(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記汎用処理ユニットは、前記スキャン平面上に二つの座標系を確立し、当該二つの座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角が45度である請求項1に記載のCT画像生成装置。
前記汎用処理ユニットは、前記CT画像生成装置の精度要求に基づいて、スキャン平面上にN個(Nは2以上の整数)の座標系を確立する請求項1に記載のCT画像生成装置。
前記座標確定ユニットは、前記複数の座標系から、座標軸と前記投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系とする請求項1〜4のいずれかに記載のCT画像生成装置。
前記座標確定ユニットは、投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、前記複数の座標系から、当該投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうための座標系を選択し、
前記距離駆動処理ユニットは、前記座標確定ユニットによって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことでそれぞれの座標系での画像情報を取得し、
前記画像情報処理ユニットは、それぞれの座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得し、取得した画像情報に基づいて前記スキャン対象物の画像を生成する請求項1に記載のCT画像生成装置。
少なくとも一回の順投影−逆投影の反復を行ない、前記順投影−逆投影の反復において、先ず、距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで投影情報を取得し、その後、距離駆動順投影によって取得した当該投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで画像情報を取得する請求項1に記載のCT画像生成装置。
前記汎用処理ステップでは、前記スキャン平面上に二つの座標系を確立し、当該二つの座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角が45度である請求項9に記載のCT画像生成方法。
前記汎用処理ステップでは、前記CT画像生成方法の精度要求に基づいて、スキャン平面上にN個(Nは2以上の整数)の座標系を確立する請求項9に記載のCT画像生成方法。
前記座標確定ステップでは、前記複数の座標系から、座標軸と前記投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系とする請求項9〜12のいずれかに記載のCT画像生成方法。
【背景技術】
【0002】
X線コンピュータ断層撮影(CT)技術はすでに人体検査に幅広く使用されており、CT画像は疾病診断に対する根拠として30年の歴史があり、CT画質の改善と画像アーティファクト(artifact)の低減はCT画像再構成アルゴリズムの研究と臨床において従来から重要な課題であった。
【0003】
CT画像再構成アルゴリズムには一般的にフィルタ補正逆投影アルゴリズム、画像反復再構成アルゴリズムおよび代数的画像再構成アルゴリズムが含まれる。そのうち、フィルタ補正逆投影アルゴリズムはCT画像再構成の主流であり、現在のCT製品において幅広く応用されている。フィルタ補正逆投影アルゴリズムにおいて、実際スキャンして取得した投影データに対してフィルタ補正逆投影を行ない、これにより画像データを取得する。
【0004】
しかしながら、フィルタ補正逆投影アルゴリズムにおいて、画像を再構成する投影データはノイズによる干渉を受けていないと仮定しているが、実際に、ノイズは投影データに伴って常に存在する。特に低放射線量スキャンの場合、ノイズは顕著になるため、高画質のCT画像を取得することが難くなる。しかし、臨床診療の発展に伴いCTの臨床応用範囲が広がり、従来に比べ非常に高度なレベルに達している。このような新しい情勢の背景下で、業界ではCT使用時の安全性を考慮して、新たに高い画質が求められている。これによりフィルタ補正逆投影アルゴリズムは新しい需要を満たすことが難しくなり、中低レベルの臨床応用に使われることが多い。
【0005】
上述の新たな需要に対して、ハイレベルの臨床応用において、反復再構成アルゴリズムの研究が注目を集めている。画像反復再構成アルゴリズムは電子ノイズとその他の物理要素による画像アーティファクトを上手く処理することで、画像の情報を保証し、検査時の放射線量を低減することができる。しかし、膨大な計算量と高い計算コストが原因で、実際のCT製品において一度も幅広く応用されることはなかったが、コンピュータ技術の迅速な発展に伴い、反復再構成アルゴリズムが実際の製品に応用されることは可能となり、CT画質を改善し、画像アーティファクトを低減すると同時に、投影に必要な放射線量を低減することが可能となった。また、医療・健康の増進に伴い、CT診断中のX線放射の人体健康に及ぼす影響がますます重視され、低放射線量CTはすでにCT発展の潮流になっている。従って、反復再構成アルゴリズムはますます注目を浴びており、重要な研究課題になっている。反復再構成アルゴリズムには、主に複数回ループにおける反復の投影と逆投影プロセスが含まれる。
【0006】
従来のフィルタ補正逆投影アルゴリズムにおいて、主なプロセスは逆投影プロセスであり、従来の画素駆動型(Pixel−Driven)などの逆投影方法を利用するとモデル誤差が大きくなる。そのため、アーティファクトを低減し、画質を改善する新しい逆投影方法が研究されている。
【0007】
他方、注目を浴びている反復再構成アルゴリズムにおいて、従来の、例えば、線束駆動型(Ray−Driven)、画素駆動型(Pixel−Driven)に基づく投影と逆投影方法はモデル誤差が大きく、反復再構成アルゴリズムにおける投影と逆投影プロセスに応用すると、アルゴリズムを高精度に収束させることが難しい。
【0008】
上述の状況を踏まえて、多くの新しい投影と逆投影方法が研究・提案され、従来のフィルタ補正逆投影アルゴリズム、特に注目を浴びている反復再構成アルゴリズムに利用されている。そのうち、最も典型的なのは距離駆動型(Distance−Driven)とセパラブルフットプリント法(Separable Footprint)の方法である。距離駆動型では画素ブロックの二つの中線交点を投影点とし、線束駆動型と画素駆動型の方法よりもさらに高いモデル精度が得られる。
【0009】
しかしながら、距離駆動型に基づく投影と逆投影方法においては、幾つかの投影/逆投影の角度範囲において、モデル誤差が依然として大きく、再構成後の画質に対して相変わらず大きい影響を与えるという技術問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術における上述の技術問題を踏まえ、本発明は、投影と逆投影のモデル誤差を低減し、反復再構成アルゴリズム、およびフィルタ補正逆投影アルゴリズムにも利用可能な、アーティファクトを低減することができるCT画像生成装置及び方法、CT画像生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従来技術における上述の技術問題を解決するために、本発明はCT画像生成装置を提供し、当該CT画像生成装置は、X線を用いてスキャン対象物をスキャン平面上でスキャンして取得した投影情報を分析し、前記スキャン対象物の画像を生成するCT画像生成装置であって、スキャン平面上に複数の座標系を確立する汎用処理ユニットと、投影角度に基づいて、前記複数の座標系から距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系を選択する座標確定ユニットと、前記投影角度に応じて、選択された座標系に基づいて距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影を行なう距離駆動処理ユニットと、投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで取得した画像情報に基づいて前記スキャン対象物の画像を生成する画像情報処理ユニットと、を含む。
【0012】
また、本発明はさらにCT画像生成方法を提供し、当該画像生成方法は、X線を用いてスキャン対象物をスキャン平面上でスキャンして取得した投影情報を分析し、前記スキャン対象物の画像を生成するCT画像生成方法であって、スキャン平面上に複数の座標系を確立する汎用処理ステップと、投影角度に基づいて、前記複数の座標系から距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系を選択する座標確定ステップと、前記投影角度に応じて、選択された座標系に基づいて距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影を行なう距離駆動処理ステップと、投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで取得した画像情報に基づいて前記スキャン対象物の画像を生成する画像情報処理ステップと、を含む。
【0013】
本発明のCT画像生成装置及び方法によると、複数の画像座標系を使用して距離駆動に基づく順投影および/あるいは逆投影を行なうことによって、従来技術の距離駆動型に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を減少することができる。これにより、CT画像再構成における反復再構成技術とフィルタ補正逆投影技術の再構成精度を高め、CT画像のアーティファクトを低減させ、実際のCT装置及びCT装置のシミュレーションシステムを改善することができる。
【0014】
本発明のCT画像生成装置において、前記汎用処理ユニットが前記スキャン平面上に確立した前記複数の座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角は同じであってもよい。
【0015】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記汎用処理ステップが前記スキャン平面上に確立した前記複数の座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角は同じであってもよい。
【0016】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、均等分布の原則でスキャン平面上に複数の座標系を確立することで、少ない座標系でできるだけ高い精度に達することができる。これにより、座標系の結合によってもたらした処理負担を減少し、できるだけ高いCT画像再構成精度を保証することができる。
【0017】
本発明のCT画像生成装置において、前記汎用処理ユニットは前記スキャン平面上にそれぞれの座標軸の相互間の夾角が45度である二つの座標系を確立してもよい。
【0018】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記汎用処理ステップでは前記スキャン平面上にそれぞれの座標軸の相互間の夾角が45度である二つの座標系を確立してもよい。
【0019】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、均等分布の原則でスキャン平面上に二つの座標系を確立することで、少ない座標系でできるだけ高い精度に達することができる。これにより、座標系の結合によってもたらした処理負担を減少し、高いCT画像再構成精度を保証することができる。
【0020】
本発明のCT画像生成装置において、前記汎用処理ユニットは前記CT画像生成装置の精度要求に基づいて、スキャン平面上にN個(2以上の整数)の座標系を確立してもよい。
【0021】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記汎用処理ステップでは前記CT画像生成装置の精度要求に基づいて、スキャン平面上にN個(2以上の整数)の座標系を確立してもよい。
【0022】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、精度要求に基づいて座標系の数を確定する。これにより、精度要求を満たす前提でできるだけ少ない座標系を選択し、座標系の結合によってもたらした処理負担を減少し、求められたCT画像再構成精度を保証することができる。
【0023】
本発明のCT画像生成装置において、前記座標確定ユニットは前記複数の座標系から座標軸と前記投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して、距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系としてもよい。
【0024】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記座標確定ステップでは前記複数の座標系から座標軸と前記投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して、距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系としてもよい。
【0025】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、投影角度と座標軸との間の夾角が最も小さくなるように座標系を選択する。これにより、距離駆動型に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を最大限に減少することができる。
【0026】
本発明のCT画像生成装置において、前記座標確定ユニットは前記投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、前記複数の座標系から、当該投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうための座標系を選択し、前記距離駆動処理ユニットは前記座標確定ユニットによって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことでそれぞれの座標系での画像情報を取得し、前記画像情報処理ユニットはそれぞれの座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得し、取得した画像情報に基づいて前記スキャン対象物の画像を生成してもよい。
【0027】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記座標確定ステップでは前記投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、前記複数の座標系から、当該投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうための座標系を選択し、前記距離駆動処理ステップでは前記座標確定ステップで選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことでそれぞれの座標系での画像情報を取得し、前記画像情報処理ステップではそれぞれの座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得し、取得した画像情報に基づいて前記スキャン対象物の画像を生成してもよい。
【0028】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく逆投影を行なうことで、従来技術の距離駆動型に基づく逆投影におけるモデル誤差を減少することができる。
【0029】
本発明のCT画像生成装置において、前記画像情報処理ユニットは画像情報に対して補間を行ない、これによりそれぞれの座標系での画像情報を取得し、前記座標確定ユニットは前記投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、前記複数の座標系から、当該投影角度の画像情報に対して距離駆動順投影を行なうための座標系を選択し、前記距離駆動処理ユニットは前記座標確定ユニットによって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の当該座標系での画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで当該投影角度の投影情報を取得し、それぞれの投影角度の投影情報を集めることで投影情報を取得してもよい。
【0030】
また、本発明のCT画像生成方法において、前記画像情報処理ステップでは画像情報に対して補間を行ない、これによりそれぞれの座標系での画像情報を取得し、前記座標確定ステップでは前記投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、前記複数の座標系から、当該投影角度の画像情報に対して距離駆動投影を行なうための座標系を選択し、前記距離駆動処理ステップでは前記座標確定ステップで選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の当該座標系での画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで当該投影角度の投影情報を取得し、それぞれの投影角度の投影情報を集めることで投影情報を取得してもよい。
【0031】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく投影を行なうことで、従来技術の距離駆動型に基づく投影におけるモデル誤差を減少することができる。
【0032】
本発明のCT画像生成装置において、当該CT画像生成装置は少なくとも一回の順投影−逆投影の反復を行ない、前記順投影−逆投影の反復において、先ず、距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで投影情報を取得し、その後、距離駆動順投影によって取得した投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで画像情報を取得してもよい。
【0033】
また、本発明のCT画像生成方法において、当該CT画像生成方法においては少なくとも一回の順投影−逆投影の反復を行ない、前記順投影−逆投影の反復において、先ず、距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動投影を行なうことで投影情報を取得し、その後、距離駆動順投影によって取得した投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで画像情報を取得してもよい。
【0034】
上述のCT画像生成装置及び方法によると、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく順投影と逆投影から構成された反復再構成を行なうことで、従来技術の距離駆動型に基づく順投影と逆投影から構成された反復再構成におけるモデル誤差を減少することができる。これにより、CT画像再構成において現在注目を浴びている反復再構成技術の再構成精度を高め、さらにCT画像のアーティファクトを低減させ、実際のCT装置及びCT装置のシミュレーションシステムをさらに改善することができる。
【0035】
また、本発明はさらにCT画像生成システムを提供し、当該CT画像生成システムは、X線を用いてスキャン対象物をスキャンするX線装置と、前記X線の投影を検出して受信する検出受信装置と、受信したX線の投影情報を記憶するデータ記憶装置と、本発明のCT画像生成装置と、を備える。
【0036】
本発明のCT画像生成システムによると、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく順投影および/あるいは逆投影を行なうことで、従来技術の距離駆動に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を減少することができる。これにより、CT画像再構成における反復再構成技術とフィルタ補正逆投影技術の再構成精度を高め、CT画像のアーティファクトを低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面に基づいて本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。以下で詳しく説明する具体的な実施形態は本発明の内容を理解するためのものであり、本発明を限定するものではない。
[1.モデル誤差]
【0039】
まず、距離駆動型に基づく順投影と逆投影法の原理及びそのモデル誤差について説明する。
図1Aと
図1Bは距離駆動型に基づく順投影と逆投影法の原理図で、
図1Cは距離駆動型に基づく順投影と逆投影法のモデル誤差略図ある。
【0040】
図1Aと
図1Bに示すように、距離駆動順投影/逆投影法において、スキャン対象物をスキャンするスキャン平面上に、順投影/逆投影のソースポイント101が画像102のある画素104(図においては影付き四方形で示す画素)の二つの中線交点107を通過して形成された二本の射線105を検出器103に投影して得られた二つの交点間のデータ108を、対応する検出器103において当該画素104に関連するデータ(図においては薄い影で示す)とする。
【0041】
しかしながら、実際に検出器103において当該画素104に関連するデータはさらに109(図においては濃い影で示す)、即ち順投影/逆投影のソースポイント101が画素104の最も外側を通過する射線106を検出器に投影して得られた交点とデータ108の当該側端点との間の検出器区域を含む。ここで、109は距離駆動順投影/逆投影アルゴリズムにおけるモデル誤差である。
【0042】
以下、上述のモデル誤差について詳しく分析する。まず、画素境界と平行する座標軸を有する平面直角座標系を確立し、順投影/逆投影方向と座標軸とが形成する角度θを順投影/逆投影角度(以下では投影角度と総称することもある)とする。ここで、順投影/逆投影方向(以下では投影方向と総称することもある)は順投影/逆投影のソースポイント101を起点として画素104を通過する射線が形成する方向であり、画素104は事実上非常に小さいため、当該射線が画素104を通過する具体的な位置については限定しない。例えば、画素104を通過する中心点と設定することができる。そのうち、順投影/逆投影角度θが0°/90°/180°/270°付近にある場合は、モデル誤差が小さく、逆に、順投影/逆投影角度θが45°/135°/225°/315°付近にある場合は、モデル誤差が大きい。
図1Cは距離駆動型に基づく順投影と逆投影法のモデル誤差略図あり、モデル誤差と順投影/逆投影角度θとの関係を示す。
【0043】
上述のモデル誤差分布について例を挙げながら詳しく説明する。まず、
図1A、
図1Bにおける左右方向をX軸とし、上下方向をY軸とする平面直角座標系Aを確立し、順投影/逆投影方向とX軸正方向(
図1A、
図1Bにおける右方向に設定する)とが形成する角度θを順投影/逆投影角度とする。例えば、X軸正方向から反時計回り方向を正とすることができる。上述の平面直角座標系Aにおいて、
図1Aは、投影角度が270°付近にある場合、区域109が小さい(即ちモデル誤差が小さい)ことを示し、
図1Bは、投影角度が315°付近にある場合、区域109が大きい(即ちモデル誤差が大きい)ことを示す。確立された平面直角座標系が画素境界と平行する座標軸を有すれば、いずれも
図1Cに示すようなモデル誤差分布が得られ、上述で確立された具体的な座標系に限定されない。
[2.第一の実施形態]
【0044】
以下、図面に基づいて本発明の第一の実施形態に係わるCT画像生成装置及び方法、および当該CT画像生成装置を備えたCT画像生成システムについて詳しく説明する。
[2−1.CT画像生成装置を備えたCT画像生成システムの構成]
【0045】
図2は第一の実施形態に係わるCT画像生成装置を備えたCT画像生成システムの構成を示すモジュール図である。
図2に示すように、CT画像生成システム1はX線装置10、検出受信装置20、データ記憶装置30および本実施形態に係わるCT画像生成装置40を備える。
【0046】
X線装置10はX線を用いてスキャン対象物をスキャンする。そのうち、X線装置10は例えばX線スキャナーであり、スキャン対象物は例えば人体である。
【0047】
検出受信装置20は前記X線の投影を検出して受信する。そのうち、検出受信装置20は例えばX線検出器(プローブ)等であり、X線装置10から送信され且つスキャン対象物をスキャンしたX線を受信する。
【0048】
データ記憶装置30は受信したX線の投影情報を記憶する。そのうち、データ記憶装置30は例えばROM、RAM、HDD、メモリカードなどによって実現する。
【0049】
本実施形態に係わるCT画像生成装置40はX線を用いてスキャン対象物をスキャン平面上にスキャンして得られた投影情報を分析し、前記スキャン対象物の画像を生成する。そのうち、CT画像生成装置40は例えばコンピュータ、シングルチップマイクロコンピュータあるいはCPU、MPU、集積回路等によって実現する。
[2−2.CT画像生成装置の特性モジュール]
【0050】
以下、引き続き
図2に基づいて本実施形態に係わるCT画像生成装置40の特性モジュールについて説明する。
【0051】
本実施形態に係わるCT画像生成装置40は、例えば、プロセッサーが予め決められたプログラムを実行することで、汎用処理ユニット41、座標確定ユニット42、距離駆動処理ユニット43、および画像情報処理ユニット44のような特性機能ユニットとして作動する。当然ながら、本実施形態に係わるCT画像生成装置40の実現方法はこれに限らず、例えばFPGA等を利用して集積回路によって実現することも可能である。
[2−2−1.汎用処理ユニット]
【0052】
汎用処理ユニット41はスキャン平面上に複数の座標系を確立する。本実施形態においては、二つの座標系を確立する状況について説明するが、三つ以上の座標を確立する状況については後で説明する。
【0053】
図3Aと
図3Bは二つの座標系の場合の各座標系の略図であり、そのうち、
図3Aは前文で確立した平面直角座標系Aと同じ座標系201を示す。以下、このような座標系を基準座標系と称する。
図3Bは
図3Aで示した基準座標系を所定角度に回転させて得られた座標系202を示す。以下、このような座標系を回転座標系と称する。ここで、基準座標系と回転座標系は説明を容易にするために任意に決定したもので、それらの間は等価である。また、図において、影で表示した区域203は有効な再構成画像の区域を示す。
【0054】
図3Aと
図3Bに示すように、汎用処理ユニット41がスキャン平面上に確立した二つの座標系の各座標軸の相互間の夾角は同じであり、45度である。即ち、回転座標系の基準座標系に対する回転角度は45度(反時計回り方向を正とする)であり、均等分布の原則に基づいてスキャン平面(360度)内で二つの座標系を確立する。これにより、できるだけ少ない座標系で高い精度に達し、座標系の結合によってもたらした処理負担を低減し、高いCT画像再構成精度を保証することができる。当然ながら、回転座標系の基準座標系に対する回転角度は45度以外でもよく、0度より大きく且つ90度より小さい範囲から選択されたいずれの角度であってよい。
[2−2−2.座標確定ユニット]
【0055】
座標確定ユニット42は投影角度に基づいて、汎用処理ユニット41によって確立された複数の座標系から距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影のための座標系を選択する。本実施形態においては、二つの座標系から選択する状況について説明し、三つ以上の座標系から選択する状況については後で説明する。
【0056】
図4は二つの座標系の場合、投影角度に基づいて座標系を選択する略図である。
図4に示すように、301の示す角度範囲内の順投影/逆投影には基準座標系201が使用され、302の示す角度範囲内の順投影/逆投影には回転座標系202が使用されている。
【0057】
座標確定ユニット42はそれぞれの投影角度に対して、座標系201、202からある座標軸と投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して、当該投影角度において距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影を行なう座標系とする。これにより、距離駆動型に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を最大限に減少させることができる。
[2−2−3.距離駆動処理ユニット]
【0058】
距離駆動処理ユニット43は投影角度に応じて、座標確定ユニット42によって選択された座標系に基づいて距離駆動逆投影または距離駆動順投影を行なう。
【0059】
そのうち、距離駆動逆投影において、距離駆動処理ユニット43は座標確定ユニット42によって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動順投影を行なうことで、各座標系での画像情報を取得する。また、距離駆動順投影において、距離駆動処理ユニット43は座標確定ユニット42によって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度に対応する各座標系での画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで、当該投影角度の投影情報を取得する。
[2−2−4.画像情報処理ユニット]
【0060】
画像情報処理ユニット44は投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで取得した画像情報に基づいて、前記スキャン対象物の画像を生成する。
【0061】
そのうち、距離駆動逆投影において、画像情報処理ユニット44は距離駆動処理ユニット43が距離駆動逆投影を行なうことで取得した各座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得する。また、距離駆動順投影において、画像情報処理ユニット44は画像情報に対して補間を行ない、汎用処理ユニット41によって確立された各座標系での画像情報を取得する。
【0062】
以下、画像情報処理ユニット44によって行なわれる補間処理について具体的に説明する。
図5Aと
図5Bは二つの座標系の場合での補間原理図である。複数(ここでは二つ)の座標系の間の画像補間は、座標系間の画素の占める面積によって計算される。
図5Aは回転座標系202の画素を補間計算して基準座標系201における画素を取得する具体的な方法を示す。定められた基準座標系のある画素と回転座標系の画素との重合区域の面積の比率関係(面積比率とする)を計算することで、この面積比率を利用して回転座標系でのそれぞれのカバーされた画素を重み付き累積する。例えば、式1により回転座標系202に対する補間によって得られた基準座標系201の画素(x、y)(図において影で示す)の画素値C(x、y)を計算することができる。
【0063】
C(x、y)=ca×A+cb×B+cc×C+cd×D (1)
【0064】
式1において、ca、cb、cc、cdは図に示すように、基準座標系での画素(x、y)と回転座標系での画素A、画素B、画素C、画素Dとの画素の重合区域の面積(画素重合区域面積とする)が画素面積に占める比率、即ち画素重合区域面積比率を示す。また、式において、A、B、C、Dはそれぞれ回転座標系での画素A、画素B、画素C、画素Dの画素値を示す。
【0065】
また、基準座標系を回転座標系に補間計算する場合も同じ方法が用いられる。逆投影においては、それぞれの回転座標系の画像を基準座標系に補間計算する必要があり、投影においては、基準座標系の画像をそれぞれの回転座標系に補間計算する必要がある。
【0066】
図5Bは重合区域面積比率を計算する具体例であり、基準座標系での画素ブロックをさらに小さいブロックに細かく区画することで、回転座標系での画素に入るブロック数を合計して重合区域の面積比率を示す。実施形態において、画素の補間関係および補間係数即ち面積比率はプロセッサーによって予め計算して記憶装置に記憶させる。
【0067】
以下、引き続き画像情報処理ユニット44の処理について説明する。
図6は二つの座標系の場合の画像累積原理図である。本実施形態において、二つの座標系に対して累積する状況について説明するが、三つ以上の座標系に対して累積する状況も類似する。上述のように、逆投影において、それぞれの角度は異なる座標系に分布して逆投影を行ない、複数(ここでは二つ)の座標系での逆投影画像を生成する。上述の補間方法によって回転座標系202での画像601を基準座標系に補間した後補間画像602を取得し、さらに基準座標系201での画像603と累積して最終的な結果画像、即ちスキャン対象物の画像604を取得する。
[2−3.CT画像生成方法のプロセス]
【0068】
以下、図面に基づいて本実施形態に係わるCT画像生成方法について説明する。本実施形態に係わるCT画像生成方法は、X線を用いてスキャン対象物をスキャン平面上にスキャンして取得した投影情報を分析し、前記スキャン対象物の画像を生成する。
【0069】
図7は第一の実施形態に係わるCT画像生成方法のフローチャートである。
図7に示すように、本実施形態に係わるCT画像生成方法は、スキャン平面上に複数の座標系を確立する汎用処理ステップS1と、投影角度に基づいて、汎用処理ステップS1で確立された複数の座標系から、距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系を選択する座標確定ステップS2と、投影角度に応じて、座標確定ステップS2で選択された座標系に基づいて距離駆動逆投影あるいは距離駆動投影を行なう距離駆動処理ステップS3と、距離駆動処理ステップS3で投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで取得した画像情報に基づいて、スキャン対象物の画像を生成する画像情報処理ステップS4と、を含む。
[2−4.第一の実施形態の効果]
【0070】
以下、図面に基づいて本実施形態の効果について詳しく説明する。
【0071】
図8Aと
図8Bは二つの座標系の場合のモデル誤差低減原理図である。
図8Aと
図8Bにおいて、横軸は順投影/逆投影角度を示し、縦軸はモデル誤差を示す。
【0072】
図8Aに示すように、異なる順投影/逆投影角度に対して異なる座標系を選択した場合に、
図1Cに示すシングル座標系でのモデル誤差の最大の部分(45度/135度/225度/315度付近)が削除されそれぞれの投影角度の対応する座標系でのモデル誤差が小さくなる。そのため、
図8Bに示すように、それぞれの角度の順投影/逆投影の結果を結合した後の全体の結合モデル誤差が
図1Cの中のシングル座標系での距離駆動モデル誤差に比べて明らかに減少され、それぞれの順投影/逆投影角度においても低いモデル誤差を保持する。
【0073】
上述のように、本発明のCT画像生成装置及び方法によると、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく順投影および/あるいは逆投影を行なうことで、従来技術の距離駆動型に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を減少することができる。これにより、CT画像再構成中の反復再構成技術とフィルタ補正逆投影術の再構成精度を高め、CT画像のアーティファクトを低減させ、実際のCT装置及びCT装置のシミュレーションシステムを改善することができる。
[3.第二の実施形態]
【0074】
本発明による第二の実施形態は第一の実施形態の基で、三つ以上の座標系を採用することで、モデル誤差をさらに減少させ、再構成精度を高める。以下では、主に第二の実施形態の第一の実施形態に対して異なる点について説明し、第一の実施形態と同じあるいは類似する点についてはその説明を省略する。
[3−1.第二の実施形態の特徴]
[3−1−1.座標系の確立]
【0075】
本発明の技術案によると、座標系の増加に伴い、誤差が大きい部分は低減され、座標系が多いほど結合モデル誤差は小さくなる。しかし、実際の実施においては、座標系が多いほど結合計算が多くなるため、本実施形態に基づいて座標系の数の選択をすることができる。
【0076】
本実施形態において、汎用処理ユニット41はCT画像生成装置40あるいはCT画像生成システム1の精度要求に基づいて、スキャン平面にN個(Nは2以上の整数)の座標系を確立する。また、汎用処理ステップS1ではCT画像生成方法の精度要求に基づいて、スキャン平面にN個(Nは2以上の整数)の座標系を確立する。これにより、精度要求に基づいて座標系の数を確定し、精度要求を満たすことを前提に、できるだけ少ない座標系を選択することで、座標系の結合によってもたらした処理負担を減少し、要求されたCT画像再構成精度を保証することができる。
【0077】
図9Aは第二の実施形態において複数の座標系の確立を示すフローチャートであり、
図9Bは複数の座標系を確立する場合のそれぞれの座標系の回転角度を示す略図である。
図9Aにおいて複数の座標系を確立するプロセスは以下の考えに基づく。即ち、実施において、座標系の数の選択は、一般の状況において最初は二つの座標系を使用し、二つの座標系を使用した場合精度要求を満たせないときは精度の要求を満たすまで座標系の数を増やせばよい。実施においては座標系の数を2のべき乗に設定することを推薦する。また、座標系の数を増やした後に、基準画像座標系201で行われた投影と逆投影の結果データは前の計算結果を繰り返し使用して一部の計算時間を節約することができる。
【0078】
また、座標系の回転角度の選択方法については、選択された座標系の数Kが2より大きい場合、
図9Bに示すように、K−1個の回転座標系(図において二番目とその後の座標系)のX軸回転角度を0°〜90°の範囲内に均等に分布させるのが最適であり、当然ながらその他の角度を別々に選択してもよいが、当該K−1個の回転座標系の回転角度が同じであってはならない。
【0079】
つまり、前記スキャン平面上に確立された複数の座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角は同じであってよく、均等分布の原則にしたがってスキャン平面(360度)内に複数の座標系を確立する。これにより、少ない座標系でできるだけ高い精度に達し、座標系の結合によってもたらした処理負担を減少し、できるだけ高いCT画像再構成精度を保証することができる。当然ながら、前記スキャン平面に確立された複数の座標系のそれぞれの座標軸の相互間の夾角がいずれも0でなければよく、それぞれの夾角は互いに異なってもよい。
【0080】
上述の具体例において、二つの座標系を確立するときから、精度要求を満たす座標系の数になるまで試験を行なうことについて説明したが、精度要求を満たす座標系の数が分かった場合は、もちろん確立しようとする座標系の数を直接確定してもよい。
[3−1−2.座標系の選択]
【0081】
二つの座標系の場合と似ており、座標確定ユニット42は複数の座標系から、座標軸と投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して距離駆動順投影あるいは距離駆動逆投影に用いられる座標系とする。これにより、距離駆動型に基づく順投影と逆投影におけるモデル誤差を最大限に減少させることができる。
[3−2.三つの座標系の場合]
【0082】
三つ以上の座標系の代表として、以下、図面に基づいて三つの座標系を使用した場合について詳しく説明する。その他の数の座標系の場合は似ており、ここでは説明を省略する。
【0083】
図10A、
図10Bおよび
図10Cは三つの座標系の場合の各座標系の略図である。
図10Aは基準座標系204を示し、
図10Bは基準座標系を30度(反時計周りを正とする)回転させて得られた回転座標系205を示し、
図10Cは基準座標系を60度(反時計周りを正とする)回転させて得られた回転座標系206を示す。
【0084】
図11は三つの座標系の場合、投影角度に基づいて座標系を選択する略図である。二つの座標系を使用した場合と似ており、三つの座標系から、座標軸と前記投影角度との間の夾角が最も小さい座標系を選択して距離駆動逆投影あるいは距離駆動順投影に用いられる座標系とする。
図11に示すように、304、305、306に対応する角度範囲はそれぞれ座標系204、205、206を使用する。
【0086】
二つの座標系の場合と似ており、
図12Aに示すように、式2により回転座標系205に対する補間によって得られた基準座標系204の画素(x、y)(図において影で示す)の画素値C
21(x、y)を計算することができる。
【0087】
C
21(x、y)=ca×A+cb×B+cc×C+cd×D (2)
【0088】
また、
図12Bに示すように、式3により回転座標系206に対する補間によって得られた基準座標系204の画素(x、y)(図において影で示す)の画素値C
22(x、y)を計算することができる。
【0089】
C
22(x、y)=ca×A+cb×B+cc×C+cd×D (3)
【0090】
式において、ca、cb、cc、cdは、図に示すように、基準座標系での画素(x、y)と回転座標系での画素A、画素B、画素C、画素Dとの画素重合区域面積が画素面積に占める比率、即ち画素重合区域面積比率を示す。また、式において、A、B、C、Dはそれぞれ回転座標系での画素A、画素B、画素C、画素Dの画素値を示す。
【0091】
二つの座標系の場合と似ており、三つの座標系の場合には、距離駆動逆投影において座標系205、座標系206の補間後の結果と座標系204の画像を累積して最終的な再構成画像を取得する。例えば、式4によって累積値I
m(x、y)を計算することができる。
【0092】
I
m(x、y)=C
1(x、y)+C
21(x、y)+C
22(x、y) (4)
【0093】
そのうち、C
1(x、y)は座標系204の再構成画像データであり、C
21(x、y)、C
22(x、y)はそれぞれ座標系2と座標系3を座標系1に補間した画像データである。
【0094】
図13Aと
図13Bは三つの座標系の場合のモデル誤差低減原理図である。
図13Aと
図13Bにおいて、横軸は順投影/逆投影角度を示し、縦軸はモデル誤差を示す。
図13Aと
図13Bに示すように、異なる順投影/逆投影角度に対して三つの座標系を選択した場合、各順投影/逆投影の結果を結合した後の全体の結合モデル誤差は
図1Cにおけるシングル座標系での距離駆動モデル誤差に対して明らかに減少すると同時に、
図8Bに示す二つの座標系での距離駆動モデル誤差に対してもさらに減少し、それぞれの順投影/逆投影角度においていずれも低いモデル誤差を保持する。
[4.第三の実施形態]
【0095】
本発明の第三の実施形態では前記第一、第二の実施形態をCT画像再構成におけるフィルタ補正逆投影と反復再構成に適用する。以下、主に第三の実施形態の第一、第二の実施形態に対して異なる点について説明し、第一、第二の実施形態と同じあるいは類似する点については説明を省略する。
[4−1.フィルタ補正逆投影]
【0096】
逆投影において、異なる角度の逆投影の操作は異なる座標系において計算し、さらに最終的に異なる座標系での画像結果を補間して最終画像情報に累積する。
【0097】
本発明をCT画像再構成のフィルタ補正逆投影に適用する際に、座標確定ユニット42は投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、汎用処理ユニット41によって確立された複数の座標系から、当該投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうための座標系を選択し、距離駆動処理ユニット43は座標確定ユニット42によって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで各座標系での画像情報を取得し、画像情報処理ユニット44は各座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得し、取得した画像情報に基づいてスキャン対象物の画像を生成する。
【0098】
また、本発明をCT画像再構成のフィルタ補正逆投影に適用する際に、座標確定ステップS2では投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、汎用処理ステップS1で確立された複数の座標系から、当該投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうための座標系を選択し、距離駆動処理ステップで3は座標確定ステップ2で選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の投影情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで各座標系での画像情報を取得し、画像情報処理ステップ4では各座標系での画像情報に対して補間して加算することで画像情報を取得し、取得した画像情報に基づいてスキャン対象物の画像を生成する。
【0099】
以下、図面に基づいてフィルタ補正逆投影に適用する本発明の具体例について説明する。
図14は第三の実施形態に係わるフィルタ補正逆投影処理のフローチャートである。
図14に示すように、まず、CT投影データ(投影情報)に対してデータのフィルタリングを行ない、その後逆投影を行ない、最後に逆投影の結果に基づいてCT画像を生成する。逆投影において、ステップ701では座標系の数、回転角度などのパラメータを初期化する。ステップ702ではパラメータに基づいて座標系を確立し、それぞれの座標系に対応する初期リセットの画像を設置する。ステップ703ではそれぞれの回転座標系での画像画素と基準座標系での画像画素との間の補間係数を計算する。ステップ705では投影角度と座標軸との夾角が最も小さい座標系を選択して当該角度投影データの逆投影の座標系とする。ステップ706では選択された座標系で逆投影を行ない、その結果を当該選択された座標系に対応する画像に累積する。ステップ707ではすべての座標系で対応する逆投影画像を補間計算して基準座標系での画像に累積する。
【0100】
そのうち、上述のフィルタ補正逆投影の具体例において、ステップ702は本発明の汎用処理ステップS1に相当し、ステップ705は本発明の座標確定ステップS2に相当し、ステップ706は本発明の距離駆動処理ステップS3に相当し、ステップ707は本発明の画像情報処理ステップS4に相当する。当該具体例におけるそれぞれのステップではフィルタ補正逆投影の具体的な変形に適用し、実際の状況に応じて順番を調整したり変更を行なったりすることができる。
【0101】
上述のように、本発明をCT画像再構成におけるフィルタ補正逆投影に適用することで、従来技術の距離駆動型に基づく逆投影におけるモデル誤差を減少し、CT画像再構成におけるフィルタ補正逆投影技術の再構成精度を高め、これによりCT画像のアーティファクトを低減し、実際のCT装置およびCT装置のシミュレーションシステムを改善することができる。
[4−2.反復再構成]
【0102】
本発明をCT画像再構成の反復再構成に適用する際に、上述のように距離駆動型に基づく逆投影を行なった後に、さらに少なくとも一回の順投影―逆投影の反復を行なうことで再構成の精度を高める。前記順投影―逆投影の反復において、まず距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで投影情報を取得し、その後距離駆動順投影によって取得した画像情報に対して距離駆動逆投影を行なうことで画像情報を取得する。
【0103】
逆投影についてはすでに説明したが、順投影においては、まず、投影する画像を補間計算して異なる座標系にマッピングし、さらに投影角度に基づいて異なる座標系での画像を選択して投影を行ない、すべての角度の投影データを集めて最終的な投影データを生成する。
【0104】
距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動投影を行なう際に、画像情報処理ユニット44は画像情報に対して補間を行ない、これによりそれぞれの座標系での画像情報を取得し、座標確定ユニット42は投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、汎用処理ユニット41によって確立された複数の座標系から、当該投影角度の画像情報に対して距離駆動投影を行なうための座標系を選択し、距離駆動処理ユニット43は座標確定ユニット42によって選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の当該座標系での画像情報に対して距離駆動投影を行なうことで当該投影角度の投影情報を取得し、それぞれの投影角度の投影情報を集めることで投影情報を取得する。
【0105】
また、距離駆動逆投影によって取得した画像情報に対して距離駆動順投影を行なう際に、画像情報処理ステップS4では画像情報に対して補間を行ない、これによりそれぞれの座標系での画像情報を取得し、座標確定ステップS2では投影平面上のそれぞれの投影角度に応じて、汎用処理ステップS1で確立された複数の座標系から、当該投影角度の画像情報に対して距離駆動順投影を行なうための座標系を選択し、距離駆動処理ステップS3では座標確定ステップS2で選択された座標系に基づいて、それぞれの投影角度の当該座標系での画像情報に対して距離駆動順投影を行なうことで当該投影角度の投影情報を取得し、それぞれの投影角度の投影情報を集めることで投影情報を取得する。
【0106】
以下、図面に基づいて本発明を反復再構成に適用する具体例について説明し、主に反復再構成における投影の具体例について説明する。
【0107】
図15は第三の実施形態に係わる投影処理を示すフローチャートである。
図15に示すように、投影処理においては、CT画像データ(画像情報)に対して順投影(投影)を行なうことでCT投影データ(投影情報)を生成する。具体的には、ステップ801では座標系の数、回転角度などのパラメータを初期化する。ステップ802ではパラメータに基づいて座標系を確立し、それぞれの座標系に対応する画像を設置する。ステップ803ではそれぞれの座標系での画像画素と基準座標系での画像画素との間の補間係数を計算する。ステップ804では補間方法を利用して最初の画像からそれぞれの座標系の画像、即ち基準座標系での入力画像を補間することによってそれぞれの座標系での画像を取得する。ステップ806では投影角度に基づいて座標系を選択し、投影角度と座標軸との夾角が最も小さい座標系を当該角度の順投影の座標系とする。ステップ807では選択された座標系で距離駆動順投影を行なう。ステップ808では処理を終了する。
【0108】
そのうち、上述の投影の具体例において、ステップ802は本発明の汎用処理ステップS1に相当し、ステップ806は本発明の座標確定ステップS2に相当し、ステップ807は本発明の距離駆動処理ステップS3に相当し、ステップ804は本発明の画像情報処理ステップS4に相当する。当該具体例におけるそれぞれのステップでは投影の具体的な変形に適用し、実際の状況に応じて順番を調整したり変更を行なったりすることができる。
【0109】
上述のように、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく投影を行なうことにより、従来技術の距離駆動に基づく投影におけるモデル誤差を減少することができる。さらに、複数の画像座標系を使用して距離駆動型に基づく順投影と逆投影とから構成された反復再構成を行なうことにより、従来技術の距離駆動型に基づく順投影と逆投影とから構成された反復再構成におけるモデル誤差を減少することができる。これにより、CT画像再構成において現在注目を浴びている反復再構成技術の再構成精度を高め、更にアーティファクトを低減し、実際のCT装置およびCT装置のシミュレーションシステムをさらに改善することができる。
[5.補足]
【0110】
以上、本発明に係わるいくつかの実施形態と実施例について詳しく説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、本発明の発明趣旨の範囲内でさらに様々な変更、組み合わせ及び削除を行うことができる。また、変更、組み合わせ及び削除によって得られた実施形態も本発明の範囲内に含まれている。
【0111】
例えば、本発明に係わるパラメータとデータ(例えば投影情報と画像情報など)については、投影データを記憶・管理するサイノグラム(Sinogram)と、座標系パラメータ(個数、回転角度など)および座標系画像画素間の補間係数を記憶・管理する座標系および補間係数と、それぞれの座標系に対応する画像を記憶・管理する各座標系対応画像と、入力(投影に対して)/出力(逆投影に対して)結果画像を記憶・管理する入力/出力結果画像と、のような形式で記憶することができる。
【0112】
例えば、本発明のCT画像生成システム1はさらに、表示、画像プリンタなどのためにデータインターフェースを提供するユーザインターフェースモジュールを備えてもよい。これにより、ユーザは本発明のCT画像生成装置40あるいはCT画像生成システム1から生成されたスキャン対象物の画像などのデータを簡単に取得することができる。