(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記譲渡記録が行なわれた電子記録債権の一部を除いて、代替の電子記録債権を再抽出する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のシステム。
前記譲渡記録が行なわれた電子記録債権の一部を除いて、代替の電子記録債権を再抽出するステップをさらに備えたことを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【背景技術】
【0002】
従来の手形に代わる新たな金銭債権として、電子記録債権がある。電子記録債権とは、電子記録債権法に基づき、電子債権記録機関の記録原簿に電子記録がされることをその発生、譲渡などの要件とする金銭債権のことである。電子記録債権は、手形のように、割引をすることが可能である(特許文献1参照)。手形割引の場合、割引依頼人が所持している手形を金融機関に裏書譲渡し、金融機関は、手形の額面金額から割引料を差し引いた金額で、手形を買い取る。一方、電子記録債権の割引の場合、割引依頼人が債権者として保有している電子記録債権を金融機関に譲渡するための譲渡記録をし、金融機関は、電子記録債権の債権金額で電子記録債権を買い取り、割引料を別途徴求する。
【0003】
現在、電子債権記録機関の「でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)」が取り扱う電子記録債権の割引は、
図1のように行なわれている。「顧客(割引依頼人)」は、割引依頼人が債権者となっている電子記録債権の割引を希望しているとする。「金融機関」は、でんさいネットに対して、割引をする電子記録債権の譲渡記録請求を行なう際に、窓口となる金融機関であり、譲り受けた電子記録債権の買い取りを行う。「でんさいネット」は、電子債権記録機関である。
【0004】
図1の(1)で示すように、割引依頼人は、金融機関に対して、電子記録債権の割引を申し込む。具体的には、割引依頼人は、「割引依頼人が債権者となっている電子記録債権」の一覧の中から、割引を依頼する電子記録債権(以下、「割引対象の電子記録債権」という)を選択する。さらに、割引依頼人は、希望する割引の実行日(以下、「割引希望日」という)を指定する。この「割引対象の電子記録債権」と「割引希望日」が、金融機関に通知される。(2)で示すように、金融機関は、割引の申込を受け付ける。その後、(3)で示すように、金融機関は、でんさいネットに対して、「割引対象の電子記録債権」の譲渡記録を請求する。この譲渡記録は、「割引対象の電子記録債権」を割引依頼人から金融機関に譲渡するための譲渡記録である。(4)で示すように、でんさいネットは、譲渡記録が可能な電子記録債権の譲渡記録を行う。(5)で示すように、金融機関は、譲渡記録の結果を受信する。その後、(6)で示すように、金融機関は、割引の審査を行なう。審査により、すべての「割引対象の電子記録債権」の割引を実行してもよいと判断されると、(7−1)で示すように、金融機関は、すべての「割引対象の電子記録債権」の割引を一括で実行する。しかしながら、「割引対象の電子記録債権」の中に、審査によって割引不可と判断された電子記録債権が1つでも混在している場合、(7−2)で示すように、金融機関は、割引の申込を一旦取り消す。そのため、金融機関は、すべての「割引対象の電子記録債権」を、割引依頼人に一括で返却する。つまり、割引可と判断された電子記録債権も含めてすべての電子記録債権が返却されてしまう。その後、割引依頼人は、改めて、「割引依頼人が債権者である電子記録債権の一覧」から、「割引対象の電子記録債権」を選択し直さなければならない。
【0005】
また、
図1の割引に関して、金融機関と割引依頼人は、あらかじめ契約を締結する。しかしながら、これは、電子記録債権の割引を利用するための契約であり、割引料を算出するための利率(割引料は、「電子記録債権の債権金額」「割引実行日から支払期日までの期間」「利率」に基づき算出される)などの取り決めはなされていない。そのため、利率などの割引のための条件(以下、割引条件という)は口頭で確認、合意する運用となっており、合意された割引条件が電磁的に記録されることはない。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図2は、本発明を実施するためのシステム構成図である。システム構成図には、金融機関システム210、でんさいネット220、顧客端末230が含まれる。金融機関システム210は、本発明を実施する金融機関のシステムである。金融機関システム210には、割引システム211、審査結果入力端末212、条件入力端末213が含まれる。詳細については、
図3を参照しながら説明する。でんさいネット220は、電子債権記録機関であり、記録原簿221を備える。顧客端末230は、割引依頼人のパーソナルコンピュータなどの端末である。金融機関システム210は、でんさいネット220および顧客端末230とデータの送受信が可能である。
【0013】
図3は、金融機関システム210の詳細図である。割引システム211には、抽出部301、債権管理データベース302、与信管理データベース303、顧客管理データベース304、記録請求部305、通知受信部306、割引条件登録部307、割引実行部308、割引条件管理データベース309が含まれる。それぞれの詳細については、下記で説明する。審査結果入力端末212および条件入力端末213は、金融機関内に設置された複数のパーソナルコンピュータなどの端末である。審査結果入力端末212と条件入力端末213は、同一の端末でもよいし、別々の端末でもよい。
【0014】
抽出部301は、割引システム211が顧客端末230から受信した「割引希望金額」および「割引希望日」に基づいて、抽出条件に合った電子記録債権を抽出する。抽出部301は、この抽出のために、債権管理データベース302、与信管理データベース303、顧客管理データベース304を参照する。まず、各データベースについて説明する。
【0015】
図4は、債権管理データベース302の一例である。債権管理データベース302は、金融機関システム210を有する金融機関が債権者側の取引金融機関となっている全ての電子記録債権(つまり、債権者の決済口座として、金融機関システム210を有する金融機関に開設されている口座が記録されている全ての電子記録債権)の情報を格納するデータベースである。債権管理データベース302は、「記録番号」「債権者情報(債権者名)」「債権者情報(利用者番号)」「債権者口座情報」「債権金額」「支払期日」「債務者情報(債務者名)」「債務者情報(利用者番号)」「債務者口座情報」等を示すデータを格納する。なお、本例は一例であって、他の項目を追加したり、一部項目を削除することも可能である。
【0016】
「記録番号」は、電子記録債権に割り当てられた番号である。「債権者情報(債権者名)」は、その電子記録債権の債権者を示す。「債権者情報(利用者番号)」は、その債権者に割り当てられている利用者番号(でんさいネットから利用者ごとに割り当てられる番号)である。「債権者口座情報」の「支店コード」「預金種別コード」「口座番号」は、電子記録債権の債権者決済口座に指定されている口座情報の内容である。「債権金額」は、その電子記録債権の債権金額を示す。「支払期日」は、その電子記録債権の支払期日を示す。「債務者情報(債務者名)」は、その電子記録債権の債務者を示す。「債務者情報(利用者番号)」は、その債務者に割り当てられている利用者番号である。「債務者口座情報」の「金融機関コード」「支店コード」「預金種別コード」「口座番号」は、電子記録債権の債務者決済口座に指定されている口座情報の内容である。
【0017】
図5は、与信管理データベース303の一例である。与信管理データベース303は、金融機関や顧客が要求する、割引の対象となる電子記録債権の抽出条件を登録するためのデータベースである。与信管理データベース303は、割引依頼人ごとの条件を登録するための割引依頼人テーブル501と、割引依頼人ごとに定められた割引銘柄(電子記録債権の債務者)ごとの条件を登録するための銘柄テーブル502からなる。
【0018】
割引依頼人テーブル501には、「割引依頼人名」「利用者番号」、および金融機関が要求する抽出条件を示すデータが格納される。「割引依頼人名」に格納されたデータが示す法人や個人が依頼してきた割引に対して、抽出条件が課せられる。「利用者番号」は、その割引依頼人に割り当てられている利用者番号である。割引依頼人テーブル501は、金融機関が要求する抽出条件として、「条件A」「条件B」「条件C」「条件D」・・・など、複数の抽出条件を格納することができる。例えば、
図5では、「条件A」として、割引極度額(その割引依頼人に対して実行できる割引の総額の上限)を示すデータが格納されている。
【0019】
銘柄テーブル502には、割引依頼人ごとに、「銘柄(債務者)」「利用者番号」、および金融機関や顧客が要求する抽出条件を示すデータが格納される。その割引依頼人が依頼してきた割引のうち、「銘柄(債務者)」に格納されたデータが示す法人や個人が債務者となっている電子記録債権に対して、抽出条件が課せられる。「利用者番号」は、その債務者に割り当てられている利用者番号である。銘柄テーブル502は、金融機関や顧客が要求する抽出条件として、「条件A」「条件B」「条件C」「条件D」・・・など、複数の抽出条件を格納することができる。例えば、
図5では、「条件A」として、割引可否(電子記録債権の割引の可否)を示すデータが格納されている。また、「条件B」として、比率限度(割引依頼人に対して行なわれた電子記録債権の割引(支払期日が到来していないもの)の総額に対する、その「銘柄(債務者)」の電子記録債権の総額の比率の上限)を示すデータが格納されている。条件Cとしては、金融機関が割引の対象として優先して利用したい銘柄として指定されているかどうかを示すデータが格納されている。なお、本例は銘柄(債務者)単位で条件指定する場合の一例であって、電子記録債権単位で条件指定できるように設定することも可能である。
【0020】
図6は、顧客管理データベース304の一例である。顧客管理データベース304は、顧客(割引依頼人)が要求する、割引の対象となる電子記録債権の抽出条件、および割引依頼人の口座情報を登録するためのデータベースである。例えば、割引依頼人が「優先して割引したい銘柄」、「割引したくない銘柄」などの抽出条件を、割引依頼人単位、もしくは割引依頼人の決済口座単位であらかじめ登録しておくことができる。顧客管理データベース304には、「顧客名(割引依頼人名)」「利用者番号」、および割引依頼人が要求する抽出条件を示すデータが格納される。
【0021】
「顧客名(割引依頼人名)」は、割引依頼人の法人名や氏名である。「利用者番号」は、その割引依頼人に割り当てられている利用者番号である。「割引依頼人口座情報」の「支店コード」「預金種別コード」「口座番号」は、割引依頼人が電子記録債権の決済口座に指定している口座情報の内容であり、1割引依頼人が複数の決済口座を保有する場合もあり得る。つまり、この割引依頼人口座情報のいずれかが、割引依頼人が債権者となっている電子記録債権の債権者決済口座に指定されている。顧客管理データベース304は、割引依頼人が要求する抽出条件として、「条件A」「条件B」「条件C」「条件D」・・・など、複数の抽出条件を格納することができる。例えば、
図6では、「条件A」として、優先銘柄(優先して抽出する銘柄(電子記録債権の債務者))を示すデータが格納されている。顧客管理データベース304は、優先銘柄として、複数の銘柄を格納することもでき、それらの銘柄に優先順位を付けることもできる。また、「条件B」として、抽出不可銘柄(抽出しない銘柄(電子記録債権の債務者))を示すデータが格納されている。顧客管理データベース304は、抽出不可銘柄として、複数の銘柄を格納することもできる。各条件は、割引依頼人が決済口座に関係なく、債権者として保有する全ての電子記録債権に対して設定することも可能であるし、記録されている決済口座単位で(つまり、その割引依頼人口座情報に格納された口座情報が、債権者決済口座に指定されている電子記録債権に対して)設定することも可能である。その他、個別の電子記録債権単位で条件指定できるように設定することも可能である。
【0022】
図3の説明に戻る。まず、割引システム211は、顧客端末230から、割引の申込として、「割引依頼人名」や「利用者番号」などの割引依頼人を特定するためのデータ、「割引希望金額」、「割引希望日」を受信する。「割引希望金額」は、割引依頼人が割引をしたい電子記録債権の債権金額の総額である。「割引希望日」は、割引依頼人が希望する割引の実行日である。
【0023】
抽出部301は、債権管理データベース302を参照して、割引依頼人を特定するためのデータに基づいて、割引依頼人が債権者となっている電子記録債権を特定する。例えば、抽出部301は、顧客端末230から送信された「割引依頼人名」を示すデータが、「債権者情報(債権者名)」に格納されている電子記録債権、または、顧客端末230から送信された「利用者番号」を示すデータが、「債権者情報(利用者番号)」、または顧客端末230から送信された「債権者決済口座」を示すデータが「債権者口座情報」に格納されている電子記録債権を特定する。
【0024】
また、抽出部301は、債権管理データベース302を参照して、「割引希望日」までに金融機関に譲渡記録することが可能な電子記録債権を特定する。例えば、でんさいネットでは、譲渡記録の請求は、支払期日から7営業日前以前に行なわなければならない。また、上記のとおり、割引をするためには、電子記録債権を金融機関に譲渡するための譲渡記録をしなければならない。そのため、抽出部301は、顧客端末230から送信された「割引希望日」が、「支払期日」に格納された日付の7営業日前以前である電子記録債権を特定する。
【0025】
次に、抽出部301は、債権管理データベース302内で、「割引依頼人が債権者となっている電子記録債権」であり、かつ、「割引希望日までに金融機関に譲渡記録することが可能な電子記録債権」である電子記録債権の「支払期日」を参照する。抽出部301は、この「支払期日」が現時点から近い順に、電子記録債権を抽出する。抽出部301は、「支払期日」が現時点から近い順に抽出した電子記録債権の「債権金額」を参照する。抽出部301は、抽出した電子記録債権の「債権金額」の合計が、顧客端末230から送信された「割引希望金額」以上になるまで抽出を続ける。
【0026】
この抽出において、抽出部301は、与信管理データベース303および顧客管理データベース304を参照して、与信管理データベース303および顧客管理データベース304に登録された条件を満たす、電子記録債権を抽出する。
【0027】
例えば、抽出部301は、割引依頼人ごとの極度額に基づき、抽出条件を満たすか否かを判断する。抽出部301は、顧客端末230から送信された「割引依頼人名」または「利用者番号」を示すデータが、与信管理データベース303の割引依頼人テーブル501の「割引依頼人名」または「利用者番号」に格納されている、「条件A(割引極度額)」を参照する。抽出部301は、顧客端末230から送信された「割引希望金額」の割引を実行することによって、「条件A(割引極度額)」に格納された金額を超えるか否かを判断する。超えない場合、抽出部301は、抽出を行なう。超える場合、割引システム211は、顧客端末230にエラーを通知する。
【0028】
例えば、抽出部301は、抽出しようとしている電子記録債権の銘柄(債務者)に基づき、割引依頼人ごとに定められた抽出条件を満たすか否かを判断する。まず、抽出部301は、顧客端末230から送信された割引依頼人を特定するためのデータに基づいて、与信管理データベース303の銘柄テーブル502内で、その割引依頼人に定められた抽出条件を特定して、以下の抽出の対象とする。次に、抽出部301は、債権管理データベース302内で、抽出しようとしている電子記録債権の「債務者情報(利用者番号)」を参照する。次に、抽出部301は、この参照した「債務者情報(利用者番号)」と同一のデータを、与信管理データベース303の銘柄テーブル502の「利用者番号」内で検索する。次に、抽出部301は、この検索された「利用者番号」を有する「銘柄(債務者)」を特定する。次に、抽出部301は、特定された「銘柄(債務者)」の「条件」を参照する。抽出部301は、「条件A(割引可否)」に割引しないことを示すデータが格納された銘柄を避けて抽出する。また、抽出部301は、この銘柄の比率(割引依頼人に対して行なわれた電子記録債権の割引(支払期日が到来していないもの)の総額に対する、その「銘柄(債務者)」の電子記録債権の総額の比率)が、「条件B(比率限度)」に格納された数値を超えないように抽出する。また、抽出部301は、「条件C」に格納された、金融機関が割引の対象として優先して利用したい銘柄を優先して抽出する。
【0029】
例えば、抽出部301は、割引依頼人が登録しておいた要件に基づき、抽出条件を満たすか否かを判断する。抽出部301は、顧客端末230から送信された「割引依頼人名」または「利用者番号」を示すデータが、顧客管理データベース304の「顧客名(割引依頼人名)」または「利用者番号」に格納されている、「条件」を参照する。抽出部301は、「条件A(優先銘柄)」に格納されているデータが示す銘柄を優先して抽出する。また、抽出部301は、「条件B(抽出不可銘柄)」に格納されているデータが示す銘柄を避けて抽出する。
【0030】
ここで、電子記録債権の分割について説明する。電子記録債権は、手形と異なり、分割して譲渡記録をすることが可能である。上記のように抽出した結果、抽出された電子記録債権の「債権金額」の合計が、顧客端末230から送信された「割引希望金額」と同一にならない場合(「割引希望金額」を超えてしまう場合)がある。このような場合、電子記録債権の「債権金額」の合計が、顧客端末230から送信された「割引希望金額」と同一になるように、電子記録債権を分割して割引をすることも可能である。つまり、一部の電子記録債権を分割して、子債権を金融機関に譲渡記録することによって、譲渡記録された電子記録債権の債権金額の合計と「割引希望金額」とが同一になるようにする。
【0031】
記録請求部305は、でんさいネット220に対して、電子記録債権の譲渡記録の請求を行なう。まず、割引システム211は、顧客端末230に、抽出部310によって抽出された電子記録債権の組み合わせ案(以下、割引明細案という)を送信する。割引依頼人がこの割引明細案を承諾すると、顧客端末230は、割引システム211に、割引明細案を承諾したことを示すデータを送信する。次に、記録請求部305は、承諾された割引明細案に含まれる電子記録債権の譲渡記録を請求するためのデータを作成する。この譲渡記録は、割引依頼人から、金融機関システム210を有する金融機関に譲渡するための譲渡記録である。次に、記録請求部305は、でんさいネット220に、作成した譲渡記録を請求するためのデータを送信する。なお、割引依頼人が、抽出部310によって抽出された割引明細案を拒否する場合、後述するように、顧客端末230は、割引システム211に、割引明細案のうち拒否する電子記録債権を示すデータと、その電子記録債権と入れ替える電子記録債権を示すデータとを送信することができる。
【0032】
通知受信部306は、でんさいネット220から、請求した譲渡記録の結果を受信する。受信した結果が、譲渡記録が行われたことを示す場合、通知受信部306は、割引条件登録部307に、譲渡記録の結果を通知する。一方、受信した結果が、譲渡記録が行われなかったことを示す場合、通知受信部306は、抽出部301に通知する。譲渡記録が行われなかったことを示す場合、後述するように、抽出部301は、電子記録債権の抽出をやり直すことができる。
【0033】
ここで、審査結果入力端末212について説明する。審査結果入力端末212は、金融機関によって行なわれた与信審査の結果を、割引システム211に通知するための端末である。金融機関システム210を有する金融機関は、譲渡記録が行われた電子記録債権の与信審査をして、割引の可否を判断する。その後、審査結果入力端末212に入力された与信審査の結果が、審査結果入力端末212から割引システム211に送信される。詳細には、割引システム211は、審査結果入力端末212に、譲渡記録が行われたことを示すデータを送信する。次に、金融機関が、譲渡記録が行なわれた電子記録債権の与信審査を行なう。次に、審査結果入力端末212は、審査結果入力端末212に入力された与信審査の結果を、割引システム211に送信する。
【0034】
ここで、条件入力端末213について説明する。条件入力端末213は、割引条件を、割引システム211に通知するための端末である。金融機関システム210を有する金融機関の担当者は、与信審査により割引が承諾された電子記録債権の割引料に係る利率等の割引条件を条件入力端末213に入力する。その後、入力された割引条件が、条件入力端末213から割引システム211に送信される。詳細には、割引システム211は、条件入力端末213に、与信審査により割引が承諾されたことを示すデータを送信する。次に、金融機関の担当者が、与信審査により割引が承諾された電子記録債権の割引条件(割引料に係る利率、金融機関から割引依頼人に支払われる金額、割引明細(電子記録債権の組み合わせ)、割引を実行する日など)を条件入力端末213に入力する。次に、条件入力端末213は、入力された割引条件を、割引システム211に送信する。
【0035】
図3の説明に戻る。割引条件登録部307は、譲渡記録が行われた電子記録債権の処理を行なう。まず、割引条件登録部307は、通知受信部306から譲渡記録の結果を受信すると、審査結果入力端末212に、その譲渡記録の結果(譲渡記録が行われたことを示すデータ)を送信する。次に、割引条件登録部307は、審査結果入力端末212から、金融機関によって行なわれた与信審査の結果を受信する。与信審査の結果が、割引を承諾することを示す場合、割引条件登録部307は、条件入力端末213との処理を始める。一方、与信審査の結果が、割引を拒否することを示す場合、割引条件登録部307は、抽出部301に、与信審査により割引を拒否されたことを通知する。割引を拒否することを示す場合、後述するように、抽出部301は、電子記録債権の抽出をやり直すことができる。
【0036】
また、割引条件登録部307は、与信審査により割引の実行が承諾された電子記録債権の処理を行なう。まず、割引条件登録部307は、条件入力端末213に、与信審査により割引の実行が承諾されたことを示すデータおよび承諾された電子記録債権の情報を送信する。さらに、割引条件登録部307は、条件入力端末213に、電子記録債権の割引の申込情報(「割引依頼人名」や「利用者番号」などの割引依頼人を特定するためのデータ、「割引希望金額」、「割引希望日」など)および譲渡記録が行われたことを示すデータを送信する。次に、割引条件登録部307は、条件入力端末213から、条件入力端末213に入力された割引条件を受信する。次に、割引条件登録部307は、顧客端末230に、この割引料に係る利率等、割引条件を示すデータを送信する。割引依頼人が割引条件を承諾する場合、顧客端末230は、割引システム211に、割引条件を承諾したことを示すデータを送信する。次に、割引条件登録部307は、承諾された割引条件を、割引実行部308に通知する。なお、割引依頼人が割引条件を拒否した場合、後述するように、割引条件登録部307は、条件入力端末213から、条件入力端末213に再入力された新たな割引条件を受信することができる。
【0037】
割引実行部308は、電子記録債権の割引を実行する。割引システム211が、顧客端末230から、割引条件を承諾したことを示すデータを受信すると、割引実行部308は、この承諾された割引条件に基づいて、電子記録債権の割引を実行する。詳細には、割引条件登録部307は、割引実行部308に、承諾された割引条件を通知する。割引実行部308は、通知された割引条件に基づいて、金融機関から割引依頼人に支払われる金額を算出する。割引実行部308は、事前に割引依頼人が金融機関に指定した、この割引依頼人の指定口座(割引実行資金の入金口座)の残高を、算出した金額分だけ増額する。
【0038】
割引条件管理データベース309は、割引実行部308によって実行された割引における割引条件(割引料に係る利率、金融機関から割引依頼人に支払われる金額、割引明細(電子記録債権の組み合わせ)、割引を実行する日など)を格納するデータベースである。
【0039】
図7は、この発明を実施するためのデータフロー図である。顧客端末230、割引システム211、審査結果入力端末212、条件入力端末213、でんさいネット220の間のデータの送受信の一例を示す。
【0040】
ステップ701にて、顧客端末230は、割引システム211に、割引の申込として、割引依頼人を特定するためのデータ、割引希望金額、割引希望日を示すデータを送信する。
【0041】
ステップ702にて、割引システム211は、顧客端末230に、割引システム211が抽出した割引明細案を示すデータを送信する。この割引明細案は、ステップ701の割引依頼人を特定するためのデータ、割引希望金額、割引希望日を示すデータに基づいて抽出される。
【0042】
ステップ703にて、顧客端末230は、割引システム211に、割引明細案を承諾することを示すデータを送信する。
【0043】
ステップ704にて、割引システム211は、でんさいネット220に、譲渡記録を請求するためのデータを送信する。この譲渡記録は、ステップ703で承諾された割引明細案に含まれる電子記録債権を、割引依頼人から金融機関に譲渡するための譲渡記録である。
【0044】
ステップ705にて、でんさいネット220は、割引システム211に、譲渡記録が行なわれたことを示すデータを送信する。
【0045】
ステップ706にて、割引システム211は、審査結果入力端末212に、譲渡記録が行なわれたことを示すデータを送信する。
【0046】
ステップ707にて、審査結果入力端末212は、割引システム211に、与信審査によって割引が承諾されたことを示すデータを送信する。
【0047】
ステップ708にて、割引システム211は、条件入力端末213に、与信審査によって割引が承諾されたことを示すデータを送信する。
【0048】
ステップ709にて、条件入力端末213は、割引システム211に、割引条件を示すデータを送信する。
【0049】
ステップ710にて、割引システム211は、顧客端末230に、割引条件を示すデータを送信する。この割引条件は、ステップ709で条件入力端末213から送信された割引条件である。
【0050】
ステップ711にて、顧客端末230は、割引システム211に、割引条件を承諾したことを示すデータを送信する。その後、割引システム211は、割引を実行する。
【0051】
図8は、この発明を実施するための方法のフローチャートである。以下、割引システム211によって実施される方法について説明する。
【0052】
ステップ801にて、割引システム211は、顧客端末230から、割引の申込として、「割引依頼人名」や「利用者番号」などの割引依頼人を特定するためのデータ、「割引希望金額」、「割引希望日」を受信する。
【0053】
ステップ802にて、割引システム211の抽出部301は、上記のとおり、電子記録債権の抽出を行なう。
【0054】
ステップ803にて、割引システム211は、顧客端末230に、ステップ802で抽出された電子記録債権(割引明細案)を示すデータを送信する。割引依頼人は、顧客端末230に送信された割引明細案を確認する。割引システム211が、顧客端末230から、割引明細案を承諾することを示すデータを受信した場合は、ステップ804に進む。一方、割引システム211が、顧客端末230から、割引明細案を拒否することを示すデータを受信した場合は、ステップ808に進む。
【0055】
ステップ808にて、割引システム211は、顧客端末230から、割引明細案のうち拒否する電子記録債権を示すデータと、その電子記録債権と入れ替える電子記録債権を示すデータとを受信する。例えば、割引システム211は、顧客端末230に、割引明細案とともに、入れ替え用の電子記録債権を示すデータを送信することができる。割引依頼人は、この入れ替え用の電子記録債権の中から、割引明細案に含めたい電子記録債権を選択する。顧客端末230は、割引システム211に、この選択された電子記録債権を示すデータを送信することができる。あるいは、顧客端末230は、金融機関システム210に、(入れ替え用の電子記録債権以外の)任意の電子記録債権を示すデータを送信することもできる。
【0056】
ステップ809にて、割引システム211の抽出部301は、ステップ808の「割引明細案のうち拒否する電子記録債権」と、「その電子記録債権と入れ替える電子記録債権」とを入れ替えた割引明細案が抽出条件を満たすか否かを判断する。つまり、「割引依頼人が債権者となっている電子記録債権」であるか否か、「割引希望日までに金融機関に譲渡記録することが可能な電子記録債権」であるか否か、与信管理データベース303および顧客管理データベース304に登録された条件を満たすか否かが判断される。抽出条件を満たす場合は、ステップ803に続き、割引システム211は、顧客端末230に、入れ替えられた割引明細案を送信する。抽出条件を満たさない場合は、ステップ810に進む。
【0057】
ステップ810にて、割引システム211は、顧客端末230にエラーを通知する。
【0058】
ステップ804に戻る。ステップ804にて、割引システム211の記録請求部305は、でんさいネット220に、ステップ803で承諾された割引明細案に含まれる電子記録債権の譲渡記録を請求するためのデータを送信する。割引システム211が、でんさいネット220から、譲渡記録が行なわれたことを示すデータを受信した場合は、ステップ805に進む。一方、割引システム211が、でんさいネット220から、譲渡記録が行なわれなかったことを示すデータを受信した場合は、ステップ811に進む。
【0059】
ステップ811にて、割引システム211の抽出部301は、電子記録債権を抽出し直す。詳細には、抽出部301は、でんさいネット220にて譲渡記録が行われなかった電子記録債権を割引明細案から除き、除かれた電子記録債権に代わる電子記録債権を抽出する。代わりの電子記録債権の抽出は、ステップ802の電子記録債権の抽出と同様に行なわれる。その後、ステップ803に続き、割引システム211は、顧客端末230に、再抽出された割引明細案を送信する。
【0060】
ステップ805に戻る。ステップ805にて、割引システム211は、審査結果入力端末212から、与信審査の結果を受信する。この与信審査は、ステップ804ででんさいネット220にて譲渡記録が行われた電子記録債権の与信審査である。割引システム211が、審査結果入力端末212から、与信審査によって割引の実行が承諾されたことを示すデータを受信した場合は、ステップ806に進む。一方、割引システム211が、審査結果入力端末212から、与信審査によって割引の実行が拒否されたことを示すデータを受信した場合は、ステップ812に進む。
【0061】
ステップ812にて、割引システム211は、与信審査により割引の実行が拒否された電子記録債権を割引依頼人に返却する(ステップ804で譲渡記録がなされたため、電子記録債権を割引依頼人に返却する必要がある)。返却は、譲渡記録の譲受人である金融機関が譲渡記録の削除のための変更記録請求をすることで行なわれる。あるいは、この返却は、金融機関から割引依頼人への譲渡記録請求をすることで行なわれる。さらに、割引システム211の抽出部301は、電子記録債権を抽出し直す。詳細には、抽出部301は、与信審査によって割引の実行が拒否された電子記録債権を割引明細案から除き、除かれた電子記録債権に代わる電子記録債権を抽出する。代わりの電子記録債権の抽出は、ステップ802の電子記録債権の抽出と同様に行なわれる。その後、ステップ803に続き、割引システム211は、顧客端末230に、再抽出された割引明細案を送信する。
【0062】
ステップ806に戻る。ステップ806にて、割引システム211は、条件入力端末213から、割引条件を受信する。この割引条件は、ステップ805で与信審査によって割引の実行が承諾された電子記録債権の割引条件である。割引システム211は、条件入力端末213から割引条件を示すデータを受信すると、顧客端末230に、この割引条件を示すデータを送信する。割引依頼人は、顧客端末230に送信された割引条件を確認する。割引システム211が、顧客端末230から、割引条件を承諾することを示すデータを受信した場合は、ステップ807に進む。割引システム211が、顧客端末230から、割引条件を拒否することを示すデータを受信して、金融機関が割引条件を再調整する場合は、ステップ813に進む。割引システム211が、顧客端末230から、割引条件を拒否することを示すデータを受信して、金融機関が割引条件を再調整しない場合(金融機関が割引申込を取り消す場合)は、ステップ814に進む。割引システム211が、顧客端末230から、割引申込を取り消すことを示すデータを受信した場合は、ステップ815に進む。
【0063】
ステップ813にて、割引システム211は、条件入力端末213に、顧客端末230から割引条件を拒否することを示すデータを受信したことを通知する。その後、割引システム211は、条件入力端末213から、新たな割引条件を受信する。その後、ステップ806に続き、割引システム211は、顧客端末230に、再調整された新たな割引条件を送信する。
【0064】
ステップ814にて、割引システム211は、割引明細案に含まれる全ての電子記録債権を割引依頼人に返却する(ステップ804で譲渡記録がなされたため、電子記録債権を割引依頼人に返却する必要がある)。
【0065】
ステップ815にて、割引システム211は、割引明細案に含まれる全ての電子記録債権を割引依頼人に返却する(ステップ804で譲渡記録がなされたため、電子記録債権を割引依頼人に返却する必要がある)。
【0066】
ステップ807に戻る。ステップ807にて、割引システム211の割引実行部308は、割引を実行する。また、割引実行部308は、実行された割引における割引条件を割引条件管理データベース309に格納する。
【0067】
図9は、本発明を実施するために用いることができる例示的なコンピュータ900を示している。上記の割引システム211、審査結果入力端末212、条件入力端末213、顧客端末230の機能は、コンピュータ900を用いて実施することができる。コンピュータ900は、CPUなどの制御部901、主記憶部902および補助記憶部903、入力部904、出力部905、ネットワークインターフェース906を含む。制御部901は、コンピュータ900において実行される各種処理を行う。主記憶部902は、メインメモリとも呼ばれ、受信した各種データ、プログラムおよび当該プログラムによる演算処理後のデータなどを記憶する。補助記憶部903は、ハードディスク(HDD)などに代表される記憶装置である。入力部904は、コンピュータ900に対する各種入力を受信し、出力部905は、コンピュータ900によって行われる各種出力をディスプレイやプリンタなどのデバイスを介して行う。ネットワークインターフェース906は、外部デバイスとのやり取りを行う。