(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
SiCOH膜は加工耐性が低い。このため、通常、SiCOH膜の上に、SiCOH膜よりも加工耐性が高い膜を形成することを検討している。このような膜としては、一般的にはプラズマCVD法によるSiO
2が用いられる。しかし、プラズマCVD法によるSiO
2を形成するときには、モノシランまたはN
20ガス、シロキサン含有ソースおよび酸素ガスが用いられる。これらの酸素含有ガスのプラズマに起因してSiCOH膜の表層からCが抜けてしまい、比誘電率が高いダメージ層が形成されてしまう。
【0005】
また、特許文献1には、ハードマスクの材料としてSiCOHまたはSiCHを用いることが開示されている。しかし、これらのハードマスクは、最終的には層間絶縁膜の一部となる。このため、特許文献1に記載のハードマスクは低誘電率の膜であり、フォトレジストを剥離するときのプラズマに対して耐性がない。このため、ハードマスクとしてのSiCOH膜またはSiCH膜にダメージ層が形成されてしまう。
【0006】
上述したダメージ層の深さはバラツキが大きいため、配線間容量にバラツキが発生してしまう。またダメージ層が厚いと、配線間耐圧劣化などの信頼性低下の問題を発生させてしまう。このため、本発明者は、ダメージ層を発生させない半導体装置の製造方法を検討した。
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施の形態によれば、SiCOH膜上には、酸素を含まない雰囲気で、Siを含んでいてOを含んでいない第1膜が形成される。そして、第1膜の上にハードマスクが形成される。そして、このハードマスクをマスクとしてエッチングが行われることにより、第1膜及びSiCOH膜に凹部又は貫通孔が形成される。そしてこの凹部又は貫通孔内に、導電膜が埋め込まれる。その後、第1膜は除去される。第1膜は、レジストパターンを剥離するときのプラズマに対して耐性を有している。また、第1の膜が絶縁膜の場合には、構造的に第1の膜を一部残してもよい。
【発明の効果】
【0008】
前記一実施の形態によれば、SiCOH膜の表層にダメージ層が形成されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図6】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図7】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図8】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図9】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図10】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図11】第1の実施形態にかかわる半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図12】第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図13】第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図14】第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図15】第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図16】第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【
図17】第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る製造方法及びこの方法によって形成される半導体装置について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0011】
(第1の製造方法)
図1〜
図12は、第1の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。この半導体装置SCの製造方法は、以下の工程を有している。まず、
図1のように基板SUBに形成された層間絶縁膜上に層間絶縁膜INSL3を形成する。層間絶縁膜INSL3は、SiCOH膜である。次いで、
図2のように層間絶縁膜INSL3上に、第1膜CVLを形成する。第1膜CVLは、酸素を含まない雰囲気で形成され、Siを含んでいてOを含んでいない。また第1膜CVLは、後述するレジストパターンRSTの剥離に用いられるプラズマに対して耐性がある膜である。次いで、
図3のように、第1膜CVL上に、ハードマスクとなる第2膜HDLを形成する。次いで、
図3,4のように、第2膜HDL上の反射防止膜ARCおよびレジストパターンRSTにトレンチパターンを形成し、レジストパターンRSTをマスクとして反射防止膜ARC及び第2膜HDLをエッチングすることにより、ハードマスク膜HDMを形成する。次いで
図5のように、レジストパターンRSTおよび反射防止膜ARCを除去する。次いで、
図6のように、第2の反射防止膜ARC2および第2のレジストパターンRST2を用いてビアパターンを形成する。次に
図7のようにハードマスク膜HDMで下層をまもりながら、第2のレジストパターンRST2をマスクとして第1膜CVL及び層間絶縁膜INSL3をエッチングする。次に
図8のように反射防止膜ARC2および第2のレジストパターンRST2を除去する。次に
図9のようにトレンチパターンに加工されたハードマスクHDMをマスクに、トレンチを加工するとともに層間絶縁膜INSL3のビアの部分およびその下層のエッチングストッパー膜ETS1を加工する。これにより、第1膜CVL及び層間絶縁膜INSL3に凹部DEPが形成される。凹部DEPは、部分的に貫通孔となっている。次いで、
図10のように、凹部DEP内及びハードマスク膜HDM上に、導電膜MTLを形成する。次いで、
図11のように、ハードマスク膜HDM上に位置する導電膜MTL及びハードマスク膜HDMおよび第1膜CVLをCMPなどで除去し、
図12のような半導体装置SCが形成される。以下、詳細にそれぞれの部分について説明する。
【0012】
まず、
図1に示すように基板SUBを準備する。基板SUBは、例えばシリコン基板などの半導体基板である。ただし、基板SUBはSOI基板であってもよい。次いで、基板SUBに素子分離膜STIを形成する。次いで、基板SUBにトランジスタTRを形成する。
【0013】
詳細には、まず、基板SUBにゲート絶縁膜GINS及びゲート電極GEを形成する。次いで、ゲート電極GE及び素子分離膜STIをマスクとして基板SUBに不純物を注入する。これにより、基板SUBにはエクステンション領域LDDが形成される。次いで、基板SUB上及びゲート電極GE上に、サイドウォールSWとなる絶縁膜を形成し、この絶縁膜をエッチバックする。これにより、サイドウォールSWが形成される。次いで、サイドウォールSW、ゲート電極GE、及び素子分離膜STIをマスクとして基板SUBに不純物を注入する。これにより、不純物層SDが形成される。不純物層SDは、トランジスタTRのソース及びドレインである。
【0014】
次いで、素子分離膜STI及びトランジスタTR上に、配線層を必要な層数形成する。配線層は、層間絶縁膜INSL及び配線INCを有している。本図に示す例では、最下層の配線層は層間絶縁膜INSL1を有している。そして、層間絶縁膜INSL2には、配線INC1及びバリアメタル膜BMLが、ダマシン法により形成されている。詳細には、層間絶縁膜INSL2には配線溝が形成されている。この配線溝の底面及び側面は、バリアメタル膜BMLで覆われている。そして配線溝のうちバリアメタル膜BMLの上に位置する空間には、配線INC1が埋め込まれている。配線INC1は、例えば銅配線である。
【0015】
次いで、層間絶縁膜INSL2上に、エッチングストッパ膜ETS1を形成する。エッチングストッパ膜ETS1は、例えばSiCN膜である。
【0016】
次いでエッチングストッパ膜ETS1上に、層間絶縁膜INSL3を形成する。層間絶縁膜INSL3は多孔質のSiCOH膜であり、例えばプラズマCVD法を用いて形成される。層間絶縁膜INSL3の比誘電率は、例えば2.7以下、好ましくは2.5以下である。また層間絶縁膜INSL3の炭素濃度は、例えば10at%以上である。
【0017】
次いで
図2に示すように、層間絶縁膜INSL3上に第1膜CVLを形成する。第1膜CVLは、上記したように、Siを含んでいてOを含んでおらず、酸素を含まない雰囲気で形成される。また、後述するレジストパターンを除去するためのプラズマに対して耐性のある膜で形成される。このため、第1膜CVLを形成するときに層間絶縁膜INSL3の表層から炭素が引き抜かれることは抑制される。その結果、層間絶縁膜INSL3の表層にダメージ層が形成されることを抑制できる。第1の膜がプラズマ耐性を有しているため、第1の膜が薄い場合でもその下層のダメージは入りにくい。また第1の膜が絶縁膜の場合は、第1膜を一部残しても層間絶縁膜の一部としても、層間絶縁膜にダメージ層がほとんどない構造が得られる。第1膜CVLを構成する材料は、例えばSiN、SiC、又はアモルファスシリコンである。第1膜CVLの膜厚は、例えば10nm以上150nm以下である。
【0018】
第1膜CVLがSiN膜である場合、第1膜CVLは、例えばシラン系のガス(例えばSiH
4)及びアンモニアガスを原料ガスとするプラズマCVD法により形成される。この原料ガスには、N
2やArなどが添加されても良いが、酸素ガスは添加されない。
【0019】
また第1膜CVLがSiCおよびSiCNである場合、第1膜CVLは、例えばシラン系のガス及びメタンなどの炭化水素ガスを原料ガスや、Si―C結合を含んだ材料、例えばテトラメチルシラン又はトリメチルシランを原料としたプラズマCVD法により形成される。この原料ガスには、Arなどの不活性ガスが添加されても良いが、酸素ガスは添加されない。また、第1膜CVLがSiCNの場合は、原料ガスにアンモニア又は窒素ガスなどが添加される。
【0020】
また第1膜CVLがアモルファスシリコンである場合、第1膜CVLは、例えばシラン系のガスを原料ガスとしたプラズマCVD法を用いて形成される。この原料ガスには、Arなどの不活性ガスが添加されても良いが、酸素ガスは添加されない。
【0021】
次いで
図3に示すように、第1膜CVL上に第2膜HDLを形成する。第2膜HDLはハードマスク膜HDM(後述)となる膜であり、例えばTiN膜である。第2膜HDLがTiN膜である場合、第2膜HDLは、例えば反応性スパッタリング法により形成される。
【0022】
次いで
図4に示すように、第2膜HDLの上に、反射防止膜ARC及びレジスト膜を回転塗布法により形成する。次いで、トレンチパターンを形成するためのレジスト膜を露光及び現像する。これにより、レジストパターンRSTが形成される。次いでレジストパターンRSTをマスクとして反射防止膜ARC及び第2膜HDLをエッチングする。これにより、ハードマスク膜HDMが形成される。
【0023】
次いで、
図5に示すように、トレンチを形成するためのレジストパターンRST及び反射防止膜ARCを、酸素含有プラズマを用いたアッシングおよび剥離液を用いて除去する。
【0024】
次に、
図6に示すように、第2の反射防止膜ARC2を形成し、次にビアを形成するための第2のレジストパターンRST2を形成する。反射防止膜ARC2は、ハードマスク膜HDM上及びハードマスク膜HDMの開口内に形成される。
【0025】
次に
図7に示すように、レジストパターンRST2をマスクにして、第2の反射防止膜ARC2をドライエッチング加工し、続いてハードマスク膜HDMで下層を守りながら、第1膜CVL及び層間絶縁膜INSL3の途中までドライエッチング加工する。
【0026】
次いで、
図8に示すように、第2のレジストパターンRST2および第2の反射防止膜ARC2を、酸素含有プラズマを用いたアッシングおよび剥離液を用いて除去する。
【0027】
次いで、
図9のようにトレンチパターンのハードマスク膜HDMをマスクとして第1膜CVL及び層間絶縁膜INSL3の残りのビアパターンおよびその下層のエッチングストッパー膜ETS1を掘り下げられエッチングする。
【0028】
次いで、
図10に示すように、凹部DEPの底面及び側壁、並びにハードマスク膜HDM上に、バリアメタル膜BMLを形成する。バリアメタル膜BMLは、例えばTa及びTaNをこの順に積層した膜、Ti及びTiNをこの順に積層した膜、Ta膜、又はTi膜である。バリアメタル膜BML、シード膜のCu膜、及びめっきCu膜がこの順に埋設形成される。バリアメタル膜BMLおよびシード膜はスパッタ法により形成される。
【0029】
次いで
図11に示すように、ハードマスク膜HDM上に位置するバリアメタル膜BML及び導電膜MTL、及びハードマスク膜HDMをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて除去する。
【0030】
そして
図12に示すように、第1膜CVL、並びに第1膜CVLと同じ高さに位置する導電膜MTL及びバリアメタル膜BMLを、CMP法を用いて除去する。これにより、層間絶縁膜INSLには、配線INC2及びビアVAが形成される。
【0031】
その後、必要に応じてエッチングストッパ膜ETS1の形成工程から
図12に示した工程を繰り返し、必要な層数の配線層を形成する。
【0032】
以上、本実施形態によれば、第1膜CVLとして、酸素を含まない雰囲気で形成される膜を用いている。また第1膜CVLは、プラズマ剥離耐性のある材料で形成されている。このため、層間絶縁膜INSL3の表層にダメージ層が形成されることを抑制できる。従って、配線間容量が上昇することを抑制できる。また、配線INC2からのリーク電流が増えたり、配線INC2のTDDB耐性が低下することも抑制できる。
【0033】
(第2の実施形態)
図13〜
図17は、第2の実施形態に係る半導体装置SCの製造方法を示す断面図である。
図13に示すように、本実施形態において、導電膜MTLを形成するまでの処理は、以下の点を除いて第1の実施形態と同様である。
【0034】
まず、第1膜CVLは、SiN膜であるのが好ましい。そして第1膜CVLが形成されるときの基板SUBの加熱温度は、300℃以下に制御される。このようにすると、第1膜CVL内に多くの水素原子が取り込まれ、後述するプロセスにおいて好都合になる。なお、基板SUBは、室温以上に加熱されるのが好ましい。ここで基板SUBの温度は、例えば基板SUBを載置しているステージの温度で代用される。
【0035】
そして、配線INC1上及びバリアメタル膜BML上には、メタルキャップ膜MTC1が形成されている。メタルキャップ膜MTC1の形成方法は、後述するメタルキャップ膜MTC2の形成方法と同様である。
【0036】
具体的には、導電膜MTLを形成した後、
図14に示すように、ハードマスク膜HDM上に位置するバリアメタル膜BML及び導電膜MTL、及びハードマスク膜HDMをCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて除去する。次いで、第1膜CVL及び第1膜CVLと同じ高さに位置する導電膜MTL及びバリアメタル膜BMLを、CMP法を用いて除去する。これにより、バリアメタル膜BML及び配線INC2が形成される。このとき、第1膜CVLの一部を残す。
【0037】
次いで
図15に示すように、バリアメタル膜BML上及び配線INC2上に、メタルキャップ膜MTC2を、選択成長法を用いて形成する。メタルキャップ膜MTC2は、例えばCoWPであり、例えば無電解めっき法を用いて形成される。このとき、第1膜CVLの上には、選択不良の金属膜MTが部分的に形成される。
【0038】
次いで
図16に示すように、第1膜CVLを除去する。これにより、選択不良の金属膜MTが除去される。なお、この工程は、ウェットエッチングにより行われるのが好ましい。このようにすると、層間絶縁膜INSL3等にダメージが加わることを抑制できる。
【0039】
また、第1膜CVLがSiN膜であり、第1膜CVL中に多くのHがとりこまれていると、ウェットエッチング時における層間絶縁膜INSL3と第1膜CVLのエッチング選択比を大きくすることができる。このエッチング選択比は、第1膜CVLの成膜温度を低くするほど大きくなる。例えば、ウェットエッチング液として希フッ酸溶液(DHF)を用いた場合、第1膜CVLの成膜温度を300℃にするとエッチング選択比は15倍以上になり、第1膜CVLの成膜温度を200℃にするとエッチング選択比は40倍以上になる。
【0040】
なおこの工程において、配線INC2の上端は、層間絶縁膜INSL3の上面よりも上に位置する。
【0041】
その後、
図17に示すように、必要に応じてエッチングストッパ膜ETS1の形成工程から
図16に示した工程を繰り返し、必要な層数の配線層を形成する。
【0042】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、メタルキャップ膜MTC2を形成するときに生成する金属膜MTを容易に除去することができる。また、第1膜CVLがSiN膜であり、第1膜CVL中に多くのHがとりこまれているようにすると、第1膜CVLを除去するときのエッチング選択比を大きくすることができる。
【0043】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。