【文献】
橋爪祐美 外1名,高齢者の体調変化に気づいた時の対応法,高齢者けあ,日本,日総研出版,2005年11月30日,Vol.9,No.4,pp.80-85
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示部は、前記被検者の水分量と前記熱中症リスク指標の他に、前記被検者の体温と前記湿球黒球温度(WBGT)値を表示可能な構成としたことを特徴とする請求項4に記載の水分計。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
図1は、本発明の水分計の第1の実施形態を被検者が使用している状態を示している。
図2は、
図1に示す水分計の外観の構造例を示している。
図2(A)は、水分計1の正面部分を示し、
図2(B)は、水分計1の上面部分を示している。
【0031】
図1と
図2に示す水分計1は、電子水分計あるいは腋下型電子水分計ともいい、水分計1は、小型で携帯可能な水分計である。
図2に示すように、水分計1は、概略的には、本体部10と、測定部の保持部11と、表示部の保持部12とを備え、水分計1の全体の重量は、
図1に示すように被検者(測定者)Mが腋下Rに挟んでも落ちないように軽量に作られている。
測定部の保持部11は、本体部10の一端部側に設けられ、表示部の保持部12は、本体部10の他端部側に設けられている。本体部10は、例えばプラスチックにより作られている。
本体部10のほぼ中間部分は、
図1の被検者Mが手で持ち易くしかも腋下Rに挟み易いようにするための形状に形成されている。本体部10は、
図2に示す例では内側に緩く湾曲した第1湾曲正面部分10Aと、内側に緩く湾曲した反対側の第2湾曲背面部分10Bと、内側に緩く湾曲した上側の湾曲状側面部分10Cと、下側の直線状側面部分10Dを有している。
【0032】
本体部10がこのような特徴ある形状に形成されているのは、被検者Mが本体部10を手で持ってあるいは握って、水分計1の測定部の保持部11を
図1の腋下Rに挟み込んで確実に保持できるようにするためである。このように、水分計1を用いて、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで、被検者Mの生体の水分量を測定するのは、次の理由からである。すなわち、水分量を腋下Rで測定するのは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。例えば、高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できる。
【0033】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、円形状の外周部11Dと、一方の凸部11Cと他方の凸部11Cを有しており、
図1に示す被検者Mの腋下Rには、測定部の保持部11を2つの凸部11Cを用いて測定部の保持部11を挟み込んで上腕Kで上から押さえて保持すれば、被検者Mの生体の水分量と、体温を安定して測定することができる。一方の凸部11Cは、測定部の保持部11の正面側に形成され、他方の凸部11Cは、測定部の保持部11の裏面側に形成されている。
図1に示すように水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が、被検者の上体Bの側面部に密着することで、水分計1はより確実に被検者Mの上体B側に保持できる。
例えば、
図1に示すように、水分計1を使用する際には、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に保持させることができる。測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離、すなわち本体部10が確保すべき長さは、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部の保持部12内の表示部20が、腋下Rの外側の位置(被検者Mの胴体部と上腕Kとにより挟まれない位置)にくるように設定されている。
【0034】
図2に示す表示部の保持部12は、長方形状の断面を有しており、表示部の保持部12の正面側には例えば長方形の表示部20が配置されている。この表示部20としては、例えば液晶表示装置や有機EL装置等を採用できる。
表示部の保持部12の正面側であって、表示部20の横には、音声発生部としてのスピーカ29やブザー28が配置されている。このように、表示部の保持部12の正面側には表示部20とスピーカ29とブザー28が配置されているので、表示部20とスピーカ29とブザー28が腋下R内に位置されてしまうことはなく、被検者Mは表示部20に表示される水分量と体温等の情報を確実に目視して確認でき、スピーカ29から発生される音声ガイダンス等を聞き取ることができ、ブザー28は必要な警報のための音を発生できる。
しかし、ブザー28は任意に設けることができ、ブザー28は設けなくても良い。
【0035】
図2に示すように、表示部20は、例えば被検者の生体内の水分量(%)表示画面(以下、水分量表示画面という)21と、体温(℃)表示画面(以下、体温表示画面という)22と、後で説明するWBGT指標表示部(度または℃)23と、熱中症リスク指標表示部24を有している。WBGT指標(Wet−Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度(単位:℃))はWBGT値ともいい、このWBGT指標については、後で説明する。
図2に示す例では、表示部20の水分量表示画面21は、比較的大きなサイズのデジタル表示により、例えば水分量の値を41%等と表示できる。体温表示画面22は、水分量のデジタル表示に比べて小さく表示された体温のデジタル表示により、被検者の体温(℃)を表示することができる。WBGT指標表示部23は、水分量表示画面21と同じ程度に大きなサイズのデジタル表示ができ、熱中症リスク表示部24は、熱中症リスク指標(熱中症リスクの程度)を、例えば3段階の表示、「小」あるいは「中」あるいは「大」等と表示することができる。
【0036】
これにより、被検者は、測定時に表示部20を見るだけで、被検者の水分量と湿球黒球温度(WBGT)値の他に、被検者の体温と、熱中症リスクの指標を、目視で確認することができるので、水分計1を使用する際に便利である。
本体部10の表示部の保持部12の端部25には、WBGT指標(値)を測定するためのセンサ部27が、電気配線26を用いて離して接続されている。センサ部27は、温度計27Aと湿度計27Bを内蔵している。これにより、センサ部27は、測定部の保持部11から離れた本体部10の他端から電気配線26を介して離して位置させることができるので、センサ部27は被検者Mの身体からできるだけ離した位置で、被検者Mの体温に影響を受けずに環境の気温と湿度を測定できる。
【0037】
図2に示すように、水分計1の測定部の保持部11は、いわゆる生体電気インピーダンス式(以下インピーダンス式という)の水分測定部30と、体温測定部31を保持している。測定部の保持部11の表面には、例えばディンプル加工等で凹凸を設けることで、滑り止め手段を配置することが好ましい。これにより、被検者Mが、測定部の保持部11を腋下Rに挟み込んだ場合に、水分計1の測定部の保持部11を確実に安定して挟持できる形状を有するとともに、熱容量を小さくし熱平衡状態に早期に到達させることが可能である。
【0038】
図2に示すインピーダンス式の水分測定部30は、
図1に示す被検者の腋下Rにおいて、生体電気インピーダンスを用いて被検者Mの生体の水分量を測定する部分である。
図1と
図2に例示するように、好ましくは測定部の保持部11の一方の凸部11Cには、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aが配置され、測定部の保持部11の他方の凸部11Cには、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bが配置されている。
例えば、
図1に示すように、インピーダンス式の水分測定部30が被検者の腋下Rに挟み込まれると、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aは、上体Bの側面部側の皮膚面Vに密着され、第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、上腕Kの内面側の皮膚面Vに密着されるようになっている。
【0039】
これにより、
図1に示すように、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第1の電位測定用の電極部100Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと第2の電位測定用の電極部100Bは、腋下Rの皮膚面Vに対して、確実に直接接触させることができることにより、被検者Mの水分量を測定するようになっている。第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造の一例は、後で
図4を参照して説明する。
【0040】
また、
図2の体温測定部31は、
図1に示す被検者の腋下Rにおいて、被検者Mの生体の体温を測定する部分であり、好ましくは測定部の保持部11の外周部11Dに沿って露出するように配置されている。これにより、体温測定部31は腋下Rの肌面に対して、確実に直接接触させることができる。
体温測定部31は、
図1に示す被検者Mの腋下Rに接触することで体温を検知するようになっており、体温測定部31は例えばサーミスタを有するものや、熱電対を有するものを採用できる。例えば、サーミスタにより検出された温度信号は、デジタル信号に変換して出力されるようになっている。このサーミスタは、例えばステンレスの金属キャップにより液密に保護されている。測定部の保持部11では、水分測定部30により被検者の水分量を測定するとともに、体温測定部31を用いて被検者Mの体温も同時に測定できる。
【0041】
次に、
図3は、
図2に示す水分計1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示す水分計1のブロックでは、本体部10は、制御部40、電源部41、タイマー42、表示部の駆動部43、演算処理部(処理部)44、ROM(読み出し専用メモリ)45,EEPROM(電気的にプログラム内容を消去および再書き込みすることができるPROM)46,RAM(ランダムアクセスメモリ)47を内蔵している。インピーダンス式の水分測定部30と、体温測定部31は、測定部の保持部11に配置され、表示部20とスピーカ29とブザー28は、表示部の保持部12に配置されている。
【0042】
図3の電源部41は、充電可能な二次電池あるいは一次電池であり、制御部40とインピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31に電源供給する。制御部40は、電源スイッチ10Sと、インピーダンス式の水分測定部30と温度測定部31と、タイマー42と、表示部の駆動部43と、演算処理部44に電気的に接続されており、制御部40は水分計1の全体の動作を制御するようになっている。センサ部27の温度計27Aと湿度計27Bは、制御部40に電気的にそれぞれ接続されている。
図3の表示部20は、表示部の駆動部43に電気的に接続されており、表示部の駆動部43は、制御部40からの指令により、表示部20には
図2に例示するように、例えば被検者の生体内の水分量(%)表示画面(以下、水分量表示画面という)21と、体温(℃)表示画面(以下、体温表示画面という)22と、後で説明するWBGT指標表示部(度)23と、熱中症リスク表示部24を表示させるようになっている。
図3の演算処理部44は、スピーカ29とブザー28と、ROM45,EEPROM46,RAM47に電気的に接続されている。
【0043】
ここで、
図3に例示するインピーダンス式の水分測定部30について説明する。
水分計1における生体電気インピーダンス式による水分量の測定では、次のことが言える。人体の細胞組織は、多数の細胞から構成されており、各細胞は、細胞外液で満たされた環境に存在する。このような細胞組織に電流を流した場合には、低周波交流電流は、主として細胞外液領域を流れ、高周波交流電流の場合には、細胞外液領域および細胞内を流れる。
【0044】
このように電流を細胞組織に流した場合の、細胞外液領域の電気インピーダンス値は抵抗成分のみからなり、細胞の電気インピーダンス値は、細胞膜の呈する容量成分と細胞内液の呈する抵抗成分とが直列に接続されたものとなる。
被検体Mの生体(身体)の電気的特性は、組織または臓器の種類によって著しく異なっている。このような各組織や臓器を含む身体の全体の電気的特性は、生体電気インピーダンスによって表すことができる。
【0045】
この生体電気インピーダンス値は、被検者の体表面に装着された複数の電極間に微小電流を流すことによって測定されるものであって、このようにして得られた生体電気インピーダンス値から、被検者の体脂肪率,体脂肪重量,除脂肪体重,体水分量等を推計することができる(非特許文献1:「インピーダンス法による体肢の水分分布の推定とその応用」,医用電子と生体工学、vol.23,No.6,1985を参照)。
生体内の水分量に関しては、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。水分量の測定に関しては、生体内の水分量が多い時には生体電気インピーダンス値は低値を示し、生体内の水分量が少ない時には生体電気インピーダンス値は高値を示し、細胞外液抵抗と細胞内液抵抗を計算することによって推定する方法が知られている。
【0046】
図3に例示するインピーダンス式の水分測定部30は、被検者Mの生体に交流電流を印加して、生体電気インピーダンス値を測定する装置である。
図3に示すインピーダンス式の水分測定部30は、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bと、交流電流出力回路101と、2つの差動増幅器102,103と、切替器104と、A/D変換器105と、基準抵抗器106を有する。
第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bは、例えば
図2に示す測定部の保持部11において外部に露出して設けられている。これにより、これら4つの電極部30A,30B,100A,100Bは、
図1に示す被検者Mの腋下Rの皮膚面に直接接触させることができる。
【0047】
図3の交流電流出力回路101は、制御部40と第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに電気的に接続され、交流電流出力回路101と第1の測定電流供給用の電極部30Aの間には、基準抵抗器106が配置されている。差動増幅器102はこの基準抵抗器106の両端部に接続されている。もう1つの差動増幅器103は、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bに電気的に接続されている。2つの差動増幅器102,103は、切替器104とA/D変換器105を介して制御部49に電気的に接続されている。
【0048】
図3において、制御部40が交流電流出力回路101に予め定めた生体印加用信号を供給すると、交流電源出力回路101は基準抵抗器106を介して第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bに対して、交流の測定電流を供給する。一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の両端の電位差を検出する。他方の差動増幅器103は、電位測定用の電極部100A,100Bの電位差を検出する。切替器104は、差動増幅器102,103からの電位差出力のいずれかを選択してA/D変換器105に送り、A/D変換器105は、差動増幅器102,103の電位差出力をアナログ/デジタル変換して制御部40に供給するようになっている。
【0049】
次に、
図4を参照して、上述したインピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造例を説明する。
なお、第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、同じものを採用できる。
図4では、皮膚面Vとこの皮膚面Vにある水分Wを示している。
【0050】
図4に示す第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bの構造は、電極端子70と、半円形の板状の弾性変形部材71と、電極端子案内部72を有している。導電性を有する電極端子70は電気配線74に接続されており、弾性変形部材71の一端部は電極端子70の底部に固定され、弾性変形部材71の他端部は
図2の測定部の保持部11内の固定部分75に固定されている。電極端子案内部72は、筒状部分73を有しており、筒状部分73内には、電極端子70の下部が挿入されている。これにより、電極端子70の先端部が矢印G方向に皮膚面Vに対して押し付けられると、電極端子70は、弾性変形部材71の弾発力に抗して矢印H方向に押されるので、電極端子70の先端部は皮膚面Vに対して離れないようにして確実に接触させることができる。
しかし、上述した各電極部の構造は、
図4に示す構造以外にも、任意に選択することができる。
【0051】
ところで、被検者Mの脱水状態が継続すると様々な症状へと進行することが知られている。その中でも熱中症は大きな問題となっている。このように脱水状態が進んで生じる熱中症を早期に発見する方法、または熱中症の重篤度を判断する方法としては、
図1の被検者Mの水分量と共に被検者Mの体温を計測することが望ましい。被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係から例えば、被検者の症状例として以下のように判断できることを、
図5を参照して説明する。
図5に示す被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との相関関係例は、例えば
図3のEEPROM46に格納されている。
図5において、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪の様な脱水以外の疾患であるといえる。
このように、被検者の生体の水分量と体温から、被検者の健康、軽度と重度の脱水症状、風邪症状を判断可能になるので、本発明の実施形態の水分計1では、腋下Rにおける水分量の測定と体温の測定が重要である。
【0052】
すでに説明したように、脱水症状が進むと熱中症になるが、熱中症リスクの程度を判断するために、
図6を参照して、上述したWBGT指標(WBGT値)について、説明する。
図6は、縦軸に気温(℃)(乾球温度)を示し、横軸は相対湿度(%)を示し、WBGT値(WBGT温度)と、気温と、そして相対湿度との関係例を示すWBGT値のテーブル180であり、日本生気象学会「日常生活における熱中症予防指針」Ver.1 2008.4からの出典のものである。
図6に示すWBGT値のテーブル180において、例えばWBGT値が31度以上であれば熱中症リスクの程度が「危険」、28度〜31度であれば熱中症リスクの程度が「厳重警戒」、25度〜28度であれば熱中症リスクの程度が「警戒」、そして25度未満であれば熱中症リスクの程度が「注意」であることを示している。
図6において、例えば気温が30℃であって、相対湿度が90%であれば、WBGT値は32℃(32度ともいう)となり、熱中症リスクの程度が「危険」であることを示している。
図6に示すWBGT指標(WBGT値)は、労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行う簡便な指標である。暑熱環境を評価する場合には、気温に加えて、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮して総合的に評価する必要があり、WBGT値は、これらの基本的温熱諸要素を総合したものとなっている。
図6に示すWBGT値のテーブル180は、例えば
図3のEEPROM46に格納されている。
【0053】
図7は、
図1〜
図3に示す本発明の実施形態の水分計1における熱中症のリスク指標を判断するために用いられる熱中症リスク判断テーブル200を示している。この
図7に示す熱中症リスク判断テーブル200は、例えば
図3のEEPROM46に格納されている。
図7の熱中症リスク判断テーブル200の縦軸は水分量の区分例を示し、横軸はWBGT値の区分例を示している。
熱中症リスク判断テーブル200の縦軸は水分量の区分例では、例えば水分量が0%〜30%、31%から40%、そして41%以上に、3つに区分されている。
これに対して、WBGT値の区分例では、例えばWBGT値が31度以上であれば熱中症リスクの程度が「危険:運動中止」、28度〜31度であれば熱中症リスクの程度が「厳重警戒」、25度〜28度であれば熱中症リスクの程度が「警戒」、そして21度〜25度であれば熱中症リスクの程度が「注意」、そして21度未満であれば熱中症リスクの程度が「ほぼ安全」に区分されている。
図7の熱中症リスク判断テーブル200では、RHは熱中症リスクの程度が「高」であることを示し、RMは熱中症リスクの程度が「中」であることを示し、そしてRMは熱中症リスクの程度が「低」であることを示しており、3つの区分に定めている。
【0054】
すでに説明したように、
図3に示すEEPROM46は、
図6に示すWBGT値のテーブル180と、
図7に示す熱中症リスク判断テーブル200と、その他に所定の音声データを格納している。
図3に示すROM45は、タイマー42により計測されたタイミングに基づいて、インピーダンス式の水分測定部30により測定されたインピーダンス値から得られている水分量データと、温度測定部31により測定された体温データから算出された水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算するプログラムを格納している。
また、ROM45は、
図3に示すセンサ部27の温度計27Aにより得られる気温と、センサ部27の湿度計27Bから得られる相対湿度に基づいて、
図6に示すWBGT値のテーブル180からWBGT指標(WBGT値)を特定するプログラムを格納している。
さらに、ROM45は、得られた被検者の水分量とWBGT値を、
図7に示す熱中症リスク判断テーブル200を参照することで、熱中症リスクの程度RH、RM、RLを特定するプログラムを格納している。
図3に示すRAM47は、算出された水分量データと体温データをそれぞれ時系列で記憶することができる。また、RAM47は、すでに説明したように、得られた被検者の水分量とWBGT指標(WBGT値)を記憶することができる。
【0055】
なお、既に述べたように、一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。このため、測定した体温データを用いて生体電気インピーダンス値の補正をすることができる。
図3の処理部としての演算処理部44は、ROM45に格納されたプログラムに従った被検者の水分量と体温を予測演算する。演算処理部44は、センサ部27の温度計27Aにより得られる気温とセンサ部27の湿度計27Bから得られる相対湿度に基づいて
図6に示すWBGT値のテーブル180からWBGT指標(WBGT値)を特定する。演算処理部44は、得られた被検者の水分量とWBGT指標(WBGT値)を
図7に示す熱中症リスク判断テーブル200を参照することで、熱中症リスクの程度RH、RM、RLを特定する。さらに、演算処理部44は、スピーカ29への音声データの出力、ブザー28を鳴らす動作等を行う。
【0056】
次に、
図8を参照して、水分計1の使用例を説明する。
図8のステップS0では、被検者が
図3に示す電源スイッチ10Sをオンして、オン信号を制御部40に送ると、水分計1は測定可能状態になる。
図8のステップS1では、
図3の制御部40は、演算処理部44において以前に演算されたWBGT値の初期化を行い、演算処理部44は、センサ部27の温度計27Aにより得られる気温と、センサ部27の湿度計27Bから得られる相対湿度と、に基づいて、
図6に示すWBGT値のテーブル180からWBGT指標(WBGT値)を演算して特定する。
【0057】
次に、ステップS2では、
図1に示すように、被検者Mが水分計1の測定部の保持部11を腋下Rに対して、
図2の2つの凸部11Cを用いて挟みこむ。このように水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持された状態では、本体部10が被検者の上体Bの側面部に密着することで水分計1はより確実に被検者の上体Bに保持でき、例えば、表示部の保持部12は、被検者Mの前方Dに向けてほぼ水平に位置させることができる。
しかも、測定部の保持部11と表示部の保持部12との間の距離は、被検者Mが測定部の保持部11を腋下Rに挟んだ場合に、表示部20が腋下Rの外側の位置(胴体部と上腕とにより挟まれない位置)にくるので、被検者Mは表示部の保持部12の表示部20の水分量のデジタル表示24と体温のデジタル表示25を容易に目視できる。しかも、被検者Mは、例えばスピーカ29が発生する音声ガイダンスやブザー28が発する警報音等を聞き取ることができる。
【0058】
図8のステップS3では、
図1に示すように、水分計1の測定部の保持部11が腋下Rに保持されると、
図3の演算処理部44は、水分計1の初期化を行い、タイマー42からのタイミング信号に基づいて、所定のサンプリングのタイミングで、水分測定部30により測定された水分量データ信号P1と、温度測定部31により測定された体温データ信号P2を取り込む。
このように、
図3の水分測定部30から水分量データ信号P1を得る場合には、
図1に例示するように被検者Mの腋下Rに接触している第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bが、交流電流出力回路101から被検者Mに対して交流電流が印加される。そして、被検者の腋下Rに接触している第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bが、被検者の腋下Rでの2点の電位差を検出して、この電位差が他方の差動増幅器103に供給され、他方の差動増幅器103は、被検者Mの2点間の電位差信号を切替器104側に出力する。
【0059】
図3の一方の差動増幅器102は、基準抵抗器106の電位差信号を切替器104側に出力する。制御部40が切替器104を切り替えることで、一方の差動増幅器102からの電位差信号と他方の差動増幅器103からの電位差信号が、A/D変換器105によりアナログ/デジタル変換して制御部40に供給され、制御部40はこのデジタル信号に基づいて生体電気インピーダンス値を求める。この制御部40は、得られた生体電気インピーダンス値から水分量データP1を演算する。この水分量データP1は、制御部40から演算処理部44に送られる。
【0060】
図8のステップS4では、演算処理部44は、水分量データP1と温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者Mの水分量と体温を予測演算することができる。
ステップS5では、演算処理部44は、得られた被検者Mの水分量とWBGT値から、
図7に示す熱中症リスク判断テーブル200に基づいて、熱中症リスクの程度が高いRH、中くらいのRM、低いRLのいずれであるかを特定する。
【0061】
図8のステップS6では、
図3の演算処理部44が演算された被検者Mの水分量の値と、熱中症リスクの程度を得ると、制御部40は、表示部の駆動部43に指令を与えて、表示部20において、
図2(A)に例示するように、演算された被検者Mの水分量の値(例えば41%)と、体温の値(例えば36.5℃)と、WBGT指標(WBGT値)(例えば26度)と、熱中症リスクの程度(例えば中:RM)を表示することができる。例えば、熱中症リスクの程度と水分量は、スピーカ29により、被検者に報知することができる。
なお、例えば、熱中症リスクの程度が低(RL)であれば、ブザー28は1回警告音を発生することができ、熱中症リスクの程度が中(RM)であれば、ブザー28は2回警告音を発生することができ、さらに熱中症リスクの程度が高(RH)であれば、ブザー28は3回警告音を発生することができるようにしても良い。
そして、ステップS7では、被検者Mが水分計1により測定を終了する場合には、ステップS8において
図3の電源スイッチ10Sをオフする。しかし、水分計1による測定を終了しない場合には、ステップS3に戻って再度ステップS3からS7の処理を繰り返すことになる。
【0062】
上述した本発明の実施形態の水分計1は、被検者Mの水分量を適切に測定できる腋下Rで測定できるような構造を有している。インピーダンス式の水分測定部30の第1の測定電流供給用の電極部30Aと第2の測定電流供給用の電極部30Bと、第1の電位測定用の電極部100Aと第2の電位測定用の電極部100Bにより測定された生体電気インピーダンス値から、演算処理部44は、水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算することができる。これにより、日常生活における健康の維持に極めて重要な水分調節はもとより、口渇感による適切な飲水行動が困難な乳幼児や高齢者あるいは激しい運動時などに適正な水分調節を行う支援手段として有効である。
【0063】
また、被検者Mの水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下Rを選んで測定するのは、水分量を腋下Rで測定することは、被検者Mの生体全身の水分状態を反映しているためである。また、一般的に、高齢者の皮膚は乾燥しやすく人によるばらつきが多い。その中でも、腋下Rは他の部位に比べ、外部からの影響が少ないため、測定のばらつきが少なく好適である。高齢者の痩せている人であっても、水分計1の測定部の保持部11は、身体と上腕の間の腋下Rに確実に挟み込んで保持できる。また、被検者が乳幼児であっても、腋下Rであれば測定部の保持部11を容易に挟み込んで確実に保持できるからである。さらには、水分測定部30は腋下Rのなかでも真ん中を確保するような構造を有することで測定精度をより高めている。
【0064】
しかも、本発明の実施形態の水分計1は、好ましくはこのように被検者Mの水分量を適切に測定する際に、同時に腋下Rにおける体温をも測定できる構造を有している。これにより、
図5に示すように、医療従事者や介護者は、口腔等から水分を測定する場合に比べて、被検者Mの腋下Rに水分計1の測定部の保持部11を挟んで保持させるだけであるので、被検者Mの水分量を容易に測定できる。
図2に例示するように、表示部20に表示された被検者Mの生体の水分量と被検者Mの生体の体温との関係から、水分量が低い場合に、体温が正常値であれば被検者は軽度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が正常であれば被検者は健康状態である。これに対して、水分量が低い場合に、体温が高いと被検者は重度の脱水症状であり、水分量が正常である場合に、体温が高いと被検者は風邪症状であると、例えば医師により大まかな判断することができる。
しかも、水分計1の表示部20は、
図2に例示するように、上記のようにして得られた被検者の水分量と、WBGT値の関係から、熱中症リスクの程度を容易にしかも確実に得て表示することができ、水分計1は、被検者の水分摂取状況と外環境の2つを把握することで、より精密に熱中症のリスクを早期発見し、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効に使用できる。
【0065】
次に、本発明の水分計の第2の実施形態を、
図9を参照して説明する。なお、
図9に示す本発明の水分計の各実施形態が、
図2に示す本発明の水分計の実施形態と同じ個所には同じ符号を記してその説明を用いることにする。
図9に示す水分計1Aでは、センサ部27が、表示部の保持部12の端部25の側面部分に直接設けられている。これにより、
図2に示す電気配線26が不要となり、水分計1Aの扱いが容易になる。しかも、センサ部27は、測定部の保持部から離れた本体部の他端に直接設けられているので、センサ部27は被検者の身体からできるだけ離した位置で、被検者の体温に影響を受けずに環境の気温と湿度を測定できる。
図9に示す水分計1Aでは、例えば感温インクで形成された温度表示部330が表示部の保持部12に形成されている。この温度表示部330は、環境温度を、互いに色の異なるドット表示部331により概略表示することができる。
【0066】
次に、
図10と
図11を参照して、本発明の水分計の第3の実施形態を説明する。
図11は、水分計のさらに別の実施形態としての構成を示すブロック図である。
図11において、
図3と同一の符号を付した箇所は同じ構造であり、この実施形態では、水分測定部30の構成が
図12で示すように静電容量を用いたものとなっている点で異なるが、センサ部27が制御部40に対して電気的に接続されている構造は同じである。以下、共通する部分の説明は
図3の説明を援用し、相違点を中心に説明する。
図11に示す水分測定部30は、
図12に示す構成となっている。すなわち、測定対象物である被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定する。この水分測定部30は、容器部60と2つの電極61,62を有する。容器部60は、樹脂製の周囲部分63と蓋部分64を有しており、2つの電極61,62は蓋部分64に離して互いに電気絶縁された状態で、蓋部分64から外側に露出するようにして配置されている。
【0067】
これにより、2つの電極61,62が腋下Rの皮膚と皮膚上の水分Wに接触することで、被検者Mの生体の静電容量を計測して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量より水分量を測定するようになっている。2つの電極61,62からの水分量データ信号P1は、制御部40に送られ、演算処理部44は、水分量データ信号P2に基づいて水分量を計算する。
このように、水分測定部30は、複数の電極61,62を用いて静電容量を検知して、含水率に応じて変化する誘電率の変化量により水分量を測定するので、被検者の腋下において静電容量式で水分量を測定できる。静電容量は以下の式によって求めることが出来る。センサ表面の大きさSと電極間の距離dについては一定値を取ると考えると、静電容量(C)は誘電率(ε)の値に比例し、水分量が多いほど誘電率と静電容量の値は大きくなる。
静電容量(C)=ε×S/d(F)
誘電率=ε
S=センサ表面の大きさ
d=電極間の距離
これにより、
図11に示す演算処理部44は、水分測定部30により測定された水分量データP1と、温度測定部31により測定された体温データP2から得られる、被検者の水分量データと体温データの時間変化に基づいて、被検者の水分量と体温を予測演算する。従って、静電容量を利用した計測の場合は、電極は互いに絶縁された2つの電極だけ設ければよく、インピーダンス式のように、測定電流供給用の電極部と、電位測定用の電極部を一対ずつ設ける必要がなく簡便である。
【0068】
本発明の実施形態の水分計は、被検者の水分摂取状況と外環境の2つを把握することで、より精密に熱中症のリスクを早期発見し、被検者が適正な水分調節を行うための支援手段として有効な水分計を提供できる。すなわち、本発明の実施形態の水分計は、被検者の水分摂取状況である被検者の水分量と外環境を示す環境の温度と湿度の関係から湿球黒球温度(WBGT)値を設定して、被検者の水分量と湿球黒球温度(WBGT)値の関係テーブルを参照して熱中症のリスクの程度を判断するので、熱中症のリスクを早期発見し、被検者が適正な水分調節を行うことができる支援手段として有効である。
【0069】
本発明の実施形態における電気式の水分測定部は、インピーダンス式と静電容量式のどちらかを選択して用いることができる。
一般的に、汗腺はアポクリン腺とエクリン腺の2種類があることが知られている。ヒトの場合、エクリン腺は全身に分布しているが、アポクリン腺は、腋下、外耳道、下腹部、外陰部などの限定した部分にしか存在していない。
ここで、水分計を用いて、被検者の水分量を適切に測定できる生体の部位として腋下を選んで、被検者の生体の水分量を測定するのは、上記理由より水分量を腋下で測定することが被検者の生体全身の水分状態を最も反映しているためである。
【0070】
一般的に、体温が上昇すると生体電気インピーダンス値は下降し、体温が下降すると生体電気インピーダンス値は上昇するといったように、体温が変動すると生体電気インピーダンス値、すなわち水分量も変動することが知られている。しかし、従来の水分計では、このように体温の変動により生体電気インピーダンス値が変動することを何ら考慮せずに測定された生体電気インピーダンス値から体水分量を算出するため、正確な体水分量を求めることができず、従って脱水症状を正確に検出することができない。
例えば、体水分量が減少し、体温が上昇している場合には、体水分量の減少により生体電気インピーダンス値は上昇するが、体温の上昇により生体電気インピーダンス値は下降するため、測定された生体電気インピーダンス値より算出した体水分量から判定しても、脱水状態は検出されないということも起こり得る。このため、インピーダンス法により測定を行う場合、非測定者の体温がどの程度かを知る必要があるが、体温測定によるインピーダンス値の補正、または発熱しているため正確な水分量が判定できないなどという警告等は実施されていない。
【0071】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明は様々な修正と変更が可能であり、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変形が可能である。
図2に示す表示部20の熱中症リスク表示部24は、熱中症リスク指標(熱中症リスクの程度)を、例えば3段階の表示、「小」あるいは「中」あるいは「大」等と表示することができるが、これに限らず2段階「小」、「大」、あるいは4段階以上で表示することもできる。
【0072】
上述した水分計では、いわゆる生体電気インピーダンス式(以下インピーダンス式という)の水分測定部30を用いているが、これに限らず光学式の水分測定部あるいは空間測定式の水分測定部を用いるようしても良い。
センサ部27には、クリップなどを取付けて、着衣のポケット等に掛止できるようにしてもよい。
光学式の水分測定部では、例えば発光部が例えば赤外線領域の光を腋下の皮膚に照射して、反射した光を受光部で受光するようになっている。この光学式の水分測定部は、腋下の皮膚上の水分の量が多いほど、光量は水分に吸収されて低下することを利用している。空間測定式の水分測定部では、例えば腋下の皮膚上の水分の水蒸気が、周囲覆い部材を通って湿度センサに到達することから、湿度センサは、周囲覆い部材内の空間内の湿度を検知して水分量を検知する。
【0073】
ところで、使用者の腋窩に水分計を位置させるときに、先端のセンサ部の全面が当たっているほど正しく測定することができる。
しかし、自己の腋窩を目視することは困難であるから、自分でセンサ部を正しい位置に合わせることは難しい。
しかも、水分計を手に持って自分で測定する場合には、該表示部が水分計のどこに設けられているかにより、測定しながらその表示部を参照することは困難であり、一度水分計を腋窩から外して、表示部を確認する必要がある。
以下の実施形態は、このような課題を解決するためのものである。
(第4の実施形態)
図13は、本実施形態に係る体内水分計100の外観構成の一例を示す図である。体内水分計100は、被検者の体表面である腋窩の皮膚にセンサ部を接触させ、センサ部において供給した電気信号に応じた物理量を検出することで被検者の体内の水分量を検出する。本実施形態に係る体内水分計100では、当該物理量(生体中の水分に関するデータ)として被検者の静電容量を測定することにより、腋窩の皮膚の湿り具合を検出し、体内の水分量を算出する。なお、体内水分量を算出するために検出する物理量は静電容量に限られるものではなく、例えば、定電圧もしくは定電流を被検者に供給して測定されるインピーダンスであってもよい。
【0074】
図13に示すように、体内水分計100は本体部110と挿入部120とを備える。本体部110は、上面114、下面115、側面116、117がそれぞれ長軸方向(不図示)に略平行に形成されており、全体として、直線状に形成されている。本体部110の筐体表面には、各種ユーザインターフェースが配置されるとともに、筐体内部には体内水分量を算出するための電子回路が収納される。
【0075】
図13の例では、ユーザインターフェースとして、電源スイッチ111及び表示部112が示されている。電源スイッチ111は、本体部110の後端面113の凹部に配されている。このように凹部に電源スイッチ111を配する構成とすることで、電源スイッチ111の誤操作を防ぐことができる。なお、電源スイッチ111がオンされると後述の電源部411(
図16)から体内水分計100の各部への電源供給が開始され、体内水分計100は動作状態となる。
【0076】
表示部112は、本体部110の側面117上において、長軸方向のやや前方側に配されている。これは、体内水分計100を用いて被検者の体内水分量を測定するにあたり、測定者が把持領域118を把持した場合であっても、測定者の把持した手で表示部112が完全に覆われることがないようにするためである(把持した状態でも測定結果が視認できるようにするためである)。
【0077】
表示部112には、今回の水分量の測定結果131が表示される。また、参考として前回の測定結果132もあわせて表示される。さらに、電池表示部133には、電池(
図16の電源部411)の残量が表示される。また、無効な測定結果が得られた場合や測定エラーが検出された場合には、表示部112に“E”が表示され、その旨をユーザに報知する。なお、表示部112に表示される文字等は、本体部110の上面114側を上とし、下面115側を下として、表示されるものとする。
【0078】
体内水分計100の挿入部120は、上面124及び下面125が曲面形状を有しており、本体部110に対して、全体として、下向きに緩やかに湾曲している。挿入部120の先端面122には、センサ部121がスライド可能に保持されている。
【0079】
センサ部121は、先端面122に略平行な面を有するセンサヘッド123を有しており、センサヘッド123の皮膚への密着を保証する上での押圧を確保するため、不図示のばねにより、矢印141bの方向へ付勢されている(たとえば150gf程度の付勢力)。そして、センサヘッド123が被検者の腋窩の皮膚に押し当てられると、センサ部121が矢印141aの方向(先端面122と略直交する方向、すなわち先端面122の法線方向)に所定量(例えば1mm〜10mm、本実施形態では4mm)スライドし、これにより測定が開始するよう構成されている(以下、矢印141aの方向をスライド方向と称す)。
【0080】
具体的には、ユーザが電源スイッチ111をオンして体内水分計100を動作状態とした後、センサヘッド123を被検者の腋窩に所定時間以上(例えば2秒以上)押し当てられたことが検知されると、体内水分量の測定が開始される。あるいは、ユーザが電源スイッチ111をオンして体内水分計100を動作状態とした後、センサヘッドを被検者の腋窩に所定負荷(例えば20gf〜200gf、さらに好ましくは100gf〜190gf、本実施形態では150gf)で押し当てたことが検知されると、体内水分量の測定が開始される。このような仕組みにより、測定時におけるセンサヘッド123の腋窩への密着の程度を一定にすることができる。
【0081】
なお、センサヘッド123の被検者との接触面には、電極が敷設され、電極を覆うように保護材が設けられている。また、センサヘッド123の接触面は平面形状に限られず、凸状の曲面形状でもよい。そのような接触面の形状の例としては、球面(例えば半径15mmの球面)の一部とすることが挙げられる。
【0082】
次に、体内水分計100の筐体形状について詳細に説明する。
図14は、体内水分計100の筐体形状を詳細に説明するための図である。
【0083】
図14に示すように、体内水分計100の挿入部120は、先端面122の法線方向202(つまりスライド方向)が、本体部110の長軸方向201に対して、約30°の角度をなすように、先端面122が形成されている(先端面122と平行な方向203が、本体部110の長軸方向201と直交する方向204に対して、約30°の角度をなすように、先端面122が形成されている)。加えて、挿入部120の先端面122近傍の筐体は、先端面122の法線方向202に概ね沿った形状を有している。
【0084】
このように、挿入部120の湾曲方向205とセンサ部121のスライド方向202とが一致するように、挿入部120の湾曲形状を形成したことにより、測定時に測定者が体内水分計100を把持して被検者の腋窩に押し当てるにあたり、先端面122が視認できない状態であっても、測定者は、湾曲方向205に向かって体内水分計100を押圧するだけで、押圧方向を誤ることなく測定を行うことができる。つまり、センサ部121を被検者の腋窩に的確に密着させることができ、正確な測定を実現することが可能となる。
【0085】
また、
図14に示すように、体内水分計100の挿入部120は、下面125が曲面形状を有している。このように、挿入部120の下面125を曲面形状に形成することで、測定時に測定者が体内水分計100を把持して被検者の腋窩に押し当てるにあたり、被検者の腋窩が深い場合であっても、被検者の上腕の前側側壁と体内水分計100の下面125とが干渉することを回避させることが可能となる。
【0086】
更に、
図14に示すように、体内水分計100の挿入部120は、センサ部121が、本体部110と挿入部120との境界位置206から、約40〜50mmの位置に配置されるように、その長さが規定されている。
【0087】
挿入部120の長さをこのように規定することで、被検者の腋窩が深い場合であっても、測定者は、把持した手が被検者の上腕等と干渉することなく、被検者の腋窩にセンサ部121を押し当てることができる。
【0088】
更に、
図14に示すように、挿入部120は、その断面積が、境界位置206において本体部110の断面積と等しくなるように形成され、センサ部121に近づくにつれ、徐々に小さくなるように形成されている(つまり、挿入部120は、先端に向かって、細くなるように形成されている)。
【0089】
このように、挿入部120のセンサ部121近傍の断面積を小さくすることで、測定者が体内水分計100を被検者の腋窩に挿入するにあたり、上腕の可動範囲が狭い被検者であっても、容易に挿入することができる。
【0090】
次に、上記特徴的な外観形状を有する体内水分計100の使用例について説明する。
図15は、体内水分計100の使用例を説明するための図である。
【0091】
図15(A)は、被測定者の左上半身を示しており、
図15(B)は、
図15(A)のa−a断面を模式的に示したものである。
【0092】
図15(B)に示すように、体内水分計100は、センサ部121が、被検者の左上腕と左胸壁との間の腋窩に押し当てられた状態で、被検者の体内水分量の測定を行う。
【0093】
センサ部121を腋窩に押し当てるにあたり、測定者は、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の把持領域118を右手で把持し、被検者の前方下側から、腋窩に向かって、センサ部121を挿入する。
【0094】
上述したように、体内水分計100の挿入部120は緩やかに湾曲しており、かつ、境界位置206からセンサ部121までの長さが40〜50mm程度あるため、被検者の前方下側から腋窩に向かって挿入した際に、上腕の前側の側壁と体内水分計100とが干渉することはなく、また、測定者の右手が被検者の上腕と干渉することもなくセンサ部121を腋窩に略直角に押し当てることができる。
【0095】
また、挿入部120の湾曲方向205とセンサ部121のスライド方向202とが一致するように、挿入部120の湾曲形状が形成されているため、測定者は、湾曲方向205に沿って押圧することで、センサ部121を腋窩に略直角に押し当てることができる。
【0096】
このように、本実施形態に係る体内水分計100の形状によれば、高齢者等のように、腋窩が深い被検者であっても、容易に測定を行うことができる。
【0097】
図16は、本実施形態に係る体内水分計100の機能構成例を示すブロック図である。
図16において、制御部401は、CPU402、メモリ403を有し、CPU402はメモリ403に格納されているプログラムを実行することにより、体内水分計100における種々の制御を実行する。
【0098】
例えば、CPU402は、
図18のフローチャートにより後述する表示部112の表示制御、ブザー422やLEDランプ423の駆動制御、体内水分量の測定(本実施形態では静電容量測定)などを実行する。メモリ403は、不揮発性メモリと揮発性メモリとを含み、不揮発性メモリはプログラムメモリとして、揮発性メモリはCPU402の作業メモリとして利用される。
【0099】
電源部411は、交換が可能なバッテリー、或いは充電が可能なバッテリーを有し、体内水分計100の各部へ電源を供給する。電圧レギュレータ412は、制御部401等へ一定電圧(例えば、2.3V)を供給する。電池残量検出部413は、電源部411から供給される電圧値に基づいて、電池の残量を検出し、その検出結果を制御部401に通知する。制御部401は、電池残量検出部413からの電池残量検出信号に基づいて、電池表示部133の表示を制御する。
【0100】
電源スイッチ111が押下されると、各部への電源部411からの電力供給が開始される。そして、制御部401は、電源スイッチ111のユーザによる押下が1秒以上継続したことを検出すると、電源部411からの各部への電源供給を維持させ、体内水分計100を動作状態とする。上述したように、測定スイッチ414は、センサ部121が矢印141aの方向へ所定量以上押されるとオン状態になる。制御部401は、測定スイッチ414のオン状態が所定時間(例えば2秒)継続すると、水分量の測定を開始する。なお、電源部411の消耗を防止するために、体内水分計100が動作状態になってから5分経過しても測定開始とならない場合は、制御部401は自動的に体内水分計100を電源オフの状態へ移行させる。
【0101】
測定回路421は、センサヘッド123と接続され、静電容量を測定する。
図17は、測定回路421の構成例を示す図である。オペアンプ501、502、抵抗503、504、被検者容量510によりCR発振回路が形成されている。被検者容量510によって出力信号505の発振周波数が変化するので、制御部401は、出力信号505の周波数を測定することにより、被検者容量510を算出する。なお、本実施形態のセンサヘッド123は、例えば、2つのくし型電極が、それぞれのくし歯が互い違いに並ぶように配置されているものとするが、これに限られるものではない。
【0102】
図16に戻る。表示部112は、
図13で説明したような表示を制御部401の制御下で行う。ブザー422は、センサ部121の押下による測定の開始や、体内水分量の測定が完了した際に鳴動し、測定の開始や完了をユーザに通知する。LEDランプ423もブザー422と同様の通知を行う。すなわち、LEDランプ423は、センサ部121の押下による測定の開始や、体内水分量の測定が完了した際に点灯し、測定の開始や完了をユーザに通知する。計時部424は、電源がオフの状態であっても電源部411からの電源供給を受けて動作し、動作状態においては時刻を制御部401に通知する。
【0103】
以上のような構成を備えた、本実施形態に係る体内水分計100の動作を、
図18のフローチャートを参照して説明する。
【0104】
ステップS601では、制御部401が、測定開始の指示を検出する。本実施形態では、測定スイッチ414の状態を監視し、測定スイッチ414のオン状態が2秒以上継続した場合に測定開始の指示を検出したと判定する。制御部401は、測定開始の指示を検出すると、ステップS602において、測定回路421からの出力信号505の発振周波数を測定する。
【0105】
ステップS603では、ステップS602において測定された出力信号505の発振周波数に基づいて、被検者の体内水分量を算出する。
【0106】
ステップS604では、ステップS603で算出された体内水分量が所定の閾値を超えるか否かに基づいて被検者が脱水状態か否かを判定する。なお、この場合の閾値とは、例えば、水を100%、空気を0%とした時の35%に相当する値が望ましい。
【0107】
ステップS605では、今回の測定情報をメモリ403に格納する。
図19は、メモリ403に格納される測定情報のデータ構成を示す図である。
図19において、測定値701は、今回の測定により算出された体内水分量である。判定結果702は、今回の測定により算出された体内水分量に対して、ステップS604において判定された、脱水状態か非脱水状態かを示す情報である。測定時刻703は、今回の測定において計時部424から通知された時刻を示す情報である。測定時刻703としては、例えば、ステップS602において測定を実行した時点で計時部424から通知されている時刻とすることができる。
【0108】
ステップS606では、今回の測定により算出された体内水分量を表示部112に表示する。このとき、脱水状態か非脱水状態かの判定結果に応じた表示形態により表示を行う(例えば、脱水状態の場合には、赤色にて体内水分量を表示し、非脱水状態の場合には、青色にて体内水分量を表示する)。
【0109】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体内水分計100は、腋窩を測定部位とするのに適した形状とすべく、
・先端面の法線方向が、本体部の長軸方向に対して、約30°の角度をなすように、先端面を形成した。
先端面の法線方向に沿った形状となるように、挿入部の先端を形成した。
挿入部の下面側を湾曲形状に形成した。
センサ部と境界位置との距離が40〜50mmとなるように、挿入部の長さを規定した。
挿入部が先端に向かって細くなるように形成した。
【0110】
この結果、腋窩を測定部位とする体内水分計において、測定しやすい構造を提供することが可能となった。
【0111】
(第5の実施形態)
上記第4の実施形態では、挿入部120が境界位置206から下方向に向かって湾曲する形状(つまり、挿入部120の上面124が本体部110の上面114より下方に位置する形状)について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、挿入部120の上面124の一部が本体部110の上面114より上方に位置する形状に構成してもよい。
【0112】
図20は、本発明の第5の実施形態に係る体内水分計800の外観構成を示す図である。挿入部120を、
図20に示す形状に構成した場合であっても、上記第4の実施形態と同様の効果が得られる。
【0113】
(第6の実施形態)
上記第4の実施形態では、体内水分計100の重心位置について特に言及しなかったが、体内水分計100の重心位置は、必ずしも本体部110の中央位置である必要はない。
【0114】
上述したように、測定者は、測定時に、体内水分計100をセンサ部121を上向きにして把持するため、本体部110の後端面113側に例えば、電源部411や制御部401といった筐体内の構成部位を配することで、重心が本体部110の後端面113側になり、測定者にとっては、測定時のバランスが取りやすくなる。
【0115】
また、体内水分計100は、測定時に、上面114側を下向きにして把持することから、本体部110の上面114側(挿入部120の湾曲方向とは反対側)に重心を配置することで、測定者にとっては、測定時のバランスが取りやすくなる。
【0116】
(第7の実施形態)
上記第1乃至第6の実施形態では、先端面122の法線方向202が、本体部110の長軸方向201に対して、約30°の角度をなすように形成するものとして説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、先端面122の法線方向202が、本体部110の長軸方向201に対して、約20°〜40°の角度をなすように、先端面122を形成するようにしてもよい。
【0117】
また、上記第4の実施形態では、センサ部121から境界位置206までの距離が、40〜50mm程度となるように、挿入部120の長さを規定することとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、被検者の腋窩の深さを考慮し、センサ部121から境界位置206までの距離が、80〜90mm程度となるように、挿入部120の長さを規定するようにしてもよい。
【0118】
また、上記第1乃至第6の実施形態では、後端面113から表示部112までの距離が、40〜50mm程度として説明したが、本発明はこれに限定されない。測定者が本体部110を把持した際に、表示部112が完全に覆われることがない程度に配置されていればよい。
【0119】
ところで、腋窩の水分量は、体温における「平熱」のように、人によって特定の安定した状態が維持されている性質のものである。しかしながら、その安定して維持されている個々人の各水分量(「平熱」に相当する「安定した水分量」)をそれぞれの人が記憶しているのは稀であり、難しいことである。また、そのような個々人の安定水分量が高めなのか低めなのかといった判断も、特定の目安が無いと判断できない。
以下の実施形態はこのような課題を解決するためのものである。
(第8の実施形態)
第8の実施形態に係る体内水分計の外形と、電気的構成は第4ないし第7の各実施形態と略同様であり、これら実施形態と共通する図面およびその符号が共通する場合は、既に説明した内容と同じであるから重複する説明は省略する。
【0120】
図21において、表示部112には、水分量の測定結果131が表示される。また、脱水の可能性の度合いや重篤度を参考的に示すためのマーク132もあわせて表示される。本実施形態では、
・水分量の測定結果が35%以上であれば正常であるとして、水滴が満たされたマーク132aを、
・35%未満25%以上であれば、水分がやや足りず、脱水の可能性もあるとして、水滴が半分満たされた状態のマーク132bを、
・25%未満では脱水状態であり、重篤である可能性もあるとして水滴が空の状態のマーク132cを、
それぞれ表示する。
【0121】
電池表示部133には、電池(
図16の電源部411)の残量が表示される。また、無効な測定結果が得られた場合や測定エラーが検出された場合には、表示部112に“E”が表示され、その旨をユーザに報知する。なお、表示部112に表示される文字等は、本体部110の上面114側を上とし、下面115側を下として、表示されるものとする。
【0122】
次に、上記特徴的な外観形状を有する体内水分計100の使用例について説明する。
図15は、体内水分計100の使用例を説明するための図であり、
図15(A)は、被測定者の左上半身を、
図15(B)は、
図15(A)のa−a断面を模式的に示したものである。
図15(B)に示すように、体内水分計100は、センサ部121が、被検者の左上腕と左胸壁との間の腋窩に押し当てられた状態で、被検者の体内水分量の測定を行う。
【0123】
センサ部121を腋窩に押し当てるにあたり、測定者は、センサ部121が上側を向くように体内水分計100の把持領域118を右手で把持し、被検者の前方下側から、腋窩に向かって、センサ部121を挿入する。
【0124】
図21で示したように、体内水分計100の挿入部120は緩やかに湾曲しており、被検者の前方下側から腋窩に向かって挿入した際に、上腕の前側の側壁と体内水分計100とが干渉することはなく、また、測定者の右手が被検者の上腕と干渉することもなくセンサ部121を腋窩に略直角に押し当てることができる。
【0125】
また、挿入部120の湾曲方向とセンサ部121のスライド方向141とが一致するように、挿入部120の湾曲形状が形成されているため、測定者は、湾曲方向205に沿って押圧することで、センサ部121を腋窩に略直角に押し当てることができる。
【0126】
このように、本実施形態に係る体内水分計100の形状によれば、高齢者等のように、腋窩が深い被検者であっても、容易に測定を行うことができる。
【0127】
以上のような構成を備えた、本実施形態に係る体内水分計100の動作を、
図22のフローチャートを参照して説明する。
【0128】
ステップS501では、制御部401が、測定開始の指示を検出する。本実施形態では、測定スイッチ414の状態を監視し、測定スイッチ414のオン状態が2秒以上継続した場合に測定開始の指示を検出したと判定する。制御部401は、測定開始の指示を検出すると、ステップS502において、制御部401は、測定回路421からの出力信号505の発振周波数を測定する。ステップS503では、制御部401は、ステップS502において測定された出力信号505の発振周波数に基づいて、被検者の体内水分量を算出する。
【0129】
ステップS504とステップS505において、制御部401は、ステップS503で算出された体内水分量が第1の基準値(本実施形態では35%)以上か、第1の基準値未満で第2の基準値(本実施形態では25%)以上か、第2の基準値未満かを判定する。体内水分量が第1の基準値以上の場合、処理はステップS506へ進み、制御部401は、脱水の心配がない正常値であることを示すマーク132aを選択する。体内水分量が第1の基準値未満で第2の基準値以上の場合、処理はステップS507へ進み、制御部401は、脱水の可能性があることを示すマーク132bを選択する。更に、体内水分量が第2の基準値未満の場合、処理はステップS508へ進み、制御部401は、脱水状態が進行していることを示すマーク132cを選択する。なお、本実施形態では第1の基準値と第2の基準値により表示の形態を変更しているが、これに限られるものではない。例えば、第1の基準値で表示の形態を変更するのみとしても良いし、3つ以上の基準値で順次に表示の携帯を変更するようにしても良い。
【0130】
次に、ステップS509において、制御部401は、今回の測定により算出された体内水分量を測定結果131として表示部112に表示する。このとき、制御部401は、上記ステップS506〜S508のいずれかで選択されたマーク132を表示部112に表示する。ユーザは体内水分量の測定値を知るとともに、マーク132の表示により脱水状態か非脱水状態かの判定、その重篤度を容易に判断することができる。
【0131】
次に、本実施形態による体内水分計の校正方法と、上述した第1の基準値および第2の基準値について説明する。
図23(A)に示すように、本実施形態では、体内水分計100を用いて空気中で測定を行なったときの出力信号505(被検者静電容量)をS1、水中を測定したときの出力信号505(被検者静電容量)をS2とした場合に、S1に0%の体内水分量を、S2に100%の体内水分量を割り当てる。そして、S1とS2の間の出力信号と体内水分量をリニアに割り当てた直線201を用いて、センサからの出力信号を体内水分量に換算するように、パラメータを決定してメモリ403の不揮発性メモリに記憶する。ステップS503では不揮発性メモリに格納されたパラメータを用いて、被検者静電容量が体内水分量へ換算される。
【0132】
このような校正が行なわれた体内水分計100を用いて複数の被検者について腋窩で体内水分量を測定するとともに、血液検査により血清浸透圧を測定して得られた結果を
図15(B)に示す。一般に血清浸透圧が295mmOsm以上の被検者は脱水状態であると判断される。図示の測定結果に示されるように、血清浸透圧が295mmOsm以上である被検者の85%以上の被検者に対して、体内水分計100による体内水分量の測定結果が35%以下という結果を得ることができた。また、血清浸透圧295mmOsm以上の被検者のほぼ100%に対して、体内水分計100による体内水分量の測定結果が40%以下であり、血清浸透圧295mmOsm以下の被検者のほぼ100%の被検者に対して、体内水分計100による体内水分量の測定結果が25%以上である。よって、第1の基準値としては、25%〜40%の間の値に設定することが考えられるが、本発明者らは一般的な目安として85%以上の被検者に当てはまる数値である体内水分量35%を用いるのが好ましいと考えている。なお、第2の基準値については、25%を用いることとする。
【0133】
以上の説明から明らかなように、本実施形態に係る体内水分計100によれば、使用者は、マーク132の表示形態により脱水状態か否か、またその重篤度を、体温測定のように容易に判断することができる。
【0134】
なお、上記実施形態では、第1の基準値や第2の基準値を固定値としたが、これに限られるものではない。例えば、上述したような25%〜40%の範囲でユーザが第1の基準値を設定できるようにしても良い。この場合、第2の基準値は第1の基準値より低い範囲で個別に設定できても良いし、第1の基準値から所定の値を差し引いた値が自動的に設定されるようにしても良い。このような構成にすれば、平常時における体内水分量の測定値に出現する個人差を解消できる。
【0135】
また、上記実施形態では、測定結果が第1の基準値を下回った場合や第2の基準値を下回った場合の表示の形態の変更を、水滴マークの変更により行なったがこれに限られないことは言うまでもない。例えば、表示色を変えるなど、使用者に基準値を下回ったことを通知して注意を喚起できるように表示の形態が変更されればよい。
【0136】
また、本実施形態で規定される第1の基準値や第2の基準値は、水を測定したときと空気を測定したときに出力する信号をそれぞれ100%と0%の水分量に割り当て、センサ部121が出力する信号と水分量をリニアな関係に対応付けた場合の所定値(実施形態では35%と25%)に相当する値として理解されるべきである。本実施形態では、センサ部121の校正方法と基準値の定義を一致させているが、センサ部121の校正方法が異なれば第1の基準値や第2の基準値は、35%や25%とは異なる値となり得るからである。