【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、茶飲料を製造するための飲料物質において、ポーションカプセルに格納され、ポーションカプセルに熱水を圧力下で導入することによってポーションカプセル内で調合され、実質的に粒子状であり、少なくとも部分的に茶を含み、平均粒径が500〜1500マイクロメートルである飲料物質によって実現される。
【0007】
本発明の飲料物質の利点は、先行技術よりも明らかに効率的、迅速、且つ清潔に飲料物質を調合できるということである。
粒径は、一方では、飲料物質の表面積が大きくなり、結果として、比較的短い調合時間でも良好な味と香りとを備えた茶を効率的に調合できる程度に小さく選別される。
また、粒径は、他方では、製造された茶飲料から飲料物質を簡単な操作で取り除くことができ、結果として、消費者に提供される茶飲料に飲料物質が混入せず、味も損なわれない程度に大きく選別される。
詳細には、本発明の意味における「粒子状」は、「粒状」と同義である。
平均粒径は、詳細には、マルバーンレーザー回折法を使用して飲料物質を計測したときのD
4,3値(粒子の体積中位径ともいう)を含む。
この種の測定には、Malvern Mastersizer 3000と分散圧力4バール、フィードレート60〜90のAero S乾式分散を使用した。
【0008】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、平均粒径D
4,3が650〜1320マイクロメートルである。
好ましい態様では、飲料物質は、粒径が500マイクロメートルを超える粒子を40〜90パーセント、好ましくは50〜80パーセントの割合で含む。
特に好ましい態様では、飲料物質は、粒径が100マイクロメートル未満の粒子を10パーセント未満、好ましくは8パーセント未満の割合で含む。
この種の粒子分散を有する飲料物質が最適な抽出動作を示すことが、意外且つ専門家の予期せぬ態様でわかった。
詳細には、使用する生茶原料の量が従来技術よりも少ない状態で、効率的な抽出と満足のいく香りが実現された。
詳細には、結果として1〜3パーセントの抽出物含有量が実現された。
抽出物含有量は、抽出された乾燥物質の量の割合を示す。
ここでは、調製時に植物成分から放出され乾燥棚での乾燥後に固形物として残った物質の量を、カプセル内に存在する植物成分の量で除算する。
その結果が、割合としての抽出物含有量である。
【0009】
本発明の好ましい実施例で示すように、飲料物質は、膨化能(swelling capacity)が1.5〜3、詳細には1.0〜2.6である。
この膨化能は、詳細には、特定の膨化能を含み、乾燥した植物成分の量と、調合工程後に膨張した植物成分の量との割合として計算される。
このように定義された膨化能により、ポーションカプセル内の飲料物質の最適な調合効率が有利に実現する。
詳細には、結果として、調合操作時に、茶の香りが最適に生じるように飲料粒子の水分吸収が実現される。
【0010】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、細菌を減らすために予備熱処理される。
ハーブ茶は、きわめて広範な細菌汚染を受けやすい。
特に注意を払ったのは、胃腸不良や深刻な病気、さらには致命的な病気につながる可能性があるエンテロバクター(サルモネラ菌、大腸菌)である。
したがって、有利な態様では、エンテロバクターを減らし、さらに酵母やカビも減らすために飲料物質を予備熱処理する。
結果として、水がカプセルに流れ込むときに沸騰していなくても、残存する少量の細菌が確実に殺菌され、衛生的に優れた飲料を製造できる。
【0011】
本発明の目的は、茶飲料を製造するための飲料物質において、ポーションカプセルに格納され、ポーションカプセルに熱水を圧力下で導入することによってポーションカプセル内で調合され、実質的に粒状であり、少なくとも部分的に茶を含み、飲料物質の少なくとも90パーセントの中位粒径が0.1〜2ミリメートルである飲料物質によっても実現される。
【0012】
好ましい態様では、飲料物質の少なくとも90パーセントの中位粒径が、1〜2ミリメートルである。
この場合、ほぼすべての粒子がフィルタにキャッチされる一方、フィルタの各フィルタ開口部に過剰に小さい粒子が詰まることがないため、茶飲料からの茶物質のフィルタ処理が特に効率的となる。
本発明では、パーセントの指定は、詳細には粒子の質量の割合に関連する。つまり、中位粒径が0.1〜2ミリメートルである飲料物質の粒子が、飲料物質の質量の少なくとも90パーセントを占める。
本発明では、粒径は、詳細には飲料物質の粒子中位径を含む。
この中位径は、篩分析(sieve analysis)を利用して測定するのが好ましい。篩分析では、相互に積み重ねられた複数の試験用篩でできた篩塔(sieve tower)を使用するなどして、飲料物質を篩にかける。
この場合、個別の試験用篩の網目幅は、上部から下部に向かって減少する。
篩分析を実行するには、最上位の試験用篩に飲料物質を配置し、所定の振動動作を与える。
飲料物質の粒径分布は、個々の試験用篩上の残留物の重量を測定することによって判断する。
飲料物質を製造するには、上述した所望の粒径または粒径分布を実現できるように、詳細には予乾工程後の茶葉を(機械的なCTC工程を利用するなどして)押しつぶし、引き裂き、および/または丸める。
予乾した茶葉を切り刻む、切断する、挽く等もさらに考えられる。
上述したCTC法を使用するなどして飲料物質を製造し、上述した篩分析法を使用して粒径分布を測定する。得られた分析結果を利用して、さらなる粒径低減ステップが必要か否か、または所望の粒径分布がすでに実現しているか否かを判断する。
【0013】
本発明の有利な展開およびさらなる展開は、特許請求の範囲の従属項および図面に関する説明の中に見出すことができる。
【0014】
本発明の実施例で示すように、飲料物質は、消泡手段(anti-foaming means)を含む。
有利な態様では、消泡手段により、調合工程時または調合工程後に飲料物質の泡が過剰に形成されなくなる。
詳細には、茶飲料は、ポーションカプセルを離れるときに強く渦巻き、結果として大量の泡が形成される。
そのため、カップやポット等の受け容器に茶飲料を適切な態様で入れにくくなる。
消泡手段は、詳細には、疎水性の植物成分を含む。
好ましい実施例では、消泡手段は植物油を含む。
植物油は、茶の粒子に噴霧するのが好ましく、その後それらの粒子をポーションカプセルに入れる。
これにより、消泡手段の割合を飲料物質の全体的な質量の最大5パーセント、好ましい態様では最大2パーセント、特に好ましい態様では最大1.5パーセントにすることで、高品質な茶飲料を生成するための十分な茶物質を飲料物質内に確保しつつ、泡の形成を効果的に防止できることが、予測しない驚くべき態様でわかった。
飲料物質は、上述した含有物質に加えて、さらなる香りづけまたは着色のための構成要素を含むことができる。たとえば、砂糖、カラメル色素、植物の天然色素、果実の乾燥水性抽出物、香辛料とハーブに加えて、香辛料、ハーブ、柑橘類果実皮等の植物および植物部分の油性抽出物および抽出混合物や、仕上げ、特徴づけ、標準化等のための芳香物質を含むことができる。
これらの含有物質により、香り、味、色、外観等のすべての特徴が従来の方法で調製した飲料に一致する茶飲料が調製後にできあがる。
【0015】
本発明の好ましい実施例で示すように、飲料物質は、緑茶および/または紅茶を含む。
詳細には、飲料物質は、緑茶および/または紅茶を全体で約2〜4グラム、好ましい態様では2.5〜3.5グラム、特に好ましい態様では約3グラム含む。
【0016】
本発明のさらなる目的は、茶飲料を製造するためのポーションカプセルにおいて、調合工程用に用意された調合物質が少なくとも部分的に充填された事実上の密閉容器を含み、調合物質を調合するために調合室機に挿入可能であり、調合物質が本発明の飲料物質を含むことを特徴とするポーションカプセルである。
このポーションカプセルの利点は、ポーションカプセル内にある飲料物質を先行技術よりも明らかに効率的、迅速、且つ清潔な態様で調合できるということである。
ポーションカプセルは、特に好ましい態様では中位孔径が0.01〜1ミリメートルであるフィルタ開口部を備えるフィルタ要素を含むことが好ましい。
このことの先行技術に対する利点は、製造する茶飲料に飲料物質の粒子が混入せず、同時に飲料物質をより効率的に調合することが可能になるということである。
さらに、高効率な調合操作により、必要な飲料物質の量を減らし、且つ調合速度を上げて、飲料調合工程の時間を短縮することが有利な態様で可能となる。
詳細には、少なくとも90パーセントが中位粒径0.1〜2ミリメートルである飲料物質と、中位孔径が0.01〜1ミリメートルであるフィルタ開口部を有するフィルタ要素とを組み合わせることで、調合効率と調合速度の比率を最適化しつつ、調合効率とフィルタ処理率の比率も最適化できることが、予期せぬ意外な態様で示された。
【0017】
この代替として、フィルタ要素がフィルタフェルトを含むことも考えられ、それによって同様に最適な結果を得ることもできる。
フィルタフェルトの素材は、コスト効率に優れた製造と高度な引き裂き抵抗とを実現できるように、ポリエステルを含んでいることが好ましい。
詳細には、フィルタフェルトは、単位面積当たり重量が100〜2000グラム/平方メートル、好ましい態様では400〜900グラム/平方メートル、特に好ましい態様では600〜700グラム/平方メートル、きわめて好ましい態様では約650グラム/平方メートルである。
さらに、フィルタ要素は、詳細には、その主要延長面に直行する方向の厚さが1.5〜5.0ミリメートル、好ましい態様では2〜4ミリメートル、特に好ましい態様では約2.8ミリメートルである。
任意選択として、フィルタフェルトは、200Paの圧力で通気性が100〜1000l/(dm
2.min)、好ましい態様では200〜300l/(dm
2.min)、好ましい態様では約250l/(dm
2.min)になるように実現される。
このように定義されたフィルタフェルトにより、飲料物質の粒子がポーションカプセルから流れ出て飲料に混入することなく、飲料物質を迅速、効率的、且つ香り高く抽出することが有利な態様で可能となる。
この代替として、フィルタ要素がフィルタ不織布を含むことも考えられる。
【0018】
密閉容器は、閉じた底部を有し、この底部から離間した側がカバーホイルにより封止されている実質的に円錐形の基本要素を含み、底部とカバーホイルとの間に調合物質を収容する空洞が形成されていることが好ましい。
有利な態様では、本発明のポーションカプセルは、結果として従来の調合室機で使用できる。
【0019】
本発明のさらなる目的は、ポーションカプセルで茶飲料を製造する方法において、ポーションカプセルを調合室機の調合室に挿入する第1ステップと、ポーションカプセルに沸騰水を導入しその沸騰水を利用して調合物質を調合して茶飲料を製造する第2ステップと、ポーションカプセルから茶飲料を排出する第3ステップとを含むことを特徴とする方法である。
本発明のポーションカプセルを使用することで、先行技術に比べて高品質な茶飲料が、比較的短い調合時間で、飲料基質を残留させずに製造される。
【0020】
上述した利点は、詳細には、抽出物含有量が1〜50パーセント、好ましい態様では1〜10パーセント、特に好ましい態様では1〜3パーセントに維持されるときに実現されることがわかった。
抽出物含有量は、詳細には、平均粒径D
4,3を500〜1500マイクロメートル、好ましい態様では650〜1320マイクロメートルに規定し、および/または飲料物質で粒径が500マイクロメートルを超える粒子の割合を40〜90パーセント、好ましくは50〜80パーセントに規定し、および/または飲料物質で粒径が100マイクロメートル未満の粒子の割合を10パーセント未満、好ましくは8パーセント未満に規定することにより維持される。
【0021】
本発明の実施例で示すように、第1ステップで、沸騰水用の入口開口と茶飲料用の出口開口とをポーションカプセルの密閉容器に生成し、密閉容器を好ましくは調合室機の穿孔手段により穿孔し、ならびに/または入口開口および/もしくは出口開口を覆う封止ホイルを好ましくは密閉容器から除去する。
このことの利点は、入口開口および/または出口開口を開放または作成する前にポーションカプセルが実質的に密封状態で封止されているため、ポーションカプセルの保管時に飲料物質の香りが失われないか、または僅かしか失われないことである。
【0022】
本発明の実施例で示すように、第2ステップで、沸騰水をポーションカプセルに30〜100秒間、好ましい態様では50〜80秒間、特に好ましい態様では60〜70秒間導入する。
この方法により、依然として許容できる調合時間と比較的良好な調合結果とを確実に最適化できることがわかった。
【0023】
請求項12乃至請求項14のいずれかに記載の方法は、沸騰水の圧力、ポーションカプセルの内部体積、ポーションカプセルに配置される調合物質の量、第2ステップで前記ポーションカプセルに導入する沸騰水の量、調合物質の粒径分布、および/またはフィルタ要素の中位孔径が、第3ステップでポーションカプセルから排出される茶飲料が150〜250ミリリットル、好ましい態様では180〜220ミリリットル、特に好ましい態様では約200ミリリットルになるように相互に調和していることを特徴とする。
【0024】
本発明の実施例を添付の図面に示し、以下で詳しく説明する。
これらの図面は、単なる例示であり、本発明の全体的な概念を限定するものではない。