特許第5936354号(P5936354)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936354
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】飲料容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/06 20060101AFI20160609BHJP
   A47G 19/00 20060101ALI20160609BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20160609BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B65D47/06 J
   A47G19/00
   B65D47/08 M
   B65D47/32 Z
【請求項の数】1
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2011-549370(P2011-549370)
(86)(22)【出願日】2011年11月18日
(86)【国際出願番号】JP2011006445
(87)【国際公開番号】WO2013072972
(87)【国際公開日】20130523
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(72)【発明者】
【氏名】新井 啓介
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】木村 式男
(72)【発明者】
【氏名】町田 楓
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−057250(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/033477(WO,A1)
【文献】 特開2002−321741(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/148441(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/06
A47G 19/00
B65D 47/08
B65D 47/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料を収容するための容器本体と、
前記容器本体を覆う中蓋部と、
前記中蓋部に形成される、飲料を排出する飲み口部と、
前記飲み口部を閉塞する飲み口閉塞部と、
前記中蓋部に対して係脱可能に配置される外蓋部と、
前記容器本体の外部に対する通気を確保する通気部と、
前記外蓋部と前記中蓋部との係合を解除する解除操作部と、を有し、
前記外蓋部が前記中蓋部に対して閉状態になるように配置されたきに、前記通気部を閉
塞状態とすることができる閉塞位置に配置されると共に、前記解除操作部の解除動作に基
づき、前記通気部を通気状態とする通気位置に配置される閉塞通気兼用部を備え、
前記通気位置では、前記閉塞通気兼用部の少なくとも一部が、前記通気部から外部に対
する通気路を確保する通気確保部となり、
前記通気部は、筒状部を有し、この筒状部内に弾性部材で形成された細長い切れ目となっているスリット部が設けられ、
前記閉塞通気兼用部は、前記筒状部を覆うように配置可能となっていると共に突起部を有し、前記突起部は前記筒状部内に配置され、
前記解除操作部は、その移動によって、前記外蓋部の前記中蓋部に対する係合を解除する構成となっていると共に、前記解除操作部の移動方向に沿って、前記閉塞通気兼用部を移動させることで、前記突起部が前記スリット部を開放させる構成となっており、
前記スリット部の長手方向の配置方向が、前記解除操作部の前記移動方向に対し、交差
する方向となっていることを特徴とする飲料容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料を内部に収容し得る飲料容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、乳幼児等が飲料を飲む際に用いるカップ等の飲料容器には、容器に蓋を配置すると共に、この蓋にストローを配置するものがある。このような、ストロー付き飲料容器は、乳幼児等が、容器内の飲料をストローを用いて飲む練習をすることができるという利点があり、多くの母親等の保護者が使用している。
ストロー付き飲料容器は、内部に飲料を収容し、ストローを配置した状態で、保護者等が持ち運ぶことができるように、ストローを閉塞状態にして、ストローを覆うように配置される外蓋が形成されている。
【0003】
しかし、このストロー付き飲料容器内に暖めたミルク等を収容し、外蓋を閉めて保護者が持ち運ぶと、容器内の圧力が高まり,大気圧との差圧が生じる。このため、保護者が移動先等で外蓋を開け、ストローの閉塞状態を解除すると、ストローから容器内の暖めたミルク等が噴出等するという問題があった。
このため、従来より、飲料容器の蓋には、容器内の空間と連通する通気孔等を設け、容器内のミルク等の飲料がストロー等から噴出等するのを未然に防止するようにしている。
【0004】
一方、かかる通気孔が存在すると、保護者等がストロー付き飲料容器を、バッグ等内に収容して持ち運ぶ際に容器内の飲料が漏れ出すという問題があった。
このため、通気孔を弁構造にするものや、外蓋を開ける際に通気孔に通気動作をさせる構成が提案されている。また、ストロー付き飲料容器を持ち運ぶ際や、乳幼児等がストローをくわえ、飲料容器の飲料を飲む際には、通気孔が塞がれる構成とする提案もなされている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−335464号公報(図5図7及び図8等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の発明のように、凸部を用いて、通気孔を塞ぐ構成を採用しても、この凸部はスライドする部材に設けられており、凸部の位置がずれて、通気孔を精度良く塞ぐことができない場合があり、この場合は、依然として飲料容器内の飲料が漏れ出す等の問題があった。また、通気孔を弁構造としても、弁自体に不具合等が発生した場合も飲料が漏れ出す等の問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、飲料容器内の圧力の開放を効果的に且つ長期間にわたって持続させ、飲料容器内の飲料の漏れだし等を効果的に防ぐことができる飲料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的は、本発明によれば、飲料を収容するための容器本体と、前記容器本体を覆う中蓋部と、前記中蓋部に形成される、飲料を排出する飲み口部と、前記飲み口部を閉塞する飲み口閉塞部と、前記中蓋部に対して係脱可能に配置される外蓋部と、前記容器本体の外部に対する通気を確保する通気部と、前記外蓋部と前記中蓋部との係合を解除する解除操作部と、を有し、前記外蓋部が前記中蓋部に対して閉状態になるように配置されたきに、前記通気部を閉塞状態とすることができる閉塞位置に配置されると共に、前記解除操作部の解除動作に基づき、前記通気部を通気状態とする通気位置に配置される閉塞通気兼用部を備え、前記通気位置では、前記閉塞通気兼用部の少なくとも一部が、前記通気部から外部に対する通気路を確保する通気確保部となり、前記通気部は、筒状部を有し、この筒状部内に弾性部材で形成された細長い切れ目となっているスリット部が設けられ、前記閉塞通気兼用部は、前記筒状部を覆うように配置可能となっていると共に突起部を有し、前記突起部は前記筒状部内に配置され、前記解除操作部は、その移動によって、前記外蓋部の前記中蓋部に対する係合を解除する構成となっていると共に、前記解除操作部の移動方向に沿って、前記閉塞通気兼用部を移動させることで、前記突起部が前記スリット部を開放させる構成となっており、前記スリット部の長手方向の配置方向が、前記解除操作部の前記移動方向に対し、交差する方向となっていることを特徴とする飲料容器により達成される。
【0009】
前記構成によれば、外蓋部が中蓋部に対して閉状態になるように配置されたきに、通気部を閉塞状態とすることができる閉塞位置に配置されると共に、解除操作部の解除動作に基づき、通気部を通気状態とする通気位置に配置される閉塞通気兼用部を備えている。このため、外蓋部を中蓋部に対して閉状態になるように配置したとき、すなわち、利用者等が飲料容器を例えば、バッグ等に収容して、移動しているとき、通気部は閉塞通気兼用部によって閉塞されているので、容器本体内の飲料の漏出を未然に防止することができる。
一方、閉塞通気兼用部で通気部を閉塞すると、飲料の漏出を抑制できる反面、容器本体内の圧力の開放が不十分となり、飲み口部からの飲料の噴出等を招来するおそれがある。
そこで、前記構成では、閉塞通気兼用部は、解除操作部の解除動作に基づき、通気部を通気状態とする通気位置にも配置される構成となっている。
また、通気位置では、閉塞通気兼用部の少なくとも一部が、通気部から外部に対する通気路を確保する通気確保部として作用する構成ともなっている。
このため、例えば、利用者等が解除操作部を操作し、外蓋部と中蓋部との係合を解除したときは、閉塞通気兼用部により、通気部が通気状態となると共に、その閉塞通気兼用部の少なくとも一部が通気確保部として作用するので、容器本体内の圧力の開放が不十分となることを未然に防止する構成となっている。
【0011】
前記構成によれば、閉塞通気兼用部は、解除操作部の動作に対応して、その位置を移動することで、スリット部を広げることができる。
このため、解除操作部の動作で、外蓋部と中蓋部との係合が解除される際に、スリット部を確実に広げ、容器本体内の圧力の開放を確実なものとし、飲料の飲み口部からの噴出等を未然に防止することができる。また、容器本体内の圧力の開放を行うための別段の動作を行う必要がなく、煩雑な作業が不要となる。
【0013】
前記構成によれば、通気部の筒状部内にスリット部が設けられ、閉塞通気兼用部が筒状部に当接される。このため、閉塞通気兼用部は当接している筒状部が連動して移動することとなり、確実にスリット部を広げることができる。
【0015】
前記構成によれば、スリット部の長手方向の配置方向が、解除操作部の移動方向に対し、交差する方向となっているので、スリットが広がり易い構成となっている。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、飲料容器内の圧力の開放を効果的に且つ長期間にわたって持続させ、飲料容器内の飲料の漏れだし等を効果的に防ぐことができる飲料容器を提供することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の飲料容器である例えば、ストローカップを示す概略図である。
図2図1のストローカップの外蓋を開いた状態を示す概略図である。
図3図1のストローカップの主要部の概略分解斜視図である。
図4図1のストローカップの主要部の他の概略分解斜視図である。
図5図1の外蓋、中蓋及びストロー等の配置状態を示す概略断面図である。
図6】スリットが圧力調整突起によって広げられた状態を示す概略説明図である。
図7図4に示す閉塞通気兼用部の断面形状を示す概略図である。
図8図5の閉塞通気兼用部が、解除片の移動により図5のX1b方向に移動したときの閉塞通気兼用部と通気部との関係を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0019】
図1に示す飲料容器である、例えば、ストローカップ1は、乳幼児等が飲料を飲み口部であるストローで飲む練習等をするためのカップである。
図1に示すように、ストローカップ1は、乳幼児等が飲む飲料を収容するために、その一端側に図示しない開口部を有する容器本体2を有すると共に、この容器本体2の開口部(図1の上側)を覆うように配置される中蓋部である例えば、中蓋3を有している。
したがって、容器本体2内に収容された液体は、中蓋3によって外部に漏れ出し難い構成となっている。
また、この中蓋3には、図1に示すように、両側に取っ手4a,4bが湾曲形状を成して配置されている。また、中蓋3に対しては、外蓋部である外蓋5が配置されている。
【0020】
図1図3及び図4に示すように、外蓋5は、全体が中蓋3から離間する方向に突出するように形成されるドーム形状を成している。
また、この外蓋5の内側には、後で詳述する漏れ防止プレート12が、外蓋5に対して移動可能に配置されると共に、この漏れ防止プレート12を挟み込むように、外蓋5と中蓋3が配置され得るように構成されている。
【0021】
中蓋3は平面側の外形形状が略円形形状を成していると共に、その中央部には、その外側より段差を形成することで、低く成っている中央凹部3kが形成されている。
この中央凹部3kには、ストロー8を配置するための円形のストロー挿通孔3dが形成されている。
したがって、このストロー挿通孔3dにストロー8を挿入配置することで図2のようにストロー8を中蓋3に対して固定配置することが可能な構成となっている。
【0022】
また、図2に示すように、外蓋5は、ヒンジ部材7を介して、中蓋3に対して揺動可能な構成となっている。すなわち、図2の矢印R1方向に沿って外蓋5が揺動することで、外蓋5は、中蓋3上から退避又は中蓋3上への配置が可能な構成となっている。
図3に示すように、ヒンジ部材7は、第1のヒンジ7a及び第2のヒンジ7bを有している。このようなヒンジ部材7を用いることで、外蓋5を図2に示すように、中蓋3から最大限、離間する方向に揺動させたときの外蓋5と中蓋3との角度は、250度程度とすることができる構成となっている。
【0023】
図5に示すように、ヒンジ部材7には、ヒンジ凹部7dが形成され、ヒンジ部材7の近傍の中蓋3には、ヒンジ突起7cが形成されている。このため、図2に示すように、外蓋5が開くと、このヒンジ突起7cが、ヒンジ凹部7dに係合し、図2に示すように、外蓋5と中蓋3との角度を250度程度に固定することができる構成となっている。
【0024】
中蓋3には、図3に示すように、その上面の中央凹部3kより段差を介して高く形成されている台部3lに、2つの外蓋用位置決め突部3a,3bが形成されている。この2つの外蓋用位置決め突部3a,3bは、外蓋5が中蓋3に閉塞位置に移動する際に正しい閉塞位置となるようにガイドするものであり、外蓋5の外蓋外周端部5c,5d(図4参照)が当接する。
このため、図1に示すように、外蓋5を中蓋3上に配置したときに、精度良く外蓋5を位置決めすることができる。これは、図2のヒンジ部材7のみでは、外蓋5を正確に位置決めできない場合に備えて形成されているものである。
【0025】
また、図3に示すように、中蓋3には、上述のヒンジ部材7を装着するヒンジ受け部3cも形成されている。
そして、図2に示すように、中蓋3には、ストロー8が傾斜して突出するように取り付けられている。
したがって、利用者である乳幼児等が、図2のように外蓋5を開けて,取っ手4a,4bを把持し、ストロー8をくわえて、容器本体2内の飲料を飲む場合でも、外蓋5が、250度まで開きその位置を固定できるので、外蓋5が利用者の顔等に当接することがなく、飲みやすい構成となっている。
【0026】
図3及び図4に示すように、中蓋3の中央凹部3kには、上述のようにストロー8を挿通するためのストロー挿通孔3dと、後述する通気部である通気弁10を装着する通気弁装着孔3eが形成されている。
図3及び図4に示すように、ストロー8と通気弁10は、連結されており,1部品となるように形成されている。これにより、部品点数が減り製造コストを低下させることができる上に、部品の紛失の機会を減らすことができる。また、ストロー8は、乳幼児等の利用者等が口にくわえても柔らかい軟質の樹脂部材等から形成されている。
【0027】
また、図4に示すように、中蓋3の内側のストロー挿通孔3dの両側には、ストロー8の挿入位置を位置決めする突起であるストロー位置決め用ボス3f,3gが形成されている。これらストロー位置決め用ボス3f,3gは、図4に示すように、異なる大きさ(形状)となっている。
【0028】
一方、ストロー8側には、図3に示すように、ストロー位置決め凹部8a,8bが形成され、それぞれ、ストロー位置決め用ボス3f,3gに対応した大きさ(形状)となっている。
このため、利用者等がストロー8を中蓋3のストロー挿通孔3dに挿入する際に、これらストロー位置決め凹部8a,8bをストロー位置決め用ボス3f,3gに適合するように装着することで、ストロー8の配置上の向きを誤ることがない構成となっている。
【0029】
また、このようにストロー8を中蓋3に装着した際、ストロー8は、利用者等の唇等が配置される側である図2の左斜め上に向いて配置され、通気弁10は、図2の右側、すなわち、ストロー8より、利用者の唇等から離れる側に配置される。
このため、利用者等が、ストローカップ1を傾けて、ストロー8から飲料を飲む際、通気弁10は、ストロー8より高い位置となり、通気弁10から飲料が漏れ出すことを防ぐことができる構成となっている。
【0030】
通気弁10は、弾性体により形成され、図3及び図4に示すように、その略中央部分には、容器本体2内の圧力を開放するスリット部である例えば、スリット10aが形成されている。
【0031】
したがって、本実施の形態では、スリット10aにより、容器本体2内部の飲料が漏れ難い構成となっている。
スリット10aは、図5に示すように、通気弁10のうち、容器本体2側に突出したドーム状の頂部に設けられている。このため、利用者がストロー8を介して飲料を吸引し、容器本体2の内部が陰圧になったとき、ドーム状の頂部が容器本体2側に移動し、変形し、スリット10aが開き易い構成となっている。
すなわち、空気を容器本体2内に吸気し易い構成となっている。したがって、利用者が容器本体2内の陰圧により、ストロー8を介して飲料を吸いにくくなることを未然に防ぐ構成となっている。
なお、本実施の形態では、開口部の例として、スリット10aを例に説明したが、本発明の開口部には、スリット10aのみならず通気孔等も含まれる。
【0032】
ところで、図3及び図5に示すように、中蓋3の台部3l上には、飲み口閉塞部である例えば、第1の中蓋側閉塞用突起3hと第2の中蓋側閉塞用突起3iが所定の間隔を介して、突出して配置されている。
一方、外蓋5側には、図4及び図5に示すように、飲み口閉塞部である外蓋側閉塞用突起5eが突出して配置されている。
【0033】
そして、図4に示すように、外蓋5を中蓋3に対して、閉状態になるようにしたとき、外蓋側閉塞用突起5eが、第1の中蓋側閉塞用突起3hと第2の中蓋側閉塞用突起3iの間に入り込むように配置される。
また、このとき、ストロー8は、図5に示すように、外蓋側閉塞用突起5e、第1の中蓋側閉塞用突起3h及び第2の中蓋側閉塞用突起3iによって、W字状に屈曲させられ、ストロー8の内部空間が部分的に閉塞状態となる。
すなわち、ストロー8の長手方向において、3カ所でストロー8を押し潰し、閉塞する構成となっているストロー8を確実に閉塞させることができ、飲料の漏出をより確実に防止することができる構成となっている。
【0034】
ところで、本実施の形態のストローカップ1は、上述のように、外蓋5に対して移動可能に配置されている漏れ防止プレート12を備えているため、以下、詳述する。
図3及び図4に示すように、漏れ防止プレート12は、中蓋3側に平坦な板状部材からなる中蓋側プレート12jを有しており、この中蓋側プレート12jの平坦面によって、漏れ防止プレート12が外蓋5に対して移動したときに、中蓋3に対して円滑に移動可能な構成となっている。
また、上述のように、漏れ防止プレート12は、外蓋5の内側に移動可能に配置され、具体的には、以下のような構成となっている。
【0035】
図3に示すように、漏れ防止プレート12は、その移動方向(図4の矢印X1方向)沿って、両側に各々2つずつ一定の間隔を設けて、プレート側ガイド爪12aを有している。このプレート側ガイド爪12aは、図4の外蓋5に対応して配置されている外蓋側爪5fと係合し、図4の矢印X1方向に移動可能な構成となっている。すなわち、漏れ防止プレート12は、外蓋5に対してスライド可能に配置されている。
【0036】
また、図3に示すように、漏れ防止プレート12は、2つの抜け止め用ボス12bを有している。すなわち、図3の漏れ防止プレート12が、外蓋5に装着され、図4等の矢印X1方向に移動可能な状態では、例えば、図3の長手方向に配置されている2つのプレート側ガイド爪12aの間に、図4の外蓋側ガイド爪5fが位置すると、漏れ防止プレート12は、外蓋5から外れてしまうおそれがある。
このため、漏れ防止プレート12は、抜け止め用ボス12bを2つ設けると共に、この抜け止め用ボス12bが当接するストッパ5gを、図4に示すように、外蓋5に形成した。
【0037】
したがって、外蓋5に係合し、図4の矢印X1方向に移動可能な漏れ防止プレート12は、図3に示す2つの抜け止め用ボス12bが、図4の2つのストッパ5gに当接することで移動が規制され、外蓋5から外れることを未然に防ぐことができる構成となっている。
そして、漏れ防止プレート12を外蓋5から取り外すときは、抜け止め用ボス12bがストッパ5gを乗り越えるまで、利用者等が漏れ防止プレート12を移動させる構成となっている。
このように、漏れ防止プレート12は、外蓋5から取り外すことができ、漏れ防止プレート12を洗浄等し易い構成となっているので、利用者等が、ストローカップ1を衛生的な状態に維持させ易い構成となっている。
また、逆に、取り外された漏れ防止プレート12は、そのプレート側ガイド爪12aと外蓋5の外蓋用ガイド爪5fを係合させることで、容易に外蓋5に装着することができる構成ともなっている。このように、漏れ防止プレート12は、外蓋5に対して容易に着脱可能な構成となっている。
【0038】
ところで、図4に示すように、漏れ防止プレート12の中蓋3側に形成された平坦な中蓋側プレート12jから矢印X1方向に沿って、突出するように2つの係合爪12gが形成されている。この係合爪12gは、漏れ防止プレート12が図4の外蓋5に装着され、外蓋5が図1に示すように、中蓋3に対して閉状態になるように配置されたときに、図3に示す中蓋3の被係合部材3jと係合し、外蓋5が中蓋3に対して係合固定される構成となっている。
この被係合部材3jは、図3に示すように、中蓋3の台部3lから漏れ防止プレート12側に向かって突出して形成され、この被係合部材3jと台部3lとの間には、漏れ防止プレート12の係合爪12gが挿入可能な穴部が形成されている。
したがって、外蓋5が中蓋3に対して係合固定されると、図5に示すように、ストロー8は、第1の中蓋側閉塞用突起3h、第2の中蓋側閉塞用突起3i及び外蓋側閉塞用突起5eによって閉塞され、容器本体2内の飲料がストロー8から漏れ出すことを確実に防止される構成となっている。
【0039】
また、図3及び図4に示すように、漏れ防止プレート12には、図4の矢印X1方向に沿って突出するように、解除操作部である例えば、解除片12cが形成されている。
この解除片12cは、漏れ防止プレート12を装着した外蓋5を中蓋3上に配置したときに、利用者等が外側から押し込む等の操作をすることで、漏れ防止プレート12の係合爪12gが、図3の被係合部材3jから外れ、外蓋5と中蓋3との係合が解除される構成となっている。
したがって、利用者は、係合片12cを操作するだけで、容易に外蓋5と中蓋3の係合を解除することができる。
【0040】
図3の漏れ防止プレート12には、図3のバネ部材13を配置するバネ装着領域12dが形成されている。また、漏れ防止プレート12には、図3のバネ首部13aを固定するためのバネ取付用切り欠き12eが形成されている。
このように、漏れ防止プレート12に装着されたバネ部材13が、漏れ防止プレート12と共に、図3の外蓋5に配置されると、図3のバネ部材13のバネ後端部13bは、図4の外蓋5のバネ当接部5iに当接する。
したがって、この状態で、漏れ防止プレート12は、バネ部材13によって、図4の矢印X1のX1a方向に付勢させられ、漏れ防止プレート12と一体に形成されている解除片12cも同様に、図4の矢印X1のX1a方向に付勢させられる構成となっている。
【0041】
この解除片12cは、漏れ防止プレート12を外蓋5に係合、装着させたときに、外蓋5に形成されている解除片用開口5h(図4参照)に配置され、外蓋5から突出する方向に付勢され、配置される。このため、解除片12cは、図5に示すように、利用者等が操作し易いように配置される。
すなわち、利用者は、バネ部材13の付勢力に抗して、解除片12cを押し込むことで、漏れ防止プレート12を移動させ、外蓋5と中蓋3との係合を解除することができる構成となっている。
一方、利用者等が解除片12cを操作しないときは、バネ部材13の付勢力によって、外蓋5が中蓋3に係合する構成ともなっている。
【0042】
また、図4及び図5等に示すように、解除片12cには、その移動方向に沿って、突出するように解除片保持爪12fが形成されている。
この解除片保持爪12fに対応して、図5に示すように、外蓋5の外蓋側閉塞用突起5eには、この解除片保持爪12fを挿入保持するための解除片保持爪開口5jが形成されている。
【0043】
したがって、解除片12cの移動方向は、解除片保持爪12fが解除片保持爪開口5j内を摺動することによって、解除片12cの垂れ下がり等を未然に防止することができる。
【0044】
ところで、図4に示すように、漏れ防止プレート12の中蓋側プレート12jには、閉塞通気兼用部12hが形成されている。
図7に示すように、閉塞通気兼用部12hは、漏れ防止プレート12の中蓋側プレート12jから中蓋3側に突出する突出部12haを有すると共に、その突出部12haの一方側である、図4の解除片12c側に、突出部12haの頂点部分からなだらかな勾配(傾斜)となっている通気確保部12hbを有している。
【0045】
この閉塞通気兼用部12hは、漏れ防止プレート12が外蓋5に装着され、外蓋5が中蓋3と係合状態になったときに、図5に示すように、通気弁10を覆い閉塞する構成となっている。
具体的には、図7で示す突出部12haが通気弁10の筒状部10b(図3参照)の上面と同一乃至やや大きい形状となっており、図5に示すように、外蓋5を閉塞状態(閉塞位置の一例)にしたときに、確実に通気弁10を覆い、閉塞する。
通気弁10は、図4に示すようにスリット10aを有するため、容器本体2内の飲料が漏れにくい構成となっているが、本実施の形態では、更に、閉塞通気兼用部12hの突出部12haで通気弁10の筒状部10bを覆うことで、飲料の漏出を確実に防ぐ構成となっている。
特に、スリット10aが経年変化で周囲の樹脂が劣化した場合は、この突出部12haで通気弁10を閉塞するので、外蓋5を閉状態としたときに、容器本体2内の飲料の漏れを確実に防ぐことができる。
【0046】
この通気弁10は、図3に示すように、筒状の筒状部10bを有し、その内部には、スリット10aが形成されている板状部10cが配置されている。
この板状部10cは、図5に示すように、容器本体2側に突出するように形成された略ドーム形状でなり、その頂部にスリット10aが形成されている。
【0047】
そして、閉塞通気兼用部12hの突出部12haは、この筒状部10b及びスリット10aに対向し、かつ近接して配置される。
また、本実施の形態では、スリット10aは、図5に示すように、容器本体2側に突出したドーム状の板状部10cの頂部に設けられている。このため、利用者がストロー8を介して飲料を吸引し、容器本体2の内部が陰圧になったとき、ドーム状の頂部が容器本体2側に引っ張られ、弾性変形し、スリット10aが開き易い構成となっている。
すなわち、空気を容器本体2内に吸気し易い構成となっている。したがって、利用者が容器本体2内の陰圧により、ストロー8を介して飲料を吸いにくくなることを未然に防ぐ構成となっている。
【0048】
また、このスリット10aは、図3等で示すように、細長い切れ目となっており、その長手方向は、図4の漏れ防止プレート12の移動方向である矢印Y1方向と交差、本実施の形態では例えば、直交するように配置されている。
このため、図5に示すように、外蓋5を中蓋3と係合させた状態で、利用者等が、解除片12cを操作し、図4の矢印X1方向のうち、X1b方向に、解除片12cを移動させると、閉塞通気兼用部12hも同じ方向に移動する(通気位置の一例)。
具体的には、図8に示すように、閉塞通気兼用部12hの突出部12haが水平移動することで、当接されている通気弁10の筒状部10b上面もつられて移動することとなる。このとき、通気弁10の形状が変形することで、図6に示すようにスリット10aが開放状態となる。
【0049】
このように、スリット10aの長手方向の切れ目が、矢印X1方向と直交するように配置されているので、閉塞通気兼用部12hの突出部12haが、スリット10aを広げるように動作し易い構成となっている。
すなわち、図6に示すように、スリット10aは、突出部12haによって大きく広げられることになる。
【0050】
本実施の形態では、図8に示すように、閉塞通気兼用部12hが、解除片12cの移動により図5のX1b方向に移動したときは、閉塞通気兼用部12hの通気確保部12hbと筒状部10bとの間に、スリット10aからの通気を外部へ排出するのを確保するための通気路14が確保される構成となっている。
このように、本実施の形態では、利用者が解除片12cによって、外蓋5を開け、ストロー8の閉塞を解除する前に、スリット10aが突出部12haによって強制的に開放させられ、その通気は、通気路14によって確保され、容器本体2内の圧力も開放させられるので、容器本体2内の温かいミルク等の飲料がストロー8から噴出することを未然に防ぐことができる。
【0051】
また、本実施の形態では、漏れ防止プレート12に、解除片12c及び閉塞通気兼用部12hが一体的に形成されている。このため、解除片12cの動作と閉塞通気兼用部12hの協働が確実となり、例えば、解除片12cが動作しているにもかかわらず、閉塞通気兼用部12hの突起部12haが通気弁10を通気させない等の弊害の発生を未然に防止することができる。
以上のように、本実施の形態では、通気確保部12hcは、通気弁10の筒状部10cに当接し、通気弁10を閉塞すると共に、解除片12cの操作で、漏れ防止プレート12が移動したときは、通気路14を確保する構成となっているので、通気弁10の閉塞状態及び通気状態を確実なものとすることができる構成となっている。
【0052】
また、本実施の形態では、通気弁10にスリット10aを設けることで,容器本体2内の飲料を漏れ難くすることができ、且つ、容器本体2内の圧力開放も行い易い構成となっている。
そして、閉塞通気兼用部12hにより、スリット10aからの万一の飲料の漏れも未然に防止することができる。さらに、外蓋5を開く際のストロー8からの飲料の噴出を防止すべく、スリット10aを閉塞通気兼用部12hの突出部12haにより、強制的に広げる構成ともなっている。したがって、利用者等が使い易いストローカップ1となっている。
【符号の説明】
【0053】
1・・・ストローカップ、2・・・容器本体、3・・・中蓋、3a,3b・・・外蓋用位置決め突部、3c・・・ヒンジ受け部、3d・・・ストロー挿通孔、3e・・・通気弁装着孔、3f,3g・・・ストロー位置決め用ボス、3h・・・第1の中蓋側閉塞用突起、3i・・・第2の中蓋側閉塞用突起、3j・・・被係合部材、3k・・・中央凹部、4a,4b・・・取っ手、5・・・外蓋、5c,5d・・・外蓋外周端部、5e・・・外蓋側閉塞用突起、5f・・・外蓋側爪、5g・・・ストッパ、5h・・・解除片用開口、5i・・・バネ当接部、5j・・・解除片保持爪開口、7・・・ヒンジ部材、7a・・・第1のヒンジ、7b・・・第2のヒンジ、7c・・・ヒンジ突起、7d・・・ヒンジ凹部、8・・・ストロー、10・・・通気弁、10a・・・スリット、10b・・・筒状部、10c・・・板状部、12・・・漏れ防止プレート、12a・・・プレート側ガイド爪、12b・・・抜け止め用ボス、12c・・・解除片、12d・・・バネ装着領域、12e・・・バネ取付用切り欠き、12f・・・解除片保持爪、12g・・・係合爪、12h・・・閉塞通気兼用部、12ha・・・突出部、12hb・・・通気確保部、12j・・・中蓋側プレート、13・・・バネ部材、13a・・・バネ首部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8