特許第5936674号(P5936674)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936674
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】シランベースの水性防食配合物
(51)【国際特許分類】
   C08L 83/14 20060101AFI20160609BHJP
   C09D 183/04 20060101ALI20160609BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20160609BHJP
   C09D 5/10 20060101ALI20160609BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160609BHJP
   C09D 7/02 20060101ALI20160609BHJP
   C08K 3/00 20060101ALI20160609BHJP
   C08G 77/54 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C08L83/14
   C09D183/04
   C09D5/00 Z
   C09D5/10
   C09D7/12
   C09D7/02
   C08K3/00
   C08G77/54
【請求項の数】16
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2014-501502(P2014-501502)
(86)(22)【出願日】2012年2月27日
(65)【公表番号】特表2014-515771(P2014-515771A)
(43)【公表日】2014年7月3日
(86)【国際出願番号】EP2012053256
(87)【国際公開番号】WO2012130544
(87)【国際公開日】20121004
【審査請求日】2013年11月25日
(31)【優先権主張番号】102011006182.7
(32)【優先日】2011年3月25日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102011084183.0
(32)【優先日】2011年10月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アルベアト
(72)【発明者】
【氏名】エックハート ユスト
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−537016(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/121872(WO,A1)
【文献】 特開2007−070629(JP,A)
【文献】 特表2009−507100(JP,A)
【文献】 特表2010−537017(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 83/00−83/16
C08G 77/00−77/62
C08K 3/00−3/40
C09D 5/00−5/46
7/00−7/14
183/00−183/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、
・式I
X−Si(R2x(OR13-x (I)
〔式中、Xは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、1−グリシジルオキシメチル基、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基又は3−グリシジルオキシイソブチル基を表し、R1並びにR2は互いに独立して、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつxは0又は1に等しい〕で示されるω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、
一般式II
(OR13Si−A−Si(OR13 (II)
〔式中、基R1は同じか又は異なり、かつR1は、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつAは、式IIa
−(CH2i−[NH(CH2fgNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i*− (IIa)
で示されるビスアミノ官能基を表し、
ここで、i、i*、f、f*、g又はg*は同じか又は異なり、i及び/又はi*=1、2、3又は4、f及び/又はf*=1又は2、g及び/又はg*=0又は1〕で示される少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンとをベースとするか、又は
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンと、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、チオシアナトアルキルアルコキシシラン及びシリカゾルの中からの、少なくとも1種の更なるケイ素化合物とをベースとする、少なくとも1種の共縮合物
を含有するバインダー、
・水、
・該組成物を基準として、3質量%未満の量のアルコール、及び
・粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の中からの、少なくとも1種の添加剤を含み、
その際に、該組成物中のpH値が1〜14であり、かつ該バインダーの乾燥残留物が、使用されるバインダーを基準として1〜50質量%であり、
前記粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の該添加剤が、亜鉛粉末、亜鉛ラメラ、亜鉛末、亜鉛合金製、亜鉛ビスマス合金製の粉末又はラメラ又は微粉及び酸化亜鉛の中から選択されている、組成物。
【請求項2】
該組成物を基準として、1〜50質量%の乾燥残留物(固形分)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
該組成物中の粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の含量が、1〜95質量%である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
更に少なくとも1種の添加剤を含有し、かつ該添加剤が、消泡剤、増粘剤、レオロジー助剤、分散助剤、沈降防止剤、さび止め剤、湿潤剤、有機顔料、ポリマーもしくはポリマー分散液並びに該縮合及び硬化用の触媒の中から選択されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
それぞれ該組成物を基準として、0〜5質量%の増粘剤及び/又は0〜5質量%の沈降防止剤及び/又は0〜3質量%の湿潤剤及び/又は0〜1質量%の腐食抑制剤の含量であり、その際に該組成物中に存在する全ての成分の合計が100質量%である、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物の製造方法であって、
まず最初に、式I
X−Si(R2x(OR13-x (I)
〔式中、Xは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、1−グリシジルオキシメチル基、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基又は3−グリシジルオキシイソブチル基を表し、R1並びにR2は互いに独立して、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつxは0又は1に等しい〕で示されるω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、
一般式II
(OR13Si−A−Si(OR13 (II)
〔式中、基R1は同じか又は異なり、かつR1は、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつAは、式IIa
−(CH2i−[NH(CH2fgNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i*− (IIa)
で示されるビスアミノ官能基を表し、
ここで、i、i、f、f、g又はgは同じか又は異なり、i及び/又はi=1、2、3又は4、f及び/又はf=1又は2、g及び/又はg=0又は1である〕で示される少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンとをベースとするか、又は
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンと、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、チオシアナトアルキルアルコキシシラン及びシリカゾルの中からの、少なくとも1種の更なるケイ素化合物とをベースとする、少なくとも1種の共縮合物
を含有するバインダーを、
式I、IIによる使用されるシラン又は式I、II及び前記のケイ素化合物による使用されるシランを基準として、モル過剰量の水を装入し、
有機酸又は無機酸の添加下に酸性のpH値に調節し、
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを計量供給し、かつ加熱し、
酸を後計量供給し、
かつ、一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミン又は一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンとテトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン及びイソシアナトアルキルアルコキシシランの中からの少なくとも1種の更なるケイ素化合物とを計量供給し、かつ反応させ、
引き続き、その際に生じた加水分解アルコールを、減圧下に少なくとも部分的に該反応混合物から除去し、
こうして得られたバインダーを、水及び/又は酸水溶液及び/又は塩基水溶液で希釈し、もしくは該pH値を調節し、引き続きろ過し、
かつ
こうして得られたバインダー中へ、粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の中からの少なくとも1種の添加剤を分散させる
ことによって製造し、
前記粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の該添加剤が、亜鉛粉末、亜鉛ラメラ、亜鉛末、亜鉛合金製、亜鉛ビスマス合金製の粉末又はラメラ又は微粉及び酸化亜鉛の中から選択されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の組成物の製造方法。
【請求項7】
有機酸又は無機酸の添加下に酸性のpH値に調節する際にシリカゾルを撹拌しながら添加する、請求項記載の方法。
【請求項8】
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを、一般式IIのビス(アルコキシシリルアルキル)アミンに対する0.1対99.9〜99対1のモル比で使用する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
該ω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを該バインダー中で0.001〜42モル%で使用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
式I及びIIによる使用されるシラン又は式I、II及び前記のケイ素化合物による使用されるシランを基準として、モル過剰量の水を、使用されるシランの存在しているSiに結合したアルコキシ基1モル当たり、2〜1000モルの水を保護ガス下で装入する、請求項6から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
該有機酸又は無機酸が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸の中から選択されており、かつ該塩基水溶液が、カセイソーダ、カセイカリ、N,N−ジメチルエタノールアミン、テトラキス(トリエタノールアミン)ジルコナートの中から選択されており、かつ該pH値を、バインダー中での反応中及び/又は該反応後及び/又は該組成物中での配合後に、1〜14に調節し、その際に該バインダーへの該粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の添加も、そのpH値の変化をもたらしうる、請求項6から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランとして、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを使用するもしくは計量供給し、得られた酸性の水性混合物を、0.1〜3時間にわたって、撹拌もしくは混合しながら、50〜90℃の温度に加熱する、請求項6から11までのいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
ω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを含有し、加熱された酸性混合物に、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン及び/又はビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを、2〜6のpH値で計量供給し、撹拌しながら50〜90℃で、0.3〜6時間にわたって反応させる、請求項6から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項14】
ω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを含有し、加熱された酸性混合物に、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン及び/又はビス(トリエトキシシリルプロピル)アミン及び更なるケイ素化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン(PTMO)、n−プロピルトリエトキシシラン(PTEO)、イソブチルトリメトキシシラン(IBTMO)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTEO)、オクチルトリメトキシシラン(OCTMO)、オクチルトリエトキシシラン(OCTEO)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTMO)、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTEO)、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N′−ジアミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(TriAMO)、N,N′−ジアミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、カルボキシアルキルトリアルコキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−チオシアナトプロピルトリメトキシシランを、2〜6のpH値で計量供給し、撹拌しながら50〜90℃で、0.3〜6時間にわたって反応させる、請求項6から12までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
16〜26℃の温度で空気中で硬化するコーティングのための、請求項1からまでのいずれか1項記載の又は請求項6から14までのいずれか1項記載の方法により製造された組成物の使用。
【請求項16】
腐食から金属及び金属合金を保護するためのコーティングのための、請求項15に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バインダーとしての水性シラン系をベースとする新規防食配合物、それらの製造方法並びにコーティングのため、特に金属を腐食から保護するための、それらの使用に関する。
【0002】
水性シラン系は、ますます関心が持たれている、それというのも、これらは有機溶剤をあまり含有しないかもしくは含有せず、ゆえに環境により優しいからである。更にまた、これらの系は防爆なしに使用することができる。安定な水性シラン系は、シランと水との混合によって簡単に製造することはできない、それというのも、多くのシランは該水相に不溶であり、かつ水との接触の際に加水分解及び縮合するからである。ゆえに、通常、有機溶剤と、定義された量の水とを有するシラン系が防食において使用される。該シラン系の特性を変性するもしくは該防食を改善するために、これらは添加剤、顔料及び充填剤と共に配合することができる。
【0003】
水溶性アミノポリシロキサンの製造は欧州特許(EP)第0 590 270号明細書に記載されている。該アミノシランは、50%アルコール溶液中で相応する量の水と混合され、かつ60℃で加水分解し始める(anhydrolysiert)。これらの生成物は引き続き水に可溶である。不利であるのは、依然として有機溶剤の高い含量及びそれに付随する低い引火点である。
【0004】
独国特許出願公開(DE)第103 35 178号明細書には、水溶性シラン系、例えば3−アミノプロピルトリアルコキシシランと、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンとからなる混合物の製造が同様に記載されている。該シラン混合物は、定義された水量で加水分解し始める。しかしここでも、該シラン混合物はアルコール25〜99.99%を含有し、それゆえにVOCフリーではない。
【0005】
米国特許(US)第5,051,129号明細書には、水溶性アミノシランと、アルキルトリアルコキシシランとからなる水溶液の組成物の特許の保護が請求されている。該製造は、シラン混合物への定義された量の水の添加、引き続き60℃での温度調節により行われる。こうして製造されたシラン混合物は、特定の比で水中に溶解され、かつ表面の疎水化に利用される。
【0006】
欧州特許(EP)第0 716 128号明細書には、水をベースとするオルガノポリシロキサン含有組成物、それらの製造方法及び使用の特許の保護が請求されている。水溶性アミノアルキルアルコキシシランと、アルキルトリアルコキシシラン及び/又はジアルキルジアルコキシシランとの混合及び定義されたpH値での水の添加により、オルガノポリシロキサン含有組成物が生じる。生じた加水分解アルコールは、蒸留により除去される。ゆえにVOCフリーの水性ポリシロキサン含有組成物が得られ、これらは表面、鉱物質建築材料及び更なる用途の疎水化に使用することができる。
【0007】
国際公開(WO)第2000/39177号には、水溶液中でのビスシリルアミノシラン及び/又はビスシリルポリスルファンの使用が記載されている。該シランは、水、アルコール及び任意に酢酸と混合され、少なくとも24時間、加水分解される。引き続き、金属上での使用が行われる。
【0008】
米国特許(US)第6,955,728号明細書には、水溶液中での他のシランとの組合せでのアセトキシシランの使用及び金属上での使用が記載されている。とりわけ、ビス(トリアルコキシシリルプロピル)アミンも、アセトキシシランとの組合せで使用される。該水溶液の安定性については言明されないか、もしくは該使用前にはじめて合一される2成分系が推奨される。該水溶液は、少なくともいつでも該加水分解アルコールを含有する。
【0009】
国際公開(WO)第2004/076717号では、ビスシリルアミノシランが、更なるシラン及び金属キレートとの組合せで、水溶液中で使用される。該シランは、水性濃縮物中での少なくとも2週間のエージングにより部分的に加水分解される。引き続き、金属キレートが添加され、水で更に希釈される。更にまた、全ての水性配合物は依然として、該加水分解からのアルコールを含有する。該水性系は、金属表面の前処理に使用される。
【0010】
国際公開(WO)第2004/076718号は、部分加水分解されたシラン、例えばビスシリルアミノシランと、部分加水分解されたフッ素含有シランとを含有する水溶液で金属表面をコーティングする方法に関する。該フッ素含有シランの使用により、該コーティング系の疎水性及び耐食性が改善される。該加水分解アルコールは、該系から除去されない。
【0011】
米国特許(US)第5,206,285号明細書には、エポキシシラン及びアミノシランからの水をベースとする付加生成物の製造及び使用が記載されている。該水性シラン系は無溶剤ではない。これらは金属コーティングに使用され、かつ該耐食性を改善するとされている。
【0012】
欧州特許出願公開(EP)第1 760 128号明細書には、水性の二成分系接着促進剤組成物並びに接着又は密封のためのそれらの使用の特許の保護が請求されている。該接着促進剤(Haftvermittler)の成分は、ビスシリルアミノシランを含有してよい。
【0013】
独国特許出願公開(DE)第10 2004 037 045号明細書は、グリシジルオキシプロピルアルコキシシランと水性シリカゾルとから触媒の存在下で製造される、水性シランナノコンポジットに関する。該水性系は、事実上無溶剤であり、かつ金属コーティングに適している。不利であるのは、200℃の高い架橋温度である。
【0014】
米国特許(US)第6,468,336号明細書には、鋼用の防食コーティングの配合物及び使用が記載されている。水ベースの該配合物は、バインダーとして水ガラスを、かつ顔料として、亜鉛、含鉄層状ケイ酸塩並びに更なる充填剤を含有する。前記の配合物は、15〜25μmの層厚で、抜群の防食を達成するとされている。
【0015】
欧州特許(EP)第1 191 075号明細書には、鋼上での防食コーティングのための水ベースの二成分系が教示されている。該第一成分は、水、アミノアルキルトリアルコキシシラン、酸、エポキシシラン並びに導電性顔料を含有する。該第二成分は亜鉛粉末からなる。完成した混合物は、16時間の加工時間を可能にするとされている。該シランの加水分解からのアルコールは除去されず、かつ該水性系は、25μmの乾燥膜厚が生じるように塗布された。コーティングされた薄板は、7ヶ月の屋外暴露後に腐食を示さなかった。
【0016】
国際公開(WO)第2000/46311号には、ウレイドシラン、多官能性シリルシラン並びに溶剤からなる配合物での金属素地の処理が記載されている。該シランは、まず最初に部分的に加水分解され、引き続き配合される。該加水分解アルコールは除去されず、かつ該配合物は顔料なしで使用される。
【0017】
国際公開(WO)第2002/22745号には、無溶剤の防食プライマーの特許の保護が請求されている。該プライマーは、安定化されたシリカゾル、層状ケイ酸塩、焼成含アルミニウム層状ケイ酸塩並びに亜鉛末から構成される。該コーティングの乾燥膜厚は、約15〜25μmである。その耐摩耗性及び加工時間が測定された。
【0018】
国際公開(WO)第2003/022940号には、水性シリカゾル、任意に有機の樹脂、亜鉛末並びに更なる添加剤からなる防食系が記載されている。該系は、その耐摩耗性及び鉛筆硬度により特性決定される。
【0019】
国際公開(WO)第2006/079516号は、アミノアルキルシランもしくはホルミルアミノプロピルトリアルコキシシラン並びにエポキシシランに基づく、水性のバインダーもしくはコーティング剤に関する。
【0020】
欧州特許(EP-B1)第1 191 075号明細書では、該バインダーは、アミノアルキルアルコキシシラン及びエポキシ官能性アルコキシシラン及び十分に定義された製造方法に基づく。そこに開示されたコーティング剤は、該バインダーをベースとして、顔料、とりわけ導電性顔料及び添加剤の添加下に配合されていた。
【0021】
国際公開(WO)第99/14277号には、反応性樹脂(分散液)と、有機官能性シラン(アミノシラン又はエポキシシランであり、ビスシリルシランではない)と、硬化試薬とからなる水性プライマー組成物が記載されている。このプライマーで処理された金属素地の接着は、エポキシ樹脂との組合せで、せん断試験において極めて良好な強さを示す。
【0022】
国際公開(WO)第2008/133916号には、金属表面を処理する方法が記載されている。該方法は、加水分解/縮合されたシランからなる水性配合物での処理を含む。使用されるシランは、ヒドロキシル基を有するアミノシランであってよい。こうして製造されたコーティング系は、無溶剤ではない。処理された金属素地は塗装され、標準処理と比較して、刻印からのより僅かなクリーページを示す。
【0023】
米国特許(US)第6,929,826号明細書には、金属を表面処理する方法の特許の保護が請求されている。該方法は、エポキシシランとテトラアルコキシシランとを含有する配合物での処理を含む。
【0024】
国際公開(WO)第2006/137663号には、アミノシランと、エポキシシランとからなる組成物が記載されている。更にまた、該配合物は、マグネシウム化合物及びバナジウム化合物並びに酸を含有する。該製造は、水/アルコール混合物中で行われる。この配合物で処理された金属素地は、良好な耐食性及び有機コーティングへの良好な付着を示す。該系は無溶剤ではない。
【0025】
国際公開(WO)第2009/059798号には、金属の配合物及びコーティングが開示されている。該配合物は、テトラエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、並びにプロピルトリメトキシシランからなる。更にまた、更なる成分、例えばアルコール、触媒、シリカゾル及び添加剤の特許の保護が請求されている。該発明によるコーティングは、硬化のために加熱しなければならない。該配合物は、金属素地を腐食から保護するとされている。
【0026】
欧州特許(EP)第0 274 428号明細書には、アルキルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン及び/又は更なるシラン、例えばエポキシシラン、有機溶剤並びにアルミニウムゾルからなる組成物が教示されている。
【0027】
国際公開(WO)第2009/030538号には、本質的に有機溶剤を含まず、かつ架橋の際にもアルコールを放出しない、ビスアルコキシアルキルシリルアミンをベースとする水性組成物が教示されている。更に、そのような系は、更なるオルガノシラン、例えば3−グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン並びにアルキルアルコキシシランに基づいてよい。また、該系は、充填剤、例えばケイ酸、二酸化チタン及び酸化アルミニウム、並びに有色顔料を含有してよい。更にまた、該製造方法並びに該使用―とりわけ防食コーティングとしても―が開示されている。
【0028】
シラン及び水性シラン系は、対応する配合物の場合に、多くの素地上にコーティングを形成することができる。これらのコーティングは、活性防食ではなくて、不動態腐食層のみを形成しうる並びにコーティング組成物(Coatings)中のバインダーもしくは架橋剤として作用しうる。そして、バインダーは架橋剤とも捉えることができる。活性防食は、腐食抑制剤により達成することができる。そのような配合物、特に環境に優しい水性配合物が製造できるためには、該バインダーと該防食添加剤とが、できるだけ安定で有効な配合物を供給し、かつ工業的規模で適した時間枠内で加工できるように、相溶性でなければならない。
【0029】
それゆえ、本発明には、バインダーとしていわゆるビスアミノシラン共縮合物をベースとし、大幅にVOCフリーの更なる水性防食組成物を提供するという課題が基礎となっており、その際にこれらのバインダーは、粒状添加剤並びに場合により更なる添加剤と本質的に相溶性であり、かつそれ自体が、適用までの少なくとも数時間ないし数週間、貯蔵安定である。更にまた、特別な関心事は、そのような配合物が、室温で硬化することができる並びに金属素地上で良好な付着及び防食を達成することであった。更に、これに基づいて得ることができる防食コーティングが、多様な膜厚で塗布することができ、かつ該硬化後に良好な上塗り適合性である(ueberlackierbar)、すなわちコーティング、特に有機の(塗料)コーティングへの良好な付着を達成するための努力がなされている。
【0030】
前記課題は、本発明によれば、特許請求の範囲における特徴に相応して解決された。
【0031】
そして、エポキシアルキル官能性アルコキシシラン、以下の式Iを参照、の事実上完全に加水分解された共縮合物を、少なくとも1種のビスアミノアルキル官能性アルコキシシラン、以下の式II及びIIaも参照、並びに任意に更なる有機官能性アルコキシシランもしくはシリカゾル系と共にベースとして、定義されたpH値及び定義された乾燥残留物を有する防食配合物用の特殊な水性バインダーを製造することができ、該バインダーは、大幅にVOCフリーであり、空気中で低い温度で、すなわち好ましくは室温で、好ましくは16〜26℃で、特に20℃で硬化し、かつ粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物、とりわけ金属酸化物又は金属塩の中からの添加剤並びに任意に更なる添加剤と、有利に相溶性であり、貯蔵安定であり、かつ適用できることが意外にも見出された。更にまた、当該組成物を使用して、有利に薄い膜を金属上に生成することができ、その上に更なる塗膜を塗布し、かつ同時にプライマーもしくは金属への良好な付着を達成することができる。
【0032】
バインダーは通例、微細な分散度を有する固体をくっつけ、更に調合物中で架橋作用をすることができ、かつ下地への付着を可能にする、液体である。バインダーと粒状添加剤との配合物が製造できるには、該バインダーは、該添加剤と相溶性でなければならない、すなわち該添加剤を濡らさなければならない。それにより、該添加剤が該バインダー中に分散することができ、かつ該系の有利な性質を得ることができる。バインダーと添加剤との配合物は、例えば防食において幅広く使用することができる。特に有利であるのはその際に水性系である、それというのも、これらは本質的には、有機溶剤又は環境に有害な他の物質を含有しないからである。水性ゾル−ゲル系は、環境に優しいだけでなく、非常に変えることができ、かつ極めて多方面にわたって使用可能でもある。水性ゾル−ゲル系をベースとする新規な当該バインダーは、低い温度で硬化できるだけでなく、これらが、これらの系上での更なるコーティングの付着も改善する、すなわちこれらは良好な上塗り適合性である。
【0033】
当該水性バインダーの使用範囲は、極めて多方面にわたる。これらは、多様な配合物用の主剤として、特にバインダーとして、粒状金属及び/又は粒状金属化合物並びに場合により更なる添加剤との組合せで使用することができる。該系が疎水性を有する場合には、該エポキシ官能性アルコキシシラン及び該ビスアミノ官能性アルコキシシランに加え、アルキルトリアルコキシシランも更なる成分として使用することができる。該水性バインダー系の特殊な性質又は有機コーティング系に結合するための特殊な機能が必要である場合には、更なる有機官能性シラン又はテトラアルコキシシランも、該エポキシ官能性アルコキシシラン及び該ビスアミノ官能性アルコキシシランに加え、使用することができる。該シラン成分の比は有利に、完全に加水分解され、かつ縮合された生成物が、該水溶液中で安定であり、かつそれにもかかわらず低い温度で該素地上にもしくは該配合物中のバインダーとして硬化するように調節することができる。しかし該比だけでなく、該計量供給の順序も、該生成物特性に本質的な影響を及ぼす。該加水分解アルコールは、有利に該バインダーの製造中に該反応系から除去されるので、大幅にVOCフリーの水性生成物を供給することができる。
【0034】
また、該バインダー中の該エポキシ官能性アルコキシシランの割合が少なければ少ないほど、かつ該ビスアミノ官能性アルコキシシラン、式IIも参照、の割合が高ければ高いほど、該水性配合物中のシランの秤量分をますます少なく選択することができることも見出された。該バインダーの作用物質は通例、完全に加水分解され、かつ少なくとも部分的に縮合されたもしくは共縮合されたシランからなる。貯蔵安定なシラン系を得るために、該水性ゾル−ゲル系中の純エポキシ官能性アルコキシシランの固形分は有利に70質量%までさしつかえないのに対し、純ビスアミノ官能性アルコキシシランの固形分は、固体にならないように最大で約10質量%に過ぎないべきである。該バインダー中の該縮合物もしくは共縮合物の乾燥残留物(ここでは固形分とも呼ぶ)は、好ましくは1〜50質量%、特に好ましくは3〜45質量%及び極めて特に好ましくは5〜35質量%の範囲内である。
【0035】
本発明の対象はそれゆえ、
・式I
X−Si(R2x(OR13-x (I)
〔式中、Xは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、1−グリシジルオキシメチル基、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基又は3−グリシジルオキシイソブチル基を表し、R1並びにR2は互いに独立して、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつxは0又は1に等しい〕で示されるω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、
一般式II
(OR13Si−A−Si(OR13 (II)
〔式中、基R1は同じか又は異なり、かつR1は、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつAは、式IIa
−(CH2i−[NH(CH2fgNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i*− (IIa)
で示されるビスアミノ官能基を表し、
ここで、i、i*、f、f*、g又はg*は同じか又は異なり、i及び/又はi*=1、2、3又は4、f及び/又はf*=1又は2、g及び/又はg*=0又は1であり、好ましくはi及びi*は3に等しく、並びにg及びg*は0に等しく、かつR1はメチル及び/又はエチルを表す〕で示される少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンと、
任意に、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、チオシアナトアルキルアルコキシシラン及びシリカゾルの中からの、少なくとも1種の更なるケイ素化合物をベースとする、少なくとも1種の共縮合物
を含有するバインダー、
・水、
・組成物を基準として、3質量%未満、好ましくは0.01〜2.5質量%、特に0.1〜2.2質量%の量のアルコール、
・粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の中からの、少なくとも1種の添加剤及び
・任意に、少なくとも1種の添加剤
を含む組成物であり、
その際に、該組成物中のpH値が、1〜14、好ましくは2〜13、特に、≧2.5〜≦12の全ての正数を含め、3.0;3.5;4.0;4.5;5.0;5.5;6.0;6.5;7.0;7.5;8.0であり、かつ
該バインダーの乾燥残留物が、使用されるバインダーを基準として、1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは8〜35質量%、殊に10〜25質量%、更に2、3、4、6、7、9、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24質量%である。
【0036】
本発明による組成物用のバインダーは、有利に以下のように製造することができ、まず最初に、式I及びIIによる使用されるシラン並びに場合により前記のケイ素化合物を基準として、モル過剰量の水を装入し、有機酸又は無機酸の添加下に酸性のpH値に調節し、かつ任意にその際にシリカゾルを添加し、
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを計量供給し、かつ加熱し、
任意に、酸を後計量供給し、
かつ一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミン並びに任意に、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン及びチオシアナトアルキルアルコキシシランの中からの少なくとも1種の更なるケイ素化合物を計量供給し、
かつ反応させ、
引き続き、その際に生じた加水分解アルコールを、減圧下で少なくとも部分的に(anteilig)該反応混合物から除去し、
こうして得られたバインダーを、任意に水及び/又は酸水溶液(waessrigen Saeure)で希釈し、引き続きろ過し、
その際に、該バインダーの乾燥残留物が、使用されるバインダーを基準として、1〜50質量%、好ましくは5〜40質量%、特に好ましくは8〜35質量%、殊に10〜25質量%である。
【0037】
本発明による組成物は、有利に一成分系として存在し、かつ使用することができる。
【0038】
しかし、前記のバインダーと、前記の添加剤のうちの少なくとも1種とを二成分系として、該成分を該適用前に混合し、こうして対応する組成物を得ることによって、使用することもできる。その際に、更なる添加剤も添加してよい。
【0039】
有利に、本発明による組成物は、該組成物を基準として、1〜50質量%、好ましくは3〜45質量%、特に好ましくは3〜35質量%の乾燥残留物(固形分)を有する。
【0040】
更に、本発明による組成物は、該組成物中の1〜95質量%、好ましくは3〜90質量%、特に好ましくは5〜85質量%、極めて特に好ましくは10〜80質量%の粒状の金属及び/又は金属化合物の含量により特徴付けられている。
【0041】
こうして、当該組成物中の添加剤として、好ましくは粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物、特に、導電性もしくは非導電性の充填剤、亜鉛粉末、亜鉛ラメラ、亜鉛末、亜鉛合金製、例えば亜鉛ビスマス合金製、マグネシウム製並びにマグネシウム合金製の粉末若しくはラメラ、アルミニウム粉末、アルミニウムラメラ、アルミニウム合金製の粉末並びにラメラ、二酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、炭酸カルシウム、タルク、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、カオリン、ケイ酸マグネシウム、結晶質石英、非晶質石英、炭酸カルシウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化アルミニウム、ゼオライト、ウォラストナイト、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、バナジン酸ビスマス、クロム酸鉛、炭化ケイ素及び無機の有色顔料の中から選択される、金属酸化物である。
【0042】
その際に、該粒状添加剤は有利に5nm〜50μm、好ましくは10nm〜40μm、特に好ましくは15nm〜30μmの粒度を有する。該粒度の測定は、例えば、Retsch TechnologyのCAMSIZER, HORIBA LA-30, LB-550並びにLA-950を用いて行うことができる。例えば、該粒度は湿式で1nmから及び乾式で100nmから測定することができる。
【0043】
特に、該導電性添加剤は、十分な濃度で使用され、かつ該金属素地と接触している場合に、腐食から保護する。そして、粒状金属からなるコーティングで腐食に対して保護されている金属素地は、有利に溶接することができる。
【0044】
更にまた、本発明による組成物は付加的に、消泡剤、増粘剤、レオロジー助剤(Rheologiehilfsmittel)、分散助剤、沈降防止剤、さび止め剤、湿潤剤、有機顔料、ポリマーもしくはポリマー分散液並びに該縮合及び硬化用の触媒の中から有利に選択される、添加剤を含有してよい。そして、ポリマーとして、例えば、しかし限定するものではなく、アクリラート分散液、PU分散液、エポキシ樹脂分散液、官能化されたポリエステル、水溶性ポリマー、例えばPVA、ポリアクリル酸―幾つかの適したポリマーを挙げるために過ぎない―を使用してよい。更に、添加剤もしくはポリマーもしくはコバインダーとして、アクリル酸エステル、アクリル−ポリエステル−ポリウレタンコポリマー、エチレン−アクリルコポリマー、遊離カルボキシル基を有するポリエステル樹脂をベースとする有機の塗膜形成要素並びに接着促進剤を使用してよい。
【0045】
そして、本発明による組成物は、それぞれ該組成物を基準として、それぞれ0〜5質量%の添加剤、特に0〜5質量%の増粘剤及び/又は0〜5質量%の沈降防止剤及び/又は0〜3質量%の湿潤剤及び/又は0〜1質量%の腐食抑制剤の含量により特徴付けられていてよく、その際に該組成物中に存在する全ての成分の合計が100質量%である。
【0046】
典型的な増粘剤は、例えばポリアクリル酸ポリマー、セルロースエーテル、ポリウレタン、アクリラートポリマー、ヒドロキシエチルセルロースであり、これらは0.005〜4.0質量%、好ましくは0.008〜3.0質量%及び極めて特に好ましくは0.01〜2.0質量%の濃度で使用される。増粘剤もしくはレオロジー調整剤の例は、とりわけ、Coatex社のCoapur 6050並びにCoapur XS 71である。
【0047】
沈降防止剤の例は、とりわけラポナイト(Laponite)、ベントナイト、ステアリン酸グリセリン、ポリアミド、キサンタン、ポリエチレンワックス、変性及び未変性の熱分解シリカ、例えばAerosil(登録商標) R 812 S又はAerosil(登録商標) R 805であり、これらは同様に4質量%まで、好ましくは0.01〜3質量%、特に0.1〜2質量%の濃度で使用される。
【0048】
典型的な湿潤剤として、例えばBYK 348並びにエトキシル化アルコールを挙げることができ、これらは3質量%まで、好ましくは0.01〜2.5質量%又は極めて特に好ましくは0.1〜1.5質量%の濃度で使用される。
【0049】
典型的な腐食抑制剤としては、モリブデン酸塩、リン酸塩、クロム酸塩、ホウ酸塩並びに特に有機腐食抑制剤である。該有機腐食抑制剤は、その際により僅かな濃度で、それぞれ該組成物を基準として、好適には1.0質量%まで、好ましくは0.8質量%まで、特に好ましくは0.5質量%まで、殊に0.00001〜0.1質量%で、使用され、その際に該組成物中に存在する全ての成分の合計は100質量%である。
【0050】
該縮合及び硬化用の可能な触媒は、例えばTYZOR LA (DuPont)、チタンアセチルアセトナート、テトラキス(トリエタノールアミン)ジルコナートである。
【0051】
更に、本発明の対象は、本発明による組成物の製造方法であり、前記方法は、
まず最初に、式I
X−Si(R2x(OR13-x (I)
〔式中、Xは、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、1−グリシジルオキシメチル基、2−グリシジルオキシエチル基、3−グリシジルオキシプロピル基又は3−グリシジルオキシイソブチル基を表し、R1並びにR2は互いに独立して、炭素原子1〜4個を有する線状の又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつxは0又は1に等しい〕で示されるω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランと、
一般式II
(OR13Si−A−Si(OR13 (II)
〔式中、基R1は同じか又は異なり、かつR1は、炭素原子1〜4個を有する線状又は分枝鎖状のアルキル基であり、かつAは、式IIa
−(CH2i−[NH(CH2fgNH[(CH2f*NH]g*−(CH2i*− (IIa)
で示されるビスアミノ官能基を表し、
ここで、i、i*、f、f*、g又はg*は同じか又は異なり、i及び/又はi*=1、2、3又は4、f及び/又はf*=1又は2、g及び/又はg*=0又は1であり、好ましくはi及びi*は3に等しく、並びにg及びg*は0に等しく、かつR1は、メチル及び/又はエチルを表す〕で示される少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミンと、
並びに
任意に、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、チオシアナトアルキルアルコキシシラン及びシリカゾルの中からの、少なくとも1種の更なるケイ素化合物とをベースとする、少なくとも1種の共縮合物
を含有するバインダーを以下のように製造する:式I、IIによる使用されるシラン並びに場合により前記のケイ素化合物を基準として、モル過剰量の水を装入し、有機酸又は無機酸の添加下に酸性のpH値に調節し、かつ任意にその際にシリカゾルを撹拌しながら添加し、
式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを計量供給し、かつ加熱し、
任意に、酸を後計量供給し、
かつ、一般式IIの少なくとも1種のビス(アルコキシシリルアルキル)アミン並びに任意に、テトラアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン、メルカプトアルキルアルコキシシラン、アミノアルキルアルコキシシラン、カルボキシアルキルアルコキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン及びチオシアナトアルキルアルコキシシランの中からの少なくとも1種の更なるケイ素化合物を計量供給し、かつ反応させ、
引き続き、その際に生じた加水分解アルコールを、減圧下に少なくとも部分的に該反応混合物から除去し、
こうして得られたバインダーを、任意に、水及び/又は酸水溶液で希釈し、引き続きろ過し、
かつ
こうして得られたバインダー中へ、粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の中からの少なくとも1種の添加剤を分散させ、並びに任意に、少なくとも1種の添加剤を撹拌混入する
ことにより特徴付けられている。
【0052】
その際に、該バインダーの調合には、好ましくは、式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを、0.1対99.9〜99対1、好ましくは1対99〜95対5、特に好ましくは〜80対20、極めて特に好ましくは〜70対30の一般式IIのビス(アルコキシシリルアルキル)アミンに対するモル比(式I対II)で使用し、特に該ω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを該バインダー中で、0.001〜42モル%、好ましくは0.01〜30モル%、特に好ましくは0.1〜15モル%、極めて特に好ましくは0.2〜1.5モル%で使用する。
【0053】
特に、本発明による方法の場合に、式I及びIIによる使用されるシラン並びに任意に前記のケイ素化合物を基準として、モル過剰量の水を、使用されるシランの存在しているSiに結合したアルコキシ基1モル当たり、好適には2〜1000モルの水、好ましくは5〜500モル、特に10〜100モルの水を、保護ガス下で装入するように行われる。該反応の際に、保護ガスとして通例、窒素又はアルゴンを使用する。
【0054】
更に、本発明による方法を実施する際に、有機酸又は無機酸を使用してよく、その際にこの酸は有利に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸の中から選択されている。前記の酸は、水性型、しかし濃厚型でも使用することができる。特に、前記の酸のうちの1種、好ましくはギ酸を用いて、該反応混合物もしくは生成物混合物、特に該バインダーのpH値を、該反応中及び/又は該反応後に、1〜6.5、好ましくは2〜6に、特に2.5;3;3.5;4;4.5;5並びに5.5に有利に調節することができる。
【0055】
意外なことに、本発明により使用されるバインダーのうちの幾つかが、中性領域並びにアルカリ性領域内でも安定化させることができることが見出された。そして、例えば、アルカリ水溶液又は適した塩基の添加により、該pH値を有利に中性並びにアルカリ性に、特に7;7.5、8;8.5;9;9.5;10;10.5;11;11.5;12;12.5;13並びに14に調節することができる、実施例を参照。有利に使用することができるNaOH水溶液又はKOH水溶液のようなアルカリ液以外の更なる塩基は、好ましくはN,N−ジメチルエタノールアミン又はTYZOR TEAZ[テトラキス(トリエタノールアミン)ジルコナート]でもある。
【0056】
更に、本発明による方法の場合に、式Iのω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランとして、好ましくは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン及び/又は3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランを使用し、これを予め得られた酸性の水性混合物中へ計量供給し、該混合物を、0.1〜3時間、好ましくは0.5〜1.5もしくは2時間にわたって、撹拌もしくは混合しながら、50〜90℃、好ましくは55〜70℃、特に60〜65℃の温度に加熱する。
【0057】
引き続き、ω−グリシジルオキシアルキルアルコキシシランを含有する加熱された酸性の混合物に、好ましくは該ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン及び/又はビス(トリエトキシシリルプロピル)アミンを計量供給する。付加的に、例えば該ビス(アルコキシシリルアルキル)アミンと一緒に、任意に、更なるケイ素化合物として、テトラアルコキシシラン、好ましくはテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、アルキルアルコキシシラン、好ましくはC1〜C16−アルキルアルコキシシラン、特にメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン(PTMO)、n−プロピルトリエトキシシラン(PTEO)、イソブチルトリメトキシシラン(IBTMO)、イソブチルトリエトキシシラン(IBTEO)、オクチルトリメトキシシラン(OCTMO)、オクチルトリエトキシシラン(OCTEO)、メルカプトアルキルアルコキシシラン、好ましくは3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTMO)、メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MTEO)、アミノアルキルアルコキシシラン、好ましくは3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AMMO)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(AMEO)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N′−ジアミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(TriAMO)、N,N′−ジアミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドアルキルアルコキシシラン、好ましくは3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、及び/又はチオシアナトアルキルアルコキシシラン、好ましくは3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、3−チオシアナトプロピルトリメトキシシラン、カルボキシアルキルトリアルコキシシラン、好ましくは4−(トリメトキシシリル)ブタン酸、5−(トリメトキシシリル)ペンタン酸、5−(トリエトキシシリル)ペンタン酸を使用してよい。その際に、前記のシランの計量供給は有利に、2〜6、好ましくは3〜5のpH値で、かつ撹拌しながら50〜90℃、好ましくは60〜65℃で行われる。引き続き、該混合物を有利に更に0.3〜6時間にわたって、好ましくは2〜4時間にわたって反応させ、その際に更に撹拌することができる;すなわち、使用されるアルコキシシランはその際に加水分解し、本質的には完全に加水分解及び縮合もしくは共縮合される。
【0058】
こうして得られた生成物混合物から、引き続き、該反応の際に生じ、通例水含分を有する加水分解アルコールを、減圧(真空蒸留)下で少なくとも部分的に該反応混合物から除去することができる。
【0059】
こうして存在しているバインダーは、任意に、例えば該pH値、乾燥残留物の含量及び/又は該粘度を調節するために、水及び/又は酸水溶液又は塩基水溶液で希釈してよい。引き続き、該バインダーは好適にはろ過され、その際に好ましくは、該反応の際に場合により生じたより粗大な凝集体を分離するために微細孔のフィルターシート(Filterplatte)を使用する。こうして得ることができるバインダーは、室温で通例油状のコンシステンシーを有し、少し濁っているないし澄明であり、かつ帯黄色ないし無色である。
【0060】
こうして得られたバインダー中へ、今や、既に上記で開示された粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物の中からの少なくとも1種の添加剤を分散させる並びに任意に、同様に上記で示されているような少なくとも1種の添加剤を混入させることができる。
【0061】
更に、本発明によれば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸の中から選択される有機酸又は無機酸並びにカセイソーダ、カセイカリ又は"TYZOR TEAZ"[テトラキス(トリエタノールアミン)−ジルコナート]又はN,N−ジメチルエタノールアミン又は他の塩基の中から選択される塩基水溶液が好ましくは使用され、その際に、該pH値を、該バインダー中での反応中及び/又は該反応後及び/又は該組成物中での配合後に、1〜14、好ましくは2〜12、特に好ましくは2.5〜9、極めて特に好ましくは3〜8に、殊に3.5;4;4.5;5;5.5;6;6.5;7;7.5;8並びに8.5に調節し、その際に該バインダーへの既に前記の粒状の金属、金属合金及び/又は金属化合物のうちの少なくとも1種の該添加、特に酸性に調節されたバインダーへの亜鉛、酸化亜鉛、亜鉛合金、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム合金、アルミニウム合金又は雲母状酸化鉄、例えばMiox Micronの添加も、該pH値の変化をもたらしうる。
【0062】
本発明による組成物は、対応し、かつ当業者にそれ自体として知られた混合機もしくは混合装置中で製造することができる。
【0063】
更に、本発明の対象は、16〜26℃の温度で空気中で硬化するコーティングのため、特に有利に腐食から保護するために金属並びに金属合金をコーティングするための、本発明によるもしくは本発明により得ることができる組成物の使用である。
【0064】
例えば、本発明によるこれらの特殊な組成物は特に有利に、比較すれば優れた加工安定性及び金属素地上での防食用途のための使用者並びに環境に卓越して優しい性質に優れている。
【0065】
本発明は、以下の実施例によって、より詳細に説明されるが、これらの実施例は本発明の対象を限定するものではない。
【0066】
実施例:
化学薬品及び使用される省略形:
【0067】
添加剤:
【0068】
分析調査:
pH値の測定:
該反応混合物のpH値を、pH試験紙を用いて測定した(特定領域用インジケーターpH 2.5 - 4.5、Merck;pH-Fix 0.0 - 6.0、Macherey-Nagel)
該バインダー及びそれから配合された組成物中のpH値の測定を、選択的にMetrohm 826 pHモバイルのpH計を用いて行った。該配合物を該測定前に水で1:1に希釈した。
【0069】
該乾燥残留物(固形分)の測定:
該水性シラン系の固形分(乾燥残留物とも呼ぶ)を、次のように測定した:
試料1gを、小さな磁製皿中へはかり入れ、乾燥器中で105℃で恒量まで乾燥させた。
【0070】
該SiO2含量の測定:
試料1.0〜5.0gを、400mlビーカー中でケルダールタブレット1錠及び硫酸20mlと混合し、まず最初にゆっくりと加熱した。その際に、該ビーカーを時計皿でふたをした。該硫酸が激しく発煙し、全ての有機成分が分解され、該溶液が澄明かつ淡くなるまで温度を高めた。冷たい分解溶液を蒸留水で約200mlに希釈し、短く煮立たせた(該ビーカーの縁の水を、該酸の下へ流す)。該残留物をホワイトリボンろ紙によりろ過し、洗浄水が>4のpH値(pH試験紙)を示すまで熱水で洗浄した。該ろ紙を白金るつぼ中で乾燥させ、灰化させ、マッフル炉中で800℃で1時間、強熱した。該残留物を、秤量後にフッ化水素酸と共に蒸発させ(abgeraucht)、該るつぼを、ブラストバーナーを用いて強熱し、場合によりもう一度800℃で強熱し、該冷却後に秤量した。双方の秤量の差がSiO2の含量に相当していた。
評価:D×100/E=SiO2質量%
D=フッ素除去(Abfluorieren)前後の質量差[mg]
100=%への換算
E=はかり取った量[mg]。
【0071】
該遊離メタノール含量及びエタノール含量の測定:
該アルコール測定を、GCを用いて実施した。
カラム:RTX 200(60m)
温度プログラム:90−10−25−240−0
検出器:FID
注入量:1.0μl
内標準:2−ブタノール。
【0072】
例1
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1328.26g及びギ酸(HCOOH=85質量%)1gを装入した。3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(GLYMO)90.0gを計量供給し(該添加後に測定されたpH=3.4)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)27.0gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 210.0gを計量供給した。4.94のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。最後に、約130mbarでアルコール/水混合物362.93gを蒸留により除去した。該ゲル状バッチに、水400.0gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1681.4gであった。
5.6のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:11.82質量%
SiO2含量:測定せず
遊離メタノール:0.6質量%
遊離エタノール:1.5質量%。
【0073】
例2
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1336.0g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 150.0gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)19.0gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 150.0gを計量供給した。ギ酸(HCOOH=85質量%)2.94gを後計量供給した。3.82のpH値で、65℃で3時間後撹拌し、もう一度ギ酸(HCOOH=85質量%)1.29gを後計量供給した。最後に、3.8のpH及び約170mbarで、アルコール/水混合物318.07gを蒸留により除去した。該バッチに、水27.67gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1312.33gであった。
4.3のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:14.9質量%
SiO2含量:5.9質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:1.1質量%。
【0074】
例3
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1338.3g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 180.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)16.7gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 120.0gを計量供給した。ギ酸(HCOOH=85質量%)1.5gを後計量供給した。3.8〜4.0のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。最後に、約200mbarで、アルコール/水混合物342.12gを蒸留により除去した。該バッチに、水74.79gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1280.21gであった。
5.0のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:15.7質量%
SiO2含量:5.7質量%
遊離メタノール:0.7質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0075】
例4
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1329.2g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 120.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)25.9gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 180.0gを計量供給した。4.0のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。最後に、約200mbarで、アルコール/水混合物344.57gを蒸留により除去した。該バッチに、水20.18gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1304.82gであった。
4.4のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:15.0質量%
SiO2含量:6.1質量%
遊離メタノール:0.7質量%
遊離エタノール:1.1質量%。
【0076】
例5
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1319.6g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 60.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)34.5gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 240.0gを計量供給した。3.8〜4.0のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。最後に、約200mbarで、アルコール/水混合物356.64gを蒸留により除去した。該バッチに、15%の理論固形分に達するように水95.71gを添加した。しかしながら、該粘度は高すぎたので、付加的に水272.2gで約10%の固形分に希釈した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1472.29gであった。
4.4のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:10.4質量%
SiO2含量:4.3質量%
遊離メタノール:0.2質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0077】
例6
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1346.3g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 210.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.73gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90.0gを計量供給した。4.0のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物335.16gを蒸留により除去した。該バッチに、水72.14gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1299.86gであった。
4.2のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:15.6質量%
SiO2含量:5.8質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0078】
例7
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1347.9g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 240.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)7.1gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 60gを計量供給した。4.0〜4.5のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。その間に、pH 3.5に達するように、ギ酸(HCOOH=85質量%)3.0gを後計量供給した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物295.81gを蒸留により除去した。該バッチに、水50.62gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1333.38gであった。
5.2のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:16.2質量%
SiO2含量:5.6質量%
遊離メタノール:1.4質量%
遊離エタノール:0.4質量%。
【0079】
例8
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1353.2g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 270gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)2.6gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 30.0gを計量供給した。4.3のpH値で、65℃で3時間後撹拌した。その間に、pH 4.0に達するように、ギ酸(HCOOH=85質量%)1.1gを後計量供給した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物289.82gを蒸留により除去した。該バッチに、水43.64g及びもう一度ギ酸(HCOOH=85質量%)0.5gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1355.06gであった。
4.8のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:16.2質量%
SiO2含量:5.3質量%
遊離メタノール:1.7質量%
遊離エタノール:0.2質量%。
【0080】
例9
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1524.8g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 180.0gを計量供給し(該添加後のpH=2.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.0gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 105.0gを計量供給した。4.0のpH値で、n−プロピルトリメトキシシラン(PTMO)15.0gを添加し、その後65℃で3時間後撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物585.35gを蒸留により除去した。該バッチに、水4.83g及びもう一度ギ酸(HCOOH=85質量%)0.90gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1235.30gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:16.8質量%
SiO2含量:6.3質量%
遊離メタノール:0.3質量%
遊離エタノール:0.1質量%。
【0081】
例10
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1220.0g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。GLYMO 165.10gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.0gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 105.0gを計量供給した。4.0のpH値で、PTMO 30.0gを添加し、その後65℃で3時間後撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物323.13gを蒸留により除去した。該バッチに、水158.76gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1196.54gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:15.2質量%
SiO2含量:6.0質量%
遊離メタノール:1.4質量%
遊離エタノール:0.7質量%。
【0082】
例11
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1193.8g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2gを装入した。Levasil 100S/45 152.6g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=3.8)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.75gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 90gを計量供給した。全体で、pH 3.8に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)4.93gを添加しなければならかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物374.22gを蒸留により除去した。該バッチに、水92gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1279.92gであった。
4.0のpH値を有し、乳のように濁った、明るいオレンジ色の液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:20.3質量%
SiO2含量:9.7質量%
遊離メタノール:0.8質量%
遊離エタノール:0.4質量%。
【0083】
例12
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1041.7g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.63gを装入した。Levasil(登録商標) 100S/45 305.0g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=3.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.79gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。全体で、pH 3.8に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)6.67gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約120mbarで、アルコール/水混合物320.71gを蒸留により除去した。該バッチに、水55.38gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1316.62gであった。
3.9のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:25.4質量%
SiO2含量:13.9質量%
遊離メタノール:1.0質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0084】
例13
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水954.9g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.16gを装入した。HP 1535 392g、引き続きGLYMO 210.8gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.79gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。全体で、pH 4.0に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)2.58gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約160mbarで、アルコール/水混合物291.96gを蒸留により除去した。該バッチに、水12.23g並びにギ酸(HCOOH=85質量%)1.04gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1359.80gであった。
4.2のpH値を有し、明るい黄色の乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:25.8質量%
SiO2含量:15.6質量%
遊離メタノール:1.5質量%
遊離エタノール:0.7質量%。
【0085】
例14
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水501.8g及びギ酸(HCOOH=85質量%)1.5gを装入した。HP 5540 171.6g、引き続きGLYMO 105.7gを計量供給し(該添加後のpH=2.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)5.88gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 44.45gを計量供給した。pH 3.8に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)0.98gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約120mbarで、アルコール/水混合物159.4gを蒸留により除去した。該バッチに、水24.57g並びにギ酸(HCOOH=85質量%)0.92gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は661.44gであった。
4.0のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:25.8質量%
SiO2含量:15.5質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0086】
例15
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1150.7g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.0gを装入した。HP 1535 196g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)及び65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.73gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。pH 4.0に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)2.6gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約230mbarで、アルコール/水混合物321.52gを蒸留により除去した。該バッチに、水42.85g並びにギ酸(HCOOH=85質量%)1.0gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1329.12gであった。
4.3のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:20.7質量%
SiO2含量:10.7質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0087】
例16
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水758.8g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.13gを装入した。HP 1535 588g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=2.5)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸11.73g(HCOOH=85質量%)を添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 90gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約300mbarで、アルコール/水混合物306.17gを蒸留により除去した。該バッチに、水25.15gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1346.94gであった。
4.2のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:30.8質量%
SiO2含量:20.5質量%
遊離メタノール:1.3質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0088】
例17
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水831.9g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.0gを装入した。HP 5540 514.5g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=2.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.74gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 90gを計量供給した。pH 4.0に達するように、更に全体でギ酸(HCOOH=85質量%)1.77gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物314.63gを蒸留により除去した。該バッチに、水38.02gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1334.02gであった。
4.3のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:31.0質量%
SiO2含量:20.7質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0089】
例18
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1003.7g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.0gを装入した。HP 5540 343g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.88gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。pH 4.0に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)2.32gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約200mbarで、アルコール/水混合物311.97gを蒸留により除去した。該バッチに、水28.71gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1343.39gであった。4.2のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:25.9質量%
SiO2含量:15.7質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0090】
例19
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1175.1g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.0gを装入した。HP 5540 171.5g、引き続きGLYMO 210gを計量供給し(該添加後のpH=2.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.73gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。pH 4.0に達するように、更にギ酸(HCOOH=85質量%)0.91gを添加しなければならなかった。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約190mbarで、アルコール/水混合物336.96gを蒸留により除去した。該バッチに、水58.03gを添加した。室温に冷却された残留物を、塗料ろ紙を介してろ過した。該残留物の最終質量は1314.02gであった。
5.0のpH値を有する濁った淡いベージュ色の液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:21.2質量%
SiO2含量:10.7質量%
遊離メタノール:0.9質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0091】
例20
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1336.11g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.07gを装入した。GLYMO 150gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)18.21gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) A 30g及びDynasylan(登録商標) 1122 120gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約140mbarでアルコール/水混合物332.97gを蒸留により除去した。該バッチに、水13.65gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1311.58gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:14.7質量%
SiO2含量:6.1質量%
遊離メタノール:1.3質量%
遊離エタノール:1.1質量%。
【0092】
例21
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1419.98g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.04gを装入した。GLYMO 150gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)11.80gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) A 60g及びDynasylan(登録商標) 1122 90gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約150mbarで、アルコール/水混合物417.63gを蒸留により除去した。該バッチに、水81.99gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1306.34gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:13.4質量%
SiO2含量:5.8質量%
遊離メタノール:0.8質量%
遊離エタノール:0.7質量%。
【0093】
例22
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1525.36g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.06gを装入した。GLYMO 180gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.00gを添加し、該計量供給装置を介して、Si 264 15g及びDynasylan(登録商標) 1122 105g及び計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物408.08gを蒸留により除去した。該バッチに、水124.11gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1417.98gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:13.4質量%
SiO2含量:5.1質量%
遊離メタノール:0.9質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0094】
例23
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1540.21g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.06gを装入した。GLYMO 180gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.01gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 2201 30g及びDynasylan(登録商標) 1122 105gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約150mbarで、アルコール/水混合物424.56gを蒸留により除去した。該バッチに、水123.63gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1433.42gであった。
4.5のpH値を有する帯黄色液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:13.5質量%
SiO2含量:5.1質量%
遊離メタノール:0.8質量%
遊離エタノール:0.4質量%。
【0095】
例24
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1525.28g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.02gを装入した。GLYMO 179.91gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.01gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) MTMO 15.84g及びDS 1127 105.23gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約200mbarで、アルコール/水混合物335.83gを蒸留により除去した。該バッチに、水52.39gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1491.77gであった。
4.5のpH値を有する無色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:13.5質量%
SiO2含量:5.1質量%
遊離メタノール:1.1質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0096】
例25
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1525.68g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.02gを装入した。GLYMO 180.15gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)15.01gを添加し、該計量供給装置を介して、メタノール中Si 264 29.98g(1:1)及びDynasylan(登録商標) 1122 105gを計量供給した。その後、なお3時間、65℃で更に撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物370.58gを蒸留により除去した。該バッチに、水67.71gを添加した。室温に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1474.32gであった。
4.5のpH値を有する無色澄明な液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:13.6質量%
SiO2含量:5.1質量%
遊離メタノール:1.3質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0097】
例26
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1203.89g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.00gを装入した。引き続きKoestrosol 3550 135.68gを一気に添加し、Dynasylan(登録商標) GLYMO 180gを、計量供給装置を介して計量供給した。該バッチを65℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)17.7gを添加し、該計量供給装置を介して、Dynasylan(登録商標) 1122 120gを計量供給した。その後、3時間、65℃で更に撹拌し、付加的にギ酸(HCOOH=85質量%)1.11gを添加した。最後に、約180mbarで、アルコール/水混合物340.64gを蒸留により除去した。該バッチに、脱イオン水38.80gを添加した。
該残留物の最終質量は1347.82gであった。
該バッチに、新たに約180mbarで、アルコール/水混合物36.19gを蒸留により除去し、脱イオン水51.22gと混合した。冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。
該残留物の最終質量は1347.82gであった。
約4.3のpH値を有する乳白色液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:20.6質量%
SiO2含量:10.8質量%
遊離メタノール:0.4質量%
遊離エタノール:0.7質量%。
【0098】
例27
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1067.61g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.00gを装入した。引き続きKoestrosol 3550 271.09gを一気に添加し、GLYMO 180.16gを、計量供給装置を介して計量供給した。該バッチを65℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。
65℃で1時間撹拌した後に、該バッチを付加的にギ酸(HCOOH=85質量%)2.79gでpH 3.0に調節し、もう一度65℃で0.5時間撹拌した。引き続き、ギ酸(HCOOH=85質量%)17.71gを添加し、Dynasylan(登録商標) 1122 120.06gを計量供給した。その後、該バッチを65℃で3時間更に撹拌し、もう一度ギ酸(HCOOH=85質量%)3.21gと混合した。最後に、約160mbarで、アルコール/水混合物343.80gを蒸留により除去した。
該バッチに、脱イオン水48.91gを添加した。
冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。
該残留物の最終質量は1308.51gであった。
約4.0のpH値を有する乳白色液体が得られた。
該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:26.0質量%
SiO2含量:15.8質量%
遊離メタノール:1.0質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0099】
例28
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1203.54g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.99gを装入した。引き続きKoestrosol 3550 135.59gを一気に添加し、GLYMO 165gを、計量供給装置を介して計量供給した。該バッチを、65℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。
乾燥残留物:20.4質量%
SiO2含量:13.6質量%
遊離メタノール:1.2質量%
遊離エタノール:0.5質量%。
【0100】
例29
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1203.16g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.00gを装入した。引き続きKoestrosol 3550 135.55gを一気に添加し、GLYMO 165gを、計量供給装置を介して計量供給した。該バッチを65℃に加熱し、この温度で2時間撹拌した。
乾燥残留物:20.5質量%
SiO2含量:11.0質量%
遊離メタノール:1.5質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0101】
例30
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1112.88g及びギ酸(HCOOH=85質量%)1.01gを装入した。まず最初にKoestrosol K 1530 225.49g(該添加後のpH=3.5)、次いでGLYMO 180gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。引き続き、ギ酸(HCOOH=85質量%)18.71gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 120gを計量供給した。4.0のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物321.56gを蒸留により除去した。該バッチに、水20.23gを添加した。室温(RT)に冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1334.77gであった。
4.0のpH値を有する液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:20.9質量%
SiO2含量:10.5質量%
遊離メタノール:1.2質量%
遊離エタノール:0.8質量%。
【0102】
例31
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1220.56g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.02gを装入した。GLYMO 180gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。引き続き、ギ酸(HCOOH=85質量%)15.00gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 90gを計量供給した。15分後に、PTMO 30.0gを添加した。4.0のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物316.39gを蒸留により除去した。該バッチに、水18.68gを添加した。RTに冷却された残留物を、Seitz T-950フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1212.58gであった。
4.0のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:16.9質量%
SiO2含量:6.7質量%
遊離メタノール:1.6質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0103】
例32
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1333.02g及びギ酸(HCOOH=85質量%)1.98gを装入した。GLYMO 135.69gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。引き続き、ギ酸(HCOOH=85質量%)20.09gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 120.01gを計量供給した。15分後に、PTMO 44.96gを添加した。3.9のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物344.63gを蒸留により除去した。該バッチに、水45.51gを添加した。RTに冷却された残留物を、Seitz K-900フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1340.46gであった。
3.9のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:14.7質量%
SiO2含量:6.9質量%
遊離メタノール:1.0質量%
遊離エタノール:0.6質量%。
【0104】
例33
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1324.50g及びギ酸(HCOOH=85質量%)2.01gを装入した。GLYMO 120.27gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。その後、ギ酸(HCOOH=85質量%)22.01gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 119.75gを計量供給した。15分後に、PTMO 60.35gを添加した。3.9のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物314.81gを蒸留により除去した。該バッチに、水3.59gを添加した。RTに冷却された残留物を、Seitz K-900フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1329.04gであった。
3.9のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:14.8質量%
SiO2含量:6.0質量%
遊離メタノール:1.4質量%
遊離エタノール:0.8質量%。
【0105】
例34
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1265.70g及びギ酸(HCOOH=85質量%)3.05gを装入した。まず最初にKoestrosol 3550 133.43g(該添加後のpH=3.0)、次いでGLYMO 134.93gを計量供給し、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)21.08gを添加し、該計量供給装置を介して、ビスAMEO 119.97gを計量供給した。15分撹拌後に、PTMO 44.99gを添加した。3.9のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物370.09gを蒸留により除去した。該バッチに、水32.57gを添加した。RTに冷却された残留物を、Seitz K-900フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1340.09gであった。
3.9のpH値を有する乳のように濁った液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:19.8質量%
SiO2含量:11.0質量%
遊離メタノール:1.3質量%
遊離エタノール:1.1質量%。
【0106】
例35
計量供給装置及び還流冷却器を備えた2l撹拌装置中に、窒素雰囲気下に水1275.04g及びギ酸(HCOOH=85質量%)1.96gを装入した。GLYMO 120.23gを計量供給し(該添加後のpH=3.0)、65℃に加熱し、1時間撹拌した。ギ酸(HCOOH=85質量%)18.03gを添加し、該計量供給装置を介して、まず最初にDynasylan(登録商標) A 30.12gを添加し、少し濁ったバッチが澄明になるまで撹拌した。次いで、ビスAMEO 119.98gを計量供給した。15分後に、PTMO 30.08gを添加した。3.9のpH値で、65℃で3時間撹拌した。最後に、約130mbarで、アルコール/水混合物340.64gを蒸留により除去した。RTに冷却された残留物を、Seitz K-900フィルターシートを介してろ過した。該残留物の最終質量は1259.89gであった。
3.9のpH値を有する帯黄色澄明な液体が得られた。該生成物は少なくとも6ヶ月、貯蔵安定である。
乾燥残留物:17.4質量%(該使用試験を実施するために、該生成物を脱イオン水で15質量%の固形分に希釈した)
SiO2含量:6.2質量%
遊離メタノール:1.2質量%
遊離エタノール:1.2質量%。
【0107】
アルカリ性領域内の水性バインダーの安定性についての試験
【0108】
使用例
1.DC01 C290、152×76×0.8mmの試験鋼板R-36(Rocholl)の洗浄
該試験鋼板を、有機溶剤(酢酸エチル)で洗浄し、引き続きアルカリ洗浄浴中へ置いた(組成:S 5610 (Chemetall)10.0g/l、pH 11.5、60℃、35秒)。該アルカリ洗浄後に、該金属素地を脱イオン水ですすいだ。過剰の水を、圧縮空気ガンで該表面から吹いて除いた。
【0109】
2.腐食調査
該腐食試験(NSSとも略称する)を、塩水噴霧において実施した(DIN 50021-SSによる試験)。
該クロスカット試験を、EN ISO 2409に従い実施した。
【0110】
3.該使用例に使用された添加剤
・Zinc dust "superfine" 3 Micron (Numinor)(亜鉛粉末)
・MIOX MICRO 30 (Kaerntner Montanindustrie)(天然雲母状酸化鉄)
・Bayferrox Rot 130 BM (Harald-Scholz Co. & GmbH)(Fe23を有する有機着色剤)
・Zinc Oxide Red Seal (NUMINOR)(酸化亜鉛)
・Sikron M500 (SIBELCO, Benelux)(結晶質シリカ末、SiO2粉末)。
【0111】
4.比較する使用例に使用されるバインダー
該使用例のために、次のバインダーを使用した:
【0112】
5.添加剤B及びCの添加及び製造を、Hauschildの万能混合装置、機械型式AM 501 T中で行った
【0113】
添加剤B及びCの製造を、万能混合装置(Hauschild社の機械型式AM 501 T)中で行った。添加剤混合物B及びCを万能混合装置中でそれぞれ3×30秒、3000rpmで混合した。
【0114】
6.比較する使用例用の組成物の製造を、万能混合装置(Hauschild社の機械型式AM 501 T)中で行った
当該の添加剤もしくは添加剤混合物を、それぞれ3×20秒間、3000rpmで当該バインダー中へ分散させた、第1及び2表を参照。
【0115】
第1表:
比較例用の製造された組成物(該組成物のpH値を、それぞれ調合30分後に測定した。):
【表1】
【0116】
第2表:
本発明による使用例用の製造された組成物(該組成物のpH値を、それぞれ調合30分後に測定した。):
【表2】
【0117】
7.洗浄した試験鋼板のコーティング
第1及び2表に従い製造した配合物もしくは組成物を、フィルムアプリケーターを用いて、80μmの湿潤膜厚で、準備した試験鋼板上に、1.を参照、塗布した。
【0118】
該コーティング後に、該板を20℃で24時間乾燥させ、傷を付けた。
【0119】
コーティングされた素地の付着を、クロスカット試験を用いて試験した。
【0120】
20℃で24時間の硬化後の結果"クロスカット"(EN ISO 2409)
比較例1: 1
比較例2: 1
使用例1: 1
比較例3: 0
比較例4: 1
使用例2: 1
比較例5: 2
使用例3: 0
使用例4: 1。
【0121】
更にまた、コーティングされ、かつ傷を付けた素地を、塩水噴霧(DIN 50021-SS)において耐食性を試験し、かつ評価した。
【0122】
26時間の塩水噴霧試験後の結果(第3表も参照):
比較例1:スクラッチ(Ritz)上及び部分的に表面での腐食
比較例2:大体において腐食なし
使用例1:大体において腐食なし
比較例3:スクラッチ上及び表面での腐食
比較例4:腐食を伴うコーティングのはがれ
使用例2:大体において腐食なし。
【0123】
塩水噴霧における150時間後の結果(第3表も参照):
比較例5:スクラッチ上及び部分的に表面での腐食
使用例3:スクラッチ上及び表面での腐食なし
使用例4:スクラッチ上及び部分的に表面での腐食。
【0124】
使用例3からの試料を、2液形エポキシ樹脂でコーティングした:Standox、EPプライマーサーフェサー及びStandox EP硬化剤。混合比2:1(規定による)。該コーティング系を、ドクターブレード(湿潤膜厚80μm、乾燥膜厚約30μm)で塗布し、20℃で24時間硬化させた。比較試料(単に洗浄した薄鋼板)を同様にコーティングした。
クロスカット 試料1(使用例3+エポキシ樹脂コーティング):0
クロスカット 試料2(薄鋼板+エポキシ樹脂コーティング):0
双方の試料を、1mmのスクラッチで傷を付け、塩水噴霧において腐食を調べた。200h後に、試料2はスクラッチ上での激しい腐食及びはがれを示したのに対し、試料1はスクラッチ上でも腐食なしであった。
【0125】
該使用調査からの結果は、以下の第3表にもう一度まとめられている、それというのも、特許明細書における対応する適した図の再現は残念ながらまだ不可能だからである。
【0126】
第3表:
塩水噴霧試験前後の使用技術的調査からの結果の一覧
【表3】
【0127】
要約すれば、以下のことを確かめることができる:
塩水噴霧における26時間後の比較例1及び2並びに使用例1:
比較例1は、既に26時間後にスクラッチ上及び部分的に表面での腐食を示す。それとは異なり、使用比較例2及び使用例1は、スクラッチ上での腐食なしである。
【0128】
塩水噴霧における26時間後の比較例3及び4並びに使用例2:
比較例3は、塩水噴霧における26時間後に、スクラッチ上及び表面での腐食を示すのに対し、使用比較例4は、スクラッチ上でのいくらかの腐食のみを有するが、しかし若干のはがれを観察することができる。最良の結果を使用例2が示す。これはスクラッチ上での腐食を確認することができない。
【0129】
塩水噴霧における150時間後の比較例5並びに使用例3及び4:
比較例5及び使用例4は、塩水噴霧における150時間後に、スクラッチ上での腐食を示すのに対し、使用例3は、150時間後に、スクラッチ上で完全に腐食なしである。
使用例5は、28、90及び150時間後に、スクラッチ上での腐食を示さない。しかしながら、表面で軽度の変色が観察されうる。
【0130】
使用例6は、17時間後にスクラッチ上での腐食を示さず、150時間後に部分的にスクラッチ上での腐食及び250時間後にほぼ連続したスクラッチ上での腐食を示す。しかし表面は腐食なしである。
【0131】
使用例7は、塩水噴霧における19時間後に、スクラッチ上での腐食を示さない。しかしながら、135時間後に、スクラッチ上での連続した腐食を確認することができる。