特許第5936263号(P5936263)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936263高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936263
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置
(51)【国際特許分類】
   F02D 41/22 20060101AFI20160609BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20160609BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   F02D41/22 395
   F02D45/00 345K
   F02M37/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-100751(P2012-100751)
(22)【出願日】2012年4月26日
(65)【公開番号】特開2013-227928(P2013-227928A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年3月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003333
【氏名又は名称】ボッシュ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】大橋 友和
【審査官】 二之湯 正俊
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−064127(JP,A)
【文献】 特開2007−138774(JP,A)
【文献】 特開2005−155561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 41/00−41/40
F02D 43/00−45/00
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、少なくとも前記調量弁の駆動制御により前記コモンレールのレール圧を制御可能とすると共に、アイソクロナス制御の実行を可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における前記高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法であって、
前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサが故障の場合に、指示噴射量と目標エンジン回転数に応じて定められるプレコントロール量と、前記指示噴射量と前記目標エンジン回転数に応じて定められるオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に対する前記高圧ポンプの吐出量のばらつき補正量を、予め取得された学習値から求め、前記プレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に、前記求められたばらつき補正量を加算し、前記高圧ポンプの目標ポンプ吐出量として前記調量弁をオープンループ制御し、
前記プレコントロール量は、吐出特性が標準的であるとして選定された高圧ポンプを用いた標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において予め取得された、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する前記高圧ポンプの吐出量であり、
前記オープンループ制御用ポンプ吐出量は、前記標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において、所定のレール圧において、前記プレコントロール量を基に前記調量弁に対するPID制御を行った場合に、前記プレコントロール量のみで不足する前記高圧ポンプの吐出量を補うための、PID制御により得られる不足補充分であり、
前記ばらつき補正量は、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に取得されたものであって、PID制御によるレール圧制御が行われた場合に、目標ポンプ吐出量が安定した状態において、前記PID制御における積分項に対応するものであることを特徴とする高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法。
【請求項2】
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、電子制御ユニットにより、少なくとも前記調量弁が駆動制御されて前記コモンレールのレール圧を制御可能とすると共に、アイソクロナス制御の実行を可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサが故障と判定された場合に、予め記憶されたプレコントロール量マップにより、指示噴射量と目標エンジン回転数に応じて定められるプレコントロール量を求めると共に、予め記憶されたオープンループ制御用ポンプ吐出量マップにより、前記指示噴射量と前記目標エンジン回転数に応じたオープンループ制御用ポンプ吐出量を求め、次いで、前記プレコントロール量と前記オープンループ制御用ポンプ吐出量との和を算出し、
前記算出された和に対する前記高圧ポンプの吐出量のばらつき補正量を、予め取得された学習値から求め、前記プレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に、前記求められたばらつき補正量を加算し、前記高圧ポンプの目標ポンプ吐出量として前記調量弁をオープンループ制御するよう構成されてなり、
前記プレコントロール量は、吐出特性が標準的であるとして選定された高圧ポンプを用いた標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において予め取得された、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する前記高圧ポンプの吐出量であり、
前記オープンループ制御用ポンプ吐出量は、前記標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において、所定のレール圧において、前記プレコントロール量を基に前記調量弁に対するPID制御を行った場合に、前記プレコントロール量のみで不足する前記高圧ポンプの吐出量を補うための、PID制御により得られる不足補充分であり、
前記ばらつき補正量は、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に取得されたものであって、PID制御によるレール圧制御が行われた場合に、目標ポンプ吐出量が安定した状態において、前記PID制御における積分項に対応するものであることを特徴とするコモンレール式燃料噴射制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コモンレール式燃料噴射制御装置に用いられる高圧ポンプの吐出量のばらつき補正に係り、特に、バックアップ運転状態の安定性、信頼性の向上等を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧ポンプによって燃料を加圧して蓄圧器であるコモンレールへ圧送して蓄圧し、その蓄圧された高圧燃料をインジェクタへ供給することにより、インジェクタによる内燃機関への高圧燃料の噴射を可能として、燃費やエミッション特性等に優れるものとして良く知られているものであり、乗用車等の車両のみならず、近年は、トラクターやパワーショベル等の建設機械のエンジン制御にも用いられている。
【0003】
かかるコモンレール式燃料噴射制御装置において、高圧ポンプの吐出量は、レール圧を目標値で安定させるため、PID制御によるクローズドループによって制御されるのが一般的である。
そのため、個々の高圧ポンプの吐出量にばらつきがあっても、ある程度のばらつきはPID制御によって吸収可能なため、ばらつきによるレール圧制御への影響を実質的に回避することができる。
【0004】
上述のPID制御は、実レール圧が検出できることが前提であるため、何らかの原因により圧力センサが故障し、正確な実レール圧が取得できなくなった場合には、PID制御ができなくなるため、通常、いわゆるオープンループ制御によるレール圧制御が行われるようになっている(例えば、特許文献1等参照)。
ところが、このようにオープンループ制御がなされる場合には、先のような高圧ポンプの吐出量のばらつきは、そのまま実レール圧のばらつきとなって現れることとなる。そのため、例えば、高圧ポンプの吐出量が下限値寄りである場合には、レール圧が所望の大きさまで上がらず、最悪時には、インジェクタによる燃料噴射ができなくなり、エンジン停止に至ることも可能性として考えられる。
【0005】
このようなエンジン停止を回避する方策としては、レール圧センサ故障によりレール圧制御がオープンループで行われる場合に、高圧ポンプの吐出量のばらつき補正を行うことが考えられる。
すなわち、例えば、高圧ポンプの工場出荷検査時に得られたばらつき量を、補正量として実際のレール圧制御における補正処理に用いる方法が考えられる。
【0006】
ところが、この場合、高圧ポンプの工場出荷検査時に得られたばらつき量を、実際のレール圧制御における補正処理において使用可能とするためには、高圧ポンプの工場出荷検査時に得られたばらつき量を、例えば、データマトリックスコードなどに変換して、高圧ポンプに刻印し、それをカメラ等を用いて、レール圧制御に用いられる電子制御ユニットに取り込む作業が必要となるため、少なからず工場設備の変更等が生ずる。
また、高圧ポンプの工場出荷時と、実際にエンジンに搭載された場合とでは、雰囲気温度等の環境条件が異なるため、それに起因した吐出量のばらつきが生じてしまうが、このばらつきは、上述のように電子制御ユニットに取り込まれた補正量では補正することがきないものである。
【0007】
上述のような不都合を回避する方策としては、例えば、車両などで実運転時にいわゆる学習処理を行い、補正量を自動的に修正、決定してゆく方法がある。
より具体的には、例えば、レール圧制御がPID制御されている状態において、運転条件が一定状態となり、レール圧が安定した状態となると、高圧ポンプの吐出量は、プレコントロール量とPID制御のI項分の和に対応した大きさとなるので、プレコントロール量を、いわゆる中央特性、換言すれば、標準的な特性を有する高圧ポンプの吐出量となるように設定しておくことで、I項分は、ポンプ吐出量のばらつき分と捉えることが可能となる。
【0008】
ここで、プレコントロール量は、電子制御ユニットにおいて演算算出された指示噴射量と所望の目標エンジン回転数とに対して定められる高圧ポンプの基本的な目標の吐出量である。通常、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対してプレコントロール量が読みだし可能にマップ化され、プレコントロールマップとして電子制御ユニットの適宜な記憶領域に記憶されるものとなっている。
【0009】
したがって、I項分を、高圧ポンプの吐出量の多い場合や少ない場合等の様々な運転条件で、電子制御ユニットに取り込み、それを吐出量ばらつき補正における補正量として用いる方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2005−155561号公報(第6−15頁、図1図9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述のようにI項分を、実際の運転時に学習処理によって取得しつつ補正処理に用いる方法は、コモンレール式燃料噴射制御装置が、いわゆるオフハイウェイと称されるトラクター等のいわゆる建築機械のエンジンシステムに設けられたものである場合には、自動車の場合と異なり学習処理が安定して確保できず、信頼性のある補正量が取得できないという問題がある。
【0012】
すなわち、自動車の場合には、市街地等においての信号待ちや、高速道路での巡航中などは、高圧ポンプの吐出量は、少ない状態から多い状態まで様々な状況で比較的一定時間、安定した状態が生じるため、学習処理を確実に実行できる。
これに対して、例えば、トラクターの場合、信号待ちをすることは希であり、通常、保管場所から作業場所までの移動は比較的短く、さらに、エンジンの始動は概ね作業開始の場合だけであり、自動車と異なり、始動後にアイドル状態で待機状態となるようなことは殆ど無く、学習処理を実行するに適した状態を得ることは困難である。
【0013】
さらに、作業中は、主に定格点付近で運転されることが多いが、トラクター等においては、通常、負荷が変動してもエンジン回転数が一定に保たれるように、インジェクタ噴射量が自動的に増減されるいわゆるアイソクロナス制御が用いられるため、高圧ポンプの吐出量が常に増減し、作業中においても、学習処理に適する運転状態を得ることは困難である。
【0014】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、トラクター等の建築機械に用いられるコモンレール式燃料噴射制御装置においてレール圧を検出するセンサの故障、異常発生の場合におけるレール圧制御の信頼性、安定性の高い高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法及びコモンレール式燃料噴射制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記本発明の目的を達成するため、本発明に係る高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法は、
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、少なくとも前記調量弁の駆動制御により前記コモンレールのレール圧を制御可能とすると共に、アイソクロナス制御の実行を可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置における前記高圧ポンプの吐出量ばらつき補正方法であって、
前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサが故障の場合に、指示噴射量と目標エンジン回転数に応じて定められるプレコントロール量と、前記指示噴射量と前記目標エンジン回転数に応じて定められるオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に対する前記高圧ポンプの吐出量のばらつき補正量を、予め取得された学習値から求め、前記プレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に、前記求められたばらつき補正量を加算し、前記高圧ポンプの目標ポンプ吐出量として前記調量弁をオープンループ制御し、
前記プレコントロール量は、吐出特性が標準的であるとして選定された高圧ポンプを用いた標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において予め取得された、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する前記高圧ポンプの吐出量であり、
前記オープンループ制御用ポンプ吐出量は、前記標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において、所定のレール圧において、前記プレコントロール量を基に前記調量弁に対するPID制御を行った場合に、前記プレコントロール量のみで不足する前記高圧ポンプの吐出量を補うための、PID制御により得られる不足補充分であり、
前記ばらつき補正量は、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に取得されたものであって、PID制御によるレール圧制御が行われた場合に、目標ポンプ吐出量が安定した状態において、前記PID制御における積分項に対応するものである。
また、上記本発明の目的を達成するため本発明に係るコモンレール式燃料噴射制御装置は、
燃料タンクの燃料が高圧ポンプによりコモンレールへ加圧、圧送され、当該コモンレールに接続された燃料噴射弁を介してエンジンへ高圧燃料の噴射を可能としてなると共に、少なくとも前記高圧ポンプの上流側に調量弁が設けられ、電子制御ユニットにより、少なくとも前記調量弁が駆動制御されて前記コモンレールのレール圧を制御可能とすると共に、アイソクロナス制御の実行を可能に構成されてなるコモンレール式燃料噴射制御装置であって、
前記電子制御ユニットは、
前記コモンレールの圧力を検出する圧力センサが故障と判定された場合に、予め記憶されたプレコントロール量マップにより、指示噴射量と目標エンジン回転数に応じて定められるプレコントロール量を求めると共に、予め記憶されたオープンループ制御用ポンプ吐出量マップにより、前記指示噴射量と前記目標エンジン回転数に応じたオープンループ制御用ポンプ吐出量を求め、次いで、前記プレコントロール量と前記オープンループ制御用ポンプ吐出量との和を算出し、
前記算出された和に対する前記高圧ポンプの吐出量のばらつき補正量を、予め取得された学習値から求め、前記プレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和に、前記求められたばらつき補正量を加算し、前記高圧ポンプの目標ポンプ吐出量として前記調量弁をオープンループ制御するよう構成されてなり、
前記プレコントロール量は、吐出特性が標準的であるとして選定された高圧ポンプを用いた標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において予め取得された、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する前記高圧ポンプの吐出量であり、
前記オープンループ制御用ポンプ吐出量は、前記標準となるコモンレール式燃料噴射制御装置において、所定のレール圧において、前記プレコントロール量を基に前記調量弁に対するPID制御を行った場合に、前記プレコントロール量のみで不足する前記高圧ポンプの吐出量を補うための、PID制御により得られる不足補充分であり、
前記ばらつき補正量は、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に取得されたものであって、PID制御によるレール圧制御が行われた場合に、目標ポンプ吐出量が安定した状態において、前記PID制御における積分項に対応するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、特に、レール圧を検出する圧力センサの故障、異常の際に実行されるオープンループ制御によるレール圧制御において、安定動作状態において予め取得された高圧ポンプの吐出量のばらつき量の学習値を、目標ポンプ吐出量の補正に用いるようにしたので、従来に比して、オープンループ制御によるレール圧制御のさらなる安定性、信頼性の向上を図ることができるという効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態におけるコモンレール式燃料噴射制御装置の一構成例を示す構成図である。
図2図1に示されたコモンレール式燃料噴射制御装置を構成する電子制御ユニットが本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理を実行するために有する機能を機能ブロックにより示した機能ブロック図である。
図3図1に示されたコモンレール式燃料噴射制御装置を構成する電子制御ユニットにより実行される本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理の手順を示すザブルーチンフローチャートである。
図4図2に示された機能ブロック図におけるポンプ吐出量バラツキ補正マップの学習データを取得するために工場出荷の際に電子制御ユニットにより実行される学習データ取得処理の手順を示すザブルーチンフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図4を参照しつつ説明する。
なお、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
最初に、図1に示されたコモンレール式燃料噴射制御装置について説明する。
このコモンレール式燃料噴射制御装置は、高圧燃料の圧送を行う高圧ポンプ装置50と、この高圧ポンプ装置50により圧送された高圧燃料を蓄えるコモンレール1と、このコモンレール1から供給された高圧燃料をエンジン3の気筒へ噴射供給する複数の燃料噴射弁2−1〜2−nと、燃料噴射制御処理や後述するレール圧制御処理などを実行する電子制御ユニット(図1においては「ECU」と表記)4を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる構成自体は、従来から良く知られているこの種の燃料噴射制御装置の基本的な構成と同一のものである。
なお、本発明の実施の形態において、かかるコモンレール式燃料噴射制御装置は、トラクター等の建築機械に搭載されたものであるとする。
【0019】
高圧ポンプ装置50は、供給ポンプ5と、調量弁6と、高圧ポンプ7とを主たる構成要素として構成されてなる公知・周知の構成を有してなるものである。
かかる構成において、燃料タンク9の燃料は、供給ポンプ5により汲み上げられ、調量弁6を介して高圧ポンプ7へ供給されるようになっている。調量弁6には、電磁式比例制御弁が用いられ、その通電量が電子制御ユニット4に制御されることで、高圧ポンプ7への供給燃料の流量、換言すれば、高圧ポンプ7の吐出量が調整されるものとなっている。
【0020】
なお、供給ポンプ5の出力側と燃料タンク9との間には、戻し弁8が設けられており、供給ポンプ5の出力側の余剰燃料を燃料タンク9へ戻すことができるようになっている。
また、供給ポンプ5は、高圧ポンプ装置50の上流側に高圧ポンプ装置50と別体に設けるようにしても、また、燃料タンク9内に設けるようにしても良いものである。
燃料噴射弁2−1〜2−nは、エンジン3の気筒毎に設けられており、それぞれコモンレール1から高圧燃料の供給を受け、電子制御ユニット4による噴射制御によって燃料噴射を行うようになっている。
【0021】
本発明のコモンレール1には、余剰高圧燃料をタンク9へ戻すリターン通路(図示せず)に、電磁式比例制御弁による圧力制御弁12が設けられており、調量弁6と共にレール圧の制御に用いられるようになっている。なお、電磁式の圧力制御弁12に代えて、一定圧で開弁状態となるいわゆる機械式の圧力安全弁を用いるようにしても良い。
本発明の実施の形態においては、エンジン3の動作状態に応じて、調量弁6と圧力制御弁12のそれぞれの動作状態を適宜変えることで、適切なレール圧制御の実現が図られるようになっている。
【0022】
電子制御ユニット4は、例えば、公知・周知の構成を有してなるマイクロコンピュータ(図示せず)を中心に、RAMやROM等の記憶素子(図示せず)を有すると共に、燃料噴射弁2−1〜2−nを駆動するための駆動回路(図示せず)や、調量弁6や圧力制御弁12への通電を行うための通電回路(図示せず)を主たる構成要素として構成されたものとなっている。
かかる電子制御ユニット4には、コモンレール1の圧力を検出する圧力センサ11の検出信号が入力される他、目標エンジン回転数やアクセル開度、また、燃料温度などの各種の検出信号が、エンジン3の動作制御や燃料噴射制御に供するために入力されるようになっている。
【0023】
次に、本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理について、図2乃至図4を参照しつつ説明する。
最初に、本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理の実行ために電子制御ユニット4が有する機能について、図2に示された機能ブロック図を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理は、トラクター等の建築機械において、レール圧センサ11が故障の場合に、オープンループ制御によるレール圧制御が行われる状態において、高圧ポンプ7の吐出量のばらつきを、予め所定条件の下で取得された学習値に基づく補正データを用いて補正することで、従来のオープンループ制御に比してレール圧制御の安定性、信頼性の向上を図ることができるようにしたものである。
【0024】
電子制御ユニット4においては、レール圧センサ11が正常である場合には、PID制御によるレール圧制御が行われる一方、レール圧センサ11が故障、異常であると判定された場合(詳細は後述)には、いわゆるオープンループ制御によるレール圧制御が行われ、いわゆるバックアップ運転状態が維持されるようになっている。
すなわち、図2において、符号2−1が付された箇所は、レール圧センサ11の故障、異常による上述した2つの制御状態の切り替え機能を表しており、いわゆるソフトウェアスイッチである。
図2において、このソフトウェアスイッチ2−1は、レール圧センサ11が正常な場合、換言すれば、PID制御によるレール圧制御が行われる場合の状態が表されたものとなっている。
【0025】
図2において、符号2−2が付された箇所がPID制御における主要部である。
すなわち、PID制御においては、従来同様、電子制御ユニット4において演算算出される指示噴射量と目標エンジン回転数に応じて、PID制御におけるP係数(比例係数)、I係数(積分係数)、D係数(微分係数)が、それぞれ設定されるようになっている。
ここで、指示噴射量は、図示されないメインルーチンで従来同様に実行される燃料噴射制御処理によって、エンジン3の1つのシリンダ(図示せず)において噴射されるべき燃料量として算出される値であり、また、目標エンジン回転数も同様に、アクセル開度等に基づいて燃料噴射制御処理によって算出されるエンジン3の回転数の目標値である。
一方、電子制御ユニット4において演算算出される目標レール圧とレール圧センサ11により取得された実レール圧の差(以下、説明の便宜上「レール圧差」と称する)が演算算出される(図2の符号2−3参照)。
【0026】
そして、このレール圧差と先のP係数とが乗算される(図2の符号2−4参照)。また、レール圧差の積分が行われ(図2の符号2−5)、その積分結果と先のI係数とが乗算(図2の符号2−7参照)されると共に、その乗算結果と、先のレール圧差とP係数との乗算(図2の符号2−4参照)結果同士が加算(図2の符号2−8参照)される。
また、レール圧差の微分が行われ(図2の符号2−6)、その微分結果と先のD係数とが乗算(図2の符号2−9参照)され、その乗算結果が先の符号2−8における加算結果に加算される(図2の符号2−10参照)。
これを演算式で表すならば、(P係数)×(レール圧差)+(I係数)×∫(レール圧差)dt+(D係数)×{d(レール圧差)/dt}となる。なお、この式の演算結果を、説明の便宜上、「PID制御量」と称する。
【0027】
一方、電子制御ユニット4には、プレコントロール量マップ(図2においては「プレコン」と表記)2−11が設けられており、指示噴射量と目標エンジン回転数に応じたプレコントロール量が求められるようになっており、上述のPID制御量との加算(図2の符号2−12参照)結果が目標ポンプ吐出量となる。
ここで、プレコントロール量マップ2−11は、高圧ポンプ7が標準的な吐出特性を有するものである場合における、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する目標吐出量を、指示噴射量と目標エンジン回転数を入力パラメータとして読み出し可能に構成されたデータマップである。
【0028】
一方、電子制御ユニット4には、目標ポンプ吐出量を得るために調量弁6に通電すべき電流の大きさが、目標ポンプ吐出量を入力パラメータとして読み出し可能に構成されたデータマップであるポンプカーブマップ2−13が予め適宜な記憶領域に記憶されている。そして、上述のようにして目標ポンプ吐出量が求められると、調量弁6に通電すべき電流の大きさ(目標MPROP電流値)が、その目標ポンプ吐出量を入力としてポンプカーブマップ2−13により求められ、図示されない通電回路を介して求められた目標MPROP電流値での調量弁6の駆動が行われるようになっている。
【0029】
次に、オープンループ制御について説明すれば、まず、電子制御ユニット4において別個に実行される故障診断処理により、何らかの原因によりレール圧センサ11が故障、異常であると判定されると上述のPID制御からオープンループ制御への切り替えがソフトウェアスイッチ2ー1により行われる。
オープンループ制御においても、指示噴射量と目標エンジン回転数に対応したプレコントロール量がプレコントロール量マップ2−11により定められるのは、PID制御の場合と同様である。
さらに、電子制御ユニット4には、オープンループ制御の際に用いられるオープンループ制御用ポンプ吐出量マップ2−14、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15が適宜な記憶領域に記憶されている。
【0030】
オープンループ制御用ポンプ吐出量マップ2−14は、オープンループ制御の際に、プレコントロール量のみでは不足する吐出量を補うための不足補充分としての吐出量(以下、説明の便宜上「オープンループ制御用ポンプ吐出量」と称する)が、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対して、読み出し可能に構成されてなるものである。かかるオープンループ制御用ポンプ吐出量は、実質的には、コモンレール式燃料噴射制御装置が正常である場合、すなわち、圧力センサ11が正常で、PID制御によるレール圧制御がなされている場合におけるPID制御において得られるPID制御量である。このPID制御量は、図2の符号2−10において得られる加算結果である。
【0031】
このオープンループ制御用ポンプ吐出量マップ2−14から読み出されるオープンループ制御用ポンプ吐出量は、標準的な諸特性を有するコモンレール式燃料噴射制御装置、すなわち、いわゆる中央相当システムにおいて、エンジン回転数や噴射量にかかわらず、所定のレール圧で安定状態を得、その際のPID制御量を演算算出して得られたものである。ここで、所定のレール圧は、例えば、中央相当システムで良く用いられるレール圧(例えば、100MPa等)を選定するのが好適である。
【0032】
また、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15は、種々の指示噴射量と目標エンジン回転数の組み合わせに対する高圧ポンプ7の吐出量のばらつき量が、指示噴射量と目標エンジン回転数を入力パラメータとして読み出し可能に構成されたものとなっている。
ここで、ばらつき量は、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に、所定の運転条件の下で、いわゆる学習処理によって得られたものである(詳細は後述)。
【0033】
しかして、圧力センサ11が故障、異常と判定されると、PID制御に代わってオープンループ制御によるレール圧制御が開始されることとなり、まず、指示噴射量と目標エンジン回転数に対応したプレコントロール量がプレコントロール量マップ2−11により定められる。
また、同じく指示噴射量と目標エンジン回転数に対応したオープンループ制御用ポンプ吐出量がオープンループ制御用ポンプ吐出量マップ2−14により定められる。
【0034】
そして、上述のプレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との加算がなされ(図2の符号2−16参照)、その加算結果に応じて、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15により、高圧ポンプ7のばらつきを補正するための補正量が定められ、この補正量と、先のプレコントロール量と、オープンループ制御用ポンプ吐出量との和が目標ポンプ吐出量とされる(図2の符号2−17、符号2−12参照)。
次いで、目標ポンプ吐出量に対する調量弁6に必要な通電電流が、ポンプカーブマップ2−13により設定され、設定された通電電流での調量弁6の駆動が行われるものとなっている。
【0035】
図3には、電子制御ユニット4により実行される本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理の手順がサブルーチンフローチャートに示されており、以下、同図を参照しつつ、本発明の実施の形態における高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理の手順について説明する。
電子制御ユニット4による処理が開始されると、最初に、圧力センサ11が異常、故障状態であるか否かが判定される(図3のステップS102参照)。
【0036】
本発明の実施の形態における電子制御ユニット4は、コモンレール式燃料噴射制御装置の種々の動作等に関する故障診断処理が従来同様に、高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理とは別個に実行されるものとなっている。その故障診断処理には、圧力センサ11の故障診断処理も行われるものとなっており、ステップS102においては、その診断結果を流用するようにすると好適である。
【0037】
ステップS102において、圧力センサ11が故障、異常状態であると判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS104の処理へ進む一方、圧力センサ11が故障、異常状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、高圧ポンプの吐出量ばらつき補正処理を実行する必要はないとして、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
ステップS104においては、レール圧制御におけるPID制御が停止され、レール圧制御はオープンループ制御に移行されることとなる。
【0038】
次いで、指示噴射量と目標エンジン回転数に対応したプレコントロール量が、電子制御ユニット4に記憶されたプレコントロール量マップ2−11(図2参照)を用いて設定されると共に、指示噴射量と目標エンジン回転数に対応したオープンループ制御用ポンプ吐出量が、オープンループ制御用ポンプ吐出量マップ2−14(図2参照)を用いて設定される。
【0039】
次いで、ポンプ吐出量ばらつき補正量が設定される(図3のステップS108参照)。
すなわち、先ず、上述のステップS106で設定されたプレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和が演算算出され(図2の符号2−16参照)、その演算結果に対するポンプ吐出量ばらつき補正量が、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15を用いて求められることとなる。
ここで、プレコントロール量とオープンループ制御用ポンプ吐出量との和は、別言すれば、次述するようにポンプ吐出量ばらつき補正量により補正がなされる前の目標ポンプ吐出量である。
【0040】
次いで、目標ポンプ吐出量が算出されることとなる(図2のステップ110参照)。
すなわち、目標ポンプ吐出量は、プレコントロール量にオープンループ制御用ポンプ吐出量とポンプ吐出量ばらつき補正量を加算した加算結果として求められるものとなっている(図2の符号2−17、符号2−12参照)。
そして、上述のようにしてポンプ吐出量ばらつき補正量による高圧ポンプ7の吐出量のばらつき補正がなされた目標ポンプ吐出量を得るために調量弁6に必要な通電電流である目標MPROP電流値が、ポンプカーブマップ2−13により求められ(図3のステップS112参照)、調量弁6への通電が行われて、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ一旦戻ることとなる。
【0041】
次に、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15に用いられる学習データの取得方法について、図4に示されたサブルーチンフローチャートを参照しつつ説明する。
ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15は、先に述べたようにコモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際に、所定の運転条件の下で、いわゆる学習処理によって得られたデータが格納されたものである。
【0042】
以下に、この学習処理の手順について、図4を参照しつつ説明する。
先ず、この図4に示された処理は、ポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15を構成する学習データを取得するために、コモンレール式燃料噴射制御装置の工場出荷の際にのみ実行されるもので、その実行には、電子制御ユニット4を用いても良いし、また、電子制御ユニット4と同等の機能を有する試験機を別途用いるようにしても、いずれでも良い。なお、以下の説明においては、図4に示された処理は、電子制御ユニット4により実行されるものとする。
【0043】
電子制御ユニット4により、コモンレール式燃料噴射制御装置の運転制御処理によりコモンレール式燃料噴射制御装置の運転状態、換言すれば、エンジン(図示せず)の運転状態が、いわゆるアイドリング運転状態とされる(図4のステップS202参照)。
次いで、アイドリング運転状態が安定するまで一定時間の間、運転状態が維持され(図4のステップS204参照)、電子制御ユニット4において演算算出される目標ポンプ吐出量が安定したか否かが判定される(図4のステップS206参照)。なお、上述の一定時間を如何なる値に設定するか、また、目標ポンプ吐出量が安定したと判定する基準を如何に設定するかは、試験結果やシミュレーション結果等に基づいて、コモンレール式燃料噴射制御装置の具体的な仕様等を考慮して定めるのが好適である。
【0044】
しかして、ステップS206において、目標ポンプ吐出量が安定したと判定された場合(YESの場合)には、次述するステップS208の処理へ進む一方、目標ポンプ吐出量が未だ安定していないと判定された場合(NOの場合)には、先のステップS204の処理へ戻り、以下の処理が繰り返されることとなる。
【0045】
ステップS208においては、いわゆる学習処理が実行されることとなる。すなわち、まず、目標ポンプ吐出量が安定して学習処理が開始される状態は、PID制御によるレール圧制御が行われている状態である。
PID制御によるレール圧制御が行われている場合、目標ポンプ吐出量が安定するまでは、目標ポンプ吐出量は、プレコントロール量とPID制御による制御量の和として表されるものとなるが、ステップS206において目標ポンプ吐出量が安定したと判定された状態にあっては、PID制御による制御量は、I項(積分項)のみとなり、目標ポンプ吐出量は、プレコントロール量とI項分の和となる(図2参照)。ここで、I項分は、高圧ポンプ7の吐出量のばらつき量に相当するものである。
このため、ステップS208における学習処理においては、上述のI項分の所定時間(例えば、30秒程度)の平均値が学習値として、電子制御ユニット4のポンプ吐出量バラツキ補正マップ2−15に書き込まれることとなる。
【0046】
上述のようにして学習値が取得された後は、全ての学習点での学習処理が終了したか否かが判定される(図4のステップS210参照)。
本発明の実施の形態におけるコモンレール式燃料噴射制御装置は、先に述べたようにトラクター等の建築機械に搭載されたものであることを前提としているため、通常の車両のように安定して学習処理が実行できる機会は極限られている。
そのため、本発明の実施の形態においては、安定した運転状態を得ることのできるアイドリング点、トルク点、定格点のそれぞれで学習処理を実行することとしており、ステップS210においては、上述の3つ点における学習処理が終了したか否かが判定されることとなる。ここで、アイドリング点とは、いわゆるアイドリング運転状態にある場合を、トルク点とは、エンジン3の出力トルクが最大となる運転状態にある場合を、定格点とは、エンジン3の駆動出力が定格となる運転状態にある場合を、それぞれ意味する。
【0047】
しかして、ステップS210において、全ての点で学習処理が終了したと判定された場合(YESの場合)には、一連の処理が終了され、図示されないメインルーチンへ戻ることとなる一方、上述した3つの点での学習処理が全て終了した状態ではないと判定された場合(NOの場合)には、学習処理を行う次の運転条件への変更が行われ(図4のステップS212参照)、先のステップS204へ戻り、それ以後の処理が繰り返されることとなる。
なお、上述した本発明の実施の形態においては、調量弁6と圧力制御弁12を有する構成のコモンレール式燃料噴射制御装置を前提としたが、本発明は、かかる構成のコモンレール式燃料噴射制御装置に限定されるものではなく、例えば、圧力制御弁12が無く、調量弁6のみでコモンレール圧が制御可能な構成であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
トラクター等の建築機械におけるコモンレール式燃料噴射制御装置の高圧ポンプの吐出量のばらつき補正の信頼性、安定性の向上が所望されるコモンレール式燃料噴射制御装置に適する。
【符号の説明】
【0049】
1…コモンレール
2−1〜2−n…燃料噴射弁
3…エンジン
4…電子制御ユニット
6…調量弁
7…高圧ポンプ
11…圧力センサ
12…圧力制御弁
図1
図2
図3
図4