(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート、これらシート間に配された吸収体を有する縦長の吸収性本体を備え、腹側部、背側部及び股下部に区分された使い捨ておむつであって、
前記使い捨ておむつを着用した際に、外側から視認可能な、該使い捨ておむつの構成材料であるシート材の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布を少なくとも一部に用いて形成されており、
前記フォトクロミック化合物又は前記サーモクロミック化合物を含有した前記繊維が、スパンボンド法により溶融紡糸された繊維であり、該繊維が、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び芳香族変性テルペン樹脂のうちの1種又は2種以上を含有して形成されていている使い捨ておむつ。
前記不織布を用いて形成された前記シート材は、前記使い捨ておむつを着用した際に、外側から直接視認できる位置に配されているか又は前記使い捨ておむつの構成材料である別のシート材を介して外側から視認できる位置に配されている請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の使い捨ておむつは、所謂パンツ型使い捨ておむつや、所謂展開型の使い捨ておむつを含む概念であり、パンツ型使い捨ておむつには、外層体が一体化したパンツ型使い捨ておむつや、外層体が腹側シート部材と背側シート部材に分断された分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ、背側及び腹側それぞれの幅方向外方に延出する伸縮性のサイドフラップがそれぞれ接合されたサイドパネルタイプのパンツ型使い捨ておむつが含まれる。また、展開型の使い捨ておむつには、外層体が一体化した展開型の使い捨ておむつ(通常のテープおむつ)や、サイドフラップとして別体の伸縮性シートを背側の幅方向外方に延出するように接合した展開型の使い捨ておむつ(分割タイプのテープおむつ)が含まれる。
以下、分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ、外層体が一体化したパンツ型使い捨ておむつ、サイドパネルタイプのパンツ型使い捨ておむつ、外層体が一体化した展開型の使い捨ておむつ、サイドフラップ伸縮性の展開型の使い捨ておむつ(分割タイプのテープおむつ)それぞれを、その好ましい実施形態に基づき、図を参照しながら説明する。
【0012】
第1実施形態の使い捨ておむつ1A(以下、「おむつ1A」ともいう。)は、分割タイプのパンツ型使い捨ておむつである。おむつ1Aは、液透過性の表面シート2と、液不透過性の裏面シート3と、これらシート間に配された吸収体4とを備え、腹側部A、背側部B及び股下部Cに区分された使い捨ておむつである。以下、詳述すると、おむつ1Aは、
図1,
図2に示すように、着用者の腹側に配される横長の矩形状の腹側シート部材6Aと、着用者の背側に配される横長の矩形状の背側シート部材6Bと、腹側シート部材6A及び背側シート部材6Bに架け渡して固定された吸収性本体5と、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7とを具備し、腹側シート部材6Aの両側縁部6a,6aと背側シート6Bの両側縁部6b,6bとが接合されて、ウエスト開口部WOと一対のレッグ開口部LO,LOとが形成された(
図1参照)使い捨ておむつである。尚、この接合には、例えばヒートシール、高周波シール、超音波シール、接着剤等が用いられる。
おむつ1Aは、
図1,
図2に示すように、中心線CLに対して左右対称に形成されている。
【0013】
第1実施形態のおむつ1Aについて、詳述すると、おむつ1Aは、おむつ1Aの伸長状態(
図2参照)において、その縦方向(以下「Y方向」ともいう。Y方向:中心線CLに平行な方向をいう。)に、着用時に、着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用者の股間部に配される股下部Cを有している。尚、おむつ1Aの幅方向は、その縦方向(Y方向)に直交する方向(以下「X方向」という。)である。
【0014】
おむつ1Aの吸収性本体5は、
図2,
図3に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性又は撥水性の裏面シート3、及び両シート2、3間に介在配置された液保持性の吸収体4を有しており、
図2に示すように、縦方向(Y方向)に長い長方形状に形成されている。吸収体4も、縦方向(Y方向)に長い長方形状に形成されている。おむつ1Aの裏面シート3は、
図3に示すように、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム31と、樹脂フィルム31の外面に配した不織布32とからなる積層体である。おむつ1Aの吸収性本体5には、裏面シート3と吸収体4との間に、色の変化により排尿を知らせるインジケーター53が中心線CLに沿って配されている。
吸収性本体5は、縦方向(Y方向)の端部5a側の領域が、腹側シート部材6Aに接着剤を介して固定され、縦方向(Y方向)の端部5b側の領域が、背側シート部材6Bに接着剤を介して固定されている。
【0015】
腹側シート部材6A及び背側シート6Bそれぞれは、
図2に示すように、縦方向(Y方向)に離間させて配され且つ幅方向(X方向)に伸長した状態で配された複数本の弾性部材(不図示)を有している。おむつ1Aにおける腹側シート部材6A及び背側シート部材6Bは何れも、
図2,
図3に示すように、おむつの外面をなす外層シート61と、外層シート61の内面側に配された内層シート62と、両シート61,62間に、幅方向(X方向)に伸長した状態の複数本の弾性部材(不図示)とを備えている。第1実施形態のおむつ1Aにおいては、外層シート61は、
図2に示すように、外層シート61と内層シート62とによって複数本の糸状の弾性部材(不図示)を挟持固定する領域よりも更に縦方向(Y方向)に延出する長さを有しており、外層シート61における内層シート62よりも延出した延出領域61Lは、吸収性本体5側に折り返され、吸収性本体5の縦方向(Y方向)の端部5a,5bを覆う位置まで延出し、接着剤(図示せず)を介して内層シート62に接着されている。
【0016】
吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7は、第1実施形態のおむつ1Aにおいては、
図2,
図3に示すように、吸収性本体5の側部5cから幅方向(X方向)内方に延出する第1立体ギャザー7aと、吸収性本体5の側部5cから幅方向(X方向)外方に延出する第2立体ギャザー7bとからなる。第1立体ギャザー7a及び第2立体ギャザー7bそれぞれは、パンツ型吸収性物品の展開且つ伸長状態において、立体ギャザー形成用シート70と、立体ギャザー形成用シート70の縦方向(Y方向)に伸長状態で配された複数本の弾性部材71とから形成される。
【0017】
第2実施形態の使い捨ておむつ1B(以下、「おむつ1B」ともいう。)は、外層体が一体化したパンツ型使い捨ておむつである。
第2実施形態の使い捨ておむつ1Bについては、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0018】
おむつ1Bは、
図4に示すように、表面シート2と、裏面シート3と、両シート間に介在する吸収体4とを有する吸収性本体5、及び吸収性本体5の裏面シート3側に配され接着固定された外層体6を備えている。おむつ1Bの裏面シート3は、
図6に示すように、樹脂フィルム31のみから形成されている。
【0019】
おむつ1Bの外層体6は、
図5に示すように、吸収性本体5の外方全域に亘って延出しており、縦方向(Y方向)中央部において内方に括れている。おむつ1における外層体6の腹側部Aの両側縁部6a,6aの内面と背側部Bの両側縁部6b,6bの内面同士を互いに重ね合わせ、合掌状に接合されて、
図4に示すように、ウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOを有するおむつ1Bが形成される。
【0020】
おむつ1Bの外層体6は、
図5,
図6に示すように、おむつの外面をなす外層シート61と、外層シート61の内面側に配された内層シート62と、外層体6を構成する外層シート61及び内層シート62の間に、腹側部Aの両側縁部6a,6a間及び背側部Bの両側縁部6b,6b間に亘って伸長した状態の複数本の弾性部材(不図示)とを備えている。おむつ1Bにおいては、外層シート61は、
図5に示すように、外層シート61と内層シート62とによって複数本の糸状の弾性部材(不図示)を挟持固定する領域よりも更に縦方向(Y方向)に延出する長さを有しており、外層シート61における内層シート62よりも延出した延出領域61Lは、吸収性本体5側に折り返され、吸収性本体5の縦方向(Y方向)の端部5a,5bを覆う位置まで延出し、接着剤(図示せず)を介して内層シート62に接着されている。
【0021】
吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7は、おむつ1Bにおいては、
図5,
図6に示すように、吸収性本体5の側部5cから幅方向(X方向)内方に延出する第1立体ギャザー7aからなる。第1立体ギャザー7aは、パンツ型吸収性物品の展開且つ伸長状態において、立体ギャザー形成用シート70と、立体ギャザー形成用シート70の縦方向(Y方向)に伸長状態で配された複数本の弾性部材71とから形成される。
【0022】
第3実施形態の使い捨ておむつ1C(以下、「おむつ1C」ともいう。)は、サイドパネルタイプのパンツ型使い捨ておむつである。
第3実施形態の使い捨ておむつ1Cについては、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0023】
おむつ1Cは、着用者の腹側に位置する腹側部A、着用時に着用者の背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に配置される股下部Cを有する吸収性本体5を備えている。おむつ1Cは、
図7に示すように、吸収性本体5の腹側部A及び背側部Bそれぞれの左右両側縁に連設された左右一対のサイドパネル63,63を有している。
【0024】
おむつ1Cの吸収性本体5は、
図7に示すように、縦方向(Y方向)に長い長方形状を有している。吸収性本体5は、
図7,
図8に示すように、縦方向(Y方向)に長い長方形状の表面シート2と、縦方向(Y方向)に長い長方形状の裏面シート3と、これらのシート2,3間に介在された吸収体4とを有している。表面シート2及び裏面シート3それぞれは、
図7,
図8に示すように、吸収体4の肌当接面側の全面及び非肌当接面側の全面を覆っており、吸収体4の周縁から延出している。また、表面シート2は、
図8に示すように、X方向の長さが裏面シート3のX方向の長さよりも短くなっている。おむつ1Cの裏面シート3は、
図8に示すように、樹脂フィルム31と、樹脂フィルム31の外面に配した不織布32とからなる積層体である。
【0025】
おむつ1Cの吸収性本体5には、
図7に示すように、Y方向の両側部5c,5cそれぞれに、表面シート2を介してサイドシート11が配されている。サイドシート11は、
図7,
図8に示すように、表面シート2の肌当接面側であって、縦方向(Y方向)の側部全域に亘って配設固定されている。各サイドシート11のX方向の内方(中心線CL寄り)の端部は、
図8に示すように、自由端となっており、股下部Cにおける自由端近傍には立体ギャザー形成用の弾性部材71が縦方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、自由端から所定幅の部分が表面シート2から離間して立体ギャザー7が形成される。
【0026】
吸収性本体5の両側部5c,5cにおいては、
図7,
図8に示すように、腹側部Aから背側部Bに亘って、X方向の外方に延出したサイドシート11と裏面シート3とが接合されている。吸収性本体5には、
図7,
図8に示すように、股下部Cにおいて、外方に延出したサイドシート11と裏面シート3との間にレッグギャザー形成用の弾性部材71が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、レッグギャザーが形成される。
【0027】
おむつ1Cのサイドパネル63は、
図7に示すように、吸収性本体5側の辺が長い略台形状のものであり、外側のサイドパネルシート64、内側のサイドパネルシート65、これらサイドパネルシート64,65の間に伸縮性のフィルム状シート(不図示)が配され固定された複合伸縮部材である。おむつ1Cのサイドパネル63は、
図8に示すように、吸収性本体5の腹側部A及び背側部Bそれぞれの左右両側縁に配され、X方向の外方に延出したサイドシート11と裏面シート3との間に配され固定されている。おむつ1Cは、腹側部Aの左側縁に連設されたサイドパネル63のX方向の外方部分と背側部Bの左側縁に連設されたサイドパネル63のX方向の外方部分とが固定され、腹側部Aの右側縁に連設されたサイドパネル63のX方向の外方部分と背側部Bの右側縁に連設されたサイドパネル63のX方向の外方部分とが固定されて形成されている。このように形成されていることにより、おむつ1Cにはウエスト開口部WO及び一対のレッグ開口部LO,LOが形成される。
【0028】
第4実施形態の使い捨ておむつ1D(以下、「おむつ1D」ともいう。)は、展開型の使い捨ておむつである。
第4実施形態の使い捨ておむつ1Dについては、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0029】
おむつ1Dは、着用者の腹側に位置する腹側部A、着用時に着用者の背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に配置される股下部Cを有する吸収性本体5を備えている。おむつ1Dは、
図9に示すように、背側部Bの左右両側縁に連設された左右一対のファスニングテープ9,9を有している。おむつ1Dは、
図9に示すように、腹側部Aの外面には、ファスニングテープ9を止着するターゲットシート10を有している。
尚、おむつ1Dは、
図9に示すように、平面状に拡げた状態において、吸収体4と同方向に長い形状を有している。
【0030】
おむつ1Dの吸収性本体5は、
図9,
図10に示すように、縦方向(Y方向)に長く、縦方向(Y方向)の両側縁が、縦方向(Y方向)の中央部において内方に括れた形状を有しており、縦方向(Y方向)の両端部それぞれの幅が、縦方向(Y方向)の中央部の幅よりも広くなっている。吸収性本体5は、
図9,
図10に示すように、おむつ1Dの内面をなす表面シート2と、おむつ1Dの外面をなす裏面シート3と、これらのシート2,3間に介在された吸収体4とを有している。表面シート2及び裏面シート3それぞれは、
図9,
図10に示すように、吸収体4の肌当接面側の全面及び非肌当接面側の全面を覆っており、吸収体4の周縁から延出している。また、表面シート2は、
図11に示すように、X方向の長さが裏面シート3のX方向の長さよりも短くなっている。おむつ1Dの裏面シート3は、
図11に示すように、樹脂フィルム31と、樹脂フィルム31の外面に配した不織布32とからなる積層体である。おむつ1Dのターゲットシート10は、
図11に示すように、裏面シート3を構成する不織布32の外面に配されている。
【0031】
おむつ1Dの吸収性本体5には、
図10に示すように、Y方向の両側部5c,5cそれぞれに、表面シート2を介してサイドシート11が配されている。サイドシート11は、
図10に示すように、表面シート2の肌当接面側であって、縦方向(Y方向)の側部全域に亘って配設固定されている。各サイドシート11のX方向の内方(中心線CL寄り)の端部は、
図11に示すように、自由端となっており、股下部Cにおける自由端近傍には立体ギャザー形成用の弾性部材71が縦方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、自由端から所定幅の部分が表面シート2から離間して立体ギャザー7が形成される。
【0032】
吸収性本体5の両側部5c,5cには、
図10,
図11に示すように、腹側部A及び背側部Bそれぞれにおいて、X方向の外方に延出したサイドシート11と裏面シート3とが接合され、サイドフラップ部51が形成されている。吸収性本体5には、
図10,
図11に示すように、股下部Cにおいて、幅方向(X方向)外方に延出したサイドシート11と裏面シート3とが接合され、レッグフラップ部52が形成されている。レッグフラップ部52には、股下部Cにおいて、レッグギャザー形成用の弾性部材71が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、レッグギャザーが形成される。
【0033】
第5実施形態の使い捨ておむつ1E(以下、「おむつ1E」ともいう。)は、サイドフラップ伸縮性の展開型の使い捨ておむつ(分割タイプのテープおむつ)である。
第5実施形態の使い捨ておむつ1Eについては、第1実施形態の使い捨ておむつ1Aと異なる点について説明する。特に説明しない点は、おむつ1Aと同様であり、おむつ1Aの説明が適宜適用される。
【0034】
おむつ1Eは、着用者の腹側に位置する腹側部A、着用時に着用者の背側に位置する背側部B、及び腹側部Aと背側部Bとの間に配置される股下部Cを有する吸収性本体5を備えている。おむつ1Eは、
図12に示すように、吸収性本体5の背側部Bそれぞれの左右両側縁に連設された左右一対のサイドパネル63,63を有している。
【0035】
おむつ1Eの吸収性本体5は、
図12に示すように、縦方向(Y方向)に長い長方形状を有している。吸収性本体5は、
図12,
図13に示すように、縦方向(Y方向)に長い長方形状の表面シート2と、縦方向(Y方向)に長い長方形状の裏面シート3と、これらのシート2,3間に介在された吸収体4とを有している。表面シート2及び裏面シート3それぞれは、
図12,
図13に示すように、吸収体4の肌当接面側の全面及び非肌当接面側の全面を覆っており、吸収体4の周縁から延出している。また、表面シート2は、
図13に示すように、X方向の長さが裏面シート3のX方向の長さよりも短くなっている。おむつ1Eの裏面シート3は、
図13に示すように、樹脂フィルム31と、樹脂フィルム31の外面に配した不織布32とからなる積層体である。
【0036】
おむつ1Eの吸収性本体5には、
図12に示すように、Y方向の両側部5c,5cそれぞれに、表面シート2を介してサイドシート11が配されている。サイドシート11は、
図12,
図13に示すように、表面シート2の肌当接面側であって、縦方向(Y方向)の側部全域に亘って配設固定されている。各サイドシート11のX方向の内方(中心線CL寄り)の端部は、
図13に示すように、自由端となっており、股下部Cにおける自由端近傍には立体ギャザー形成用の弾性部材71が縦方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、自由端から所定幅の部分が表面シート2から離間して立体ギャザー7が形成される。
【0037】
吸収性本体5の両側部5c,5cにおいては、
図12,
図13に示すように、腹側部Aから背側部Bに亘って、X方向の外方に延出したサイドシート11と裏面シート3とが接合されている。吸収性本体5には、
図12,
図13に示すように、股下部Cにおいて、外方に延出したサイドシート11と裏面シート3との間にレッグギャザー形成用の弾性部材71が長手方向(Y方向)に伸長状態で配設固定されており、着用時には、その弾性部材の収縮力により、レッグギャザーが形成される。
【0038】
おむつ1Eのサイドパネル63は、
図12に示すように、X方向に長い長方形状のものであり、外側のサイドパネルシート64、内側のサイドパネルシート65、これらサイドパネルシート64,65の間にX方向に伸長状態の弾性部材66がY方向に間隔を空けて複数本配され固定された複合伸縮部材である。おむつ1Eのサイドパネル63は、
図13に示すように、吸収性本体5の背側部Bの左右両側縁に配され、X方向の外方に延出したサイドシート11と裏面シート3との間に配され固定されている。おむつ1Eは、背側部Bの左右両側縁から延出するサイドパネル63のX方向外方部分に左右一対のファスニングテープ9,9を有している。
【0039】
本発明の使い捨ておむつは、使い捨ておむつを着用した際に、外側から視認可能な、使い捨ておむつの構成材料であるシート材を備えている。ここで、「シート材が外側から視認可能である」とは、シート材が、使い捨ておむつを着用した際に、外側から直接視認できる位置、例えば、おむつの外表面に配されており、直接視認できる場合のみならず、使い捨ておむつの構成材料である別のシート材を介して外側から視認できる位置、例えば、おむつの外表面以外の部分に配されており、少なくともおむつの外表面の別のシート材を透過して間接的に視認できるものも含む意味である。具体的には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31よりも外面側に配されたシート材や、サイドパネル63を構成するシート材や、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7を構成するサイドシート11が該当する。
【0040】
具体的におむつ1Aを用いて説明すると、
図3に示すように、おむつ1Aは、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に位置するおむつの構成材料であるシート材を2枚以上有しており、おむつ1Aにおけるシート材には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面に配された不織布32、不織布32の外面側に配された腹側シート部材6A及び背側シート部材6Bをそれぞれ構成する内層シート62、及び内層シート62の外面側に配された腹側シート部材6A及び背側シート部材6Bをそれぞれ構成する外層シート61が該当する。また、おむつ1Aにおけるシート材には、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7を構成する立体ギャザー形成用シート70が該当する。これらのシート材は、いずれもおむつ1Aを着用した際に、外側から視認可能である。
【0041】
また、具体的におむつ1Bを用いて説明すると、
図6に示すように、おむつ1Bは、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に位置するシート材を2枚以上有しており、おむつ1Bにおけるシート材には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面側に配された外層体6を構成する内層シート62、及び内層シート62の外面側に配された外層体6を構成する外層シート61が該当する。また、おむつ1Bにおけるシート材には、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7を構成する立体ギャザー形成用シート70が該当する。これらはいずれも着用した際に外側から可視である。
【0042】
また、具体的におむつ1Cを用いて説明すると、
図8に示すように、おむつ1Cは、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に位置するシート材を1枚有しており、おむつ1Bにおけるシート材には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面側に配された裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面に配された不織布32が該当する。また、おむつ1Cにおけるシート材には、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー及びレッグギャザーを構成するサイドシート11が該当する。また、おむつ1Cにおけるシート材には、収性本体5の腹側部A及び背側部Bそれぞれの左右両側縁に配されたサイドパネル63を構成する外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65が該当する。これらはいずれも着用した際に外側から可視である。
【0043】
また、具体的におむつ1Dを用いて説明すると、
図11に示すように、おむつ1Dは、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に位置するシート材を1枚有しており、おむつ1Dにおけるシート材には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面に配された不織布32が該当する。また、おむつ1Dにおけるシート材には、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー及びレッグギャザーを構成するサイドシート11が該当する。これらはいずれも着用した際に外側から可視である。
【0044】
更に、具体的におむつ1Eを用いて説明すると、
図13に示すように、おむつ1Eは、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に位置するシート材を1枚有しており、おむつ1Eにおけるシート材には、裏面シート3を構成する樹脂フィルム31の外面に配された不織布32が該当する。また、おむつ1Eにおけるシート材には、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー及びレッグギャザーを構成するサイドシート11が該当する。また、おむつ1Eにおけるシート材には、収性本体5の背側部Bの左右両側縁に配されたサイドパネル63を構成する外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65が該当する。これらはいずれも着用した際に外側から可視である。
【0045】
本発明の使い捨ておむつは、使い捨ておむつを着用した際に、外側から視認可能な、該使い捨ておむつの構成材料であるシート材の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物(以下、「フォトクロミック化合物等」ともいう。)を含有した繊維からなる不織布を少なくとも一部に用いて形成されている。ここで「少なくとも一部に用いて形成されている」とは、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布のみで(不織布を全面に用いて)形成されていてもよく、該繊維からなる不織布を貼り合わせて一部に用いて形成されていてもよいことを意味する。
【0046】
「フォトクロミック化合物」とは、単一の化学種が光の作用により分子量を変えることなく、閉環・開環反応などを引き起こし、吸収スペクトルの異なる状態間を可逆的に異性化し、黄色、赤色、青色など様々な色を発現する化合物を意味する。
フォトクロミック化合物は、光、特に紫外光の照射により、無色から有色に変化する化合物であり、光の作用によってのみ色変化を示す化合物と、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性の化合物とに大別される。光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物は、日常生活における色の変化が、紫外光を最初に照射した際にのみ起こる化合物である。また、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物は、日常生活における色の変化が、紫外光を照射した際のみならず紫外光の照射を除いた際にも起こり、繰り返し性を有する化合物である。
【0047】
光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物としては、ジアリールエテン類、フルギド類(特表2010−516375記載)等の化合物が挙げられる。
一方、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物としては、HABI類(ヘキサアリールビスイミダゾール)、スピロオキサジン類、スピロピラン類(特表2010−516375記載)等が挙げられる。
フォトクロミック化合物には、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
光の作用によってのみ色変化を示すフォトクロミック化合物を用いると、製造時や販売時に色が変化しないように遮光する必要がある。そのため、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いることが好ましい。また、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いると、色の変化(出現と消失)を何回も楽しむことができ、簡易的に紫外線をチェックすることもできる。
【0048】
「サーモクロミック化合物」とは、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化する化合物の総称を意味する。
サーモクロミック化合物としては、例えば特公昭51−44706号に記載の呈色性有機化合物、フェノール類とアルコール類の三成分で構成されたものを用いることができる。
サーモクロミック化合物には、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0049】
フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した繊維は、フォトクロミック化合物等を熱可塑性樹脂と混合して溶融ないし押出により紡糸して製造される繊維であることが好ましい。具体的には、スパンボンド法、メルトブローン法、スピニングブローン法等により溶融紡糸された繊維であることが好ましく、スパンボンド法により溶融紡糸された繊維であることが更に好ましい。
即ち、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布は、スパンボンド法により溶融紡糸された繊維からなるスパンボンド不織布であることが好ましい。スパンボンド不織布であれば、不織布の中でも平滑面を持ちながら柔軟であり、低坪量でも比較的目付ムラを抑えることができるので、色ムラ(変色ムラ)を起こし難いためである。
【0050】
スパンボンド法により溶融紡糸された繊維は、その繊維径が0.5〜10dtexであることが好ましく、1〜4dtexであることが更に好ましい。
スパンボンド法により溶融紡糸された繊維からなるスパンボンド不織布は、その目付が5〜40g/m
2であることが好ましく、10〜30g/m
2であることが更に好ましい。
【0051】
フォトクロミック化合物等の配合量は、発色性、色むら、紫外線防止性、おしっこ温度での変化の観点から、熱可塑性樹脂の0.001〜5重量%であることが好ましく、0.01〜3重量%であることが更に好ましい。
【0052】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン−プロピレンランダム共重合体の樹脂等が挙げられ、ポリプロピレンの非晶部分を多くすることによってフォトクロミック化合物等の繊維への安定的な保持を可能にする観点から、エチレン−プロピレンランダム共重合体の樹脂が好ましい。エチレン−プロピレンランダム共重合体の樹脂を熱可塑性樹脂として用いる場合には、同様の観点から、エチレン単位が、1〜10重量%であることが好ましく、3.0〜5.0重量%であることが更に好ましい。
【0053】
スパンボンド法により溶融紡糸された繊維は、無機粉体を含有して形成されていてもよい。このように、無機粉体を含有すると、無機粉体の表面、又は熱可塑性樹脂と無機粉体との界面でフォトクロミック化合物等を安定的に保持することができる。尚、熱可塑性樹脂として、エチレン−プロピレンランダム共重合体の樹脂を用いる場合に、無機粉体を含有したとしても、無機粉体は造核作用が比較的小さいため、ポリプロピレンの非晶部分を損ない難く、フォトクロミック化合物等の繊維への更に安定的な保持を可能にする。
このような無機粉体としては、二酸化チタン、シリカ、ミョウバン、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、タルク等が挙げられる。
無機粉体の配合量は、フォトクロミック化合物等の保持性、得られる繊維の剛性、製造する際の曳糸性の観点から、熱可塑性樹脂の0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜2重量%であることが更に好ましい。
【0054】
また、スパンボンド法により溶融紡糸された繊維は、テルペン樹脂、水添テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、及び芳香族変性テルペン樹脂(以下、「テルペン類」ともいう)のうちの1種又は2種以上を含有して形成されていてもよい。このように、テルペン類を含有すると、フォトクロミック化合物等との相溶性が良好であるため、安定的に保持することができる。尚、熱可塑性樹脂として、エチレン−プロピレンランダム共重合体の樹脂を用いる場合に、テルペン類を含有すれば、ポリプロピレンの非晶部分の形成を良好にし、フォトクロミック化合物等の繊維への更に安定的な保持を可能にする。
テルペン類の配合量は、フォトクロミック化合物等の保持性、得られる繊維の剛性、製造する際の曳糸性の観点から、熱可塑性樹脂の0.01〜10重量%であることが好ましく、0.05〜5重量%であることが更に好ましい。
【0055】
本発明の使い捨ておむつの実施形態であるおむつ1A,1B,1Dにおいては、裏面シート3のフィルム31、及び/又はシート材の1枚に、グラフィック8が形成されており、グラフィック8の少なくとも一部が、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物(フォトクロミック化合物等)を含有するインクを用いて形成されている。ここで、「グラフィック8の少なくとも一部」とは、グラフィック8全体が、フォトクロミック化合物等を含有するインクを用いて形成されていてもよく、グラフィック8の一部のみが、フォトクロミック化合物等を含有するインクを用いて形成されている形態も含む意味である。
【0056】
グラフィック8の形成は、下記インクを、フレキソ、グラビア、インクジェット方式等の公知の方法によりフィルム31、及び/又はシート材の1枚の外面に印刷して形成されたものである。グラフィック8の模様としては、キャラクター模様、動物、乗り物、食べ物、植物、文字、音符、太陽、星、虹、雲などの自然に関するもの、楽器、円形状、四角形状、三角形状、直線状、曲線状等の模様が挙げられる。グラフィック8を形成するインクを印刷する際には溶剤性のフォトクロミック組成物又はサーモクロミック化合物が好ましく、インクにおけるフォトクロミック化合物等の含有量は、0.1〜1重量%であることが好ましい。グラフィック8の大きさは、4〜400mm
2であることが好ましい。
【0057】
グラフィック8を形成するインクには、フォトクロミック化合物等に加えて、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、染料や顔料等を挙げることができ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。グラフィック8を形成するインクにおけるフォトクロミック化合物等以外の他の成分の含有量は、25〜75重量%であることが好ましい。
【0058】
上述したように、本発明の使い捨ておむつは、シート材の1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を少なくとも一部に用いて形成されている。おむつ1Aを例に挙げ具体的に述べると、シート材である、立体ギャザー形成用シート70、不織布32、内層シート62及び外層シート61全てが、或いはそれらの中の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布で形成されていてもよいし、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を一部に用いて形成されていてもよい。おむつ1Bを例に挙げ具体的に述べると、シート材である、立体ギャザー形成用シート70、内層シート62及び外層シート61全てが、或いはそれらの中の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布で形成されていてもよいし、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を一部に用いて形成されていてもよい。おむつ1Cを例に挙げ具体的に述べると、シート材である、サイドシート11、不織布32、外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65全てが、或いはそれらの中の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布で形成されていてもよいし、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を一部に用いて形成されていてもよい。おむつ1Dを例に挙げ具体的に述べると、シート材である不織布32及びサイドシート11全てが、或いはそれらの中の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布で形成されており、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を一部に用いて形成されていてもよい。おむつ1Eを例に挙げ具体的に述べると、シート材である、サイドシート11、不織布32、外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65全てが、或いはそれらの中の少なくとも1枚が、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布で形成されていてもよいし、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布を一部に用いて形成されていてもよい。
【0059】
また、おむつ1A,1B,1C,1D,1Eにおいては、裏面シート3のフィルム31、及び/又はシート材の1枚に、グラフィック8が形成されており、グラフィック8の少なくとも一部が、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。おむつ1Aを例に挙げ具体的に述べると、裏面シート3のフィルム31、並びにシート材である、立体ギャザー形成用シート70、不織布32、内層シート62及び外層シート61全てに、或いはそれらの中の少なくとも1枚に、印刷を施してグラフィック8を形成してもよいことを意味する。おむつ1Bを例に挙げ具体的に述べると、裏面シート3のフィルム31、並びにシート材である、立体ギャザー形成用シート70、内層シート62及び外層シート61全てに、或いはそれらの中の少なくとも1枚に、印刷を施してグラフィック8を形成してもよいことを意味する。おむつ1Cを例に挙げ具体的に述べると、裏面シート3のフィルム31、及びシート材である、サイドシート11、不織布32、外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65全てに、或いは何れか1枚に、印刷を施してグラフィック8を形成してもよいことを意味する。おむつ1Dを例に挙げ具体的に述べると、裏面シート3のフィルム31、及びシート材である不織布32及びサイドシート11全てに、或いは何れか1枚に、印刷を施してグラフィック8を形成してもよいことを意味する。おむつ1Eを例に挙げ具体的に述べると、裏面シート3のフィルム31、及びシート材である、サイドシート11、不織布32、外側のサイドパネルシート64及び内側のサイドパネルシート65全てに、或いは何れか1枚に、印刷を施してグラフィック8を形成してもよいことを意味する。
【0060】
次に、フォトクロミック化合物等を含有した繊維からなる不織布が用いられ、グラフィック8が形成された具体的な使い捨ておむつの使用状態を、図面を参照しながら説明する。
図14(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が一体化したパンツ型使い捨ておむつ1Bである。
図14(a)に示すおむつ1Bにおいては、シート材である外層シート61が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、シート材である内層シート62の外面(外層シート61側の面)に複数の花柄のグラフィック8が印刷により形成されている。花柄のグラフィック8は、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有するインクにより形成されている。
図14(a)に示すおむつ1Bにおいては、外層シート61に用いられているフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランであり、グラフィック8に用いられているフォトクロミック化合物は、1,3,3−トリメチルインドリノ−6‘−ニトロベンゾピリロスピランである。
【0061】
図14(a)に示す使い捨ておむつ1Bのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図14(b)に示すように、外層シート61のフォトクロミック化合物が反応して外層シート61全体が黄色に色変化すると共に、内層シート62のフォトクロミック化合物も反応して紫色の花柄のグラフィック8が浮かび上がる。このように色変化した外層シート61や浮かび上がった花柄のグラフィック8は、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、
図14(c)に示すように、変色して元の状態に戻る。このように、
図14(a)に示す使い捨ておむつ1Bは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで外層シート61が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0062】
図14(a)に示す使い捨ておむつ1Bにおいては、内層シート62の花柄のグラフィック8の発現後、発現した花柄のグラフィック8が外層シート61越しに外部から視認可能になっていることが好ましい観点から、シート材である外層シート61は、その光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましい。光線透過率は、反射・透過率計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)で測定される。測定には、A光源を用い、全光線透過率T
tの値を測定する。サンプル上の任意の点を10点測定し、その平均値をもって光透過率の値とする。
【0063】
図15(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのテープおむつ1Eである。
図15(a)に示すおむつ1Eにおいては、シート材であるサイドパネル63を構成する外側のサイドパネルシート64が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、シート材であるサイドパネル63を構成する内側のサイドパネルシート65の外面(外側のサイドパネルシート64側の面)にキャラクター模様のグラフィック8が印刷により形成されている。キャラクター模様のグラフィック8は、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。
図15(a)に示すおむつ1Aにおいては、外側のサイドパネルシート64に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランであり、グラフィック8に用いられているフォトクロミック化合物は、6−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−1−ベンゾピランである。
【0064】
図15(a)に示す使い捨ておむつ1Eのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図15(b)に示すように、外側のサイドパネルシート64のフォトクロミック化合物が反応して外側のサイドパネルシート64全体が黄色に色変化すると共に、内側のサイドパネルシート65のフォトクロミック化合物も反応して赤色のキャラクター模様のグラフィック8が浮かび上がる。このように色変化した外側のサイドパネルシート64は、熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いて形成されているため、
図15(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、変色して元の状態に戻る。このように、
図15(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで外側のサイドパネルシート64が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0065】
伸縮性のサイドパネル63を構成する外面側あるいは内面側のサイドパネルシート64,65のいずれかがフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布であればよいが特に外面側に用いれば発色がわかりやすいため好ましい。また、双方にフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布を用いることで紫外線防御効果を向上させることができる。さらに外面側と内面側のサイドパネルシート64,65に用いるフォトクロミック化合物を変えることで違う色の組合せが可能であり、紫外線の強度で異なる色の出現が楽しめる。
【0066】
図16(a)に示す使い捨ておむつは、展開型の使い捨ておむつ1Dである。
図16(a)に示すおむつ1Dにおいては、シート材である、吸収性本体5を構成する裏面シート3の不織布32が、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる。シート材である不織布32は、吸収体の外周縁から延出する大きさのシートである。おむつ1Dの不織布32は、長手方向(Y方向)に沿う両側部が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されており、該両側部で挟まれた幅方向(X方向)中央部が、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されている。
図16(a)に示すおむつ1Dにおいては、裏面シート3の不織布32の中央部に用いられているサーモクロミック化合物は、クリスタルバイオレットラクトンを3%、ハイロロキノンを32%、ミリスチルアルコールを65%の混合物であり、不織布32の両側部に用いられているフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランである。
【0067】
図16(a)に示す使い捨ておむつ1Dのみを履いた状態で外出して、排尿すると、尿の温度により、
図16(b)に示すように、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物が反応して不織布32の幅方向(X方向)中央部が青色に色変化すると共に尿の水分によりインジケーター53も色変化する。更に、紫外光により裏面シート3の不織布32の長手方向(Y方向)に沿う両側部のフォトクロミック化合物も反応して黄色に色変化する。このように色変化した不織布32は、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を用いて形成されているため、
図16(c)に示すように、経時変化により尿の温度が下がると、変色して元の状態に戻る。また、上述のように色変化したインジケーター53は変色することはない。このように、
図16(a)に示す使い捨ておむつ1Dは、色彩を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、サーモクロミック化合物およびフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで裏面シート3の不織布32が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0068】
図16(a)に示す使い捨ておむつ1Dにおいては、インジケーター53の発現後、発現したインジケーター53が裏面シート3の不織布32越しに外部から視認可能になっていることが好ましい観点から、シート材である不織布32は、その光線透過率が30%以上であることが好ましく、40%以上であることが更に好ましい。光線透過率は、反射・透過率計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)で測定される。測定には、A光源を用い、全光線透過率T
tの値を測定する。サンプル上の任意の点を10点測定し、その平均値をもって光透過率の値とする。
【0069】
外層シート(不織布32)の幅方向中央部にサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されており、サイドフラップを含む両側部がそれ以外の不織布で形成されているものを用いることもできる。この際の幅方向中央部の幅は5〜100mmが好ましく更には10〜50mmが好ましい。5mm未満では視認性に劣るので好ましくない。上記サーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成された幅方向中央部とそれ以外の不織布で形成された両側部とはヒートシール、接着剤、超音波シールなどでそれぞれの端部を接合一体化すればよい。また、それ以外の不織布で形成された両側部には、
図16に示すおむつ1Dのように、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されているシートを用いることができる。サイドフラップの部分は不織布のみであるため吸収体あるいは炭酸カルシウムを多量に含む透湿性フィルムの存在する領域と比較して紫外線の透過が高い傾向にある。したがってサイドフラップを形成する不織布にフォトクロミック化合物を含有した繊維を用いることにより、紫外線を受けた際にこれを吸収して変色するため有効に紫外線防御をすることができる。また変色を楽しむことができる。さらに中央部のサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布によりおしっこの温度で変色するインジケーターとすることができる。
【0070】
図17(a)に示す使い捨ておむつは、分割パンツ型の使い捨ておむつ1Aである。
図17(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である外層シート61における内層シート62よりも延出した延出領域61Lが、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、更にシート材である不織布32の外面に複数の花柄のグラフィック8が印刷により形成されている。花柄のグラフィック8は、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有するインクにより形成されている。
図17(a)に示すおむつ1Aにおいては、延出領域61Lを構成する不織布に用いられているフォトクロミック化合物は、1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−インドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジンであり、グラフィック8に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、1,3,3−トリメチルインドリノ−スピロナフトオキサジンである。
【0071】
図17(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図17(b)に示すように、延出領域61Lを構成する不織布のフォトクロミック化合物が反応して不織布全体がピンク色に色変化すると共に、青色の花柄のグラフィック8が浮かび上がる。延出領域61Lの不織布および浮かび上がった花柄のグラフィック8は、熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いて形成されているため、
図17(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、変色して元の状態に戻る。このように、
図17(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで延出領域61Lの不織布が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0072】
ウエストフラップに位置する領域は基本的に不織布のみであるため吸収体4あるいは炭酸カルシウムを多量に含む透湿性フィルムの存在する領域と比較して紫外線の透過が高い傾向にある。したがってウエストフラップを形成する不織布、例えば外層シート61における延出領域61Lにフォトクロミック化合物を含有した繊維を用いることにより、紫外線を受けた際にこれを吸収して変色するため有効に紫外線防御をすることができる。また変色を楽しむことができる。
【0073】
図18(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図18(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である腹側シート部材6A及び背側シート6Bそれぞれの外層シート61が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、更に外層シート61の外面にキャラクター模様のグラフィック8が印刷により形成されている。キャラクター模様のグラフィック8も、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。
図18(a)に示すおむつ1Aにおいては、外層シート61に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランを80%に対して、1,3,3−トリメチルインドリノ−スピロナフトオキサジンを20%の混合物であり、グラフィック8に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、1,3,3−トリメチルインドリノ−スピロナフトオキサジン である。
【0074】
図18(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図18(b)に示すように、外層シート61のフォトクロミック化合物が反応して外層シート61全体が黄緑色に色変化すると共に、青色のキャラクター模様のグラフィック8が浮かび上がる。このように色変化した外層シート61及びグラフィック8は、熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いて形成されているため、
図18(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、変色して元の状態に戻る。このように、
図18(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで外層シート61が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0075】
図19(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図19(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である、吸収性本体5を構成する裏面シート3の不織布32が、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、シート材である裏面シート3の不織布32の外面に複数の星柄のグラフィック8が印刷により形成されている。星柄のグラフィック8は、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。
図19(a)に示すおむつ1Aにおいては、裏面シート3の不織布32に用いられているサーモクロミック化合物は、クリスタルバイオレットラクトンを4%、没食子酸イソオクチルエステルを4%、ミリスチルアルコールを92%の混合物であり、グラフィック8に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランを50%と、6−メトキシ−2,2−ジフェニル−2H−1−ベンゾピラン50%の混合物である。
【0076】
図19(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出して、排尿すると、尿の温度により、
図19(b)に示すように、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物が反応して不織布32全体が青色から無色に色変化すると共に尿の水分によりインジケーター53も色変化する。更に、紫外光により裏面シート3の不織布32のフォトクロミック化合物も反応して複数の橙色の星柄のグラフィック8が浮かび上がる。このように色変化した不織布32は、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を用いて形成されているため、
図19(c)に示すように、経時変化により尿の温度が下がると、変色して元の状態に戻る。また、上述のように浮かび上がった星柄のグラフィック8も、熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いて形成されているため、
図19(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、変色して元の状態に戻る。尚、上述のように色変化したインジケーター53は変色することはない。このように、
図19(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、サーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで裏面シート3の不織布32が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0077】
図20(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が一体化したパンツ型使い捨ておむつ1Bである。
図20(a)に示すおむつ1Bにおいては、シート材である外層シート61が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、シート材である内層シート62の外面(外層シート61側の面)に複数の花柄のグラフィック8が印刷により形成されている。花柄のグラフィック8は、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有するインクにより形成されている。
図20(a)に示すおむつ1Bにおいては、外層シート61に用いられているフォトクロミック化合物は、1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−インドリノ−6′−(1−ピペリジニル)−スピロナフトオキサジンであり、グラフィック8に用いられているサーモクロミック化合物は、ローダミンBラクタムを3%、没食子酸n-ドデシルエステルを28%、ミリスチルアルコールを69%の混合物である。
【0078】
図20(a)に示す使い捨ておむつ1Bのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図20(b)に示すように、外層シート61のフォトクロミック化合物のみが反応して外層シート61全体がピンク色に色変化する。このように色変化した外層シート61は、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、
図20(c)に示すように、変色して元の状態に戻る。そして、その後、排尿すると、尿の温度により、
図20(d)に示すように、内層シート62のサーモクロミック化合物が反応して赤色の花柄のグラフィック8が浮かび上がると共にインジケーター53も色変化する。このように、
図20(a)に示す使い捨ておむつ1Bは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで外層シート61が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0079】
図20(a)に示す使い捨ておむつ1Bにおいては、インジケーター53の発現後、発現したインジケーター53が外層シート61及び内層シート62越しに外部から視認可能になっていることが好ましい観点から、シート材である外層シート61は、その光線透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。また、シート材である内層シート62は、その光線透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることが更に好ましい。光線透過率は、反射・透過率計(日本電色工業(株)製、商品名「NDH−5000」)で測定される。測定には、A光源を用い、全光線透過率T
tの値を測定する。サンプル上の任意の点を10点測定し、その平均値をもって光透過率の値とする。
【0080】
図21(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図21(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である腹側シート部材6A及び背側シート6Bそれぞれの外層シート61が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されている。また、
図21(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である吸収性本体5を構成する裏面シート3の不織布32の外面にキャラクター模様のグラフィック8が印刷により形成されている。キャラクター模様のグラフィック8は、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。
図21(a)に示すおむつ1Aにおいては、外層シート61に用いられている熱可逆性のフォトクロミック化合物は、3,3−ジフェニル−3H−ナフト[2,1−b]ピランであり、グラフィック8に用いられているサーモクロミック化合物は、クリスタルバイオレットラクトンを3%、ハイドロキノンを32%、ミリスチルアルコールを65%の混合物である。
【0081】
図21(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図21(b)に示すように、外層シート61のフォトクロミック化合物が反応して外層シート61全体が黄色に色変化する。このように色変化した外層シート61は、熱可逆性のフォトクロミック化合物を用いて形成されているため、
図21(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、変色して元の状態に戻る。そして、その後、排尿すると、尿の温度により、
図21(d)に示すように、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物が反応して青色のキャラクター模様が浮かび上がると共にインジケーター53も色変化する。このように、
図21(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで外層シート61が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0082】
尚、
図21(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出して、排尿すると、紫外光及び尿の温度により、
図21(e)に示すように、外層シート61のフォトクロミック化合物が反応して外層シート61全体が色変化し、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物も反応してキャラクター模様が浮かび上がると共にインジケーター53も色変化する。
【0083】
図22(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図22(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である、吸収性本体5を構成する裏面シート3の不織布32が、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されており、シート材である裏面シート3の不織布32の外面に複数の星柄のグラフィック8が印刷により形成されている。星柄のグラフィック8も、温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有するインクを用いて形成されている。
図22(a)に示すおむつ1Aにおいては、裏面シート3の不織布32に用いられているサーモクロミック化合物は、クリスタルバイオレットラクトンを4%、没食子酸イソオクチルエステルを4%、ミリスチルアルコールを92%の混合物であり、グラフィック8に用いられているサーモクロミック化合物は、ローダミンBラクタムを3%、没食子酸n-ドデシルエステルを28%、ミリスチルアルコールを69%の混合物である。
【0084】
図22(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出しても、
図22(b)に示すように、紫外光により色変化は起こらない。また、
図22(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして温度が下がっても、色変化は起こらない。そして、その後、排尿すると、尿の温度により、
図22(d)に示すように、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物が反応して不織布32全体が青色から無色に色変化し、更に、裏面シート3の不織布32のサーモクロミック化合物が反応して複数の赤色の星柄のグラフィック8が浮かび上がると共にインジケーター53も色変化する。このように、
図22(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、サーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで不織布32が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0085】
図23(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図23(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材である、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7を構成するサイドシート11が、光の作用のみならず熱の作用によっても色変化を示す熱可逆性のフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで形成されている。
【0086】
図23(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出すると、紫外光により、
図23(b)に示すように、サイドシート11のフォトクロミック化合物が反応して立体ギャザー7全体がピンク色に色変化する。このように色変化した立体ギャザー7は、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして紫外光を受けなくなると、
図23(c)に示すように、変色して元の状態に戻る。このように、
図23(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで立体ギャザー7を構成する立体ギャザー形成用シート70が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0087】
図23(a)に示す使い捨ておむつ1Aにおいては、サイドシート11の発現後、発現した立体ギャザー7の大部分が、おむつ1Aの着用状態において、
図23(b)に示すように、レッグ開口部LOから直接視認できる位置にある。
【0088】
図23に示したパンツ型使い捨ておむつ1Aにおいて、吸収性本体5の両側部5c,5cそれぞれに配された立体ギャザー7を具備しているが、この部分は不織布のみであるため吸収体あるいは炭酸カルシウムを多量に含む透湿性フィルムの存在する領域と比較して紫外線の透過が高い傾向にある。したがって立体ギャザー7を形成するサイドシート11にフォトクロミック化合物を含有した繊維を用いることにより、紫外線を受けた際にこれを吸収して変色するため有効に紫外線防御をすることができる。また変色を楽しむことができる。
【0089】
図24(a)に示す使い捨ておむつは、外層体が分離した分割タイプのパンツ型使い捨ておむつ1Aである。
図24(a)に示すおむつ1Aにおいては、シート材として、不織布32、内層シート62、外層シート61、立体ギャザー形成用シート70以外に、裏面シート3を構成するフィルム31よりも外面側に配された、吸収体4より幅の狭い短冊状のシート54を備えている。この短冊状のシート54は、少なくとも幅方向(X方向)中央部にフォトクロミック化合物又サーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されていればよいが、
図24(a)に示すおむつ1Aにおいては、全面が温度変化に伴って物質の色が可逆的に変化するサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されている。
図24(a)に示すおむつ1Aにおいては、短冊状のシート54に用いられているサーモクロミック化合物は、クリスタルバイオレットラクトンを4%、没食子酸イソオクチルエステルを4%、ミリスチルアルコールを92%の混合物である。
【0090】
図24(a)に示す使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で外出しても、
図24(b)に示すように、紫外光により色変化は起こらない。また、
図24(c)に示すように、使い捨ておむつ1Aのみを履いた状態で室内に移動したり、天気が曇りになったりして温度が下がっても、色変化は起こらない。そして、その後、排尿すると、尿の温度により、
図24(d)に示すように、短冊状のシート54のサーモクロミック化合物が反応してシート54全体が青色から無色に色変化する。このように、
図24(a)に示す使い捨ておむつ1Aは、柄や模様を視認可能なように使用中に変化させたいとのニーズを満たすとともに、サーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布のみで短冊状のシート54が形成されているため、広範囲において色が変化しても色ムラが生じ難いとのニーズを満たす。
【0091】
裏面シート3を構成する液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム31の外側にサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されている短冊状のシート54を貼り付けることでおしっこの温度で変色するインジケーターとなる。この際の短冊状シート54の幅は5〜100mmが好ましく、更には10〜50mmが好ましい。5mm未満では視認性に劣るので好ましくない。幅は吸収体上であれば効果が得られるがあまり太いとコスト高になる。短冊状シート54は外層シート(不織布32)と裏面シート3とで挟み込んでもよい。吸収体4に対して貼り付ける位置は、吸収体4の幅方向中央が排尿ポイントとなるため好ましいが、中央部付近であれば効果が得られる。また、短冊状シート54の長さは50〜400mmが好ましい50mm未満では視認性に劣るので好ましくない。長さは吸収体4上であれば効果が得られるがあまり長いとコスト高になる。吸収体4に対して貼り付ける位置は、吸収体4の前後方向中央部が排尿ポイントとなるため好ましいが、中央部付近であれば効果が得られる。
【0092】
本発明の使い捨ておむつの実施形態であるおむつ1A,1B,1C,1D,1Eの形成材料について説明する。
吸収性本体5を構成する表面シート2及び吸収体4としては、それぞれ、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、表面シート2としては、親水性且つ液透過性の不織布等を用いることができ、吸収体4としては、パルプ繊維等の繊維の集合体(不織布であっても良い)又はこれに吸水性ポリマーの粒子を保持させてなる吸収性コアを、透水性の薄紙や不織布からなるコアラップシートで被覆したもの等を用いることができる。
【0093】
立体ギャザー7を形成する立体ギャザー形成用シート70としては、上述したような、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布でない場合には、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。そのような立体ギャザー形成用シート70としては、液抵抗性又は撥水性で且つ通気性の、伸縮性フィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
腹側シート部材6A及び背側シート6Bに配される弾性部材(不図示)、立体ギャザー形成用シート70に配される弾性部材71としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。
【0094】
本発明の使い捨ておむつは、
図17,
図18,
図19,
図21,
図22,
図23,
図24に示すパンツ型使い捨ておむつ1A、
図14,
図20に示すパンツ型使い捨ておむつ1B、
図7に示すパンツ型使い捨ておむつ1C、
図16に示す展開型の使い捨ておむつ1D、
図15に示す展開型の使い捨ておむつ1Eに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の使い捨ておむつにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0095】
例えば、
図14〜
図15,
図17〜
図22に示す使い捨ておむつ1A,1B,1Eにおいては、何れも、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有するインクを用いてグラフィック8が形成されているが、このようなグラフィック8は形成されていなくてもよい。また、フォトクロミック化合物又はサーモクロミック化合物を含有しないインクを用いてグラフィックが形成されていてもよい。
【0096】
また、
図17に示す使い捨ておむつ1Aにおいては、シート材である外層シート61における内層シート62よりも延出した延出領域61Lが、フォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されているが、延出領域61Lに対応する位置に、延出領域61Lの代わりに別のシート材を配置し、この別のシート材がフォトクロミック化合物を含有した繊維からなる不織布で形成されていてもよい。