特許第5936433号(P5936433)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936433
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】塗膜形成方法
(51)【国際特許分類】
   B05D 5/06 20060101AFI20160609BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B05D5/06 101A
   B05D7/24 303E
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2012-104090(P2012-104090)
(22)【出願日】2012年4月27日
(65)【公開番号】特開2013-230440(P2013-230440A)
(43)【公開日】2013年11月14日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(72)【発明者】
【氏名】福島 菜摘子
(72)【発明者】
【氏名】清水 博
【審査官】 細井 龍史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−050938(JP,A)
【文献】 特開2011−225652(JP,A)
【文献】 特開2011−026543(JP,A)
【文献】 特開2007−216220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗物に、鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリックベース塗膜を形成し、メタリックベ
ース塗膜上に赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料、アンスラキノン構造を有するスレン系顔料及び艶調整剤を含むカラークリヤー塗膜を形成する塗膜形成方法。
【請求項2】
カラークリヤー塗膜が、半透明な基材に酸化チタンを被覆せしめた光干渉性顔料を含む請求項1に記載の塗膜形成方法。
【請求項3】
カラークリヤー塗膜における艶調整剤が、微粉シリカ(含水ニ酸化ケイ素)、ポリエチレン粉末、樹脂ビーズ、セラミックビーズから選択される1種以上である請求項1又は2に記載の塗膜形成方法。
【請求項4】
カラークリヤー塗膜が、メタリックベース塗膜上に赤外線を反射及び/又は透過する着色
顔料を含む第1クリヤー塗膜上に艶調整剤を含む第2クリヤー塗膜が積層した2層の塗膜
として形成されたものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗膜形成方法。
【請求項5】
メタリックベース塗膜と第1クリヤー塗膜のビヒクル形成成分である樹脂成分の少なくと
も一部が同一である請求項4に記載の塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイライト(正反射光近傍)からシェード(斜め方向)に明度が大きく変化し、漆黒性が高く、柔らかな質感を有し、さらに遮熱性に優れた塗色を形成可能な塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
艶消し意匠は、柔らかな視覚と触感を呈するものとして、二輪自動車外装や自動車内装部品等の工業製品において人気が高まっている。特に観察角度によって明度が変化する艶消しメタリック塗色は、艶消し意匠の中でも高級感が感じられるものとして、注目度が高い塗色のひとつである。
観察角度によって明度が変化する塗色において、艶調整された意匠を得る方法として、特許文献1には、光輝性金属粉顔料を含有するメタリック塗膜層の上に、つや消しクリヤー塗膜層を形成して得られるつや消し塗膜が記載されている。この方法によれば、金属感がある艶消し塗膜が得られるが、使用する着色顔料によっては、直射日光を受けると赤外線を吸収して被塗物の温度が上昇してしまう可能性がある問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−317774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ハイライト(正反射光近傍)からシェード(斜め方向)に明度が大きく変化し、漆黒性が高く、柔らかな質感を有し、さらに遮熱性に優れた塗色を形成可能な塗膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
1.被塗物に、鱗片状アルミニウム顔料を含むメタリックベース塗膜を形成し、メタリックベース塗膜上に赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料、アンスラキノン構造を有するスレン系顔料及び艶調整剤を含むカラークリヤー塗膜を形成する塗膜形成方法、
2.カラークリヤー塗膜が、半透明な基材に酸化チタンを被覆せしめた光干渉性顔料を含む1項に記載の塗膜形成方法、
3.カラークリヤー塗膜における艶調整剤が、微粉シリカ(含水ニ酸化ケイ素)、ポリエチレン粉末、樹脂ビーズ、セラミックビーズから選択される1種以上である1項又は2項に記載の塗膜形成方法
4.カラークリヤー塗膜が、メタリックベース塗膜上に赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料を含む第1クリヤー塗膜上に艶調整剤を含む第2クリヤー塗膜が積層した2層の塗膜として形成されたものである1〜3項のいずれか1項に記載の塗膜形成方法、
5.メタリックベース塗膜と第1クリヤー塗膜のビヒクル形成成分である樹脂成分の少なくとも一部が同一である4項に記載の塗膜形成方法
に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ハイライト(正反射光近傍)からシェード(斜め方向)に明度が大きく変化し、漆黒性が高く、柔らかな質感を有し、さらに遮熱性に優れた塗色を形成可能な塗膜形成方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の塗膜形成方法においては、被塗物に、後述するメタリックベース塗膜及びカラークリヤー塗膜が積層している。
【0008】
被塗物としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。これら素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理を行なった素材を被塗物とすることができる。さらに、上記素材に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させて被塗物とすることもでき、これらのものが特に好ましい。
【0009】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0010】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピン
グ性などを付与するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗
料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定
されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料
を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0011】
特に被塗物として、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させる場合においては、下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後にメタリックベース塗料を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜が未硬化の状態で、メタリックベース塗料を塗装することもできる。
【0012】
本発明のメタリックベース塗膜は、メタリックベース塗料を塗装して得られるものである。メタリックベース塗料は、被塗物の表面を隠蔽し、ハイライト(正反射光近傍)からシェード(斜め方向)に明度を変化せしめ、複層塗膜の明度を高くすることを目的として、鱗片状アルミニウム顔料を含有する。
【0013】
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
【0014】
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、タンク・ダクト・配管類や屋上ルーフィング等の工場設備や各種建築材料などに利用されることが多い。本発明のメタリックベース塗料において、リーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用可能であるが、このタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用した場合には、その配合量にもよるが、塗膜形成過程において、粉砕助剤の表面張力の効果によって、メタリックベース塗膜表面に配向するため、複層塗膜のハイライトにおける明度が高くなりすぎる可能性があるため、注意が必要である。この点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
【0015】
上記鱗片状アルミニウム顔料の大きさは、平均粒子径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度、ハイライトからシェードへの明度変化の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が7〜18μmの範囲内のものである。厚さは0.01〜1.0μmの範囲内のものを使用することが好ましく、特に好ましくは0.02〜0.5μmの範囲内のものである。ここでいう平均粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。厚さは、該鱗片状アルミニウム顔料を含む塗膜断面を顕微鏡にて観察して厚さを画像処理ソフトを使用して測定し、100個以上の測定値の平均値として定義するものとする。
【0016】
平均粒子径が、前記上限値を越えると、複層塗膜において、鱗片状アルミニウム顔料による粒子感が生じてしまう場合があり、下限値未満では、ハイライトからシェードへの明度変化が小さくなりすぎる場合がある。
【0017】
本発明のメタリックベース塗料における鱗片状アルミニウム顔料としては、ビヒクル形成成分中に該鱗片状アルミニウム顔料のみを着色材として含む塗料を塗装して得られた塗膜のIV値が160〜350の範囲内のものを使用することが、複層塗膜におけるハイライトの明度を高くする点から好ましい。本明細書において、鱗片状アルミニウム顔料のIV値は、以下に示す方法で測定された数値として定義するものとする。アクリックNo.1000クリヤー(商品名、関西ペイント社製、ニトロセルロース変性アクリルクリヤー塗料)に対して、その樹脂固形分100質量部に基づいて、鱗片状アルミニウム顔料を固形分として15質量部となるように配合し、塗装に適正な粘度となるように専用シンナーで希釈して攪拌混合する。得られた塗料をドクターブレードを使用して、予めグレー(N−5)の塗膜を形成した塗板上に、硬化塗膜として膜厚が15μmとなるように塗装する。3分間室温にて放置した後に、クリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて得られた塗膜を、MA−68II(商品名、x−Rite社製、多角度分光光度計)を使用して、45度の角度から照射した光を正反射光から15度の角度にて受光した分光反射率に基づくXYZ表色系におけるY値を求め、IV値とする。XYZ表色系とは、CIE表色系の基礎となっているもので、色度図を使用してYxyの3つの値で表す。Yが反射率で明度に対応し、xyが色度である。
【0018】
また、鱗片状アルミニウム顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性や、ハイライトにおける明度、ハイライトからシェードへの明度変化の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で1〜25質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは3〜20質量部の範囲内、特に好ましくは5〜18質量部の範囲内である。
メタリックベース塗料には、複層塗膜の色相を微調整することを目的として、着色顔料を配合することができる。該着色顔料としては、特に制限されるものではないが、複層塗膜の遮熱性の点から、後述する赤外線を透過及び/又は反射する顔料を使用することが好ましい。
本発明において、メタリックベース塗料に着色顔料を配合せしめる場合、その配合量は、複層塗膜の明度等の観点から、塗料組成物中の樹脂固形分100質量部に対し固形分として、通常0.01〜15質量部、特に0.05〜10質量部の範囲内であることが好ましい。
本発明のメタリックベース塗料及び後述するカラークリヤー塗料において配合せしめる着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂成分や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
【0019】
本発明のメタリックベース塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤と併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0020】
さらに、本発明のメタリックベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0021】
本発明のメタリックベース塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、また、20℃における粘度を17〜23秒/フォ−ドカップ#3に調整しておくことが好ましい。
【0022】
本発明のメタリックベース塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめた後に後述するカラークリヤー塗料を塗装することができるが、未硬化の状態でカラークリヤー塗料を塗装することができる。本発明のメタリックベース塗料によるメタリックベース塗膜それ自体は、メタリックベース塗料が焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0023】
本発明の塗膜形成方法において、カラークリヤー塗膜は、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料及び艶調整剤を含むカラークリヤー塗料を塗装することによって得られる1層の塗膜として形成することができるが、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料を含む第1クリヤー塗膜上に艶調整剤を含む第2クリヤー塗膜が積層した2層の塗膜として形成することができ、複層塗膜の漆黒性の点から、2層の塗膜として形成することが好ましい。
【0024】
まず、1層の塗膜として形成する方法について説明する。1層の塗膜として形成する場合には、上記メタリックベース塗膜上にカラークリヤー塗料を塗装する。
【0025】
カラークリヤー塗料は、複層塗膜の明度を調整するを目的として、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料を含有する。本明細書において、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料とは、波長780nm〜2500nmの領域において、JIS K5101 4隠ぺい率試験紙法に記載された隠ぺい率試験紙に該着色顔料のみを着色材として含む塗料を塗装して得られた塗膜の白素地上のJIS K5602に定義された日射反射率が50%以上又は黒素地上の日射反射率が10%以上の顔料を意味する。
【0026】
本明細書における具体的な試験方法を以下に説明する。水酸基含有アクリル樹脂(水酸基価100、数平均分子量20000)及びメラミン樹脂からなる樹脂成分100固形分質量部あたり、該着色顔料を15質量部配合して攪拌混合し、適当な溶媒を用いて希釈して固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製する。隠ぺい率試験紙を平らなガラス板の上に水平に固定し、その上にドクターブレードを使用して、硬化塗膜厚が30μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室に15分間放置し、その後に熱風乾燥機を使用して140℃で30分間加熱して硬化せしめた塗膜の白素地部分及び黒素地部分の日射反射率を、積分球ISR−3100を搭載した分光光度計UV−3100PC(共に島津製作所社製)を使用して入射角度を8°としたときの日射反射率として定義するものとする。
【0027】
赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料としては具体的には、アゾ系顔料、アニリンブラック、ペリレンブラック等の有機顔料や複合酸化物顔料等を挙げることができる。
【0028】
ペリレン系の顔料としては、特開2003−41144号公報及び特関2003−41145号公報に開示のペリレンテトラカルボン酸の酸無水物、特開2006−328238号に開示の2−メチル−2,4−ペンタンジオール及び硝酸を加熱反応して得られる黒色顔料、ペリレンテトラカルボン酸のジイミド誘導体、ペリレンジイミノジカルボン酸のジイミド誘導体を焼成処理して得られた黒色ペリレン系顔料や、特開2007−522297号公報に開示の式1a又は1bで表される異性体の1種又は2つの異性体の混合物を含有する黒色顔料を使用することができる。
【0029】
【化1】
【0030】
H(式中、R1、R2は互いに独立にフェニレン、ナフチレンまたはピリジレンであり、これらはそれぞれC1〜C12−アルキル、C1〜C6−アルコキシ、ヒドロキシル、ニトロおよび/またはハロゲンにより一置換または多置換されていてもよく、Xはハロゲンであり、nは0〜4である)。
【0031】
無機顔料としては、Cu−Fe−Mn系、Cu−Cr系、Cu−Cr―Mn系、Cu−Cr―Mn―Ni系、Cu−Cr―Fe系、Co―Cr―Fe系、Mn−Bi系、Mn−Y系、等の複合酸化物顔料を挙げることができる。
【0032】
カラークリヤー塗料における赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料は、塗装して得られる塗膜の色調によって、上記から1種類又は複数を選択して使用することができる。
【0033】
本発明のカラークリヤー塗料における赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料の量は、塗装して得られる塗膜の色調や、仕上がり性の点から、カラークリヤー塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で1〜20質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは2〜18質量部の範囲内、特に好ましくは3〜15質量部の範囲内である。
【0034】
本発明のカラークリヤー塗料においては、複層塗膜の漆黒性をさらに高める点から、赤外線を反射及び/又は透過する着色顔料としてさらに、アンスラキノン構造を有するスレン系顔料を使用することができる。スレン系顔料としては、字式で表されるインダントロンブルー顔料(PigmentBlue 6)を挙げることができる。
【0035】
【化2】
【0036】
本発明のクリヤー塗料においてスレン系顔料を使用する場合、複層塗膜の漆黒性の点から、カラークリヤー塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.01〜5質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.2〜4質量部の範囲内、特に好ましくは0.3〜3質量部の範囲内である。
【0037】
カラークリヤー塗料は、さらに艶調整剤を含有する、艶調整剤とは、塗膜中に塗膜のビヒクル成分と異なる屈折率を持つ粒子成分として存在することにより、入射光を適度に乱射させ、塗膜の艶を調製する効果を奏するものである。一般には、微粉シリカ(含水ニ酸化ケイ素)やポリエチレン粉末、樹脂ビーズ、セラミックビーズあるいはこれらをプレ分散した分散液等が用いられる。これらのうちで、微粉シリカ、微粉シリカをプレ分散した分散液、セラミックビーズが好ましく、特に好ましくは微粉シリカであるが、限定されるものではなく、求める質感に応じて、艶調整剤を1種又は2種以上を選択して使用することができる。
上記艶調整剤の好ましい配合量は、カラークリヤー塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、1〜50質量部である。1質量部未満では、塗膜に透明感が発現し、複層塗膜を形成したときに所望の質感が得られず、50質量部を超えると塗膜外観が低下する恐れがある。より好ましくは5〜30質量部であり、特に好ましくは5〜30質量部である。
本発明のカラークリヤー塗料は、複層塗膜の観察角度による色の見え方を微妙に変化せしめて、ニュアンスを付与する点から光干渉性顔料を含んでいても良い。光干渉性顔料としては、具体的には、天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等の半透明の基材を金属酸化物で被覆した顔料やコレステリック液晶ポリマーを破砕した顔料を使用することができる。
【0038】
金属酸化物被覆マイカ顔料は、天然マイカ又は人工マイカを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、人工マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
【0039】
金属酸化物被覆アルミナフレーク顔料は、アルミナフレークを基材とし、基材表面に金属酸化物が被覆した顔料である。アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。被覆される金属酸化物としては、酸化チタンや酸化鉄を挙げることができる。被覆する厚さによって、干渉色を発現することができるものである。
【0040】
金属酸化物被覆ガラスフレーク顔料とは、鱗片状のガラス基材に金属酸化物を被覆したものであって、基材表面が平滑なため、強い光の反射が生じて粒子感を発現する。被覆する金属酸化物としては、特に制限されるものではないが、酸化チタンや酸化鉄が知られている。
【0041】
金属酸化物被覆鱗片状シリカ顔料は、表面が平滑で且つ厚さが均一な基材である鱗片状シリカを、基材とは屈折率が異なる金属酸化物で被覆したものである。
【0042】
コレステリック液晶ポリマーは、例えば、メタクリロイロキシ基またはアクリロイロキシ基を側鎖に有するポリオルガノシロキサン等の三次元架橋性ポリマーと液晶性物質を基材に、分子をそれぞれ平行な層に整えた後、螺旋構造とするために、電場または磁場により少しずつ異なる分子配向となるように層状に積み重ね、重合反応によって配向した分子を固定化し薄膜層を三次元架橋させた後、基材から分離し、続いて所望の粒子サイズに粉砕することにより得られたものを挙げることができる。
【0043】
上記光干渉性顔料は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
【0044】
上記光干渉性顔料の大きさは、平均粒子径が5〜50μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの干渉色の発現の点から好ましく、より好ましくは粒子径が7〜35μmの範囲内のものである。厚さは0.05〜7.0μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒子径は、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。厚さは、該鱗片状アルミニウム顔料を含む塗膜断面を顕微鏡にて観察して厚さを画像処理ソフトを使用して測定し、100個以上の測定値の平均値として定義するものとする。
【0045】
平均粒子径が、前記上限値を越えると、複層塗膜において、光干渉性顔料による粒子感が過剰になって意匠的に好ましくない場合があり、下限値未満では、干渉色の発現が不十分になる場合がある。
【0046】
また、カラークリヤー塗料における光干渉性顔料の含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性や、ハイライトからシェードへの明度変化の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で0.1〜25質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.2〜18質量部の範囲内、特に好ましくは0.3〜15質量部の範囲内である。
【0047】
本発明のカラークリヤー塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂を、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤と併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0048】
さらに、本発明のカラークリヤー塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0049】
本発明のカラークリヤー塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、また、20℃における粘度を17〜23秒/フォ−ドカップ#3に調整しておくことが好ましい。
【0050】
本発明のカラークリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。カラークリヤー塗料が焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0051】
次にカラークリヤー塗膜を2層の塗膜として形成する方法について説明する。2層の塗膜として形成する場合、上記メタリックベース塗膜上に、特定の着色顔料を含む第1クリヤー塗料を塗装し、得られた塗膜上に艶調整剤を含む第2クリヤー塗料を塗装して、第1クリヤー塗膜と第2クリヤー塗膜が積層した塗膜を形成する。
【0052】
また、カラークリヤー塗膜が光干渉性顔料を含む場合、光干渉性顔料は、第1クリヤー塗料と第2クリヤー塗料の少なくとも一方に光干渉性顔料を配合すればよい。光干渉性顔料の種類や配合量は、上記カラークリヤー塗膜を1層の塗膜として形成せしめる場合のカラークリヤー塗料と同様に決定すればよい。
【0053】
第1クリヤー塗料は、上記カラークリヤー塗料に含有するものとして説明した着色顔料及びビヒクルとして、樹脂成分を含有する。樹脂成分としては、前記カラークリヤー塗料において使用できる樹脂を同様に使用することができるが、上記メタリックベース塗料のビヒクル形成成分である樹脂成分との少なくとも一部を同一とすることが、複層塗膜の彩度を高くし、色ムラを生じさせない点から好ましい。
【0054】
第1クリヤー塗料における着色顔料の配合量は、複層塗膜の彩度や、ハイライトとシェードの明度差の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜5質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.02〜4質量部、特に好ましくは0.03〜3質量部の範囲内であることが好ましい。
【0055】
さらに、第1クリヤー塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0056】
本発明の第1クリヤー塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に、また、20℃における粘度を17〜23秒/フォ−ドカップ#3に調整しておくことが好ましい。
【0057】
本発明の第1クリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。第1クリヤー塗料が焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0058】
カラークリヤー塗膜を2層の塗膜として形成する場合、上記第1クリヤー塗料を塗装して得られた塗膜上に、第2クリヤー塗料を塗装する。
【0059】
本発明方法における第2クリヤー塗料は、艶調整剤を必須成分として含有し、さらにビヒクルとして、樹脂成分を含有する。艶調整剤及び樹脂成分としては、前記カラークリヤー塗料において使用できるものを同様に使用することができる。
さらに、第2クリヤー塗料には、必要に応じて、水や有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、レオロジーコントロール剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、体質顔料等を適宜配合することができる。
【0060】
本発明における第2クリヤー塗料は、静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて15〜70μmの範囲内とするのが好ましい。第2クリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約150℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
次に、実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2‘−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65質量%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレート38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
1)被塗物
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0062】
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ルーガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を被塗物とした。
2)塗装
(実施例1〜6、比較例1〜4)
上記被塗物に、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、表1に示す比率で着色材を含むベース塗料を調製して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈した固形分約25%の有機溶剤型塗料(ベース塗料)を、エアスプレーを用いて、硬化塗膜として15μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に、クリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)の樹脂成分100質量部に対して、着色材を表1に示す比率で含むカラークリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(実施例7〜10、比較例5〜7)
上記被塗物に、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、表2に示す比率で着色材を含むベース塗料を調製して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈した固形分約25%の有機溶剤型塗料(ベース塗料)を、エアスプレーを用いて、硬化塗膜として15μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後に、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100質量部に対して、着色材を表2に示す比率で含む第1クリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として10μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、クリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)の樹脂成分100質量部に対して、着色材を表2に示す比率で含む第2クリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(実施例11.12)
実施例4における第1クリヤー塗料に換えて、クリヤー塗料(ルーガベーククリヤー、関西ペイント製、商品名、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)の樹脂成分100部(固形分)あたり、表2に示す比率で着色材を含む第1クリヤー塗料を使用する以外は、実施例4と同様にして試験板を得た。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
(意匠性の評価)
得られた試験板を以下の要領にて評価し、結果を表1及び表2に示した。
作成した試験板を、人工太陽灯(セリック社製、色温度6500K)で照明し、試験板の照明に対する角度を変えて観察して、以下に示すA、B、Cについて評価し、結果を表1及び表2に示した。評価は、色彩開発に3年以上従事するデザイナー2名と技術者3名の計5名が行ない、平均点を採用した。
A:ハイライトの明度
B:ハイライトの青さ(漆黒性)
C:ハイライトからシェードへの明度変化
いずれも、4段階の評価とした(数値が大きいほうが評価が高いことを意味する)。
(塗膜温度:遮熱性)
1辺が40cmのダンボール箱上部に70mm四方の正方形の穴をあけたものを、室温約20℃の実験室に30分間静置したのちに、意匠性評価に使用した試験板を、75mm×75mmの大きさに切断して、裏に熱電対のセンサーをセロハンテープで固定した塗板を、前記穴をふさぐように静置した。40cmの距離から、HALOGEN LIGHT(LPL1500)を照射し、15分後の塗板温度を測定し、結果を表1及び表2に示した。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車外板に適用できる。