特許第5936295号(P5936295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5936295
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】陳列棚の組付構造及びその構成部材
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/00 20060101AFI20160609BHJP
   A47B 57/42 20060101ALI20160609BHJP
   A47B 57/56 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A47F5/00 C
   A47B57/42 E
   A47B57/56 A
【請求項の数】4
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-1899(P2016-1899)
(22)【出願日】2016年1月7日
【審査請求日】2016年1月8日
(31)【優先権主張番号】特願2015-210145(P2015-210145)
(32)【優先日】2015年10月26日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591134432
【氏名又は名称】株式会社セラタ
(74)【代理人】
【識別番号】100100376
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 誠一
(72)【発明者】
【氏名】世良田 次朗
(72)【発明者】
【氏名】井元 章
【審査官】 角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−187745(JP,A)
【文献】 特開2011−089590(JP,A)
【文献】 特開平10−041016(JP,A)
【文献】 特開平02−180384(JP,A)
【文献】 特開2010−051341(JP,A)
【文献】 米国特許第05494246(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 57/40−57/42
57/54−57/56
A47F 5/00−5/01
5/10
5/12−5/13
5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付穴を有して、第1方向に連設される複数本の支柱と、
前記取付穴に挿入される支持片を起点として第2方向に突出して陳列部材を保持する棚受部材と、
前記棚受部材の一部を切除して形成された装着部に対して、第2方向に直進する弾発移動を許容して装着される係合部材と、を有して構成され、
前記装着部は、
第1方向の高さが略均一の収納幅を、開放端から閉塞端に向けて、第2方向に形成する収容溝と、
前記収容溝の開放端に、前記収納幅より狭い入口幅を形成する抜止突起と、
前記収容溝の閉塞端に近接して、前記収納幅より寸法が広いか狭い変形幅を形成する仮止部と、を有して構成され、
前記係合部材は、
前記収容溝を覆うように前記棚受部材を挟持する一対の把持片と、
一対の把持片の間に設けられ、前記収容溝に挿入可能に形成された挿入片と、
前記挿入片に形成された所定深さの開口穴に収容される弾性スプリングと、を有することで、第2方向の弾発移動が実現可能に構成され、
前記挿入片には、
前記収容溝の閉塞端から開放端に向けて立ち上がる係止片が形成され、
前記挿入片の支柱側は、第1方向の高さが全体として均一化された均一形状、又は第1方向の高さが、全体として均一でない変形形状を有して、自由状態では、前記収容溝から突出するよう構成され、
前記係止片は、前記収容溝への導入時に、前記抜止突起によって降伏変形する一方、前記抜止突起を通過した後は、前記抜止突起からの導出を阻止する立ち上がり姿勢に復帰し、
前記収容溝に更に進入して前記仮止部に至るか、前記仮止部を通過した後は、前記係止片の突出先端が前記仮止部と係合することで、前記係合部材が、その位置に保持可能に構成され、
前記係合部材が保持された状態では、前記係合部材の全体が、前記収容溝の内部に位置するよう構成されていることを特徴とする陳列棚の組付構造。
【請求項2】
請求項1の組付構造を実現する係合部材。
【請求項3】
請求項1の組付構造を実現する棚受部材。
【請求項4】
請求項1の組付構造を実現する支柱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列棚板を保持する棚受部材の基端部を、支柱の角穴に着脱可能に固定する陳列棚の組付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
縦長の角穴を有して垂直方向に連設される複数本の支柱と、角穴に挿入される支持片を起点として水平方向に突出して陳列棚板の下面を保持する棚受部材と、棚受部材の装着溝に移動可能に装着される係合部材(抜止具)とで実現される組付構造に関して、各種の発明が提案されている(特許文献1〜特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187745号公報
【特許文献2】実開平1−128627号公報
【特許文献3】実公昭50−3784号公報公報
【特許文献4】実開昭61−199248号
【特許文献5】米国特許第5022621号明細書
【特許文献6】米国特許第4406374号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、特許文献1の発明は、装着溝の下方端面を上方端面より長く突出させると共に、下方端面の先端に、抜止突起を設ける構成を採っている(特許文献1の図7)。そのため、抜止具を真っ直ぐには挿入できず、斜め上方から傾斜姿勢で挿入するしかないという操作性の問題がある。なお、この構成では、装着溝の上方端面の先端に抜止突起を設けると、もはや、抜止具を挿入することができない。
【0005】
一方、装着溝の上方端面と下方端面に、一対の抜止突起を設ける構成を採る場合(特許文献1の図14)には、抜止具を真っ直ぐに挿入することができ、この意味で操作性に優れている。
【0006】
しかし、この構成を採る場合には、一対の抜止突起に係止されるべく、抜止具に、上下一対の弾性片を設け、且つ、この弾性片の解放端に各々突起を設ける必要があり、抜止具の構造が複雑化するという問題がある。また、一対の抜止突起の突出高さの精度が必要となり、突出高さが高すぎると抜止具を挿入できず、逆に、低すぎると抜止部が抜けてしまうおそれがある。
【0007】
更に、特許文献1の構成では、コイルバネ23の基端部を、ボス部(バネ受け突起28)に密嵌させる必要があるため、コイルバネ23の組付け作業が非常に煩雑であった。なお、コイルバネ23の基端部が、ボス部に密嵌されていないと、装着溝に抜止具を装着するまでに、抜止具からコイルバネが容易に抜け落ちる。
【0008】
また、特許文献1〜引用文献3の何れにも、支柱の角穴(取付穴)の寸法が相違しても、最適位置に自動的に位置決めされる抜止具(係合部材)の構成は示唆されていない。なお、特許文献4〜6には、棚受部材に関連して、段差状又はテーパ状の部材が設けられているが、これらの部材は、何れも弾発移動可能な部材ではないので、自動的に最適位置に移動することはあり得ない。
【0009】
更にまた、何れの特許文献にも、抜止具を装着溝に装着した状態で、棚受部材を陳列棚板に一体化したまま、一気に支柱から分離できる構成は、開示も示唆もされていない。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、抜止具の組付け操作における操作性に優れ、且つ、抜止突起を設ける場合でも、抜止突起の形成に特段の工作精度を要しない陳列棚の組付構造を提供することを目的とする。また、支柱の取付穴の寸法の相違に拘らず、自動的に最適な保持状態を実現可能で、また、一体的な移送作業も可能な組付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明は、取付穴(HO)を有して、第1方向に連設される複数本の支柱(1)と、前記取付穴に挿入される支持片(BS)を起点として第2方向に突出して陳列部材を保持する棚受部材(2)と、前記棚受部材の一部を切除して形成された装着部(FX)に対して、第2方向に直進する弾発移動を許容して装着される係合部材(4)と、を有して構成され、前記装着部は、第1方向の高さが略均一の収納幅を、開放端から閉塞端に向けて、第2方向に形成する収容溝(GV)と、前記収容溝の開放端に、前記収納幅より狭い入口幅を形成する抜止突起(PR)と、前記収容溝の閉塞端に近接して、前記収納幅より寸法が広いか狭い変形幅を形成する仮止部(LK)と、を有して構成され、前記係合部材は、前記収容溝を覆うように前記棚受部材を挟持する一対の把持片(10)と、一対の把持片の間に設けられ、前記収容溝に挿入可能に形成された挿入片(11)と、前記挿入片に形成された所定深さの開口穴(12)に収容される弾性スプリング(SP)と、を有することで、第2方向の弾発移動が実現可能に構成され、前記挿入片には、前記収容溝の閉塞端から開放端に向けて立ち上がる係止片(13)が形成され、前記挿入片の支柱側は、第1方向の高さが全体として均一化された均一形状、又は第1方向の高さが、全体として均一でない変形形状を有して、自由状態では、前記収容溝から突出するよう構成され、前記係止片は、前記収容溝への導入時に、前記抜止突起によって降伏変形する一方、前記抜止突起を通過した後は、前記抜止突起からの導出を阻止する立ち上がり姿勢に復帰し、前記収容溝に更に進入して前記仮止部に至るか、前記仮止部を通過した後は、前記係止片の突出先端が前記仮止部と係合することで、前記係合部材が、その位置に保持可能に構成され、前記係合部材が保持された状態では、前記係合部材の全体が、前記収容溝の内部に位置するよう構成されている。
【0012】
前記一対の把持片は、何れも、好ましくは、第1方向に見た板厚がほぼ同一の略平坦面を形成する板状部と、前記板状部より肉厚の隆起部と、を有して構成され、前記板状部が前記把持片の第2方向の全体に及ぶことで、一対の基端面(第2方向への挿入時の先端面)の一方がL字形状であるのに対して、他方の基端面が、前記L字形状を反時計方向に180度回転させた反転L字形状となるよう構成されている。
【0013】
また、前記係止片は、好ましくは、収容溝の閉塞端から開放端に向けて直線的に立ち上がる形状を有して構成され、前記収容溝への導入時に、前記抜止突起を通過した後は、前記係止片が直線的な立ち上がり姿勢に復帰して、その突出先端が前記抜止突起に係止されることで、移動操作を経ない限り、前記支柱の方向に移動しないように構成されている。
【0014】
また、本発明は、取付穴を有して、第1方向に連設される複数本の支柱と、前記取付穴に挿入される支持片を起点として第2方向に突出して陳列棚を保持する棚受部材と、前記棚受部材の一部を切除して収容溝を形成した装着部に対して、第2方向と第1方向が形成する平面の回転方向に弾発移動可能に装着される係合部材と、を有して構成され、前記係合部材は、前記収容溝を覆うように前記棚受部材を挟持する一対の把持片と、一対の把持片の間に設けられ、前記収容溝に挿入可能に形成された挿入片と、を有して構成され、前記挿入片の支柱側は、第1方向の高さが相違する変形形状を有して、自由状態で前記収容溝から突出するよう構成されている。
【0015】
この発明でも、前記変形形状は、段差形状であるか、直線的又は曲線的なテーパ形状であるのが典型的である。また、本発明は、上記した何れかの組付構造を実現する係合部材、棚受部材、又は、支柱でもある。
【0016】
更にまた、本発明に係る陳列棚の組付構造は、取付穴を有して第1方向に連設される複数本の支柱と、前記取付穴に挿入される支持片を起点として第2方向に突出して陳列部材を保持する棚受部材と、前記棚受部材の一部を切除して形成された装着部に対して、第2方向に直進する弾発移動を許容して装着される係合部材と、を有して構成され、前記装着部は、第1方向の高さが略均一の収納幅を開放端から閉塞端に向けて第2方向に形成する収容溝と、前記収容溝の開放端に、前記収納幅より狭い入口幅を形成する抜止突起と、前記収容溝の閉塞端に近接して、前記収納幅より寸法が広いか狭い変形幅を形成する仮止部と、を有して構成され、前記係合部材は、前記収容溝を覆うように前記棚受部材を挟持する一対の把持片と、一対の把持片の間に設けられ、前記収容溝に挿入可能に形成された挿入片と、前記挿入片に保持される弾性スプリングと、を有することで、第2方向の弾発移動が実現可能に構成され、前記挿入片には、前記収容溝の閉塞端から開放端に向けて立ち上がる係止片が形成され、前記係止片は、前記収容溝への導入時に、前記抜止突起によって降伏変形する一方、前記抜止突起を通過した後は、前記抜止突起からの導出を阻止する立ち上がり姿勢に復帰し、前記収容溝に更に進入して前記仮止部に至るか、前記仮止部を通過した後は、前記係止片の突出先端が前記仮止部と係合することで、前記係合部材が、その位置に保持可能に構成され、前記係合部材が保持された状態では、前記係合部材の全体が、前記収容溝の内部に位置する構成を採ることもできる。
【発明の効果】
【0017】
上記した本発明によれば、抜止具の組付け操作における操作性に優れ、且つ、抜止突起を設ける場合でも、抜止突起の形成に、それほどの工作精度を要しない陳列棚の組付構造を実現することができる。また、支柱の取付穴の寸法の相違に拘らず、自動的に最適な保持状態を実現可能であり、一体的な移送作業も可能な組付構造を提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施例の陳列棚の組付構造を説明する斜視図である。
図2図1に示す組付構造を実現する係合部材を説明する図面である。
図3】第1実施例の係合部材の使用方法を説明する図面である。
図4】棚受部材を他の部材と一体化した状態のまま移動する移設作業を説明する図面である。
図5】第2実施例の棚受部材の構成と効果を説明する図面である。
図6】第1実施例の係合部材の変形例を説明する図面である。
図7】第1実施例の係合部材の別の変形例を示す図面である。
図8】棚受部材の変形形状と、係合部材の更に別の変形例を説明する図面である。
図9】第2実施例の係合部材と棚受部材を説明する図面である。
図10】第2実施例の係合部材の変形例を示す図面である。
図11】第3実施例の係合部材を説明する図面である。
図12】第3実施例の係合部材の変形例を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施例について更に詳細に説明する。図1は、実施例に係る陳列棚の組付構造について、その構成部材を示す斜視図である。
【0020】
図1(a)に示す通り、この組付構造は、縦長形状の角穴HOを、同一ピッチPiで複数個設けた断面コ字状の支柱1と、縦長角穴HOに挿入される支持片BSを起点として水平方向に板状に突出する棚受部材(棚受バー)2と、複数個の棚受部材2によって下面が支持される陳列棚板3と、棚受部材2に切欠き形成された装着部FXに移動可能に装着される係合部材4とで実現されている。
【0021】
図1(b)は、棚受部材2の装着部FXに、係合部材4が装着された状態を示しており(図1(a)の矢印参照)、係合部材4は、脱落が確実に防止された状態で、水平方向の弾発移動が可能になっている。なお、後述するように、係合部材4は、いわゆる嵌め殺し状態で、棚受部材2に装着される必要は必ずしもなく、冶具を使用しない人為的な引抜操作だけで、棚受部材2から取り外す構成を採ることも可能である。
【0022】
図1(a)に示す通り、棚受部材2には、角穴HOの配置ピッチPiに対応して、反転J字状に形成された一対の支持片BS,BSが、上下方向に連続して形成されている。図示の通り、反転J字形状の折り返し内面は、各々、水平方向に平坦な停止面F1,F2を形成している。また、支持片BS,BSには、水平方向に延びる平坦上面U1,U2と、平坦下面L1,L2が形成されている。
【0023】
図1(b)に示す通り、平坦上面U1,U2の離間距離と、平坦下面L1,L2の離間距離と、停止面F1,F2の離間距離は、全て、配置ピッチPiと同一寸法に設定されている。また、支持片BS,BSの上下高さHは、角穴HOの上下高さより適度に低く設定されており、角穴HO,HOに、支持片BS,BSを挿入する作業が容易化されている。
【0024】
図示の通り、支持片BS,BSの停止面F1,F2に略直交して、各々、垂下面D1,D2が形成されている。下方側の垂下面D2は、支柱1の板厚に対応して形成され、組付け状態で、支柱1にほぼ接触する位置で垂下している(図3(c)参照)。
【0025】
一方、上方側の垂下面D1は、組付け状態でも、支柱1に接触しない位置で垂下しており(図3(c)参照)、組付け作業の容易化を図っている。上方側の垂下面D1は、その下方に位置する抜止突起PRに連続しており、抜止突起PRの上下端面は、組付け状態で、支柱1にほぼ接触可能な位置で垂下している(図3参照)。
【0026】
次に、装着部FXは、下方側の平坦上面U2に連続して略同一の収納幅(上下高さ)を形成する収容溝GVと、収容溝GVの開放端に、収納幅より狭い入口幅を形成する抜止突起PRと、を有して構成されている。先に説明した通り、抜止突起PRの上下端面は、下方側の垂下面D2の位置に対応している。
【0027】
図2は、係合部材4を説明するための図面である。図示の通り、係合部材4は、一体成形された合成樹脂製の本体部BYと、本体部BYに挿入されるコイル状の弾性スプリングSPとに大別される。本体部BYは、棚受部材2の板厚に対応する離間距離を有して対面する一対の把持片10,10と、把持片10,10の間に設けられた挿入片11と、を有して構成されている。
【0028】
なお、実施例の係合部材4は、把持片10の最大高さHが8mm程度、挿入片11から把持片10までの最大寸法Lが20mm程度であって、総重量が1g程度に軽量化された小型の部材である。
【0029】
また、一対の把持片10,10は、係合部材4を収容溝GVに装着する場合、及び、支柱1に棚受部材2を固定した後、支柱1から棚受部材2を分離する場合に、操作者が把持して図示の矢印方向に移動させる部分である。
【0030】
把持片10は、その用途を考慮して、使用状態で略垂直面を形成する板状部10aと、装着方向に向けて隆起形状を形成する隆起部10bとで構成されている。すなわち、本実施例では、装着時の移動方向に向けて徐々に肉厚となる隆起部10bを設けることで(図2(d)参照)、水平方向の移動操作を容易化している。
【0031】
また、把持片10の上下高さは、収容溝GVの上下高さ(収納幅)より高く設定され、把持片10の水平長さは、収容溝GVの切込み深さ(左右幅)より適度に長く形成されている。そのため、係合部材4が収容溝GVに装着された状態では、係合部材4の移動位置に拘らず、収容溝GVは、把持片10によって覆われることになる(図1(b)参照)。
【0032】
次に、挿入片11について説明すると、挿入片11の基端側には、弾性スプリングSPを保持する円筒状の開口穴(収容円筒穴)12が形成されている(図2(d)参照)。
【0033】
ここで、開口穴12は、弾性スプリングSPの外径よりやや大きい内径を有する大径円筒穴12aと、弾性スプリングSPの外径とほぼ同一でやや小さい奥底を形成する小径円筒穴12cと、テーパ形状の連絡穴12bと、に区分される(図2(f)参照)。そして、例えば、弾性スプリングSPの内部に、丸棒状の冶具を挿入した状態のまま、弾性スプリングSPを、開口穴12の奥底(小径円筒穴12c)に押し込むことで、弾性スプリングSPの基端を、開口穴12の奥底に固定する。
【0034】
例えば、特許文献1のような従来構成では、係合部材に設けた突起部に、スプリングの終端部を密嵌させる必要があり、簡単に収縮してしまうスプリングを突起部に密嵌させることが容易ではなかったが、本実施例の構成では、開口穴12の小径円筒穴12cの中に、弾性スプリングSPを強く押し込めば足りるので、取付作業が非常に容易である。しかも、本実施例の場合、大径円筒穴12aと弾性スプリングSPとの間には、適度な隙間が形成されるので、弾性スプリングSPの確実な伸縮動作が担保される。
【0035】
また、開口穴12の深さは、自然状態の弾性スプリングSPの全長の1/3〜2/5程度を収納可能な深さに形成されており、開口穴12の深さ分だけ、弾性スプリングSPの全長を長く確保できる。そのため、本実施例では、バネ係数が小さい分だけ、長期間の加圧状態(図3(e)参照)で蓄積される収縮ストレスが少なく、耐久性を上げることができる。また、弾性スプリングSPの全長が長いので、最適な寸法に収縮設定することが容易であり、所望の反発力を容易に実現することができる。
【0036】
具体的に確認すると、実施例の場合、開口穴12の深さは、自然状態の弾性スプリングSPの全長の1/3〜2/5程度であるので、従来構成(例えば特許文献1)の係合部材で使用するスプリングと比較した場合、その全長を2倍又はそれ以上にすることができる。そのため、同一材料で、同一線径、同一開口径、同一ピッチのスプリングを構成した場合、そのバネ係数が巻数に反比例することになり、最適な反発力に対応する収縮距離の設定が容易であり、最適な収縮状態を実現することができる。
【0037】
次に、挿入片11について説明すると、挿入片11の底面BTは、把持片10の底面より上側に位置して、平坦な水平面を形成している(図2(c)、図2(g)参照)。挿入片11の底面BTは、係合部材4の装着時や、支柱1から棚受部材2を分離するときに、収容溝GVの平坦上面U2を滑動する部分であり、挿入片11の底面BTが平坦面に形成されていることで、操作性の良い水平方向の移動が実現される。
【0038】
また、挿入片11は、底面BTからの高さの相違に基づき、最低高さの先端部11aと、一段高い中央部11bと、最高高さの基端部11cと、に大別され、全体として段差形状を形成している。
【0039】
なお、図2(a)〜(d)では、先端部11aと中央部11bの板厚が同一に記載されているが、中央部11bから先端部11aに向けて板厚を変化させることで、先端テーパ形状にするのが好ましい(図2(g)の平面図参照)。このような構成を採れば、弾性スプリングSPの付勢力に基づいて、挿入片11が、支柱1の角穴HOに自動挿入される進入動作が円滑化され、最適位置まで容易に進入する。
【0040】
そして、基端部11cには、中央部11bに向けて円弧状に跳ね上がる係止片13が形成されている。係止片13の跳ね上がり高さは、収容溝GVの上下方向の収納幅に対応して設定されており、係合部材4が収容溝GVに装着された状態で、係止片13の突出先端が収容溝GVの上面に達する程度に形成されている。
【0041】
また、この係止片13は、適度な弾性を発揮するよう構成されており、弾性スプリングSPの弾性に抗して、係合部材4を収容溝GVに装着する時には(図2(a)の矢印参照)、抜止突起PRに押圧されて降伏変形することで、円滑な装着操作が実現される。先に説明した通り、係合部材4の装着時には、挿入片11の底面BTが、収容溝GVの平坦上面U2を円滑に滑動するが、この滑動に合わせて、係止片13が降伏変形することで、水平方向の円滑な装着動作が実現される。
【0042】
なお、このような降伏変形を実現する上で、抜止突起PRの突出量や、係止片13の跳ね上がり高さの精度は、特に問題にならないので、本実施例には、棚受部材2、特に、抜止突起PRの工作精度が特に要求されないという利点がある。
【0043】
抜止突起PRを通過した係止片13は、もとの跳ね上がり形状に戻って、その突出先端が収容溝GVの上面にほぼ達することになる。なお、このような装着操作を終えて、操作者が把持片10,10を手離すと、弾性スプリングSPの弾性に基づいて、係合部材4が分離方向に移動するが、係止片13の突出先端が抜止突起PRに当接されることで、それ以上の移動が確実に阻止される。
【0044】
また、何らかの理由で強い外力を受けた場合でも、係止片13の突出先端が抜止突起PRに確実に当接されることで、係合部材4が収容溝GVから抜け落ちることが確実に防止される。なお、この抜け落ち防止動作を実現する上でも、抜止突起PRや係止片13の工作精度が殆ど問題にならない。
【0045】
ところで、図示例では、係止片13が、逆円弧状に跳ね上がる形成されているが、直線的に上昇する直線形状に形成すると共に、その突出先端を適宜な丸型にすれば、やや強い引抜き操作だけで、係止片13の突出先端が抜止突起PRを乗り越えるので、係止片13を引き抜くことも可能となる。なお、嵌め殺し構造は周知であっても、確実な保持状態を確保する一方で、必要時には、人為的な取外しも可能な構成は周知ではない。
【0046】
図3は、第1実施例の組付構造の動作手順を説明する図面である。先ず、係合部材4を装着した棚受部材2を、支柱1の角穴HOに対応して水平姿勢に位置決めし(図3(a))、棚受部材2の支持片BS,BSを、角穴HO,HOに挿入する。すると、図3(b)に示す通り、支持片BS,BSが角穴HO,HOに進入することに対応して、支柱1の非開口部が、係合部材4に接触して、係合部材4を図示右向きに押圧する。
【0047】
その後、棚受部材2を更に進入させ、棚受部材2の下方垂下面D2を、支柱1の非開口部に接触させた後、棚受部材2を降下させる(図3(c)参照)。すると、棚受部材2と共に降下した係合部材4の前方に、角穴HOが位置する。そのため、その後は、弾性スプリングSPの弾発力に基づいて、係合部材4が図示左向きに移動し、係合部材4の挿入片11が、角穴HOの中に進入することになる。
【0048】
そして、係合部材4が、ある程度まで角穴HOに進入すると、係止片13の突出先端が、抜止突起PRに当接されることで、それ以上の進入が阻止される。図示の通り、この実施例では、挿入片11の先端部11aは、余裕をもって角穴HOに進入する寸法に構成されているが、中央部11bは、角穴HOの上側内面に近接する寸法に構成されているので、図3(c)の静止位置で組付け作業が完了する。なお、本実施例では、係止片13が跳ね上がり形状を有しているので、係合部材4の収容溝GVからの抜け落ちが確実に防止される。また、中央部11bは、進入状態で、角穴HOの上側内面に近接する程度の寸法に設定されているので、組付け後のガタつきが確実に防止される。
【0049】
ところで、第1実施例の係合部材4は、その挿入片11が、先端部11aと中央部11bとで段差形状を有しているので、支持片BSや角穴HOの寸法が異なる場合でも使用することができる。図3(d)〜図3(e)は、この関係を図示したものであり、支持片BSの上下高さが、図3(a)のHからhに小型化され、この上下高さhに対応して、角穴HOの上下寸法が小型化された場合を示している。
【0050】
図3(d)は、棚受部材2の支持片BS,BSを、角穴HO,HOに挿入する状態を示しており、各部材は、図3(a)や図3(b)と同様に動作する。但し、挿入片11の先端部11aは、小型化された角穴HOの上側内面に近接する程度の寸法に構成され、中央部11bは、小型化された角穴HOに進入不能な寸法に構成されているので、図3(e)の状態で静止する。
【0051】
すなわち、本実施例の係合部材4によれば、支持片BSや角穴HOの寸法の違いに拘わらず使用できる利点がある。なお、第1実施例では、2段階の段差形状を有しているので、図3(c)と図3(e)の2パターンの組付構造しか実現できないが、多段の段差形状にするか、或いは、段差形状に代えて、直線的又は曲線的のテーパ形状にすれば、多数パターンの組付構造を実現することができる。
【0052】
この点を確認すると、テーパ形状を採る構成でも、支柱1の角穴HO,HOに、棚受部材2の支持片BS,BSを挿入して棚受部材2を降下させると、弾性スプリングSPの付勢力によって挿入片11が最適位置まで突出するので、挿入片11の上面が、角穴HOの上側内面を最適位置で保持することになる。すなわち、直線状又は円弧状のテーパ形状によって、支柱1の角穴HOの高さ方向の寸法差を吸収して、支柱1と棚受部材2を最適位置で一体化させてガタつきを防止することができる。
【0053】
一方、棚受部材2を支柱1から分離させる場合には、把持片10を保持して、係合部材4を収容溝GVの奥底側(図3の右側)に後退させ、その保持状態のままで、棚受部材22を図3(b)の位置まで持ち上げた後、支柱1の角穴HOから、棚受部材2の支持片BSを引き抜くことになる。
【0054】
ところで、この引き抜き作業において、棚受部材2を、一本ずつ引き抜くのは非常に煩雑であり、一気に引き抜き作業を終えたい場合も多い。例えば、図4(a)に示すように、左右一対の棚受部材2,2の上に陳列棚板3を配置した状態のまま、支柱1,1の角穴HO,HOから、左右の棚受部材2,2を一気に引き抜きたい場合がある。また、図4(b)に示すように、棚受部材2,2の上に陳列棚板3を配置したまま、角穴HO,HOへの装着位置を、上下何れかに数段だけ移動させたい場合もある。
【0055】
なお、図4(a)において、棚受部材2の先端には、陳列棚板3の滑り落ちを防止する抜止め突起51が設けられ、陳列棚板3の下面には、二本の横バー52が配置されている。そして、左右の棚受部材2,2が、陳列棚板3の下面の横バー52を挟持した状態で、陳列棚板3と棚受部材2,2の全体が一体化されており、この全体を纏めて移動することができれば、別の陳列位置への移送作業や、陳列高さの調整作業において非常に便利である。なお、これらの点は、陳列棚板3と一体化された棚受部材2,2に限らず、例えば、図4(c)に示すように、ハンガーパイプHGの両端を一対の棚受部材2,2が挟持する場合も同様である。
【0056】
そこで、かかる点を考慮して、第2実施例の棚受部材2は、収容溝GVの奥底側に、係合部材4の係止片13を一時保持する仮止部LKを設けている。仮止部LKは、例えば、係止片13の突出先端を係止可能な係止突起LKa(図5(a))や、突出先端を受け入れ可能な係止孔LKb(図5(b))によって実現される。
【0057】
また、仮止部LKは、収容溝GVの奥底側を幅狭にした緊密部LKcによって実現することもできる(図5(c)参照)。なお、図5(c)の構成では、緊密部LKcの突出高さは、係止片13の弾性力に対応して、抜止突起PRの突出高さと、ほぼ同じか、やや高く形成されている。
【0058】
何れにしても、本実施例では、係合部材4の係止片13が、適度な弾性を有して、抜止突起PRに向けて立ち上がるので、図5(a)〜図5(c)何れの構成でも、係合部材4の先端面FTを、抜止突起PRの上下端面(垂下面)より収容溝GVの奥底側に後退させた仮止め状態を維持することができる。
【0059】
すなわち、図5(a)や図5(b)の構成において、把持片10を保持して、係合部材4を収容溝GVの奥底方向(右方向)に適度に後退させると、係止片13が仮止部LKを乗り越えるので、その後は、把持片10を手離しても、係止片13の突出先端が、係止突起LKaに係止されるか、或いは、係止片13の突出先端が、係止孔LKbに没入されることで、係合部材4の係止保持状態が維持され、挿入片11の先端面FTが、収容溝GVの内部で安定的に静止する。
【0060】
また、図5(c)の構成では、把持片10を保持して、係合部材4を、収容溝GVの奥底方向に限界位置まで後退させると、弾性を有する係止片13が、幅狭の緊密部LKcの内壁を押圧することで、その保持状態が維持される。
【0061】
そして、何れの構成でも、係合部材4が、仮止部LKに保持された状態では、挿入片11の先端垂下面SFは、抜止突起PRの上下端面より内側に位置するよう構成されているので、棚受部材2の自由な上下移動が可能となる。したがって、図5に示す第2実施例の棚受部材2を使用する場合には、図4(a)〜図4(c)に示すような、一気に実行される引き抜き作業が可能となる。
【0062】
作業内容を具体的に確認すると、先ず、係合部材4の把持片10を保持して、これを収容溝GVの奥底方向に移動させて、仮止部LKを機能させることで、図4(a)〜図4(c)に示す一時保持状態を実現する。
【0063】
このようにして、棚受部材2,2に装着された二つの係合部材4,4を押し込んで一時保持する仮止め作業を終えると、左右一対の棚受部材2,2の自由移動が可能となるので、後は、陳列棚板3やハンガーパイプHGと一体化された棚受部材2,2を一気に引き抜くことができ、その一体化状態のまま、他の取付位置に移動することができる。
【0064】
そして、移動完了後は、棚受部材2,2を降下させた状態(図3(c)参照)で把持片10を保持して、係合部材4を収容溝GVの入口方向に誘導すれば、仮止部LKを乗り越えた係止片13の突出先端が、今度は、抜止突起PRに係止されることで、本来の停止位置で安定する。したがって、その後は、棚受部材2が支柱1の角穴HOから抜けることがない。
【0065】
以上の通り、第2実施例の棚受部材2によれれば、陳列棚板3と一体化された棚受部材2,2を、一の作業で移動できる。なお、このような構成を採らない場合には、陳列棚板3やハンガーパイプHGを棚受部材2,2と分離しない限り、棚受部材2を角穴HOから引き抜くことができない。
【0066】
以上、第2実施例の棚受部材2について説明したが、支柱1や係合部材4についても、その形状変更が可能である。図6は、一本の支柱1に、二本の棚受部材2,2を隣接配置して、より重い展示物を保持可能な構成を示している。このような場合、角穴HOの隣接距離を大きくとったのでは、支柱1が大型化してしまう弊害がある。
【0067】
そこで、本実施例では、二つの角穴HO,HOの隣接距離を必要最小限の寸法とする一方で、係合部材4の把持片10について、その上下半分を切除する構成を採っている。図6(b)は、この係合部材4を示す図面であり、左右一対の把持片10R,10Lにおいて、一方の把持片10Rの上半分の隆起部10bを切除して、水平部10aに略連続する上側連続面を形成する一方、他方の把持片10Lの下半分の隆起部10bを切除して、水平部10aに略連続する下側連続面を形成している。
【0068】
この形状を換言すると、水平部10aが、把持片10R,10Lの水平方向全体に及ぶことで、一対の基端面SL,SRの一方の基端面SRが、L字形状であるのに対して、他方の基端面SLが、L字形状を反時計方向に180度回転させた反転L字状となっている。
【0069】
そのため、挿入片11の水平幅W1と、水平部10aの左右幅W2と、隆起部10bの最大左右幅W3の総和W(=W1+W2+W3)を、二つの角穴HO,HOの左右ピッチWに一致させることで、必要最小限の寸法に設定された角穴HO,HOに対応することができる(図6(d)参照)。
【0070】
この構成によれば、左右一対の支柱1,1に対して、合計四本の棚受部材2を配置できるので、展示物の総重量の重さに拘わらず、それらを安定して保持することができる(図6(c)参照)。また、二つの角穴HO,HOの隣接距離を必要最小限の寸法Wに維持できるので、支柱1が無闇に大型化することもない。
【0071】
ところで、図1図2に示す第1実施例では、挿入片11の先端側を、段差形状やテーパ形状にする構成ついて説明したが、支柱1の角穴HOの高さ方向が共通化されている場合には、挿入片11を直線的な形状としても良い。図7は、このような構成を図示したものであり、挿入片11は、上面及び下面とも真っ直ぐに延びる水平面を形成しており、上面の途中に、直線的に立ち上がる係止片13が形成されている。なお、図示例では、直線的な係止片13を設けているが、先の実施例と同様の、曲線的な跳ね上がり形状としても良いのは勿論である。
【0072】
また、前記した第1実施例では、単一の抜止突起PRを設けたが、必ずしも、限定されず、例えば、係止片13を上下二カ所に設けることに対応して、抜止突起PRを上下二カ所に設けても良い。なお、抜止突起PRを複数個とするか否かに拘らず、係止片13は、必ずしも必須ではなく、これを省略しても良い。図8は、このような実施例を示す図面であり、図8(b)に示す通り、棚受部材2には、収容溝GVの入口部の上下二カ所に、抜止突起PRが対向して形成されている。
【0073】
また、図8(a)に示す通り、この係合部材4は一体成型品ではなく、第1部材4aと第2部材4bを別々に製造して、その後、棚受部材2への組付け時に、一体化させている。図示の通り、第1部材4aには、挿入片11と第1把持片100aとが設けられ、第2部材4bには、突出ピン14と第2把持片100bとが設けられている。また、挿入片11は、第1実施例と同様の先端部11a及び中央部11bと、抜止突起PRに対応して上下方向に延びる基端部11cとで形成されている。そして、基端部11cには、弾性スプリングSPを受け入れる開口穴12と、突出ピン14を受け入れる嵌合穴15とが形成されている。
【0074】
棚受部材2への組付け作業時には、開口穴12に弾性スプリングSPを配置した状態で、収容溝GVを挟持するように、第1部材4aと第2部材4bを配置する。そして、突出ピン14を嵌合穴15に圧入すれば、係合部材4が一体化されると共に、係合部材4の棚受部材2への組み付け作業が完了する。この実施例では、係合部材4を収容溝GVから取り外すことが困難ではあるが、例えば、薄板状の取外プレートを使用して、圧入状態を解除すれば、取外し可能である。
【0075】
以上、ここまでの実施例では、係合部材4を水平方向に移動させる構成を説明したが、この構成に限定されず、垂直面内を回転方向に移動させる構成を採ることもできる。図9図12は、このような実施例を例示する図面であり、何れの場合も、係合部材4に突出軸20,20が突出形成され、棚受部材2には、突出軸20,20を無理なく収容可能な丸穴21が形成されている。特に限定されるものではないが、以下の実施例では、収容溝GVに、抜止突起PRが形成されていない。
【0076】
先ず、図9の係合部材4は、円弧角90°程度に形成された円弧板状の把持片10,10と、一対の把持片10,10の間に設けられる挿入片11とが一体成型されて構成されている。そして、挿入片11に弾性スプリングSPが保持されて完成状態となる。
【0077】
図示の通り、把持片10,10の内面には、一対の突出軸20,20が対面して突出形成されている。また、挿入片11には、曲率半径の異なる小円弧面31と大円弧面32が同心状に形成されている。また、小円弧面31と大円弧面32の開放先端側に連続して、第一面33と第二面34が段差状に形成され、一方、小円弧面31と大円弧面32の基端側には、弾性スプリングSPの開口穴12が形成されている。
【0078】
この実施例では、図9(f)に示す装着状態において、大円弧面32が、収容溝GVの下方内面に面接触すると共に、小円弧面31が、収容溝GVの上方内面の終端に線接触することで安定な静止状態となる。なお、この状態をより安定化させるため、収容溝GVの線接触位置に、抜止突起PRを形成しても良い。何れにしても、図9(f)の安定静止状態において、この実施例では、大円弧面32の上側に位置する第一面33と、下側に位置する第二面34とで、2つの水平面を形成している。但し、特に限定されず、下側に位置する第二面34は、図9(f)に示す装着状態において、水平方向より上方に延びる傾斜面としても良い。
【0079】
この実施例では、係合部材4を、棚受部材2に装着する場合には、棚受部材2を挟持するように把持片10,10を位置させ、そのまま把持片10を滑動させることで、突出軸20,20を、棚受部材2の丸穴21に滑り込ませる。先に説明した通り、丸穴21は、突出軸20より適度に大きく形成されているので、その後は、丸穴21に挿入された突出軸20を回転中心として、係合部材4を、反時計方向に回転させることができる。
【0080】
また、挿入片11が、支柱1に押圧される場合には、この押圧力に対応して、係合部材4は、反時計方向に回転する。すなわち、図9(f)に示す装着状態で、棚受部材2の支持片BS,BSを、角穴HO,HOに挿入すると、挿入片11が、支柱1に押圧されることで、係合部材4が反時計方向に回転して、図9(g)の状態となる。そして、その後、棚受部材2を降下させると、棚受部材2と共に降下した係合部材4の前方に、角穴HOが位置するので、弾性スプリングSPの弾発力に基づいて、係合部材4が時計方向に弾発回転することになる。
【0081】
この時計方向の回転は、第二面34が角穴HOの上側内面を保持するか、或いは、第一面33が角穴HOの上が上側内面を保持することで停止される。したがって、この実施例でも、図3(c)や図3(e)に示す状態と同等の2パターンの組付状態が可能となる。そして、何れの組付状態でも、係合部材4を反時計方向に回転させれば、棚受部材2を支柱1から分離させることができる。なお、図9の実施例では、第一面33と第二面34を設けたが、組付けパターンを単一にする場合には、これを省略することもできる。図10は、段差形状のない実施例を図示したものである。
【0082】
ところで、ここまでの実施例では、コイル状の弾性スプリングSPを使用したが、これに代えて、図11図12に示すような板状の弾性スプリング(板バネ)を使用しても良い。図11図12は、このような第3実施例を説明する図面であり、板バネSPを使用することに対応して、挿入片11と把持片10の形状が図9の第2実施例とは異なり、また、係合部材4の回転方向が図9の場合とは逆になる。
【0083】
板バネSPは、波板状に形成された基端部40と、基端部40に略直交する直交部41と、直交部41から円弧状に延びる湾曲部42とに区分される。湾曲部42は、収容溝GVの内面に当接して小型円弧状に変形することで、係合部材4が時計方向に回転する弾発回転を実現している(図11(g)参照)。
【0084】
また、挿入片11は、最低高さの先端部11aと、一段高い中央部11bと、最高高さの頂面を形成する基端部11cと、に大別され、全体として段差形状を形成している。そして、基端部11cに形成された開口穴12に、板バネSPの基端部40が固定的に収容されている。図示の通り、挿入片11の先端部11aは、その底面BTが平坦面になっており、図11(f)に示す装着状態において、確実な安定静止状態を実現している。
【0085】
この第3実施例も、挿入片11の先端部11aが、角穴HOの上側内面を保持するか、或いは、中央部11bが角穴HOの上が上側内面を保持する2パターンの組付状態が可能となる。なお、先端部11aと中央部11bによる段差形状に代えて、円弧状のテーパ形状TPを採用すれば、多数パターンの組付構造を実現することができる。図12は、このような実施例を図示したものである。
【0086】
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な記載内容は、特に本発明を限定するものではなく、適宜な変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 支柱
2 棚受部材
4 係合部材
10 把持片
11 挿入片
12 開口穴
13 係止片
HO 取付穴
BS 支持片
FX 装着部
GV 収容溝
PR 抜止突起
LK 仮止部
SP 弾性スプリング
【要約】      (修正有)
【課題】支柱の取付穴の寸法の相違に拘らず、自動的に最適な保持状態を実現可能で、また、一体的な移送作業も可能な組付構造を提供する。
【解決手段】取付穴HOを有する支柱1と、支持片BSを起点として水平に突出して陳列棚板3を保持する棚受部材2と、棚受部材2の装着部FXに、弾発移動可能に装着される係合部材4と、を有する。装着部FXは、収容溝GVと、収容溝GVに狭い入口を形成する抜止突起PRと、を有し、係合部材4は、一対の把持片と、一対の把持片の間に設けられ、収容溝GVに挿入可能に形成された挿入片と、を有して構成され、挿入片には、収容溝GVの基端から解放端に向けて立ち上がる係止片が形成されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12