば、1日2回またはさらに3回または4回)。
【0130】
[00131]いくつかの実施形態では、水中油エマルジョンは、分配および/または使用時に局所の配合者、ビン詰め業者、分配業者、薬局、または他の実体によって希釈するのに適した濃縮物である。濃縮水中油エマルジョンは、使用前に出荷および/または貯蔵されなければならない製品のために特に適している。
【0131】
[00132]本明細書で使用される場合、「濃縮物」は、より低い濃度の乳化剤およびPUFAを有する最終水中油エマルジョンをもたらすために希釈に適した水中油エマルジョンを指す。例えば、濃縮物は、飲料を形成するために希釈され得る飲料エマルジョン濃縮物を含むことができる。特に、エマルジョン濃縮物は、さらに均質化を必要とすることなく連続水性液相中に容易に分散される。エマルジョン濃縮物の形成は、消費者による消費のために最終エマルジョン形態に投与される前に、貯蔵および輸送のために安定でコンパクトな形態でのLC−PUFAの貯蔵を可能にする。さらに、エマルジョン濃縮物の均質化は、消費者により消費される最終エマルジョン形態の均質化よりも小さいスケールで実行され得る。従って、より低い設備費が実現される。
【0132】
[00133]いくつかの実施形態では、本発明の濃縮物は、固体または半固体に添加することができる。例えば、エマルジョン濃縮物は、マヨネーズ、ホイップ済みクリーム、アイスクリーム、ヨーグルト、スムージー、ソース、果実濃縮物、果実ピューレ、ベビーフード、スペシャルティコーヒー(フラッペなど)、および茶、特に、乳または乳製品を含有するアイスまたはスペシャルティコーヒーおよび茶、例えば、チャイティ、タイアイスティ(チャーイェン(cha−yen))など、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない固体または半固体の食品または飲料に添加される。
【0133】
[00134]いくつかの実施形態では、ソルビン酸カリウムなどの「キャリーオーバー」添加剤は、「非機能性」であると考えられるレベルで最終製品中に存在し得る。例えば、8オンスの飲料中に32mgのDHAを送達する場合、1〜3ppmのキャリースルー(carry through)レベルのソルビン酸カリウムは「非機能性」であると考えられる。食料品の場合、キャリーオーバー添加剤は、所与の製品中のその存在が、製品の製造に投入された1つまたは複数の成分中に添加剤が含有されたものであるという事実と、最終製品において技術的機能を供給しないという事実だけに起因する物質である。
【0134】
[エマルジョンの調製方法]
[00135]本発明の水中油エマルジョンは、水性液相および不連続油相を混合して水中油エマルジョンを提供するのに適した任意の方法を用いて調製することができる。いくつかの実施形態では、乳化剤および水相材料はゆっくり混合されて、安定な分散体が提供され、その後、任意選択的な酸化防止剤、任意選択的な防腐剤、任意選択的なpH調整剤などが添加される。次に、この均質な水相混合物は、油相材料(例えば、PUFA、任意選択的な風味マスキング剤、任意選択的な酸化防止剤、任意選択的な防腐剤など)をゆっくり添加しながら激しく混合されて、水中油エマルジョンが提供される。あるいは、水性液体、乳化剤、および油相成分は同時に混ぜ合わせられて、水中油エマルジョンを形成することができる。
【0135】
[00136]水溶性安定剤は、水中油エマルジョンの形成の前、形成中、および/または形成の後に添加され得る。いくつかの実施形態では、水溶性安定剤の第1の部分は乳化の前に水相混合物に添加され、水溶性安定剤の第2の部分は乳化の後に水中油エマルジョンに添加される。
【0136】
[00137]いくつかの実施形態では、水および乳化剤を含む実質的に水性の組成物が調製され、水性組成物のpHは、乳化の前に、適切な量の酸および/または塩基を添加することによって、本明細書に記載される通りに調整される。
【0137】
[00138]成分の逐次添加を含む方法において、水性液体、乳化剤、および1つまたは複数の任意選択的な賦形剤を含む実質的に均質な水相組成物(例えば、分散体)が調製され、実質的に均質な油相混合物を提供するために油相成分(例えば、PUFAおよび1つまたは複数の任意選択的な賦形剤)が並行して混合される。次に、混合油相成分は、激しく混合しながら水相組成物にゆっくり添加されて、水中油エマルジョンを提供する。
【0138】
[00139]いくつかの実施形態では、乳化剤は、乳化の前に水相および油相の両方に添加される。
【0139】
[00140]いくつかの実施形態では、水性液体の一部、乳化剤、および不連続油相を含むエマルジョン濃縮物が調製され、次に、水性液体の残りの部分がエマルジョン濃縮物に添加されて、エマルジョンが形成される。
【0140】
[00141]いくつかの実施形態では、方法は、水および乳化剤を混ぜ合わせて、水性混合物を提供するステップと、多価不飽和脂肪酸(好ましくは、多価不飽和脂肪酸を含む油)を水性混合物に混合しながら添加して、水中油エマルジョンを提供するステップと、塩化ナトリウムおよび単糖の混合物、プロピレングリコールおよび単糖の混合物、ならびにグリセロールから選択される水溶性安定剤を水中油エマルジョンに添加して、熱安定性水中油エマルジョンを提供するステップとを含み、ここで、水溶性安定剤は、エマルジョンの20重量%〜50重量%の濃度で存在し、熱安定性水中油エマルジョンは、−40℃の温度で少なくとも部分的に液化したままであり、−40℃〜−15℃の温度で9か月間貯蔵した後に粒径の変動がなく、官能特性の変動(または望ましくない官能特性)がない。
【0141】
[00142]いくつかの実施形態では、最初に形成された水中油エマルジョンは、水中油エマルジョンにホモジナイザーを1回または複数回(例えば、1回、2回、3回、または4回、またはそれ以上)通過させることによって均質化され、最終水中油エマルジョンを形成する。例えば、エマルジョンは、全体の圧力10000psi/第2段階の圧力500psiでホモジナイザーを5回通過させることができる。別の例では、2回の通過による均質化の圧力、全体5000psi/第2段階750psiであり得る。圧力および通過回数は、ホモジナイザーのスケールおよびタイプならびに所望される最終粒径によって決定される。
【0142】
[00143]いくつかの実施形態では、高粘度を有する調製物または材料と共に、特に、調製物を加熱および冷却するため、および所望される場合には低温殺菌のために(例えば、ソルビン酸カリウムを含有する製品と共に)、かき取り式表面熱交換器(SSHE)が使用される。いくつかの実施形態では、ホモジナイザーはかき取り式表面熱交換器に接続される。
【0143】
[00144]いくつかの実施形態では、混合は窒素ブランケット下で実施される。
【0144】
[00145]本発明を概略的に説明してきたが、本明細書中で提供される実施例を参照してさらなる理解を得ることができる。これらの実施例は説明だけの目的で与えられ、限定は意図されない。
【0145】
[実施例]
[実施例1]
[00146]本発明の水中油エマルジョンを以下のように調製した。ソルビン酸カリウム(750mg)およびアスコルビン酸ナトリウム(40.12g)を水(558.54g)に添加し、溶解させた。変性アカシアガム(200.59g)を水混合物に添加し、次にこれにフタをし、ゆっくり(200rpm)4〜6時間混合した。溶液の上に形成された泡を廃棄した。ゆっくり混合した後、適切な量のクエン酸を添加することによって水混合物のpHをpH4に調整した。水混合物は、水中油エマルジョンのためのベースとして使用した。
【0146】
[00147]油混合物は、Martek藻類油(40%のDHA油)(90g、Martek Biosciences Corp.,Columbia,Md.)、ローズマリー抽出物(157.5mg、ローズマリーSTABILENHANCE(登録商標)OSR5%、001280、Naturex Inc.)、および香味マスカー(900mg、Flavor Masking 599469AH、Firmenich、Martek Maskerとも呼ばれる)を結合および混合することによって調製した。
【0147】
[00148]水混合物の一部(358.9g)を高せん断ミキサーに入れ、6,100rpmで混合しながら、油混合物をゆっくり添加して、水中油エマルジョンを得た。混合中、水混合物および油混合物は両方とも25℃であった。油混合物全体が乳化されるまで混合を続けた。
【0148】
[00149]15,000psiの第1段階圧力および2,000psiの第2段階圧力を用いてエマルジョンを均質化した。エマルジョンにホモジナイザー内を約30秒間循環させた後、1回目の通過生成物を捕集した。ホモジナイザーを通過させた後、生成物ホースに氷浴を通過させることによってエマルジョンを冷却してから捕集した。最初の10秒間の生成物は廃棄した。均質化プロセスを3回繰り返して水中油エマルジョンを得て、これを高せん断ミキサーに入れ、1,500rpmで混合した。デキストロース(27g)をエマルジョンにゆっくり添加した後、塩化ナトリウム(67.5g)を添加して最終エマルジョンを得て、これをビンに詰め、窒素パージし、凍結温度(−17℃〜−21℃)に保持した。
【0149】
【表1】
【0150】
[実施例2]
[00150]本発明の水中油エマルジョンを以下のように調製した。ソルビン酸カリウム(730mg)およびアスコルビン酸ナトリウム(38.74g)を水(287.55g)に添加し、溶解させた。デキストロース(169.49g)を水混合物に添加し、溶解させ、必要であれば加熱した。次に、水混合物を冷却し(必要であれば)、プロピレングリコール(193.7g)を添加し、得られた水混合物を十分に混合した。次に、変性アカシアガム(159.8g)を水混合物に添加してから、これにフタをし、ゆっくり(200rpm)4〜6時間混合した。溶液の上に形成された泡を廃棄した。ゆっくり混合した後、適切な量のクエン酸を添加することによって水混合物のpHをpH4に調整した。
【0151】
[00151]水混合物の一部(394.9g)を高せん断ミキサーに入れ、6,100rpmで混合しながら、油混合物をゆっくり添加して、水中油エマルジョンを得た。混合中、水混合物および油混合物は両方とも25℃であった。
【0152】
[00152]油混合物全体が乳化されるまで混合を続けた。15,000psiの前方圧力および2,000psiの後方圧力を用いてエマルジョンを均質化した。エマルジョンにホモジナイザー内を約30秒間循環させた後、1回目の通過生成物を捕集した。ホモジナイザーを通過させた後、生成物ホースに氷浴を通過させることによってエマルジョンを冷却してから捕集した。最初の10秒間の生成物は廃棄した。均質化プロセスを3回繰り返して水中油エマルジョンを得て、これをビンに詰め、窒素パージし、凍結温度(−17℃〜−21℃)に保持した。
【0153】
【表2】
【0154】
[実施例3]
[00153]本発明の水中油エマルジョンを以下のように調製した。ソルビン酸カリウム(730mg)およびアスコルビン酸ナトリウム(38.74g)を水(287.55g)に添加し、溶解させた。次に、変性アカシアガム(159.8g)を水混合物に添加し、これにフタをして、ゆっくり(200rpm)4〜6時間混合した。溶液の上に形成された泡を廃棄した。ゆっくり混合した後、適切な量のクエン酸を添加することによって、水混合物のpHをpH4に調整した。次に、グリセロール(162g)を水混合物に添加し、水混合物を十分に混合した。
【0155】
[00154]水混合物の一部(216.3g)を高せん断ミキサーに入れ、6,100rpmで混合しながら、油混合物をゆっくり添加して、水中油エマルジョンを得た。混合中、水混合物および油混合物は両方とも25℃であった。油混合物全体が乳化されるまで混合を続けた。
【0156】
[00155]15,000psiの前方圧力および2,000psiの後方圧力を用いてエマルジョンを均質化した。エマルジョンにホモジナイザー内を約30秒間循環させた後、1回目の通過生成物を捕集した。ホモジナイザーを通過させた後、生成物ホースに氷浴を通過させることによってエマルジョンを冷却してから捕集した。最初の10秒間の生成物は廃棄した。均質化プロセスを3回繰り返して水中油エマルジョンを得て、これをビンに詰め、窒素パージし、凍結温度(−17℃〜−21℃)に保持した。
【0157】
【表3】
【0158】
[実施例4]
[00156]以下のエマルジョンを実施例3のエマルジョンと同様に調製した。
【0159】
【表4】
【0160】
【表5】
【0161】
【表6】
【0162】
[実施例5]
[00157]エマルジョンを−17℃の温度で5、6、8または10か月間保持した後、水中油エマルジョンを4℃の温度まで融解させ、エマルジョンの特性を定量的に評価することによって、実施例1および3で調製した水中油エマルジョンの安定性を試験した。
【0163】
[00158]水中油エマルジョン(10mL)を、アイスクリームメーカー(急速凍結)または標準の冷凍庫(緩慢凍結)内の15mLのバイアルに入れ、−17℃で10か月までの間貯蔵した。−17℃で指定期間の経過後に油相の粒径を測定し、以下の表4および5に報告する。粒径は、Malvern Mastersizer Hydro 2000S(Malvern Instruments,Ltd.,Worcestershire,UK)を用いて測定した。水中油エマルジョンの個々のサンプルを指定間隔で冷凍庫から取り出し、融解させ、エマルジョンの粒径および官能品質(ジュースモデル試験を用いる)を決定した。
【0164】
【表7】
【0165】
【表8】
【0166】
[00159]表7および8に示されるように、水中油エマルジョンの粒径は、−17℃で10か月間貯蔵した後でもあまり変化しなかった。
【0167】
[00160]水中油エマルジョンの官能品質は、専門家パネル風味試験によって決定した。簡単に言うと、エマルジョン(32mgのDHA)を8オンスの白ブドウまたはコンコードグレープジュースと混合し、電子レンジで加熱し、専門家パネルを用いて試験した。実施例1および3の製剤は良好な官能品質を有した。
【0168】
[実施例6]
[00161]エマルジョンを−17℃の温度で5週間保持することによって、実施例4の表5で調製された水中油エマルジョンの凍結融解安定性を試験した。毎週、エマルジョンを4℃の温度に融解させて試験した。油相の粒径は、指定回数の凍結融解サイクルの後、Malvern Mastersizer Hydro 2000S(Malvern Instruments,Ltd.,Worcestershire,UK)を用いて測定し、以下の表9に報告される。データは
図1にグラフで表示される。
【0169】
【表9】
【0170】
[00162]表9に示されるように、実施例4の表5の水中油エマルジョンは、粒径が変化することなく5回の凍結融解サイクルを通過した。
【0171】
[実施例7]
[00163]エマルジョンを−17℃の温度で5週間保持することによって、実施例4の表4および6で調製された水中油エマルジョンの凍結融解安定性を試験した。安定性試験のために、毎週1回、凍結水中油エマルジョンを4℃の温度に一晩融解させ、試験し、再凍結させた。
【0172】
[00164]「飲料−リング」試験を用いて水中油エマルジョンを試験した。簡単に言うと、540gの水、0.3gのソルビン酸カリウムおよび60gのスクロースをビーカーに添加し、2分間混合した。クエン酸を添加して、溶液のpHを4.0に調整した。同量の試験エマルジョンを混合しながらビーカーに添加した。次に、混合物を2つのBostonガラス丸ビン内に注いだ。一方を水平に置き、他方を鉛直に置いた。ビンを室温で10日間監視した。ガラスビン内の溶液を穏やかにあけて、ビンの内部において溶液の上部の目に見えるリングを調査することによって、リングを確認した。リングが形成されなければ、エマルジョンはリング試験に合格した。油相の粒径の測定およびリング試験は、指定回数の凍結融解サイクルの後に実施し、以下の表10および11に報告される。
【0173】
【表10】
【0174】
【表11】
【0175】
[00165]表10および11に示されるように、実施例4の表4および6の製剤は一貫した粒径を有し、数回の凍結融解サイクルの後にリング試験に合格した。
【0176】
[実施例8]
[6か月エマルジョンの感覚スコア]
[00166]記述的分析(DA)試験を実行して、以下のように本発明に従って製造されたエマルジョンについて6か月にわたる感覚スコアを得た。それぞれの調製物について、各性質の強度を0〜15点(0=なし、15=非常に強い)の強度スケールで評定した。詳細な芳香および香味分析において訓練を受け、経験を積んだMartek DAパネリストが、コンコードグレープジュースを評価した。評価した組成物は次の通りであった。
【0177】
[00167]2つの異なるデンプン供給業者(Cargill starch−「CS」(EmulTru(商標)12674)およびNational Starch & Chemical−「NS」)および1つの変性アカシアガム供給業者(TICAMULSION(登録商標)A−2010Powder(TIC Gum−「MGA」))から得られたデンプンと、−20℃の冷蔵室温度とを用いてエマルジョンを調製した。全部で3つのエマルジョンを以下のように調製した:
− CS−20:Cargill Starchを乳化剤として使用、
− MGA−20:TIC Gum変性アカシアガムを乳化剤として使用、そして
− NS−20C:National Starch & Chemicalからの変性食物デンプンを乳化剤として使用。
スコア2が最高の合格スコアであり、エマルジョンはどれも6か月の評価期間にわたって2よりも高い感覚スコアを受けなかった。
【0178】
[00168]表4のように上記で調製されたCS−20、MGA−20およびNS−20Cエマルジョンを、32mgDHA/250gジュースでWelchのコンコードグレープジュースに投与した。投与されたグレープジュースを、予熱温度250°Fおよび充填温度185°FでmicroThermicsにより処理した。処理済グレープジュースをPETボトルに充填し、冷却し、室温で貯蔵した。以下のサンプルを試験した:
(1)対照1は、上記と同じ製剤で調製されたが、DHA(商標)−S油を高オレイン酸ヒマワリ油(HOSO)で置き換えたエマルジョンが投与されたグレープジュースを含有する、
(2)対照2は、エマルジョンを添加せずにmicroThermicsで処理されたグレープジュースを含有する、
(3)サンプル1は、CS−20Cエマルジョンが投与され、microThermicsで処理されたグレープジュースを含有する、
(4)サンプル2は、NS−20Cエマルジョンが投与され、MicroThermicsで処理されたグレープジュースを含有する、
(5)サンプル3は、NS−20Cエマルジョンが投与され、microThermicsで処理されたグレープジュースを含有する。
【0179】
[00169](a)32.2℃で16週間のサンプルの貯蔵(あらゆる芳香族化合物の発生を促進)と、(b)室温で3か月間のサンプルの貯蔵との2つの条件下で、ジュースの魚臭い/ペンキのような芳香族化合物の存在についてエマルジョンを評価した。上記のように、感覚スペクトルDA(記述的分析)の感覚スコアは、スペクトル15点強度スケール(0=なしおよび15=強い強度)である。32.2℃で促進(貯蔵)されたサンプル(16週の最後)、または室温で貯蔵したサンプル(3か月の最後)はどれも2よりも高い強度スケールスコアを有さなかった。
【0180】
[実施例9]
[対照との違いによる(Different−From−Control)(DFC)試験]
[00170]対照との違いによる(DFC)試験を以下のように実行した。DFC試験は、Martekの従業員により行われた。非強化サンプル(対照)と、DHAを強化した他の全ての可変物(variable)とを比較して、これらの間に違いが存在するかどうかを決定するようにパネリストに指示した。またパネリストに、違いの大きさ(もしあれば)を0〜6の7点スケール(違いが見出されない0から、非常に大きな違いが見出された6まで)で判断するようにも指示した。室温で3か月後のサンプルはどれも、DFC試験結果にほとんどまたは全く変化がなかった。
【0181】
[実施例10]
[Q−Naturale(商標)−グリセリンベースの熱安定性エマルジョン]
[00171]Q−Naturale(商標)−グリセリンベースの熱安定性エマルジョンを製造するために、以下の手順を使用した。National Starch Food InnovationからのQ−Naturale(商標)を使用した。高せん断ミキサーを6000rpmで用いて、グリセリンをQ−Naturale(商標)溶液に添加した。乾燥成分(ヘキサメタリン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、無水クエン酸三ナトリウム、ソルビン酸カリウムおよびクエン酸)を高速ミキサーにおいて6000rpmで混合した。Martek DHA(商標)−S油および他の油成分(香味マスキング、ローズマリー抽出物、およびtocoblend)を高せん断ミキサーにおいて6000rpmで混合した。全ての油が乳化され、刃に粘着しなくなるまで調製物を混合した(1分間)。次に、第1段階では10000psiそして第2段階では1000psiを用いてエマルジョンを均質化した。生成物ホースに冷水浴、そしてホモジナイザーに循環水浴を適用することによって生成物を冷却した。生成した最初の10秒間の生成物は廃棄した。30秒の循環時間を与えた後、次の通過生成物を捕集した。8回の通過について生成物を均質化した。得られたエマルジョンをビンに詰め、窒素でパージし、冷凍庫に入れた。最終エマルジョンの組成は表12に示される。
【0182】
【表12】
【0183】
[00172]Martek DHA(商標)−S Rosemary Sunは、ヒマワリレシチンを含有するローズマリー抽出物である。Q−Naturale(商標)は、キラヤの木から得られる天然油乳化剤であり、National Starch Food Innovationから市販されている。これは、感覚評価においてアラビアガム(アカシアガム)と類似の機能をする分子であり、アラビアガムおよびデンプンと類似の不透明レベルを有するエマルジョンを形成する。しかしながら、より広い範囲のpHおよび温度において安定である。
【0184】
[00173]上記で生成した凍結可能なエミュレーション(emulation)の粒径を、調製後の最初および3か月の貯蔵後に、粒子の均一性および大きさについて試験した。結果は表13に示される。
【0185】
【表13】
【0186】
[00174]エマルジョンは、リング試験を受けた時に合格スコアを得た。予熱150°F/最終加熱200°F/充填温度175°Fで熱充填(Hot Fill)試験を行った。エマルジョンをWelchのグレープジュースに投与した。エマルジョンの投与レベルは、32mgDNA/250gであった。「熱充填試験」の結果として、クリーム状化は見出されなかった。
【0187】
[実施例11]
[プロピレングリコールを有する変性デンプンベースの熱安定性エマルジョンの配合]
[00175]プロピレングリコールを有する変性デンプンベースの熱安定性エマルジョンを表14に示されるように調製した。
【0188】
【表14】
【0189】
[実施例12]
[プロピレングリコール、トリアセチンおよびグリセリンを有する変性デンプンベースの熱安定性エマルジョンの配合]
[00176]プロピレングリコール、トリアセチンおよびグリセリンを有する変性デンプベースの熱安定性エマルジョンを表15に示されるように調製した。
【0190】
【表15】
【0191】
[結論]
[00177]本明細書中に記載される種々の実施形態またはオプションは全て、任意および全てのバリエーションにおいて組み合わせることができる。本発明はそのいくつかの実施形態に関連して特に表示および記載されているが、これらが単なる例として提示されており限定的ではなく、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく形態および詳細の種々の変化がそこに成され得ることは、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明の広さおよび範囲は上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されてはならず、以下の特許請求の範囲およびその均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0192】
[00178]雑誌論文もしくは要約、公開もしくは対応する米国もしくは外国特許出願、発行済みもしくは外国特許、または他のあらゆる文献を含む、本明細書において引用される全ての文献はそれぞれ参照によってその引用文献中で提示される全てのデータ、表、図面、および本文を含む全体が本明細書中に援用される。