特許第5936500号(P5936500)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936500
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ベビーカー用シート
(51)【国際特許分類】
   B62B 9/10 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   B62B9/10 A
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2012-207424(P2012-207424)
(22)【出願日】2012年9月20日
(65)【公開番号】特開2014-61769(P2014-61769A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年9月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全
(74)【代理人】
【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝
(72)【発明者】
【氏名】正木 久美子
(72)【発明者】
【氏名】黒石 純子
(72)【発明者】
【氏名】石丸 容司
【審査官】 川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4823592(JP,B2)
【文献】 特開平06−199164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 7/00 − 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベビーカーの本体シート部材上に配置され、被搬送者の頭部が置かれる頭部パッドと、前記被搬送者の臀部が置かれる臀部パッドと、を備えたベビーカー用シートであって、
前記臀部パッドは、前記臀部が置かれる着座領域より前方に配置されて隆起した隆起部と、前記被搬送者の股の間に通される股ベルトを挿通するための股ベルト孔とを有し、前記股ベルト孔の前記隆起部側の内面が上方に向かって延伸することで、前記隆起部の前記着座領域側の隆起面が形成されており、
前記頭部パッドは、前記被搬送者の後頭部より小さな凹部を有し、この凹部は前記後頭部の一部を置くと、その重みにより内周面が押し広げられるようになっている
ことを特徴とするベビーカー用シート。
【請求項2】
前記頭部パッドは、前記本体シート部材の左右の夫々から前方に向けて突出したサイドサポート部の間に係止されることを特徴とする請求項1に記載のベビーカー用シート。
【請求項3】
前記頭部パッドと前記臀部パッドの間には、前記被搬送者の背中と腰部が置かれる背中腰部パッドが配置されるようになっており、
前記背中腰部パッドは、前記被搬送者の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うように、左右周縁部に前方に向かって膨出した膨出部を有している
ことを特徴とする請求項1または2に記載のベビーカー用シート。
【請求項4】
前記膨出部は、前記背中側に比べて前記腰部側の膨出度が大きくなっていることを特徴とする請求項3に記載のベビーカー用シート。
【請求項5】
前記膨出部は、前記背中腰部パッドの横方向の両端から中央に向かって切り欠かれた複数の切り欠き部を有しており、
この複数の切り欠き部は、前記背中腰部パッドの高さ方向に沿って所要の間隔を空けながら配置されている
ことを特徴とする請求項4に記載のベビーカー用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーカーに着脱可能に装着されるベビーカー用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乳幼児を載せて移動するためのベビーカーは、例えば対象年齢が生後1カ月以上36カ月以内の乳幼児を乗せて、例えば買い物や外気浴等に使用するための乳母車であり、乳幼児を寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用することができる。
この種のベビーカーは、例えば新生児や乳児等を乗せるには大き過ぎ、そこで、このような体格の小さい乳幼児(以下、乳児という)を乗せる場合、ベビーカー上での姿勢を保持するために、ベビーカーの本体シート部分上に、乳児の体格に合わせたベビーカー用シートを追加して装着するようにしている。
【0003】
特許文献1は、このベビーカー用シートの例であり、その図2に示されるように、側頭部を支持するための隆起した側頭支持部14を有する頭部パッド10と、腰部を支持する腰部パッド30と、臀部を所定領域に保持するための隆起した臀支持部53を有する臀部パッド50とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4823592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のベビーカー用シートでは、頭部パッド10に側頭支持部14が設けられてはいるものの、乳児の頭の形や大きさの相違によって、頭部と側頭支持部14との間にスペースが生じて、頭部を上手く保持することが出来ない場合がある。
特に、このベビーカー用シートを利用する時期の乳児は首が据わる前が多く、自ら姿勢を自由に変えられず、崩した姿勢を自力で元に戻すことができない。このため、一旦姿勢を崩してしまうと、特許文献1のように、折角、頭部パッド10に側頭支持部14が設けられていても、これを有効に活用することが出来ず、そればかりか却って頭部パッド10に凹凸がある分、頭の据わりが悪くなってしまう。
例えば、特許文献1の臀部パッド50には臀支持部53が設けられているが、その隆起する度合いが小さく、ベビーカーの移動に伴って生じる振動などにより、臀部が徐々に前スベリをし、それに伴って頭部も動き、乳児はそれを細かく姿勢調整できないため、最初は側頭支持部14で頭部を保持できている場合であっても、徐々に支持できない状態となってしまう。
なお、臀部支持部53の高さ寸法を大きくする等して、乳児の臀部を確実に保持する手段も考えられるが、それでは最初から座り心地を悪くするだけであり、好ましくない。
【0006】
そこで、本発明は、被搬送者である新生児や乳児等の座り心地を悪くすることなく、姿勢を有効に保持できるベビーカー用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、ベビーカーの本体シート部材上に配置され、被搬送者の頭部が置かれる頭部パッドと、前記被搬送者の臀部が置かれる臀部パッドと、を備えたベビーカー用シートであって、前記臀部パッドは、前記臀部が置かれる着座領域より前方に配置されて隆起した隆起部と、前記被搬送者の股の間に通される股ベルトを挿通するための股ベルト孔とを有し、前記股ベルト孔の前記隆起部側の内面が上方に向かって延伸することで、前記隆起部の前記着座領域側の隆起面が形成されており、前記頭部パッドは、前記被搬送者の後頭部より小さな凹部を有し、この凹部は前記後頭部の一部を置くと、その重みにより内周面が押し広げられるようになっているベビーカー用シートにより達成される。
【0008】
上記構成によれば、臀部パッドは、臀部が置かれる着座領域より前方に配置されて隆起した隆起部を有するため、被搬送者(新生児や乳児等)の前滑りをある程度抑制できる。
また、臀部パッドには股ベルト孔が設けられているが、この股ベルト孔が例えば隆起部の隆起途中に配置されていると、そもそも被搬送者は隆起部より後ろ側の着座領域に着座しているため、ベルトは、被搬送者がベビーカーから落ちないという点では意味はあるが、着座領域からの位置ずれ防止という点では意味をなさない。
このため、単に隆起部や股ベルトが設けられているだけでは、被搬送者の動きを規制するには不十分であるが、本発明の構成では、股ベルト孔の隆起部側の内面が上方に向かって延伸することで、隆起部の着座領域側の隆起面が形成されている。
そうすると、股ベルトと股間部分が係止することで臀部の前滑りを抑制すると共に、それでも被搬送者の重みなどでベルトが変形して臀部が前滑りしようとしても、直ぐに、隆起部の隆起面に当たって、前滑りを抑えることが出来る。換言すれば、隆起部と股ベルトで被搬送者の動きを同時に抑制し、これにより臀部の前滑りを防止できる。
このように、本発明では股ベルト孔の領域に対応した股ベルトと隆起面で、被搬送者の股間部分の動きを抑制しているが、この被搬送者の股間部分はそもそも股ベルトに接触することを前提とした部位であり、この股間部分の領域における隆起面の隆起度合いを大きくしたとしても、即ち急激に隆起させたとしても、座り心地に与える悪影響は小さい。
従って、本発明では、良い座り心地を確保しつつ、被搬送者の股間部分(即ち、股ベルト孔)に対応する隆起面を急に隆起させることが可能であり、この急な隆起面と股ベルトで被搬送者の股間部分の動きを規制して、前滑りを確実に防止できる。
【0009】
そして、このように、体の位置決めの基準となる臀部の動きを確実に規制しているため、頭部も有効に位置決めできる。すなわち、被搬送者は大人に比べて全身に占める頭の割合が大きく(つまり、相対的に頭が重く)、さらに首が据わらないため、臀部が少し動くだけで頭部が大きく動き易いが、上述のように、臀部の動きを確実に規制しているため、頭部の動きも有効に規制できる。
しかも、本発明の頭部パッドは、被搬送者の後頭部より小さな凹部を有し、この凹部は後頭部の一部を置くと、その重みにより内周面が押し広げられるようになっている。従って、凹部は被搬送者の頭部の動きに追従するように押し広げられ、頭部を保持することができる。また、このような頭部パッドであれば、頭部の大きさが異なる乳幼児にも対応ができる。
かくして、本発明によれば、位置決めの基準となる臀部を確実に保持し、デリケートな頭部もきっちりと保持できる。そして、臀部と頭部の位置が決まれば、全体的に姿勢は保持可能である。
【0010】
また、好ましくは、前記頭部パッドは、前記本体シート部材の左右の夫々から前方に向けて突出したサイドサポート部の間に係止されることを特徴とする。
このため、頭部パッド自体が動いてしまう事態を防止し、もって、頭部をしっかり保持できる。
【0011】
また、好ましくは、前記頭部パッドと前記臀部パッドの間には、前記被搬送者の背中と腰部が置かれる背中腰部パッドが配置されるようになっており、前記背中腰部パッドは、前記被搬送者の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うように、左右周縁部に前方に向かって膨出した膨出部を有していることを特徴とする。
このため、背中腰部パッドの前方に向かって膨出した膨出部により、背中と腰部も保持できるので、上述のように臀部パッドと頭部パッドで臀部と頭部を保持したことと相まって、より確実に被搬送者の全体姿勢を保持できる。
ところで、上述のように、本発明では被搬送者の動きを可及的に止めるようにしているが、そうすると、体の同じ部位が長時間パッドに接触して部分的な圧迫を起こし、座り心地の悪さを感じさせる要因になる。しかし、本発明での背中腰部パッドの膨出部は、被搬送者の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うようになっている。したがって、体圧を分散させるように、より広い面で体を支えられるため、座り心地も向上できる。
【0012】
また、好ましくは、前記膨出部は前記背中側に比べて前記腰部側の膨出度が大きくなっていることを特徴とする。
従って、未だ腰部が据わりきっていない被搬送者について、背中から腰部の領域において姿勢を決めるための基準となる腰部の横方向の動きをより有効に規制できる。
【0013】
また、好ましくは、前記膨出部は、前記背中腰部パッドの横方向の両端から中央に向かって切り欠かれた複数の切り欠き部を有しており、この複数の切り欠き部は、前記背中腰部パッドの高さ方向に沿って所要の間隔を空けながら配置されていることを特徴とする。
上記構成によれば、背中腰部パッドの横方向の両端から中央に向かって切り欠かれた切り欠き部に、肩ベルトを取り外すことなく容易に挿入でき、この肩ベルトと上述した股ベルトとを接続するなどして、被搬送者を保持することができる。
そして、この複数の切り欠き部は、背中腰部パッドの高さ方向に沿って所要の間隔を空けながら配置されている。このため、被搬送者はその体格に応じて、高さ方向の配置が異なる複数の切り欠き部のいずれかを適宜選択し、そこに肩ベルトを通すことができ、体格の異なる被搬送者への対応が可能である。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明は、被搬送者である新生児や乳児等の座り心地を悪くすることなく、姿勢を有効に保持できるベビーカー用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のベビーカー用シートを装着するベビーカーの好ましい実施形態の例を示す斜視図。
図2図1に示すベビーカーのベビーカー本体を示す斜視図。
図3図1に示す本体シート部材と、この本体シート部材上に装着されたベビーカー用シートを示す斜視図。
図4】本発明のベビーカー用シートの臀部パッドの好ましい形状例を示す図。
図5図4の臀部パッドの使用例を示す斜視図。
図6】本発明のベビーカー用シートの頭部パッドの好ましい形状例を示す図。
図7】本発明のベビーカー用シートの背中腰部パッドの好ましい形状例を示す図。
図8】新生児や乳児がベビーカー用シートに座っている様子を示す図。
図9】頭部パッドと背中腰部パッドと臀部パッドを接続した場合における、ベビーカー用シートを展開した状態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
また、以下の図において、同一の符号を付した箇所は同様の構成である。
また、以下の説明において、前、後、左、右、上、下等の方向は、特段の言及がない限り、ベビーカーに適正に着座した状態(図8の状態)の被搬送者を基準にした方向である。
【0017】
〔ベビーカー用シートとベビーカーとの関係の概略〕
先ず、図1を用いて、ベビーカー用シートとベビーカーとの関係を概説する。
図1に示すベビーカー1は、乳幼児を乗せるための展開状態から、収納のために折り畳むことができる構造を有している。このベビーカー1は、例えば対象年齢が生後1カ月以上36カ月以内の乳幼児を乗せて、例えば買い物や外気浴等に使用するための一人乗りの乳母車であり、乳幼児を寝かせた姿勢や座らせた姿勢で使用することができる。
このベビーカー1は、ベビーカー本体1A(図2も参照)と、このベビーカー本体1Aに取り付けられ、乳幼児を乗せるための本体シート部材13とを有している。図1では、この本体シート部材13上には、さらに新生児や乳児等を乗せるためのべビーカー用シート100が着脱可能に装着されている。すなわち、本体シート部材13はベビーカー用シート100を置く基台ともいえ、本体シート部材13に乗せるには体格が小さい新生児や乳児等(被搬送者であって、以下、乳児という)に対して、ベビーカー用シート100をさらに上に配置することで、ベビーカー1上での乳児の姿勢を保持するようにしている。
【0018】
〔ベビーカーの構造例等について〕
次に、図1及び図2を用いて、ベビーカーの構造例等を説明する。
図1に示すベビーカー1の骨格又は土台ともなる図2に示すベビーカー本体1Aは、左右一対の前脚2と、左右一対の後脚3と、左右一対の側部フレーム4と、手押し杆5と、左右一対のアームレスト6と、背当て支持枠7と、フットレスト8と、4組の車輪9と、左右一対の連結杆10と、幌支持部11と、ガードバー16を有している。
この図2のベビーカー本体1Aに対して、図1に示すように複数の部品又は付属品が取り付けられている。
すなわち、図2の幌支持部11に図1の幌部材12が装着されている。
また、図2に示す一対の側部フレーム4の間に固定された座面部材13A、及び背当て支持枠7に対して、図1の本体シート部材13が固定されている。
【0019】
図1の本体シート部材13は、全体がクッション性を有し、頭部を置くヘッドレスト部90と、背中・腰部を置く背中・腰部保持部91と、臀部を置く座面部92と、左右それぞれから前方又は上方に向けて突出し、本体シート部材13に着座した乳幼児の横揺れを防ぐ一対のサイドサポート部93を有している。
そして、本体シート部材13の下部には、バスケット14が着脱可能に取り付けられている。また、本体シート部材13にはシートベルト15が取り付けられている。シートベルト15は、乳児の両肩に掛けられる肩ベルト15A、腰に回される腰ベルト15B、乳児の股の間に通される股ベルト15C、そして、これら各ベルト15A,15B,15Cを互いに着脱するためのバックル15Dを有している。
【0020】
なお、ベビーカー1は左右が略対称であるため、特段の言及がない限り、以下、この構造例の説明においては、左右いずれか一方のみを説明する。
図1及び図2に示す前脚2と後脚3はパイプ状の部材であり、それぞれの下端部には車輪9が回転可能および旋回可能に取り付けられている。左右一対の前脚2の下部の間には、ステー2Sが連結されており、このステー2S上にはフットレスト8が固定されている。図2に示すように、左右一対の後脚3の下部の間には、ステー3Sが連結されている。
前脚2と後脚3との間には側部フレーム4が回動自在に支持されている。すなわち、側部フレーム4の後端部4Bは後脚3に対して回動自在に連結され、側部フレーム4の前端部4Cは前脚2に回動自在に支持されている。
【0021】
アームレスト6は、前後方向(FB方向)に長く形成され、前脚2及び後脚3に対して、回動自在に連結されている。すなわち、図2に示すように、前脚2の上端部2Aは、アームレスト6の前端部寄りの位置に対して回動自在に連結されている。また、後脚3の上端部3Aも、アームレスト6の前端部寄りの位置に対して回動自在に連結されている。
なお、アームレスト6の前端部には、ガードバー16の端部が着脱可能に連結されている。
【0022】
連結杆10は、後脚3の中間部から、斜め後方向Tに向けて突き出すようにして固定されている。この斜め後方向Tは、路面に垂直な方向Zに対して、ベビーカー1の後ろ側方向に向けて角度θだけ傾斜している。なお、連結杆10には、幌支持部11の取付け部材11Rがそれぞれ着脱可能に装着されている。
【0023】
手押し杆5は、略U字型を有しており、手押し杆5の下端部17は、連結杆10の外面側に対して、中心軸CLを中心にして回動自在に連結されている。図に示す手押し杆5の保持状態では、使用者は、手押し杆5を持ってベビーカー1を乳幼児の背面側から進行方向Fに向って押すことができる。
手押し杆5には、ハンドルロック29が付けられており、本ベビーカー1を押す使用者がハンドルロック29を手で持ち上げると、手押し杆5の保持状態を解除できる。そして使用者が、手押し杆5の位置を、図2において実線で示す保持状態から、中心軸CLを中心にR方向に回転することで、2点鎖線で示す反転したもう一つの保持状態に変更することができる。この手押し杆5の保持状態の変更後、使用者がハンドルロック29を下げることで、手押し杆5は2点鎖線で示す状態に固定できるので、使用者は、ベビーカー1に乗っている乳幼児に対面しながら、ベビーカー1を方向Bに向って押すことができる。
【0024】
図1図2に示すベビーカー1を折り畳む際には、使用者が手押し杆5の折りたたみレバー19を握って手押し杆5を持ったまま、後側の車輪9を支点にしてベビーカー1を後ろ側へR1方向に傾けることで、前脚2の車輪9を後脚3の車輪9側に寄せた状態にする。これにより、ベビーカー1の前脚2と後脚3と手押し杆5が互いに近づく状態に保持することで、ベビーカー1はコンパクトに折り畳むことができる。逆に、使用者がベビーカー1を折り畳んだ状態から図に示すように展開状態にする場合には、使用者が手押し杆5の折りたたみレバー19を握って手押し杆5を持ち上げることにより、前脚2が後脚3から開いて前脚2の車輪9が後脚3の車輪9から離れる。これにより、図に示すようにベビーカー1は、折り畳んだ状態から展開した状態にすることができる。
【0025】
〔ベビーカー用シート等について〕
次に、ベビーカー用シート100について説明する。
図3は、図1に示す本体シート部材13と、この本体シート部材13上に着脱可能に装着されたベビーカー用シート(以下、シートという)100を示す斜視図である。
すなわち、シート100は、乳児を乗せて移動する際、その身体の姿勢を保持するために、図1図3に示すように、本体シート部材13の上にさらに追加して装着されるもので、クッション、パッド、マットとも呼ぶことができる。
シート100は、乳児を保持できる所要の剛性を有しつつ、柔らかい材質で作られたクッション性を有し、具体的には、弾性変形可能であって、エネルギーの吸収性が高いウレタンフォーム等の発泡体からなる低反発性素材と、この低反発性素材を覆うシートカバーにより形成することができる。なお、本発明は所要の剛性とクッション性の双方を有すれば、低反発素材に限られるものではなく、例えばビーズクッションであってもよい。
【0026】
図3に示すように、シート100は、頭部パッド101と、背中腰部パッド102と、臀部パッド(座面パッドともいう)103により構成されている。
図1図3に示すシート100の装着例では、シート100の頭部パッド101と背中腰部パッド102は、本体シート部材13の背中・腰部保持部91上に配置され、シート100の臀部パッド103は、本体シート部材13の座面部92上に配置されている。
シート100は、例えば面ファスナー等の接合部材(不図示)を用いて、その構成品である頭部パッド101、背中腰部パッド102、臀部パッド103の中から1つ以上を選択して、これを本体シート部材13に着脱可能に装着できる。
さらに本実施形態では、頭部パッド101と背中腰部パッド102が着脱可能に連結され、また、背中腰部パッド102と臀部パッド103が着脱可能に連結されるようになっている。これにより、シート100は、頭部パッド101と背中腰部パッド102と臀部パッド103に別々に構成されているにもかかわらず、一体物として本体シート部材13上に装着し、乳児は切れ目のないパッドに乗ることができるし、また、本体シート部材13に対する装着作業も容易となる。
【0027】
以下、このシート100の頭部パッド101、背中腰部パッド102、臀部パッド103の好ましい形状例を順次詳細に説明する。
〔臀部パッド103について〕
先ず、臀部パッド103を説明する。
図4は臀部パッド103の好ましい形状例であり、図4(A)はその正面図(装着した状態では上から見た平面図となる)、図4(B)は図4(A)において矢印G方向から見た側面図である。また、図5は臀部パッド103の使用例を示す斜視図である。
図4図5に示す臀部パッド103は、シート100上に載せた乳児の臀部を保持する部材である。
この臀部パッド103は、正面視が例えば長方形状であり、長辺部分140,141と、短辺部分142,143を有している。なお、臀部パッド103の正面視における4つの角部144は略1/4円周形状とされている。
【0028】
そして、長辺部分140,141の長さ(つまり、正面視における幅)Lが、図3に示す本体シート部材13の座面部92における左右のサイドサポート部93同士の間隔と同様であり、これによりサイドサポート部93にはまってずれない様になっている。
また、臀部パッド103の背面部149は平面状であり、図3に示す本体シート部材13の座面部92と対面し、例えば面ファスナーを用いて座面部92に対して固定される。
このようにして、臀部パッド103は、本体シート部材13に確実に固定される。
【0029】
図4(A)に示すように、臀部パッド103は、その正面視において、臀部が置かれる着座領域155と、臀部の動きを規制するための隆起部158とを有している。
着座領域155は、隆起部158に対して凹部であり、その領域は略平坦である。そして、中央部には臀部に対する通気を行うための複数個の通気孔147が形成されている。
着座領域155は、正面視が概ね台形状であり、互いに略平行な辺のうち長い辺(図4の長辺部分140)が乳児の着座状態における背面側とされている。
なお、乳児の着座状態における背面側の角部(図4の上側の角部)144、及びこの角部144に隣接する短辺部分142,143の一部142P、143Pは、隆起部158が形成されずに、着座領域155の平坦面が続くようになっている。これにより、この角部周辺領域144,142P,143Pから、着座領域155に落ちたゴミ等の異物を掃き出したり、空気を乳児の背面に供給したりすることができる。さらに、長辺部分140の両端近傍の一部142P、143Pに隆起部158が形成されないことで、乳児の臀部が側部サポート部分161、162に乗らず、前滑りを防ぐことができる。さらにまた、長辺部分140は、座面部92と背中・腰部保持部91との境界近傍に位置することになり、ベビーカー1を折畳んだ場合に、嵩高となることがなく、折り畳みに影響がない。
【0030】
隆起部158は、本実施形態の場合、概ねいずれの部位を縦に切断しても、その断面が略山型形状である。この隆起部158は、臀部パッド103の周縁部であって、短辺部分142,143の一部142P,143Pを除く残部142R,143Rから長辺部分141にかけて配置され、略U字型に形成されている。これにより、隆起部158は、着座状態における臀部の側面を保持する側部サポート部分161,162と、前側を保持する前側サポート部分163を有している。
図4(B)に示すように、側部サポート部分161,162は、乳児の背面側から前側に向かうに従って、着座領域155に対して、傾斜角度Eだけ隆起するように傾斜して形成され、隆起部158の中でも前側サポート部分163の高さH1が最も高く設定されている。図の高さH1は30〜50mm、好ましくは40mmである。
【0031】
図4(A)に示すように、側部サポート部分161,162は、外側の側面であって、短辺部分142,143に沿った外側面部161A,162Aと、着座領域155側の面である内側面部161B,162Bを有している。内側面部161Bと内側面部162Bは、前側サポート部分163に向かうに従って内側に配置され、互いに近づくようになっている。図の場合、内側面部161B,162Bは外側面部161A,162Aに対して所定の角度Qを有している。
一方、側部サポート部分161,162の稜線161C,162Cは、互いに略平行であり、内側面部161B,162Bは前側サポート部分163に向かうに従って稜線161C,162Cから離れるように形成されている。これにより、稜線161C,162Cから内側面部161B,162Bまでの領域ARについては、乳児の背面側から前側に向かうに従って、徐々に傾斜面が緩やかになっている。従って、図5に示すように、側部サポート部分161,162は、臀部の側面を保持しつつも、楽に脚LGを置くことができる。
【0032】
これに対して、図4に示す前側サポート部分163は、その稜線163Cが前後方向の中央部にあり、側部サポート部分161,162に比べて高さH1が大きいことと相まって、側部サポート部分161,162に比べて急に隆起するようになっている。具体的には、前側サポート部分163は、外側の側面であって、長辺部分141に沿った外側面部163Aと、着座領域155側の面である内側面部163Bを有している。内側面部163Bは、側部サポート部分161,162の内側面部161B,162Bに連続して形成されている。
【0033】
ここで、臀部パッド103には、図3に示す股ベルト15Cを通すための貫通孔である股ベルト孔170が設けられている。この股ベルト孔170は、隆起部158の前側サポート部分163に隣接して配置され、長円状またはレンズの断面形状のような形状をしている。
そして、図4(B)に示すように、この股ベルト孔170の隆起部158(前側サポート部分163)側の内面170aが上方に向かって延伸することで、隆起部158(前側サポート部分163)の着座領域155側の隆起面(つまり内側面部)163Baが形成されている。より具体的には、図4(A)に示すように、股ベルト孔170は、正面視において、前側サポート部分163の内側面部163Bの一部を切り欠くように形成されている。これにより、側部サポート部分161,162に比べて急に隆起する前側サポート部分163の内側面部163Bのなかでも、股ベルト孔170に隣接した隆起面(つまり内側面部の一部)163Baが最も急激に隆起している(傾斜角度が大きい)。
なお、本実施形態の股ベルト孔170は、上述のように、前側サポート部分163の内側面部163Bの一部を切り欠くように形成されているが、隆起面163Baが股ベルト孔170の際に配置され、他の内側面部に比べて急に隆起する構成であれば、切り欠かれていなくても構わない。
【0034】
本実施形態の臀部パッド103は以上のような構成を有しているため、図5に示すように、乳児の臀部HPを乗せた状態では、臀部HPは、一方の側部サポート部分161と他方の側部サポート部分162と前側サポート部分163の間に位置決めされ、隆起部158にはめ込まれた状態で保持される。
そして、乳児の脚LGは、側部サポート部分161,162の稜線161C,162Cよりも着座領域155側の領域ARを通って、前側サポート部分163の上に載せられ、この領域ARは比較的緩やかな傾斜面とされているため、座り心地に与える悪影響を抑制できる。
これに比べて、前側サポート部分163の内側面部163Bは相対的に急に隆起する傾斜面を有し、その中でも股ベルト孔170に隣接した隆起面(つまり内側面部の一部)163Baが最も急に隆起しているので、臀部HPが前滑りしようとしても、乳児の股間部分THと隆起面163Baとが係止して、臀部HPは保持される。しかも、この股間部分THは、股ベルト孔170を通る股ベルト15Cによっても規制されている。従って、隆起面163Baを含む内側面部163Bと股ベルト15Cが共同して股間部分THの動きを規制し、これにより、臀部HPの前滑りを確実に防止できる。そして、股間部分THは、いずれにしても股ベルト15Cが接触する部分であるため、その先の隆起面163Baが急激に隆起したとしても、座り心地に与える悪影響は小さい。
【0035】
〔頭部パッド101について〕
次に、頭部パッド101について説明する。
図6は本発明の頭部パッドの好ましい形状例であり、図6(A)は頭部パッド101の正面図、図6(B)は図6(A)のA−A断面図、図6(C)は頭部パッド101に乳児の頭部HDを当てて保持している様子を示す断面図である。
この頭部パッド101は、乳児の頭部を安定して保持するための部材であり、図3に示す本体シート部材13の背中・腰部保持部91に、図6に示す面ファスナー等の接合部材33で着脱可能に固定することができる。
なお、頭部パッド101の背面119は、背中・腰部保持部91に対応して、略平坦面とされ、接合部材33は背面119の長手方向の両端部に配設されている。
【0036】
頭部パッド101は、図6(A)に示すように正面視が例えば長方形状であり、長辺部分110,111と、短辺部分112,113を有し、4つの角部114は、略1/4円周形状に形成されている。長辺部分110,111の長さ(つまり、正面視における幅)L1は、図3に示す本体シート部材13の背中・腰部保持部91において、左右のサイドサポート部93の間にはまってずれない様な寸法に設定されている。これにより、保護者である使用者は、頭部保持パッド101をサイドサポート部93の間において位置がずれないように簡単に取り付けることができる。
【0037】
図6(A)及び(B)に示すように、正面視において、頭部パッド101の中央部には、好ましくは円形状の凹部115が形成され、この凹部115の内周面115aは中央から外側に向かって傾斜する傾斜面とされている。換言すれば、凹部115の円形状の底面部116に対して、底面部116の周囲は凸部118であり、この凸部118は、図6(B)に例示するように、厚み方向の断面形状がドーム状又は山形状とされている。
そして、この凹部115は、外力を加えない状態において、乳児の頭部HDの背面側(つまり後頭部)が収容しきれず、その一部分だけが収容される外径とされ、本実施形態では、底面部116に後頭部が付かない程度の小さな窪みとされている。
これにより、頭部HDの重みを凹部115に加えない状態において、頭部HDを凹部115の内周面115aの全周に当接可能であり、そして、頭部HDの重みを加えると、図6(C)に示すように、内周面115aは頭部HDの形状に合わせて沈みこむように(例えば矢印Jの方向に沈みこんで、内周面115aを押し広げるように)変形する。従って、頭部HDは頭部パッド101の当該変形した凹部115の内面全体(内周面115a、及び底面部116)に密着し、体圧分散効果が発揮されると共に安定して保持される。
なお、本実施形態の頭部パッド101は低反発性素材から形成されて、上述のように沈み込むように変形するが、頭部パッド101は、例えば所要の剛性と柔軟性を有するビーズクッションであっても、凹部115が底面部116に後頭部の付かない程度の小さな円形状の窪みであれば、充填物であるビーズが頭部HDの重みで周囲に押し広がって、内周面115aを頭部HDの形状に沿った形状に変形させ、凹部115の内面全体に頭部HDを密着させることができる。
【0038】
また、乳児は大人に比べて全身に占める頭の割合が大きく、しかも首が据わらないため、臀部が少し動くだけで、頭部が大きく動いてしまう。しかし、頭部の位置決めの基準となる臀部の動きを、上述した臀部パッド103でも有効に規制している。さらに、本実施形態の頭部パッド101には、上述のように内周面115aが頭部HDの形状に沿って変化する凹部115が形成されているため、もし頭部が少し動いてしまったとしても、凹部115はその動きに伴って変化し、頭部は保持される。このように、臀部パッド103と頭部パッド101とで、デリケートな部分である頭部を確実に保持できる。
好ましくは、頭部パッド101は、クッション性を重視して、背面119に追加で低反発素材を着脱できる構成にするとよい。この場合、上述した実施形態に対して追加の低反発素材を取り付けるのであれば、背面119の面ファスナー等の接合部材33に取り付けるのが好ましいが、本発明はこれに限られず、例えば、背面119に当該低反発素材を挿入できるポケットを設けてもよい。追加する低反発素材は、背面119の面積と略同じ面積とし、全体的なクッション性を選択的に付与できるようするとよい。
なお、凹部115の底面部116には、複数個の通気孔117が形成されている。これにより、凹部115内に頭部HDが密着しても、複数個の通気孔117が、頭部HDに対する通気を行うことができる。
【0039】
〔背中腰部パッド102について〕
次に、背中腰部パッド102について説明する。
図7は背中腰部パッドの好ましい形状例であり、図7(A)はその正面図、図7(B)は図7(A)のC−C断面図、図7(C)は図7(A)の腰部を保持した状態におけるD−D断面図である。
この背中腰部パッド102は、図3に示す頭部パッド101と臀部パッド103の間に配置され、乳児の背中と腰部を保持する部材である。
図7に示す背中腰部パッド102は、正面視が例えば長方形状の部材であり、長辺部分120,121と、短辺部分122,123を有し、左右対称となっている。短辺部分122,123の長さL4は、図3に示す背中・腰部保持部91の左右のサイドサポート部93の間にはまってずれない様な寸法に設定されている。
【0040】
図7(A)(B)に示すように、背中腰部パッド102は、上下方向の中央部からやや上側の位置までの領域102Bに、平均的体格を有する乳児の背中が配置される設定とされている。そして、この背中が配置される背中保持領域102Bに、複数個の通気孔126Hが形成され、背中に対する通気を行っている。
この背中保持領域102Bより下側の領域は、乳児の腰部WTが配置される腰保持領域102Cが想定され、また、背中保持領域102Bより上側の領域は、乳児の首の付け根付近が配置される首根元領域102Aが想定されている。
この際、乳児であっても個体差はあり、また、ある程度年齢が大きくても小柄な乳幼児がいるため、そのような個体差に対応できるように、背中腰部パッド102は長めに形成され、図7(A)の場合の長さL5は250〜350mm、好ましくは300mmとされ、それに応じて各領域102A,102B,102Cも少し長めに形成されている。
【0041】
このような背中腰部パッド102は、乳児の背中から腰部にかけての横方向の湾曲面に略沿うように、左右周縁部に前方に向かって膨出した膨出部127を有している。
すなわち、左右周縁部の膨出部127,127に挟まれた凹部126は、背中及び腰部の中心部(体の中心線部)が配置される部分となり、その凹部126と両脇の膨出部127,127を含めて、背中腰部パッド102全体として、乳幼児の背面形状に対応して形成されている。
具体的には、図7(B)に示す首根元領域102Aは僅かに湾曲しており、図7(C)に示す腰保持領域102Cは腰部の丸みに対応して、背面側に大きく凸となるように湾曲している。また、図示していないが、背中保持領域102Bも湾曲しており、その湾曲度合いは、首根元領域102Aの湾曲度合いと腰保持領域102Cの湾曲度合いとの略中間である。
このようにして、背中腰部パッド102は乳児の首の付け根から腰部を広い面で受け止めて、圧力を広い面積に分散させ、体が部分的に強く圧迫されることを防ぎ、乳児のデリケートな皮膚や体への負担を軽減している。特に、本実施形態の場合、上述のように、頭部パッド101と臀部パッド103で確実に位置決めして、乳児の動きを規制しているため、このように体圧を分散させることの意義は大きい。
【0042】
膨出部127については、頭部パッドと背中腰部パッドと臀部パッドを接続した場合における、シートの展開状態を示す側面図である図9に示すように、背中側(図9の上側)に比べて腰部側(図9の下側)の膨出度が大きく、換言すれば、首根元領域102A、背中保持領域102B、腰保持領域102Cの順に、凹部126に対する高さ(図9のD方向の寸法)が大きくなっていく。より具体的には、膨出部127は、背中側から腰部側に向かうに従って、徐々に膨出度合いが大きくなっている。
従って、未だ腰が据わりきっていない乳児について、背中から腰部の領域において姿勢を決めるための基準となる腰部の左右方向の動きをより有効に規制できる。
【0043】
そして、この膨出部127は、図7(A)に示すように、背中腰部パッド102の左右方向(横方向)の両端から中央に向かって切り欠かれた複数の切り欠き部130,131を有し、この複数の切り欠き部130,131は、背中腰部パッド102の高さ方向に沿って互いに所要の間隔NTを空けて配置されている。
本実施形態の場合、切り欠き部130,131は4カ所であり、その内、相対的に上側に配置された2つの切り欠き部130,130は背中保持領域102Bと首根元領域102Aとを分離するように横方向に沿って配置されている。従って、略平均的な体格を有する乳児については、図3に示す肩ベルト15Aを取り外さなくても、横からスライドさせるように切り欠き部130,130に肩ベルト15Aを容易に挿入した後、肩ベルト15Aと股ベルト15Cとを、バックル15Dを介して接続することができる。
【0044】
この切り欠き部130は、肩ベルト15Aが挿入することによって、背中腰部パッド102を固定する機能も有している。特に、切り欠き部130は、膨らむことによって凹部126に比べて剛性が高まった膨出部127に配設され、凹部126の底面まで延伸して形成されていない。これにより、肩ベルト15Aと背中腰部パッド102とをしっかりと係止させて、高さ方向(図3及び図7の上下方向)について、背中腰部パッド102を確実に固定することができる。
そして、上述したように、背中腰部パッド102は、図3に示す左右のサイドサポート部93の間にはまってずれない様な寸法に設定されているため、横方向(図3及び図7の左右方向)についても固定されている。
これにより、使用者は、背中腰部パッド102を図3に示す本体シート部材13に対して左右上下方向に位置ずれがないように簡単に着脱可能に取り付けることができる。
なお、背中腰部パッド102は、その背面に面ファスナー等の接合部材を設けて、図3に示す背中・腰部保持部91に接続させても構わない。
【0045】
下側の2つの切り欠き部131,131は、背中保持領域102Bと腰保持領域102Cとを区分けするためにあるのではなく、背の低い乳児に対応して図3に示す肩ベルト15Aを通すためにある。本実施形態の場合、切り欠き部131は、背中保持領域102Bを上下方向に二分するように配置されており、これにより、背の低い乳児は下側の切り欠き部131,131に図3に示す肩ベルト15Aを取り外すことなく挿入して、肩ベルト15Aと股ベルト15Cとを、バックル15Dを介して接続することができる。なお、下側の切り欠き部131,131は、上側の切り欠き部130,130と配置が異なるだけであり、上側の切り欠き部130,130と同様の構成を有し、このため、上述のように、背中腰部パッド102を固定する機能も有している。
【0046】
そして、このように複数の切り欠き部130,131を形成することにより、膨出部127は、上から順に上側膨出部127a、中間膨出部127b、下側膨出部127cに区分けられている。
この点、最上部に配置された切り欠き部130,130より上側に配置されている上側膨出部127aについては、例えば図7(C)の下側膨出部127cのような明らかな稜線が形成されず、図7(B)に示すように、膨出度があまり変化しない平坦部46が形成されている。
従って、下側の切り欠き部131,131に肩ベルトを通した場合において(以下、この段落に示す符号については、図6図7を参照)、背中腰部パッド102の上側に対して頭部パッド101を面ファスナー33で取り付け可能であるが、この際、上側膨出部127aの平坦部46に頭部パッド101の面ファスナー33を接続可能であり、しかも、上側膨出部127aは他の膨出部127b,127cに比べて膨出度合いが小さいことから、背中腰部パッド102に対して、頭部パッド101の浮きを防止しながら確実に固定できる。
なお、背中腰部パッド102の短手方向の長さ(つまり幅)L4は、少なくとも下側の切り欠き部131から上側は、いずれの上下方向の位置でも変えないようにしている。これにより、頭部パッド101を切り欠き部131から上側のどこに配置しても、図3のサイドサポート部93の間にはめることができる。
【0047】
図8は、乳児がシート100に座っている様子を示している。
図8に例示するように、臀部パッド103では、一方の側部サポート部分161と他方の側部サポート部分162と前側サポート部分163とからなる隆起部158により、臀部HPのF方向への前スベリ現象や左右方向の動きを規制して、臀部HPを安定的に保持できる。そして、姿勢の位置決めの基準となる臀部HPを固定した上で、パッド101の後頭部を置くことで押し広がる円形状の凹部115を設けることで、最も大きく動き易い頭部HDを安定的に保持できる。さらに、背中腰部パッド102でも、乳児の背面形状に対応した膨出部127(特に、膨出度合いが大きな膨出部を有する腰保持領域102C)により全体の姿勢を確実に安定させることができる。そして、各パッド101,102,103は、全体的に乳児の背面側全体と密着するような構成となっており、広い面で乳児を支え、動きを規制するだけでなく、乳児の皮膚に加わる圧力を分散させて、優れた座り心地を実現できるようになっている。
【0048】
図9は、上述した頭部パッド101と背中腰部パッド102と臀部パッド103を接続した場合における、シート100の展開状態を示す側面図である。
上述した頭部パッド101、背中腰部パッド102、及び臀部パッド103は、それぞれ別個に、図1に示す本体シート部材13に着脱可能に装着できるが、図9では、これら各パッド101,102,103同士を連結している。
すなわち、頭部パッド101と背中腰部パッド102とが、例えば第1接続部180により着脱可能に接続されている。また、背中腰部パッド102と臀部パッド103とが、例えば第2接続部190により着脱可能に接続されている。
これらの第1接続部180と第2接続部190は、例えば一方側にオス部材を設けて他方側にオス部材を着脱可能に取り付けるメス部材を有する面ファスナーであっても良いし、一方側に凸部分を設け、他方側にこの凸部分を着脱可能にはめ込むための凹部分を設ける構成であっても良い。
これにより、頭部パッド101と背中腰部パッド102と臀部パッド103は、必要に応じて単独あるいは2つ以上を組み合わせて販売し、あるいは使用することができる。
【0049】
本実施形態のベビーカー用シート100は以上のように構成されているが、本発明は、この実施形態に限定されず、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。また、上記実施形態の各構成は、その一部を省略したり、上記とは異なるように任意に組み合わたりすることができる。
例えば、図1に示すベビーカー1は一人乗りであるが、本発明はこれに限られず、二人以上を同時に乗せられる乳母車であってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1・・・ベビーカー、13・・・本体シート部材、100・・・ベビーカー用シート、101・・・頭部パッド、102・・・背中腰部パッド、103・・・臀部パッド、115・・・凹部、127・・・膨出部、155・・・着座領域、158・・・隆起部、170・・・股ベルト孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9