【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1は本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを示す正面図である。
実施例1のドア用ヒンジ1は、居室の出入り口のドア枠2と、このドア枠2で開閉するドア3との間に取り付けるヒンジである。本発明のドア用ヒンジ1は、主にドア3の下側を支持するように取り付けられる。ドア3の上側にも上側ヒンジ4が取り付けられる。本発明のドア用ヒンジ1と上側ヒンジ4は、ドア3の縦側縁3aの上下端を挟むように取り付けられる。即ち、両ヒンジ1,4の回動中心部分CLがドア3の縦側縁3aの内部に位置する。そのため、ドア枠2の縦枠2aの縦側縁が平面のときは、このドア3の縦側縁3aは横断面形状を半円形状にする(
図6の平面図参照)。
【0018】
<ベアリングを用いたドア用ヒンジの構成>
図2は本発明のドア用ヒンジを分解した状態を示す拡大正面図である。
図3は本発明のドア用ヒンジの各部品を示し、(a)は上ヒンジ受けの拡大底面図、(b)はベアリングの拡大平面図、(c)は下ヒンジ受けの拡大平面図である。
図4は上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟む状態を示す正面図である。
図5は上ヒンジ受けと下ヒンジ受けとでベアリングを挟んだ状態を示す正面図である。
実施例1のドア用ヒンジ1は、ドア枠2に取り付けられる下ヒンジ部5とドア3の底部に取り付けられる上ヒンジ部6と、この間に挟まれて両者を回動させるベアリング7とから成るヒンジである。本発明のドア用ヒンジ1は、主に重量のあるドア3を下から支持する構成のヒンジであるので、ベアリングにはスラストベアリング7を用いた。
【0019】
この下ヒンジ部5は、
図2と
図3(c)に示すように、ドア枠2に取り付けるねじ孔5aが開けられた縦板部5bと、この縦板部5bに連結して上方に向けて開口部5cを有する上向き半ケース部5dとから成る部材である。なお、図示例では縦板部5bを設けた状態を示しているが、この形状に限定されず、例えば横板部にすることも可能である。
【0020】
上ヒンジ部6は、
図2と
図3(a)に示すように、ドア3の底部に取り付けられるねじ孔6aが開けられた横板部6bと、この横板部6bの一部に下方に向けて開口部6cを有する下向き半ケース部6dとから成る部材である。下向き半ケース部6dは、上向き半ケース部5dと共に、スラストベアリング7を上下から着脱自在に挟むように嵌合するため、それぞれの内部はスラストベアリング7の外面とほぼ同様な形状にする。例えば浅い円筒形状にすることができる。
【0021】
このように構成された下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dの開口部5cと、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dの開口部6cの間に、スラストベアリング7を挟む。スラストベアリング7は、
図2と
図3(b)に示すように、回転体の軸方向に働く力(スラスト、推力)を受け止める軸受である。このスラストベアリング7には、自動調心ころを用いるスラスト自動調心ころベアリング以外に、ボールを用いるボールスラストベアリング、円筒ローラを用いる円筒ローラスラストベアリングなどの様々な形態のベアリングを用いることができる。本発明ではこれらのスラストベアリング7を自由に交換できるので、ドア3の重量に応じて最適なスラストベアリング7を組み込むことができる。
【0022】
スラストベアリング7の上側(上輪(外輪))7aが上ヒンジ部6に嵌合し、スラストベアリング7の下側(下輪(内輪))7bが下ヒンジ部5に嵌合して、スラストベアリング7により、上ヒンジ部6の軸方向に作用する荷重を受け、下ヒンジ部5において上ヒンジ部6が円滑に回動することができる。
【0023】
図6は本発明のドア用ヒンジを取り付けたドアを開閉する状態を示す平面図である。
本発明のドア用ヒンジ1では、上ヒンジ部6に支えられているドア3をレバーハンドル8を用いて円滑に開閉することができる。しかも、ドア用ヒンジ1は、ドア3の下側から支持する構造になるので、重たいドア3であっても容易に支持することができ、ドア3を円滑に開閉させることができる。
また、図示するように、ドア3の回動中心部分と、ドア用ヒンジ1の回動中心点CLが同一線上にあるため、ドア3の縦側縁3aを横断面形状で半円形状にすれば、ドア3をドア枠2の縦枠2aに近づけると共に、このドア3の開閉に際して、指を挟むといった事故を防止することができる。
【0024】
<ドアの取り付けと取り外し方法>
本発明のドア用ヒンジ1は上述した構成であるため、
図1の矢示線1のように、ドア3の上側ヒンジ4をドア枠2の回動用孔31bに差し込む。次に、ドア3を更に上方へ持ち上げ、本発明のドア用ヒンジ1の上ヒンジ部6が、下ヒンジ部5内のスラストベアリング7の上部にきたら、
図1の矢示線2のように、ドア3をそのまま下げ、上ヒンジ部6と下ヒンジ部5を嵌合させて取り付けが完了する。
【0025】
外すときは、ドア3を回転中心線方向CLに持ち上げ、上ヒンジ部6が下ヒンジ部5から外れたら、ドア3の下部を傾斜させ、上側ヒンジ4をドア枠2から外せばよい。本発明のドア用ヒンジ1によれば、非常に簡単かつ迅速に取り付け、取り外すことができる。
【0026】
<実施例1の変形例、配線用孔を有するドア用ヒンジの構成>
図7は施例1のドア用ヒンジの変形例を示し、(a)は上ヒンジ部の拡大底面図、(b)は下ヒンジ部の拡大平面図である。
図8は実施例1のドア用ヒンジの変形例に配線を挿通させた状態を示す正面図である。
実施例1の変形例のドア用ヒンジ1は、下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dと、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dに配線Cを挿通させる配線挿通孔5e、6eをそれぞれ開けた。例えばドア3にテレビなどを設けたときは、その電源用コード、ケーブルなど配線Cをこのドア3から引き出す必要がある。ドア3の回動中心部分に取り付けられたドア用ヒンジ1の配線挿通孔5e、6eからドア枠2側へ引き出すことができるので、ドア3の開閉毎に配線Cが折れ曲がることを防止することができる。
【実施例2】
【0027】
<実施例2のドア用ヒンジの構成>
図9は実施例2のドア用ヒンジを示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
実施例2のドア用ヒンジ21は、上ヒンジ部6の下向き半ケース部6dに、スラストベアリング7の中心孔7cに差し込めるように突出軸6fを下方に向けて形成したヒンジである。この突出軸6fによりドア3がドア用ヒンジ21(スラストベアリング7)から外れるおそれを防止することができる。下ヒンジ部5は、ドア枠2に取り付けるねじ孔が開けられた縦板部5bと、この縦板部5bに連結して上方に向けて開口部5cを有する上向き半ケース部5dとから成る部材である。
【0028】
スラストベアリング7は、上輪(外輪)7aと下輪(内輪)7bの間において球、コロなどの転動体が保持器により一定の間隔が保たれて転がるようになっている。この上輪7aと下輪7bの中心孔7cに突出軸6fを差し込むことにより、上輪7aと下輪7bの円滑に転がらすことができるので、上ヒンジ部6を下ヒンジ部5においてより安全に回動させることができる。
【0029】
<実施例2の変形例>
図10は実施例2の変形例であり、ドア用ヒンジの突出軸に配線挿通管を形成した状態を示し、(a)は上ヒンジ部と下ヒンジ部とでスラストベアリングを挟む状態を示す正面図、(b)は上ヒンジ部の拡大底面図である。
この実施例2の変形例のドア用ヒンジ21でも突出軸6fに、その軸方向に配線Cを挿通させる配線挿通管
6gを形成することができる。上ヒンジ部6の突出軸6fに配線挿通管6gを形成し、下ヒンジ部5の上向き半ケース部5dに挿通孔5gを開ける。
配線挿通管6gに通した配線Cを
挿通孔5gまで通して外部へ引き出すことができる。
【実施例3】
【0030】
<ドア上側ヒンジ(配線用ヒンジ)の構成>
図11は実施例2のドアの上側に取り付けられる上側ヒンジをドア枠に取り付ける状態を示す正面図である。
ドア3の上側に取り付けられる上側ヒンジ4は、図示するように、ドア枠2に取り付けられる上ヒンジ受け31と、配線Cを通す挿通円筒部32aを有するドア3の上面に取り付けられるヒンジ突部32とから成るヒンジである。
上ヒンジ受け31はドア枠2に取り付けるねじ孔が開けられた平板部31aと、この平板部31aの中心に回動用孔31bが開けられた部材である。ヒンジ突部32はドア3の上部に取り付けられるねじ孔が開けられた平板部32bと、この平板部32bの一部にドア3の回動中心となる位置に配線Cを通す挿通円筒部32aを上方に向けて形成した部材である。この挿通円筒部32aの中心軸が、上述したドア用ヒンジ1,21の回動中心線CLと一致してドア3を円滑に開閉させるようになっている。
【0031】
上側ヒンジ4は、この挿通円筒部32aから電源用コード、ケーブルなど配線Cをドア枠2側へ引き出すことができる。配線Cは、ドア3の開閉毎に、わずかに捩じられるが、配線Cが折れ曲げられることはない。そこで、従来のように、平蝶番と異なり、配線Cが折れ曲がらないので切断するといった不具合は生じない。
【0032】
なお、本発明は、ドア3の回動中心点CLがそのドア3の内部に位置するようにヒンジ1,21を取り付けることで、重量のあるドア3を円滑に開閉させることができれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。