(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ケージ(110)内においてスライドくさび伝動装置(92,107,96)のスライドくさび(92)は、ばね蓄力器式駆動装置(50)の押し棒と、少なくとも1つの空気力式又は液圧式の駆動装置(70,80)のピストンロッド(73)との間において緊締されている、請求項1記載のブレーキング兼クランピング装置。
ばね蓄力器式駆動装置(50)の押し棒は、ピストン(63)のピストンロッド(64)であり、ばね蓄力器式駆動装置(50)のばねエレメント(52)はピストン(63)の頂部側に支持されている、請求項2記載のブレーキング兼クランピング装置。
ケージ(110)は一方の終端位置においてスライドくさび(92)に接触し、他方の終端位置においてピストンロッド(73)に接触している、請求項2記載のブレーキング兼クランピング装置。
ピストン(71,81)のピストンロッド(73,83)の自由端部にそれぞれ少なくとも1つの横溝(75,85)が一体成形されていて、該横溝(75,85)は対応する貫通孔(74,84)と交差している、もしくは該貫通孔(74,84)を貫通している、請求項4記載のブレーキング兼クランピング装置。
ハウジング(10)内に2つの摩擦ロック装置(90)と、該摩擦ロック装置(90)を操作するスライドくさび伝動装置(92,107,96)とが、ハウジング長手方向中心平面(3)に対して鏡面対称に配置されている、請求項1記載のブレーキング兼クランピング装置。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】装置をガイドレールと共に示す正面図である。
【
図3】
図2に示した装置を部分的に断面して示す縦断面図である。
【
図4】摩擦ロック装置の操作時におけるスライドくさび伝動装置を示す図である。
【
図5】摩擦ロック装置の不操作時におけるスライドくさび伝動装置を示す図である。
【
図6】摩擦ロック装置の操作時におけるスライドくさび伝動装置を断面して示す斜視図である。
【
図7】摩擦ロック装置の不操作時におけるスライドくさび伝動装置を断面して示す斜視図である。
【
図11】
図3に示した装置の一部を拡大して示す断面図である。
【
図12】対称的なケージを備えたスライドくさび伝動装置を示す断面図である。
【0012】
図1には、例えば特に工作機械や測定機器における多くの水平方向キャリッジ又は鉛直方向キャリッジにおいて使用される、ブレーキング兼クランピング装置が示されている。このような装置は相応な機器キャリッジ9に、キャリッジ長手方向を所定するガイドレール1を、例えば各2つの摩擦ロック装置90をもって取り囲むように、配置されている。各摩擦ロック装置90にはスライドくさび92が作用し、このスライドくさび92は、少なくとも1つのばね蓄力器式駆動装置50を介して負荷され、少なくとも1つの空気力式の駆動装置70,80を介して負荷解除される。
【0013】
図2及び
図3には、ダブルプリズム形状のガイドレール1が示されている。このガイドレール1は、ほぼ直方体形状の横断面を有するロッドから成っており、このロッドにはその両側に1つずつ、溝底部を広げられたほぼV字形の溝が加工されている。このロッドもしくはガイドレール1はその底面7を介して、例えば該ガイドレール1を支持する機械ベッド8に接触している。
【0014】
ガイドレール1は、ハウジング10によって両側において取り囲まれている。このハウジング10内には、相互にブレーキ力及びクランプ力を生ぜしめる2つの装置が組み込まれている。ほぼC字形のハウジング10は直方体から成っていて、その長手方向に対して横方向に、長方形横断面を有するグリップ溝14を備えている。このグリップ溝14によって形成された空間に、ガイドレール1が配置されている。溝幅は例えば、ハウジング10によって取り囲まれる領域におけるガイドレール幅よりも僅かに広幅である。
【0015】
ハウジング10は例えば
図2に示すように、ガイド長手方向2に対して横方向に、全幅を有しており、この全幅はガイドレールの幅の約3倍である。ハウジング10の全高は例えばガイドレール高さの150%である。ハウジング10の長さは、
図3の図平面で見て、例えばハウジング幅に相当している。
【0016】
ハウジング10は右側のハウジングゾーン11と左側のハウジングゾーン12とを有している。両方のゾーン11,12は、フランジゾーン13の下に位置している。各ハウジングゾーン11,12は多段の貫通孔23,34,77,87を有しており、この貫通孔の中心線39はガイド長手方向2に対して平行に方向付けられている(
図3参照)。貫通孔は、ばね蓄力器孔23と接続孔34と内側のシリンダ面孔77と外側のシリンダ面孔87とから成っている。
【0017】
ばね蓄力器孔23の開口の領域には、ハウジング10の端面21の領域に、細目ねじ山と、シール作用を有する圧着リング24を収容する溝とが設けられている。ばね蓄力器孔23の底部は平らである。この底部の中心において貫通孔23,34,77,87は接続孔34として続いている。この接続孔34の直径は、ばね蓄力器孔23の30%よりも小さい。接続孔34の後ろには、内側のシリンダピストンユニット70のシリンダと、外側のシリンダピストンユニット80のシリンダとが位置している。内側のシリンダピストンユニット70のシリンダ面孔77は、ばね蓄力器孔23の直径の約80%に相当する直径を有している。ハウジング10の端面22において終端している、外側のシリンダピストンユニット80のシリンダ面孔87は、ばね蓄力器孔23の直径に相当している。
【0018】
接続孔34は中央領域において、くさび伝動装置室49を画成するロック孔41によって交差もしくは横断される。ロック孔41は中心線39に対して直角に方向付けられている。ロック孔41は複数回段付けされた貫通孔として、側部の外壁19を、グリップ溝14の、該外壁19の近くに位置する内壁18と接続している。ロック孔41は主孔42と押圧部材案内孔44と出口孔45とから成っている。ばね蓄力器孔23の直径の約77%の直径を有する主孔42は、外側の端部領域に、調節ねじ91を受容する細目ねじ山43を有している。
【0019】
調節ねじ91は円筒形の円板であり、ピン付きスパナが係合するための孔を外端面に有している。調節ねじ91は、リング溝において終端する雄ねじ山を有している。このリング溝には、ねじ固定部材及びシール部材として圧着リングが挿入されている。
【0020】
押圧部材案内孔44とそれに比べて小径の出口孔45とは、押圧部材96を支承している。
【0021】
押圧部材96は、ピストンロッドを一体成形された円筒形のピストンである。ピストンロッドは、摩擦ロック装置90の操作時に出口孔45から進出する。ピストンへのピストンロッドの移行部には、端面溝が設けられており、この端面溝内には、例えば方形の横断面を有する弾性的な戻り行程リング98が設けられている。押圧部材96の、グリップ溝14内に進入している外側の端面は、例えば平らに形成されていて、中心線46に対して垂直に方向付けられている。場合によってはこの端面は、一体成形された又は塗被された摩擦ライニングを有している。摩擦ライニングはまた、ハウジング10に別体に支承された摩擦ジョー(Reibbacke)に配置されていてもよい(DE10207605C1参照)。
【0022】
内側の端面97もまた同様に平らに構成されている。この端面は図示の実施形態では中心線46に対して垂直に方向付けられている。択一的に、内側に位置する端面97は中心線39に対して例えば0.5〜5°の角度を成していてもよい。この場合端面垂線は、圧縮コイルばね52に向かって又はそこに配置されたばね装置に向かって傾斜している。
【0023】
押圧部材96と調節ねじ91との間には、例えばポリオキシメチレン(POM)性のケージ110が配置されている(特に
図6〜
図10参照)。このケージ110は例えば、互いに一体に成形された同じ大きさの2つの円筒体部分から成る立体である。各円筒体部分は、円形区分の横断面を有していて、該円形区分の円弧高さは円の半径よりも小さい。円弧高さと円半径との間の差は、ケージ110の最大行程の半分に相当する。両円筒体部分の間に位置する仮想の接触平面は、ケージ長手方向中心平面119と呼ばれる。
【0024】
場合によっては、この接触平面もしくはケージ長手方向中心平面119は、組立て接合部であってもよく、この組立て接合部において円筒体部分は、別個に製造された2つの部材として、別体の固定手段を用いて又は固定手段なしに、形状結合(Formschluss)、摩擦力結合(Kraftschluss)及び/又は素材結合(Stoffschluss)によって、例えば係止、接着、ねじ結合、リベット結合又はこれに類した結合形式によって、結合される。
【0025】
ケージ長手方向中心平面119に対して平行にケージ110は、少なくともほぼ方向の横断面を有する貫通通路115を有している。この貫通通路115はケージ長手方向中心平面119によって半割されている。
【0026】
ケージ長手方向中心平面119に対して垂直に、ケージ110は、同様に少なくともほぼ方形の横断面を有するスライドくさび切欠き116を有している。このスライドくさび切欠き116は前面111からケージ110内に一体に成形されている(
図9参照)。スライドくさび切欠き116は、該スライドくさび切欠き116がケージの背側を2箇所において貫通するように、ケージ110の内部に延びている。これによってケージの背側には、少なくともほぼ方形の窓118が生じている。両方の窓118の間には横孔117が設けられており、この横孔117は、ケージ長手方向中心平面119に対して垂直に方向付けられていて、例えば真ん中でスライドくさび切欠き116に繋がっている。スライドくさび切欠き116と貫通通路115とは例えば同じ高さを有している。
【0027】
貫通通路115の外側領域にはそれぞれ転動体106,107として円筒ローラが設けられている(
図6、
図7参照)。両円筒ローラ106,107は、スライドくさび伝動装置のスライドくさび92に接触している。スライドくさび92はそのためにスライドくさび切欠き116内に支承されている。外側に位置する円筒ローラ106が調節ねじ91に支持されているのに対して、内側に位置する円筒ローラ107は、ここでは負荷されていない押圧部材96に接触している。例えば、内側に位置する平らな面が中心線39に対して傾けられている押圧部材96が使用される場合には、スライドくさび92と押圧部材96との間には少なくとも2つの円筒ローラ107が配置されている。この場合にはスライドくさび92と調節ねじ91との間にも少なくとも2つの円筒ローラ106が配置されている。
【0028】
ケージ110のそれぞれの端面113には、例えば貫通通路115の側縁部に、例えば2つのノッチ形の係止切欠き122が設けられている(
図5も参照)。各係止切欠き122の領域には係止突起121が設けられていて、この係止突起121は、10分の数mm貫通通路115内に進入している。少なくとも比較可能な係止突起121が、
図8〜
図10に示されているように、貫通通路115及びスライドくさび切欠き116の貫通によって生じた縁部に位置している。これらの係止突起121によって円筒ローラ106,107は紛失を防止されて、まだ装置内に組み込まれていないケージ110内に保持される。
【0029】
類似の係止突起はスライドくさび切欠き116にも、例えば、スライドくさび切欠き116と前面111との交差によって生じた貫通部曲線の領域に配置されてもよい。これらの係止突起によってスライドくさび92もまた同様に紛失を防止されて、なお装置内に取り付けられていないケージ110を、位置決めすることができる。
【0030】
スライドくさび92は、長手方向に、つまり中心線39に対して平行に変化する方形横断面(
図4参照)とほぼ中央のねじ山付孔95とを備えた、台形状の部材である。ねじ山付孔95は図示の形態では盲孔である。スライドくさび92は
図2、
図4及び
図5によれば、堅く、例えばねじ山付孔95にねじ込まれたねじ65を用いて、ばね蓄力器孔23に支承された一次ピストン63に固定されている。スライドくさび92は特に支持面94及びくさび面93を有している。両方の面93,94は直角であり、例えば平らである。それぞれ押圧部材96に向けられたくさび面93は、該押圧部材96との間において例えば角度1〜5°の鋭角を成している。図示の実施形態では角度は2.9°である。支持面94は、隣接した調節ねじ91の端面に対して平行に延びている。例えばスライドくさび92の横断面は直線的に、一次ピストン63のピストンロッド側から離れる距離が増大するに連れて先細になっている。
【0031】
一次ピストン63は、中央の孔と、シールリングを受容する環状のリング溝とを有する円板から成っている。一次ピストン63はばね蓄力器孔23内において案内されており、このばね蓄力器孔23は、一次シリンダピストンユニット60のシリンダである。一次ピストン63とカバー51との間には少なくとも1つのばねエレメント52が支承されており、このばねエレメント52は、一次ピストン63のピストン頂部に向かって予負荷を作用する。
図1及び
図3にはばねエレメントとして各1つの圧縮コイルばね52が示されている。場合によってはこのばね52の内室内において、直径の小さな第2の圧縮コイルばねが、例えば逆向きのピッチをもって配置されていてもよい。第2の圧縮コイルばねの中にさらに付加的に第3の圧縮コイルばねが配置されていてもよい。またばねエレメント52の代わりに、ばね蓄力器を形成するために、皿ばねコラム、皿ばねユニット又は両者のコンビネーションを配置することも可能である。
【0032】
スライドくさび92の、一次ピストン63とは反対側の端面には、二次ピストン71の中空のピストンロッド73が接触している。二次ピストン71は第2のシリンダピストンユニット70の一部であり、この第2のシリンダピストンユニット70のシリンダは、シリンダ面孔77を形成している。二次ピストン71の有効直径は、一次ピストンの有効直径の約90%である。二次ピストン71はその頂部に旋削加工部(Eindrehung)72を有しており、この旋削加工部72の横断面は、ピストンロッド73の横断面よりも幾分大きい。
【0033】
ピストンロッド73はここでは二次ピストン71に一体成形されている。ピストンロッド73の中央の貫通孔74は、ピストン71のピストン頂部をピストンロッド73の自由な端面と接続している。貫通孔74の直径は
図11の実施形態では例えば5mmである。この直径はピストンロッド83の外径の約半分に相当する。二次ピストンロッド73はその端面に少なくとも1つの横溝75を有しており、この横溝75の横断面は例えば、2mm
2である。場合によっては端面に複数の横溝がフライス加工されていてもよい。
【0034】
くさび伝動装置室49に対して、圧力室76は、接続孔34に配置された溝付リング35によってシールされている。溝付リング35のシールリップはこの場合くさび伝動装置室49に向かって方向付けられている。溝付リング35は、シリンダ室つまり圧力室76に向かって段付けされて拡大している接続孔34内に、シム板36と拡開リング37とを用いて軸方向において固定されている。
【0035】
二次シリンダピストンユニット70の圧力室76は、ピストン頂部側において分離底130によって閉鎖される。この分離底130は、三次シリンダピストンユニット80の、シリンダ面孔77にカラー89を介して接続するシリンダ面孔87に位置している。
【0036】
分離底130は、中央孔135を備えた円板であり、この中央孔135を三次シリンダピストンユニット80のピストンロッド84が貫通している。分離底130はその円筒の外面に一方では段部状の切欠きもしくは凹部131を有していて、この凹部131は、圧力室76に向けられた端面に向かって突き出している。分離底130は他方では、特殊な切欠き内に配置された3つ又はそれ以上の係止舌片132を有している。これらの係止舌片132は半径方向において円筒形の外面を約0.8mm越えて張り出している。中心線39に対して、係止舌片132の拡開方向は約20°の角度を占めている。
【0037】
シリンダ面孔87において分離底130は、凹部131に配置されたシールリング133を介してカラー89に接触している。このポジションにおいて分離底130は係止舌片132によって軸方向において保持され、係止舌片132は、シリンダ面孔87のリング溝88内に支持されている。
【0038】
孔135は複数の段部を有しており、これらの段部の直径は圧力室76に向かって段階的に増大している。孔135の最小直径は、ピストンロッド83の外径よりもわずかに大きい。真ん中の段部には、2つのシールリップを備えた溝付リング136が位置しており、内側のシールリップはピストンロッド83に接触し、これに対して外側のシールリップは孔の内壁に静的に接触している。シールリップは圧力室76に向かって方向付けられている。第3の段部には溝付リング136の前にシム板が配置されており、このシム板は拡開リング138によって保持される。
【0039】
三次シリンダピストンユニット80の圧力室86はピストン頂部側において、ねじ込み式カバー82によって閉鎖されている。三次ピストン81は二次ピストン71と同じ構造を有している。三次ピストン81のピストンロッド83は、ピストン81をも貫通する中央の貫通孔84を有している。この貫通孔84の直径は貫通孔74の直径に相当している。三次ピストン81の有効直径は、一次ピストンの有効直径と比較可能である。三次ピストンロッド83もまたその端面に少なくとも1つの横溝85を有している。この横溝85の横断面は、横溝75の横断面に相当している。
【0040】
すべてのピストンはその円筒形の周面にリング溝を有しており、これらのリング溝にはそれぞれ少なくとも1つのシールリングが支承されている。ピストン頂部は、それが平らな面に接触している限りは、少なくとも半径方向の切欠きもしくは溝を有しており、これによって流入する圧力媒体を迅速にすべてのアクティブなピストン面に対して作用させることができる。ピストンの慣性質量を最小にするために、ピストンはその端面に相応な旋削加工部を有することができる。
【0041】
ピストン71,81の一体成形されたピストンロッド73,83のための択一的な別な構成では、両方のピストン71,81を結合する1つのピストンロッドを使用することも可能であり、このピストンに例えば両方のピストンがねじ山を用いて螺合される。さらにまた、ピストンロッド83を二次ピストン71と一緒に1つの部材から製造し、分離ピストン130をこのように一体成形されたピストンロッドに押し嵌め、そして最後に三次ピストン81をピストンロッドに焼嵌めすることも可能である。
【0042】
図12には、スライドくさび92を備えたスライドくさび伝動装置が示されており、このスライドくさび伝動装置では、くさび面93と支持面94とが中心線39に対して例えば、それぞれ例えば1.5°の等しい大きさの角度を成している。スライドくさび92の各行程時に、スライドくさび92はその構造に基づいて中心線39に対して横方向に移動する。この横方向運動を可能にするために、ここではスライドくさび92はピストンロッド64とは別個に支承されている。スライドくさび92はそのために、例えば半球形の底部を備えた孔95を有している。この底部にピストンロッド64はその端部ピン67で接触しており、この端部ピン67の自由な端面は、半球形に丸く形成されている。スライドくさび92の各行程時にピストン63は、ピストンロッド64と一緒に、半球形の底部における転動運動によって、ばね蓄力器孔23内において僅かに傾斜する。
【0043】
もちろん端部ピン67を省くことも可能である。このような場合にはピストンロッド64は平らに、スライドくさび92の、ピストンロッド64に向けられた同様に平らな端面に接触している。スライドくさび92の長手方向行程運動中、つまりガイド長手方向における運動時に、スライドくさび92はピストンロッド64の平らな端面に沿って長手方向に対して横方向に滑動する。
【0044】
組立て時には、ハウジングゾーン11,12毎に初めに押圧部材96がその戻り行程リング98と一緒に、側部の外壁19からロック孔41内に挿入される。その後でケージ110が、挿入された円筒ローラ106,107及びスライドくさび92と一緒に、ロック孔41内に押し込まれる。そして最後にロック孔41は調節ねじ91を用いて閉鎖される。
【0045】
第2ステップにおいて一次ピストン63がピストンロッドスリーブ64及びねじ65と一緒に、ばね蓄力器孔23内に挿入され、このばね蓄力器孔23内から接続孔34内に挿通される。ピストンロッドスリーブ64がスライドくさび92のねじ山付孔95の開口に接触するやいなや、前記部材はねじ65を介して互いに堅く結合される。次いでばね蓄力器孔23内にばねエレメント52が挿入される。そして最後にばね蓄力器孔23はカバー51によって閉鎖される。
【0046】
第3ステップにおいて二次ピストン71がシリンダ面孔77内に挿入される。この際にピストンロッド73は溝付リング35を貫通し、スライドくさび92に接触する。第4ステップにおいて分離底130がシリンダ面孔87内に、分離底130の係止舌片132がリング溝88において係止されるまで、押し込まれる(
図11参照)。
【0047】
第5ステップにおいて三次ピストン81がシリンダ面孔87内に挿入される。三次ピストン81のピストンロッド83は、分離底130の溝付リング35を貫通し、そして二次ピストン71に接触する。シリンダ面孔87はねじ込み式カバー82によって閉鎖される。
【0048】
ケージ110を横方向から組み込むことによって、ロック孔41と隣接したばね蓄力器孔23もしくはシリンダ面孔77との間にはそれぞれ、単に接続孔34だけが位置している。この接続孔34は比較的小さな直径、例えば11mmの直径を有しているので、ハウジング10はハウジングゾーン11,12の領域において特に形状安定的に剛性である。
【0049】
工作機械への装置の組込み後に、押圧部材96のポジションは調節ねじ91の回動によって精密調整される。
【0050】
通常運転中に装置は
図1に示された状態に位置している。ばね蓄力器式駆動装置50のばねエレメント52もしくはばねシステムは、緊縮されている。スライドくさび92はその後方ポジションを占めており(
図5参照)、その結果摩擦ロック装置90は操作されていない。転動体106,107は遊びなしにかつほぼ負荷されずにケージ110内に位置している。戻り行程リング98は押圧部材96を、くさび伝動装置室49内における圧力空気の作用に抗して、調節ねじ91に向かって押している。機器キャリッジ9はこの場合ガイドレール1に沿って制動されることなく運動することができる。
【0051】
二次ピストン71及び三次ピストン81が両側において持続的に圧力空気によって負荷されることを保証するために、二次ピストン71は、ピストンロッド73に設けられたストッパカラー78で、ケージ110の背側112に接触している(
図5参照)。ケージ110はこの際にロック孔41の壁に支持されている。ばねエレメント52が緊縮されて接触している一次ピストン63には、ロック孔41を介してピストンロッド側において圧力空気が作用している。これにより3つのすべてのピストンによって、ばねエレメント52は緊縮されている。
【0052】
システム故障が発生して、ブレーキ動作の導入が望まれているのか、又は単にキャリッジを緊締又は停止することが望まれているのかとは無関係に、ピストン63,71,81において、ばねエレメント52を保持するために必要な圧力空気が低下すると、それぞれの圧縮コイルばね52はスライドくさび92を、ばね負荷された相応な一次ピストン63を介してロック孔41内に押し込む(
図4参照)。この際にスライドくさび92はピストン71,81をそのピストンロッド73,83を介して前方に押し出す。ロック孔41内において各スライドくさび92は行程の増大と共に、各押圧部材96をガイドレール1に向かって押圧する。外側に位置している円筒ローラ106はスライドくさび92を調節ねじ91に支持しているのに対して、円筒ローラ107は押圧部材96を戻り行程リング98の抵抗に抗してグリップ溝96内に押し込む。円筒ローラ106,107は部材91,92,96の間において、図示の実施形態ではハウジング10のばね力とばねエレメント52のばね力との間で力が均衡するまで、転動する。そして両方のばね力の間において力がバランスすると、両摩擦ロック装置90はその最大のクランプ力を得る。押圧部材96はガイドレール1に接触している。
【0053】
このポジション(特に
図4参照)においてスライドくさび92は、二次ピストンロッド73に向けられた端面で、ケージ110のスライドくさび切欠き116の底部に接触している。これによってケージ110は常にその両方の終端位置の間で強制案内される。
【0054】
ばね蓄力器孔23は圧力空気供給孔29を有しており、この圧力空気供給孔29は一次ピストン63の、ピストン頂部側の背面もしくは後ろに位置している。この圧力空気供給孔29に圧力空気が供給されると、ブレーキ動作もしくはクランプ動作が加速され、クランプ力が高められる。もちろん、ばね蓄力器孔23内において、例えば一次ピストン63を用いた空気力式又は液圧式の駆動装置のために、ばねエレメント52もしくは機械式のばねシステムを省くことも可能である。