特許第5936248号(P5936248)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5936248
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ドア用ヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05D 7/081 20060101AFI20160609BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20160609BHJP
   E05D 7/10 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   E05D7/081
   E06B7/28 B
   E05D7/10
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-228596(P2015-228596)
(22)【出願日】2015年11月24日
【審査請求日】2015年12月8日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508113745
【氏名又は名称】エイブル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】特許業務法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎原 明義
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開平8−105265(JP,A)
【文献】 実開昭63−48863(JP,U)
【文献】 特開昭59−56070(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3013990(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 1/00−9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室の出入り口のドア枠(2)と、該ドア枠(2)で開閉するドア(3)との間に取り付けられるドア用ヒンジ(1)であって、
前記ドア枠(2)に取り付けられる、上方に向けて開口部(5c)を形成した上向き半ケース部(5d)を有する下ヒンジ部(5)と、
前記ドア(3)に取り付けられる、前記上向き半ケース部(5d)の開口部(5c)と向かい合うように、下方に向けて開口部(6c)を形成した下向き半ケース部(6d)を有する上ヒンジ部(6)と、
前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)と、前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)の間に着脱自在に挟まれるスラストベアリング(7)と、を備え、
前記スラストベアリング(7)の下側が前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)内に嵌合し、該スラストベアリング(7)の上側が前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に嵌合
該スラストベアリング(7)により、前記上ヒンジ部(6)の軸方向に作用する荷重を受け、前記下ヒンジ部(5)において該上ヒンジ部(6)が円滑に回動するように構成し
前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)と、前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に配線(C)を挿通させる配線挿通孔(5e、6e)をそれぞれ開けた、ことを特徴とするドア用ヒンジ。
【請求項2】
前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に、前記スラストベアリング(7)の中心孔(7c)に差し込めるように突出軸(6f)を下方に向けて形成した、ことを特徴とする請求項1のドア用ヒンジ。
【請求項3】
前記突出軸(6f)に、配線(C)を挿通させる配線挿通管(6g)を形成した、ことを特徴とする請求項2のドア用ヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に住宅において使用されるドアに用いるヒンジに係り、特に金属製、ミラー付きあるいはガラス製のような重量のあるドアに用いられるドア用ヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な住宅におけるドア51は、図12の正面図と図13の平面図に示すように、ドア枠に平蝶番のようなヒンジ52で開閉自在に取り付けられる。このようなドア51はレバーハンドル53で開閉するようになっている。また、図14の平面図に示すようにピボットヒンジ61のように、ドア51の上下端に取り付けられるヒンジも使用されている。
【0003】
このピボットヒンジについては、例えば特許文献1の特開2008−121342号公報「ピボットヒンジ」に、ドアに固定されるドアブラケットと、ドア枠に固定される枠ブラケットとを有し、前記ドアブラケットの張出部に、内周に環状突部を有する外筒を、その軸方向をドア上下方向に向けた状態で、ドア厚方向を含む面内の一方向に位置調整可能に取り付け、この外筒の内側の環状突部よりもドア外方側に、内周に雌ねじ部を有する内筒を、その軸方向をドア上下方向に向けた状態で、ドア厚方向を含む面内で外筒の位置調整可能方向と直交する方向に位置調整可能かつドア上下方向に移動可能に配して、この内筒と前記外筒の環状突部との間に、内筒をドア外方側へ付勢するばねを配し、外周に雄ねじ部を有するピボット軸を、その先端側で前記内筒にねじ結合させて前記外筒に挿通し、このピボット軸の後端側に、前記外筒の環状突部と係合してピボット軸を抜け止めするナットをねじ結合させるとともに、前記枠ブラケットの張出部に、前記ピボット軸の先端部を回動自在に支持する軸受部を設けたピボットヒンジが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−121342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、最近の室内のドアには、金属製、ミラー付きあるいはガラス製のような重量のあるドアが用いられるようになった。従来の平蝶番のようなヒンジ52又はピボットヒンジ61では、このような重量物を支えられず、ドア51を円滑に開閉させることができないという問題を有していた。
【0006】
従来のドア51であっても、これにガラス製のミラー又はテレビのモニター画面を取り付けると、重量的に同じ素材のドアと比較して重たくなる。例えば、図13の平面図に示すように、ドア51の重心部分(板材の中心部)と、ヒンジ52の回動中心(CL1)とは位置がずれている(d1)。ピボットヒンジ61の場合は図14の平面図に示すように、ドア51の重心部分(板材の中心部)と、ピボットヒンジ61の回動中心(CL2)とは位置が大きくずれている(d2)。このずれにより、ドア51の円滑な開閉を阻害していた。
【0007】
このようなドア51にテレビを取り付けると電源用コード、ケーブルなど配線が必要になる(図示していない)。この配線をドア51から外部へ引き出す。平蝶番のヒンジ52又はピボットヒンジ61ではドア51の開閉の度に、配線が大きく折れ曲がり、最悪の場合は切断するといった問題を有していた。
【0008】
更に、ドア51を閉める際に、閉めるレバーハンドル53がある縦側縁は注意するが、ヒンジ52(ピボットヒンジ61)が取り付けられている縦側縁3aは注意を怠りやすく、指を挟む事故が生じやすい。特に、図13図14に示すように、ドア枠2とドア51との間に大きな隙間Xができると、ここに指を挟みやすいという問題を有していた。
【0009】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、ドアの回動中心点がそのドアの内部に位置するようにヒンジを取り付けることで、重量のあるドアを円滑に開閉させることができるドア用ヒンジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、居室の出入り口のドア枠(2)と、該ドア枠(2)で開閉するドア(3)との間に取り付けられるドア用ヒンジ(1)であって、
前記ドア枠(2)に取り付けられる、上方に向けて開口部(5c)を形成した上向き半ケース部(5d)を有する下ヒンジ部(5)と、
前記ドア(3)に取り付けられる、前記上向き半ケース部(5d)の開口部(5c)と向かい合うように、下方に向けて開口部(6c)を形成した下向き半ケース部(6d)を有する上ヒンジ部(6)と、
前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)と、前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)の間に着脱自在に挟まれるスラストベアリング(7)と、を備え、
前記スラストベアリング(7)の下側が前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)内に嵌合し、該スラストベアリング(7)の上側が前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に嵌合
該スラストベアリング(7)により、前記上ヒンジ部(6)の軸方向に作用する荷重を受け、前記下ヒンジ部(5)において該上ヒンジ部(6)が円滑に回動するように構成し
前記下ヒンジ部(5)の上向き半ケース部(5d)と、前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に配線(C)を挿通させる配線挿通孔(5e、6e)をそれぞれ開けた、ことを特徴とする
【0011】
前記上ヒンジ部(6)の下向き半ケース部(6d)に、前記スラストベアリング(7)の中心孔(7c)に差し込めるように突出軸(6f)を下方に向けて形成することができる。
前記突出軸(6f)に、配線(C)を挿通させる配線挿通管(6g)を形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
上記構成のドア用ヒンジ(1)では、重量のあるドア(3)であっても、その回動中心点(CL)がドア(3)の内部になるようにドア用ヒンジ(1)が支持することで、このドア(3)を円滑に開閉させることができる。更に、このドア用ヒンジ(1)にはスラストベアリング(7)を用いたので、上ヒンジ部(6)の軸方向に作用する荷重を受けることで、この上ヒンジ部(6)が下ヒンジ部(5)において円滑に回動することにより、重たいドア(3)であっても円滑に開閉させることができる。
ドア(3)の回動中心点(CL)と、ドア用ヒンジ(1)の回動中心点(CL)が同一線上にあるため、ドア(3)の縦側縁(3a)を横断面形状で半円形状にすれば、ドア(3)をドア枠(2)の縦枠(2a)に近づけても、このドア(3)の開閉に際して、指を挟むといった事故を防止することができる。
【0013】
また、ドア(3)にテレビなどを設けたときは、その電源用コード、ケーブルなど配線(C)をこのドア(3)から引き出す必要がある。ドア(3)の回動中心点(CL)に取り付けられたドア用ヒンジ(1)の配線挿通孔(5e)から配線(C)を、ドア枠(2)側へ引き出すことができるので、ドア(3)の開閉毎に配線(C)が折れ曲がることを防止することができる。
【0014】
スラストベアリング(7)は、上輪(外輪)(7a)と下輪(内輪)(7b)の間において球、コロなどの転動体が保持器により一定の間隔が保たれて転がるようになっている。この上輪(7a)と下輪(7b)の中心孔(7c)に、上ヒンジ部(6)の突出軸(6f)を差し込むことにより、ドア(3)がドア用ヒンジ(1)から外れるおそれを防止することができる。
この突出軸(6f)に配線挿通管(5g)を形成することにより、配線(C)をドア(3)からドア枠(2)側へ、折り曲げることなく引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを示す正面図である。
図2】本発明のドア用ヒンジを分解した状態を示す拡大正面図である。
図3】本発明のドア用ヒンジの各部品を示し、(a)は上ヒンジ受けの拡大底面図、(b)はベアリングの拡大平面図、(c)は下ヒンジ受けの拡大平面図である。
図4】上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟む状態を示す正面図である。
図5】上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟んだ状態を示す正面図である。
図6】本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを開閉する状態を示す平面図である。
図7】実施例1のドア用ヒンジの変形例を示し、(a)は上ヒンジ部の拡大底面図、(b)は下ヒンジ部の拡大平面図である。
図8】実施例1のドア用ヒンジの変形例に配線を挿通させた状態を示す正面図である。
図9】実施例2のドア用ヒンジを示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
図10】実施例2の変形例であり、ドア用ヒンジの突出軸に配線挿通管を形成した状態を示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
図11】実施例2のドアの上側に取り付けられる上側ヒンジをドア枠に取り付ける状態を示す正面図である。
図12】従来のヒンジを取り付けたドアを示す正面図である。
図13】従来の平蝶番を取り付けたドアを開閉する状態を示す平面図である。
図14】従来のピボットヒンジを取り付けたドアを開閉する状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のドア用ヒンジは、ドア枠に取り付けられる下ヒンジ部と、ドアに取り付けられる上ヒンジ部と、この下ヒンジ部の上向き半ケース部と上ヒンジ部の下向き半ケース部の間に着脱自在に挟まれるスラストベアリングとを備えたヒンジである。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを示す正面図である。
実施例1のドア用ヒンジ1は、居室の出入り口のドア枠2と、このドア枠2で開閉するドア3との間に取り付けるヒンジである。本発明のドア用ヒンジ1は、主にドア3の下側を支持するように取り付けられる。ドア3の上側にも上側ヒンジ4が取り付けられる。本発明のドア用ヒンジ1と上側ヒンジ4は、ドア3の縦側縁3aの上下端を挟むように取り付けられる。即ち、両ヒンジ1,4の回動中心部分CLがドア3の縦側縁3aの内部に位置する。そのため、ドア枠2の縦枠2aの縦側縁が平面のときは、このドア3の縦側縁3aは横断面形状を半円形状にする(図6の平面図参照)。
【0018】
<ベアリングを用いたドア用ヒンジの構成>
図2は本発明のドア用ヒンジを分解した状態を示す拡大正面図である。図3は本発明のドア用ヒンジの各部品を示し、(a)は上ヒンジ受けの拡大底面図、(b)はベアリングの拡大平面図、(c)は下ヒンジ受けの拡大平面図である。図4は上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟む状態を示す正面図である。図5は上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟んだ状態を示す正面図である。
実施例1のドア用ヒンジ1は、ドア枠2に取り付けられる下ヒンジ部5とドア3の底部に取り付けられる上ヒンジ部6と、この間に挟まれて両者を回動させるベアリング7とから成るヒンジである。本発明のドア用ヒンジ1は、主に重量のあるドア3を下から支持する構成のヒンジであるので、ベアリングにはスラストベアリング7を用いた。
【0019】
この下ヒンジ部5は、図2図3(c)に示すように、ドア枠2に取り付けるねじ孔5aが開けられた縦板部5bと、この縦板部5bに連結して上方に向けて開口部5cを有する上向き半ケース部5dとから成る部材である。なお、図示例では縦板部5bを設けた状態を示しているが、この形状に限定されず、例えば横板部にすることも可能である。
【0020】
上ヒンジ部6は、図2図3(a)に示すように、ドア3の底部に取り付けられるねじ孔6aが開けられた横板部6bと、この横板部6bの一部に下方に向けて開口部6cを有する下向き半ケース部6dとから成る部材である。下向き半ケース部6dは、上向き半ケース部5dと共に、スラストベアリング7を上下から着脱自在に挟むように嵌合するため、それぞれの内部はスラストベアリング7の外面とほぼ同様な形状にする。例えば浅い円筒形状にすることができる。
【0021】
このように構成された下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dの開口部5cと、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dの開口部6cの間に、スラストベアリング7を挟む。スラストベアリング7は、図2図3(b)に示すように、回転体の軸方向に働く力(スラスト、推力)を受け止める軸受である。このスラストベアリング7には、自動調心ころを用いるスラスト自動調心ころベアリング以外に、ボールを用いるボールスラストベアリング、円筒ローラを用いる円筒ローラスラストベアリングなどの様々な形態のベアリングを用いることができる。本発明ではこれらのスラストベアリング7を自由に交換できるので、ドア3の重量に応じて最適なスラストベアリング7を組み込むことができる。
【0022】
スラストベアリング7の上側(上輪(外輪))7aが上ヒンジ部6に嵌合し、スラストベアリング7の下側(下輪(内輪))7bが下ヒンジ部5に嵌合して、スラストベアリング7により、上ヒンジ部6の軸方向に作用する荷重を受け、下ヒンジ部5において上ヒンジ部6が円滑に回動することができる。
【0023】
図6は本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを開閉する状態を示す平面図である。
本発明のドア用ヒンジ1では、上ヒンジ部6に支えられているドア3をレバーハンドル8を用いて円滑に開閉することができる。しかも、ドア用ヒンジ1は、ドア3の下側から支持する構造になるので、重たいドア3であっても容易に支持することができ、ドア3を円滑に開閉させることができる。
また、図示するように、ドア3の回動中心部分と、ドア用ヒンジ1の回動中心点CLが同一線上にあるため、ドア3の縦側縁3aを横断面形状で半円形状にすれば、ドア3をドア枠2の縦枠2aに近づけると共に、このドア3の開閉に際して、指を挟むといった事故を防止することができる。
【0024】
<ドアの取り付けと取り外し方法>
本発明のドア用ヒンジ1は上述した構成であるため、図1の矢示線1のように、ドア3の上側ヒンジ4をドア枠2の回動用孔31bに差し込む。次に、ドア3を更に上方へ持ち上げ、本発明のドア用ヒンジ1の上ヒンジ部6が、下ヒンジ部5内のスラストベアリング7の上部にきたら、図1の矢示線2のように、ドア3をそのまま下げ、上ヒンジ部6と下ヒンジ部5を嵌合させて取り付けが完了する。
【0025】
外すときは、ドア3を回転中心線方向CLに持ち上げ、上ヒンジ部6が下ヒンジ部5から外れたら、ドア3の下部を傾斜させ、上側ヒンジ4をドア枠2から外せばよい。本発明のドア用ヒンジ1によれば、非常に簡単かつ迅速に取り付け、取り外すことができる。
【0026】
<実施例1の変形例、配線用孔を有するドア用ヒンジの構成>
図7は施例1のドア用ヒンジの変形例を示し、(a)は上ヒンジ部の拡大底面図、(b)は下ヒンジ部の拡大平面図である。図8は実施例1のドア用ヒンジの変形例に配線を挿通させた状態を示す正面図である。
実施例1の変形例のドア用ヒンジ1は、下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dと、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dに配線Cを挿通させる配線挿通孔5e、6eをそれぞれ開けた。例えばドア3にテレビなどを設けたときは、その電源用コード、ケーブルなど配線Cをこのドア3から引き出す必要がある。ドア3の回動中心部分に取り付けられたドア用ヒンジ1の配線挿通孔5e、6eからドア枠2側へ引き出すことができるので、ドア3の開閉毎に配線Cが折れ曲がることを防止することができる。
【実施例2】
【0027】
<実施例2のドア用ヒンジの構成>
図9は実施例2のドア用ヒンジを示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
実施例2のドア用ヒンジ21は、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dに、スラストベアリング7の中心孔7cに差し込めるように突出軸6fを下方に向けて形成したヒンジである。この突出軸6fによりドア3がドア用ヒンジ21(スラストベアリング7)から外れるおそれを防止することができる。下ヒンジ部5は、ドア枠2に取り付けるねじ孔が開けられた縦板部5bと、この縦板部5bに連結して上方に向けて開口部5cを有する上向き半ケース部5dとから成る部材である。
【0028】
スラストベアリング7は、上輪(外輪)7aと下輪(内輪)7bの間において球、コロなどの転動体が保持器により一定の間隔が保たれて転がるようになっている。この上輪7aと下輪7bの中心孔7cに突出軸6fを差し込むことにより、上輪7aと下輪7bの円滑に転がらすことができるので、上ヒンジ部6を下ヒンジ部5においてより安全に回動させることができる。
【0029】
<実施例2の変形例>
図10は実施例2の変形例であり、ドア用ヒンジの突出軸に配線挿通管を形成した状態を示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
この実施例2の変形例のドア用ヒンジ21でも突出軸6fに、その軸方向に配線Cを挿通させる配線挿通管gを形成することができる。上ヒンジ部6の突出軸6fに配線挿通管6gを形成し、下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dに挿通孔5gを開ける。配線挿通管6gに通した配線Cを挿通孔5gまで通して外部へ引き出すことができる。
【実施例3】
【0030】
<ドア上側ヒンジ(配線用ヒンジ)の構成>
図11は実施例2のドアの上側に取り付けられる上側ヒンジをドア枠に取り付ける状態を示す正面図である。
ドア3の上側に取り付けられる上側ヒンジ4は、図示するように、ドア枠2に取り付けられる上ヒンジ受け31と、配線Cを通す挿通円筒部32aを有するドア3の上面に取り付けられるヒンジ突部32とから成るヒンジである。
上ヒンジ受け31はドア枠2に取り付けるねじ孔が開けられた平板部31aと、この平板部31aの中心に回動用孔31bが開けられた部材である。ヒンジ突部32はドア3の上部に取り付けられるねじ孔が開けられた平板部32bと、この平板部32bの一部にドア3の回動中心となる位置に配線Cを通す挿通円筒部32aを上方に向けて形成した部材である。この挿通円筒部32aの中心軸が、上述したドア用ヒンジ1,21の回動中心線CLと一致してドア3を円滑に開閉させるようになっている。
【0031】
上側ヒンジ4は、この挿通円筒部32aから電源用コード、ケーブルなど配線Cをドア枠2側へ引き出すことができる。配線Cは、ドア3の開閉毎に、わずかに捩じられるが、配線Cが折れ曲げられることはない。そこで、従来のように、平蝶番と異なり、配線Cが折れ曲がらないので切断するといった不具合は生じない。
【0032】
なお、本発明は、ドア3の回動中心点CLがそのドア3の内部に位置するようにヒンジ1,21を取り付けることで、重量のあるドア3を円滑に開閉させることができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の重量のあるドア用ヒンジは、居間のドアに限定されず、店舗、オフィス、学校などに取り付けて利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 ドア用ヒンジ
2 ドア枠
3 ドア
5 下ヒンジ部
5c 開口部
5d 上向き半ケース部
5e 配線挿通孔
6 上ヒンジ部
6c 開口部
6d 下向き半ケース部
6e 配線挿通孔
6f 突出軸
6g 配線挿通管
C 配線
【要約】
【課題】ドアの回動中心点がそのドアの内部に位置するようにヒンジを取り付けることで、重量のあるドアを円滑に開閉させる。
【解決手段】ドア枠2に取り付けられる下ヒンジ部5,22と、ドア3に取り付けられる上ヒンジ部6と、下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dと、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dの間に着脱自在に挟まれるスラストベアリング7と、を備え、スラストベアリング7の下側が下ヒンジ部5の上向き半ケース部5d内に嵌合し、スラストベアリング7の上側が上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dに嵌合させ、スラストベアリング7により、上ヒンジ部6の軸方向に作用する荷重を受け、下ヒンジ部5において上ヒンジ部6が円滑に回動するように構成した。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14