(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板の表面の、薄膜パターンを形成する領域の縁への、薄膜材料の液滴の着弾と、着弾した薄膜材料の硬化とを繰り返すことにより、前記薄膜パターンを形成する領域の縁に、薄膜材料からなるエッジパターンを形成する工程と、
前記エッジパターンで縁が画定された内部領域に、薄膜材料の液滴を着弾させる工程と、
前記内部領域に着弾した薄膜材料を硬化させる工程と
を有し、
前記薄膜材料は、光照射によって硬化する光硬化性の材料であり、
前記エッジパターンを形成する工程において、薄膜材料を吐出する複数のノズル孔、及び硬化用の光を放射する光源が形成されたノズルユニットと、ステージに保持した前記基板との一方を他方に対して移動させながら、前記ノズル孔から薄膜材料を吐出させることにより、前記薄膜パターンを形成する領域の縁に薄膜材料の液滴を着弾させるとともに、前記基板に着弾した薄膜材料に、前記ノズルユニットと基板との一方を他方に対して移動させている期間中に、前記光源からの硬化用の光を照射して硬化させ、
前記内部領域に、薄膜材料の液滴を着弾させる工程において、前記ステージに前記基板を保持したまま、前記ノズルユニットと前記基板との一方を他方に対して移動させながら、前記エッジパターンを形成する工程で用いた前記ノズルユニットの前記ノズル孔から薄膜材料を吐出させることにより、前記内部領域に薄膜材料の液滴を着弾させ、前記ノズルユニットと基板との一方を他方に対して移動させている期間中には、前記光源からの硬化用の光を照射せず、
前記内部領域に着弾した薄膜材料を硬化させる工程において、前記内部領域に薄膜材料の液滴を着弾させる工程の後、前記ノズルユニットと基板との一方を他方に対して移動させながら、前記内部領域に着弾した薄膜材料に前記光源からの硬化用の光を照射する薄膜形成方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に、実施例1による薄膜形成装置の概略図を示す。定盤20の上に、移動機構21によりステージ22が支持されている。ステージ22の上面(保持面)に、プリント配線板等の基板50が保持される。ステージ22の保持面に平行な方向をX方向及びY方向とし、保持面の法線方向をZ方向とするXYZ直交座標系を定義する。移動機構21は、ステージ22をX方向及びY方向に移動させる。
【0014】
定盤20の上方に、支柱31によって梁32が支えられている。梁32に、ノズルユニット支持機構29及び撮像装置30が取り付けられている。ノズルユニット支持機構29に、ノズルユニット23が支持されている。撮像装置30及びノズルユニット23は、ステージ22に保持された基板50に対向する。撮像装置30は、基板50の表面に形成されている配線パターン、アライメントマーク、基板50に形成された薄膜パターン等を撮像する。撮像されて得られた画像データが、制御装置40に入力される。ノズルユニット23は、複数のノズル孔から基板50に向けて、光硬化型(例えば紫外線硬化型)の薄膜材料の液滴、例えばソルダーレジスト等の液滴を吐出する。吐出された薄膜材料が、基板50の表面に付着する。
【0015】
ノズルユニット23を定盤20に固定して、ステージ22を移動させる代わりに、ステージ22及び定盤20に対してノズルユニット23を移動させてもよい。
【0016】
制御装置40が、移動機構21、ノズルユニット23、及び撮像装置30を制御する。制御装置40には、基板50に形成すべき薄膜パターンを定義するラスタフォーマットの画像データ等が記憶されている。オペレータが、入力装置41を通して制御装置40に、種々の指令(コマンド)や、制御に必要な数値データを入力する。入力装置41には、例えばキーボード、タッチパネル、ポインティングデバイス等が用いられる。制御装置40は、出力装置42からオペレータに対して各種情報を出力する。出力装置42には液晶ディスプレイ等が用いられる。
【0017】
図2Aに、ノズルユニット23の斜視図を示す。ノズルホルダ26に、複数、例えば4個のノズルヘッド24が取り付けられている。ノズルヘッド24の各々に、複数のノズル孔24aが形成されている。ノズル孔24aは、X方向に配列し、4個のノズルヘッド24は、Y方向に並んでノズルホルダ26に固定されている。
【0018】
ノズルヘッド24の間、両端のノズルヘッド24よりも外側に、それぞれ紫外光源25が配置されている。紫外光源25は、基板50(
図1)に紫外線を照射する。なお、薄膜材料として、紫外線の波長域以外の光の成分によって硬化する材料を用いる場合には、紫外光源25に代えて、薄膜材料を硬化させることができる波長成分を含む光を放射する光源が用いられる。
【0019】
図2Bに、ノズルヘッド24及び紫外光源25の底面図を示す。ノズルヘッド24の各々の底面(基板50に対向する表面)に、2列のノズル列24bが配置されている。ノズル列24bの各々は、X方向にピッチ(周期)8Pで並ぶ複数のノズル孔24aで構成される。一方のノズル列24bは、他方のノズル列24bに対して、Y方向にずれており、さらに、X方向にピッチ4Pだけずれている。すなわち、1つのノズルヘッド24に着目すると、ノズル孔24aは、X方向に関してピッチ4Pで等間隔に分布することになる。ピッチ4Pは、例えば300dpiの解像度に相当する。
【0020】
4個のノズルヘッド24は、Y方向に配列し、かつ相互にX方向にずらされてノズルホルダ26(
図2A)に取り付けられている。
図2Bにおいて、最も左側のノズルヘッド24を基準にすると、2、3、4番目のノズルヘッド24は、それぞれX軸の負の方向に2P、P、及び3Pだけずらされている。このため、4個のノズルヘッド24に着目すると(ノズルヘッド全体として)、ノズル孔24aは、X方向にピッチP(1200dpiに相当するピッチ)で等間隔に配列することになる。
【0021】
ノズルヘッド24の間、及びY方向に関して最も外側のノズルヘッド24よりもさらに外側に、それぞれ紫外光源25が配置されている。紫外光源25は、基板50(
図1)に付着した液状の薄膜材料を硬化させる。
【0022】
基板50(
図1)をY方向に移動させながら、ノズルユニット23の各ノズル孔24aから薄膜材料の液滴を吐出させることにより、X方向に関して1200dpiの解像度で薄膜パターンを形成することができる。X方向にP/2だけずらして2回の走査を行うことにより、X方向の解像度を2倍の2400dpiまで高めることができる。2回の走査は、1回目の走査と2回目の走査との方向を反転させた往復走査により実現することができる。Y方向の解像度は、基板
50の移動速度と、ノズル孔24aからの液滴の吐出周期で決定される。
【0023】
図3に、薄膜パターンが形成された基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。基板50の表面に、薄膜パターン55が形成されている。基板50は、その面内に複数のプリント配線板が配置された多面取り基板である。一例として、基板50の面内に、プリント配線板が4行2列の行列状に配置されている。プリント配線板に対応して、薄膜パターン55が定義されている。薄膜パターン55は、例えばソルダーレジストで形成される。
【0024】
基板50をY方向に移動させながら、ノズルユニット23から薄膜材料の液滴を吐出させる動作を「走査」ということとする。1回の走査により、薄膜材料の液滴を着弾させることができる領域を、単位走査領域56という。単位走査領域56のX方向の寸法(幅)をWで表す。一例として、単位走査領域56の幅Wは、基板50のX方向の寸法の1/4である。
【0025】
図4A〜
図4L、及び
図5A〜
図5Cを参照して、実施例1による薄膜形成方法について説明する。
図4A〜
図4Lでは、
図3に示した基板50を代表して、1枚のプリント配線板に対応する領域のみを示している。また、説明の都合上、薄膜パターン内に2つの正方形と4つの円形の開口部を配置したが、実際には、より微細な多数の開口部が配置される。
【0026】
図4Aに、1回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Bに、
図4Aの一点鎖線4B−4Bにおける断面図を示す。
図5Aに、
図4Aの一点鎖線5A−5Aにおける断面図を示す。
【0027】
図4Aに示すように、基板50をY軸の負の方向に走査する。このとき、ノズルヘッド24(
図5A)から、薄膜パターン55の最外周の縁、及び開口部の縁に、薄膜材料の液滴を着弾させる。走査中、紫外光源25(
図5A)から紫外線を基板50に照射しておく。このため、薄膜材料の液滴が基板50に着弾した直後に、薄膜材料の表層部が硬化する。紫外光源25から放射される紫外線は、基板表面における光エネルギ密度が十分ではないため、薄膜材料の内部は未硬化の状態である。薄膜材料の表層部のみが硬化する反応を「仮硬化」といい、内部まで硬化する反応を「本硬化」ということとする。1回目の走査により、1つの単位走査領域56(
図3)内の、薄膜パターンの最外周の縁、及び開口部の縁に、仮硬化した薄膜材料からなる線状のエッジパターン60が形成される。
【0028】
図4Cに、2回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Dに、
図4Cの一点鎖線4D−4Dにおける断面図を示す。
図4Cに示すように、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56の幅Wに等しい距離だけ移動させる。その後、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、2回目の走査を行う。2回目の走査においても、ノズルユニット23から、薄膜パターン55の最外周の縁、及び開口部の縁に、薄膜材料の液滴を着弾させ、着弾直後に、薄膜材料を仮硬化させる。
【0029】
1回目の走査でエッジパターン60が形成された単位走査領域56に隣接する単位走査領域56内の、薄膜パターン55の最外周の縁、及び開口部の縁に、仮硬化したエッジパターン61が形成される。
【0030】
図4Eに、3回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Fに、
図4Eの一点鎖線4F−4Fにおける断面図を示し、
図5Bに、
図4Eの一点鎖線5B−5Bにおける断面図を示す。2回目の走査の終了後、基板50をY軸の負の方向に移動させることにより、3回目の走査を行う。3回目の走査では、ノズルヘッド24(
図5B)から、薄膜パターン55(
図3)を形成する領域の内部(ベタの領域)に、薄膜材料の液滴を着弾させる。2回目の走査で形成されたエッジパターン61を縁とする面状パターン62が形成される。3回目の走査では、紫外光源25(
図5B)は消灯状態である。このため、面状パターン62は、未硬化のままである。
【0031】
面状パターン62は未硬化であるが、薄膜パターン55の縁に相当する領域に形成されているエッジパターン61が、薄膜材料の面内方向の広がりを堰き止める。このため、未硬化の薄膜材料が開口部の内側まで侵入することはない。単位走査領域56(
図3)の境界線63には、未硬化の薄膜材料を堰き止めるエッジパターンが形成されていない。このため、単位走査領域56の境界線63上においては、薄膜材料が、基板との濡れ性に基づく平衡状態に達するまで広がる。
【0032】
図4Gに、4回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Hに、
図4Gの一点鎖線4H−4Hにおける断面図を示す。3回目の走査の後、基板50をX軸の正の方向に、単位走査領域56(
図3)の幅Wに等しい距離だけ移動させる。この状態で、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、4回目の走査を行う。4回目の走査では、3回目の走査と同様に、薄膜パターン55(
図3)を形成する領域の内部に、薄膜材料の液滴を着弾させる。1回目の走査で形成されたエッジパターン60を縁とする面状パターン64が形成される。4回目の走査でも、紫外光源25(
図5B)は消灯状態である。このため、面状パターン64は、未硬化のままである。
【0033】
3回目の走査で形成された面状パターン62と、4回目の走査で形成された面状パターン64は、共に未硬化の状態であるため、両者の境界線近傍において薄膜材料が混ざり合う。このため、単位走査領域56の境界線63は、ほとんど視認できない状態になる。
【0034】
図4Iに、5回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Jに、
図4Iの一点鎖線4J−4Jにおける断面図を示す。
図5Cに、
図4Iの一点鎖線5C−5Cにおける断面図を示す。4回目の走査後、基板50をY軸の負の方向に移動させることにより、5回目の走査を行う。5回目の走査では、ノズルヘッド24(
図5C)から薄膜材料の液滴を吐出させず、紫外光源25による紫外線の照射のみを行う。未硬化だった面状パターン64が、紫外線照射によって仮硬化する。
図4Iにおいて、仮硬化した領域に密なハッチングを付し、未硬化の領域に疎なハッチングを付している。後に示す他の図面においても同様である。
【0035】
図4Kに、6回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。
図4Lに、
図4Kの一点鎖線4L−4Lにおける断面図を示す。5回目の走査の後、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56(
図3)の幅Wに等しい距離だけ移動させる。この状態で、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、6回目の走査を行う。6回目の走査でも、ノズルヘッド24(
図5C)から薄膜材料の液滴を吐出させず、紫外光源25による紫外線の照射のみを行う。未硬化だった面状パターン62が、紫外線照射によって仮硬化する。
【0036】
図6A及び
図6Bを参照して、実施例1による薄膜形成方法の効果について説明する。
図6A及び
図6Bに、それぞれ比較例及び実施例1による方法で形成した薄膜パターンの断面図を示す。
【0037】
図6Aに示した比較例においては、薄膜パターン55(
図3)の縁と内部とを区別することなく、薄膜パターンを形成した。基板50の走査時には、紫外光源25(
図2A、
図2B)を点灯させておき、薄膜材料が着弾した直後に、薄膜材料を仮硬化させた。
図2A及び
図2Bに示したように、紫外光源25がノズルヘッド24の間に配置されている。このため、1つのノズルヘッド24から吐出された薄膜材料の液滴が基板50に着弾した後、次のノズルヘッド24から吐出された薄膜材料の液滴が基板50に着弾する前に、先に着弾している薄膜材料が仮硬化される。
【0038】
従って、ノズル孔24a(
図2A、
図2B)から吐出された薄膜材料の液滴55a同士が区別可能な状態で重なり合う。薄膜パターン55の表面には、液滴55aの各々に対応して、凹凸が形成される。この凹凸は、Y方向に伸びる縞状パターンとして視認される。
【0039】
図6Bに示したように、実施例1による方法では、薄膜パターン55の縁にエッジパターン60、61が形成され、薄膜パターン55の内部に、面状パターン62、64が形成される。エッジパターン60、61を構成する薄膜材料は、
図6Aの場合と同様に、液滴55aが区別可能な状態で重なり合う。すなわち、基板50に着弾して仮硬化された薄膜材料に、部分的に重なるように他の液滴が着弾し、仮硬化される。このため、1つの液滴が仮硬化することによって形成される薄膜材料の高さよりも高いエッジパターン60、61が得られる。ところが、面状パターン62、64は、薄膜材料の複数の液滴が基板面内方向に広がってほぼ均一な厚さの膜(
図4G)になった後に、仮硬化(
図4I、
図4K)される。このため、面状パターン62、64の表面は、ほぼ平坦になる。
【0040】
面状パターン62、64の表面を平坦にするために、
図4Eの工程で基板に着弾した薄膜材料が基板面内方向に広がって、複数の着弾点に着弾した薄膜材料が連続し、相互に隣り合う着弾点が区別できなくなった後に、
図4Kの工程で、面状パターン62の薄膜材料を硬化させることが好ましい。
【0041】
実施例1では、
図4A、
図4Bに示したように、1回の片道の走査で、1つの単位走査領域56(
図3)内の薄膜パターン55の縁に相当する領域に、エッジパターン60、61を形成した。X方向にピッチP(
図2B)の1/2に相当する距離だけずらして、往復走査することにより、X方向に関する解像度を2倍に高めることができる。
【0042】
図4Eに示した面状パターン62を形成する工程、及び
図4Gに示した面状パターン64を形成する工程において、薄膜パターン55を定義するラスタフォーマットの画像データの、ベタの領域内の全ピクセルに薄膜材料の液滴を着弾させる必要はない。一例として、ピクセルの配列ピッチが約10μmであり、1つのピクセルに着弾した液滴により形成される円形のパターンの直径は約50μmである。このため、ベタの領域内のピクセルを間引いて、着弾点を抽出してもよい。すなわち、面状パターン62、64を形成するときの着弾点の分布密度を、エッジパターン60、61を形成するときの着弾点の分布密度より低くしてもよい。また、面状パターン62、64を形成するときの着弾点の分布密度をより低くし、ノズル孔24a(
図2A)からの1回の吐出あたりの液滴の体積を大きくしてもよい。液滴の体積を大きくすることにより、着弾点の分布密度を低くしても、面状パターン62、64を所望の厚さにすることができる。
【0043】
[実施例2]
次に、
図7A〜
図7Eを参照して、実施例2による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。1回目の走査により、実施例1の
図4Aに示したエッジパターン60が形成される。
【0044】
図7Aに、2回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。1回目の走査の後、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、2回目の走査を行う。2回目の走査では、エッジパターン60が形成された単位走査領域56(
図3)と同じ単位走査領域56内に、未硬化の面状パターン64を形成する。
【0045】
図7Bに、3回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。2回目の走査後、基板50をX方向にずらすことなく、Y軸の負の方向に移動させることにより、3回目の走査を行う。3回目の走査においては、ノズルユニット23から薄膜材料の液滴を吐出することなく、紫外光源25(
図2A、
図2B)からの紫外線の照射のみを行う。これにより、面状パターン64が仮硬化される。
【0046】
図7Cに、4回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。3回目の走査後、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56(
図3)の幅Wに等しい距離だけずらす。その後、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、4回目の走査を行う。4回目の走査では、1回目〜3回目の走査でエッジパターン60、面状パターン64が形成された単位走査領域56(
図3)に隣接する単位走査領域56内に、薄膜パターン55の縁に対応するエッジパターン61を形成する。エッジパターン61は、4回目の走査中に仮硬化される。
【0047】
図7Dに示すように、5回目の走査を行うことにより、未硬化の面状パターン62を形成する。
図7Eに示すように、6回目の走査を行うことにより、面状パターン62を仮硬化させる。
図7D及び
図7Eの工程は、
図7A及び
図7Bに示した面状パターン64を形成した工程と同一である。
【0048】
実施例1においては、薄膜パターン55(
図3)の縁に相当する部分にエッジパターン60、61を形成した後(
図4A〜
図4D)、面状パターン62、64を形成した(
図4E〜
図4L)。実施例2においては、1つの単位走査領域56(
図3)内のエッジパターン及び面状パターンを形成した後、隣の単位走査領域56内のエッジパターン及び面状パターンを形成する。実施例2においても、面状パターン62、64の表面が実施例1の場合と同様に平坦になる。
【0049】
実施例2では、面状パターン64(
図7B)を仮硬化させた後、隣の単位走査領域56内の面状パターン62(
図7D)を形成する。このため、実施例1に比べて、単位走査領域56の境界線63(
図7E)が視認しやすくなる。ただし、ノズル孔24aの個数に対応する多数の縞状パターンが視認されることはない。
【0050】
[実施例3]
図8A〜
図8Dを参照して、実施例3による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例2との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。実施例2で用いられた薄膜形成装置のノズルユニット23(
図2A)は、4個のノズルヘッド24を含んでいた。実施例3で用いられる薄膜形成装置のノズルユニット23は、8個のノズルヘッド24を含む。
【0051】
図8Aに、1回目の走査の前後における基板50の平面図、及びノズルユニット23を示す。ノズルユニット23は、2つのサブユニット23A、23Bで構成される。サブユニット23A、23Bの各々の構成は、実施例1のノズルユニット23(
図2A)の構成と同一である。サブユニット
23A、23Bは、Y方向に、相互にある間隔を隔てて配置されている。サブユニット23Aが、サブユニット23BよりもY軸の正の側に配置される。
【0052】
基板50をY軸の負の方向に移動させることにより、1回目の走査を行う。1回目の走査では、サブユニット23Aを用いて、エッジパターン60を形成する。サブユニット23Aの紫外光源25は、点灯させておく。このため、形成されたエッジパターン60は仮硬化の状態になる。
【0053】
1回目の走査中に、さらに、サブユニット23Bを用いて、面状パターン64を形成する。サブユニット23Bの紫外光源25は、消灯させておく。このため、形成された面状パターン64は未硬化の状態である。エッジパターン60が仮硬化した後に、サブユニット23Bから面状パターン64を形成するための薄膜材料が吐出される。エッジパターン60が、サブユニット23Bから吐出された薄膜材料を堰き止めるため、開口部内に薄膜材料が侵入することはない。
【0054】
図8Bに、2回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。1回目の走査後、基板50をX方向にずらすことなく、Y軸の正の方向に移動させることにより、2回目の走査を行う。2回目の走査では、サブユニット23A、23Bの少なくとも一方の紫外光源25を点灯させておく。これにより、面状パターン64が仮硬化される。
【0055】
図8Cに示すように、2回目の走査後、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56(
図3)の幅Wに等しい距離だけ移動させる。この状態で3回目の走査を行うことにより、仮硬化したエッジパターン61、及び未硬化の面状パターン62を形成する。3回目の走査は、
図8Aに示した1回目の走査と同様である。
【0056】
図8Dに示すように、
図8Bに示した2回目の走査と同様に、4回目の走査を行う。4回目の走査により、面状パターン62が仮硬化される。
【0057】
実施例2では、3回の走査により1つの単位走査領域56(
図3)内に薄膜パターンが形成された。実施例3では、2回の走査により、1つの単位走査領域56(
図3)内に薄膜パターンを形成することができる。
【0058】
[実施例4]
図9、及び
図10A〜
図10Cを参照して、実施例4による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例3との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0059】
図9に、実施例4による薄膜形成装置のノズルユニット23の平面図を示す。ノズルユニット23は、2個のサブユニット23A、23Bを含む。サブユニット23A、23B
の各々は、同一のノズルホルダ
26に取り付けられており、実施例1のノズルユニット23(
図2A、
図2B)と同様の構成を有する。すなわち、サブユニット23A、23Bの各々は、4個のノズルヘッド24と、5個の紫外光源25とを含む。2個の
サブユニット23A、23Bは、X方向に関して同一の位置に配置されている。サブユニット23Aがサブユニット23Bよりも、Y軸の正の側に配置されている。
【0060】
さらに、実施例4のノズルユニット23は、2つのベタ領域用紫外光源70を有する。ベタ領域用紫外光源70の各々は、X方向に長い形状を有し、サブユニット23A、23Bに対して、X軸の負の方向に、単位走査領域56(
図3)の幅Wの1/2と等しい距離だけずれた位置に固定されている。Y方向に関しては、2個のベタ領域用紫外光源70が、2つのサブユニット23A、23Bを挟むように配置されている。
【0061】
図10Aに、1回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。サブユニット23A、23Bが、X方向に関して最も負側の単位走査領域56に対応する位置に配置される。基板50をY軸の負の方向に移動させることにより、1回目の走査を行う。
【0062】
1回目の走査においては、サブユニット23Aのノズルヘッド24及び紫外光源25を動作させて、エッジパターン60を形成する。同時に、サブユニット23Bのノズルヘッド24を動作させて、面状パターン64を形成する。さらに、Y軸の負の側に配置されたベタ領域用紫外光源70を点灯することにより、面状パターン64のうち、X方向負側の半分の領域を仮硬化させる。サブユニット23Bのノズルヘッド24から吐出された薄膜材料の液滴が、ベタ領域用紫外光源70によって仮硬化されるまでの時間は、基板に付着した薄膜材料の液滴が面内方向に広がって、面状パターン64が均一な膜厚になるのに必要な時間よりも長い。このため、面状パターン64のうち仮硬化した部分の表面は、ほぼ平坦になる。薄膜材料の付着から仮硬化までの時間は、サブユニット23Bと、Y方向負側のベタ領域用紫外光源70との間隔を調節することにより、制御可能である。
【0063】
図10Bに、2回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。1回目の走査後、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56の幅Wと等しい距離だけ移動させる。この状態で、基板50をY軸の正の方向に移動させることにより、2回目の走査を行う。2回目の走査では、サブユニット23Bのノズルヘッド24及び紫外光源25を動作させて、エッジパターン61を形成する。サブユニット23Aのノズルヘッド24を動作させて、面状パターン62を形成する。さらに、Y方向の正の側に配置されたベタ領域用紫外光源70を点灯させることにより、面状パターン64の未硬化の部分、及び面状パターン62のX方向負側の一部分を仮硬化させる。
【0064】
図10Cに、3回目の走査の前後における基板50、及びノズルユニット23の平面図を示す。2回目の走査後、基板50をX軸の負の方向に、単位走査領域56の幅Wと等しい距離だけ移動させる。この状態で、基板50をY軸の負の方向に移動させることにより、3回目の走査を行う。3回目の走査は、1回目の走査と同様の手順で行われる。これにより、2回目の走査で薄膜パターンが形成された単位走査領域56に対してX方向正側に隣接する単位走査領域56内に、エッジパターン65及び面状パターン66が形成される。このとき、ベタ領域用紫外光源70からの紫外線によって、面状パターン62の未硬化部分が仮硬化されるとともに、面状パターン66の、X方向負側の一部分が仮硬化される。同様の走査を繰り返すことにより、基板50の全域に、薄膜パターンを形成することができる。
【0065】
実施例4では、エッジパターンの形成、面状パターンの形成、及び面状パターンの一部分の仮硬化が、1回の走査で行われる。このため、実施例3に比べて、少ない走査回数で薄膜パターンを形成することができる。
【0066】
実施例4において、薄膜パターン55(
図3)の内部の領域(ベタの領域)のみに着目すると、以下の工程が順番に実行される。
【0067】
まず、基板50をY方向に移動させながら、X方向に関して第1の幅Wの第1の単位走査領域56内に、薄膜材料の液滴を着弾させる(
図10A)。これにより、第1の単位走査領域56内に、面状パターン64が形成される。この走査中に、第1の単位走査領域56内の、X方向負側の一部分に付着した薄膜材料を仮硬化させる。
【0068】
その後、基板50をY方向に移動させながら、第1の単位走査領域の、X方向正側に隣接する第2の単位走査領域56内に、薄膜材料の液滴を着弾させる(
図10B)。これにより、第2の単位走査領域56内に、面状パターン62が形成される。この走査中に、第1の単位走査領域56内の、X方向正側の未硬化部分、及び第2の単位走査領域56内の、X方向負側の一部分に付着した薄膜材料を仮硬化させる。
【0069】
上述のように、1回の走査において、面状パターン64、62の一部分のみを仮硬化させる。仮硬化した領域と、未硬化のまま残す領域とに、同一の走査で薄膜材料が付着するため、両者の境界線を目立たなくすることができる。また、
図10Bにおいて、面状パターン62を形成するための薄膜材料を基板50に付着させる段階では、面状パターン64のX方向正側の領域が仮硬化されていない。このため、面状パターン64と面状パターン62との境界線近傍において、薄膜材料が相互に混ざり合う。このため、面状パターン62と面状パターン64との境界線を目立たなくすることができる。
【0070】
[実施例5]
図11〜
図17Bを参照して、実施例5による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。実施例5について説明する前に、評価実験について説明する。
【0071】
図11に、評価実験に用いたノズルユニットの底面図を示す。このノズルユニット23Rは、ノズルヘッド24、光源25、及びそれらを支持するノズルホルダ(支持機構)26を含む。ノズルヘッド24には、規則的に配列され、ソルダーレジストを吐出する複数のノズル孔24aが設けられる。ノズル孔24aの各々は、例えばピエゾ素子を含んで構成され、電圧パルスの印加に応じてソルダーレジストを吐出する。ノズル孔24aからのソルダーレジストの吐出は制御装置40によって制御される。光源25は、ノズル孔24aの配列方向に沿って、その両側に配置されている。光源25とノズル孔24aとの間隔をLで表す。光源25は、ノズル孔24aから吐出されて基板に付着したソルダーレジストを光硬化する。光源25には、出射された光が平行光になるような光学系が備えられる。なお、ノズルヘッド24に対してY軸の正側に配置される光源25は、基板がY軸正方向に走査されるときに、基板50(
図1)に付着したソルダーレジストを光硬化させる。ノズルヘッド24に対してY軸の負側に配置される光源25は、基板50がY軸の負方向に走査されるときに、基板に付着したソルダーレジストを光硬化させる。従って、光源25は、基板の走査方法に応じて、ノズル孔24aの配列の片側にのみ配置してもかまわない。
【0072】
図12に、基板50を走査しているときの側面図を示す。制御装置40(
図1)が、ノズルユニット23Rに対して基板50を、例えばY軸の負の方向に一定の送り速度で移動させる。さらに、制御装置40は、予め記憶されている画像データに基づいて、ノズル孔24aに所定の周期で電圧パルスを印加し、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。ノズル孔24aは、時刻T1に開始する電圧パルスの印加によって、ノズル孔24aの鉛直下方の基板50の表面に向けてソルダーレジストを吐出する。ノズル孔24aから吐出されたソルダーレジストの液滴は、基板50に着弾後、基板50の面内方向に徐々に広がる。基板50に付着し、面内方向に広がるソルダーレジストは、基板50の移動に伴ってY軸の負の方向に移動する。ノズル孔24aから間隔Lだけ離れた光源25の鉛直下方まで移動した時刻T2に、光源25からの光照射によってソルダーレジストが硬化される。この吐出及び硬化の工程を繰り返し、基板50の表面にソルダーレジストからなる薄膜パターンを形成する。
【0073】
図13Aに、基板50に形成すべき薄膜パターンの平面図を示す。基板50に形成すべき薄膜パターンは、ソルダーレジストを成膜する絶縁領域51と、ソルダーレジストを成膜しないランド領域52とを含む。また、ランド領域52が密集する微細領域50aと、絶縁領域51で全面が覆われるベタ領域50bとを含む。なお、図中、絶縁領域51にハッチングが付されている。制御装置40(
図1)は、薄膜パターンの画像データに基づいて、ノズルユニット23Rに対して基板50を移動させながら、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。基板50に付着したソルダーレジストを光源25からの光照射によって硬化させることにより、ソルダーレジストからなる薄膜パターンを形成する。ノズル孔24aから吐出されたソルダーレジストの液滴は、基板50に着弾後、基板50の面内方向に徐々に広がる。光源25からの光照射によってソルダーレジストが硬化することにより、その形状が保持される。
【0074】
図13B及び
図13Cに、
図13Aの矢印線13−13における断面図を示す。ノズルユニット23Rのノズル孔24aと光源25との間隔L(
図11)が小さい場合、基板50に着弾したソルダーレジストは相対的に早いタイミングで光硬化される。基板50に着弾したソルダーレジストは、大きく広がる前に硬化されるため、
図13Bの微細領域50aに示すように、微細な薄膜パターンの形成に対応することができる。一方で、液滴の形状がわずかに残り、
図13Bのベタ領域50bに示すように、形成される薄膜パターンの膜厚は不均一となる(表面に凹凸が現れる)。また、ノズル孔24aと光源25との間隔Lが大きい場合、基板50に着弾したソルダーレジストは相対的に遅いタイミングで硬化される。基板50に着弾したソルダーレジストは、大きく広がった後に硬化されるため、
図13Cの微細領域50aに示すように、ランド領域52がソルダーレジストで覆われてしまい、微細な薄膜パターンの形成に対応することができない。一方で、
図13Cのベタ領域50bに示すように、形成される薄膜パターンの膜厚が均一となる(表面が平坦になる)。
【0075】
微細領域50aに薄膜パターンを形成する際には、基板50に着弾したソルダーレジストを相対的に早いタイミングで硬化させて、薄膜パターンの位置精度を高めることが望ましい。ベタ領域50bに薄膜パターンを形成する際には、基板50に着弾したソルダーレジストを相対的に遅いタイミングで硬化させて、薄膜パターンの膜厚を均一にすることが外観的に望ましい。
【0076】
図14に、実施例5によるノズルユニットの底面図を示す。実施例5によるノズルユニット23は、ノズルヘッド24、光源25a、25b、及びそれらを支持するノズルホルダ(支持機構)26を含む。ノズルヘッド24に、規則的に配列された複数のノズル孔24aが設けられる。例えば、ノズル孔24aの開口径は約30μmであり、各ノズル孔24aのピッチは約80μmである。光源25a及び25bは、ノズル孔24aの配列に沿ってその両側に配置されている。光源25aとノズル孔24aとの間隔をL1で表す。光源25bとノズル孔24aとの間隔L2は、間隔L1よりも大きい。例えば、ノズル孔24aと光源25aとの間隔L1は約0.3mmであり、ノズル孔24aと光源25bとの間隔L2は約1.0mmである。光源25a、25bには、出射される光が平行光になるような光学系が備えられる。ノズル孔24aからのソルダーレジストの吐出、及び光源25a、25bのオン・オフは制御装置40によって制御される。なお、ノズルヘッド24に対してY軸の正の側に配置される光源25a、25bは、基板50(
図1)がY軸の正の方向に移動するときに、基板50に付着したソルダーレジストを硬化させる。ノズルヘッド24に対してY軸の正の側に配置される光源25a、25bは、基板50がY軸の負の方向に移動するときに、基板50に付着したソルダーレジストを硬化させる。従って、光源25a、25bは、基板50の走査方法に応じて、ノズル孔24aの配列の片側にのみ配置してもかまわない。
【0077】
図15A及び
図15Bに、実施例5による方法で薄膜パターンを形成しているときの、ノズルユニット23及び基板50の側面図を示す。制御装置40(
図1)が、ノズルユニット23に対して基板50を、例えばY軸の負の方向に一定の送り速度で移動させる。制御装置40は、薄膜パターンの画像データに基づいて、ノズル孔24aに所定の周期で電圧パルスを印加し、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。例えば、基板50の送り速度は約300mm/sであり、ノズルヘッド24がソルダーレジストを吐出する周波数は約30kHzである。また、基板50からノズルヘッド24までの高さは0.5mm〜1mm程度であり、光源25a、25bまでの高さは20mm〜30mm程度である。制御装置40は、ソルダーレジストが着弾した領域が微細領域50a(
図13A)である場合には、
図15Aに示すように、ノズル孔24aから相対的に近い位置に配置される光源25aからの光照射によって、ソルダーレジストを硬化させる。例えば、微細領域50aに着弾したソルダーレジストは、基板50に着弾してから約0.1s後に硬化される。ソルダーレジストが着弾した領域がベタ領域
50b(
図13A)である場合には、
図15Bに示すように、ノズル孔24aから相対的に遠い位置に配置される光源25bからの光照射によって、ソルダーレジストを硬化させる。例えば、ベタ領域50bに着弾したソルダーレジストは、基板50に着弾してから約0.3s後に硬化される。
【0078】
図16Aに、基板50に形成された薄膜パターンの平面図を示し、
図16Bに、
図16Aの矢印線16B−16Bにおける断面図を示す。基板50に描画すべき薄膜パターンは、ランド領域52が密集する微細領域50aと、絶縁領域51で全面が覆われるベタ領域50bとを含む。
図16Aにおいて、絶縁領域51にハッチングを付している。実施例5では、制御装置40(
図1)に、形成すべき薄膜パターンの微細領域50a及びベタ領域50bの区画情報が予め記憶されている。例えば、微細領域50aは、BGA(Ball Grid Array)等のパッケージを有する集積回路素子(IC、LSI)を実装する領域に対応する。また、ベタ領域50bは、ディスクリート部品を実装する領域、または全面がソルダーレジストの薄膜パターンで覆われる領域に対応する。制御装置40(
図1)は、薄膜パターンの画像データに基づいて、ノズルユニット23に対して基板50を移動させながら、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。さらに、微細領域50a及びベタ領域50bの区画情報に基づいて、微細領域50aに付着したソルダーレジストは、光源25aからの光照射によって硬化され、ベタ領域50bに付着したソルダーレジストは、光源25bからの光照射によって硬化される。このような薄膜パターン形成操作によって、
図16Bに示すように、基板50の微細領域50aでは、薄膜パターンの縁の位置精度を高め、ベタ領域50bでは、形成される薄膜パターンの膜厚を均一にすることが可能となる。なお、制御装置40が、薄膜パターンの画像データから、絶縁領域51及びランド領域52のサイズ及びそれらの密集度に基づいて、微細領域50a及びベタ領域50bを自動的に設定するようにしてもよい。
【0079】
図17A及び
図17Bに、実施例5の変形例によるノズルユニット及び基板の平面図を示す。ノズルユニット23に設けられる光源は、
図17Aに示すように、2つに限らず3つ以上であってもかまわないし、配置される位置を可変できる機構を備えていてもかまわない。また、光源を、ノズル孔の配列に沿って配列される複数の発光ダイオード(LED)で構成してもよい。複数のLEDは、制御装置によってそれぞれ独立にオン・オフ制御することが可能である。このような構成にすることによって、1つのLEDで照射される領域を単位領域として、X軸方向に関して、より細かくに微細領域50aとベタ領域50bとを配置することが可能となる。なお、光源は、ノズルユニット23から分離して、例えば薄膜形成装置のフレームに取り付けてもよい。フレームに取り付けられた光源は、配置される位置を可変できる機構を備えていてもかまわない。
【0080】
さらに、ノズルユニット23に設けられるノズルヘッド24は、
図17Bに示すように、ノズル孔24aが千鳥状に(ジグザグに)配置された構成であってもかまわない。複数のノズル孔24aは、例えばY軸方向に隔てられた2列のノズル列24I、24Jを構成する。各ノズル列24I、24Jを構成するノズル孔24aは、X軸方向にピッチ8Pで配置される。一方のノズル列24Iを構成するノズル孔24aは、他方のノズル列24Jを構成するノズル孔24aに対して、X軸方向に4Pだけずらして配置される。ノズルヘッド24をこのような構成にすることにより、ノズル孔24aにソルダーレジストを供給する供給機構やピエゾ素子の寸法や配置などの制約を受けることなく、X軸方向の解像度を容易に高めることが可能である。
【0081】
[実施例6]
図18A〜
図20Bを参照して、実施例6による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例5との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0082】
図18A〜
図18Cは、実施例6による薄膜形成装置のノズルユニット23及び基板50の側面図を示す。実施例6による薄膜形成装置のノズルユニット23は、ノズルヘッド24、光源25、及び光源25をX軸方向に平行な回転軸の周囲に回転させることができる回転機構27を含む。回転機構27は、光源25を回転させることによって、光源25から出射される光の、基板50の表面における照射位置を、Y軸方向に移動させることができる。回転機構27による光源25の回転は、制御装置40によって制御される。
【0083】
制御装置40は、ノズルユニット23に対して基板50を、例えばY軸の負の方向に一定の送り速度で移動させる。制御装置40は、
記憶されている画像データに基づいて、ノズル孔24aに所定の周期で電圧パルスを印加し、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。例えば、基板50の送り速度は約300mm/sであり、ノズルヘッド24がソルダーレジストを吐出する周波数は約30kHzである。また、基板50からノズルヘッド24までの高さは0.5mm〜1mm程度であり、光源25までの高さは20mm〜30mm程度である。
【0084】
制御装置40は、ソルダーレジストが着弾した領域が微細領域50a(
図16A)である場合には、
図18Aに示すように、例えば光源25の鉛直下方位置よりもノズル孔24aに近い位置で、基板50に付着したソルダーレジストが光硬化されるように回転機構27を制御する。例えば、微細領域50aに着弾したソルダーレジストは、基板50に着弾してから約0.1s後に硬化される。また、ソルダーレジストが着弾した領域がベタ領域50b(
図16A)である場合には、
図18Bに示すように、例えば光源25の鉛直下方位置よりもノズル孔24aから離れた位置で、基板50に付着したソルダーレジストが硬化されるように回転機構27を制御する。例えば、ベタ領域50bに着弾したソルダーレジストは、基板50に着弾してから約0.3s後に硬化される。
【0085】
なお、光源25から出射される光線の基板への照射位置を移動させる機構は、回転機構に限らない。
図18Cに示すように、光学系28により、光源25から出射される光線の基板への照射位置を移動させてもかまわない。
【0086】
図19Aに、薄膜パターンが形成された基板50の平面図、及びノズルユニット23を示す。
図19Bに、
図19Aの矢印線19B−19Bにおける断面図を示す。基板50に形成すべき薄膜パターンは、実施例5と同様に、ランド領域52が密集する微細領域50aと、絶縁領域51で全面が覆われるベタ領域50bとを含む。
図19Aにおいて、絶縁領域51にハッチングが付されている。
【0087】
制御装置40(
図18A〜
図18C)は、薄膜パターンの画像データに基づいて、ノズルユニット23に対して基板50を移動させながら、ノズル孔24aからソルダーレジストを吐出させる。制御装置40は、微細領域50aとベタ領域50bとの区画情報に基づいて、回転機構27を制御する。微細領域50aに着弾したソルダーレジストは、ノズル孔24aに相対的に近い位置で硬化される(
図18A)。ベタ領域50bに着弾したソルダーレジストは、ノズル孔24aに相対的に遠い位置で硬化される(
図18B)。
【0088】
このような薄膜形成操作によって、
図19Bに示すように、基板50の微細領域50aでは薄膜パターンの縁の位置精度を高め、ベタ領域50bでは、形成されるソルダーレジストの薄膜パターンの膜厚を均一にすることが可能となる。
【0089】
図20は、実施例6の変形例によるノズルユニットを示す。ノズルユニットに設けられる光源25a〜25c、及び光源25a〜25cから出射される光線の基板への照射位置を移動させることができる照射位置移動機構は、
図20に示すように、1つに限らず2つ以上であってもよい、配置される位置を可変できる機構を備えていてもよい。例えば、光源25a〜25cは、ノズル孔24aの配列に沿って配列される複数の発光ダイオード(LED)で構成される。それらLEDの各々から出射される光線の基板への照射位置を移動させることができる複数の照射位置移動機構を含んでもよい。複数の照射位置移動機構は、制御装置40(
図18A〜
図18C)によって、それぞれ独立に制御することが可能である。このような構成にすることによって、1つのLEDで照射される領域を単位領域として、X軸方向に関して、より細かく微細領域50a及びベタ領域50bを配置することが可能となる。なお、光源25a〜25c及び照射位置移動機構は、ノズルユニット23とは分離して、例えば薄膜形成装置のフレームに取り付けてもよい。また、それら光源25a〜25c及び照射位置移動機構は、それらが配置される位置を可変できる機構を備えていてもよい。
【0090】
[実施例7]
次に、
図21A〜
図21Dを参照して、実施例7による薄膜形成方法について説明する。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0091】
実施例1〜実施例6では、プリント配線板の表面にソルダーレジストの薄膜パターンを形成した。実施例7では、ビルドアップ基板の内層の絶縁膜を形成する。
【0092】
図21Aに示すように、コア基板80の表面に、銅等からなる第1の配線パターン81を形成する。第1の配線パターン81は、例えば、めっき法により成膜された導電膜をパターニングすることにより形成される。
【0093】
図21Bに示すように、コア基板80及び第1の配線パターン81の上に、絶縁膜(薄
膜パターン)82を形成する。絶縁膜82の形成には、実施例1〜実施例6による薄膜形成方法を適用することができる。絶縁膜82には、例えばエポキシ樹脂が用いられる。ノズルユニット23(
図1等)から、エポキシ樹脂の液滴を吐出することにより、エポキシ樹脂からなる絶縁膜82を形成することができる。絶縁膜
82には、複数のビアホール83が設けられている。ビアホール83内に、第1の配線パターン81の一部が露出する。実施例1〜実施例6による薄膜形成方法を適用することにより、リソグラフィやエッチング等の処理を行うことなく、絶縁膜82にビアホール83を形成することができる。
【0094】
図21Cに示すように、絶縁膜82の上に、銅等からなる第2の配線パターン84を形成する。第2の配線パターン84の形成には、例えばセミアディティブ法を適用することができる。第2の配線パターン84は、ビアホール83を経由して、第1の配線パターン81に接続される。絶縁膜82の形成に、実施例1〜実施例6による薄膜形成方法が適用されるため、絶縁膜82の表面を平坦にすることができる。第2の配線パターン84を形成する下地表面が平坦であるため、第2の配線パターン84の形成に、従来と同様のセミアディティブ法等を適用することが可能である。
【0095】
図21Dに示すように、絶縁膜82及び第2の配線パターン84の上に、絶縁膜85を形成する。絶縁膜85の形成には、実施例1〜実施例6による薄膜形成方法を適用することができる。第2の配線パターン84が最上層の配線パターンである場合には、絶縁膜85にソルダーレジストが用いられる。絶縁膜85の上に、さらに配線パターンを形成する場合には、絶縁膜85にエポキシ樹脂等が用いられる。
【0096】
[実施例8]
図22Aに、実施例8による薄膜形成装置のノズルユニット23の底面図を示す。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0097】
実施例1では、複数のノズルヘッド24がY軸方向、すなわち基板50(
図1)の走査方向に配列されていた。実施例8では、複数(例えば3個)のノズルヘッド24がX軸方向、すなわち走査方向と直交する方向に配列されている。ノズル孔24aの配列方向は、実施例1の場合と同様に、X軸と平行である。ノズルヘッド24の各々の両側(Y軸の正の側及び負の側)に、それぞれ紫外光源25が配置されている。
【0098】
ノズルヘッド24の間隔は、単位走査領域56(
図3)の幅Wと等しい。基板50(
図1)をY軸方向に1回走査することにより、X方向に間隔Wを隔てて配置された3個の単位走査領域56(
図3)内に、薄膜材料の液滴を着弾させることができる。X軸方向に距離Wだけずらして、さらにY軸方向の走査を行うことにより、X軸方向に連続する6個の単位走査領域56内に、薄膜材料の液滴を着弾させることができる。1つの単位走査領域56に対してY軸方向の走査回数を増やすことにより、X軸方向に関する薄膜パターンの解像度を高めることができる。
【0099】
図22Bに示すように、ノズルヘッド24を、X軸方向及びY軸方向に行列状に配置してもよい。Y軸方向に配列する複数(例えば4個)のノズルヘッド24は、
図2A及び
図2Bに示した実施例1によるノズルヘッド24の配置と同一である。ノズルヘッド24を行列状に配置することにより、薄膜パターンを形成するために必要な走査回数を減らすことができる。
【0100】
[実施例9]
図23に、実施例9による薄膜形成装置のノズルユニット23の底面図を示す。以下、実施例1との相違点について説明し、同一の構成については説明を省略する。
【0101】
実施例1では、複数のノズルヘッド24がY軸方向に並んでいたが、実施例9では、複数(例えば4個)のノズルヘッド24がX軸方向に並んでいる。4個のノズルヘッド24全体として、ノズル孔24aがX軸方向に等間隔(
図2Bに示したピッチ4P)で配列している。相互にX軸方向に隣り合うノズルヘッド24の間においても、ノズル孔のピッチが、ノズルヘッド24内のノズル孔のピッチと等しくなるように、ノズルヘッド24のX方向の相対位置が調整されている。この調整のために、X軸方向に隣り合うノズルヘッド24同士は、相互にY軸方向にずらして配置されている。4個のノズルヘッド24により、1回の走査で、幅4Wの領域に薄膜材料の液滴を着弾させることができる。
【0102】
図24A〜
図24Dを参照して、エッジパターン60を形成する手順について説明する。エッジパターン60は、例えばピッチPで並ぶ複数のピクセルで構成される。
図24A〜
図24Dに、それぞれ1回目〜4回目の走査終了後のエッジパターン60を示す。
図24A〜
図24Dにおいて、薄膜材料が着弾したピクセルを黒丸記号で示し、薄膜材料が着弾していないピクセルを中空の丸記号で示す。
【0103】
1回目の走査により、X軸方向に関して3個おきのピクセルに薄膜材料が着弾する。1回目の走査終了後、基板50(
図1)をノズルユニット23に対してX軸方向にピッチPと等しい距離だけずらして、2回目の走査を行う。同様に、3回目及び4回目の走査を行うことにより、エッジパターン60を構成するすべてのピクセルに薄膜材料を着弾させることができる。エッジパターン60が形成された後、実施例1と同様に、面状パターン62、64(
図4G〜
図4L)を形成する。
【0104】
実施例9に示したように、複数のノズルヘッド24をX軸方向(走査方向と直交する方向)に並べると、1回の走査で薄膜材料を着弾させることができるX軸方向の範囲が広くなる。
【0105】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。