【文献】
坂本 達朗 他,導電性塗料を用いたノーズ可動クロッシングのき裂検知の基礎検討,鉄道総研報告,2012年12月 1日,Vol. 26, No. 12,pp. 23-28
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について詳しく説明する。
図1、
図2、
図4及び
図5に示す車輪Wは、レールと回転接触する部材である。車輪Wは、レール頭部の頭頂面と接触して摩擦抵抗を受ける踏面W
1と、脱輪を防止するために車輪Wの外周部に連続して形成されたフランジ面W
2と、車輪Wの踏面W
1側とは反対側のフランジ背面(車輪背面)W
3などを備えている。
【0017】
図1及び
図2に示す分岐器1は、一つの軌道を二つ以上の軌道に分ける装置である。
図1に示す分岐器1は、基準線が直線であり分岐線(他の一線)が曲線である片開き分岐器である。分岐器1は、ポイント部2と、クロッシング部3と、リード部4などを備えている。
図1及び
図2に示す分岐器1は、この分岐器1の前端(ポイント部2)側から後端(クロッシング部3)側に向かう方向(対向)に車両の車輪Wを誘導するとともに、この分岐器1の後端側から前端側に向かう方向(背向)にこの車両の車輪Wを誘導する。分岐器1は、例えば、
図1に示すように、車輪WがA方向に回転移動するときが常時開通している方向(定位)であり、
図2に示すように車輪WがB方向に回転移動するときが常時開通していない方向(反位)である。
【0018】
ポイント部2は、分岐器1を構成する部分のうち軌道を分ける部分である。ポイント部2は、先端部を尖らせた転換可能な可動レールであるトングレール2a,2bと、このトングレール2a,2bの先端部が密着及び分離する基本レール2c,2dなどを備えている。ポイント部2は、
図1に示すように、車輪WがA方向に回転移動するときには、トングレール2a,2bがC
1方向に転換して、トングレール2aが基本レール2cと密着し、トングレール2bが基本レール2dから離間している。一方、ポイント部2は、
図2に示すように、車輪WがB方向に回転移動するときには、トングレール2a,2bがC
1方向とは反対方向のC
2方向に転換して、トングレール2aが基本レール2cから離間し、トングレール2bが基本レール2dと密着している。ポイント部2は、分岐器1を転換するための転換力を発生する電気転てつ機などの転換装置と連動するように、この転換装置につながれている転てつ棒にトングレール2a,2bが連結されている。
【0019】
クロッシング部3は、分岐器1を構成する部分のうち軌道が交わる部分である。クロッシング部3は、このクロッシング部3とともに軌間を構成する主レール3a,3bと、クロッシング部3の前端部分では軌間線を構成し後端部分では車輪Wのフランジ背面W
3を誘導するウィングレール3c,3dと、ノーズレール(ノーズ可動レール)5などを備えている。
図1及び
図2に示すクロッシング部3は、可動部分を有する可動クロッシングであり、新幹線(登録商標)又は在来線で使用されておりクロッシング部3を構成するノーズレール5が可動式のノーズ可動クロッシングである。クロッシング部3は、
図1に示すように、車輪WがA方向に回転移動するときには、トングレール2a,2bの転換動作と連動してノーズレール5がC
1方向に転換して、ノーズレール5がウィングレール3cと密着し、ノーズレール5がウィングレール3dと離間している。一方、クロッシング部3は、
図2に示すように、車輪WがB方向に回転移動するときには、トングレール2a,2bの転換動作と連動してノーズレール5がC
1方向とは反対方向のC
2方向に転換して、ノーズレール5がウィングレール3cから離間し、ノーズレール5がウィングレール3dと密着している。クロッシング部3は、
図3に示すように、転てつ棒9a,9bにノーズレール5が連結されており、この転てつ棒9a,9bの転換動作に連動してノーズレール5が転換動作する。クロッシング部3は、
図1及び
図2に示すように、ノーズレール5をウィングレール3c,3dと密着させることによって、クロッシング部3の軌間線が中断する軌間線欠線部(欠線部)を無くし、この欠線部における車輪Wの落ち込みにより発生する騒音を低減する。
【0020】
リード部4は、分岐器1を構成する部分のうちポイント部2とクロッシング部3とを連絡する部分である。リード部4は、トングレール2a,2bの後端とクロッシング部3の前端とを繋ぐリードレール4a,4bなどを備えている。リード部4は、ポイント部2の基本レール2c,2dとクロッシング部3の主レール3a,3bとをリードレール4a,4bによって繋いでいる。
【0021】
ノーズレール5は、クロッシング部3を構成する先端の頭部が尖ったレールである。ノーズレール5は、例えば、新幹線用が高マンガン鋼レールによって形成されており、在来線用がレール鋼によって形成されている。ノーズレール5は、
図4及び
図5に示すように、先端部側と後端部側とで断面形状が異なり、先端部側の厚さが薄く、後端部側の厚さが厚く形成されている。ノーズレール5は、
図3に示すように、長ノーズレール6と、短ノーズレール7と、クロッシング構8と、転てつ棒9a,9bと、フロントロッド10などを備えている。
【0022】
長ノーズレール6は、クロッシング部3における二つの軌間線の交点(クロッシング交点)の近くに先端が位置するレールである。長ノーズレール6は、
図4〜
図7に示すように、頭部6aと、底部6bと、腹部6cなどを備えている。頭部6aは、車輪Wと接触する部分であり、車輪Wを直接支持する頭頂面(頭部上面)6dなどを備えている。頭部6aは、
図4に示すように、ノーズレール5がC
1方向に転換動作したときには、ウィングレール3cの頭部と密着しウィングレール3dの頭部から離間し、ノーズレール5がC
2方向に転換動作したときには、ウィングレール3cの頭部から離間しウィングレール3dの頭部と密着する。底部6bは、転てつ棒9a,9bに取り付けられる部分であり、この底部6bの左右の側面部分を構成する底部側面6eなどを備えている。腹部6cは、頭部6aと底部6bとを繋ぐ部分であり、頭部6aに作用する輪重及び横圧を底部6bに伝達する。長ノーズレール6は、
図4及び
図6に示すように、転てつ棒9bに接続される部分の付近(ロッド近傍部)の断面形状と、
図5及び
図7に示すように転てつ棒9aに接続される部分の付近(断面変化部)の断面形状とが相違する。長ノーズレール6のロッド近傍部は、
図4及び
図6に示すように、頭部6aの断面形状が頭頂面6dに向かって丸く形成されており、底部6bの断面形状が頭部6aの最大幅よりも僅かに幅が広く形成されており、腹部6cの断面形状が頭部6aの最大幅と同じ幅で形成されている。一方、長ノーズレール6の断面変化部は、
図5及び
図7に示すように、頭部6a及び底部6bの断面形状が通常のレールのレール頭部及びレール底部を縦方向に分割したような形状であり、腹部6cの断面形状が通常のレールのレール腹部よりも幅が狭く形成されている。
【0023】
短ノーズレール7は、長ノーズレール6と組み合わせてノーズレール5を構成するレールである。短ノーズレール7は、
図5に示すように長ノーズレール6と一体となって転換動作するようにこの長ノーズレール6に溶接されている。短ノーズレール7は、
図5及び
図7に示すように、頭部7aと、底部7bと、腹部7cなどを備えている。頭部7aは、車輪Wと接触する部分であり、車輪Wを直接支持する頭頂面(頭部上面)7dなどを備えている。頭部7aは、
図5に示すように、ノーズレール5がC
1方向に転換動作したときには、ウィングレール3cの頭部と密着し、ノーズレール5がC
2方向に転換動作したときには、ウィングレール3cの頭部から離間する。底部7bは、転てつ棒9bに取り付けられる部分であり、この底部7bの左右の側面部分を構成する底部側面7eなどを備えている。腹部7cは、頭部7aと底部7bとを繋ぐ部分であり、頭部7aに作用する輪重及び横圧を底部7bに伝達する。短ノーズレール7は、
図3に示すように、長ノーズレール6と同様に、転てつ棒9bに接続される部分の付近(ロッド近傍部)の断面形状と、転てつ棒9aに接続される部分の付近(断面変化部)の断面形状とが相違する。短ノーズレール7は、
図5に示すように、長ノーズレール6の頭部6a及び底部6bと接合する側の頭部7a及び底部7bの表面が平坦に形成されている。短ノーズレール7の断面変化部は、
図5に示すように、長ノーズレール6と同様に、頭部7a及び底部7bの断面形状が通常のレールのレール頭部及びレール底部を縦方向に分割したような形状であり、腹部7cの断面形状が通常のレールのレール腹部よりも幅が狭く形成されている。
【0024】
クロッシング構8は、ノーズレール5を取り付けるレールである。クロッシング構8は、平面形状が略V字状に形成されており、長ノーズレール6の後端部側と短ノーズレール7の後端部側との間に挟み込まれて、ノーズレール5をC
1,C
2方向に転換自在に取り付けている。転てつ棒9a,9bは、ノーズレール5を転換する部材である。転てつ棒9a,9bは、分岐器1を転換するための転換力を発生する電気転てつ機などの転換装置と連動するようにこの転換装置につながれている。フロントロッド10は、ノーズレール5の先端の状態を転換装置に伝達する部材である。フロントロッド10は、長ノーズレール6の底部6bに取り付けられており、ノーズレール5が転換動作を完了した後にこのノーズレール5が動作しないように、このノーズレール5を鎖錠する機能を有する。
【0025】
図6に示す亀裂監視装置11は、クロッシング部3のノーズレール5に発生する亀裂Cを監視する装置である。亀裂監視装置11は、
図6〜
図10に示す亀裂監視材12と、
図6〜
図8及び
図10に示す板状導体13と、
図6及び
図10に示す保護材14と、
図6に示す配線材15と、給電部16と、通電状態測定部17と、評価部18と、通信部19と、制御部20と、収容部21などを備えている。亀裂監視装置11は、
図7及び
図8に示すように、亀裂Cの発生が予測されるノーズレール5の近傍に設置されている。以下では、
図7及び
図8に示すように、ノーズレール5の底部側面(縁部(長辺部))6e,7eに発生する亀裂Cを亀裂監視装置11によって監視する場合を例に挙げて説明する。
【0026】
図6〜
図10に示す亀裂監視材12は、ノーズレール5に発生する亀裂Cを監視する部材である。亀裂監視材12は、亀裂Cの発生が予測されるノーズレール5の表面に形成されている。亀裂監視材12は、
図7及び
図8に示すように、亀裂Cの発生が予測されるノーズレール5の底部側面6e,7eの長さ方向に沿って刷毛、ローラ又はスプレーなどによって塗布され形成されている。亀裂監視材12は、
図7に示すように、長ノーズレール6のロッド近傍部における内側及び外側の底部側面6eと、
図8に示すように長ノーズレール6の断面変化部における外側の底部側面6eと、短ノーズレール7の断面変化部における外側の底部側面7eとにそれぞれ形成されている。亀裂監視材12は、
図4及び
図5に示すように、ノーズレール5がC
1,C
2方向に転換動作したときにウィングレール3c,3dと接触しないように、ノーズレール5とウィングレール3c,3dとの間の間隙部よりも薄く形成されている。亀裂監視材12は、亀裂Cの発生を初期の段階で検出する亀裂発生検出部として機能する。亀裂監視材12は、
図6〜
図10に示す亀裂発生検出用導電層12aと、亀裂発生検出用電極層12b,12cと、
図9に示す防錆絶縁層12dと、
図6〜
図10に示す環境遮断層12eと、
図9に示す環境遮断層12fと、耐候層12gと、
図6〜
図8及び
図10に示す配線用導電層12h,12iと、
図10に示す接着剤層12jと、保護層12kなどを備えている。
【0027】
図6〜
図10に示す亀裂発生検出用導電層12aは、亀裂Cの発生に応じて電気抵抗が変化する塗膜である。亀裂発生検出用導電層12aは、ノーズレール5の表面と電気的に絶縁された状態で、このノーズレール5に発生する亀裂Cを検出する。亀裂発生検出用導電層12aは、
図7及び
図8に示すように、ノーズレール5に発生が予測される亀裂Cの起点側に長辺側が位置するように、
図19に示す耐候層12gの表面に帯状に形成されている。亀裂発生検出用導電層12aは、亀裂発生時の極僅かな亀裂長さを検知可能なように幅が狭く形成されており、線状に塗布されている。亀裂発生検出用導電層12aは、例えば、導電顔料と有機樹脂とを含む導電性塗料を塗布して形成されており、導電顔料としてはカーボンブラック、グラファイト、ニッケル、銅、銀などが好ましく、有機樹脂としてはエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、アルキルシリケート樹脂などが好ましい。亀裂発生検出用導電層12aは、主剤にビスフェノールA型エポキシ樹脂、硬化剤にポリアミドアミンを用いたエポキシ樹脂をベースとして、導電性の顔料としてカーボンブラックを質量比で樹脂:顔料=1:2となるように配合することが好ましい。
【0028】
亀裂発生検出用導電層12aの塗膜厚さは、10μm以下では現場施工によって連続した塗膜が得られないおそれがあり、100μm以上では塗装したときに垂れなどの塗膜欠陥が多く発生し、この塗膜欠陥を防止するために粘度を高くすると施工性が犠牲になるおそれがある。このため、亀裂発生検出用導電層12aの塗膜厚さは、10〜100μmが好ましく、特に30〜60μmが好ましい。亀裂発生検出用導電層12aの塗膜の物性は、引張試験による破断時の伸びが10%以下ではノーズレール5の温度差による伸縮などの他の要因によって割れるおそれがあり、30%以上ではノーズレール5の亀裂発生時に亀裂発生検出用導電層12aが同時に破壊しないおそれがある。このため、亀裂発生検出用導電層12aの塗膜の物性は、引張試験による破断時の伸びが10〜30%であることが好ましい。亀裂発生検出用導電層12aの塗膜幅は、2〜5mmが望ましく、亀裂発生検出用導電層12aの長さは100mm程度が望ましい。亀裂発生検出用導電層12aは、体積抵抗率が1〜10Ω・cmとなるように、導電顔料と有機樹脂との配合量を調整して形成されている。亀裂発生検出用導電層12aの塗料粘度は、現場で刷毛、ローラ又はスプレーなどによって塗布できる程度に調整することが好ましい。
【0029】
図6〜
図10に示す亀裂発生検出用電極層12b,12cは、亀裂発生検出用導電層12aに電流を流す塗膜である。亀裂発生検出用電極層12b,12cは、
図6〜
図8に示すように、亀裂発生検出用導電層12aの長さ方向の両端部に配置されており、亀裂発生検出用導電層12aの短辺と平行になるように、亀裂発生検出用導電層12aの幅と略同じ長さで線状に塗布されている。亀裂発生検出用電極層12b,12cは、配線用導電層12h,12iと同一の導電性塗料を塗布して形成されており、塗膜厚さ、塗膜の物性及び塗料粘度も亀裂発生検出用導電層12aと同一である。亀裂発生検出用電極層12b,12cは、体積抵抗率が0.01〜1Ω・cmとなるように、導電顔料と有機樹脂との配合量を調整して形成することが好ましい。
【0030】
図9に示す防錆絶縁層12dは、ノーズレール5と亀裂発生検出用導電層12a及び配線用導電層12h,12iとを電気的に絶縁するとともに、ノーズレール5の腐食を防止する塗膜である。防錆絶縁層12dは、
図6及び
図9に示すように、ノーズレール5の表面(鋼素地)に亀裂Cの検知範囲を含むように広く塗布され形成されている。防錆絶縁層12dは、例えば、防錆顔料入りエポキシ樹脂又は有機ジンクリッチペイントなどのような鋼構造物用防食塗装系に適用されている下塗り塗料であり、圧膜型変性エポキシ樹脂系塗料によって形成することが好ましい。防錆絶縁層12dの塗膜厚さは、30〜100μmが好ましく、防錆絶縁層12dの塗料粘度は現場で刷毛又はローラなどによって塗布できる程度に調整することが好ましい。
【0031】
図6〜
図10に示す環境遮断層12eは、ノーズレール5と亀裂発生検出用導電層12a及び配線用導電層12h,12iとを電気的に絶縁するとともに、ノーズレール5の防食性を向上させる塗膜である。環境遮断層12eは、
図9に示すように、防錆絶縁層12dを被覆するように、この防錆絶縁層12dの表面に塗布され形成されている。環境遮断層12eは、例えば、防錆顔料入りエポキシ樹脂系塗料などのような鋼構造物用防食塗装系に適用される中塗り塗料であり、圧膜型変性エポキシ樹脂系塗料によって形成することが好ましい。環境遮断層12eの塗膜厚さは、60〜120μmが好ましく、環境遮断層12eの塗料粘度は現場で刷毛又はローラなどによって塗布できる程度に調整することが好ましい。
【0032】
図9に示す環境遮断層12fは、亀裂発生検出用導電層12a、亀裂発生検出用電極層12b,12c及び配線用導電層12h,12iを保護するとともに、ノーズレール5の防食性を向上させる塗膜である。環境遮断層12fは、
図9に示すように、亀裂発生検出用導電層12a、亀裂発生検出用電極層12b,12c及び配線用導電層12h,12iを被覆するように、これらの表面に塗布されている。環境遮断層12fは、例えば、環境遮断性に優れた防錆顔料入りのエポキシ樹脂系塗料などのような鋼構造物用防食塗装系に適用される中塗り塗料であり、水系エポキシ樹脂塗料によって形成することが好ましい。環境遮断層12fの塗膜厚さは、60〜120μmが好ましく、環境遮断層12fの塗料粘度は現場で刷毛又はローラなどによって塗布できる程度に調整することが好ましい。
【0033】
図9に示す耐候層12gは、環境遮断層12fを自然因子の作用から保護する塗膜である。耐候層12gは、環境遮断層12fを被覆するようにこの表面に耐候性塗料を塗布して形成されている。耐候層12gは、例えば、耐紫外線性及び耐薬品性に優れたポリウレタン樹脂又はふっ素樹脂などのような鋼構造物用防食塗装系に適用される上塗り塗料であり、水系上塗塗料によって形成することが好ましい。
【0034】
図6〜
図8及び
図10に示す配線用導電層12h,12iは、亀裂発生検出用導電層12aに電流を流す塗膜である。配線用導電層12hは、亀裂発生検出用電極層12b,12cと一体に電気的に接続するように、環境遮断層12eの表面に線状に塗布され形成されている。配線用導電層12iは、
図9に示す防錆絶縁層12dの表面に塗布された環境遮断層12eの表面に形成されており、環境遮断層12f及び耐候層12gによって被覆されている。配線用導電層12iは、配線用導電層12hと一体に電気的に接続するように、環境遮断層12e、配線用導電層12h、接着剤層12j及び板状導体13の表面に重ねて線状に塗布され形成されている。配線用導電層12h,12iは、亀裂発生検出用導電層12aと同一の導電性塗料を塗布して形成されており、塗膜厚さ、塗膜の物性及び塗料粘度も亀裂発生検出用導電層12aと同一である。配線用導電層12h,12iは、導電顔料としては銀又は銀被覆銅フレークなどが好ましく、有機樹脂としてはポリウレタン樹脂などが好ましい。
【0035】
図10に示す接着剤層12jは、板状導体13と環境遮断層12eとを接着する層である。接着剤層12jは、
図10に示すように、板状導体13の裏面と環境遮断層12eの表面とが面接合するように、環境遮断層12eの表面に塗布され形成されている。接着剤層12jは、例えば、有機化合物であるシアノアクリレートを主成分とする瞬間接着剤などである。
【0036】
図10に示す保護層12kは、配線用導電層12iと板状導体13とが接合する接合部の表面を保護する塗膜である。保護層12kは、
図10に示すように、亀裂発生検出用電極層12b,12c、環境遮断層12e、配線用導電層12h,12i、接着剤層12j、板状導体13及び保護材14を被覆するようにこれらの表面に塗布され形成されている。保護層12kは、例えば、シリコンコーキング材のような防水材であり、配線用導電層12iと板状導体13との接合部を防水する防水層である。
【0037】
図6〜
図8及び
図10に示す板状導体13は、亀裂監視材12の配線用導電層12iと面接合した状態でこの配線用導電層12iに電気的に接続される可撓性の電線である。板状導体13は、
図6に示すように、一方の端部が亀裂監視材12の配線用導電層12iに取り付けられ接続されており、他方の端部が配線材15に接続されている。板状導体13は、配線材15に接続される側の端部にコネクタ端子が取り付けられている。板状導体13は、配線用導電層12h,12iに電流を流す電線であり配線用導電層12iの裏面に接着されている。板状導体13は、転換動作時のノーズレール5の振動及び列車通過時のノーズレール5の振動に追従して弾性変形可能なように、配線用導電層12i及び配線材15に弛緩状態で接続されている。板状導体13は、
図7及び
図8に示すように、ノーズレール5の底部側面6e,7eに沿って下方に引き通されており、
図4及び
図5に示すノーズレール5とウィングレール3c,3dとの間の間隙部を通過するように配線されている。板状導体13は、例えば、柔軟性に優れ、振動を吸収可能であり、表面積が大きい導体であり、軟銅線、スズめっき軟銅線又はその他の素線を集束して編組し平板状に成型した平編銅線、平編線又は平編素線などの可撓性を有する平編金属線である。
【0038】
図6及び
図10に示す保護材14は、板状導体13の表面を保護する部材である。保護材14は、板状導体13の表面を被覆するようにこの板状導体13の表面と密着している。保護材14は、例えば、加熱することによって収縮する電子線架橋軟質ポリオレフィン樹脂又は電子線架橋軟質難燃性ポリオレフィン樹脂などからなる収縮チューブのような被覆材である。
【0039】
図6に示す配線材15は、板状導体13に電流を流す電線である。配線材15は、一方の端部が板状導体13に取り付けられ接続されており、他方の端部が通電状態測定部17に接続されている。配線材15は、板状導体13と接続される側の端部にコネクタ端子が取り付けられており、この板状導体13側のコネクタ端子と着脱自在に接続可能である。配線材15は、例えば、
図3に示すノーズレール5の表面にこのノーズレール5の長さ方向に沿って接着剤などによって貼り付けられている。配線材15は、
図4及び
図5に示すノーズレール5とウィングレール3c,3dとの間の間隙部を通過して、分岐器1の外側の通電状態測定部17に接続されている。配線材15は、例えば、複数本又は1本の銅線、銀めっき銅線、銅ニッケル合金線、ニッケルクラッド銅線又はニッケルめっき銅線などを被覆材によって被覆したリード線である。
【0040】
図6に示す給電部16は、亀裂発生検出用電極層12b,12cに電力を供給する部分である。給電部16は、例えば、亀裂発生検出用電極層12b,12cに電力を供給する直流電源である。給電部16は、制御部20からの指令に基づいて、亀裂発生検出用電極層12b,12c間に直流電力を供給し、これらの間に直流電圧を印加し亀裂発生検出用導電層12aに直流電流を流す。
【0041】
通電状態測定部17は、亀裂発生検出用導電層12aの通電状態を測定する部分である。通電状態測定部17は、例えば、亀裂進展検出用導電層12aの電気抵抗を測定する抵抗測定器などである。通電状態測定部17は、制御部20からの指令に基づいて、亀裂発生検出用導電層12aの通電状態を測定する。通電状態測定部17は、亀裂発生検出用導電層12aの亀裂発生検出用電極層12b,12c間に直流電流を流し、この亀裂発生検出用電極層12b,12c間の電気抵抗を測定する。通電状態測定部17は、給電部16に接続されており、給電部16からの直流電力を亀裂発生検出用電極層12b,12cに供給する。通電状態測定部17は、通電状態の測定結果(電気抵抗)を通電状態測定信号(通電状態測定情報)として制御部20に送信する。
【0042】
図6に示す評価部18は、通電状態測定部17の測定結果に基づいて亀裂Cの発生状況を評価する部分である。評価部18は、通電状態測定部17の測定結果に基づいて、ノーズレール5の初期の亀裂Cの発生状況を評価する。評価部18は、亀裂発生検出用導電層12aの通電状態の測定結果に基づいて、亀裂C
1が発生しているか否かを評価する。評価部18は、例えば、亀裂進展検出用導電層12aを形成したときの通電状態測定部17の測定結果(初期抵抗値)と、亀裂進展検出用導電層12aを形成してから所定時間経過後(全般検査周期)の通電状態測定部17の測定結果(測定抵抗値)とに基づいて抵抗値変化量を演算し、この抵抗値変化量に基づいてノーズレール5の初期の亀裂Cの発生の有無を評価する。評価部18は、ノーズレール5に発生する初期の亀裂Cなどに関する評価結果を評価結果信号(評価結果情報)として制御部20に送信する。
【0043】
図6に示す通信部19は、評価部18の評価結果を送信する部分である。通信部19は、制御部20が出力する評価情報を図示しない中央監視室内の送受信機に有線又は無線により送信したり、この中央監視室内の送受信機からの評価情報の送信指令を受信したりする送受信機などである。
【0044】
制御部20は、亀裂監視装置11の種々の動作を制御する中央処理部(CPU)である。制御部20は、給電部16に直流電力の供給を指令したり、通電状態測定部17に通電状態の測定を指令したり、通電状態測定部17にボード線図の生成を指令したり、通電状態測定部17の測定結果を評価部18に送信してこの評価部18に亀裂Cを評価させたり、評価部18の評価結果を通信部19から送信させたりする。制御部20には、給電部16と、通電状態測定部17と、評価部18と、通信部19などが接続されている。
【0045】
収容部21は、亀裂監視装置11の信号処理部を収容する部分である。収容部21は、給電部16、通電状態測定部17、評価部18、通信部19及び制御部20などを収容している。収容部21には、配線材15が引き込まれており図示しない接続端子にこれらが接続されている。収容部21は、給電部16及び通電状態測定部17などの信号処理部をユニット化した状態で収容する端子箱などであり、全般検査時に点検可能なように
図1及び
図2に示す分岐器1の近傍に配置され固定されている。
【0046】
次に、この発明の実施形態に係る亀裂監視装置における亀裂監視材の製造方法を説明する。
図4及び
図5に示すノーズレール5では、底部側面6e,7eのエッジ部などの限られた範囲を起点として亀裂Cが発生するおそれがある。例えば、
図6及び
図9に示すように、ノーズレール5の底部側面6e,7eのエッジ部を起点として亀裂Cの発生が予測される場合には、
図7及び
図8に示すようにノーズレール5の底部側面6e,7eの長さ方向に沿って、この底部側面6e,7eの縁部の表面に防錆絶縁塗料を塗布し、
図9に示す防錆絶縁層12dが形成される。次に、防錆絶縁層12dの表面を被覆するように、この防錆絶縁層12dの表面に環境遮断性を有する防錆絶縁塗料を塗布して環境遮断層12eが形成される。
【0047】
次に、ノーズレール5の底部側面6e,7eの縁部に沿って環境遮断層12eの表面にこの環境遮断層12eよりも狭い幅で導電性塗料を帯状に塗布して、
図6〜
図8に示すように亀裂発生検出用導電層12aを形成する。その後に、亀裂発生検出用導電層12aの表面の両端部に導電性塗料をそれぞれ線状に塗布して亀裂発生検出用電極層12b,12cを形成する。次に、
図6〜
図8及び
図10に示すように、亀裂発生検出用電極層12b,12cにそれぞれ導電性塗料を帯状に塗布して配線用導電層12hが形成されて、亀裂発生検出用電極層12b,12cに配線用導電層12hが接続される。その後に、
図9に示すように、亀裂発生検出用導電層12a及び亀裂発生検出用電極層12b,12cの表面に環境遮断性を有する塗料を帯状に塗布して環境遮断層12fが形成される。次に、環境遮断層12fの表面に耐候性塗料を帯状に塗布して耐候層12gを形成し、
図6〜
図8に示すようにノーズレール5の表面に亀裂監視材12が形成される。
【0048】
次に、
図7、
図8及び
図10に示すように、板状導体13の端部裏面と環境遮断層12eの表面とを接着剤層12jによって接合し、板状導体13の端部表面と配線用導電層12hの端部表面とに跨るように、導電性塗料を帯状に塗布して配線用導電層12iが形成される。その後に、
図6に示すように、接着剤層12jによって接着される側とは反対側の板状導体13の端部に配線材15を接続する。次に、収縮チューブによって板状導体13を被覆した状態でこの収縮チューブを加熱すると、
図10に示すように板状導体13の表面が保護材14によって被覆され保護される。次に、亀裂発生検出用導電層12a、亀裂発生検出用電極層12b,12c、配線用導電層12h,12i、接着剤層12j、板状導体13及び保護材14の表面にシリコンコーキング材を塗布して保護層12kが形成される。最後に、分岐器1の近傍に収容部21を固定して、板状導体13に接続される側とは反対側の配線材15の端部が収容部21の接続端子に接続される。
【0049】
次に、この発明の実施形態に係る亀裂監視装置における板状導体の作用を説明する。
図1及び
図2に示すように、ノーズレール5がC
1,C
2方向に転換動作すると、
図6〜
図8に示す亀裂監視材12がノーズレール5と一体となってC
1,C
2方向に移動する。その結果、亀裂監視材12の往復動作に連動して、板状導体13が追従して撓むため、この板状導体13の重量や抵抗力が亀裂監視材12の配線用導電層12iに殆ど伝わらない。例えば、亀裂監視材12の配線用導電層12iと配線材15とを直接接合すると、ノーズレール5の転換動作によって配線用導電層12iと配線材15との接合部からこの配線材15が外れる可能性がある。この実施形態では、
図10に示すように、配線用導電層12iと板状導体13とが接合部で面接合しており、この配線用導電層12iに板状導体13が弛緩状態で接続されている。このため、ノーズレール5がC
1,C
2方向に転換動作しても、板状導体13の重量や張力などが亀裂監視材12の配線用導電層12iに伝わらず、配線用導電層12iから板状導体13が外れるのを防ぐ。
【0050】
次に、この発明の実施形態に係る亀裂監視装置の動作を説明する。
以下では、制御部20の動作を中心として説明する。
図11に示すステップ(以下Sという)100において、亀裂Cの検出を開始するか否かを制御部20が判断する。制御部20は、例えば、時刻を測定する計時機能を有しており、始発列車が分岐器1を通過する検出開始時刻に達するとS100〜S150の処理を開始する。亀裂Cの検出開始時刻になったと制御部20が判断したときにはS110に進み、亀裂Cの検出開始時期になっていないと制御部20が判断したときには一連の亀裂監視処理を終了する。
【0051】
S110において、亀裂発生検出用導電層12aへの電力の供給を給電部16に制御部20が指令する。
図6に示す制御部20が給電部16に直流電力の供給を指令すると、亀裂発生検出用電極層12b,12cに給電部16が直流電力を供給し、亀裂発生検出用導電層12aに直流電流が流れる。
【0052】
S120において、亀裂発生検出用導電層12aの通電状態の測定を通電状態測定部17に制御部20が指令する。
図6に示す制御部20が通電状態測定部17に通電状態の測定開始を指令すると、亀裂発生検出用導電層12aの電気抵抗を通電状態測定部17が測定する。その結果、亀裂発生検出用導電層12aの通電状態の変化を通電状態測定部17が測定して、この測定結果を通電状態測定部17が制御部20に送信する。
【0053】
S130において、亀裂Cの発生の評価を評価部18に制御部20が指令する。通電状態測定部17の測定結果を制御部20が評価部18に送信すると、評価部18がこの測定結果に基づいて亀裂発生検出用導電層12aに亀裂Cが発生したか否かを評価する。
図6に示すように、ノーズレール5の底部側面6e,7eの縁部を起点として亀裂Cが発生すると、この底部側面6e,7eの縁部側の亀裂監視材12の縁部が部分的に破断してこの亀裂監視材12に亀裂Cが発生する。亀裂発生時の極僅かな亀裂長さでは亀裂部分の開口幅が変動し、亀裂発生検出用導電層12aの電気抵抗が変化する。このため、例えば、亀裂進展検出用導電層12aを形成したときの初期抵抗値と、亀裂進展検出用導電層12aを形成してから所定時間経過後の測定抵抗値との差を抵抗値変化量として評価部18が演算する。抵抗値変化量が所定値以下であると評価部18が評価したときには、ノーズレール5に亀裂Cが発生していないと評価部18が評価する。一方、抵抗値変化量が所定値を超えていると評価部18が評価したときには、ノーズレール5に亀裂Cが発生していると評価部18が評価する。
【0054】
S140において、評価結果の送信を通信部19に制御部20が指令する。亀裂Cの発生の有無を評価部18が評価情報として制御部20に送信すると、この評価情報を制御部20が通信部19に送信し、図示しない中央監視室にこの評価情報を通信部19が送信する。
【0055】
S150において、亀裂Cの検出を終了するか否かを制御部20が判断する。制御部20は、例えば、時刻を測定する計時機能を有しており、最終列車が分岐器1を通過する検出終了時刻を経過すると一連の亀裂監視処理を終了する。亀裂Cの検出終了時刻になったと制御部20が判断したときには一連の亀裂監視処理を終了し、亀裂Cの検出終了時刻になっていないと制御部20が判断したときにはS120に戻り、S120以降の処理を繰り返す。
【0056】
この発明の実施形態に係る亀裂監視装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この実施形態では、ノーズレール5に発生する亀裂Cを亀裂監視材12が監視し、この亀裂監視材12の配線用導電層12iと面接合した状態でこの配線用導電層12iに可撓性の板状導体13が電気的に接続される。このため、転換動作時や列車通過時に発生するノーズレール5の振動に追従して板状導体13が撓み、配線用導電層12iから板状導体13が外れるのを防ぐことができる。その結果、亀裂Cの監視性能を長期間にわたり維持することができるとともに、ノーズレール5に発生する亀裂Cを長期間正確に監視することができる。
【0057】
(2) この実施形態では、板状導体13が平編金属線である。このため、安価で簡単な構造の平編金属線を利用することで配線用導電層12iから平編金属線が外れるのを防ぐことができ、亀裂監視装置11の耐久性を向上させることができる。また、平編金属線の一部が破断しても電気的な通電状態を長期間にわたり維持することができるとともに、配線用導電層12iとの接合面積が広くなって配線用導電層12iに平編金属線から安定して電力を供給することができる。
【0058】
(3) この実施形態では、板状導体13が配線用導電層12iの表面に接着されている。このため、板状導体13と配線用導電層12iとを接着剤などによって簡単に接合することができ、現場での施工性を向上させることができる。
【0059】
(4) この実施形態では、板状導体13と配線用導電層12iとが接合する接合部の表面を保護層12kが保護する。このため、板状導体13と配線用導電層12iとの接合部が腐食するのを防ぐことができ、屋外で亀裂Cを長期間にわたり監視することができる。
【0060】
(5) この実施形態では、板状導体13の表面を保護材14が保護する。このため、板状導体13の表面が腐食するのを防ぐことができ、屋外で亀裂Cを長期間にわたり監視することができる。
【0061】
(6) この実施形態では、ノーズレール5に発生する亀裂Cを亀裂監視材12が検出する。このため、例えば、亀裂Cが発生し易いノーズレール5のロッド近傍部及び断面変化部を重点的に監視し、ノーズレール5に発生する亀裂Cを初期の段階から迅速に検知することができる。
【0062】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、監視対象物が可動部材である場合を例に挙げて説明したが、監視対象物が非可動の固定部材である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、監視対象物として分岐器1のノーズレール5を例に挙げて説明したが、他の可動部材についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、ノーズ可動クロッシングのノーズレール5のような可動レールに発生する亀裂Cを監視する場合を例に挙げて説明したが、このような可動レールに監視対象物を限定するものではない。例えば、可動部分を有する可動K字クロッシング、ウィングレールが可動するウィング可動クロッシングなどの可動レール、ポイント部又はスリップスイッチのトングレール、可動部分を有さない固定クロッシングのノーズレール、可動部分を有さない固定K字クロッシングのレールなどについてもこの発明を適用することができる。
【0063】
(2) この実施形態では、車輪Wのフランジ背面W
3に接触してこの車輪Wを誘導するガードレールが主レール3a,3bに近接して取り付けられていないクロッシング部3を例に挙げて説明したが、このようなガードレールが主レール3a,3bに近接して取り付けられているクロッシング部についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、板状導体13が平編金属線である場合を例に挙げて説明したが、断面形状が長方形の複数本の平型導体を絶縁材によって板状に被覆したフレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable(FFC))などを板状導体13として使用することもできる。さらに、この実施形態では、亀裂監視材12の上層を耐候層12gによって保護する場合を例に挙げて説明したが、軌道のバラストの飛散によって亀裂監視材12が損傷するのを防ぐために、ポリエステル系不織布などの保護材によって耐候層12gの表面を被覆し保護することもできる。