【実施例】
【0028】
以下、本発明の実施例を
図1〜
図4を参照して説明する。
図1を参照すると、本発明の実施例において、ピッキング装置100は、複数のワークとしての創薬用のマイクロチューブ10(以下、「チューブ10」という。)を保管する保管用の1以上のラック1に対して、該ラック1に保持されるチューブ10を、1以上である所定数ずつ、ここでは1つずつ、上下方向で出し入れする創薬用チューブピッキング装置である。
【0029】
図1,
図2を参照すると、容器であるチューブ10には、収容物としての創薬用試料が、チューブ10が有する着脱可能なキャップ10aにより密閉された状態で封入される。該試料が収容されたチューブ10は、水平方向に並んでいる複数の保持部2(
図2参照)のそれぞれに保持されてラック1に収容された状態で、雰囲気温度が氷点下となる冷凍環境、例えば冷凍用の保管庫(図示されず)内で保管される。そして、ピッキング装置100は、この冷凍環境において、複数のラック1の保持部2間または同一ラック1の保持部2間で、チューブ10を移し替えるために使用される。
なお、本実施例において、上下方向は鉛直方向である。
【0030】
ラック1は、互いに交差する、本実施例では互いに直交する第1水平方向(
図1における左右方向)および第2水平方向(
図1の紙面に直交する方向)に、複数ずつ並んで配置されていて、全体として格子状に並んで配置されている複数の保持部2を有する。
チューブ10は、チューブ10と保持部2との間での弾性力または係合により、上下方向に直立状態で、チューブ10の外周において保持部2に保持位置Eで保持され、保持部2に対して上下方向に平行に出し入れ可能である。
ラック1の底壁には、後述する押上げ部材150の押上げ棒151が挿通可能な貫通孔3(
図4も参照)が、保持部2により保持位置Eで保持されているチューブ10に上下方向で対向して設けられる。
ラック1は、ラック支持手段としての作業テーブル20に、所定のラックセット位置に位置決めされ、載置された状態で支持される。
【0031】
ピッキング装置100は、ラックセット位置にある1以上の、本実施例では複数のラック1(
図4も参照)に対して、水平方向での各保持部2(
図4も参照)の位置に対応したピッキング作業位置に位置決めされるフレーム101と、いずれもフレーム101に取り付けられて支持される把持機構102および押上げ機構103とを備える。
前記第2水平方向に一定の厚みを有する板状のフレーム101は、制御装置30が制御する送り装置40(いずれも
図1に模式的に示される。)により駆動されて、作業テーブル20に位置決めされたラック1における保持部2の配列方向と同じ方向である第1,第2水平方向に移動可能である。
【0032】
把持機構102は、移送元のラック1aの各移送元保持部である保持部2aにおいて、前記所定数の、本実施例では1つの保持部2aに保持されていたチューブ10を把持する(
図3(a)参照)と共に、把持しているチューブ10を、作業テーブル20上で異なるラックセット位置に位置決めされている、ラック1aとは別の移送先のラック1b(
図4参照)の各移送先保持部である保持部2bにおいて、前記所定数の、本実施例では1つの保持部2bに保持させる。
【0033】
把持機構102は、チューブ10を把持する把持部としての把持爪111を有する把持部材110と、把持爪111が把持しているチューブ10を把持爪111から保持部2b(
図4参照)に向けて上下方向に平行に下方に押し出す押下げ部材120と、把持部材110および押下げ部材120を移動させる1つの
電動アクチュエータとしての電動モータMと、電動モータMにより駆動されて該電動モータMの駆動力を把持部材110および押下げ部材120に伝達する駆動力伝達機構130とを備える。
駆動力伝達機構130は、電動モータMにより駆動されて把持部材110に電動モータMの駆動力を伝達する把持用駆動力伝達機構131と、同じ電動モータMにより駆動されて押下げ部材120に電動モータMの駆動力を伝達する押下げ用駆動力伝達機構132とから構成される。
【0034】
把持部材110は、把持爪111がチューブ10を把持するときの把持位置A1(
図3(a)参照)と、保持部2から上方に離隔している把持位置A1に対して上方に離隔している後退位置A2(
図3(b)も参照)との間で、上下方向に平行な直線経路である把持用移動経路に沿って移動可能である。後退位置A2は、第1後退位置A2aと、第1後退位置A2aよりも遠方である上方に位置する第2後退位置A2b(
図3(b)参照)とを含む。
【0035】
把持部材110は、把持爪111のほかに、把持爪111を保持する把持用ホルダ112を有する。把持爪111および把持用ホルダ112は、把持用駆動力伝達機構132を介して伝達される電動モータMの駆動力により駆動されて、前記把持用移動経路に沿って一体に移動する。
本実施例において、把持爪111および把持用ホルダ112は、形成材料としての樹脂により一体成形される。別の例として、把持爪111および把持用ホルダ112が別個の部材で構成され、それぞれが、樹脂または樹脂以外の材料(例えば、金属)により形成されてもよい。
【0036】
把持爪111は、チューブ10に対してその周囲に等しい周方向間隔で配置されている可撓性を有する複数の、本実施例では4つの爪111aを有する。なお、図面では、分かりやすさの観点から、一部の爪111aが省略されている。
各爪111aは、把持爪111がチューブ10を把持する際に撓むときの弾性変形による弾性力をチューブ10に加える。把持爪111は、前記弾性力に基づいて各爪111aとチューブ10との間で作用する摩擦力により、チューブ10を保持する。
【0037】
把持用ホルダ112は、フレーム101に設けられる案内部である案内レール105に案内されるスライダ113と、把持用駆動力伝達機構131の可動体134と係合可能な把持側係合部114と、押下げ部材120の押下げ棒121を上下方向に移動可能に案内する案内部115と、把持用ホルダ112と押下げ部材120の押下げ用ホルダ122とに挟持されて保持されるバネ144を支持する支持部117と、把持部材110と押下げ部材120とを上下方向で相対移動可能に連結するロッド145を支持するロッド支持部118とを有する。
上下方向に平行に延びている案内レール105は前記把持用移動経路を規定する。また、把持側係合部114は、把持部材110において可動体134を介して電動モータMの駆動力が作用する被作用部である。
ロッド145は、バネ144の座屈を防止する部材でもあり、バネ144の支持部117は、ロッド支持部118を兼ねる。
【0038】
図3を併せて参照すると、チューブ10に対する把持爪111による把持状態を解除する押下げ棒121を有する押下げ部材120は、把持爪111(したがって、把持用ホルダ112)が後退位置A2を占めるときの待機位置B2と、把持爪111に把持されているチューブ10が把持爪111から押し出されて保持部2b(
図4参照)に保持されるときの保持位置Eである移送先保持位置Ebに達するときの押下げ完了位置B1(
図4(b)参照)との間で、把持爪111が把持位置A1を占めるときの中間位置B3を経て、上下方向に平行な直線経路である押下げ用移動経路に沿って移動可能である。
中間位置B3から上方に離隔している待機位置B2は、把持爪111が第1後退位置A2aにあるときの第1待機位置B2aと、把持位置A1から第1待機位置B2aよりも遠方である上方に位置すると共に把持爪111が第2後退位置A2bにあるときの第2待機位置B2bとを含む。
【0039】
押下げ部材120は、押下げ棒121のほかに、押下げ棒121を着脱可能に固定状態で保持する押下げ用ホルダ122を有する。
押下げ棒121および押下げ用ホルダ122は、押下げ用駆動力伝達機構132を介して伝達される電動モータMの駆動力により駆動されて、中間位置B3(
図3(a),
図4(a)参照)から押下げ完了位置B1(
図4(b)参照)までの分、前記把持用移動経路よりも移動経路長が長い前記押下げ用移動経路に沿って一体に移動する。
【0040】
図4を参照すると、押下げ棒121は、把持爪111が押下げ用位置としての把持位置A1にあるときに、把持爪111に把持されているチューブ10を押し下げることにより、把持爪111から保持部2bに向けて押し出して該保持部2bに押し込む。押下げ棒121が把持爪111に把持されているチューブ10の押出しを開始するときの把持爪111の位置である押下げ用位置が、把持位置A1と同じであることにより、把持用駆動力伝達機構132の構造を簡単化することができる。また、把持爪111が前記押下げ用位置にあるときの押下げ棒121(したがって、押下げ用ホルダ122)の位置は、押下げ用中間位置としての中間位置B3である。
【0041】
図1,
図2を参照すると、押下げ棒121は、案内部115に設けられる案内孔116に挿通されていて、把持用ホルダ112を上下方向に貫通可能である。押下げ棒121は、押下げ用ホルダ122に固定される基部121aと、小径部である基部121aよりも大きい外径の大径部であってチューブ10の頂部であるキャップ10a(
図3(b)参照)と当接可能な当接部121bとを有する段付の円柱状の柱状部材である。
案内孔116は、当接部121bが収容される収容部116bの孔径が、基部121aが挿通される挿通部116aの孔径よりも大きい段付の円柱状の貫通孔である。
【0042】
このため、案内部115は、段付の案内孔116を形成している周壁に段部115aを有する。この段部115aは、把持用ホルダ112に対して上昇する押下げ棒121の当接部121bと当接可能であり、この当接により押下げ棒121の上昇を阻止するストッパ部を構成する。
そして、押下げ棒121は、当接部121bにおいて上下方向で段部115aと当接することにより、押下げ用ホルダ122に対して押下げ棒121の移動方向で位置決めされた状態で、該押下げ用ホルダ122に固定される。このため、押下げ用ホルダ122に対する押下げ棒121の位置決めが容易になる。そして、第1待機位置B2aおよび第2待機位置B2b(
図3(b)参照)において、当接部121bおよび段部115aは、上下方向で当接状態にある。
【0043】
押下げ用ホルダ122は、案内レール105に案内されるスライダ123と、押下げ用駆動力伝達機構132の可動体134と結合される結合部124と、バネ144を支持する支持部127と、ロッド145を支持するロッド支持部128とを有する。結合部124は、支持部127およびロッド支持部128を兼ねると共に、押下げ部材120において可動体134を介して電動モータMの駆動力が作用する被作用部である。
ロッド145は、両ロッド支持部118,128のうちで、一方のロッド支持部であるロッド支持部118に固定されて支持され、他方のロッド支持部であるロッド支持部128に摺動して上下方向に平行に移動可能に支持される。
【0044】
押下げ用駆動力伝達機構132は、フレーム101に1対の軸受107を介して回転可能に支持されて電動モータMの回転軸により回転駆動される被動体としてのネジ軸133と、ネジ軸133に螺合して該ネジ軸133の回転方向に応じて駆動されて上下方向に平行に移動する可動体134とを備える。把持用駆動力伝達機構131は、押下げ用駆動力伝達機構132と、押下げ用駆動力伝達機構132と把持部材110とを連動させる連動機構140とから構成される。
【0045】
したがって、ネジ軸133および可動体134は、把持用駆動力伝達機構131および押下げ用駆動力伝達機構132に共通する共通駆動力伝達部材を構成する。
可動体134は、押下げ部材120の結合部124に相対移動不能に結合される結合部135と、把持部材110の把持側係合部114に対して可動体134の移動方向で係合可能な駆動側係合部136とを有する。このため、結合部135および駆動側係合部136は、電動モータMの駆動力を結合部124および把持側係合部114に作用させて、可動体134の動きを把持部材110および押下げ部材120に伝達する作用部である。
【0046】
図3を併せて参照すると、連動機構140は、第2後退位置A2bと把持位置A1との間で可動体134の動きを把持部材110に伝達する連結機構としての係合機構141と、把持爪111が把持位置A1にあるときに、可動体134の動きを把持部材110に伝達しないロストモーション機構142と、ロッド145とを有する。
【0047】
駆動側係合部136と把持側係合部114とから構成される係合機構141は、係合状態で可動体134の動きを把持用ホルダ112に伝達するために、押下げ用駆動力伝達機構132(または、前記共通駆動力伝達部材)と把持部材110とを係合により連結させる。係合機構141は、把持爪111が把持位置A1と第2後退位置A2bとの間で移動するときに、係合状態(または、連結状態)になり、把持用ホルダ112が有する連動解除用当接部119を兼ねる把持側係合部114と、後述するストッパ143とが当接状態にあるときに、したがって、押下げ棒121が中間位置B3と押下げ完了位置B1(
図4参照)との間で移動するときに、係合解除状態(または、連結解除状態)になる。
【0048】
さらに、
図4を併せて参照すると、把持部材110への可動体134の動きの伝達を遮断するロストモーション機構142は、把持用ホルダ112の当接部119との当接により把持爪111を前記押下げ用位置としての把持位置A1で停止させるストッパ143と、押下げ部材120が中間位置B3と押下げ完了位置B1の位置との間で移動するとき(すなわち、係合機構141が係合解除状態にあるとき)に変形することにより、ここでは収縮することにより、可動体134の動き(したがって、把持部材110に作用する電動モータMの駆動力)を吸収するバネ144とを有する。
【0049】
フレーム101に設けられるストッパ143は、押下げ棒121による把持爪111に把持されているチューブ10に対する押下げ棒121の押出し動作が開始されるときの位置である前記押下げ用位置および前記押下げ用中間位置を規定する位置規定部材である。
また、制御装置30(
図1参照)は、後述する入力情報に基づいて、把持位置A1としての、当接部119とストッパ143とが当接するときの位置に、可動体134を停止可能に電動モータMを制御する。別の例として、当接部119とストッパ143とが当接したこと、または当接部119がストッパ143と当接する位置にあることを検出する検出手段が制御装置30に備えられて、該検出手段の検出信号に基づいて、制御装置30が、当接部119とストッパ143とが当接するときの位置を把持位置A1として、可動体134を停止させてもよい。
【0050】
伸縮可能な弾性部材としてのバネ144は、圧縮コイルバネから構成されており、把持爪111が把持位置A1と第2後退位置A2bとの間で移動するときに、駆動側係合部136と把持側係合部114との係合状態が維持されるように、把持用ホルダ112を直接付勢すると共に、可動体134を押下げ用ホルダ122を介して付勢する。
したがって、バネ144は、駆動側係合部136と把持側係合部114とを係合状態にするための係合用付勢部材としての係合用バネを兼ねる。なお、別の例として、バネ144が把持用ホルダ112と可動体134との間に設けられてもよい。また、バネ144と前記係合用バネとが別個のバネであってもよい。
【0051】
このため、係合機構141の係合状態では、把持用ホルダ112(したがって、把持爪111)と可動体134または押下げ用ホルダ122(したがって、押下げ棒121)との上下方向の間隔が一定に維持されて、可動体134と把持部材110と押下げ部材120とが一体に上下方向に移動する。
また、係合機構141の係合解除状態では、把持部材110(したがって、把持爪111)が停止する一方で、可動体134と押下げ部材120(したがって、押下げ棒121)とが一体に、把持部材110とは無関係に上下方向に移動する。
【0052】
図1,
図3(a)を参照すると、ラック1aの保持部2a(
図2参照)に保持されているチューブ10を該保持部2aから把持爪111に向けて押し出す押上げ機構103は、保持部2aに保持位置Eである移送元保持位置Eaで保持されているチューブ10を保持部2aから押し出して把持位置A1にある把持爪111が把持するときの押上げ完了位置C1まで上方に移動可能な押上げ部材150と、押上げ部材150を駆動する押上げ用アクチュエータとしての電動モータNと、電動アクチュエータである電動モータNにより駆動されて該電動モータNの駆動力を押上げ部材150に伝達する押上げ用駆動力伝達機構160とを備える。
なお、本実施例では、移送元のラック1aおよび移送先ラック1b(
図4参照)は同一種類であり、移送元保持位置Eaおよび移送先保持位置Eb(
図4参照)は同一である。
【0053】
押上げ部材150は、休止位置C2と押上げ完了位置C1との間で、上下方向に平行な押上げ用移動経路に沿って移動可能である。案内レール105と共に一直線上に配置される案内レール106により規定される押上げ用移動経路は、直線経路であり、把持用移動経路に平行である。押上げ部材150は、保持部2aに保持されているチューブ10を押し上げることにより保持部2aから押し出して把持位置A1にある把持爪111に押し込む押上げ棒151のほかに、押上げ棒151を着脱可能に固定状態で保持する押上げ用ホルダ152とを備える。
【0054】
押上げ部材151が休止位置C2と押上げ完了位置C1との間で移動するときに、押上げ棒151は、休止位置C2において、作業テーブル20上でラックセット位置にあるラック1の保持部2から下方に離隔して位置し、休止位置C2から押上げ完了位置C1まで移動する途中で、作業テーブル20に設けられている開口部21を通って押上げ完了位置C1に達する。押上げ完了位置C1において、押上げ棒151は、ラック1の貫通孔3を貫通し、押上げ棒151の先端が該貫通孔3よりも上方でラック1内に位置する。
【0055】
押上げ用ホルダ152は、フレーム101に設けられる案内部である案内レール106に案内されるスライダ153と、結合部154とを有する。
押上げ用駆動力伝達機構160は、フレーム101に1対の軸受108を介して回転可能に支持されて電動モータNの回転軸により回転駆動される被動体としてのネジ軸163と、該ネジ軸163に螺合して該ネジ軸163の回転に応じて上下方向に駆動されて上下方向に平行に移動する押上げ用可動体164とを備える。可動体164は、押上げ部材150の結合部154に相対移動不能に結合される。
可動体164は、電動モータNの駆動力を押上げ部材150に伝達する作用部であり、スライダ153が兼ねる結合部154は、可動体164を介して電動モータNの駆動力が作用する被作用部である。
【0056】
そして、ピッキング装置100がピッキング作業位置にあるとき、ピッキング作業の作業対象となるチューブ10を保持している保持部2a(
図2参照)と、前記把持用移動経路に沿って移動する把持爪111と、前記押下げ用移動経路に沿って移動する押下げ棒121と、前記押上げ用移動経路に沿って移動する押上げ棒151とは、上下方向に平行な一直線上に位置する。
【0057】
図1を参照すると、各電動モータM,Nを制御する制御装置30は、位置検出手段32(例えば、エンコーダ)および把持確認センサ33(例えば、フォトセンサ)を含む検出部31と、コンピュータから構成されて検出部31からの検出信号が入力される制御部35とを備える。
位置検出手段31は、把持爪111、押下げ棒121および押上げ棒151の、前記各移動経路での位置、ここでは上下方向での位置を検出する。
【0058】
図4を併せて参照すると、電動モータMは、制御装置30に予め入力された入力情報に基づいて、該制御装置30により制御されることで、中間位置B3との押下げ完了位置B1との間での押下げ部材120(したがって、押下げ棒121)の押下げストローク量を、把持位置A1(したがって、押下げ用位置)と移送先保持位置Ebとの上下方向での間隔に応じて変更可能である。
さらに、
図3(a)を併せて参照すると、電動モータNは、前記入力情報に基づいて、制御装置30により制御されることで、移送元保持位置Eaと押上げ完了位置C1との間の押上げ部材150(したがって、押上げ棒151)の押上げストローク量を、把持位置A1と保持位置Eaとの上下方向での間隔に応じて変更可能である。
【0059】
前記入力情報には、フレーム101に対する把持位置A1および中間位置B3が予め設定された設定位置で一定であるとの条件の下で、チューブ10の種類(例えば、上下方向でのチューブ10の長さ、チューブ10が保持位置Ebを占めるときに、チューブ10の、保持部2bに保持される部位の位置)およびラック1の種類(例えば、ラック1の剛性に依存して、押下げ棒121が保持部2bにチューブ10を押し込む際のラック1bの撓み(ラック1bにおける保持部2bの位置に応じて撓み量は異なり得る。)に起因する各保持部2の変位量、ラック1bにおける保持部2bでのチューブ10の保持位置Eb)に応じた押下げ棒121および押上げ棒151のストローク量、把持位置A1、第1,第2後退位置A2a,A2b、第1,第2待機位置B2a,B2bおよび休止位置C2の設定情報などが含まれる。
把持位置A1および各保持位置Ea,Ebの、上下方向での間隔や、両保持位置Ea,Ebは、チューブ10の種類およびラック1の種類、さらに、フレーム101に対するラック1の、上下方向での位置などに依存して変化する。
【0060】
次に、
図1〜
図4を参照して、ピッキング装置100によるピッキング方法を、ピッキング装置100の動作と共に説明する。
図1を参照すると、移送元の保持部2a(
図2参照)と移送先の保持部2b(
図4参照)との間でチューブ10を移し替える作業であるピッキング作業の準備工程において、作業テーブル20上でラックセット位置に置かれたラック1に対して、把持爪111、押下げ棒121および押上げ棒151が、ピッキング作業の作業対象となるチューブ10が保持されている保持部2aに、出し入れ方向である上下方向で対向する位置を占めるように、送り装置40によりピッキング装置100が位置決めされる。このとき、把持爪111は第1後退位置A2aを、押下げ棒121は第1待機位置B2aを、押上げ棒151は休止位置C2を、それぞれ占めている。
【0061】
次いで、把持移行工程において、可動体134および係合機構141を介して押下げ用ホルダ122および把持用ホルダ112にそれぞれ作用する電動モータMの駆動力により、把持爪111および押下げ棒121が、それぞれ第1後退位置A2aおよび第1待機位置B2aから一体に下降して、
図3(a)に示されるように、把持位置A1および中間位置B3をそれぞれ占めて、停止する。このとき、把持用ホルダ112は、当接部119にてストッパ143と当接している。
【0062】
図3(a)を参照すると、把持移行工程に続く把持工程において、可動体164を介して押上げ用ホルダ152に作用する電動モータN(
図1参照)の駆動力により、押上げ棒151が、休止位置C2から可動体134と一体に上昇して、作業テーブル20の開口部21およびラック1の貫通孔3を貫通して保持位置Eaを占めているチューブ10に当接する。その後、保持部2aに保持されているチューブ10は、さらに上昇する押上げ棒151により、保持部2aから上方に押し出され、保持部2aの真上に位置する把持爪111に押し込まれて、把持爪111により把持されると共に押下げ棒121の当接部121bに当接する。そして、当接部121bにチューブ10のキャップ10aが当接した状態で、押上げ棒151は、押上げ完了位置C1に達し、停止する。
【0063】
このとき、押下げ棒121の当接部121bと把持爪111に把持されているチューブ10とが当接した時点で、押上げ棒151がさらに上昇するなど、押上げ棒151の押上げストローク量が過大である場合には、押上げ棒151が、チューブ10と当接部121bで段部115aと当接状態にある押下げ棒121とを介して把持用ホルダ112を押し上げて、上昇する把持用ホルダ112がバネ144を収縮させることにより、バネ144(または、ロストモーション機構142)が押上げ棒151の過大な押上げ力を吸収する。
【0064】
把持工程に続く退避工程において、先ず、把持確認センサ33(
図1参照)が、把持爪111によりチューブ10が当接部121bに当接した状態で把持されたことを検出し、この把持確認センサ33からの検出信号に基づいて、制御装置30が各電動モータM,Nを作動させる。
具体的には、
図3を参照すると、チューブ10を把持している把持爪111および押下げ棒121は、可動体134および係合機構141を介して作用する電動モータM(
図1参照)の駆動力により、把持位置A1および中間位置B3から、一体に上昇して、第1後退位置A2aおよび第1待機位置B2aをそれぞれ経由して、
図3(b)に示される第2後退位置A2bおよび第2待機位置B2bをそれぞれ占める。
一方、押上げ棒151は、可動体164を介して作用する電動モータN(
図1参照)の駆動力により、押上げ完了位置C1から下降して、
図3(b)に示される休止位置C2を占める。
【0065】
退避工程に続く移送工程において、ピッキング装置100のこの退避状態で、フレーム101が送り装置40(
図1参照)により駆動されて移動し、
図4(a)に示されるように、作業テーブル20に別のラックセット位置に位置決めされている別のラック1bの保持部2bに対して、チューブ10を把持している把持爪111、押下げ棒121および押上げ棒151が、上下方向で対向する位置を占める。
【0066】
図4(a)を参照すると、移送工程に続く挿入移行工程において、可動体134および係合機構141を介して押下げ用ホルダ122および把持用ホルダ112にそれぞれ作用する電動モータM(
図1参照)の駆動力により、把持爪111および押下げ棒121が、それぞれ第2後退位置A2bおよび第2待機位置B2bから一体に下降して、
図4(a)に示される把持位置A1および中間位置B3をそれぞれ占める。なお、電動モータNは停止していて、押上げ棒151は、保持部2bの真下で、休止位置C2(例えば、
図1参照)にある。
【0067】
図4(a)を参照すると、挿入移行工程に続く挿入工程において、当接部119とストッパ143とが当接しているために、把持爪111は把持位置A1に留まる一方で、ロストモーション機構142により、把持爪111に対して押下げ棒121が下降して、把持爪111に保持されているチューブ10を把持爪111から下方に押し出して、保持部2bに保持位置Ebにて保持されるまでチューブ10を押し込み、押下げ完了位置B1に達したときに停止する。なお、電動モータNは停止していて、保持部2bの真下で、休止位置C2(例えば、
図1参照)にある。
これにより、保持部2a(
図2参照)に保持されていたチューブ10が保持部2bに移し替えられたことになる。
【0068】
図3,
図4を参照すると、押下げ棒121の当接部121bと把持爪111に把持されているチューブ10とは、挿入移行工程において下降する把持爪111が第2後退位置A2bから把持位置A1(すなわち、押下げ棒121が第2待機位置B2bから中間位置B3)に達する前には当接状態にあり、本実施例では、把持爪111が第2後退位置A2bと把持位置A1との間で移動する間を含めて、把持工程において押上げ棒151が押上げ完了位置C1を占めた時点から挿入移行工程において押上げ棒151が中間位置B3を占める時点まで、常に当接状態にあることから、押下げ棒121は、中間位置B3に達した直後から、把持爪111に把持されているチューブ10を保持部2に向けて押し出すことができる。
【0069】
図1を参照すると、挿入工程に続く戻り工程において、把持爪111および押下げ棒121は、電動モータMにより駆動されて
図1に示される状態と同様の第1後退位置A2aおよび第1待機位置B2aまで上昇して、停止する。その後、移送元のラック1aにおいて別の保持部2a(
図2参照)に保持されているチューブ10に対してピッキング作業を行うために、ピッキング装置100は送り装置40により駆動されて移動し、以下前述した各工程が実行される。
【0070】
次に、前述のように構成された実施例の作用および効果について説明する。
ピッキング装置100の把持機構102は、チューブ10を把持する把持爪111と、把持爪111が把持しているチューブ10を把持爪111から移送先の保持部2bに向けて下方に押し出す押下げ棒121とを備え、把持爪111は、把持位置A1と第1,第2後退位置A2a,A2bとの間で移動可能であり、押下げ棒121が、第1,第2待機位置B2a,B2bと押下げ完了位置B1との間で移動可能であることにより、移送元の保持部2aに保持されていた、ピッキング作業の作業対象であるチューブ10は、把持位置A1で把持爪111により把持され、把持爪111に把持された状態のチューブ10は、押下げ棒121により把持爪111から押し出されて、移送先の保持部2bに保持されることで、ピッキング装置100はチューブ10を異なる保持部2間で移し替えることができる。
【0071】
把持機構102は、1つの把持用電動モータMと、電動モータMにより駆動されて把持爪111に電動モータMの駆動力を伝達する把持用駆動力伝達機構131と、電動モータMにより駆動されて押下げ棒121に電動モータMの駆動力を伝達する押下げ用駆動力伝達機構132とを備え、電動モータMは、把持爪111を、把持用駆動力伝達機構131を介して、第1,第2後退位置A2a,A2bおよび把持位置A1の間で移動させ、押下げ棒121を、押下げ用駆動力伝達機構132を介して、第1,第2待機位置B2a,B2bおよび押下げ完了位置B1の間で移動させる。
この構成により、1つの電動モータMが、把持用駆動力伝達機構131および押下げ用駆動力伝達機構131を介して把持爪111および押下げ棒121をそれぞれ移動させるので、把持爪111および押下げ棒121をそれぞれ駆動する専用の把持用アクチュエータおよび押下げ用アクチュエータを備える場合に比べて、アクチュエータである電動モータMの数が少なくなる分、把持機構102、ひいてはピッキング装置100を小型・軽量化することができ、そのコストを削減することができる。
そして、把持用アクチュエータおよび押下げ用アクチュエータがエアシリンダで構成される場合に比べて、冷凍環境下で使用される場合に、作動エアを乾燥させるための除湿機が不要になるので、この点でも、ピッキング装置100を小型・軽量化することができ、そのコストを削減することができる。
【0072】
さらに、電動モータMは把持爪111および押下げ棒121を移動させるので、把持用アクチュエータが押下げ棒に加えて押下げ用アクチュエータを移動させる従来技術に比べて、アクチュエータである電動モータMの駆動対象部材の重量が減少することから、電動モータMの小型・軽量化およびコスト削減が可能になることで、把持機構102、ひいてはピッキング装置100の小型・軽量化およびコスト削減をすることができると共に、移動および停止を頻繁に繰り返す把持爪111の加速・減速における慣性に起因する動作応答遅れが小さくなって、把持部材110の動作の俊敏性が向上するため、ピッキング装置100によるピッキング作業の効率を向上させることができる。
【0073】
押下げ棒121の第1,第2待機位置B2a,B2bは、それぞれ把持爪111が第1,第2後退位置A2a,A2bにあるときの位置であり、押下げ棒121は、第1,第2待機位置B2a,B2bと押下げ完了位置B1との間で、把持爪111が把持位置A1にあるときの中間位置B3を経て移動可能であり、押下げ棒121は、把持爪111が第1,第2後退位置A2a,A2bおよび把持位置A1の間で移動するときに、把持爪111と一体に移動し、把持用駆動力伝達機構131は、押下げ用駆動力伝達機構132と、該押下げ用駆動力伝達機構132と把持部材110とを連動させる連動機構140とから構成される。
この構成により、押下げ棒121は、第1,第2後退位置A2a,A2bに対応する第1,第2待機位置B2a,B2bと、把持位置A1に対応する中間位置B3を挟んで、押下げ完了位置B1との間で移動するために、第1,第2後退位置A2a,A2bと把持位置A1との間で移動する把持爪111に比べて、長い移動経路を移動することから、移動経路長が長い押下げ棒121を移動させる押下げ用駆動力伝達機構132を利用して、把持爪111を移動させるこができるので、把持用駆動力伝達機構と押下げ用駆動力伝達機構とが別々の場合や把持用駆動力伝達機構を利用して押下げ用駆動力伝達機構を構成する場合に比べて駆動力伝達機構130の構造が簡単化され、把持用駆動力伝達機構131および押下げ用駆動力伝達機構132の構成部材の慣性に起因する把持爪111および押下げ棒121の動作応答遅れが減少して、把持爪111の動作の俊敏性を向上させることができる。
【0074】
電動モータMは、把持爪111を把持用駆動力伝達機構132を介して押下げ用位置としての把持位置A1に移動させ、係合機構141は、第1,第2後退位置A2a,A2bおよび把持位置A1の間で押下げ用駆動力伝達機構132の動きを把持部材110に伝達する係合機構141と、把持爪111が把持位置A1にあるときに、押下げ用駆動力伝達機構132の動きを把持爪111に伝達しないロストモーション機構142とを有し、押下げ棒121は、把持爪111が把持位置A1にあるときに、把持部材110が把持しているチューブ10を把持爪111から保持部2bに向けて押し出す。
この構成により、把持用駆動力伝達機構131に設けられるロストモーション機構142を利用することで、押下げ棒121が把持爪111によるチューブ10の把持解除を行うので、押下げ用駆動力伝達機構132の構造を簡単化することができ、押下げ用駆動力伝達機構132の構成部材の慣性に起因する把持爪111および押下げ棒121の動作応答遅れを減少させることができる。
【0075】
係合機構141は、係合状態で押下げ用駆動力伝達機構132の動きを把持爪111に伝達するための、押下げ用駆動力伝達機構132と把持爪111が設けられた把持用ホルダ112との係合機構であり、ロストモーション機構142は、把持爪111を把持位置A1で停止させるストッパ143と、把持爪111が把持位置A1に停止しているとき(すなわち、押下げ棒121が中間位置B3と押下げ完了位置B1の位置との間で移動するとき)に変形して押下げ用駆動力伝達機構132の動きを吸収するバネ144とを有し、バネ144は、係合状態が維持されるように押下げ用駆動力伝達機構132および把持用ホルダ112を付勢する。
この構成により、ロストモーション機構142を構成するバネ144を利用して、押下げ用駆動力伝達機構132を介して電動モータMの駆動力を把持爪111に伝達する部分である係合機構141の係合状態を維持させることができるので、部品点数を削減しながら、電動モータMの駆動力の、押下げ用駆動力伝達機構132を介しての把持爪111への伝達の安定性および確実性を向上させることができる。
【0076】
押下げ棒121は、その当接部121bにおいて、把持爪111が把持位置A1に達する前に、把持爪111に把持されているチューブ10と当接状態にあることにより、把持爪111が把持位置A1を占めた直後に、把持爪111からチューブ10を押し出すことができるので、ピッキング作業の効率を向上させることができる。
【0077】
電動モータMは、押下げ用中間位置としての中間位置B3と押下げ完了位置B1との間での押下げ棒121の押下げストローク量を、把持位置A1と移送先の保持部2bでのチューブ10の保持位置Ebとの上下方向での間隔に応じて変更可能である。
この構成により、ラック1bにおけるチューブ10の保持位置Ebが異なるなど、異なる種類のラック1bが使用される場合や、ラック1bの剛性が、押下げ部材120がチューブ10を保持部2bに押し込む際にラック1bに撓みが発生する程度の剛性である場合に、該撓みによる保持部2bの変位量を考慮した押下げストローク量を設定することができるなど、ピッキング作業に使用可能なチューブ10やラック1bの種類が拡大するので、ピッキング装置100の利便性を向上させることができる。
【0078】
押上げ機構103は、移送元の保持部2aに保持されているチューブ10を把持位置A1にある把持部材110が把持する押上げ完了位置C1まで押し出す押上げ棒151と、押上げ棒151を駆動する押上げ用電動モータNとを備え、電動モータNは、保持位置Eaと押上げ完了位置C1との間の押上げストローク量を、把持位置A1と保持位置Eaとの上下方向での間隔に応じて変更可能である。
この構成により、上下方向でのチューブ10の長さが異なるなど、異なる種類のチューブ10が使用される場合などにもピッキング装置100の使用が可能になるので、ピッキング作業に使用可能なチューブ10の種類が拡大するので、ピッキング装置100の利便性を向上させることができる。
【0079】
以下、前述した実施例の一部の構成を変更した実施例について、変更した構成に関して説明する。
駆動力伝達機構130が、カムにより構成され、ロストモーション機構が、把持部材110を駆動するカムにおいて、カム山の高さが変化しないカム山により構成されてもよい。
駆動力伝達機構が、アームにより構成され、ロストモーション機構が、把持部材110を移動させるアームと押下げ部材120を移動させるアームとの間のピンと、該ピンが係合可能に挿入されて回動方向でピンとの間に遊びを形成する長細との組合せにより構成されてもよい。
連動機構140がクラッチにより構成されてもよい。
後退位置または待機位置は、1つであってもよい。
把持位置および中間位置である予め設定された設定位置は、変更可能であってもよい。
【0080】
押下げ棒121は、基部121aと当接部121bとが同一外径の円柱状の柱状部材であり、案内孔116は、挿通部116aの孔径と収容部116bの孔径とが同一の円柱状の貫通孔であってもよい。
押下げ用位置は、前記実施例では把持位置A1と同じであったが、把持位置A1とは異なる位置であってもよく、把持位置A1よりも下方または上方の位置でもよい。
ピッキング装置100は、水平方向で移送元の保持部2aの周囲に比較的広いスペースが存する場合には、押上げ機構103を備えることなく、把持爪111が、保持部2aにおいて保持位置Eaを占めている状態のチューブ10またはワークを把持するものでもよい。
把持機構102は、同一のラック1において、1つの保持部2に保持されていたチューブ10を、別の保持部2に保持させてもよい。
電動アクチュエータは、電動モータ以外に、電動リニアアクチュエータであってもよい。
把持部材110および押下げ部材120を移動させるアクチュエータ、および、押上げ用アクチュエータの少なくとも一方は、流体圧アクチュエータでもよい。
押上げ用アクチュエータは、休止位置C2と押上げ完了位置C1とで規定される一定のストローク量で作動する二位置式の電動アクチュエータまたは流体圧アクチュエータであってもよい。
押下げ用駆動力伝達機構は、被動体として、ネジ軸133の代わりに、可動体134を駆動するベルトまたはチェーンを備えていてもよい。