(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記主分配手段(132a、132b、133a、133b、134a、134b)は、前記主出口セクション(112a、112b、113a、113b、114a、114b)の開放および/または遮断を制御するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
前記車室に向かって空調空気を循環させる前記主出口セクションは、中央出口セクション(113a、113b)であり、前記追加的出口導管(210)は、前記中央出口セクション(113a、113b)に接続されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
前記暖房、換気、および/または空調システム(10)は、制御本来の手段を備え、前記制御本来の手段は、前記主分配手段(132a、132b、133a、133b、134a、134b)を、所定の分配パタンの位置に置き、前記追加的分配手段(212a、212b、213a、213b)を、前記車室の外部に前記空調空気流を分配する開放の位置に置くようになっていることを特徴とする、請求項3に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
前記暖房、換気、および/または空調ハウジング(100)は、少なくとも1つの足領域出口セクション(114a、114b)を備え、前記所定の分配パタンは、前記主分配手段が、前記足領域出口セクション(114a、114b)を遮断し、前記中央出口セクション(113a、113b)を開放するようになっていることを特徴とする、請求項4に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
前記暖房、換気、および/または空調ハウジング(100)は、少なくとも1つの側面出口セクション(112a、112b)を備え、前記所定の分配パタンは、前記主分配手段(132a、132b、133a、133b、134a、134b)が、前記側面出口セクション(112a、112b)を開放し、前記追加的分配手段(212a、212b)が、前記側面出口セクション(112a、112b)を遮断するようになっていることを特徴とする、請求項5に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
前記暖房、換気、および/または空調システム(10)は、制御手段を含み、前記制御手段は、前記主分配手段(132a、132b、133a、133b、134a、134b)と前記追加的分配手段(212a、212b、213a、213b)とを、同時にまたは順次に、前記車室の前記内部には前記空調空気流の前記分配を遮断し、前記車室の外部には前記空調空気流の前記分配を開放する、およびその逆の操作を行うように制御するようになっていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の暖房、換気、および/または空調システム(10)。
【背景技術】
【0002】
本発明は、電気自動車の中に配置されている電池の温度に関する制御の分野において、特に有利に適用しうるものである。
【0003】
電気自動車においては、車両の推進力を確保するためのエネルギー源は、1つまたは複数の電池によって確保される。要求される電流の強度を考慮して、これらの1つまたは複数の電池は、制御しなければならない、重要なエネルギーの発生源である。
【0004】
特に、電池の温度は、最大値を超えてはならず、もし最大値を超えると、性能が劣化する可能性があり、また、破壊してしまうこともある。一方、それぞれのタイプの電池に対して、最適に動作するための、1つの温度範囲が存在し、電池の温度は、その温度範囲に維持するのが望ましい。事実、温度が低すぎると、取り出される電流は、不十分である可能性があり、一方、温度が高すぎると、電池は放電をして消耗してしまう可能性がある。
【0005】
従って、電気自動車の中には、電池の温度制御を可能にする手段を設けることが必要であり、特に、電池の温度を最適動作の範囲内に維持することができる手段を設けることが必要である。
【0006】
現在の公知の手段には、冷却用流体の循環による温度制御システムがある。例えば、ベンチレータによって生成した空気流の循環、水(特に、熱機関の冷却に使用するタイプの水)の循環、または冷却流体(特に、空調システムの中で使用されるタイプの冷却流体、例えば、R134A、フレオン等として知られている冷却流体)の循環を念頭に置くことが可能である。
【0007】
温度制御システムは、電池管理ユニットによって制御される。電池管理ユニットは、電池の温度を制御する必要が生じた度毎に、すなわち冷却、または加熱する必要が生じた度毎に、温度制御システムの作動装置に制御信号を送り、電池温度を最適動作の範囲内に戻す。
【0008】
公知の温度制御システムは、独立システムであって、電池の温度制御という単一の機能に対する専用のシステムである。これらのシステムは、車両の中に存在する、他のいずれの熱的回路(特に、空調回路)からも独立している。
【0009】
そのため、温度制御の機能を実現するためには、電池に専用の温度制御システムを搭載することができる十分な空間を確保する必要がある。これにより、電池を格納する空間の中に追加的空間が必要になる。特に、電池がボンネットの下に格納されている場合には、温度制御システムそのものに対して特化した構成要素を開発しなければならず、そのために追加の費用が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、サイズおよびコストがそれほど増加することなく、電池を使用して熱交換制御を確実に行える暖房、換気、および/または空調システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、本発明による自動車の暖房、換気、および/または空調システムによって達成される。このシステムは、暖房、換気、および/または空調のためのハウジングを備え、空調空気流の熱処理を行って、車室の内部を所望の温度に保持することができる。暖房、換気、および/または空調のためのハウジングは、車両の車室の内部に空調空気の分配を行う主手段を備え、分配パタンの上限数を規定する。さらに詳細には、暖房、換気、および/または空調システムは、追加的モジュールを備え、この追加的モジュールは、車室の外部に空調空気流を分配するための追加的手段を備えている。
【0012】
従って、本発明は、暖房、換気、および/または空調システムに、車室の空調のみに専用の現在存在する出口に加えて、空調空気流の、少なくとも1つの追加的出口を提供するものであり、この追加的出口は、空調空気流と車室の外部に置かれている車両用構成要素(特に、電気自動車の電池)との間の熱交換を確実に行うことができるようになっている。
【0013】
上記した応用例では、電池の温度制御システムは、大幅に単純化される。その理由は、特定の冷却流体を使用するための特別な手段を必要としないからである。実際に、電池の温度を制御するために、本発明において使用される流体は、車室の快適さを維持するために生成される空調空気流だけでよい。従って、本発明による暖房、換気、および/または空調システムにおける分配のための追加的手段の出口を、電池に向けて導くだけで十分である。
【0014】
この単純化によって、温度制御システムのサイズが限定され、より低いコストを実現することができる。
【0015】
本発明の1つの実施形態においては、暖房、換気、および/または空調システムは、分配のための主手段を制御する制御手段と、追加的手段とを備え、この追加的手段は、車室の内部への空調空気流の分配を遮断し、車室の外部への空調空気流の分配を開放するか、またその逆を、同時にまたは順次に行う。
【0016】
本発明による暖房、換気、および/または空調システムによって、この様式で動作させることにより、空調空気流を分配する、完全に独立な2つのモードを得ることができる。これらのモードは、車室の内部に空調空気流を分配するモードと、車室の外部に(例えば、車両の電池に)空調空気流を分配するモードとである。
【0017】
特に、車室の外部への空調空気流の分配が遮断されたときには、車室の内部への空調空気流の分配は、全ての車両に関して、分配のための主手段を介して、通常の様式で実行することができる。これは、電気推進による車両でも、熱機関推進による車両でも同様である。分配のための追加的手段の存在に関連して変更を加える必要はない。
【0018】
1つの特に有利な実施形態を考えることができる。この実施形態では、本発明による暖房、換気、および/または空調システムは、主ハウジングと追加的モジュールとから構成される。主ハウジングは、車室の内部に空調空気流を分配する主手段を備え、追加的モジュールは、主ハウジングに付属していて、車室の外部に空調空気流を分配する追加的手段を備えている。
【0019】
この状況では、本発明の目的による、暖房、換気、および/または空調システムは、2つの異なる要素のモジュラアセンブリーである。すなわち、一方の要素は、車室の内部に空調空気流を分配する、専用の空調空気熱処理ハウジングとみなすことができる主ハウジングであり、これは、空調車両の中に常置して搭載されているものである。また一方の要素は、追加的モジュールであり、これは、電気自動車の場合にオプションとして、主ハウジングの中に一体化して、電池温度の制御をすることができるものである。従って、主ハウジングは、熱機関推進による車両だけに対して使用することができる基本的な要素であるとともに、電気によって駆動される車両に対しては、追加的モジュールを配備することができる。
【0020】
従って、本発明における暖房、換気、および/または空調システムにおいては、主ハウジングに関して、その構造、またはその機能に対して、実質的な変更を加えることなく、追加的モジュールを搭載することができる。特に、追加的モジュールが、電池の温度を制御するために使用されるのでない場合には、主ハウジングは、追加的モジュールがない場合と同じ動作をする。逆に、電池の温度を制御する必要があるとわかったときには、 暖房、換気、および/または空調システムの主ハウジングによって生成された空調空気流の全部または一部分が、追加的モジュールを介して電池に向かって導かれる。
【0021】
ある特定の実施形態においては、追加的モジュールは、車両の車室の外部に空調空気を出力するための、少なくとも1つの追加的導管を備えている。
【0022】
前記暖房、換気、および/または空調ハウジングは、空調空気を車室に向かって送るための、少なくとも1つの主出口セクションを備えている。この構成では、出口の追加的導管は、空調空気を車室に向かって送るための主出口セクションと接続されている。
【0023】
従って、分配のための追加的手段は、主出口セクションを通して出る空調空気流を、追加的導管に、および/または車室の中に向かって開いている少なくとも1つの拡散器に導くようになっている。
【0024】
さらに、分配のための主手段は、主出口セクションの開放、および/または遮断を制御するようになっている。さらに詳細には、好適な実施形態においては、車室に向かっている空調空気の主出口セクションは、中央出口セクションである。この特定の構成では、出口の追加的導管は、中央出口セクションと接続されている。
【0025】
従って、本発明は、暖房、換気、および/または空調システムが、ある所定の分配パタンにおいて、分配のための主手段の動作を制御する本来の制御手段と、空調空気流を車室の外部に分配することができる、分配のための追加的手段とを有していると有利である。
【0026】
本発明の暖房、換気、および/または空調ハウジングはまた、少なくとも1つの足領域出口セクションを備えていることが望ましい。これにより、ある所定の分配パタンでは、分配のための主手段は、足領域出口セクションを遮断して、中央出口セクションを開放することができる。
【0027】
更に、本発明の暖房、換気、および/または空調ハウジングは、少なくとも1つの側面出口セクションを備えている。ある所定の分配パタンでは、分配のための主手段は、側面出口セクションを開放するようになっており、また、分配のための追加的手段は、側面出口セクションを遮断するようになっている。
【0028】
本発明は、特に、電気自動車の電池の冷却に対して有利に適用しうるものである。
【0029】
以下の詳細な記述を読むことにより、本発明を、よりよく理解し、かつ上記した以外の特徴、および利点も明らになると思う。ここで説明する実施形態の例は、限定的でなく、また、添付した図面を参照して例示目的として挙げるものであって、これらは、本発明とその実施形態の開示の完全な理解を助け、また適切な場合には、本発明の範囲を定めるものである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の暖房、換気、および/または空調システム10を示す。この暖房、換気、および/または空調システム10は、暖房、換気、および/または空調ハウジング100を備えている。暖房、換気、および/または空調システム10は、熱機関推進による車両の車室の暖房、換気、および/または空調のための装備を搭載しているタイプのものである。以下の説明では、暖房、換気、および/または空調ハウジング100を、主ハウジング100と呼ぶ。
【0032】
主ハウジング100は、車室の内部を所望の温度に保持するための空調空気流を熱処理できる公知の構成要素を含んでいる。特に、主ハウジング100は、空気ブロア101、蒸発器102、少なくとも1つのラジエータ104を備えている。更に、主ハウジング100は、空気混合室103を有し、この空気混合室103によって、高温空気流Cと低温空気流Fとを混合し、所望の温度の空気流を得て、それを車室内部に分配することができる。主ハウジング100はまた、フィルタ(図示せず)、および追加的暖房ラジエータ104’等の、さらなる構成要素を含むことがある。
【0033】
これらの構成要素は、
図4の中に見ることができ、
図4は、空気ブロア101を示している。空気ブロア101は、空気流を生成し、車両の外部、および/または車室の内部から、蒸発器102の方向に循環させ、蒸発器102を通して空気流を冷却し、除湿して低温空気流Fを生成する。低温空気流Fの一部は、直接に空気混合室103に導かれるが、低温空気流Fの別の部分は、ラジエータ104等の暖房構成要素に導かれ、高温空気流Cが生成される。高温空気流Cは、空気混合室103の中で低温空気流Fと再び出会って混合される。
【0034】
空気混合室103内において混合された空気流の温度は、それぞれ、蒸発器102およびラジエータ104から空気混合室103の中に入る、低温空気流Fと高温空気流Cとの間の比によって決まる。ユーザが、空調空気流の温度を所望の値に調整できるようにするために、主ハウジング100の中に、「ドラム」タイプの実施形態では、少なくとも1つの混合フラップ105が設けられる。混合フラップ105は、回転して、空気混合室103の中の高温空気流Cの比を、0%から100%へ、また逆に、空気混合室103の中の低温空気流Fの比を、100%から0%へ変化させる。
図4に示す例では、混合フラップ105は、「全冷却」と呼ばれる位置にあり、この状態では、混合室105には、100%の低温空気流F、また0%の高温空気流Cが供給される。本発明の範囲の中では、混合フラップ105は、「ドラム」タイプのフラップに限定されるものではなく、他の形を取ることもできる。
【0035】
主ハウジング100は、熱処理そのものを行う構成要素ばかりでなく、空調空気を分配する主手段を備えている。この手段は、空気混合室103から出力される空調空気を、所望の温度の空気流として、車両の乗客の要求に応じて、種々のエリアの車室の中に分配するものである。
【0036】
図1に示す好適な実施形態では、主ハウジング100は、拡散器を含み、この拡散器を通して、空調空気流が、主ハウジング100から出て、車室の中に入って行く。この実施形態は、特に、次に示す要素を備えている。
−車両のフロントガラスに向けられた霜取り拡散器121。
−車室の拡散器で、これは、側面拡散器122aおよび122b、中央拡散器123aおよび123bを含み、それぞれ、車室の側面ゾーンおよび中央の方向に向けられている。
−足領域拡散器124aおよび124bで、これらは、車両の車室の低い方向に向けられている。
【0037】
側面拡散器122aおよび122b、中央拡散器123aおよび123b、および足領域拡散器124aおよび124bは、主ハウジング100の中央面に関して対称に配置されていることが有利である。さらに、霜取り拡散器121は、主ハウジング100の上の中央位置に配置され、および/または、主ハウジング100の中央面に関して対称に配置されていることも望ましい。
【0038】
本明細書に示す実施形態においては、主ハウジング100は、2つの側面拡散器122aおよび122b、2つの中央拡散器123aおよび123b、および2つの足領域拡散器124aおよび124bを含んでいる。しかしながら、本発明はまた、異なる数の側面拡散器、中央拡散器、および足領域拡散器を含む構成も包含している。
【0039】
空気混合室103の下流方向への、異なる拡散器に対する空調空気流の分配は、これらの種々の拡散器に接続されている主出口セクションを通して行われる。
【0040】
図4は、
図3に示す暖房、換気、および/または空調システムの中央断面図を示す。
図4は、側面拡散器122bと接続されている側面出口セクション112bと、中央拡散器123bと接続されている中央出口セクション113bと、足領域拡散器124bと接続されている足領域出口セクション114bとを示している。
【0041】
更に、本発明においては、主ハウジング100は、中央面に関して対称に配置されている。その結果、主要ハウジング100はまた、側面拡散器122aと接続されている側面出口セクション112aと、中央拡散器123aと接続されている中央出口セクション113aと、足領域拡散器124aと接続されている足領域出口セクション114aとを含んでいる。これらは
図4には示されていない。
【0042】
主ハウジング100はまた、霜取り拡散器121と接続されている霜取り主出口セクションも含んでいる。これは
図4には示されていない。
【0043】
側面出口セクション112aおよび112b、中央出口セクション113aおよび1113b、および、足領域出口セクション114aおよび114bを通しての空調空気流の通路は、主閉塞手段によって制御される。非限定的な例として、主閉塞手段は、「蝶型」タイプのフラップで構成されることが望ましい。
【0044】
図4は、空調空気の分配を行う主手段を示す。この主手段は、主閉塞フラップ132b、133b、および134bより構成されている。これらの3つのフラップによって、空調空気流の循環を、それぞれ、側面拡散器122b、中央拡散器123b、および足領域拡散器124bに対して、開放または遮断することができる。
【0045】
同様に、対称配置によって、主ハウジング100は、空調空気を分配する主手段を含み、この主手段は、主閉塞フラップ132a、133a、および134aより構成されている。これらの3つのフラップによって、空調空気流の循環を、それぞれ、側面拡散器122a、中央拡散器123a、および足領域拡散器124aに対して、開放または遮断することができる。これらは
図4には示されていない。
【0046】
主閉塞フラップ132a、133a、および134aの開放または遮断の位置は、主閉塞フラップ132a、133a、および134aに関わる運動学的関係によって決定され、それにより、分配の構成タイプの上限数が規定される。ユーザは、その数の中から好ましいタイプを選択し、車室の内部における希望する快適さを維持することができる。
【0047】
次に、
図4に示す主要閉塞フラップに関してのみ述べることとする。すなわち、これらは、132b、133b、134bである。主閉塞フラップ132a、133a、および134aは、開放および遮断の場合に、異なる位置を占有できることは明らかである。従って、側面出口セクション112aおよび112b、中央出口セクション113aおよび113b、および足領域出口セクション114aおよび114bは、それぞれ、主閉塞フラップの対、132a−132b、133a−133b、および134a−134bによって制御される。
【0048】
暖房、換気、および/または空調システム10として考えられる種々の構成に依存して、主フラップの対の中の各フラップは、同一の主フラップの対の別のフラップとは、無関係に、または協調して移動させることができる。特に、主フラップの配置および数は、所望するタイプの暖房、換気、および/または空調システム10によって決定することができ、それらは、「単一ゾーン」、「2ゾーン」、または「多数ゾーン」のタイプであってよい。
【0049】
図4は、「車室換気」と呼ばれる主閉塞フラップの構成例を示す。この構成では、主閉塞フラップ132bおよび133bは、それぞれ、側面拡散器122b、および中央拡散器123bを制御し、開放の位置にある。これにより、側面出口セクション112b、中央出口セクション113b、対応した拡散器、および霜取り拡散器121によって、空調空気流は車室に向かって出口され、主閉塞フラップ134bは、足領域拡散器124bと接続されている足領域出口セクション114bを遮断の位置にするように制御し、従って足領域拡散器124bには空調空気は供給されない。
【0050】
車室の外部にある車両の構成要素(電気自動車を推進させるための電池等)の冷却または加熱が必要になった場合には、本発明による暖房、換気、および/または空調システム10は、主ハウジング100の中に、車室の外部に空調空気流を分配するための追加的手段を有する追加的モジュール200を設備することができる。
【0051】
図2は、本発明による暖房、換気、および/または空調システム10の追加的モジュール200の斜視図である。従って、
図3は、
図1に示す主ハウジング100から構成されている暖房、換気、および/または空調システム10を示す。この主ハウジング100の上に、
図2に示す追加的モジュール200が取り付けられている。
【0052】
図4で更に詳細に示すように、追加的モジュール200は、車室の外部に空調空気流を送る出口の追加的導管210を含んでいる。出口の追加的導管210は、中央拡散器123bに接続されている中央出口セクション113bに接続されている。このように構成することにより、出口の追加的導管210には、中央出口セクション113bを通して、混合室103から空調空気流が供給される。代替の実施形態によれば、出口の追加的導管210は、主ハウジング100の別の出口セクションに接続することもできる。
【0053】
混合室103から出される空調空気流の、出口の追加的導管210に至る通路を作るために、中央出口セクション113bの開閉を制御する主閉塞フラップ133bは、開放の位置にある。
【0054】
更に、空調空気流は、中央拡散器123bによって車室内部に拡散されてはならない。従って、追加的中央閉塞手段213bを設ける必要がある。
図4の実施形態においては、追加的中央閉塞手段213bは、「ドラム」タイプのフラップとして実現されている。追加的中央閉塞手段213bは、2つの極端な位置を取ることができる。
−追加的導管210を遮断して、主ハウジング100を通常通りに動作させる位置。
−
図4に示すように、中央拡散器123bを遮断して、追加的モジュール200を動作させて電池の温度を調節する位置。
【0055】
追加的方法として、追加的中央閉塞手段213bは、追加的導管210を遮断する位置と中央拡散器123bを遮断する位置との間の中間位置を取ることができる。
【0056】
対称性によって、追加的中央閉塞手段213a(特に、
図4に示したタイプと同じ「ドラム」タイプのフラップ)は、中央拡散器123aの入口に配置されている(
図2および
図3に示したように)。
【0057】
主閉塞フラップの開閉の位置は、1つの運動学的法則から決定され、これにより、分配に対する構成パタンの上限数を決定することができる。主閉塞フラップの可能な配置を考慮すれば、主要閉塞フラップ133aおよび133bを、足領域拡散器124aおよび124bとともに開放位置にすることが必要になる。さらに、別の主フラップを開放の位置にして、空調空気流の循環のための主閉塞フラップ132bを、側面出口セクション112bを通して、側面拡散器122bの方に向けることも必要になる。この状況は、分配パタンの数が限定されている結果である。ここに示した例では、主閉塞フラップ133aおよび133bを中央拡散器123aおよび123bに向かって開放することは、「車室換気」と呼ばれる構成パタンの中だけで行うことができる。「車室換気」の場合には、主閉塞フラップ132aおよび132bは、側面拡散器122aおよび122bに向かって開放されている。
【0058】
側面拡散器122aおよび122bからの空気の漏れを防ぐために、側面拡散器122bに向かって、空調空気流の循環のための追加的側面閉塞手段212bが設けられている。この追加的側面閉塞手段212bは、主閉塞フラップ132bが開放の位置にあるときに、遮断の位置に置くことができる。
図2は、追加的モジュール200とともに、このような追加的側面閉塞手段212bを示している。また、追加的側面閉塞手段212aも対称形に設置されている。
【0059】
追加的モジュール200の主ハウジング100への一体化は、例えば、主ハウジング100の上にある中央拡散器123aおよび123bを取り除くことによって行う。これは、
図1に示されている。そして、中央換気口123aおよび123bを有する追加的モジュール200を主ハウジング100の上に取りつける。これは、初めに主ハウジング100の上に存在するものと同じである。
【0060】
この動作では、追加的モジュール200の中央拡散器123aおよび123bは、初期に主ハウジング100の中に設置された位置と正確に同じ位置を取っており、追加的側面閉塞手段212aおよび212bは、主閉塞フラップ132aおよび132bの上流にある側面拡散器122aおよび122bの中に設置されている。
【0061】
次に、
図3を参照して説明する。
図3は、本発明による暖房、換気、および/または空調システム10の斜視図である。
図3では、
図2の追加的モジュール200が
図1の主ハウジング100の上に設置されている。
図3の暖房、換気、および/または空調システム10は、次に示すように動作する。
【0062】
本発明においては、車両の電池管理ユニット(図示せず)が設置されて、温度制御を行う。電池管理ユニットが、電池を冷却または加熱することにより、電池の温度制御が行われるべきであると判定した場合には、暖房、換気、および/または空調システム10の制御装置に命令が送信されて、追加的モジュール200による空調空気流の分配が必要であることが指示され、追加的モジュール200の出口における空調空気流に対する設定温度が規定される。
【0063】
その命令の受信に応答して、暖房、換気、および/または空調システム10の制御装置は、2つの行動を実行する。第1の行動は、混合フラップ105を、混合室103の中に送られる高温空気流Cと低温空気流Fとの割合を決める位置に置いて、電池管理ユニットによって課せられた設定温度を得るようにすることである。
【0064】
第2の行動は、分配の手段そのものに関するものである。ここで示す主ハウジング100の特定の実施形態では、暖房、換気、および/または空調システム10の制御装置は、主ハウジング100の側面拡散器122bおよび中央拡散器123bに専用の主閉塞フラップ132bおよび133bを、主分配の構成タイプ「車室換気」に対応した位置にする。また一方で、追加的側面閉塞手段212bを遮断の位置にして、追加的中央閉塞手段213bを中央拡散器123bの閉塞位置にする。
【0065】
ある特定の実施形態では、追加的側面閉塞手段212bと追加的中央閉塞手段213bとの同時の操作は、機械的連結ロッド220によって行うことができる。
【0066】
電池温度が最適動作範囲の中に入っていた場合には、電池管理ユニットは、追加的モジュール200による空調空気流の追加的分配を停止するよう命令を送る。
【0067】
従って、暖房、換気、および/または空調システム10の制御装置は、追加的側面閉塞手段212bを開放の位置にし、追加的中央閉塞手段213bを、追加的導管210を閉塞する位置にして、それにより、主ハウジング100の従来動作の「車室換気」の構成に戻す。
【0068】
本発明を、「車室換気」といわれる構成、すなわち、側面拡散器および中央拡散の主閉塞器のフラップが開閉を行う場合で説明したが、他のタイプの構成とすることも可能であると考えられる。特に、中央拡散器123aおよび123bに専用の主閉塞フラップ133aおよび133bだけが開放される構成とすることも可能である。この場合には、追加的側面閉塞手段212aおよび212bは、必要ではないと考えられる。
【0069】
本発明はまた、別の実施形態も包含していることは明らかである。この実施形態では、暖房、換気、および/または空調システム10の制御装置は、第2の行動として、主ハウジング100の側面拡散器122aおよび122bに専用の主閉塞フラップ132bおよび133bを、「車室換気」といわれる構成以外の、ある特定の構成に対応した位置にするという場合である。
【0070】
従って、本発明によって、電池の熱管理における追加的操作を簡単化することができる。この操作では、分配に関する補足的な形の操作を必要としない。実際に、追加的モジュール200は、暖房、換気、および/または空調システム10の主ハウジング100の上に重ねて設備することができる。さらに、追加的モジュール200の中への空気流の分配は、主ハウジング100の中に設置されている主閉塞フラップを、初期に主ハウジング100によって用意されている空気流の分配パタンの中の1つの位置にすることにより、行うことができる。
【0071】
そのため、追加的モジュールの中の空気流の管理に関わる具体的な操作は、追加的閉塞手段によって行うことができる。
【0072】
最後に、種々の実施形態が、本発明の原理に基づいて可能である。上記した例は、本発明の目的を例示するためのものであるということが理解されるべきである。明らかに、本発明は、上記で説明した実施形態に限定されるものではなく、これらの実施形態は、単なる例としてのみ提供したものである。本発明は、種々の変更、代替の形式、および、本発明の技術分野における当業者が想着できると考えられる他の変形、更に、上記で説明した種々の実施形態の全ての組み合わせを包含するものである。
【0073】
さらに、上記で説明した動作の種々の異なるモードを、それぞれ単独に、または組み合わせて適用して、本発明による、暖房、換気、および/または空調システムの、代替的実施形態、および種々の構成を実現させることができる。