特許第5936245号(P5936245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936245
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】レセプタクルコンタクト
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   H01R13/11 K
   H01R13/11 A
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-515911(P2014-515911)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公表番号】特表2014-519695(P2014-519695A)
(43)【公表日】2014年8月14日
(86)【国際出願番号】US2012042006
(87)【国際公開番号】WO2012173961
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年5月21日
(31)【優先権主張番号】61/496,086
(32)【優先日】2011年6月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/490,029
(32)【優先日】2012年6月6日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】399132320
【氏名又は名称】タイコ・エレクトロニクス・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Tyco Electronics Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー、 ジョン マーク
(72)【発明者】
【氏名】モール、チェスター ハーレイ
(72)【発明者】
【氏名】キンゼイ、フォレスト アービング
【審査官】 山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−228555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手コンタクト(32)を内部に受容するためのレセプタクルコンタクト(10)であって、前記レセプタクルコンタクト(10)が接触部(30)を有し、前記接触部(30)は、
複数の側壁(38,40)を有し、前記側壁(38,40)の各々が内部に設けられる開口(50)を有し、
前記側壁(38,40)間に延設された弾性コンタクトアーム(54)を有し、前記弾性コンタクトアーム(54)が固定端(59)と先端(58)とを有し、少なくとも1つの第1の接触領域(62)が前記先端(58)に近接して配置され、
前記弾性コンタクトアーム(54)から延設された突起(72)を有し、前記突起(72)が前記側壁(38,40)の前記開口(50)を貫通し、
前記弾性コンタクトアーム(54)上に設けられた低強度領域(76)を有し、前記低強度領域(76)が前記固定端(59)と前記突起(72)との間に配置され、前記低強度領域(76)が前記低強度領域(76)に近接して配置される第2の接触領域(77)を有し、
それによって、前記突起(72)は、前記相手コンタクト(32)が前記レセプタクルコンタクト(10)に挿入されると前記側壁(38,40)の前記開口(50)の上壁と係合し、前記低強度領域(76)に近接する前記第2の接触領域(77)を前記相手コンタクト(32)と係合するように移動させ、それにより、前記弾性コンタクトアーム(54)と前記相手コンタクト(32)との間に複数の接触領域を提供し、前記弾性コンタクトアーム(54)と前記相手コンタクト(32)との間で安定した信頼できる電気的接続を行うレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項2】
前記弾性コンタクトアーム(54)が、前記低強度領域(76)から前記弾性コンタクトアーム(54)の前記先端(58)まで延設された2つの二股ビーム(70)を有する請求項1に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の接触領域(62)が前記二股ビーム(70)の夫々に設けられている請求項2に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項4】
前記レセプタクルコンタクト(10)が第3の接触領域(60)を有する第2のコンタクトアーム(52)を有し、前記第3の接触領域(60)が前記弾性コンタクトアーム(54)の前記少なくとも1つの第1の接触領域(62)と前記弾性コンタクトアーム(54)の前記低強度領域(76)との間に横方向に配置される請求項3に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項5】
前記第2のコンタクトアーム(52)を支持するために前記第2のコンタクトアーム(52)の先端に近接して支持アーム(64)が設けられる請求項4に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項6】
前記レセプタクルコンタクト(10)が前記側壁(38,40)間に延設された底壁(34)を有し、前記レセプタクルコンタクト(10)の正面に近接する前記底壁(34)上に支持装置(66)が設けられ、前記支持装置(66)が前記第2のコンタクトアーム(52)と連携し、前記第2のコンタクトアーム(52)に印加された力が前記支持装置(66)を介して前記底壁(34)へ伝達されることができるようにする請求項4に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項7】
前記レセプタクルコンタクト(10)が前記側壁(38,40)間に延設された底壁(34)を有し、前記第2のコンタクトアーム(52)の先端(56)に近接する底壁(34)上に過大応力突起(67)が設けられ、前記過大応力突起(67)が前記第2のコンタクトアーム(52)と連携し、前記第2のコンタクトアーム(52)が永久歪みを生じるのを防止する請求項4に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項8】
前記レセプタクルコンタクト(10)が前記側壁(38,40)間に延設された上壁(36)を有し、前記レセプタクルコンタクト(10)の正面に近接する前記上壁(36)上に支持装置(68)が設けられ、前記支持装置(68)が前記弾性コンタクトアーム(54)と連携し、前記弾性コンタクトアーム(54)に印加された力が前記支持装置(68)を介して前記上壁(36)へ伝達されることができるようにする請求項1に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項9】
前記側壁(38,40)間に第2の弾性コンタクトアーム(52)が延設され、前記第2の弾性コンタクトアーム(52)が、固定端と自由端(56)を有し、第3の接触領域(60)を前記第2の弾性コンタクトアーム(52)の前記自由端(56)に近接して配置され、前記第3の接触領域(60)が前記弾性コンタクトアーム(54)の前記少なくとも1つの接触領域(62)と前記弾性コンタクトアーム(54)の前記低強度領域(76)との間に横方向に配置され、それによって、前記相手コンタクト(32)が前記レセプタクルコンタクト(10)に挿入されると前記突起(72)が前記開口(50)の前記上壁と係合し、前記低強度領域(76)に近接する前記第2の接触領域(77)を前記相手コンタクト(32)と係合するように移動させ、それにより、前記弾性コンタクトアーム(54)と第2の弾性コンタクトアーム(52)と、前記相手コンタクト(32)との間に複数の接触領域を提供し、前記弾性コンタクトアーム(54)と第2の弾性コンタクトアーム(52)と、前記相手コンタクト(32)との間に安定した信頼できる電気的接続を提供する請求項1に記載のレセプタクルコンタクト(10)。
【請求項10】
請求項1に記載のレセプタクルコンタクト(10)内に相手コンタクト(32)を挿入する方法であって、
前記弾性コンタクトアーム(52)を前記相手コンタクト(32)と係合させること、
前記弾性コンタクトアーム(54)を非応力位置から移動させること、
前記開口(50)の前記上壁を前記弾性コンタクトアーム(54)の前記突起(72)と係合させて前記弾性コンタクトアーム(54)の前記低強度領域(76)の更なる移動を防止すること、
前記突起(72)が前記開口(50)の前記壁と係合した後、前記弾性コンタクトアーム(54)の前記低強度領域(76)を回りに前記弾性コンタクトアーム(54)の一部を移動させることを備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタクルコンタクトに関し、より具体的には複数の接触領域を備えるレセプタクルコンタクトに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、電気コンタクト又はワイヤコンタクトを用いてワイヤを終端処理している。ワイヤコンタクトは、永久終端部を生成するためのワイヤに対する取付けの強固な機械的手段と、電気接続部を形成するための相手コンタクトへの嵌合手段を必要とする。例えば、ワイヤコンタクトは、ワイヤを終端処理するための圧着端部と、相手コンタクトのための雄型又は雌型の嵌合端部を有する。コンタクトの中には金属ストリップ又はプレめっき金属ストリップから作られているものもあり、これらのコンタクトは打ち抜き工程ののち、適切な形状に折り曲げられる又は曲げ工程を経る。これらのコンタクトは、ピン又はブレード型嵌合端部を有するコンタクトへの嵌合のための略ボックス形状の嵌合端部を有する。ボックス形状の嵌合端部を備えるコンタクトは、コネクタのキャビティに嵌入するような外形サイズ及び形状の要件と、相手コンタクトのピン又はブレードコンタクトを受容して保持するための機械的及び電気的な接続手段を提供するための内部設計を有する。略ボックス形状の嵌合端部を有する現在のコンタクトでは、コンタクト又は対応するビームが相手ピンコンタクトを受容して保持する手段である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
現在のコネクタには幾つかの問題が存在する。既知のコネクタは典型的に最大で2つの領域においてピン又は相手コンタクトと接触して嵌合する。これにより、物理的接触が不十分となる可能性があり、電気的接続の信頼性が低下し、コネクタが接続を減少したり失ったりし易くなる。更に、振動やその他の動き又は運動が接続を失わせる可能性がある。
【0004】
加えて、既知のコネクタの中には、高いスプリング力を有するコンタクトビームを有するものがあり、高いスプリング力は、コンタクトビームによって印加される垂直力を制御する能力を低下させ、コネクタの嵌合力を増加させ、公差感度を増大させる。そのコンタクトビームを相手ピンに露出させ、コンタクトビームを外部要因からの損傷に対して無防備なままにしていることから、その他のコネクタの問題が生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その問題の解決法は、本書に記述したレセプタクルコンタクトによって提供される。本レセプタクルコンタクトは、複数の側壁を備える接触部を有し、各側壁が中に設けられる開口を有する。側壁間には弾性コンタクトアームが延設される。弾性コンタクトアームは、固定端及び先端を有し、少なくとも1つの第1の接触領域が先端に近接して配置されている。突起部が弾性コンタクトアームから延設され、側壁の開口を貫通する。弾性コンタクトアーム上には低強度領域が設けられ、低強度領域は固定端と突起との間に配置される。低強度領域は、第2の接触領域を低強度領域に近接して配置させる。相手コンタクトがレセプタクルコンタクト内に挿入されると突起は側壁の開口の上壁に係合し、低強度領域に近接する第2の接触領域を相手コンタクトと係合するように移動させ、それによって、弾性コンタクトアームと相手コンタクトとの間に複数の接触領域を提供し、弾性コンタクトアームと相手コンタクトとの間に安定且つ確実な電気的接続を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
以下、添付の図面を参照しながら本発明を一例として記述する。
【0007】
図1】本発明のレセプタクルコンタクトの例示的実施形態を横から見た斜視図である。
図2図1のレセプタクルコンタクトの例示的実施形態を横から見た別の斜視図である。
図3図2のレセプタクルコンタクトの接触部の長手方向の中心軸に沿って切断された部分的な縦断面図である。
図4】中間の嵌合位置に相手ピンが示されている、レセプタクルコンタクトの接触部の長手方向の中心軸に沿って切断された図3と同様の部分的な縦断面図である。
図5】相手ピンが接触部に完全に挿入された状態の、レセプタクルコンタクトの接触部の長手方向の中心軸に沿って切断された図3と同様の部分的な縦断面図である。
図6】各スプリングアームの二股ビームを示す接触部を部分的に切り取った図である。
図7図1のレセプタクルコンタクトの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本出願を通して、可能な場合は全て、同様の参照番号を使用して同様の要素を参照する。
【0009】
以下の詳細な記述において、多様な実施形態を完全に理解できるように、多くの具体的な細部を説明する。しかし、本発明の実施形態がそれらの具体的な細部を備えなくても実施される可能性があること、本発明の実施形態が描写された実施形態に限られないこと、及び本発明の実施形態が多様な他の実施形態において実施される可能性があることは、当業者によって理解される。他の例において、周知の方法、手順、及びコンポーネントは詳細には記述されていない。
【0010】
更に、本発明の実施形態を理解するのに有用な方法で実行される複数の個別のステップとして、様々な工程が記述される。しかし、記述の順序は、それらの工程が提示された順序で行われる必要があるということ、ましてやそれらの工程が順序に依存するということを示唆するものと解釈されるべきではない。更に、「一実施形態において」という表現を繰り返し使用する場合、同一の実施形態に言及している場合もあるが、必ずしも同一の実施形態に言及しているとは限らない。最後に、本出願において使用される「備える(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」などは、特に指示しない限り同義であるものとする。
【0011】
本開示は、レセプタクルコンタクトと、そのレセプタクルコンタクトと相手ピンコンタクトを機械的且つ電気的に係合する方法とに関する。
【0012】
図1及び図2の例示的実施形態は、嵌合部20と、圧着部22と、遷移部又は遷移領域24とを含むレセプタクルコンタクト10の斜視図を示す。レセプタクルコンタクト10の全体は打ち抜き加工された金属板から形成され、図1及び図2に示す構成が打ち抜き加工され、曲げ加工又は屈曲される。
【0013】
図示の例示的実施形態において、圧着部22は、後部絶縁体部材26と、導電体部材28とを有する。絶縁体部材26及び導電体部材28は、夫々、既知の方法でワイヤの絶縁体及び導電体と係合する。圧着接続部が示されているが、圧着部22は、圧接技術など、限定はしないがその他の既知の技術を用いて各ワイヤに接続してもよい。遷移部24は、嵌合部20と圧着部22との間に延設される。
【0014】
嵌合部20は、各相手コンタクト又は相手ピンコンタクト32(図4及び図5)を受け入れるためのボックス形状の接触部30を含む。ボックス形状の接触部30は、底壁34、上壁36、及び側壁38,40を有する。図1及び図2に最もよく示されているように、上壁36は、上壁36から外方へ突出した方向付け及び/又はロック機能部又はロック突起42を有する。ロック突起42は、ハウジングのキャビティ(図示せず)と連携してハウジングの所定の位置にレセプタクルコンタクト10を維持するような寸法を有する。ロック突起42は、ハウジングと連携してハウジング内においてレセプタクルコンタクト10の主要保持部となる。ロック突起42は極性付与手段[1]としても機能する。レセプタクルコンタクト10が挿入されるべきハウジングが、係止突起42が配置されるべき対応キャビティを有する場合、レセプタクルコンタクト10はハウジングに不適切に挿入されることはない。
【0015】
側壁38は、底壁34と上壁36との間に延設され、底壁34と上壁36に一体的に取り付けられている。側壁40は、図1に最もよく示されているように、底壁34から延設され、上壁36に近接して配置される。側壁40の一部44は、ロック突起42の形状に近似するように構成されることによって、接触部30の側壁40が所定の位置に折り曲げられるとロック突起42の側面になる。折り返しフラップ46は、図5に最もよく示されているように、側壁40の一部44から延設し、ロック突起42を更に強化し、且つ、不要な材料がロック突起42の開口を通って接触部30に侵入することを防止する。図面に示すように、側壁40の自由端と上壁36の自由端は互いに近接して配置され、シーム48を形成する。
【0016】
各側壁38,40は、各側壁38,40を貫通する開口50を有する。図示の例示的実施形態では、開口50は、ロック突起42と近接して一直線上に配置されるが、本発明の範囲から逸脱することなくその他の構成を用いてもよい。
【0017】
図3乃至図5を参照すると、単一のレセプタクルコンタクト10は、第1の弾性コンタクトアームすなわちスプリングアーム52及び第2の弾性コンタクトアームすなわちスプリングアーム54を有し、夫々底壁34と上壁36から一体的に形成される。弾性コンタクトアーム又はスプリングアーム52,54は側壁38,40間に延設される。弾性コンタクトアーム52,54は夫々固定端59から接触部30内へ約180度折り曲げられる。2つの弾性コンタクトアーム52,54の一部は互いに向かって延設される。弾性コンタクトアーム52,54の自由端すなわち先端56,58は、それらに近接して設けられる夫々移動自在な接触領域60,62を有する。図示の実施形態では、接触領域は丸みを帯びており、横方向にずらされているが、比較的互いに近接しているので、小さなコンタクトピンが挿入されても確実で信頼できる機械的且つ電気的な接続が保証される。図3に示す例示的実施形態では、先端56,58は、ずらされているが、接触部30の固定端59から後方にほぼ半分だけ接触部30の内部へ延設されている。しかし、本発明の範囲から逸脱することなく他の長さの弾性コンタクトアーム52,54を組み込んでもよく、それによって、異なる長さの相手コンタクトピン32を収容するように接触領域を配置することができる。少なくとも接触領域60,62では、弾性コンタクトアーム52,54は、金又は錫の表層などのめっき又はメタライズ層を備えることが好ましく、それによって、挿入されたコンタクトピンとの電気的な接続を向上する。
【0018】
図3を参照すると、スプリングアーム52は、それに近接して配置される支持アームすなわちバックアップスプリング64を有する。支持アーム64は底壁34から形成される。支持アーム64は、接触部30の内部へ屈曲されており、図4に示すように、相手コンタクトピン52の挿入とともにスプリングアーム52が下方に移動されるとスプリングアーム52の先端56に近接してスプリングアーム52を支持する。しかし、支持アーム64は、所望の支持部に応じてその他の箇所でスプリングアーム52と接触又は係合してもよい。スプリングアーム52が支持アーム64上に適切に載ることが保証されるように、支持アーム64はその前端が面取りされてもよい。支持アーム64は、スプリングアーム52と連携して、相手コンタクト32の挿入とともに更なる接触力を生じる。支持アーム64によって提供される更なる接触力によって、スプリングアーム52は、同一のスプリングの移動距離に対して実質的により高い接触力を印加することができる。
【0019】
図3乃至図5に最もよく示されるように、底壁34上には支持装置66が設けられてもよい。支持装置66は、180度の折れ目に近接し且つそこから離間して設けられる。スプリングアーム52は、支持アーム66と連携し、相手ピンの挿入中にスプリングアーム52に印加される力を支持装置66を介して底壁34に伝達させる。支持装置66の形状及び間隔はスプリングアーム52と接触部30の構造に応じて変えることができる。
【0020】
また、底壁34上には過大応力突起67が設けられてもよい。過大応力突起67は、支持装置66とスプリングアーム52の先端56との間に設けられる。過大応力突起67は、相手ピンコンタクト32がレセプタクルコンタクト10に挿入される時にスプリングアーム52と連携するために設けられる。スプリングアーム52が底壁34に向かって撓むと、過大応力突起67はスプリングアーム52と係合し、スプリングアーム52の底壁34へ向かう更なる移動を防止し、それによってスプリングアーム52が永久歪みを生じることを防止するようにしてもよい。過大応力突起[2]67の位置及びサイズは、スプリングアーム52が永久歪みを生じるのに必要な撓み量に直接関連させてもよい。
【0021】
一実施形態において、底壁34は、支持アーム64を有し、過大応力突起67を有さない。他の実施形態では、底壁34は過大応力突起67を有するが、支持アーム64を有さない。他の実施形態では、底壁34は過大応力突起67と支持アーム64の両方を有する。
【0022】
上壁36上には支持装置すなわちデテント(節度機構)68が設けられてもよい。支持装置68は、スプリングアーム54の180度の屈曲部に近接し且つそこから離間して設けられる。スプリングアーム54は、支持装置68と連携し、相手ピンの挿入中にスプリングアーム54に印加される力を上壁36に支持装置68を介して伝達させる。180度の屈曲部は力を発生せず又は本質的に発生せず、従って180度の屈曲部では応力が発生しない。支持装置68の形状及び間隔はスプリングアーム54と接触部30の構造に応じて変えることができる。
【0023】
上述したように、スプリングアーム54は、その先端58に近接して設けられる接触領域62を有する。図示の実施形態では、図6及び図7に最もよく示されているように、スプリングアーム54は、先端58に近接する2つの二股ビーム70を有する。各二股ビーム70は、低強度部76から先端58に延設され、先端58上に位置する接触領域62を有する。各ビーム70は、以下でより完全に記述するように、ビーム70から側壁38,40の開口50内に延設される突起72を有する。非二股片持ちビーム74は、その一端が二股ビーム70に、他端がスプリングアーム54の180度の屈曲部に一体的に取り付けられている。非二股片持ちビーム74と二股ビーム70との間に相互接続部は、非二股片持ちビーム74よりも強度の低い領域76となるように構成され、それによって、以下により完全に記述するように、弾性コンタクトアーム54上に設けられた低強度領域76が枢動領域として機能することを可能とし、二股片持ちビーム70が低強度領域76を中心に回動し、且つ非二股片持ちビーム74に対して移動することを可能にする。低強度領域76は、弾性コンタクトアーム54上に設けられ、固定端59と突起72の間に配置される。二股ビーム70は、比較的頑丈な非二股ビームの片持ちビーム74よりも容易に変位する。第2の接触領域77は、低強度領域76の箇所又は低強度領域76に近接して設けられる。図5に示すように、接触領域77は、相手コンタクトピン32の挿入路に沿って接触領域62に対して横方向にずれている。
【0024】
図3は、相手コンタクトピンがレセプタクルコンタクト10に挿入される前のレセプタクルコンタクト10を例示する。この位置では、弾性コンタクトアーム52,54は非応力位置にある。図4は、中間嵌合位置にある相手ピンコンタクト32を例示し、図5はレセプタクルコンタクト10の接触部30内に完全に挿入された相手ピンコンタクト32を例示する。弾性コンタクトアーム52の接触領域60は、弾性コンタクトアーム54の接触領域62と弾性コンタクトアーム54の接触領域77との間に横方向に配置される。
【0025】
図4に示すように、相手ピンコンタクト32が接触部30に挿入されると、相手ピンコンタクト32はスプリングアーム52の接触領域60に係合する。ピンコンタクト32の挿入を続けると、スプリングアーム52と支持アーム64が生じるスプリング力によって、相手ピンコンタクト32は、スプリングアーム54の接触領域62と強制的に係合し、それによって、ピンコンタクト32を、スプリングアーム52上の接触領域60とスプリングアーム54の接触領域62と同時に電気的且つ機械的に係合するように配置する。或いは、相手ピンコンタクト32がずれた状態で挿入された場合又は相手ピンコンタクト32が曲がっている場合、相手ピンコンタクト32はまずスプリングアーム54の接触領域62と係合してもよい。この例では、ピンコンタクト32の挿入を続けると、スプリングアーム54が生じるスプリング力によって、相手ピンコンタクト32は、スプリングアーム52の接触領域60と強制的に係合し、それによって、ピンコンタクト32を接触領域60,62と電気的且つ機械的に係合するように配置する。
【0026】
ピンコンタクト32の挿入を図5に示す位置まで続けると、スプリングアーム54は上壁36に向かって移動させられる。このとき、スプリングアーム54の二股ビーム70の突起72が開口50の上壁と係合するように移動する。これにより、突起72と接触領域77が上壁36の方へ更に移動することが防止され、接触領域77が固定された接触領域になるか、又は固定された接触領域として機能する。相手ピンコンタクト32の挿入を続けると、スプリングアーム52と支持アーム64のスプリング力がピンコンタクトに上方に向かう力を印加し続ける。接触領域77は更に移動することはできないので、この力の印加によって、接触領域77と、非二股片持ちビーム74と二股ビーム70との間の低強度領域76とが、枢動領域として機能させられる。その結果、コンタクトピン32の挿入を続けると、接触領域62は、突起72によって所定の位置に維持された低強度領域76及び接触領域77に対して移動することができる。これは、接触領域77と接触領域62に近接した領域が全てコンタクトピン32の表面と電気的且つ機械的に係合するまで続けられる。接触領域77と接触領域62は、スプリングアーム54と相手ピン32との間に少なくとも3つの接触領域を提供する。図示の実施形態では、低強度領域76と接触領域77は僅かにずれているが、他の実施形態では低強度領域76と接触領域77は重なってもよい。
【0027】
ピンコンタクト32が接触領域62と接触領域77の両方と係合した状態では、スプリングアーム54の更なる移動は制限される。従って、相手ピンコンタクト32が挿入される時に必要な弾性コンタクトアーム52,54の更なる変位は、スプリングアーム52と支持アーム64によって促進される。
【0028】
相手ピンコンタクト32の挿入中、相手ピンコンタクト32は、スプリングアーム54の低強度領域76と接触領域77に接触し、「持ち上げる」又は移動させる力を提供する。接触領域77がスプリングアーム54の固定端から離れ、接触領域62がスプリングアーム54の先端58に近接して配置されているので、スプリングアーム54を移動させるのに必要な垂直力が減少される。嵌合力又はスプリングアーム54を撓ませるのに必要な嵌合力や力は、屈曲部から各接触領域までの距離又は長さの三次関数である。挿入を続け、スプリングアーム54の持ち上げがほぼ完了すると、相手ピンコンタクト32が接触領域62に接触する。スプリングアーム54が低強度領域76及び接触領域77によってほぼ最大限撓ませられる又は「持ち上げられる」と、接触領域62は、低い嵌合力と浅い嵌合角度にて相手ピンコンタクト32と係合し、それによって、接触領域62は、接触領域62とそのめっきに対する摩耗を最小限にして相手ピンコンタクト32と電気的に接触させることができる。
【0029】
完全に挿入された位置では、接触領域60,62と接触領域77は全て相手ピンコンタクト32と電気的且つ機械的に接触した状態になる。複数の接触領域によって、レセプタクルコンタクト10は、より高い電流レベル、限定はしないが、15乃至20又はそれ以上のアンペアが必要な用途において使用することができるようになる。
【0030】
図5に最もよく示されているように、接触領域60、接触領域77、及び接触領域62は互いに対して横方向に離間しており、ピンコンタクト32とレセプタクルコンタクト10との接続を大きい振動が発生する可能性のある環境で安定させることができる。挿入位置では、接触領域77と接触領域62は、相手コンタクト32が載ることができる平らなパッドを形成し、それによって、振動の発生時に相手コンタクト32が適切に配置された状態が維持される。
【0031】
更に、接触領域77、接触領域60、及び接触領域62が互いに横方向にずれているので、相手ピンコンタクト32が曲がっているためにピンコンタクト32が特定の領域と係合しない場合でも、レセプタクルコンタクト10は複数の接触領域を提供する。更に、複数の接触領域によって、相手ピンコンタクト32は捻じれたり位置ずれを生じたりしにくくなる。
【0032】
一実施形態において、弾性コンタクトアーム52,54は、スプリングアーム54の全接触領域が、スプリングアーム52が生じる力に抵抗するために等しい反対の力を生じるように構成される。しかし、弾性コンタクトアーム52,54及び支持アーム64の構成を変え、それに関連して接触領域が異なる力を有することができるようにしてもよい。特に、接触領域60,62及び接触領域77の配置によって各接触領域によって印加される力を変えることができる。
【0033】
接触領域77及び接触領域62が相手ピンコンタクト32の挿入路に対して横方向にずれているので、特定の領域における相手ピンコンタクト32上でのめっきの摩耗は、異なる領域に分散されるので、最小限になる。
【0034】
図1乃至7に示すように、単一のレセプタクルコンタクト10は接触部30を提供するように形成される。多くの先行技術のコンタクトにおいて、ボックス型コンタクトは、相手ピンコンタクトの挿入に関連する力がボックス型コンタクトを変形させて広げるように機能するので、ボックス型コンタクトの一体性を維持するためにボックス型コンタクトを覆うように折り曲げられた更なる材料を有する必要がある。或いは、先行技術のボックス型コンタクトはボックス型コンタクトの一体性を維持するようにシームが溶接されている。これらの各解決策は、更なる材料が必要であり且つ/又は製造プロセスにおいて更なるステップが必要であるため、コストが高い。対照的に、スプリングアーム54の突起72が側壁38,40の開口50と連携することによって、更なる材料を必要せず、また更なる製造ステップを必要とすることなく、同じ機能が実行される。スプリングアーム54が移動すると、上述したように、突起72が開口50の壁と係合する。このとき、開口から側壁38,40全体に力が伝達される。上壁36には力が伝達されない。側壁内の力は側壁の横軸に沿って作用する。その結果、シームを分離したり広げたりするように働く力はシームに伝達されない。従って、シームは、更なる材料や溶接など、どのような補強も必要としない。
【0035】
弾性コンタクトアーム52,54の構成及び複数の接触領域の使用によって、相手コンタクトピン32の嵌合中及びレセプタクルコンタクト10からの嵌合解除中の垂直力をより小さいものにすることができる。これにより、小さな嵌合又は垂直力によってめっきの摩耗がより少なくなるので、コンタクトピン32及びレセプタクルコンタクト10を、幾多のサイクルに亘って耐久性の高いものにすることができる。また、接触領域の数によって高電流レベルに関連する過剰な熱を分散させることが可能になり、それによってコンタクトの凸凹の溶着が防止されるので、接触領域の数によって、レセプタクルコンタクト10をより高い電流レベルで使用することが可能になる。
【0036】
上記は相手ピンコンタクトに関して示され記述されているが、本発明はこれに限られず、レセプタクルコンタクト10内に挿入可能なあらゆる相手電気コンタクトの構成、例えば、タブ、ワイヤ、プラグ、又はその他の電気コンタクト装置を含むことができる。
【0037】
本明細書は好適な実施形態に言及しているが、当業者には当然のこととして、請求項によって定義される特許を受けることができる範囲から逸脱することなく、様々な変更及び修正が可能であり、本発明の要素の代わりにその等価物を用いることができる。従って、特許を受けることができる範囲は、想定される最良の形態として開示された特定の実施形態に制限されるのではなく、その他の実施形態が本発明の請求項の文字通りの表現と異ならない構造的要素を有する場合、又はその他の実施形態が本発明の請求項の文字通りの表現と実質的な違いのない等価の構造的要素を含む場合、その実施形態は請求の範囲内にあることが意図されているものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7