(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の各実施形態において、他の実施形態と同様の機能を有する構成要素については同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る半導体記憶装置の構成図である。
【0034】
図1に示す半導体記憶装置は、メモリセル1、ワード線ドライバ回路2、ビット線プリチャージ回路3、P型MOSトランジスタMP1、メモリアレイ10、周辺制御回路20を備える。更に、同半導体記憶装置は、ワード線WL0〜WLx、ビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyを備える。P型MOSトランジスタMP1のゲートには、電源遮断信号PDが入力される。P型MOSトランジスタMP1のソースおよび、メモリアレイ10には、電源(第1の電源)VDDが供給され、ワード線ドライバ回路2および、ビット線プリチャージ回路3には、内部電源VDDIが供給される。x及びyは1またはそれより大きい整数であり、
図1において、メモリセル1、ワード線ドライバ回路2、ビット線プリチャージ回路3は、各々複数個存在していることを表している。メモリアレイ10はメモリセル1が集まった領域を示している。
【0035】
P型MOSトランジスタMP1は、電源遮断用のスイッチ素子として機能し、ゲート端子が電源遮断信号(第1の制御信号)PDに接続され、ソース端子が電源VDDに、ドレイン端子が内部電源VDDIに各々接続されている。
【0036】
各ワード線ドライバ回路2の出力に接続されたワード線WL0〜WLxは、各メモリセル1に各々接続されている。また、各メモリセル1に接続しているビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyは、各ビット線プリチャージ回路3に各々接続されている。
【0037】
図2は、
図1のメモリセル1の具体的な回路構成を示す図である。
【0038】
図2において、メモリセル1は、アクセストランジスタA1、A2、ドライブトランジスタD1、D2、ロードトランジスタL1、L2を備える。メモリセル1にワード線WL、ビット線BL、NBL、電源VDDが接続される。
【0039】
ロードトランジスタL1とドライブトランジスタD1、また、ロードトランジスタL2とドライブトランジスタD2とにより各々インバータを構成し、各々のインバータの入出力端子を接続してフリップフロップを構成している。このフリップフロップによりデータの記憶保持を行う。また、アクセストランジスタA1、A2のゲート端子はワード線WLに接続され、そのドレイン端子はビット線BL、NBLに各々接続される。また、アクセストランジスタA1、A2のソース端子は、インバータの入出力端子に各々接続されている。
【0040】
メモリセル1へのデータの書き込みは、ワード線WLをLレベルからHレベルにした状態(活性状態)で、予め、Hレベルにプリチャージされたビット線BL、NBLのうちの一方のビット線の電位を、HレベルからLレベルにすることにより実現される。メモリセル1からのデータの読み出しは、予め、Hレベルにプリチャージされたビット線BL、NBLの状態から、ワード線WLを活性状態にすることにより、メモリセル中のフリップフロップが記憶保持していた状態に基づいて、何れか一方のビット線をHレベルからLレベルとすることにより、実現される。
【0041】
また、ワード線WLがLレベル(非活性状態)の場合には、アクセストランジスタA1、A2が共にオフするため、電源VDDが供給され続けている限り、フリップフロップに記憶されたデータは、外部からの影響を受けることなく、同一の記憶データを保持し続ける。
【0042】
図3は、
図1のワード線ドライバ回路2の具体的な回路構成を示す図である。
【0043】
図3において、ワード線ドライバ回路2は、P型MOSトランジスタMP2、N型MOSトランジスタMN2を備える。ワード線ドライバ回路2には、ワード線制御信号NWLおよび、内部電源VDDIが入力さる。ワード線ドライバ回路2は、ワード線WLに接続されている。P型MOSトランジスタMP2とN型MOSトランジスタMN2とは直列に接続され、その両ゲート端子にはワード線制御信号NWLが入力されている。P型MOSトランジスタMP2のソース端子には内部電源VDDIが印加され、スイッチ素子(
図1のP型MOSトランジスタMP1)を介して電源VDDが接続される。一方、N型MOSトランジスタMN2のソース端子は接地されている。更に、P型MOSトランジスタMP2とN型MOSトランジスタMN2との接続点には、ワード線WLが接続される。
【0044】
そして、P型MOSトランジスタMP2とN型MOSトランジスタMN2とにより、インバータを構成して、ワード線制御信号NWLの反転信号をワード線WLに出力する。
【0045】
半導体記憶装置が非活性状態の場合、全てのワード線ドライバ回路2のワード線制御信号NWLにHレベルが印加され、全てのワード線WLはLレベルを出力する(即ち、全てのワード線が非選択状態になる)。
【0046】
図4は、
図1のビット線プリチャージ回路3の具体的な回路構成を示す図である。
【0047】
図4において、ビット線プリチャージ回路3は、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cを備える。ビット線プリチャージ回路3には、ビット線プリチャージ制御信号NPCGおよび、内部電源VDDIが入力される。また、ビット線プリチャージ回路3は、ビットBL、NBLに接続される。
【0048】
P型MOSトランジスタMP3AとP型MOSトランジスタMP3Bとのゲート端子はビット線プリチャージ制御信号NPCGに接続され、そのドレイン端子はビット線BL、NBLに、そのソース端子は内部電源VDDIに各々接続される。P型MOSトランジスタMP3Cのゲート端子はビット線プリチャージ制御信号NPCGに接続され、そのドレイン端子とソース端子はビット線BL、NBLに各々接続される。
【0049】
ビット線プリチャージ回路3は、ビット線プリチャージ制御信号NPCGで制御される。半導体記憶装置が非活性状態の場合(即ち、全てのワード線が非選択状態の場合)、ビット線プリチャージ制御信号NPCGがLレベルとなり、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cがオンする。ビット線BL、NBLが各々Hレベルにプリチャージされることにより、次回のメモリセルに対するデータの書き込み、読み出し動作(半導体記憶装置の活性状態)に備える。
【0050】
図1において、周辺制御回路20は、ワード線ドライバ回路2を制御するためのアドレスデコード回路や、ビット線プリチャージ回路3を制御するための制御回路や、メモリセル1へのデータの書き込み又は読み出しを制御するための回路等々で構成されており、
図1では、半導体記憶装置中のメモリアレイ10とワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3を除いた回路である。
【0051】
メモリアレイ10と周辺制御回路20には電源VDDが直接供給され、メモリアレイ10と周辺制御回路20を構成する各トランジスタは、電源VDDによって駆動されるように構成されている。ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とは、電源VDDから電源遮断信号PDで制御されるP型MOSトランジスタMP1を介した内部電源VDDIが供給されて、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とを構成する各トランジスタが駆動されるように構成されている。
【0052】
以下、以上のように構成された本実施形態に係る半導体記憶装置の動作を説明する。
【0053】
先ず、半導体記憶装置が通常動作を行う場合(全ての回路に電源VDDが印加されている状態)を説明する。この場合、電源遮断信号PDにLレベルが印加され、P型MOSトランジスタMP1がオンし、内部電源VDDIに電源VDDが供給される。よって、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とには、電源VDDが各々供給される。
【0054】
また、メモリアレイ10と周辺制御回路20とには、予め、電源VDDが印加されているので、半導体記憶装置を構成する全ての回路に電源VDDが供給されている状態である。
【0055】
この状態は、一般的な半導体記憶装置の電源印加状態と同一であり、この状態で、半導体記憶装置に対するデータの書き込みや読み出し動作を正常に実施することが可能である。
【0056】
次に、半導体記憶装置の全ての回路に電源VDDが印加されている状態で、かつ、半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)の場合を説明する。この場合、ワード線ドライバ回路2によって、全てのワード線WL0〜WLxはLレベルを出力する。また、ビット線プリチャージ回路3によって、全てのビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyは、Hレベルにプリチャージされた状態となる。
【0057】
ワード線WLがLレベル(非活性状態)のため、メモリセル1に電源VDDが印加されていれば、メモリセル1に記憶されたデータは、外部からの影響を受けることなく、保持し続けることができる。
【0058】
この時の、ワード線ドライバ回路2の状態を、
図3を用いて説明する。
【0059】
ワード線WLがLレベルを出力する時、ワード線制御信号NWLはHレベルが印加されており、N型MOSトランジスタMN2がオンし、P型MOSトランジスタMP2がオフしている状態である。P型MOSトランジスタMP2はオフしているが、P型MOSトランジスタMP2のソース端子には内部電源VDDI(VDD電源)が印加されているため、P型MOSトランジスタMP2にはオフリーク電流が流れている。
【0060】
また、この時のビット線プリチャージ回路3とメモリセル1の状態を、
図4と
図2を用いて説明する。
【0061】
メモリセルのアクセストランジスタA1のソース端子にLレベル、アクセストランジスタA2のソース端子にHレベルが記憶保持されている状態とする。
【0062】
ワード線WLがLレベルを出力する時、ビット線プリチャージ制御信号NPCGはLレベルとなり、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cがオンするため、ビット線BL、NBLはHレベルとなる。
【0063】
今、アクセストランジスタA2のソース端子はHレベルであり、ドライブトランジスタD1がオンし、アクセストランジスタA1のソース端子はLレベルである。
【0064】
ワード線WLがLレベルのため、アクセストランジスタA1はオフしているが、アクセストランジスタA1のドレイン端子には、ビット線プリチャージ回路3から内部電源VDDI(VDD電源)が印加されているため、アクセストランジスタA1には、ビット線プリチャージ回路3から供給されるオフリーク電流が流れている。
【0065】
逆に、メモリセル1のアクセストランジスタA1のソース端子にHレベル、アクセストランジスタA2のソース端子にLレベルが記憶保持されている状態の場合は、アクセストランジスタA2に、ビット線プリチャージ回路3から供給されるオフリーク電流が流れることになる。
【0066】
次に、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDを遮断した状態で、かつ、半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)の場合を説明する。
【0067】
この場合、電源遮断信号PDにHレベルが印加され、P型MOSトランジスタMP1がオフし、内部電源VDDIに電源VDDが供給されない状態(フローティング状態)となる。
【0068】
ワード線ドライバ回路2において、P型MOSトランジスタMP2のソース端子がフローティング状態となるが、周辺制御回路20には電源VDDが印加されているため、ワード線制御信号NWLはHレベルが印加される。よって、P型MOSトランジスタMP2はオフ、N型MOSトランジスタMN2はオンするため、結局、半導体記憶装置の全ての回路に電源が印加されている状態の場合と同様、全てのワード線WL0〜WLxはLレベルを出力する。
【0069】
ビット線プリチャージ回路3のP型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cのソース端子がフローティング状態となり、ビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyは各々不定電位となるが、全てのワード線WL0〜WLxがLレベルのため、全てのメモリセル1のアクセストランジスタA1、A2はオフしている。
【0070】
ワード線WLがLレベルであれば、メモリセル1に電源VDDが印加されていれば、メモリセル1に記憶されたデータは、外部からの影響を受けることなく、保持し続けることができる。よって、ビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyの電位が不定電位であっても、結局、半導体記憶装置の全ての回路に電源が印加されている状態の場合と同様の動作を行なうことができる。
【0071】
半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とには、内部電源VDDIに電源VDDが供給されない状態(フローティング状態)となっている。
【0072】
よって、ワード線ドライバ回路2を構成するP型MOSトランジスタMP2のソース端子には内部電源VDDI(VDD電源)が印加されていないため、P型MOSトランジスタMP2のオフリーク電流が抑制されることが判る。
【0073】
同様に、ビット線プリチャージ回路3に内部電源VDDI(電源VDD)が印加されていないため、メモリセル1を構成するアクセストランジスタA1、A2のドレイン端子には、ビット線プリチャージ回路3からの電流が遮断される。従って、アクセストランジスタA1、A2のオフリーク電流が抑制されることが判る。
【0074】
以上の通り、半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)の場合において、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDを遮断した場合と、遮断しない場合とでは、同一の動作を行なうことが可能であり、更に、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDを遮断した場合においては、オフリーク電流が抑制できるので、半導体記憶装置がより低消費電力になることが判る。
【0075】
発明が解決しようとする課題にも記述したように、メモリセル1のトランジスタのリーク電流を除いた半導体記憶装置のリーク電流は、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とのリーク電流が大半を占めている。本実施形態は、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDのみを遮断する構成であるので、非常に効果的にリーク電流を抑制できていることが判る。
【0076】
また、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDのみを遮断するので、周辺回路全体の電源を遮断する場合と比較して、内部電源VDDIの負荷が非常に軽く構成できる。よって、半導体記憶装置が待機状態から通常動作に移行するまでの電源復帰時間は、周辺回路全体の電源を遮断する場合と比べて、高速であることは明らかである。
【0077】
また、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDのみを遮断するので、周辺回路全体の電源を遮断する場合と比較して、内部電源VDDIの負荷が非常に軽く構成できる。よって、電源遮断用のスイッチ素子(
図1のP型MOSトランジスタMP1)のトランジスタの駆動能力(トランジスタのチャネル幅)は、特許文献1や特許文献2のような周辺回路全体の電源を遮断する場合と比べて、小さく設定しても良いことは明らかである。つまり、半導体記憶装置の面積をより小面積に構成することが可能である。
【0078】
更に、本実施形態では、ワード線ドライバ回路2の電源VDDが遮断されても、ワード線WLをLレベルに制御できるので、特許文献2のようなワード線スイッチ素子が不要であり、半導体記憶装置の面積をより小面積に構成することが可能である。この効果は、ビット線プリチャージ回路3への電源供給をスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP1)で遮断すると否とに拘わらず得られる。
【0079】
本実施形態では、メモリセル1、ワード線ドライバ回路2、および、ビット線プリチャージ回路3等が複数個配置された場合を例として示したが、これらが、各々1つしか配置されない構成であっても、同一の動作や効果を有することは明らかである。
【0080】
また、主ビット線や副ビット線を有する階層構造のメモリアレイの場合であっても、同等の動作や効果を有することは明らかである。
【0081】
また、本実施形態では、相補のビット線(一対のビット線BL、NBL)を有する構成の場合を例に挙げて説明したが、例えば、ROM(リードオンリーメモリ)のような、単一のビット線しか存在しないような場合においても、同等の動作や効果を有することは明らかである。
【0082】
(実施形態2)
図5は、
図1のビット線プリチャージ回路3の具体的な構成のその他の一例を示す図である。
【0083】
図5に示すビット線プリチャージ回路3’は、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3C、OR回路OR1を備える。ビット線プリチャージ回路3’には、ビット線プリチャージ制御信号NPCG、電源遮断信号PD、電源VDDが入力される。更に、ビット線プリチャージ回路3’は、ビット線BL、NBLに接続される。
【0084】
P型MOSトランジスタMP3A、MP3Bのゲート端子は、ビット線プリチャージ制御信号NPCGと電源遮断信号PDとで制御されるOR回路OR1の出力信号(電源遮断信号PD(第1の制御信号)に基づいた制御信号)が接続され、そのドレイン端子はビット線BL、NBLに、そのソース端子は電源VDDに各々接続される。P型MOSトランジスタMP3Cのゲート端子は、OR回路OR1の出力信号が接続され、そのドレイン端子とソース端子はビット線BL、NBLに各々接続される。
【0085】
図5に示すビット線プリチャージ回路3’が
図4のビット線プリチャージ回路3と異なる点は、P型MOSトランジスタMP3A、MP3Bのソース端子に電源VDDが直接印加されていることと、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cのゲート端子が、ビット線プリチャージ制御信号NPCGと電源遮断信号PDのOR回路OR1の出力信号で制御されている点である。
【0086】
先ず、半導体記憶装置が通常動作を行う場合(全ての回路に電源が印加されている状態)を説明する。
【0087】
この場合、電源遮断信号PDにはLレベルが印加される。電源遮断信号PDがLレベルであるので、ビット線プリチャージ制御信号NPCGの入力がOR回路OR1の出力信号に出力される。よって、
図5のビット線プリチャージ制御回路3’は、
図4のビット線プリチャージ回路3と同一の動作を行なうことが判る。
【0088】
次に、半導体記憶装置の全ての回路に電源VDDが印加されている状態で、かつ、半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)の場合を説明する。
【0089】
この場合も、電源遮断信号PDにはLレベルが印加されるため、
図5のビット線プリチャージ制御回路3’は、
図4のビット線プリチャージ回路3と同一の動作を行なうことが判る。
【0090】
次に、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3’との電源VDDを遮断した状態で、かつ、半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)の場合を説明する。
【0091】
この場合、電源遮断信号PDにはHレベルが印加される。
【0092】
図5のビット線プリチャージ回路3’の場合は、電源VDDがP型MOSトランジスタMP3A、MP3Bのソース端子に直接印加されているので、
図4のようなビット線プリチャージ回路3に供給される電源VDDの遮断は生じない。しかし、電源遮断信号PDにはHレベルが印加されているので、OR回路OR1の出力信号は、ビット線プリチャージ制御信号NPCGの入力に拘わらずHレベルとなり、P型MOSトランジスタMP3A〜MP3Cは全てオフ状態になる。よって、ビット線BL0〜BLy、NBL0〜NBLyは、各々不定電位(フローティング状態)となり、メモリセル1を構成するアクセストランジスタA1、A2のドレイン端子には、
図5のビット線プリチャージ回路3’からの電流が遮断されるため、アクセストランジスタA1、A2のオフリーク電流が抑制されることが判る。
【0093】
以上の通り、
図4のビット線プリチャージ回路3を、
図5に示した構成のビット線プリチャージ回路3’に置き換えた場合でも、実施形態1と同等の動作を行ない、また、同等の効果を有していることが判る。
【0094】
上記実施形態1の場合は、ワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDを遮断するのに対して、本実施形態の場合は、ビット線プリチャージ回路3’の電源VDDの遮断は行なわず、ワード線ドライバ回路2の電源VDDのみを遮断する。よって、内部電源VDDIの負荷が実施形態1よりも軽くなっているので、半導体記憶装置が待機状態から通常動作に移行するまでの電源復帰時間は、上記実施形態1よりも更に高速である。
【0095】
また、内部電源VDDIの負荷が実施形態1よりも軽くなっているので、電源遮断用のスイッチ素子(
図1のP型MOSトランジスタMP1)のトランジスタの駆動能力(トランジスタのチャネル幅)は、実施形態1よりも小さく設定することが可能となり、半導体記憶装置の面積をより小面積に構成することが可能である。
【0096】
(実施形態3)
図6は、本発明の実施の形態3に係る半導体記憶装置の構成図である。
【0097】
図6に示す半導体記憶装置は、
図1に示した構成に対して、入力回路4を追加した構成である。入力回路4は、アドレス信号ADやデータ信号DIを各々入力とし、入力回路4の出力が周辺制御回路20に各々入力される。その他の構成は、
図1と同一である。
【0098】
半導体記憶装置には、アドレス信号ADやデータ信号DI等(第1の入力信号)が各々入力され、入力されたアドレス信号ADに対応したメモリセル1が選択され、その選択されたメモリセル1に対して、データ信号DIのデータが書き込まれる。
【0099】
半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)で、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3の電源VDDが遮断されている場合においては、メモリセル1の記憶データは常に保証できている。よって、この状態においては、半導体記憶装置に入力されるこれらの入力信号(アドレス信号ADやデータ信号DI等)は、不定状態(不定電位)であっても特に問題はない。
【0100】
しかし、半導体記憶装置の入力信号を受ける初段の回路が、例えば、CMOSのインバータで構成されている場合を考えると、入力信号(アドレス信号ADやデータ信号DI等)が電源VDDと接地電源との間の中間電位(不定状態)で入力された場合には、CMOSインバータの電源VDDと接地電源間に貫通電流が流れ、消費電力が増大してしまう。
【0101】
図7は、
図6の入力回路4の具体的な回路構成の一例である。
【0102】
図7に示す入力回路4は、P型MOSトランジスタMP4、N型MOSトランジスタMN4、MN5を備える。入力回路4には、アドレス信号AD、電源遮断信号PD、内部電源VDDIが入力される。入力回路4からIAD出力信号が出力される。
【0103】
P型MOSトランジスタMP4のソース端子には内部電源VDDIが接続されている。また、P型MOSトランジスタMP4とN型MOSトランジスタMN4とによりインバータを構成し、このインバータの入力には入力信号ADが接続され、入力回路4の出力信号IADを出力する。入力回路4の出力信号IADと接地電源との間に、N型MOSトランジスタMN5が接続され、そのゲート端子には、電源遮断信号PDが接続されている。
【0104】
半導体記憶装置が非活性状態(待機状態)で、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3の電源VDDが遮断されている場合には、電源遮断信号PDがHレベルとなり、内部電源VDDIに電源VDDが供給されない状態(フローティング状態)となる。よって、入力信号(アドレス信号ADやデータ信号DI等)(第1の入力信号)が電源VDDと接地電源との間の中間電位(不定状態)で入力されたとしても、インバータには貫通電流が流れない。
【0105】
この時、入力回路4の出力信号IADがハイインピーダンス状態になり、入力回路4の出力信号を入力とする次段の回路での貫通電流を防止するために、電源遮断信号PDでN型MOSトランジスタMN5(ローインピーダンス素子)をオンさせて、入力回路4の出力信号IADをLレベルに固定(ローインピーダンス状態)している。仮に、入力回路4に電源遮断信号PDの反転信号が入力される構成の場合には、N型MOSトランジスタMN5の代わりに、電源VDDと入力回路4の出力信号IADとの間に、電源遮断信号PDの反転信号をゲート端子に接続したP型MOSトランジスタを接続すれば良い。電源遮断信号PDの反転信号でそのP型MOSトランジスタをオンさせて、入力回路の出力信号IADをHレベルに固定(ローインピーダンス状態)できる。
【0106】
以上のような構成にすることにより、入力回路4での貫通電流を防止することが可能となる。
【0107】
本実施形態では、アドレス信号ADの場合を例に挙げて説明したが、データ信号DI、又は、半導体記憶装置に入力されるその他の入力信号に本実施形態で示した構成を適用しても、同一の効果を奏することは明らかである。
【0108】
図8は、
図6の入力回路4の具体的な回路構成のその他の一例である。
【0109】
半導体記憶装置の入力信号を受ける初段の回路が、例えば、CMOSのインバータで構成されている場合を考えると、入力信号(アドレス信号ADやデータ信号DI等)が電源VDDと接地電源との間の中間電位(不定状態)で入力された場合には、CMOSインバータの電源VDDと接地電源間に貫通電流が流れ、消費電力が増大してしまう問題を解決するため、
図8に示す入力回路4’は、アドレス信号ADと電源遮断信号PDとを入力とし、入力回路4’の出力信号IADを出力するCMOSのNOR回路NOR1を備える。このCMOSのNOR回路NOR1には電源VDDが供給されている。
【0110】
上記CMOSのNOR回路NOR1の場合、一方の入力(電源遮断信号PD)がHレベルであれば、他方の入力(アドレス信号AD)には無関係に出力が決定され、かつ、他方の入力(アドレス信号AD)の電位が電源VDDと接地電源との間の中間電位(不定状態)で入力された場合でも、貫通電流が流れない。つまり、
図7に示した構成と同等の効果が得られることは明らかである。
【0111】
図9は、
図6の入力回路4の具体的な回路構成の更に他の一例である。
【0112】
図9に示した入力回路4’’の場合は、電源遮断信号(PD)の反転信号NPDが入力される場合を示している。この場合は、
図8のCMOSのNOR回路NOR1の代わりに、CMOSのNAND回路NAND1に置き換えれば良い。このCMOSのNAND回路NAND1には電源VDDが供給されている。
【0113】
上記CMOSのNAND回路NAND1の場合、一方の入力(電源遮断信号の反転信号NPD)がLレベルであれば、他方の入力(アドレス信号AD)には無関係に出力が決定され、かつ、他方の入力(アドレス信号AD)の電位が電源VDDと接地電源との間の中間電位(不定状態)で入力された場合でも、貫通電流が流れない。つまり、
図7又は
図8の構成と同等の効果が得られることは明らかである。
【0114】
図8及び
図9に示した構成では、アドレス信号ADの場合を例に挙げて説明したが、データ信号DI、又は、半導体記憶装置に入力されるその他の入力信号に本実施形態で示した構成を適用しても、同一の効果を奏することは明らかである。
【0115】
(実施形態4)
次に、本発明の実施形態4の半導体記憶装置を説明する。
【0116】
一般に、半導体記憶装置を構成するMOSトランジスタのオフリーク電流は、トランジスタのチャネル長を長くするほど小さくなる。また、MOSトランジスタのゲート酸化
膜厚を厚く構成するほど、オフリーク電流は小さくなる。また、MOSトランジスタの拡散領域に注入する不純物濃度を高くして、トランジスタのしきい値電圧の絶対値を上げることでも、オフリーク電流を小さくすることが可能である。更には、MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加(P型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧以上を基板に印加し、N型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧以下を基板に印加)しても、オフリーク電流を小さくすることが可能である。
【0117】
図1の半導体記憶装置において、電源VDDと内部電源VDDIとを遮断するためのP型MOSトランジスタMP1も、電源遮断時(電源遮断信号PDがHレベルとなり、P型MOSトランジスタMP1がオフしている状態)には、オフリーク電流が流れている。
【0118】
半導体記憶装置において、メモリセル1を除いた回路部分の同一極性のトランジスタのチャネル長は、同一の長さで設計されることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するP型MOSトランジスタMP2のチャネル長よりも、P型MOSトランジスタMP1のチャネル長を長くすれば、P型MOSトランジスタMP1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0119】
また、半導体記憶装置において、同一極性のMOSトランジスタのゲート酸化膜厚は、全て同じ厚さで形成されていることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するP型MOSトランジスタMP2のゲート酸化膜厚よりも、P型MOSトランジスタMP1のゲート酸化
膜厚を厚く形成すれば、P型MOSトランジスタMP1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0120】
また、半導体記憶装置において、メモリアレイ10を除いた領域に形成される同一極性のMOSトランジスタの拡散領域に注入する不純物濃度は、同一の不純物濃度であることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するP型MOSトランジスタMP2の拡散領域に注入する不純物濃度よりも、P型MOSトランジスタMP1の拡散領域に注入する不純物濃度を高くして、MOSトランジスタのしきい値電圧の絶対値を上げれば、P型MOSトランジスタMP1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0121】
また、半導体記憶装置において、同一極性のMOSトランジスタの基板電源には、全て同一の電位が印加されていることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するP型MOSトランジスタMP2の基板電源と同じかそれより高い電位を、P型MOSトランジスタMP1の基板電源に印加すれば、P型MOSトランジスタMP1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0122】
以上、ワード線ドライバ回路2を構成するトランジスタを例にして説明したが、半導体記憶装置を構成するその他のトランジスタであっても同一の効果を有することは明らかである。
【0123】
(実施形態5)
図10は、
図1の電源遮断用のスイッチ素子であるP型MOSトランジスタMP1を、N型MOSトランジスタに置き換えた場合の具体的な構成の一例を示す図である。
【0124】
図10に示した構成は、N型MOSトランジスタMN1とレベルシフト回路5とを備える。レベルシフト回路5には、PDは電源遮断信号が入力される。
【0125】
N型MOSトランジスタMN1は、そのソース端子に電源VDDを接続し、そのドレイン端子に内部電源VDDIが接続されている。
【0126】
レベルシフト回路5は、電源遮断信号PDを入力とし、電源遮断信号PDの反転レベルをN型MOSトランジスタMN1のゲート端子に出力する。この際、電源遮断信号PDがLレベルであれば、電源VDDの電位と同じもしくはそれより高い電位に電圧変換されたHレベルが出力される。
【0127】
電源遮断信号PDにLレベルが印加(電源遮断を行なわない)されていれば、N型MOSトランジスタMN1のゲート端子にHレベルが印加され、N型MOSトランジスタMN1がオンし、電源VDDが内部電源VDDIに供給される。また、電源
遮断信号PDにHレベルが印加(電源遮断を行なう)されていれば、N型MOSトランジスタMN1のゲート端子にLレベルが印加され、N型MOSトランジスタMN1がオフし、内部電源VDDIに電源VDDが供給されない状態(フローティング状態)となる。
【0128】
N型MOSトランジスタの場合、ソース端子(電源VDD)に印加された電位と同じ電位をドレイン端子(内部電源VDDI)に出力するには、N型MOSトランジスタのゲート端子に対して、ソース端子に印加された電位にN型MOSトランジスタのしきい値電圧を加えた電位を印加すれば良い。
【0129】
よって、
図10の構成の場合は、入力信号を電圧変換して出力することが可能なレベルシフト回路5がN型MOSトランジスタMN1の前段に挿入されている。勿論、予め、電源VDDと同じかそれより高い電圧が、電源遮断信号PDとして供給されるような構成であれば、レベルシフト回路5は不要である。
【0130】
以上の通り、電源遮断用のスイッチ素子をP型MOSトランジスタからN型MOSトランジスタに置き換えた場合でも、上記実施形態1、2と同等の動作や効果を有していることが判る。
【0131】
一般に、同一のチャネル幅とチャネル長で構成された、P型MOSトランジスタの駆動能力とN型MOSトランジスタの駆動能力とでは、N型MOSトランジスタの駆動能力の方が高い。よって、P型MOSトランジスタとN型MOSトランジスタとが同一の駆動能力を持つように構成した場合、N型MOSトランジスタの方が、より小面積に構成することが可能である。
【0132】
つまり、本実施形態のように、電源遮断用のスイッチ素子をN型MOSトランジスタで構成した方が、半導体記憶装置の面積をより小面積に構成することが可能である。
【0133】
上記実施形態4でも示した通り、半導体記憶装置を構成するMOSトランジスタのオフリーク電流は、トランジスタのチャネル長を長くするほど小さくなる。また、MOSトランジスタのゲート酸化
膜厚を厚く構成するほど、オフリーク電流は小さくなる。また、MOSトランジスタの拡散領域に注入する不純物濃度を高くして、トランジスタのしきい値電圧の絶対値を上げることでも、オフリーク電流を小さくすることが可能である。更には、MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加しても、オフリーク電流を小さくすることが可能である。
【0134】
図10において、電源VDDと内部電源VDDIとを遮断するためのN型MOSトランジスタMN1も、電源遮断時(電源遮断信号PDがHレベルとなり、N型MOSトランジスタMN1がオフしている状態)には、オフリーク電流が流れている。
【0135】
半導体記憶装置において、メモリセル1を除いた回路部分の同一極性のトランジスタのチャネル長は、同一の長さで設計されることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するN型MOSトランジスタMN2のチャネル長よりも、N型MOSトランジスタMN1のチャネル長を長くすれば、N型MOSトランジスタMN1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0136】
また、半導体記憶装置において、同一極性のMOSトランジスタのゲート酸化膜厚は、全て同じ厚さで形成されていることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するN型MOSトランジスタMN2のゲート酸化膜厚よりも、N型MOSトランジスタMN1のゲート酸化
膜厚を厚く形成すれば、N型MOSトランジスタMN1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0137】
また、半導体記憶装置において、メモリアレイ10を除いた領域に形成される同一極性のMOSトランジスタの拡散領域に注入する不純物濃度は、同一の不純物濃度であることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するN型MOSトランジスタMN2の拡散領域に注入する不純物濃度よりも、N型MOSトランジスタMN1の拡散領域に注入する不純物濃度を高くして、MOSトランジスタのしきい値電圧を上げれば、N型MOSトランジスタMN1のオフリーク電流を抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0138】
また、半導体記憶装置において、同一極性のMOSトランジスタの基板電源には、全て同一の電位が印加されていることが一般的であるが、例えば、ワード線ドライバ回路2を構成するN型MOSトランジスタMN2の基板電源と同じかそれより低い電位を、N型MOSトランジスタMN1の基板電源に印加すれば、N型MOSトランジスタMN1のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0139】
本実施形態では、ワード線ドライバ回路を構成するトランジスタを例にして説明したが、半導体記憶装置を構成するその他のトランジスタであっても同一の効果を有することは明らかである。
【0140】
(実施形態6)
図11A、
図11Bは、本発明の実施形態6に係るワード線ドライバ回路の電源遮断用のスイッチ素子の供給箇所を示す図である。
【0141】
図11Aは、
図1の構成から、ワード線ドライバ回路2の電源遮断用のスイッチ素子であるP型MOSトランジスタMP1と、ワード線ドライバ回路2とワード線ドライバ回路2の出力であるワード線WL0〜WLx、電源VDD、内部電源VDDIを抜き出した図である。また、
図11Aに示す構成は、内部電源VDDIの配線抵抗R1を備える。
【0142】
図11Bは、
図11Aの構成に対して、ワード線WL0を出力するワード線ドライバ回路2側に、ワード線ドライバ回路2の電源遮断用のスイッチ素子であるP型MOSトランジスタMP1Bを追加した構成である。
図11Bに示す構成は、内部電源VDDIの配線抵抗R1を備える。
【0143】
P型MOSトランジスタMP1Bは、ゲート端子が電源遮断信号PDに接続され、ソース端子が電源VDDに、ドレイン端子が内部電源VDDIに各々接続されており、
図11A又は
図11BのP型MOSトランジスタMP1と同一の動作を行なう。
【0144】
図11Aと
図11Bとの違いは、電源VDDから内部電源VDDIへの電源供給が1箇所から行なわれるか、2箇所から行なわれるかの違いである。
【0145】
図11Aの場合、電源VDDの供給箇所が1箇所であるため、内部電源VDDIの配線抵抗R1によって生じる電圧降下は、電源供給箇所から最も近い、ワード線WLxを出力するワード線ドライバ回路2の電源端子(
図3のP型MOSトランジスタMP2のソース端子)の電圧降下が最も小さく、逆に、電源供給箇所から最も遠い、ワード線WL0を出力するワード線ドライバ回路2の電源端子の電圧降下が最も大きい。
【0146】
また、電源遮断状態から電源が復帰する場合において、電源の供給箇所から最も遠い、ワード線WL0を出力するワード線ドライバ回路2の復帰が最も遅くなる。
【0147】
図11Bのように、ワード線ドライバ回路列の上下にP型MOSトランジスタMP1とP型MOSトランジスタMP1Bとを各々配置して、電源供給箇所を2箇所にすれば、各ワード線ドライバ回路2の電源端子で生じる電圧降下が小さくなり、更に、各ワード線ドライバ回路2の電源遮断状態から電源が復帰するまでの時間も短縮できることは明らかである。また、P型MOSトランジスタMP1とP型MOSトランジスタMP1Bとを、ワード線ドライバ回路列の左右に配置してあっても、同様な効果が得られることは明らかである。
【0148】
本実施形態では、電源供給箇所を1箇所から2箇所にした場合の例を説明したが、電源供給箇所を3箇所または3箇所より多い箇所より供給できるようにすれば、更に電圧降下が小さくなり、電源復帰時間も短くなることは明らかである。
【0149】
図12は、半導体記憶装置中におけるワード線ドライバ回路2と電源遮断用スイッチ素子の配置を示すレイアウト図である。
【0150】
図12に示した半導体記憶装置のレイアウト図は、ワード線ドライバ回路2、メモリセル用の基板電源供給領域6、電源遮断用のスイッチ素子配置領域7、メモリアレイ10を備える。
【0151】
半導体記憶装置には、メモリアレイ10を構成するメモリセル1の基板電源を供給するための基板電源供給領域6が、メモリアレイ10内に一定の間隔で配置され、また、ワード線ドライバ回路2は、メモリアレイ10に隣接して配置される。
【0152】
よって、
図12に示されるように、ワード線ドライバ回路列中において、基板電源供給領域6と隣り合う場所には、空き領域(電源遮断用スイッチ素子配置領域7)が発生する。
【0153】
従って、この空き領域に電源遮断用のスイッチ素子を配置すれば、すなわち、スイッチ素子をメモリセルの基板電源供給領域6と隣り合って配置すれば、半導体記憶装置の面積増加がないので、半導体記憶装置の小面積化が可能となる。
【0154】
尚、本実施形態では、ワード線ドライバ回路2に対しての構成を示したが、ビット線プリチャージ回路3に対しても同様な構成をとれば、ワード線ドライバ回路2の場合と同様な効果が得られることは明らかである。
【0155】
図11Bでは、ワード線ドライバ回路2の周辺にスイッチ素子を2つ配置した構成を示しているが、周辺制御回路20の中または、ビット線プリチャージ回路3の周辺にスイッチ素子を2つ配置した構成を示す図は、同様であるため省略する。
【0156】
(実施形態7)
図13は、
図1のメモリセル1の具体的な構成(
図2)のその他の一例を示す図である。
【0157】
図13に示したメモリセル1’は、アクセストランジスタA1、A2、ドライブトランジスタD1、D2、ロードトランジスタL1、L2を備える。メモリセル1’はワード線WL、ビット線BL、NBL、電源VDDに接続される。ロードトランジスタL1、L2の基板には、基板電源(第1の基板電源)VDDBが接続され、アクセストランジスタA1、A2とドライブトランジスタD1、D2には、基板電源(第2の基板電源)VSSBが接続される。
【0158】
図2のメモリセル1と異なる点は、P型MOSトランジスタであるロードトランジスタL1、L2の基板電源VDDBと、N型MOSトランジスタであるアクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2の基板電源VSSBを、各々独立に制御可能なように構成した点のみであり、
図13のメモリセル1’の動作は、
図2のメモリセル1と同一の動作を行なう。
【0159】
一般に、半導体記憶装置を構成するMOSトランジスタのオフリーク電流は、MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加(P型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧と同じかそれより高い電圧を基板に印加し、N型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧と同じかそれより低い電圧を基板に印加)すれば、オフリーク電流を小さくすることが可能である。
【0160】
よって、P型MOSトランジスタであるロードトランジスタL1、L2の基板電源VDDBに、電源VDDと同じかそれより高い電位を印加すれば、ロードトランジスタL1、L2のオフリーク電流が抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0161】
同様に、N型MOSトランジスタであるアクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2の基板電源VSSBに、接地電源(ドライブトランジスタD1、D2のソース端子に印加されている電源)と同じかそれより低い電位を印加すれば、アクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2のオフリーク電流を抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0162】
なお、必ずしも、P型MOSトランジスタであるロードトランジスタL1、L2の基板電源VDDBに、電源VDDと同じかそれより高い電位を印加し、かつ、N型MOSトランジスタであるアクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2の基板電源VSSBに、接地電源と同じかそれより低い電位を印加する必要はなく、P型MOSトランジスタであるロードトランジスタL1、L2の基板電源VDDBに、電源VDDと同じかそれより高い電位を印加するか、N型MOSトランジスタであるアクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2の基板電源VSSBに、接地電源と同じかそれより低い電位を印加するかの、いずれかだけを行っても良い。
【0163】
MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加した場合、MOSトランジスタのオフリーク電流を小さくすることができる。しかし、逆方向バイアスを印加していないMOSトランジスタと比較した場合、トランジスタがオンした状態での駆動能力が低下し、その結果、半導体記憶装置の性能が低下してしまう。よって、半導体記憶装置が通常動作を行なっている場合(待機状態ではない場合)には、メモリセル1’の基板電源には、逆方向バイアスが印加されない状態にすれば良い。
【0164】
メモリセル1’の基板電源を切り換える方法は、例えば、電源遮断信号PDと電源遮断信号PDの反転信号とにより制御される2つのスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)を各々設けて、一方のスイッチ素子の入力に電源VDDと同じかそれより高い電位である基板電源VDDBを接続し、他方のスイッチ素子の入力に電源VDDを接続する。各々のスイッチ素子の出力を共通に接続して、スイッチ素子の出力をメモリセル1’のロードトランジスタL1、L2の基板電源に接続する。
【0165】
電源遮断信号PDがLレベル(半導体記憶装置が通常動作を行なう場合)であれば、電源VDDに接続した側のスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)がオンして、メモリセル1’のロードトランジスタL1、L2の基板電源に電源VDDが印加される。電源遮断信号PDがHレベル(半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合)であれば、基板電源VDDBに接続した側のスイッチ素子がオンして、メモリセル1’のロードトランジスタL1、L2の基板電源に基板電源VDDBが印加されるように構成すれば良い。
【0166】
同様に、電源遮断信号PDと電源遮断信号PDの反転信号とにより制御される2つのスイッチ素子(N型MOSトランジスタ)を各々設けて、一方のスイッチ素子の入力に接地電源と同じかそれより低い電位である基板電源VSSBを接続し、他方のスイッチ素子の入力に接地電源を接続する。各々のスイッチ素子の出力を共通に接続して、スイッチ素子の出力をメモリセル1’のアクセストランジスタA1、A2とドライブトランジスタD1、D2との基板電源に接続する。
【0167】
電源遮断信号PDがLレベル(半導体記憶装置が通常動作を行なう場合)であれば、接地電源に接続した側のスイッチ素子(N型MOSトランジスタ)がオンして、メモリセル1’のアクセストランジスタA1、A2とドライブトランジスタD1、D2の基板電源に接地電源が印加される。電源遮断信号PDがHレベル(半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源が遮断される場合)であれば、基板電源VSSBに接続した側のスイッチ素子がオンして、メモリセル1’のアクセストランジスタA1、A2とドライブトランジスタD1、D2の基板電源に基板電源VSSBが印加されるように構成すれば良い。
【0168】
以上の通り、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合にのみ、メモリセル1’の基板電源に逆方向バイアスが印加されるように構成すれば、通常動作時の半導体記憶装置の性能の低下が生じず、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合には、より低消費電力化が可能な半導体記憶装置が実現できる。
【0169】
電源遮断信号PDがHレベルで、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される時は、ワード線WLがLレベルで、アクセストランジスタA1、A2が共にオフしている。よって、メモリセル1’のロードトランジスタL1、L2のソース端子に電源VDDが供給され続けている限り、フリップフロップに記憶されたデータは、外部からの影響を受けることなく、同一の記憶データを保持し続ける状態にある。
【0170】
メモリセル1’は、ロードトランジスタL1とドライブトランジスタD1、また、ロードトランジスタL2とドライブトランジスタD2とで各々インバータを構成し、各々のインバータの入出力端子を接続してフリップフロップを構成し、データの記憶保持を行う。
【0171】
メモリセル1’中のフリップフロップを正常に動作させて、データの記憶保持を正常に行なうためには、これらロードトランジスタL1、L2又はドライブトランジスタD1、D2が、各々オンすることが可能な電圧が印加されていれば良い。即ち、ロードトランジスタL1(又はL2)とドライブトランジスタD1(又はD2)の何れかの閾値電圧の絶対値の高い側の電圧が、電源VDDに印加されていれば、メモリセル1’中のデータを正常に記憶保持することが可能である。
【0172】
メモリセル1’のロードトランジスタL1、L2のソース端子に印加される電源VDDの電位が低下すれば、メモリセル1’のリーク電流が抑制されるので、結果として、半導体記憶装置の消費電力を抑制することができる。
【0173】
例えば、電源遮断信号PDと電源遮断信号PDの反転信号とにより制御される2つのスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)を各々設けて、一方のスイッチ素子の入力に電源VDDと同じかそれより低い電位である電源(例えば、電源VDD2)を接続し、他方のスイッチ素子の入力に電源VDDを接続する。各々のスイッチ素子の出力を共通に接続して、スイッチ素子の出力をメモリセル1’のロードトランジスタL1、L2のソース端子に接続する。
【0174】
電源遮断信号PDがLレベル(半導体記憶装置が通常動作を行なう場合)であれば、電源VDDに接続した側のスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)がオンして、メモリセル1’に電源VDDが印加される。電源遮断信号PDがHレベル(半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合)であれば、電源VDD2に接続した側のスイッチ素子がオンして、メモリセル1’に電源VDDと同じかそれより低い電位である電源VDD2が印加されるように構成する。
【0175】
以上の通り、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される時に、メモリセル1’に印加される電源が低下するように構成すれば、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0176】
(実施形態8)
続いて、本発明の実施形態8を説明する。
【0177】
上記実施形態7では、メモリセル1’のロードトランジスタL1、L2の基板電源と、アクセストランジスタA1、A2及びドライブトランジスタD1、D2の基板電源とを、各々制御する場合の説明を行なったが、
図1における周辺制御回路20内を構成するP型MOSトランジスタの基板電源、また、N型MOSトランジスタの基板電源を各々制御した場合でも、同様な効果が得られる。
【0178】
一般に、半導体記憶装置を構成するMOSトランジスタのオフリーク電流は、MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加(P型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧と同じかそれより高い電圧を基板に印加し、N型MOSトランジスタであれば、ソース端子に印加される電圧と同じかそれより低い電圧を基板に印加)すれば、オフリーク電流を小さくすることが可能である。
【0179】
よって、周辺制御回路20を構成するP型MOSトランジスタの基板電源(第3の基板電源)(例えば、基板電源VDPBとする)に、電源VDDと同じかそれより高い電位を印加すれば、周辺制御回路20を構成するP型MOSトランジスタのオフリーク電流を抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0180】
同様に、周辺制御回路20を構成するN型MOSトランジスタの基板電源(第4の基板電源)(例えば、基板電源VSPBとする)に、接地電源(N型MOSトランジスタのソース端子に印加されている電源)と同じかそれより低い電位を印加すれば、周辺制御回路20を構成するN型MOSトランジスタのオフリーク電流を抑制でき、半導体記憶装置の低消費電力化が可能となる。
【0181】
MOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスを印加した場合、MOSトランジスタのオフリーク電流を小さくすることができる。しかし、逆方向バイアスを印加していないMOSトランジスタと比較した場合、トランジスタがオンした状態での駆動能力が低下し、その結果、半導体記憶装置の性能が低下してしまう。よって、半導体記憶装置が通常動作を行なっている場合(待機状態ではない場合)には、周辺制御回路20を構成するMOSトランジスタの基板電源には、逆方向バイアスが印加されない状態にすれば良い。
【0182】
周辺制御回路20を構成するMOSトランジスタの基板電源を切り換える方法は、例えば、電源遮断信号PDと電源遮断信号PDの反転信号とにより制御される2つのスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)を各々設けて、一方のスイッチ素子の入力に電源VDDと同じかそれより高い電位である基板電源VDPBを接続し、他方のスイッチ素子の入力に電源VDDを接続する。各々のスイッチ素子の出力を共通に接続して、スイッチ素子の出力に周辺制御回路20を構成するP型MOSトランジスタの基板電源を接続する。
【0183】
電源遮断信号PDがLレベル(半導体記憶装置が通常動作を行なう場合)であれば、電源VDDに接続した側のスイッチ素子(P型MOSトランジスタ)がオンして、周辺制御回路20を構成するP型MOSトランジスタの基板電源に電源VDDが印加される。電源遮断信号PDがHレベル(半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合)であれば、基板電源VDPBに接続した側のスイッチ素子がオンして、周辺制御回路20を構成するP型MOSトランジスタの基板電源に基板電源VDPBが印加されるように構成すれば良い。
【0184】
同様に、電源遮断信号PDと電源遮断信号PDの反転信号とにより制御される2つのスイッチ素子(N型MOSトランジスタ)を各々設けて、一方のスイッチ素子の入力に接地電源と同じかそれより低い電位である基板電源VSPBを接続し、他方のスイッチ素子の入力に接地電源を接続する。各々のスイッチ素子の出力を共通に接続して、スイッチ素子の出力に周辺制御回路20を構成するN型MOSトランジスタの基板電源を接続する。
【0185】
電源遮断信号PDがLレベル(半導体記憶装置が通常動作を行なう場合)であれば、接地電源に接続した側のスイッチ素子(N型MOSトランジスタ)がオンして、周辺制御回路20を構成するN型MOSトランジスタの基板電源に接地電源が印加される。電源遮断信号PDがHレベル(半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合)であれば、基板電源VSPBに接続した側のスイッチ素子がオンして、周辺制御回路20を構成するN型MOSトランジスタの基板電源に基板電源VSPBが印加されるように構成すれば良い。
【0186】
以上の通り、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合にのみ、周辺制御回路20を構成するMOSトランジスタの基板電源に逆方向バイアスが印加されるように構成すれば、通常動作時の半導体記憶装置の性能の低下が生じず、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される場合には、より低消費電力化が可能な半導体記憶装置が実現できる。
【0187】
また、上記実施形態7でも説明したように、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3との電源VDDが遮断される時に、メモリセル1’に印加される電源が低下するように構成しておけば、半導体記憶装置の消費電力を更に抑制させることが可能であることは明らかである。
【0188】
すなわち、スイッチ素子がオフしている時には、メモリセル1’に接続される第1の電源がスイッチ素子がオンしている時の電圧と同じかそれより低い電圧に制御することにより、半導体記憶装置の消費電力を更に制御できる。
【0189】
(実施形態9)
図14は、本発明の実施形態9に係る半導体集積回路の構成図である。
【0190】
図14に示す半導体集積回路100は、半導体記憶装置30、31、他の半導体記憶装置40、41を備えており、半導体集積回路100には、電源VDDが供給されている。
【0191】
上記半導体集積回路100には、電源VDDが供給される複数の半導体記憶装置30、31、40、41が搭載されており、これ等の半導体記憶装置30、31及び40、41は、各々、
図1の半導体記憶装置と同一の動作を行う。また、半導体記憶装置30、31を構成するトランジスタのしきい値電圧(Vt)の絶対値に対して、半導体記憶装置40、41を構成するトランジスタのしきい値電圧の絶対値の方が高く設定されている。半導体記憶装置30、31を低Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置、他の半導体記憶装置40、41を高Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置と呼ぶ。
【0192】
一般に、半導体記憶装置を構成するMOSトランジスタのオフリーク電流は、トランジスタのしきい値電圧の絶対値を上げると、小さくなる。よって、高Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置40、41は、低Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置30、31に比べて消費電力が少ない。
【0193】
よって、高Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置40、41は、
図1のような半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2とビット線プリチャージ回路3とを電源VDDで遮断するような必要性が極めて低い。従って、電源遮断用のスイッチ素子(
図1のP型MOSトランジスタMP1)を削除して、半導体記憶装置40、41の面積を削減し、結果として、半導体集積回路100の面積を削減する方が効果的であるといえる。
【0194】
以上の通り、半導体集積回路100中にトランジスタのしきい値電圧の絶対値が異なる半導体記憶装置が混載されるような場合には、低Vtトランジスタで構成された半導体記憶装置30、31にのみ、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3との電源VDDを遮断できる構成にすれば、半導体集積回路の低消費電力化と小面積化を両立することが可能となる。
【0195】
本実施形態では、2種類のVtトランジスタで構成された半導体記憶装置が半導体集積回路中に混載される場合の説明を行なったが、2種類以上のVtトランジスタで構成された半導体記憶装置が半導体集積回路中に混載される場合においても、上記と同様な考え方を適用して半導体集積回路を構成すれば、半導体集積回路の低消費電力化と小面積化を両立することが可能となることは明らかである。
【0196】
(実施形態10)
図15は、本発明の実施形態10に係る半導体集積回路の構成図である。
【0197】
図15に示す半導体集積回路101は、半導体記憶装置50、51、P型MOSトランジスタMP50を備える。P型MOSトランジスタMP50のゲートには、電源遮断信号PDが入力される。半導体記憶装置50、51には、内部電源VDDI、および、電源VDDが接続される。
【0198】
P型MOSトランジスタ(スイッチ素子)MP50は、電源遮断信号PDで制御され、そのソース端子に電源VDD、そのドレイン端子に内部電源VDDIが接続され、内部電源VDDIは半導体記憶装置50、51に各々供給される。また、半導体記憶装置50、51は、各々、
図1に示した半導体記憶装置から、電源遮断信号PDで制御される電源遮断用のスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP1)を除いた構成である。
【0199】
つまり、
図15は、電源遮断信号PDで制御される電源遮断用のスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP50)を半導体集積回路101中に1つ備えた構成を示している。半導体集積回路101は、1つのスイッチ素子MP50により、全ての半導体記憶装置50、51のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3の電源VDDの遮断制御を同時に実施できるように構成したものである。
【0200】
以上のような構成にすれば、半導体記憶装置中に電源遮断用のスイッチ素子(
図1のP型MOSトランジスタMP1)を設ける必要がなくなるので、半導体記憶装置の小面積化が可能となり、更には、半導体集積回路101の小面積化が可能となる。
【0201】
尚、本実施形態では、半導体集積回路101中に2つの半導体記憶装置50、51を搭載した場合の説明を行なったが、半導体集積回路中に2つ以上の半導体記憶装置を搭載して同様に構成した場合においても、同一の効果が得られることは明らかである。
【0202】
(実施形態10の変形例)
図16は、本発明の実施形態10に係る半導体集積回路のその他の構成図である。
【0203】
図16に示す半導体集積回路101は、半導体記憶装置50、51、外部印加端子200を備える。内部電源VDDIおよび電源VDDは、外部印加端子200から半導体記憶装置50、51に供給される。
【0204】
図15は、半導体集積回路101中にスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP50)を配置し、このスイッチ素子を制御することで、半導体記憶装置50、51のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3の電源の遮断制御を実施している。これに対して、
図16に示した構成は、
図15の構成からスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP50)を削除している。さらに、外部印加端子200を介して、半導体集積回路101の外側から、半導体記憶装置50、51のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3に供給される内部電源VDDI(電源VDDの電位と等価な第2の電源)を供給するかしないかを制御するように構成した例である。
【0205】
図15のように半導体集積回路101の内部にスイッチ素子(P型MOSトランジスタMP50)を配置しなくても、
図16のように、半導体集積回路101の外側から、半導体記憶装置50、51のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3に対して、内部電源VDDI(第2の電源)を供給するかしないかを制御可能なように構成すれば、
図15に示した構成と同等の動作及び効果が得られることは明らかである。
【0206】
(実施形態11)
次に、本発明の実施形態11の半導体記憶装置を説明する。
【0207】
一般に、半導体記憶装置には、半導体記憶装置が待機状態であるのか、そうではないのかを選択するための制御信号(チップイネーブル信号)が入力される。例えば、チップイネーブル信号がLレベルであれば、半導体記憶装置が通常動作状態となり、チップイネーブル信号がHレベルであれば、半導体記憶装置が待機状態となる。
【0208】
以上で説明してきた電源遮断信号PDは、半導体記憶装置が待機状態の時に、電源遮断信号PDをHレベルにして、半導体記憶装置のワード線ドライバ回路2及びビット線プリチャージ回路3の電源VDDを遮断し、逆に、半導体記憶装置が通常動作を行うときには、電源遮断信号PDをLレベルにして、全ての回路に電源VDDが供給されるように制御している。
【0209】
つまり、半導体記憶装置に入力されるチップイネーブル信号により、電源遮断信号PDの制御を代用することが可能であることが容易に理解できる。
【0210】
以上の通り、電源遮断信号PDをチップイネーブル信号で代用すれば、半導体記憶装置に入力する制御信号を削減でき、半導体記憶装置の制御を簡素化することが可能となる。
【0211】
本実施形態の内容は、全ての実施形態に対して適用することが可能であることは明らかである。