特許第5936630号(P5936630)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936630飲料物質、ポーションカプセル、および、飲料製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936630
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】飲料物質、ポーションカプセル、および、飲料製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/06 20060101AFI20160609BHJP
   A47J 31/36 20060101ALI20160609BHJP
   A23F 3/16 20060101ALN20160609BHJP
【FI】
   A47J31/06 320
   A47J31/36 120
   !A23F3/16
【請求項の数】14
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-558322(P2013-558322)
(86)(22)【出願日】2012年3月14日
(65)【公表番号】特表2014-509532(P2014-509532A)
(43)【公表日】2014年4月21日
(86)【国際出願番号】EP2012001124
(87)【国際公開番号】WO2012123106
(87)【国際公開日】20120920
【審査請求日】2014年11月20日
(31)【優先権主張番号】102011013962.1
(32)【優先日】2011年3月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513014514
【氏名又は名称】ケイ‐フィー システム ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100111372
【弁理士】
【氏名又は名称】津野 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100112298
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 光春
(74)【代理人】
【識別番号】100168538
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 来
(74)【代理人】
【識別番号】100186495
【弁理士】
【氏名又は名称】平林 岳治
(72)【発明者】
【氏名】クリューガー,マルク
(72)【発明者】
【氏名】エムプル,ギュンター
(72)【発明者】
【氏名】エップラー,ヴォルフガング
【審査官】 土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0005826(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0239733(US,A1)
【文献】 特開2001−017094(JP,A)
【文献】 特開2004−097015(JP,A)
【文献】 特開平07−107915(JP,A)
【文献】 特開昭62−130649(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 31/06
A47J 31/36
A23F 3/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調合工程用に用意された調合物質(10’)が部分的に充填された密閉容器を含み、前記調合物質(10’)を調合する調合室機(13、15)に挿入可能であり、前記密閉容器が、閉じた底部を有しているとともに前記底部から離間した側がカバーホイルにより封止されている円錐形の基本要素(2)を含み、前記底部とカバーホイルとの間に前記調合物質を収容する空洞が形成され、フィルタ要素(5)を含み、茶飲料を製造するためのポーションカプセル(1)において、
前記フィルタ要素(5)が、フィルタフェルトを含み、前記調合物質(10’)が、茶飲料を製造するための飲料物質(10)を含み、
前記飲料物質(10)が、前記ポーションカプセル(1)に格納され、前記ポーションカプセル(1)に熱水を圧力下で導入することによって前記ポーションカプセル(1)内で調合され、粒子状であり、部分的に茶を含み、
前記飲料物質(10)の平均粒径(D4,3)が、500〜1500マイクロメートルであり、
前記飲料物質(10)の膨化能が、1.5〜3であることを特徴とするポーションカプセル(1)。
【請求項2】
前記飲料物質(10)の平均粒径(D4,3)が、650〜1320マイクロメートルであることを特徴とする請求項1記載のポーションカプセル(1)。
【請求項3】
前記飲料物質(10)が、粒径が500マイクロメートルを超える粒子を40〜90パーセントの割合で含むことを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項4】
前記飲料物質(10)が、粒径が100マイクロメートル未満の粒子を10パーセント未満の割合で含むことを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項5】
前記飲料物質(10)の少なくとも90パーセントの中位粒径が、0.1〜2ミリメートルであることを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項6】
前記飲料物質(10)が、消泡手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項7】
前記消泡手段が、植物油を含むことを特徴とする請求項6記載のポーションカプセル(1)。
【請求項8】
前記消泡手段が、前記飲料物質(10)の最大5パーセントであることを特徴とする請求項6または請求項7記載のポーションカプセル(1)。
【請求項9】
前記飲料物質(10)が、緑茶および/または紅茶を含むことを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項10】
前記飲料物質(10)が、前記緑茶および/または紅茶を約2〜4グラム含むことを特徴とする請求項9に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項11】
前記フィルタフェルトの素材が、ポリエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項12】
前記フィルタフェルトの単位面積当たり重量が、100〜2000グラム/平方メートルであることを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項13】
前記フィルタフェルトの主要延長面に直行する方向の厚さが、1.5〜5.0ミリメートルであることを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【請求項14】
前記フィルタフェルトが、200Paの圧力で100〜1000l/(dm.min)の通気性を有していることを特徴とする請求項1に記載のポーションカプセル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶飲料を製造するための飲料物質において、ポーションカプセルに格納され、ポーションカプセルに熱水を圧力下で導入することによってポーションカプセル内で調合され、実質的に粒状であり、少なくとも部分的に茶を含む飲料物質に関する。
【背景技術】
【0002】
このような飲料物質は、一般的に知られており、ポーションカプセルにしばしば充填される。
たとえば、特許文献1では、飲料を製造するためのポーションカプセルにおいて、実質的に円錐形または円筒形であり空洞を有する基本要素と、空洞を封止する膜とを含み、空洞の内部に当該空洞を飲料物質収容用の第1領域と飲料抽出物収容用の第2領域とに分割するフィルタ要素が配置されているポーションカプセルを開示している。
ただし、この場合の飲料物質は、コーヒー粉末を含む。
そのため、このポーションカプセルは、コーヒー飲料を製造するために使用される。
飲料を製造するには、ポーションカプセルを調合室機の調合室に配置する。この調合室内で、膜が穿孔され、詳細には、熱水である抽出液が第1領域に導入される。
抽出操作時に、抽出液が飲料物質を通過し、飲料抽出物(この場合はコーヒー飲料)が形成されて、フィルタ要素のフィルタ開口部を通過して空洞の第2領域に至る。
フィルタ要素の篩機能により、飲料物質は第2領域に通過しない。
調合室では、飲料抽出物がポーションカプセルから流出し必要に応じてコーヒーカップ等の飲料容器に移動できるように、ポーションカプセルの底部領域も穿孔される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許出願第2556323A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さらに、調合室機を使用して茶飲料を同様の方法で製造するために、この種のポーションカプセルであって茶物質が充填されたものを使用することも知られている。
しかし、この場合、比較的短い調合時間で高品質な茶飲料を調製しなければならないという問題が生じる。
このような調合室機の利用者は、完成した飲料を最大1〜1.5分以内に受け取ることに慣れている。
さらに、既知の調合室機では、通例として、熱い沸騰水を最大60〜90秒間ポーションカプセルに供給できる。
1杯の茶を製造するために、沸騰水を比較的迅速にポーションカプセルに送り出さなければならない。
そのため、茶物質と沸騰水とが相互作用する時間が比較的短くなり、特に伝統的な茶飲料を伝統的または手動の操作により調合する場合に比べて明らかに短くなる。
結果として、調合室機でポーションカプセルを使用して製造した茶飲料の品質は、比較的劣っている。
【0005】
したがって本発明の目的は、先行技術の欠点を回避し、より効率的、迅速、且つ確実な調合操作で茶飲料を製造することを可能にする飲料物質を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、茶飲料を製造するための飲料物質において、ポーションカプセルに格納され、ポーションカプセルに熱水を圧力下で導入することによってポーションカプセル内で調合され、実質的に粒子状であり、少なくとも部分的に茶を含み、平均粒径が500〜1500マイクロメートルである飲料物質によって実現される。
【0007】
本発明の飲料物質の利点は、先行技術よりも明らかに効率的、迅速、且つ清潔に飲料物質を調合できるということである。
粒径は、一方では、飲料物質の表面積が大きくなり、結果として、比較的短い調合時間でも良好な味と香りとを備えた茶を効率的に調合できる程度に小さく選別される。
また、粒径は、他方では、製造された茶飲料から飲料物質を簡単な操作で取り除くことができ、結果として、消費者に提供される茶飲料に飲料物質が混入せず、味も損なわれない程度に大きく選別される。
詳細には、本発明の意味における「粒子状」は、「粒状」と同義である。
平均粒径は、詳細には、マルバーンレーザー回折法を使用して飲料物質を計測したときのD4,3値(粒子の体積中位径ともいう)を含む。
この種の測定には、Malvern Mastersizer 3000と分散圧力4バール、フィードレート60〜90のAero S乾式分散を使用した。
【0008】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、平均粒径D4,3が650〜1320マイクロメートルである。
好ましい態様では、飲料物質は、粒径が500マイクロメートルを超える粒子を40〜90パーセント、好ましくは50〜80パーセントの割合で含む。
特に好ましい態様では、飲料物質は、粒径が100マイクロメートル未満の粒子を10パーセント未満、好ましくは8パーセント未満の割合で含む。
この種の粒子分散を有する飲料物質が最適な抽出動作を示すことが、意外且つ専門家の予期せぬ態様でわかった。
詳細には、使用する生茶原料の量が従来技術よりも少ない状態で、効率的な抽出と満足のいく香りが実現された。
詳細には、結果として1〜3パーセントの抽出物含有量が実現された。
抽出物含有量は、抽出された乾燥物質の量の割合を示す。
ここでは、調製時に植物成分から放出され乾燥棚での乾燥後に固形物として残った物質の量を、カプセル内に存在する植物成分の量で除算する。
その結果が、割合としての抽出物含有量である。
【0009】
本発明の好ましい実施例で示すように、飲料物質は、膨化能(swelling capacity)が1.5〜3、詳細には1.0〜2.6である。
この膨化能は、詳細には、特定の膨化能を含み、乾燥した植物成分の量と、調合工程後に膨張した植物成分の量との割合として計算される。
このように定義された膨化能により、ポーションカプセル内の飲料物質の最適な調合効率が有利に実現する。
詳細には、結果として、調合操作時に、茶の香りが最適に生じるように飲料粒子の水分吸収が実現される。
【0010】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、細菌を減らすために予備熱処理される。
ハーブ茶は、きわめて広範な細菌汚染を受けやすい。
特に注意を払ったのは、胃腸不良や深刻な病気、さらには致命的な病気につながる可能性があるエンテロバクター(サルモネラ菌、大腸菌)である。
したがって、有利な態様では、エンテロバクターを減らし、さらに酵母やカビも減らすために飲料物質を予備熱処理する。
結果として、水がカプセルに流れ込むときに沸騰していなくても、残存する少量の細菌が確実に殺菌され、衛生的に優れた飲料を製造できる。
【0011】
本発明の目的は、茶飲料を製造するための飲料物質において、ポーションカプセルに格納され、ポーションカプセルに熱水を圧力下で導入することによってポーションカプセル内で調合され、実質的に粒状であり、少なくとも部分的に茶を含み、飲料物質の少なくとも90パーセントの中位粒径が0.1〜2ミリメートルである飲料物質によっても実現される。
【0012】
好ましい態様では、飲料物質の少なくとも90パーセントの中位粒径が、1〜2ミリメートルである。
この場合、ほぼすべての粒子がフィルタにキャッチされる一方、フィルタの各フィルタ開口部に過剰に小さい粒子が詰まることがないため、茶飲料からの茶物質のフィルタ処理が特に効率的となる。
本発明では、パーセントの指定は、詳細には粒子の質量の割合に関連する。つまり、中位粒径が0.1〜2ミリメートルである飲料物質の粒子が、飲料物質の質量の少なくとも90パーセントを占める。
本発明では、粒径は、詳細には飲料物質の粒子中位径を含む。
この中位径は、篩分析(sieve analysis)を利用して測定するのが好ましい。篩分析では、相互に積み重ねられた複数の試験用篩でできた篩塔(sieve tower)を使用するなどして、飲料物質を篩にかける。
この場合、個別の試験用篩の網目幅は、上部から下部に向かって減少する。
篩分析を実行するには、最上位の試験用篩に飲料物質を配置し、所定の振動動作を与える。
飲料物質の粒径分布は、個々の試験用篩上の残留物の重量を測定することによって判断する。
飲料物質を製造するには、上述した所望の粒径または粒径分布を実現できるように、詳細には予乾工程後の茶葉を(機械的なCTC工程を利用するなどして)押しつぶし、引き裂き、および/または丸める。
予乾した茶葉を切り刻む、切断する、挽く等もさらに考えられる。
上述したCTC法を使用するなどして飲料物質を製造し、上述した篩分析法を使用して粒径分布を測定する。得られた分析結果を利用して、さらなる粒径低減ステップが必要か否か、または所望の粒径分布がすでに実現しているか否かを判断する。
【0013】
本発明の有利な展開およびさらなる展開は、特許請求の範囲の従属項および図面に関する説明の中に見出すことができる。
【0014】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、消泡手段(anti-foaming means)を含む。
有利な態様では、消泡手段により、調合工程時または調合工程後に飲料物質の泡が過剰に形成されなくなる。
詳細には、茶飲料は、ポーションカプセルを離れるときに強く渦巻き、結果として大量の泡が形成される。
そのため、カップやポット等の受け容器に茶飲料を適切な態様で入れにくくなる。
消泡手段は、詳細には、疎水性の植物成分を含む。
好ましい実施例では、消泡手段は植物油を含む。
植物油は、茶の粒子に噴霧するのが好ましく、その後それらの粒子をポーションカプセルに入れる。
これにより、消泡手段の割合を飲料物質の全体的な質量の最大5パーセント、好ましい態様では最大2パーセント、特に好ましい態様では最大1.5パーセントにすることで、高品質な茶飲料を生成するための十分な茶物質を飲料物質内に確保しつつ、泡の形成を効果的に防止できることが、予測しない驚くべき態様でわかった。
飲料物質は、上述した含有物質に加えて、さらなる香りづけまたは着色のための構成要素を含むことができる。たとえば、砂糖、カラメル色素、植物の天然色素、果実の乾燥水性抽出物、香辛料とハーブに加えて、香辛料、ハーブ、柑橘類果実皮等の植物および植物部分の油性抽出物および抽出混合物や、仕上げ、特徴づけ、標準化等のための芳香物質を含むことができる。
これらの含有物質により、香り、味、色、外観等のすべての特徴が従来の方法で調製した飲料に一致する茶飲料が調製後にできあがる。
【0015】
本発明の好ましい実施例で示すように、飲料物質は、緑茶および/または紅茶を含む。
詳細には、飲料物質は、緑茶および/または紅茶を全体で約2〜4グラム、好ましい態様では2.5〜3.5グラム、特に好ましい態様では約3グラム含む。
【0016】
本発明のさらなる目的は、茶飲料を製造するためのポーションカプセルにおいて、調合工程用に用意された調合物質が少なくとも部分的に充填された事実上の密閉容器を含み、調合物質を調合するために調合室機に挿入可能であり、調合物質が本発明の飲料物質を含むことを特徴とするポーションカプセルである。
このポーションカプセルの利点は、ポーションカプセル内にある飲料物質を先行技術よりも明らかに効率的、迅速、且つ清潔な態様で調合できるということである。
ポーションカプセルは、特に好ましい態様では中位孔径が0.01〜1ミリメートルであるフィルタ開口部を備えるフィルタ要素を含むことが好ましい。
このことの先行技術に対する利点は、製造する茶飲料に飲料物質の粒子が混入せず、同時に飲料物質をより効率的に調合することが可能になるということである。
さらに、高効率な調合操作により、必要な飲料物質の量を減らし、且つ調合速度を上げて、飲料調合工程の時間を短縮することが有利な態様で可能となる。
詳細には、少なくとも90パーセントが中位粒径0.1〜2ミリメートルである飲料物質と、中位孔径が0.01〜1ミリメートルであるフィルタ開口部を有するフィルタ要素とを組み合わせることで、調合効率と調合速度の比率を最適化しつつ、調合効率とフィルタ処理率の比率も最適化できることが、予期せぬ意外な態様で示された。
【0017】
この代替として、フィルタ要素がフィルタフェルトを含むことも考えられ、それによって同様に最適な結果を得ることもできる。
フィルタフェルトの素材は、コスト効率に優れた製造と高度な引き裂き抵抗とを実現できるように、ポリエステルを含んでいることが好ましい。
詳細には、フィルタフェルトは、単位面積当たり重量が100〜2000グラム/平方メートル、好ましい態様では400〜900グラム/平方メートル、特に好ましい態様では600〜700グラム/平方メートル、きわめて好ましい態様では約650グラム/平方メートルである。
さらに、フィルタ要素は、詳細には、その主要延長面に直行する方向の厚さが1.5〜5.0ミリメートル、好ましい態様では2〜4ミリメートル、特に好ましい態様では約2.8ミリメートルである。
任意選択として、フィルタフェルトは、200Paの圧力で通気性が100〜1000l/(dm.min)、好ましい態様では200〜300l/(dm.min)、好ましい態様では約250l/(dm.min)になるように実現される。
このように定義されたフィルタフェルトにより、飲料物質の粒子がポーションカプセルから流れ出て飲料に混入することなく、飲料物質を迅速、効率的、且つ香り高く抽出することが有利な態様で可能となる。
この代替として、フィルタ要素がフィルタ不織布を含むことも考えられる。
【0018】
密閉容器は、閉じた底部を有し、この底部から離間した側がカバーホイルにより封止されている実質的に円錐形の基本要素を含み、底部とカバーホイルとの間に調合物質を収容する空洞が形成されていることが好ましい。
有利な態様では、本発明のポーションカプセルは、結果として従来の調合室機で使用できる。
【0019】
本発明のさらなる目的は、ポーションカプセルで茶飲料を製造する方法において、ポーションカプセルを調合室機の調合室に挿入する第1ステップと、ポーションカプセルに沸騰水を導入しその沸騰水を利用して調合物質を調合して茶飲料を製造する第2ステップと、ポーションカプセルから茶飲料を排出する第3ステップとを含むことを特徴とする方法である。
本発明のポーションカプセルを使用することで、先行技術に比べて高品質な茶飲料が、比較的短い調合時間で、飲料基質を残留させずに製造される。
【0020】
上述した利点は、詳細には、抽出物含有量が1〜50パーセント、好ましい態様では1〜10パーセント、特に好ましい態様では1〜3パーセントに維持されるときに実現されることがわかった。
抽出物含有量は、詳細には、平均粒径D4,3を500〜1500マイクロメートル、好ましい態様では650〜1320マイクロメートルに規定し、および/または飲料物質で粒径が500マイクロメートルを超える粒子の割合を40〜90パーセント、好ましくは50〜80パーセントに規定し、および/または飲料物質で粒径が100マイクロメートル未満の粒子の割合を10パーセント未満、好ましくは8パーセント未満に規定することにより維持される。
【0021】
本発明の実施例で示すように、第1ステップで、沸騰水用の入口開口と茶飲料用の出口開口とをポーションカプセルの密閉容器に生成し、密閉容器を好ましくは調合室機の穿孔手段により穿孔し、ならびに/または入口開口および/もしくは出口開口を覆う封止ホイルを好ましくは密閉容器から除去する。
このことの利点は、入口開口および/または出口開口を開放または作成する前にポーションカプセルが実質的に密封状態で封止されているため、ポーションカプセルの保管時に飲料物質の香りが失われないか、または僅かしか失われないことである。
【0022】
本発明の実施例で示すように、第2ステップで、沸騰水をポーションカプセルに30〜100秒間、好ましい態様では50〜80秒間、特に好ましい態様では60〜70秒間導入する。
この方法により、依然として許容できる調合時間と比較的良好な調合結果とを確実に最適化できることがわかった。
【0023】
請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の方法は、沸騰水の圧力、ポーションカプセルの内部体積、ポーションカプセルに配置される調合物質の量、第2ステップで前記ポーションカプセルに導入する沸騰水の量、調合物質の粒径分布、および/またはフィルタ要素の中位孔径が、第3ステップでポーションカプセルから排出される茶飲料が150〜250ミリリットル、好ましい態様では180〜220ミリリットル、特に好ましい態様では約200ミリリットルになるように相互に調和していることを特徴とする。
【0024】
本発明の実施例を添付の図面に示し、以下で詳しく説明する。
これらの図面は、単なる例示であり、本発明の全体的な概念を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施例である飲料物質を含むポーションカプセルの側断面図。
図2】本発明の実施例である飲料物質を含むポーションカプセルの調合操作時の側断面図。
図3】本発明のさらなる実施例である飲料物質を含むポーションカプセルの側断面図。
図4】本発明のさらなる実施例である飲料物質を含むポーションカプセルの調合操作時の側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の第1実施例であるポーションカプセル1の側断面図である。
ポーションカプセル1は、ポットの態様で実現され空洞3を囲む実質的に円錐形の基本要素2を含む。
空洞3は、膜状のカバーホイル4で封止されている。
基本要素2は、詳細には、軟性または剛性の合成樹脂素材を含む。
カバーホイル4は、薄い合成樹脂素材またはアルミニウムホイルを含むことが好ましい。
基本要素2は、膜状のカバーホイル4の領域に周方向の締結突縁20を備え、膜状のカバーホイル4が詳細には溶接または接着で締結した突縁20に確実に接合されている。
基本要素2の内部には、ポリプロピレン等の熱可塑性合成樹脂素材でできたフィルタ要素5が配置されている。
フィルタ要素5は、空洞3を第1領域6と第2領域7とに分割する。
第1領域6は、粉末状の飲料物質10を収容するために設けられている。わかりやすくするため、飲料物質10は、図面では概略的に示されている。
飲料物質10は、粒状の茶を含む。
たとえば、飲料物質10を第1領域6に充填して引き締めてから、空洞3をカバーホイル4で封止する。
第2領域7は、ポーションカプセル1の調合操作時に茶飲料(図示せず)を収容し、詳細には収集する役割を果たす。
ポーションカプセル1は、調合室機(図1では図示せず)の調合室12に挿入することを目的としている。調合室12では、調合液(熱水等)が好ましくは高圧で第1領域6に供給される。
この調合液が飲料物質10と相互作用し、茶飲料が形成される。
フィルタ要素5は、複数のフィルタ開口部8を備え、飲料のフィルタとして機能する。その結果、飲料物質10の粒子が、生成された飲料から取り除かれる。
茶飲料は、フィルタ開口部8を通過して第2領域7に至る。このとき、飲料物質10の粒子は第2領域7に移動しない。
第2領域7は、基本要素2の底部領域によって画定される。この底部領域は、飲料用の出口開口を作成するために、調合室機の貫通心棒等によって調合室12内で貫通される。
これに代えて、調合液の圧力により出口開口を底部領域に自動的に形成し、および/または予め出口開口もしくは出口弁を底部領域に実装しておくことも考えられる。
出口開口は、手で除去できる封止ホイル等によって封止され、ポーションカプセル1を調合室機に挿入する前に利用者によって手動で除去される。
飲料物質10は、実質的に粒状であり、少なくとも部分的に緑茶および/または紅茶を含む。
ただし、飲料物質10が、果実茶、ハーブ茶、ペパーミント茶、カモミール茶、ローズヒップ茶等のその他の市販の茶またはその組み合わせを含むことも同様に考えられる。
また、飲料物質10が、アイスティー用の粒を含むことも考えられる。
さらに、飲料物質10の少なくとも90パーセントが0.1〜2.0ミリメートルの中位粒径を有するように、飲料物質10の粒径分布が選択される。
この場合、粒径分布は、詳細には、中位径が約0.01〜1ミリメートルであるフィルタ開口部8に調和している。
この場合、飲料物質10の粒径分布と、個別のフィルタ開口部8の孔径および横断面との比率は、飲料物質10の粒子が第1領域6から第2領域7にほとんど通過せず、同時に飲料物質10の調合をできるだけ迅速且つ効率的に行えるような態様で選択される。
ポーションカプセル1内の飲料物質10の全体的な質量は、約3グラムであることが好ましい。
飲料物質10は、詳細には、粒状であり少なくとも1種類の油を含む消泡手段をさらに含む。
この場合、消泡手段は、飲料物質10の全体質量の最大1.5パーセントであることが好ましい。
細菌を減らすために、飲料物質10を予備熱処理することも考えられる。
【0027】
任意選択または代替として、飲料物質10をマルバーンレーザー回折法(たとえば、Malvern Mastersizer 3000と分散圧力4バール、フィードレート60〜90のAero S乾式分散を使用)で計測したときに、飲料物質10の平均粒径D4,3が650〜1320マイクロメートルである。
さらに、飲料物質10は、粒径が500マイクロメートルを超える粒子を50〜80パーセントの割合で含み、粒径が100マイクロメートル未満の粒子を8パーセント未満の割合で含む。
飲料物質10の具体的な膨化能は1.0〜2.6である。
【0028】
図2は、図1に示すポーションカプセル1の調合操作時の側断面図である。
この場合、ポーションカプセル1は、調合室機の調合室12に配置される。調合室機は、コーヒーのポーションカプセルを調合するコーヒーメーカー等でよい。
調合室12は、ポーションカプセル1を受け止める受止要素13と、受止要素13を封止する封止要素14とを含む。
調合室12は、封止要素14を受止要素13に対して装填位置(図示せず)と図2の調合位置との間で枢動させることにより可動する。
装填位置では、ポーションカプセル1を調合室12に挿入できるように、またはポーションカプセル1を軸方向100で封止要素14と受止要素13との間に配置できるように、受止要素13と封止要素14とが軸方向100で相互に離間する。
その後、封止要素14は、突縁20が受入要素13の縁部と封止要素14との間で挟持され、結果として、閉じた調合室12が形成されるように、受入要素13の方向に軸方向100で移動する。
さらに、受止要素13は、心棒15を備え、封止要素14は、複数の穿孔端16を備えている。
調合室12を閉じると、ポーションカプセル1の底部領域が、心棒15によって穿孔され、カバーホイル4が、穿孔端16によって穿孔される。
封止要素14は、液体供給開口部17を備え、この液体供給開口部17を通じて、圧縮された熱水または冷水の形式で調合液をポーションカプセル1の第1領域6に供給する。
この場合は、沸騰水をポーションカプセル1に60〜70秒間導入する。
この場合、調合液は、穿孔端16によってカバーホイル4に生成された穿孔穴を通ってポーションカプセル1内に移動する。
調合液は、第1領域6の内部で飲料物質10と相互作用し、結果として茶飲料が形成または調合され、フィルタ要素5のフィルタ開口部8を通って第2領域7に移動する。
さらに茶飲料は、心棒15によって底部領域に生成された出口開口を通って第2領域7から排出され、ティーカップやティーポット等の飲料容器(図示せず)に供給される。
詳細には、1回の調合操作で約200ミリリットルの茶飲料が飲料容器に供給される。
ここで、抽出物含有量は、詳細には、1〜3パーセントである。
調合操作が完了すると、使用済みのポーションカプセル1を除去または自動排出し、必要に応じて調合室機に新しいポーションカプセル1を装填できるように、封止要素14が受止要素13から再び離間する。
【0029】
図3は、本発明のさらなる実施例である飲料物質10を含むポーションカプセル1の側断面図である。ポーションカプセル1は、フィルタ要素5がフィルタフェルトとして実現されることを除き、図1に示すポーションカプセル1と実質的に同じである。
飲料物質10は、詳細には、図1および図2に関連して説明した飲料物質10に対応する。
【0030】
フィルタフェルトの要素は、ポリエステルを含むことが好ましい。
フィルタフェルトは、単位面積当たり重量が600〜700グラム/平方メートルであり、詳細には約650グラム/平方メートルである。
フィルタフェルトの主要延長面に対して垂直な方向の厚さは、約2.8ミリメートルである。
フィルタフェルトは、200Paの圧力で約250l/dm.minの通気性を有することが好ましい。
【0031】
図4は、図3に示すポーションカプセル1の調合操作時の側断面図である。図2の場合と同様に、心棒15がポーションカプセル1の底部を下から貫通している。
ただし、この例では、飲料をポーションカプセル1から流出させるために、心棒15の先端が、フィルタフェルトに入り込む。
ここでも、抽出物含有量は、詳細には1〜3パーセントである。
心棒15の先端がフィルタフェルトを完全に貫通すること、および/またはフィルタフェルトを心15棒の先端の領域で僅かに持ち上げることも考えられる。
飲料の効率的な流出は、フィルタフェルトの内部での(フィルタフェルトの主要延長面に対して平行な)クロスフローによって実現できる。これにより、飲料物質10の個別の粒子がフィルタフェルトにより取り除かれ、結果として流出する飲料に混入しなくなる。
【符号の説明】
【0032】
1 ・・・ ポーションカプセル
2 ・・・ 基本要素
3 ・・・ 空洞
4 ・・・ カバーホイル
5 ・・・ フィルタ要素
6 ・・・ 第1領域
7 ・・・ 第2領域
8 ・・・ フィルタ開口部
10 ・・・ 飲料物質
10’ ・・・ 調合物質
12 ・・・ 調合室
13 ・・・ 受止要素
14 ・・・ 封止要素
15 ・・・ 心棒
16 ・・・ 穿孔端
17 ・・・ 液体供給開口部
20 ・・・ 突縁
100 ・・・ 軸方向
図1
図2
図3
図4