【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、構成部品区分および少なくとも1つのセンサー区分を含む、流体および/または気体媒体のための光学的流量センサー用のセンサー構成部品において、センサー区分が、サイトグラスを収容することができる空所部を含むことによって、この課題を達成する。センサー区分には、1つのサイトグラスまたは少なくとも2つのサイトグラスが装備されていてよい。サイトグラスは好ましくは、センサー区分の断面を介して光通過が可能であるように配置されている。このことは好ましくは、両方のサイトグラスが、それぞれ向かい合う側に取り付けられていることによって達成される。
【0012】
本発明ではさらに、センサー構成部品が、1つまたは複数の空所部に組み込み可能な収容構成部品を含み、その際、その収容構成部品は、サイトグラスを収容構成部品で収容し、そのサイトグラスは、材料固定的に(stoffschluessig)、かつ/または気密に接合されていることが企図されている。
【0013】
複数のサイトグラスまたは1つのサイトグラスを収容する収容構成部品を備えたセンサー構成部品の複合形態は、多数の利点を有する。
【0014】
例えば1つには、残りのセンサー構成部品と組み合わせる前に、サイトグラスを収容構成部品に組み込むことが可能である。このことによって、ガラス嵌めのために、センサー構成部品全体を高温に曝露する必要がなくなる。さらなる利点は、1つまたは複数の収容構成部品を個別に、センサー構成部品の空所部に組み込むことができることにある。このことによって例えば、点検窓を備えた収容構成部品の領域で流体媒体が流れ通る断面を、感知される流体媒体、光源などの光学構成要素、またはグラス材料に個別に適合させ得ることが可能である。光学構成要素では特に、光源から放射される光の波長に適合させることが可能であり、グラス材料では、透明度または反射率など、その光学的特性に適合させることが可能である。
【0015】
複合形態のさらなる利点は、それぞれの方法実施に合わせて材料を選択することが可能であることである。
【0016】
さらに、複合形態によって、主に変形によるセンサー構成部品の非切削製造の可能性が開かれる。空所部は、センサー構成部品内に、打ち抜きまたは穿孔によって組み込むことができる。
【0017】
本発明の第1の形態では、1つまたは複数の空所部に組み込み可能な収容構成部品は、特にキャップとして、好ましくは特殊鋼製キャップとして、またはコバールもしくは鋼から形成されていてよい。前記のように、収容構成部品をセンサー区分の空所部内に入れる前に、サイトグラスを収容構成部品に組み込むことができる。このことは、サイトグラスを組み込む際に、センサー区分全体ではなく、収容構成部品、特にキャップのみを加工または加熱すればすむという利点を有する。先ず、グラス材料を、キャップの抜き取り部に組み込むか、またははめ込む。次いで原則的には、サイトグラスを収容構成部品と接合させるいくつかの可能性を考えることができる。
【0018】
第1の形態では、サイトグラスを収容構成部品と、ハンダ材料、例えば金属ハンダまたはガラスハンダによって接合させる。
【0019】
サイトグラスおよび収容構成部品を、金属ハンダまたはガラスハンダを用いて接合させる場合、サイトグラス材料の膨張係数と、収容構成部品の材料の膨張係数は、ほぼ同じである。すなわち、グラス材料が膨張係数において、収容構成部品の材料に一致しているガラスであるいわゆる適合ガラス嵌め(angepasste Einglasung)である。適合させて実施する場合のほぼ同じ膨張係数とは、膨張係数の差が互いに20%未満、特に10%未満であることを意味する。
【0020】
適合させて実施する本発明の第1の形態では、温度変化の際に、異なる膨張に基づく応力亀裂が回避される。
【0021】
サイトグラスを、外径ADを有する円形収容構成部品の内径IDを有する本質的に円形の抜き取り部に組み込む場合、サイトグラスがハンダ付けされる収容構成部品について、AD<1.2×ID、特にAD<1.1×ID、特に好ましくはAD<1.05×IDである。すなわち、収容構成部品の外壁は、比較的薄い。
【0022】
金属ハンダまたはガラスハンダによって抜き取り部と接合されているサイトグラスを含むセンサー構成部品の気密性は、好ましくは10バール未満であり、好ましくは1バールから10バールの間である。金属ハンダで、またはガラスハンダで収容構成部品と接合されたサイトグラスを含む収容構成部品は、センサー構成部品の空所部にハンダ付けすることができ、そのセンサー構成部品を再度、ハンダ付けによって、またはレーザー溶接によって、燃料導管に接合させることができる。グラス材料をハンダ付けする場合、ハンダ付け温度(第1ハンダ付け温度)は好ましくは200℃から500℃、好ましくは250℃から350℃である。燃料導管を、ハンダ付けされた収容構成部品を備えたセンサー構成部品とハンダ接合させる際のハンダ付け温度(第2ハンダ付け温度)は常に、グラス材料をキャップにハンダ付けしたハンダ付け温度未満である。
【0023】
第2の形態では、サイトグラスを、収容構成部品の抜き取り部にガラス嵌めする。すなわち、グラス材料を先ず、抜き取り部にはめ込み、次いで、グラス材料、および好ましくは金属からなる収容構成部品を加熱して、グラス材料が溶融付着して、冷却した後に、金属がグラス材料上で収縮し、グラス材料と、収容構成部品の金属との間に摩擦接合(kraftschluessige Verbindung)が形成するようにする。この技術は、グラス材料の膨張係数が、収容構成部品の材料と異なり、すなわち、その差が、必ずではないが通常は、20%超であるいわゆる圧力ガラス嵌めである。本発明の第2の実施形態の場合に、収容構成部品が外径ADの円形であり、抜き取り部が内径IDの円形であると、AD>1.3×ID、好ましくはAD>1.4×ID、特に好ましくはAD>1.5×IDである。
【0024】
グラス材料が溶融付着し、圧力ガラス接合が形成される第2の形態の利点は、収容構成部品を空所部の領域内で、硬質ハンダによってセンサー構成部品と接合させることができることにある。硬質ハンダは例えば、700℃から1050℃、好ましくは800℃から900℃の範囲のハンダ付け温度を示す。
【0025】
収容構成部品の抜き取り部への組み込みに続いて、これを、センサー区分内の抜き取り部に設置し、収容構成部品を、例えば、第1の実施例ではハンダ付けもしくはレーザー溶接によって、または第2の実施例では硬質ハンダもしくはレーザー溶接もしくはハンダ付けによって、センサー区分と接合させる。従来技術においてのように、ガラス嵌めのためにセンサー区分全体を加熱する必要はない。
【0026】
有利にはセンサー区分の抜き取り部への収容構成部品の取り付けを、センサー区分と配管部品、例えば燃料配管とのハンダ付け、レーザー溶接、または硬質ハンダ付けと一緒に行う。本質的に全ての構成部品を一緒に加工、すなわちハンダ接合させるか、または硬質ハンダ付けすることができることによって、従来技術の構成部品に対して、加工時間がかなり節約される。
【0027】
サイトグラスを収容構成部品に組み込む代わりに、金属ハンダを用いて直接、サイトグラスをセンサー区分と空所部の範囲内で接合させることができる。
【0028】
本発明の第1の形態では、金属ハンダを用いて、ハンダ付けによって、サイトグラスを簡単な技術および方法で、金属、特に特殊鋼、コバールまたは鋼と接合させることができるように、サイトグラスは好ましくは、少なくとも辺縁領域で、すなわち、その平坦面の周囲で金属被覆されている。必ずではないが好ましくは、金属被覆部は、高い銅分を含んでよい。
【0029】
特に、アルカリケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはサファイアガラスは十分な機械的耐荷力を有し、これらは、金属被覆された辺縁層と共に形成すると、特殊鋼と直接接合させることができる。
【0030】
アルカリケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、またはサファイアガラスは、高い機械的強度および高い耐薬品性に基づき、サイトグラスとして好ましい。
【0031】
サイトグラスを収容する収容構成部品、特にキャップを備えたセンサー区分の形態は、センサー区分の領域内のセンサー構成部品または光学的流量センサーの空所部内に、あらかじめ作成された、例えばサイトグラスを装備したキャップ、特に金属製キャップ、例えば、特殊鋼製キャップを後から設置することができるという利点を有する。
【0032】
キャップとしての収容構成部品の形態の代わりに、1つまたは複数のサファイアガラスを収容していて、そのサファイアガラスと一緒に、センサー区分の空所部の領域に配置されるリングとしての形態も考えられるであろう。このために、リングをセンサー区分とハンダ接合させることができる。
【0033】
好ましくは、センサー構成部品は、断面、好ましくは円形断面を有する管形体(rohrfoermiger Koerper)として形成されている。
【0034】
その種の実施形態では、センサー区分におけるセンサー構成部品の断面Q
1が、接続している配管部品の断面Q
2と本質的に同じであると、有利である。このことは、配管部品からセンサー区分へと移行する際に、よりわずかな流れ抵抗しか生じないという利点を有する。
【0035】
空所部内での収容構成部品相互の距離Aを調節することによって、光源またはグラス材料または感知される媒体の光学的特性を容易に調節することができる。センサー構成部品の内径DSをさらに調節することによって、断面Q
1を、導管の断面Q
2に適合させることが可能となる。
【0036】
本発明による形態のさらなる利点は、収容構成部品内の抜き取り部の大きさを調節することができることである。抜き取り部の大きさ、この場合はサイトグラスのための直径は、例えばビーム幅または照射容積に関連する光学的要求を満たし得るように選択する。
【0037】
センサー構成部品の他に、本発明は、本発明によるセンサー構成部品を含む少なくとも1つの光学センサーを備えた光学的流量センサーも提供する。
【0038】
光学的流量センサーは有利には、光源、特に発光ダイオード、特に発光ダイオードアレイを含む。
【0039】
光源、特に発光ダイオード、好ましくは発光ダイオードアレイは好ましくは、赤外線、特に波長領域1μmから2μmの波長を有する光を放射する。
【0040】
他の波長も同様に考えられる。好ましくは、測定される流体および/または気体媒体を通過する際に十分に高い透過率を有するような波長を選択する。このことについては、その開示内容全体が本出願に組み込まれる独国特許第10 2007 025 585(A1)号に指摘されている。ある種の光学センサーは光源、例えばLED光源アレイを含み、光をビームスプリッターの後に、第1のサイトグラス、媒体、特に、液体、好ましくは感知される液体を有する燃料、および第2の点検窓を介して、到達した光シグナルを検出する第1の検出器へと向ける。到達した光線をスペクトル分解して検出すると、特に好ましい。そのような場合には、検出器を用いて、光学的流量センサーを流れ通るいくつかの物質を検出することができる。検出器が1種のみの物質を検出すべき場合には、例えば、その物質に特徴的な唯一の波長の検出で十分であろう。光源の一部の光はビームスプリッターの後に直接、第2の検出器へと向けられて、そこで同様に、スペクトル分解して検出される。次いで、第1の検出器のシグナルと、第2の検出器のシグナルとを比較することで、媒体、特に液体、好ましくは燃料の組成について推論することができる。
【0041】
サイトグラスが、平行平面性であり、機械的耐荷性であり、好ましくは金属、特に特殊鋼、コバール、または鋼と接合可能なガラス板であると、特に好ましい。平行平面性であり、金属、特に特殊鋼、コバールまたは鋼と接合可能なガラス板は、機械的耐荷性である。ガラス板は、光学的特性を示すために、平面で形成されていても、屈曲して形成されていてもよい。本出願では、種々の形態、すなわち、単一ガラス板も、積層ガラス板または複合ガラス板も、ガラス板と理解される。特にガラス板は、特殊な機能、例えば、フィルター機能、例えば、エッジフィルター、カラーフィルター、または透過フィルターも含む。さらに、ガラス板は、コーティング、特に、反射防止コーティング、またはUVコーティングもしくはIRコーティングなどの規定の波長を遮断するコーティングなどの機能性コーティングも装備していてよい。
【0042】
本発明による光学的流量センサーの他に、本発明は、その種の光学的流量センサーを備えた、液体または気体媒体を収容および/または供給するための装置も提供する。
【0043】
その物理的特性を配管内で、または容器内で、光学的流量センサーを用いて測定することができる媒体としては、ガスまたは液体が該当する。ガスとしては、特に、気体の形か、または圧縮もしくは液体の形の天然ガス、または液化石油ガスが該当する。例えば水素、N
2、O
2などの工業ガスも、特に液体水素および液体窒素などの液体の形であっても、測定することができる。さらに、内燃機関の排ガス、ならびに化学工業および半導体工業のプロセスガス、ならびに空気を、それらの物理的特性について調べることができる。配管内、または容器内でそれらの物理的特性について、本発明によるセンサー構成部品を用いて測定することができるさらなる媒体は特に、水、塩水、特に駆動装置、油圧オイル用のオイル、特に動力燃料中の混和物としてのアルコール、特にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ブタンジオールである。それらの物理的特性を、本発明による形態を用いてセンサー装置内で測定することができるさらなる液体は特に、ガソリンおよびディーゼル燃料などの燃料、ナタネ油、メチルエステル、ならびに航空機用タービンまたは船舶モーターおよび/もしくは船舶タービン用の燃料である。現在、例えばディーゼル車両の場合に排ガス精製のために使用される尿素または尿素溶液などの排ガス精製用の液体物質も、本発明による実施によって、配管内で、または容器内で検出することができる。さらに、工業、特に化学工業および半導体工業における各種のプロセス液を、本発明による実施によって、配管またはタンクで、感知することができる。例えばフルオロ炭化水素などの空調設備または冷蔵庫で使用される媒体も、本発明による装置を用いて検出することができる。
【0044】
本発明による装置を用いて検出することができるガスまたは液体の、ここで示した列挙は、単なる例に過ぎず、限定的なものではないことを理解されたい。
【0045】
特に好ましくは、装置は、センサー構成部品と、好ましくは構成部品区分と、特に材料固定的に、好ましくはハンダ付け、硬質ハンダ付け、または溶接、特にレーザー溶接によって接合されている配管部品を含む。
【0046】
特に好ましくは、本発明による光学的流量センサーを動力燃料配管内で、特に動力燃料混合物の組成を決定するために使用する。光学的流量センサー、要するに、その種の光学的流量センサーを備えた液体または気体媒体を収容および/または供給するための装置のセンサー構成部品の他に、本発明は、光学的流量センサー用のセンサー構成部品を製造する方法も提供する。本発明による光学的流量センサー用のセンサー構成部品は、様々な技術および方法で製造することができる。
【0047】
本発明による方法では、サイトグラスを先ず、収容構成部品、例えばキャップに組み込み、かつサイトグラスを収容構成部品と接合させる。
【0048】
続いて、サイトグラスを備えた収容構成部品を、センサー構成部品のセンサー区分の空所部に組み込む。
【0049】
サイトグラスを、収容構成部品の収容開口部に組み込むために、第1の方法では、サイトグラスが圧力ガラスの形で、少なくとも1つの収容開口部にガラス嵌めされるように、サイトグラスおよび収容構成部品を加熱することができる。この場合、ガラスは溶融付着する。
【0050】
続いて、収容構成部品を空所部に組み込み、かつ空所部の範囲内で、センサー構成部品またはセンサー区分と接合させる。
【0051】
収容構成部品の収容開口部に直接ガラス嵌めする代わりに、ガラスハンダを、少なくとも1つの収容開口部に組み込むことができる。続いて、サイトグラスを組み込み、かつガラスハンダがサイトグラスと、収容開口部内で圧力ガラスの形態で融合するように、サイトグラスおよび収容構成部品を加熱する。引き続き、収容構成部品を空所部に組み込み、かつ空所部の範囲内で、センサー構成部品またはセンサー区分と接合させる。
【0052】
グラス材料を溶融付着させ、収容開口部に圧力ガラス嵌めとして組み込む前記の2つの方法の利点は、収容構成部品をセンサー構成部品と、硬質ハンダまたはレーザー溶接によって接合させることが可能であることである。センサー構成部品も、硬質ハンダで、例えば配管部品に接合させることができる。直接ガラス嵌めのためのグラス材料として、例えば、α≒10×10
−6Kの膨張係数を有するSCHOTT AG社のGlas B270などのアルカリケイ酸塩ガラス、またはα≒5〜6×10
−6Kの膨張係数を有するSCHOTT AG社のGlas 8800もしくは8436などのホウケイ酸ガラスが適している。
【0053】
ハンダガラスによってサイトグラスをガラス嵌めするために可能な例示的なガラスの組合せは、サイトグラスとしてのSCHOTT AG社のホウケイ酸ガラス8800と、ハンダガラスとしてのGlas G018161との組合せである。この代わりに、Schott AG社のホウケイ酸ガラス8800をハンダガラスとしても、サイトグラスとしてのサファイアガラスと組合せて使用することができる。
【0054】
さらなる別の方法では、先ずサイトグラスを、少なくとも辺縁領域で金属被覆する。次いで、収容構成部品、特にキャップ、特に特殊鋼製キャップへの金属被覆されたサイトグラスのハンダ付けを行う。キャップの代わりに、1つまたは複数のサイトグラスが配置されているリングを、空所部の領域内に組み込むこともできる。キャップまたはリングを製造し、それらに1つまたは複数のサイトグラスを装着した後に、ハンダ付けされたサイトグラスを備えたキャップまたはリングをセンサー構成部品と、特にセンサー構成部品の開口部の領域で、好ましくは溶接によって、特にレーザー溶接、ハンダ付けによって接合させる。
【0055】
さらに別の実施形態では、流体および/または気体媒体のための流量センサー用のセンサー構成部品を製造するために、センサー構成部品のセンサー区分に、空所部の領域で、ガラスハンダ、特にガラスハンダリングを装備することができる。それに続いて、サイトグラスを、ガラスハンダリングと、特に溶接によって接合させる。ガラスハンダは通常、低い溶融温度を有するので、センサー構成部品およびサイトグラスの熱負荷は通常わずかである。
【0056】
下記では、本発明を図面によって説明するが、それらに限定されることはない。