(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936253
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】蓋留め具
(51)【国際特許分類】
B65D 45/00 20060101AFI20160609BHJP
B65D 81/34 20060101ALI20160609BHJP
B65D 77/20 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
B65D45/00
B65D81/34 B
B65D77/20 Q
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-34870(P2012-34870)
(22)【出願日】2012年2月21日
(65)【公開番号】特開2013-169990(P2013-169990A)
(43)【公開日】2013年9月2日
【審査請求日】2015年2月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145552
【氏名又は名称】株式会社曙産業
(73)【特許権者】
【識別番号】000001454
【氏名又は名称】株式会社貝印刃物開発センター
(74)【代理人】
【識別番号】100140394
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 康次
(72)【発明者】
【氏名】大山 剛
【審査官】
谿花 正由輝
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−327001(JP,A)
【文献】
特開2006−046625(JP,A)
【文献】
米国特許第05964368(US,A)
【文献】
実開昭60−157690(JP,U)
【文献】
特開2003−072808(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 45/00
B65D 77/20
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品容器外周のフランジ部を受け入れ可能な開口部と、
前記フランジ部に嵌合可能な断面形状をなし、かつ、前記食品容器を収容可能な中空空間を形成する一対の外縁部と、
前記一対の外縁部の間に設けられ、かつ、該外縁部の変形を促す可撓促進部と、
を備え、かつ、
前記一対の外縁部は薄板状でかつ半円より長い円弧を成し、
前記可撓促進部は、薄板状の円弧をなし、かつ、該円弧は、前記外縁部の円弧を描く半径r1より若干大きな半径r2で描かれた円弧であり、かつ、前記半径r2の寸法は1<r2/r1≦1.3であり、前記可撓促進部の両端にて前記外縁部が前記中空空間側に一旦張り出すように連結され、
前記半径r1とは前記外縁部の内面における半径であり、かつ、前記半径r2とは前記可撓促進部の内面における半径であることを特徴とする食品容器の蓋留め具。
【請求項2】
前記外縁部先端には、前記食品容器を案内するガイド部が形成され、かつ、
前記ガイド部は、前記外縁部先端での円弧の接線方向より外側に向かって延びていることを特徴とする請求項1に記載の蓋留め具。
【請求項3】
前記外縁部は、互いに相補して前記フランジ部に嵌合可能な上側張り出し部と下側張り出し部とをさらに備え、
前記上側張り出し部は、前記中空空間に向かって立設する上壁を有したL字状を成し、
前記下側張り出し部は、前記中空空間に向かって立設するとともに前期上側張り出し部の前記上壁に対向する下壁を有したL字状を成し、かつ、
前記上側張り出し部と前記下側張り出し部とは、互いに鉛直方向に重ならないように前記外縁部外周に沿って互い違いに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の蓋留め具。
【請求項4】
前記蓋留め具の前記外縁部又は前記可撓促進部にメッセージ表示部が形成され、かつ、該メッセージ表示部も前記食品容器の蓋を押さえるように前記中空空間側に突出することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蓋留め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ入りスナック菓子や即席カップ麺などの食品の容器の蓋体に対して使用する蓋留め具に関し、より具体的には、一旦、開封された蓋体を容器から離れないよう留め置く器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品加工技術の進歩により、即席麺やスナック菓子とともにこれらを収容する食品容器も既に開発され、流通している。これら公知の食品容器は、通常、上方が開口した円筒状の紙製或いはプラスチック製の容器本体と、この容器本体の開口部を密封する薄厚フィルム状の蓋体とを備えている。そして、容器本体に例えばスナック菓子を収容し、容器本体の上端部に周設されたフランジ部の上面に前記蓋体をヒートシールにより剥離可能に接着している。
【0003】
即席麺を食する場合には、蓋体の一部を剥がしてお湯を注いだ後、所定時間放置するが、このとき、剥がした蓋体の一部は通常、容器から離れてしまうために、何か適当な重しをその蓋体の上に載せたりすることがある。
【0004】
また、カップ入りスナック菓子を食する場合は、通常、蓋体の一部を剥がして部分的に開封し、開口部からスナック菓子を取り出す。なお、摂取者は、スナック菓子が有するカロリ等を意識して、一度に全部を食するとは限らず、所望する分だけ適宜食べて残しておきたいと望む場合もある。このような場合には、蓋体は閉塞性に劣るため、不用意にこぼしてしまうおそれがあり、食品容器を携帯するのに非常に不便であった。さらに、蓋体は密封性にも劣るため、スナック菓子が湿っぽくなり食味が落ちるという問題もあった。
【0005】
次に、これらの課題に関連した従来技術について説明する。即席麺の蓋体向けの重しに関する従来技術には、例えば、特許文献1〜3に重し蓋や抑え蓋が開示されている。特に、特許文献2や3に開示の重し蓋は、設定時間を告知するタイマー装置が設けられたものである。さらに、特許文献4には、プラスチックで成形された薄板に略H字形状の切り込みを入れてなるカップ麺蓋止め具が開示されている。
【0006】
また、カップ入りスナック菓子の蓋体に関しては、特許文献5には、閉塞手段が設けられた蓋体付き容器が開示されている。この閉塞手段は、容器フランジ部に嵌合させる嵌合部を備え、フランジ部の周方向に沿って回転可能に形成されている。
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に開示の重し蓋等の器具は、単に蓋体の上に載せるだけであるため、容器を静置しておく場合はよいが、例えば、台所から食卓に容器を持ち運んだり、容器を携帯したりする場合には重し蓋が落下してしまうおそれがあり、不向きであった。
【0008】
また、特許文献4に開示の蓋止め具は、そのH字形状の切り込みが蓋体の外周沿いの一箇所を局所的に挟みこむだけであるので、剥がれた蓋体を周方向に全体的に止めることはできない。また、この蓋止め具は、ふとした拍子に何かしらの物に接触すると外れやすい構成をなしており、容器の持ち運びや携帯には不向きであるといえる。
【0009】
また、特許文献5に開示の閉塞手段は、容器の周方向に回転可能であり、蓋体の剥がれた部分を周方向に全体的に抑えておける構成である。しかしながら、この閉塞手段はもともと食品容器に予め備え付けられるものであり、寸法が異なる他の食品容器等に使い回すことを念頭に設計されていないため汎用性に欠けるとともに、一度きりの使い捨てになるため環境調和にも向かないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実登3122871号公報
【特許文献2】実登3041199号公報
【特許文献3】実登3043225号公報
【特許文献4】特開2001−019056号公報
【特許文献5】特許第4700203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、この種の従来技術が有する欠点を排除した蓋留め具を提供することを目的とする。すなわち、本発明は、食品容器から剥がれた蓋体を周方向全体に確実に留められ、かつ食品容器の携帯も可能にする蓋留め具を提供することである。
【0012】
また、本発明の別の目的は、様々な食品容器に適用可能な汎用性の高い蓋留め具を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、密閉性の高い蓋留め具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、鋭意検討した末、蓋体を留めるために食品容器外周に一般に形成されるフランジ部を利用するとともに、様々な食品容器の外径に対応しやすい構成要素を取り入れた構造にすれば、剥がれ部分を含めた蓋体全体を確実に留められ、食品容器の携帯も可能にし、かつ、種々の食品容器に適用可能な汎用性の高い蓋留め具を提供することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、少なくとも次の構成・特徴を採用するものである。
(態様1)
食品容器外周のフランジ部を受け入れ可能な開口部と、
前記フランジ部に嵌合可能な断面形状をなし、かつ、前記食品容器を収容可能な中空空間を形成する一対の外縁部と、
前記一対の外縁部の間に設けられ、かつ、該外縁部の変形を促す可撓促進部と、
を備え、かつ、
前記一対の外縁部は薄板状でかつ半円より長い円弧を成し、
前記可撓促進部は、薄板状の円弧をなし、かつ、該円弧は、前記外縁部の円弧を描く半径r
1より若干大きな半径r
2で描かれた円弧であり、かつ、前記半径r
2の寸法は1<r
2/r
1≦1.3であり、前記可撓促進部の両端にて前記外縁部が前記中空空間側に一旦張り出すように連結され
、
前記半径r1とは前記外縁部の内面における半径であり、かつ、前記半径r2とは前記可撓促進部の内面における半径であることを特徴とする食品容器の蓋留め具。
(態様2)
前記外縁部先端には、前記食品容器を案内するガイド部が形成され、かつ、
前記ガイド部は、前記外縁部先端での円弧の接線方向より外側に向かって延びていることを特徴とする態様1に記載の蓋留め具。
(態様3)
前記外縁部は、互いに相補して前記フランジ部に嵌合可能な上側張り出し部と下側張り出し部とをさらに備え、
前記上側張り出し部は、前記中空空間に向かって立設する上壁を有したL字状を成し、
前記下側張り出し部は、前記中空空間に向かって立設するとともに前期上側張り出し部の前記上壁に対向する下壁を有したL字状を成し、かつ、
前記上側張り出し部と前記下側張り出し部とは、互いに鉛直方向に重ならないように前記外縁部外周に沿って互い違いに設けられていることを特徴とする態様1又は2に記載の蓋留め具。
(態様4)
前記蓋留め具の前記外縁部又は前記可撓促進部にメッセージ表示部が形成され、かつ、該メッセージ表示部も前記食品容器の蓋を押さえるように前記中空空間側に突出することを特徴とする態様1〜3のいずれかに記載の蓋留め具。
【発明の効果】
【0015】
本発明の蓋留め具によれば、以上の構成の開口部と外縁部と可撓促進部とを備えているため、開口部から食品容器のフランジ部を受け入れ、その後にフランジ部とその上の蓋体とを外縁部に嵌合させて、蓋体(剥がれた部分を含む。)を留め置くことができる。
【0016】
また、本発明の別の態様の蓋留め具によれば、開口部を介さず、外縁部の底面から食品容器のフランジ部を蓋留め具の外縁部の内側に嵌め込むことが可能である。
【0017】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、開口部に近い外縁部先端には、食品容器を案内するガイド部が形成されているために、食品容器のフランジ部を蓋留め具の外縁部に案内し易くすることができる。
【0018】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、外縁部の外形は円弧状若しくは馬蹄状を成すために、一般に円筒形を成す食品容器に対して、より適合したものとなる。
【0019】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、外縁部の断面は、中空空間に開口したコの字状を成すため、蓋留め具の外縁部にて食品容器のフランジ部を確実に嵌合し、上下方向に外れにくくすることが可能になる。加えて、蓋留め具の自重により、食品容器の蓋体を適度に押さえることができ、食品容器の密閉性を高めることができる。
【0020】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、外縁部の断面の一部は中空空間に向かって立設した壁を有したL字状を成し、他部は中空空間に向かって立設するとともに前記一部の前記壁に対向した壁を有したL字状を成すようにしてもよく、これにより、フランジ部と外縁部との確実な嵌合に加え、蓋留め具の原材料費等の生産コストの抑制や軽量化を図ることができる。
【0021】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、可撓促進部は薄板状であり、その両端から外縁部が延びているため、食品容器のサイズが蓋留め具のサイズよりも多少大きくても、可撓促進部により外縁部が食品容器を収容するように外側に変形することができる。従って、様々な食品容器に蓋留め具を適用できるようになり、その汎用性が高まる。しかも、可撓促進部は反りかえる方向に曲げられるため、外縁部が本来の形状に戻ろうとする弾性力を付与するように(つまり板ばねのように)作用する。従って、蓋留め具をこれよりも大きなサイズの食品容器に適用した際には、フランジ部をその外周方向に沿って適度に把持することができるようになる。
【0022】
また、本発明の好適な態様の蓋留め具によれば、蓋留め具にさらにメッセージ表示部が形成されているために、スナック菓子等を食する摂取者には健康面での注意喚起が促され、過度な食べ過ぎの防止につなげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1に係る蓋留め具を示した斜視図である。
【
図2】本発明の実施例1に係る蓋留め具を示した平面図及び断面図である。
【
図3】実施例1の蓋留め具の変形を説明した図である。
【
図4】本発明の実施例2に係る蓋留め具を示した平面図及び斜視図である。
【
図5】本発明の実施例3に係る蓋留め具を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を図面に示す実施の形態に基づき説明するが、本発明は、下記の具体的な
実施形態に何等限定されるものではない。なお、各図において同一又は対応する要素には同一符号を用いる。
【実施例1】
【0025】
(実施例1の蓋留め具の構造・特徴)
図1は、本発明の実施例1に係る蓋留め具1の斜視図を示す。
図1では、図示しないスナック菓子などを収容する食品容器2及びその上面にシールされた蓋体3も併せて示す。実施例1の蓋留め具1は、図示のように、食品容器2外周のフランジ部2fを受け入れ可能な開口部11と、フランジ部2fに嵌合可能な断面形状をなし、かつ、食品容器2を収容可能な中空空間12を形成する外縁部13と、外縁部13の変形を促す可撓促進部14と、を備えたことを特徴とする。
【0026】
図2(a)は、本発明の実施例1に係る蓋留め具1の平面図を示す。この図に示すように、外縁部13の外形は開口部11を有した円弧状若しくは馬蹄状を成すことが分かる。このような構成により、蓋留め具1が食品容器2を収容し、かつ、蓋留め具1の外縁部13が食品容器2のフランジ部2fを嵌合し易いものとなる。なお、外縁部13の円弧は半円より長い形状(言い換えれば、一箇所切欠きのある円)が好ましい。これにより、蓋留め具1は食品容器2のフランジ部2f及び蓋体3をより広範かつ確実に囲繞し、蓋体3の剥がれた部分のめくれをより確実に抑えることが可能になる。
【0027】
さらに、図示のように、外縁部13の先端にそれぞれ、開口部11に向いたガイド部15が形成されることが好ましい。このガイド部15は、例えば、図示のように、外縁部13先端での円弧の接線方向より外側に向かって延びていることがさらに好ましい。これにより、外縁部13内周側への食品容器2のフランジ部2fの案内が容易となる。
【0028】
また、
図2(b)は、
図2(a)のA−A線で破断した蓋留め具1の断面図を示す。この図に示すように、外縁部13の断面13sは、中空空間12に開口したコの字状を成すことが好ましい。このような構成により、蓋留め具1の外縁部13は食品容器2のフランジ部2fに適切に嵌合するようになり、一旦収容したフランジ部2fが上下に抜け出るようなことが無くなる。さらに、外縁部13の自重により蓋体3の剥がれ部分を適切に抑えつけることができる。なお、外縁部13の断面13sは、図示のコの字状が好ましいが、これに限られず、例えば、中空空間12に開口部を有するU字状(図示せず)或いはC字状(図示せず)であっても良い。
【0029】
可撓促進部14は例えば、
図1及び
図2(a)に示すように薄板状の円弧をなし、その両端14e,14eから外縁部13が延びるように連結されていることが好ましい。さらに好ましくは、可撓促進部14の円弧は、
図2(a)に示すように中心点Oを基点として、外縁部13の円弧を描く半径r
1より若干大きな半径r
2で描かれた円弧である。また、図示しないが、可撓促進部14の半径r
2を外縁部13の半径r
1と同一にし、かつ、可撓促進部14(より具体的には、後述の外側張り出し部14h)の肉厚を外縁部13の肉厚より薄くするように形成してもよく、このような態様であっても、可撓促進部14は外縁部13の変形を促すことが可能になる。なお、半径r
2の寸法は1≦r
2/r
1≦1.3になるように設定されていることが好ましい。
【0030】
また、可撓促進部14は、図示のように、外縁部13に連結された両端14e,14eの部分より周方向外側に張り出した外側張り出し部14hが形成されていることが好ましい。この外側張り出し部14hは以上のように構成されているため、指等でつまみ易く、使用中の本発明の蓋留め具1を食品容器2から外す際も便利である。また、この外側張り出し部14hの形成により、本発明の蓋留め具1が食品容器2を収容していても、この間に隙間(ギャップ)が生じるようになるため、後述のように食品容器2が蓋留め具1のサイズと多少異なる場合でも、蓋留め具1が食品容器2に適合し易いものとなる。つまり、この隙間が互いの接触を無くす逃げ領域となるのである。
【0031】
これにより、
図3に示すように、可撓促進部14は、寸法の異なるフランジ部2fに対応した外縁部13の変形を促進するとともに、フランジ部2fへの外縁部13の把持力を高めることができる。具体的には、図示のように、薄板円弧状の可撓促進部14は、外縁部13の内径より大きな外径dを有するフランジ部2fを案内する際は、この両端に連結された外縁部13から力を受け、円弧が反りかえる方向に曲げられる。これにより、外縁部13は若干外側に撓み、フランジ部2fを嵌合及び収容することが可能になる。さらに、外力を受けた可撓促進部14は、板ばねのように作用するため、本来の形状に戻ろうとする弾性力が生み出され、これによりフランジ部2fを適度に把持することも可能になる。
【0032】
なお、
図3の一点鎖線は食品容器2の収容によって変形した状態の蓋留め具1の輪郭を示し、点線は食品容器2のフランジ部2fの輪郭を示す。
【0033】
また、実施例1及び後述の実施例では、可撓促進部14として、若干湾曲した薄板(樹脂製)を採用したが、上述のように外縁部13に連結しその可撓(変形)を促進するものであれば必ずしもこの形状に限定されず、例えば、原材料もゴムその他の弾性体で形成してもよい。
【実施例2】
【0034】
図4に別例(実施例2)の蓋留め具1を示す。より具体的には、
図4の(a)に実施例2の蓋留め具1の平面図を示し、(b)に蓋留め具1の斜視図を示す。この実施例2では、
図4に示すように、外縁部13はさらに上側張り出し部13tと下側張り出し部13dとを備える。この上側張り出し部13tは、これより内側の中空空間12に向かって立設した壁13tw(本明細書では「上壁」とも呼ぶ。)を有したL字状を成すことが好ましい。また、下側張り出し部13dは中空空間12に向かって立設するとともに上側張り出し部13tの壁13twに対向した壁13dw(「下壁」とも呼ぶ。)を有したL字状を成すことが好ましい。
【0035】
実施例2の以上のような外縁部13のL字状断面構成でも、これらが組み合わさると、実施例1の蓋留め具1のコの字状断面13sとほぼ同様に作用し、食品容器2のフランジ部2fを適切かつ確実に嵌合及び収容することができる。さらに、実施例1の構成よりも、必要とされる原材料の分量を削減することができるため、生産コストを抑えることができるといった別のメリットも得られる。
【0036】
なお、
図4に示す例では、可撓促進部14両側のいずれの外縁部13にも、その外周に沿って上側張り出し部13tと下側張り出し部13dとがそれぞれ一つずつ形成されているが、いずれかの張り出し部13t,13dを複数、設けてもよい。
【0037】
また、上側張り出し部13tと下側張り出し部13dとは、
図4に示すように、外縁部13の外周に沿って互い違いに(つまり、お互いに鉛直方向に重ならないように)設けられていることが好ましい。このような構成にすることで、射出成形等で成形した際の成形性が著しく改善するからである。
【0038】
なお、実施例2の蓋留め具1は、外縁部13の構造が上述のように実施例1の場合と異なっている点、及びガイド部15が形成されていない点以外の構成は実施例1と同様であるため、その説明を省略する。
【実施例3】
【0039】
図5の(a)に別例(実施例3)の蓋留め具1の斜視図を示し、(b)に異なる方向から観察した蓋留め具1の斜視図を示す。この実施例3の蓋留め具1は、実施例2と同様に、上側張り出し部13tと下側張り出し部13dとを備える(これらの形状、個数、配置等は実施例2のものとは異なる)。また、実施例1,2と同様に、フランジ部2fを案内するガイド部15を備える。
【0040】
実施例3では、それぞれの外縁部13には複数個の上側張り出し部13tが設けられているが、開口部11の近くに設けられた上側張り出し部13tは掌の形をなし、可撓促進部14の近くに設けられた上側張り出し部13tは袖の形をなしている。これらの要素13tは、実施例2と同様の作用効果を発揮するだけでなく、蓋留め具1全体を可愛らしいデザインにする。
【0041】
実施例3の蓋留め具1を実際に試作し、蓋留め具1の外縁部13の内径とほぼ同一又はこれよりも大きな外径dのフランジ部2fを有した食品容器2を幾つか実際に用意して、嵌合性の確認を行った。その結果、外縁部13の内径が約75mmの蓋留め具1をこの内径より大きな複数の食品容器2(具体的には、その外径dがd=85mmとd=95mm)に使用しても、蓋留め具1の外縁部13は食品容器2のフランジ部2fを適切に囲繞及び嵌合することを確認した。従って、本発明の蓋留め具1は、これより若干寸法の大きい食品容器2についても適用可能であることが判明した。
【0042】
また、実施例3の蓋留め具1は、可撓促進部14と可撓促進部14に隣接した外縁部13の部分には、その上部に薄板状のメッセージ表示部16がさらに設けられている。このメッセージ表示部16は、例えば、図示のように欧文字「STOP!」(又は、図示しない「KEEP」)の各文字を独立に備えるように構成してもよい。このメッセージ表示部16と上述の上側張り出し部13tとの設置により、スナック菓子等を食する摂取者には健康面での注意喚起が促され、過度な食べ過ぎの防止につなげることができる。このメッセージ表示部16は、上述のような文字に限定されず、キャラクター等の絵や図形を表す薄板で構成するようにしてもよい。
【0043】
なお、実施例1〜3の蓋留め具1の原料として、上述の可撓性や弾性力を適切に発揮する材料であれば特に限定されないが、射出成形等による生産性の良さ、安価、軽量などの面から特に樹脂で作られていることが好ましい。
【0044】
また、上述のどの実施例も、食品容器2のフランジ部2fを外縁部13に嵌合する際に蓋留め具1の開口部11から案内してフランジ部2fを挿入しているが、必ずしもこれに限定されない。例えば、図示しないが蓋留め具1の開口部11を極めて小さくしたり、蓋留め具1に開口部11を設けずに両側の外縁部13が連結するようにしたりしてもよい。このような態様においては、食品容器2の蓋体3の上面に対して蓋留め具1を押し当て、食品容器2のフランジ部2f或いは蓋留め具1の外縁部13の下側張り出し部13dを若干変形させて、フランジ部2fを外縁部13内に嵌め込むようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
即席麺やカップ入りスナック菓子の需要は今後も高いものと予想される一方、人々の健康や環境調和への意識もさらに高まっていくものと予想される。本発明の蓋留め具は、食品容器から剥がれた蓋体を周方向全体に確実に留められ、かつ食品容器の携帯も可能にするものである。さらに、本発明の蓋留め具は、様々な食品容器に適用可能な汎用性の高く密閉性の高いものである。このように、本発明の蓋留め具は、産業上の利用価値や利用可能性が非常に高い。
【符号の説明】
【0046】
1 蓋留め具
2 食品容器
2f 食品容器のフランジ部
3 食品容器の蓋体
11 開口部
12 中空空間
13 外縁部
13t 外縁部の上側張り出し部
13d 外縁部の下側張り出し部
13tw 上側張り出し部の壁(上壁)
13dw 下側張り出し部の壁(下壁)
14 可撓促進部
14h 可撓促進部の外側張り出し部
14e 可撓促進部の端部
15 ガイド部
16 メッセージ表示部