【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明の一態様は、体液のサンプル内の被検体を検出する流体装置である。流体装置は、体液のサンプルを前記流体装置に供給するようになされたサンプル採取ユニット、前記サンプル採取ユニットと流体連通し、前記体液のサンプル内の被検体の存在または量を示す光信号を発するようになされた分析アセンブリ、および前記分析アセンブリと流体連通し、前記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリ(quencher assembly)を備える。
【0006】
一部の実施形態においては、分析アセンブリが、分析に用いられる試薬を備える複数の試薬室、および被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を含む。試薬は、酵素複合体および酵素基質であってよい。
【0007】
消光アセンブリが、反応部位と流体連通する消光部位、および消光部位における消光剤を含むことができる。消光アセンブリが、更に吸収材を含むことができ、吸収材は、例えば、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル(polyacylamide gel)、アガロースまたは寒天でもよい。
【0008】
吸収材に消光剤を含浸させることができる。消光剤が分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって干渉光信号を減少させることができる。一部の実施形態においては、消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸である。
【0009】
一部の実施形態においては、分析アセンブリが免疫測定法を実施するようになされており、免疫測定法は化学発光分析でよい。消光アセンブリが干渉を実質的に排除するようになされることができる。
【0010】
一部の実施形態においては、流体装置が消光部位を含む廃棄物室を有する。
【0011】
本発明の別の態様は、サンプル内の被検体を検出するシステムである。該システムは、前記被検体の存在を示す光信号を発するように構成された分析アセンブリ、および前記分析アセンブリと流体連通し、前記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリを有する流体装置と、前記光信号を検出する検出アセンブリとを備える。
【0012】
一部の実施形態においては、前記光信号を外部装置に伝送する通信アセンブリを該システムが更に含む。
【0013】
一部の実施形態においては、分析アセンブリが、分析に用いられる少なくとも1種の試薬を備える複数の試薬室、および被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を備える。少なくとも1種の試薬は、酵素複合体および酵素基質を含むことができる。
【0014】
一部の実施形態においては、消光アセンブリが、反応部位と流体連通する消光部位、および消光部位における消光剤を備える。消光アセンブリが、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロースまたは寒天などの吸収材を含むことができる。吸収材に消光剤を含浸させることができ、消光剤は、前記分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって前記光信号の前記干渉を減少させる。消光剤は、例えば、4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸でよい。
【0015】
該システムの一部の実施形態においては、分析アセンブリが、免疫測定法を実施するようになされており、更に化学発光分析でよい。
【0016】
消光アセンブリが干渉を実質的に排除するようになされることができる。
【0017】
該システムの一部の実施形態には、流体装置が消光部位を備える廃棄物室がある。
【0018】
本発明の一態様は、サンプル内の被検体を検出する方法である。該方法は、前記被検体を含有する疑いのあるサンプルを、前記被検体の存在を示す光信号を発するように構成さ
れた分析アセンブリ、および前記分析アセンブリと流体連通し、前記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリを有する流体装置に内包された試薬と反応させること、および前記光信号を検出し、もって前記サンプル内の前記被検体を検出することを備える。
【0019】
本発明の一態様は、消光アセンブリを有する流体装置を製造する方法である。該方法は、前記流体装置の複数の層を準備すること、サンプル採取ユニットと、少なくとも1つの試薬室と、少なくとも1つの反応部位と、少なくとも1つの消光アセンブリとの間に流体ネットワークを設けるために前記層を一体に取り付けることを備える。
【0020】
一部の実施形態において、取り付けが該層を一体に超音波溶接することを備える。
例えば、本発明は、以下の項目を提供する:
(項目1)
体液のサンプル内の被検体を検出する流体装置であって、
体液のサンプルを上記流体装置に供給するようになされたサンプル採取ユニット;
上記サンプル採取ユニットと流体連通し、上記体液のサンプル内の上記被検体の存在を示す光信号を発するようになされた分析アセンブリ;および
上記分析アセンブリと流体連通し、上記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリを備える流体装置。
(項目2)
上記分析アセンブリが、上記分析に用いられる少なくとも1種の試薬を備える複数の試薬室、および上記被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を備える、項目1に記載の流体装置。
(項目3)
上記少なくとも1種の試薬が、酵素複合体および酵素基質を含む、項目2に記載の流体装置。
(項目4)
上記消光アセンブリが、上記反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目2に記載の流体装置。
(項目5)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目4に記載の流体装置。
(項目6)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目5に記載の流体装置。
(項目7)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目5に記載の流体装置。
(項目8)
上記消光剤が上記分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって上記光信号の上記干渉を減少させる、項目5に記載の流体装置。
(項目9)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸である、項目8に記載の流体装置。
(項目10)
上記分析アセンブリが化学発光分析を実施するようになされた、項目1に記載の流体装置。
(項目11)
上記消光アセンブリが上記干渉を実質的に排除するようになされた、項目1に記載の流体装置。
(項目12)
上記流体装置が免疫測定法を実施するようになされた、項目1に記載の流体装置。
(項目13)
上記消光部位を備える廃棄物室を更に備える、項目4に記載の流体装置。
(項目14)
上記体液のサンプルが血液である、項目1に記載の流体装置。
(項目15)
サンプル内の被検体を検出するシステムであって、
上記被検体の存在を示す光信号を発するように構成された分析アセンブリ;および
上記分析アセンブリと流体連通し、上記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリ
を備えた流体装置と
上記光信号を検出する検出アセンブリとを備えるシステム。
(項目16)
上記光信号を外部装置に伝送するようになされた通信アセンブリを更に備える、項目15に記載のシステム。
(項目17)
上記分析アセンブリが、上記分析に用いられる少なくとも1種の試薬を備える複数の試薬室、および上記被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を備える、項目15に記載のシステム。
(項目18)
上記少なくとも1種の試薬が、酵素複合体および酵素基質を含む、項目17に記載のシステム。
(項目19)
上記消光アセンブリが、上記反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目17に記載のシステム。
(項目20)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目19に記載のシステム。
(項目21)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目20に記載のシステム。
(項目22)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目20に記載のシステム。
(項目23)
上記消光剤が上記分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって上記光信号の上記干渉を減少させる、項目20に記載のシステム。
(項目24)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸である、項目23に記載のシステム。
(項目25)
上記分析アセンブリが化学発光分析を実施するようになされた、項目17に記載のシステム。
(項目26)
上記消光アセンブリが上記干渉を実質的に排除するようになされた、項目17に記載のシステム。
(項目27)
上記流体装置が免疫測定法を実施するようになされた、項目17に記載のシステム。
(項目28)
上記消光部位を備える廃棄物室を更に備える、項目19に記載のシステム。
(項目29)
上記体液のサンプルが血液である、項目15に記載のシステム。
(項目30)
サンプル内の被検体を検出する方法であって、
上記被検体を含有する疑いのあるサンプルを、
上記被検体の存在を示す光信号を発するように構成された分析アセンブリ;および
上記分析アセンブリと流体連通し、上記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリ
を備える流体装置に内包された少なくとも1種の反応物と反応させること;および
上記光信号を検出し、もって上記サンプル内の上記被検体を検出することを備える方法。
(項目31)
上記分析アセンブリが、上記分析に用いられる少なくとも1種の試薬を備える複数の試薬室、および上記被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を備える、項目30に記載の方法。
(項目32)
上記少なくとも1種の試薬が、酵素複合体および酵素基質を含む、項目31に記載の方法。
(項目33)
上記消光アセンブリが、上記反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目31に記載の方法。
(項目34)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目33に記載の方法。
(項目35)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目34に記載の方法。
(項目36)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目34に記載の方法。
(項目37)
上記消光剤が上記分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって上記光信号の上記干渉を減少させる、項目34に記載の方法。
(項目38)
消光アセンブリを有する流体装置を製造する方法であって、
上記流体装置の複数の層を準備すること;
サンプル採取ユニットと、少なくとも1つの試薬室と、少なくとも1つの反応部位と、少なくとも1つの消光アセンブリとの間に流体ネットワークを設けるために上記層を一体に取り付けることを備える方法。
(項目39)
上記取り付けが、上記層を一体に超音波溶接することを備える、項目38に記載の方法。
(項目40)
上記消光アセンブリが、上記少なくとも1つの反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目38に記載の方法。
(項目41)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目40に記載の方法。
(項目42)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目41に記載の方法。
(項目43)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目41に記載の方法。
(項目44)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸である、項目42に記載の方法。
(項目45)
サンプル内の被検体を検出する流体装置であって、
サンプル採取ユニットと;
表面、およびそこに固定化された被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位;
酵素複合体を備える第1の試薬室;
上記酵素複合体と反応して発光信号を生成する酵素基質を備える第2の試薬室;および
上記試薬室を上記少なくとも1つの反応部位と接続する流体通路;
を備える分析アセンブリと;
吸収材、および上記酵素複合体と上記酵素基質との上記反応を軽減する消光剤を備える消光アセンブリと;
上記サンプル採取ユニットおよび上記消光アセンブリを上記分析アセンブリと接続する複数の流体通路とを備える流体装置。
(項目46)
流体通路を介して上記分析アセンブリに接続され、上記吸収材を備える廃棄物室を、上記消光アセンブリが更に備える、項目45に記載の流体装置。
(項目47)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、または寒天からなる群から選択される、項目45に記載の流体装置。
(項目48)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸であり、上記酵素複合体がアルカリホスファターゼで標識された試薬である、項目47に記載の流体装置。
(項目49)
上記分析アセンブリが免疫測定法を実施するようになされた、項目45に記載の流体装置。
(項目50)
サンプル内の被検体を検出する方法であって、
上記被検体を含有する疑いのあるサンプルを、
上記被検体の存在を示す光信号を発するように構成された分析アセンブリ;および
上記分析アセンブリと流体連通し、上記光信号の干渉を減少させるようになされた消光アセンブリ
を備える流体装置に内包された少なくとも1種の反応物と反応させること;および
上記光信号を検出し、もって上記サンプル内の上記被検体を検出することを備える方法。
(項目51)
上記分析アセンブリが、上記分析に用いられる少なくとも1種の試薬を備える複数の試薬室、および上記被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位を備える、項目50に記載の方法。
(項目52)
上記少なくとも1種の試薬が、酵素複合体および酵素基質を含む、項目51に記載の方法。
(項目53)
上記消光アセンブリが、上記反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目51に記載の方法。
(項目54)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目53に記載の方法。
(項目55)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目54に記載の方法。
(項目56)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目54に記載の方法。
(項目57)
上記消光剤が上記分析からの少なくとも1種の試薬を不活性化するようになされ、もって上記光信号の上記干渉を減少させる、項目54に記載の方法。
(項目58)
消光アセンブリを有する流体装置を製造する方法であって、
上記流体装置の複数の層を準備すること;
サンプル採取ユニットと、少なくとも1つの試薬室と、少なくとも1つの反応部位と、少なくとも1つの消光アセンブリとの間に流体ネットワークを設けるために上記層を一体に取り付けることを備える方法。
(項目59)
上記取り付けが、上記層を一体に超音波溶接することを備える、項目58に記載の方法。
(項目60)
上記消光アセンブリが、上記少なくとも1つの反応部位と流体連通する消光部位、および上記消光部位における消光剤を備える、項目58に記載の方法。
(項目61)
上記消光アセンブリが吸収材を更に備える、項目60に記載の方法。
(項目62)
上記吸収材には上記消光剤を含浸させてある、項目61に記載の方法。
(項目63)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、および寒天からなる群から選択される、項目61に記載の方法。
(項目64)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸である、項目63に記載の方法。
(項目65)
サンプル内の被検体を検出する流体装置であって、
サンプル採取ユニットと;
表面、およびそこに固定化された被検体と結合する反応物を備える少なくとも1つの反応部位;
酵素複合体を備える第1の試薬室;
上記酵素複合体と反応して発光信号を生成する酵素基質を備える第2の試薬室;および
上記試薬室を上記少なくとも1つの反応部位と接続する流体通路;
を備える分析アセンブリと;
吸収材、および上記酵素複合体と上記酵素基質との上記反応を軽減する消光剤を備える消光アセンブリと;
上記サンプル採取ユニットおよび上記消光アセンブリを上記分析アセンブリと接続する複数の流体通路とを備える流体装置。
(項目66)
流体通路を介して上記分析アセンブリに接続され、上記吸収材を備える廃棄物室を、上記消光アセンブリが更に備える、項目65に記載の流体装置。
(項目67)
上記吸収材が、ガラス繊維、シリカ、紙、ポリアシルアミドゲル、アガロース、または寒天からなる群から選択される、項目65に記載の流体装置。
(項目68)
上記消光剤が4−アミノ−1,11−アゾベンゼン−3,41−ジスルホン酸であり、
上記酵素複合体がアルカリホスファターゼで標識された試薬である、項目67に記載の流体装置。
(項目69)
上記分析アセンブリが免疫測定法を実施するようになされた、項目65に記載の流体装置。
【0021】
(参照による引用)
本明細書で言及した出版物および特許出願の全ては、参照することにより、個々の出版物または特許出願が具体的にかつ個別に参照することによって組み込まれるように示されたのと同じ程度に本明細書に組み込まれる。
【0022】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に述べられている。本発明の原理を利用した実例的な実施形態を説明する以下の詳細な説明、および添付の図面を参照することにより、本発明の特徴および利点の一層の理解がなされるであろう。