(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936617
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】冷却を含むガラス溶融炉のためのバーナー
(51)【国際特許分類】
F23D 17/00 20060101AFI20160609BHJP
C03B 5/235 20060101ALI20160609BHJP
F23C 5/06 20060101ALI20160609BHJP
F23D 14/78 20060101ALI20160609BHJP
F23L 15/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
F23D17/00 101
C03B5/235
F23C5/06
F23D14/78 A
F23L15/00 A
【請求項の数】11
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-538142(P2013-538142)
(86)(22)【出願日】2011年11月7日
(65)【公表番号】特表2014-503779(P2014-503779A)
(43)【公表日】2014年2月13日
(86)【国際出願番号】EP2011069493
(87)【国際公開番号】WO2012062686
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年9月25日
(31)【優先権主張番号】BE2010/0657
(32)【優先日】2010年11月8日
(33)【優先権主張国】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ビリス, グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】コンティーノ, アントネッラ
(72)【発明者】
【氏名】デザンファン, セドリク
(72)【発明者】
【氏名】トゥーン, クロース
【審査官】
黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−165414(JP,A)
【文献】
実公昭39−34047(JP,Y1)
【文献】
特開2000−161614(JP,A)
【文献】
米国特許第3515529(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 17/00
C03B 5/235
F23C 5/06
F23D 14/78
F23L 15/00 − 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ装置内に液体燃料の供給源と気体燃料の供給源を含むガラス溶融炉のためのバーナーであって、二つの供給源が別個にまたは同時に操作されることができ、バーナーの温度がバーナー内の冷却流体の循環により制御されること、バーナーが、炉の室中への空気のためのポートの出口の近くで蓄熱装置上を通過することにより予熱された空気のためのポート内に配置されている、いわゆる「ポート内」バーナーであること、及びバーナーが、不活性なときに炉の壁の内側に引込み可能であり、活性なときにポート中に循環する加熱された空気の中に突出することを特徴とするバーナー。
【請求項2】
予熱された空気の流れ内に設けられた外側壁が、この空気の乱流を制限するプロファイルを持つことを特徴とする請求項1に記載のバーナー。
【請求項3】
燃料が、熱空気流内で下流に面するバーナーの壁の一部の上に設けられた噴射器を通して熱空気流中に排出されることを特徴とする請求項2に記載のバーナー。
【請求項4】
液体燃料の少なくとも噴射が、バーナーの外側壁内に配置された開口から発生することを特徴とする請求項3に記載のバーナー。
【請求項5】
液体燃料が噴霧流体の助けなしに噴射されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のバーナー。
【請求項6】
液体燃料の供給が、パイプを介して実施され、パイプの壁が冷却流体と接触していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のバーナー。
【請求項7】
気体燃料の噴射が、液体燃料噴射の両側に配置されている少なくとも二つの部分で行なわれることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のバーナー。
【請求項8】
二つの気体燃料噴射器が、液体燃料噴射器と垂直面内に整列されていることを特徴とする請求項7に記載のバーナー。
【請求項9】
気体燃料供給源の噴射器が、液体燃料の噴射の軸と収斂するように配向された軸の上にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載のバーナー。
【請求項10】
少なくとも一つの気体燃料噴射器が、水平方向に開口する楕円形を持つことを特徴とする請求項8または9に記載のバーナー。
【請求項11】
実質的に水平面内で延びる炎を発生するために気体燃料の流れが方向及び流速で調節されることを特徴とする請求項9または10に記載のバーナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料が溶融ガラスの浴の上に排出され、かつ原料を溶融するための炉内の温度が、バーナーにより生成された炎からの輻射による熱伝達により確保される、ガラス溶融炉に関する。
【背景技術】
【0002】
大きなガラス溶融炉における伝統的な装置は、長い炉の一端で原料を装填しかつ他端で溶融ガラスを回収して精練することである。溶融工程に続いて精練を行なうために、炉を通る通路の異なる段階で必要なエネルギーに従って、バーナーがタンクに沿って分布される。原料を溶融可能にするために上流で最大エネルギーが要求され、精練操作は、好適な温度が維持されることを要求するだけである。
【0003】
経済的理由のため、溶融炉は伝統的に大容量炉である。製造速度は1000トンガラス/日のオーダーの値に達することができる。かかる量は、かなりの量のエネルギーが供給されることを要求し、それは製造費用のかなりの割合を表わす。エネルギー費用を最少にすることができる全ての因子が注意深く考慮される。これに関して、燃料の選択は、これらの製品の価格の変動を考慮すると重要な要素である。
【0004】
種々の形状構成が問題の炉で使用される。これらの目的は、エネルギーの殆どを燃焼により発生させることである。これらの構造は多数の因子に依存し、それらは特に炉の寸法、バーナーのタイプ、煙霧の制御等を含む。
【0005】
現在の大多数の炉では、燃焼は、液体または気体燃料及び空気またはおそらく酸素に富んだ空気を使用して実行される。本発明はこれらのタイプの操作に関する。
【0006】
全ての場合で、溶融操作の経済性は、燃焼からもたらされる煙霧に同伴されるエネルギーを少なくとも回収することを必要とする。酸素搬送体としての空気と共に操作する炉は、煙霧と接触して置かれる耐火要素を取り付けた塔から形成された蓄熱装置を持つ。これらの耐火要素は、煙霧からのエネルギーの一部分を吸収する。貯蔵された熱は、続いて燃焼で使用される空気を再加熱する役割を果たす。
【0007】
通例の方法は、炉の両側にバーナー及び蓄熱装置を配置することである。炎は、炉の一方の側で、同じ側に設けられた蓄熱装置の上を通過することにより予熱された空気により発生される。燃焼により発生された煙霧は、炉の活性バーナーが設けられている側とは反対側に設けられた蓄熱装置の上に向けられる。炉の両側に設けられたバーナーは、約20分の時間に渡って交互に活性化される。
【0008】
問題の炉において、蓄熱装置から来る熱空気の流れは、耐火壁に形成された開口を通して炉中に開口する取り入れ導管(ポート首)を介して導かれる。これらの開口に対するバーナーの位置は、これらの下(「ポート下」バーナー)またはこれらの開口内(「ポート内」バーナー)のいずれかである。これらの二つのタイプのバーナーの操作の構造及び条件は、かなり異なることができる。特に、それらのそれぞれの位置は、それらを多かれ少なかれ厳しい熱条件にさらす。従って、温度が1250℃のオーダーにある熱空気取り入れ開口内の位置は、バーナーが作られている材料に変化を起こすことがあり、この変化は、バーナーがこの気体流れに沈められているときに一層顕著である。
【0009】
同じように、バーナーがさらされる熱条件に基づくバーナーの位置の選択は、燃料の使用に影響する。液体燃料は特に敏感である。150℃のオーダーの温度より上では、それらは分解工程を受けやすく、それは特にインジェクターの閉塞を起こすことがありうる。気体燃料の分解は、通常、450℃のオーダーのかなり高い温度でのみ起こる。
【0010】
さらに液体燃料(通常は重油)を対象とする場合、温度は、それらの粘度を決定する因子でもあり、それは噴射法で役割を果たす。実際に、重油は、それらを噴霧可能にするために十分な流動性をそれらに与えるために80℃〜120℃に近い温度にもたらされる。
【0011】
燃料の選択は、主に液体燃料(特に重油)と天然ガスのような気体燃料の間である。これらの燃料のそれぞれの価格を別として、それらの使用と関連した他の因子は、この選択において役割を果たす。それらの燃焼は、同じ状態で起こらず、燃焼の生成物は追加の考慮を導入するのに十分なほど異なる。従って、液体燃料から発生した炎はすす粒子を含み、それからの輻射はより容易なエネルギー移動に導くことができる。液体燃料の使用はまた、一般的に、炉内の燃焼の生成物の滞留時間を改良する短い炎をもたらし、従って発生されたエネルギーのより完全な移動をもたらす。
【0012】
天然ガスは、おそらく液体燃料の費用より低い費用の利点を持つことができる。炎はいかなる硫黄化合物もほとんど発生させず、それにより煙霧の汚染除去はより容易である。さらに、燃焼の生成物は水蒸気において富む。炉の雰囲気内の水蒸気含有量は、溶融浴の挙動に影響を及ぼすことができる。特に、水蒸気含有量の増加は、浴の表面上に泡を形成させることが多く、この泡は浴中への輻射の浸透を妨げ、かつエネルギー移動を減速する。
【0013】
液体燃料と気体燃料の間の選択は相互に排他的ではない。一方では、述べたように、これらの選択は価格変動と一致して変わりうるが、他方では、同じ炉内に二つのタイプの燃料のバーナーを配置して炉のあらゆる場所にこれらの燃料のそれぞれの特別な特徴を利用することが有利でありうる。しかし、二つのタイプの燃料のそれぞれに関する燃料の同時使用より、問題の二つのタイプで交互にまたは同時に操作できるバーナーを配置することは一層有利である。
【0014】
「二燃料」バーナーは既に提案されている。これらのバーナーの構造及び操作法は、主として、バーナーが可能な最も少ない量の窒素酸化物(その酸化物の廃棄は非常に厳密に規制されている)を発生するように燃焼を制御することに対する関心によって決定される。このタイプの方法は、例えば刊行物FR2834744に記載されている。この文献は、燃焼状態を改善すると想像される「中空」ジェットの形で噴霧される液体燃料の液滴を発生する構造を持つバーナーを提案する。液体燃料の噴射は、液体燃料を取り囲む高圧のかつ回転運動により刺激される気体噴霧流体により達成される。バーナーの温度状態を維持するための装置は記載されていない。
【発明の概要】
【0015】
炉の形状構成が何であれ、そして気体及び液体燃料の割合が何であれ、使用の状態を制御するために、本発明は、請求項1に規定されたような二燃料バーナーを使用することを提案する。
【0016】
本発明によるバーナーは、同じ装置内での気体及び液体燃料の供給源を組み合わせる。供給源は互いに独立している。言い換えれば、バーナーを、液体燃料モードだけで、気体燃料モードだけで、またはまた二つの燃料を種々の割合で組み合わせる混合モードで操作することができる。
【0017】
本発明によるバーナーの操作条件、特に温度条件は、バーナー中に一体化された冷却システムの使用により制御される。液体燃料の存在は、上に示されたように、一方では、この燃料が十分に流体であり、従って周囲温度より高い温度に加熱されるが、他方では、この温度が、これらの燃料が分解により劣化されるレベルに達しないことを決定する。バーナーが所定の温度にさらされると、液体燃料を適切な状態に維持するために、炉中のバーナーの位置にかかわらず、冷却操作が必要である。
【0018】
冷却システムはまた、バーナー自身を保護することを意図されている。バーナーが作られている金属合金は、炉内に存在する温度で腐食を受けやすい。熱空気供給燃焼にさらされると、さらに1550℃を越える温度を持つ燃焼ガスにさらされると、バーナーの操作を損いうる。これは、特に熱空気取り入れ導管(それはまた、蓄熱装置への煙霧の排出のための導管である)内に配置されたバーナーにおいて当てはまる。この理由のため、「ポート内(through−port)」バーナーは引込み式のものであることが通常である。バーナーが使われておらずかつ燃焼ガスが上述の交互の順序で蓄熱装置に導く導管中に通過するとき、バーナーは引込められかつ次の交互の順序のために準備される。
【0019】
実際に、バーナーの外側壁の温度とこのバーナー内の燃料の温度を少なくとも部分的に分離することが有利である。壁の冷却は、燃料、特に液体燃料の温度の過剰な低下を導いてはいけない。液体燃料の温度をできるだけ適切で比較的限定された温度範囲内に保つためには、本発明によれば、液体燃料の温度がバーナー内のその通過時に大きく影響されないことを確保することが有利である。液体燃料の供給パイプの限定された分離は、バーナー内に配置されることが有利である。この分離は、二重パイプ装置により達成されることが有利である。供給導管は、上述の冷却にさらされたときにこの供給源をバーナーの残りから分離する同心パイプ内に入れられる。
【0020】
「ポート内」バーナー装置の場合、それは蓄熱装置内の熱空気流にさらされるので、このバーナーが乱流を最少に制限するプロファイルを与えることが望ましい。さらに、燃料噴射器の近くで乱流を最少にするために、それらをバーナーの外側壁に対して引込められている座部内に配置することが有利である。この配置はまた、熱空気流の噴射ノズルを保護する利点を持つ。
【0021】
噴射器は、明らかに、燃料流が全体として熱空気の循環方向に発生するように向けられる。それらはまた、炎が溶融ガラスの浴に実際に平行に発生するように配置されるかまたは傾斜される。
【0022】
液体燃料は、噴霧流体を使用することなしに噴霧されることが有利である。燃料の発射は、圧力のみの効果及びノズルの調整により達成される。特に、これは、この燃料の使用による炎の短縮を可能にする。さらに、噴射器に近い雰囲気は、噴霧ガスにより乱されない。
【0023】
バーナーが混合モードで操作することができるとき、液体及び気体燃料の流れが互いに干渉しないことを確保することが好ましい。この理由のため、これらの流れは、混合物を形成するために実質的に平行またはわずかに収斂する同じ方向に放射され、そこで二つの燃料は単一の炎の形成に寄与する。
【0024】
二つの燃料の移動容積はかなり異なることができる。液体燃料の割合が比較的低い場合には、噴霧された液滴は気体燃料の流れに容易に透過できず、周辺に保持されることができる。満足な混合物を得るために、本発明によれば、気体燃料の噴射を、噴霧された液滴が少なくとも部分的にこの気体流れ内に保持されるように構成することが有利である。この噴射を達成する一つの方法は、例えば液滴の流れの両側に設けられた少なくとも二つの噴射ノズルから気体流れを形成することからなる。二つの気体流れは、それらの配合がまた、これらの流れ内の液滴を分散するこれらの二つの流れ間に保持された液滴の著しい攪拌を起こすように収斂していることが有利である。
【0025】
気体燃料の噴射場所の数は、空間条件及びバーナーの複雑性によって制限されるだけである。気体の二つの適切に調整された噴射は、希望の効果を得るための満足な混合のために十分である。
【0026】
もし適用可能であれば、炎からガラスへのエネルギー伝達を改善するために炎を溶融ガラスの表面に平行な面内で広げさせることが望ましいかもしれない。かかる装置は、例えば、円形でないが形が楕円形の開口を持つ気体燃料噴射ノズルを使用することにより限られた範囲まで得られ、そこではそれらの断面の最大寸法は溶融浴のそれに平行な面内で延びる。この平坦流れの形成はまた、気体燃料の流れの収斂により、特にこれらが同じオーダーの大きさの速度で動くとき、促進されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明は、幾つかの図面に関して以下に詳細に説明される。
【0028】
【
図1】
図1は、ガラス溶融炉の主な要素の部分的に破断開放された透視図である。
【0029】
【
図2】
図2は、「ポート内」バーナーを持つ炉の一部の透視図である。
【0030】
【
図3】
図3は、引込んだ位置のバーナーを持つ
図2と同様の図である。
【0031】
【
図4】
図4は、
図2及び3のバーナーの拡大された透視図である。
【0032】
【0033】
【
図6】
図6は、冷却水の供給及び排出のレベルでのバーナーの断面である。
【0034】
【
図7】
図7は、気体燃料噴射リングの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1に示された炉は、次の主な要素から構成される:耐火材料から作られたタンク1であって、その中に原料が左端で排出される。このタンクは空で示されているが、操作時には、それは溶融ガラスで満たされる。ガラスは左から右へ流れ、精練領域2上に通過する。
【0036】
このタンクは、囲まれたユニットの一部を形成し、上部は丸天井を形成し、その小部分3だけが示されている。側壁4は開口5を持ち、それは、耐火材料7でライニングを施された蓄熱装置と連結する。
【0037】
炉は、その縦軸に対して対称的に構成されている。各壁の開口は他の壁の同一開口に面し、それぞれの開口は蓄熱装置に連結する。
【0038】
図2及び3に示された本発明による好適な実施態様では、バーナー9は、蓄熱装置を開口5に連結する取り入れ導管8内に配置される。
【0039】
図2は活性位置のバーナー9を示す。言い換えれば、
図3は、対向壁上に設けられた対称的な開口の方向にガラス浴の表面上に発生する炎を発生するときのバーナー9を示す。
【0040】
炎(図示せず)は、バーナー9により燃料を供給され、関連蓄熱装置6の耐火領域7の上の通過により予熱された空気を供給される。燃焼の生成物は、対向壁上に設けられた開口5を通して排出され、そこから対応する蓄熱装置中に入る。
【0041】
熱空気取り入れ導管における噴射器の配置は、バーナーが開口5の下に配置されている方法(「ポート下」)とは対称的に、炎が壁にできるだけ接近して発生することを可能にする。結果として、炉の全幅は炎の発生のために利用可能である。これは、炉があまり幅広でないときまたはバーナーが主として気体燃料を供給されるときに好都合である。この場合の炎は、同じエネルギー容量で実質的により長くなる。熱伝達の低下を避けるために、炎が一つの壁から他の壁に延びないことが明らかに望ましい。なぜならばこれは、耐火領域の腐食の増加の追加の不利を持って過剰なエネルギーが蓄熱装置中を通るからである。
【0042】
図3は、引込んだ位置のバーナー9を示す。この位置は、取り入れ導管が煙霧を蓄熱装置6に向けて運ぶときにバーナーの操作の交互の順序で採用されるものである。
【0043】
煙霧の温度は1550℃のオーダーであり、従って約1250℃に達する燃焼の目的のための再加熱された空気の温度よりかなり高い。従って、高い温度のこの流れ内にバーナーを存在させることに起因しうる劣化を防ぐことが特に望ましい。
図3の位置中にバーナーを引込めることは、バーナーがかかる劣化に対して保護されることを可能にする。さらに、バーナーを煙霧の流れ内に維持することは、より強い冷却、煙霧の温度の対応する低下、従って蓄熱装置内で回収されるエネルギーの一部分の損失を必要とするだろう。
【0044】
図4は、本発明によるバーナーの一般的な構造を示す。燃料の全ての供給源は、単一ケーシング10内に集められ、それは水の循環により冷却される。
【0045】
示されたバーナーは、気体燃料のためを意図された二つの噴射器11,12を含む。第三の噴霧器13は液体燃料のために使用される。
【0046】
バーナーは、取り入れ導管8を形成する耐火壁の外側に延び、かつ気体燃料のための供給パイプ14,15及び液体燃料のための供給パイプ16、及び冷却水の供給及び排出17,18に連結される。
【0047】
液体燃料噴射器13は図示された実施態様に示される。幾つかの別個の噴射器を同じバーナー上に組み合わせることも明らかに可能である。
【0048】
本発明によるバーナーでは、液体燃料は、噴霧流体を使用することなしに高圧で噴霧されることが有利である。
【0049】
示された実施態様では、液体燃料噴射器13の供給は、バーナーの中心に設けられたパイプ16により確保される。パイプ16はパイプ19と同心である。バーナーの残りとの熱伝達を最少にするために、特にバーナー内を循環する冷却液体と熱い液体燃料供給パイプ16の接触を防ぐために、パイプ16と19の間に一定距離が維持される。
【0050】
気体燃料供給を二つの別個の噴射器11及び12に配置することを選択する目的は、炎の制御された配向を可能にすることである。一般的な方向は供給導管8内を循環する熱空気流によって与えられるが、気体燃料の自然な動力学がこの方向の調整を可能にする。この調整に一定の寛容度を提供するために、図示のように噴射器に二つの異なる配向をそれらが収斂するように与えることが有利である。噴射の方向及びガス流速の独立した調節は、炎の配向を変えるのを可能にする。
【0051】
全体として燃焼ガスの循環は炉の一方の縁から他方の縁までである。炎の方向は垂直面内で変えられる。収斂ガス噴射は、最良の熱伝達を確保するために炎が溶融ガラス浴の表面に略平行に発生するように調節されることが好ましい。
【0052】
本発明によるバーナーはまた、選択された操作条件に依存して、一つのみのガス噴射を持つことができるか、または噴射器の一つによってのみ操作することができる。
【0053】
図7は、気体燃料噴射器のリング20,21の一つを示す。リングは、交換可能であり、ガスジェットの流速、配向の調整のための、または気体流れを広げる手段に関してさえ追加の可能性を提供する。従って、
図7は、外側壁の軸A−Aに対して傾斜している外側壁を示す。同じ方法で、このリングの内側部は、この開口の最も広い寸法における気体流れの限定された広がりの効果に導く楕円形状を与えることができる。
【0054】
図6の断面は、冷却水パイプ17,18のレベルで示される。この断面は、バーナーのケーシング10内の異なるパイプのそれぞれの配置を示す。壁22,23はバーナーを二つの半分体に分離する。これらの壁は、バーナーの端部で中断され、24で一方の半分体から他方の半分体までの水の通過を可能にする。この配置は、バーナーの全長に渡る水の循環を強制し、従って全システムが冷却されることを確実にする。
【0055】
従って、示されたバーナーは種々の操作方法を提供する。バーナー交換なしで一つの燃焼方法から別の燃焼方法への転換を可能にする。また、液体と気体燃料を同時に操作して、これらの二つの燃料の燃料特性から最も良いものを得ることができる。
【0056】
述べた操作は、熱空気の使用を含む。特に各バーナーで利用できるエネルギーを増加するために酸素富化を使用することもまた知られている。特にバーナーのレベルで付与された酸素富化は、気体流れ中の合計50%酸素を通常越えない含有量で行なわれ、最も多くは35%を越えない。