(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
a)が、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択されるポリマー樹脂であり;
b)は、gc分析により測定される場合に、
30〜45%の3環オリゴマー(複数)と、
35〜60%の4環オリゴマー(複数)と、
1〜10%の5環オリゴマー(複数)と、
1〜10%の6環オリゴマー(複数)と、
0.1〜4%の7環オリゴマー(複数)と、
0〜2.5%の8環オリゴマー(複数)と
を含む、
請求項1に記載の組成物。
前記非アンチモン難燃相乗剤または補助剤が、メラミン、メラミン塩、シリコーン、または、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属亜硫酸塩、金属硫化物、金属炭酸塩、金属炭化物、金属硝酸塩、金属亜硝酸塩、金属窒化物、金属ホウ酸塩、金属ケイ酸塩および金属リン酸塩から選択される金属ベースの相乗剤である、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の組成物。
前記非アンチモン難燃相乗剤または補助剤が、メラミン、メラミン塩、シリコーン、または、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、スズ、チタンもしくはカルシウムの酸化物、水酸化物もしくは塩から選択される金属ベースの相乗剤である、請求項9に記載の組成物。
前記ポリマー樹脂が、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択され;
前記混合物(b成分)は、gc分析により測定される場合に、
30〜45%の3環オリゴマー(複数)と、
35〜60%の4環オリゴマー(複数)と、
1〜10%の5環オリゴマー(複数)と、
1〜10%の6環オリゴマー(複数)と、
0.1〜4%の7環オリゴマー(複数)と、
0〜2.5%の8環オリゴマー(複数)と
を含む、請求項12に記載の方法。
【背景技術】
【0003】
加工の間におけるポリマー樹脂への難燃剤の添加はよく知られている。難燃剤添加剤は、一般に、3つの基本機構により分類され得る。気相難燃剤は、気相の状態でフリーラジカル火炎汚染(free radical flame poisoning)により作用し、これにより、さらなる発熱反応を促進する活性なフリーラジカルが除去される。広く普及しているハロゲン化難燃剤は、気相難燃剤として機能すると考えられる。多くの場合、これらの化合物は、相乗剤(例えば、アンチモン相乗剤)と一緒に用いられる。凝縮相難燃剤は、固相状態のチャーの形成を促進して隔離層を形成し、これが、引火性基材を火炎から保護し、火炎中への揮発性引火性ガスの放出を低減する。多くのリンベースおよびシリコーンベースの難燃剤は、凝縮相難燃剤として機能すると考えられる。ヒートシンク難燃剤は、水および/または二酸化炭素を放出することによる吸熱反応を介して作用し、これにより、火炎がクエンチされる。
【0004】
ハロゲン化有機化合物(オリゴマーおよびポリマー物質を含む)は、広く用いられており、ポリマー樹脂のための極めて有効な難燃剤添加剤である。市販の臭素化難燃剤の例としては、テトラブロモビスフェノールA、ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、ポリ(ペンタブロモベンジルアクリレート)、デカブロモジフェニルオキシド、トリス(トリブロモフェニル)シアヌレート、トリス−ジブロモプロピルイソシアヌレート、臭素化ポリスチレンおよびポリ(ブロモスチレン)が挙げられる。
【0005】
熱可塑性樹脂における厳しい難燃性基準(例えば、UL−94 V−0基準)を満たすために、ハロゲン化難燃剤は、一般に相乗剤とブレンドされ、最も一般的には三酸化アンチモン(ATO)とブレンドされる。しかしながら、三酸化アンチモンの使用は、その化学的危険有害性分類(chemical hazard classification)のため、任意環境規格に従うために制限されてきている。また、相乗剤の使用は、着色、コスト増加の問題に繋がり得、かつ場合によっては、ポリマー特性に悪影響を及ぼし得る。したがって、アンチモン化合物および同様の相乗剤をポリマー組成物から削減または排除することが極めて望ましいであろう。
【0006】
熱可塑性ポリフェニレンオキシド樹脂(例えば、2,6−ジメチルフェノールのポリマー)が市販されており、これは、ポリマー添加剤として、またはポリマーブレンド(例えば、ポリアミドブレンドおよび耐衝撃性ポリスチレン(すなわち、HIPS))の一部として、見かけることが最も多い。
【0007】
ポリフェニレンオキシド(PPO)とも呼ばれるポリフェニレンエーテル(PPE)は、本来的に難燃性である。米国特許第4,888,370号明細書は、ポリアミドにおける難燃剤添加剤としてのPPOの使用を開示している。米国特許出願公開第2010/0292376号明細書は、ベンジルホスフィンオキシド難燃剤を含むポリマー樹脂における難燃補助剤としてのポリフェニレンエーテルの使用を開示している。
【0008】
PPOは、多くの場合、単独では難燃剤としてはそれほど有効ではなく、より多くの場合、物理的性質(例えば、寸法安定性、機械的強度および絶縁耐力など)を改善するためにポリマー樹脂に添加される。PPOが使用される多くのそのような用途において、他の難燃剤添加剤またはパッケージ(例えば、ホスフィネート、ハロゲン化難燃剤金属相乗剤など)が、難燃性が必要とされる場合に組み込まれる。
【0009】
米国特許出願公開第2006/0167143号明細書は、相溶化ポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンドと、ホスフィネート難燃剤と、ポリリン酸メラミン、ホウ酸亜鉛、低融点ガラスおよびタルクからなる群から選択される難燃性増強剤(augment)とを含む組成物を開示している。
【0010】
米国特許第420393号明細書は、スチレン樹脂と、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ハロゲン化芳香族難燃剤化合物と、アンチモン含有化合物と、ポリエステルおよびポリエチレンからなる群から選択される添加剤とを含む、改善された機械的性質および良好な難燃性を有する、自己消化性熱可塑性成形用組成物(例えば、ゴム改質耐衝撃性ポリスチレン)を開示している。
【0011】
米国特許第4,024,093号明細書は、ポリフェニレンエーテル樹脂と、ビニル芳香族樹脂と、芳香族ハロゲン化難燃剤と、難燃性量の有機鉄とを含む、難燃性熱可塑性成形用組成物を開示している。米国特許第5,143,955号明細書は、ポリフェニレンエーテル樹脂(例えば、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル)と、耐衝撃性ポリスチレン樹脂と、臭素化芳香族難燃剤と、高分子量ポリスチレン樹脂とを含む、組成物を開示している。
【0012】
米国特許第7,816,430号明細書は、シアン酸エステル化合物および/またはそのプレポリマーと、特定のエポキシ樹脂と、一価フェノールと、ポリフェニレンエーテル樹脂とを含む、印刷配線板用の硬化性組成物を開示している。この組成物は、臭素化難燃剤をさらに含み得る。可能な難燃剤のリストの中には、臭素化ポリフェニレンエーテルがある。
【0013】
アリールオキシカーボネート(例えば、広く使用されているビス−フェノールAポリカーボネート(BPA−PC)および同様の物質)は、市販されている熱可塑性ポリマーである。PCは、プラスチック物品において単独のまたは主要なポリマーとして使用され得、さらに、種々のブレンド(例えば、PC−ABSブレンド)における用途も見出し得る。ポリカーボネートは、典型的には難燃剤活性に関係しない。
【0014】
ハロゲン化ポリフェニルエーテルは、公知の難燃剤である。米国特許第3,760,003号明細書は、ポリマー樹脂(例えば、ポリエステル、ポリスチレンおよびABS)における難燃剤として有用な、式
【化1】
(式中、各Xは、独立してClまたはBrであり、各mは、独立して0〜5の数であり、pは、0〜4の数であり、かつnは、1〜5の数である)の化合物を開示している。米国特許出願公開第2011/0040003号明細書および同第2011/0184107号明細書、ならびに米国特許出願公開第2012/0065297号明細書として公開された同時係属中の米国特許出願第13/248387号明細書は、臭素化アリールエーテルオリゴマーの混合物を難燃剤として開示しており、これらの文献の開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0015】
これらのハロゲン化ポリエーテル難燃剤のうちのいくつかは、多くの同様のハロゲン化芳香族難燃剤とは別の仕方で、相乗剤、補助剤および他の物質と相互作用し得ることが見出された。少なくとも3個のハロゲン化芳香環を有するハロゲン化ポリエーテルが、フェノキシ含有物質(例えば、ポリフェニレンエーテル、アリールカーボネートなど、例えば、非ハロゲン化PPO(例えば、2,6−ジメチルフェノールのポリマー)および芳香族ポリカーボネート)との組み合わせで使用される場合に、デカブロモジフェニルエーテルよりも有効であるという発見は、非常に驚くべきことである。
【0016】
その結果、今回、難燃性についてのUL−94 V−0基準を満たす、エーテルの大部分が少なくとも3個のハロゲン化芳香環を含むハロゲン化ポリエーテルと非臭素化ポリフェニレンオキシドエーテルまたはアリールカーボネートとの混合物を含む組成物が、金属ベースの相乗剤の添加なしに調製され得ることが見出された。試験した他の臭素化芳香族難燃剤は、三酸化アンチモンなどの金属ベースの相乗剤が添加されない限り、V−O基準を達成しない。本発明は、ATOを全く含有しないかまたは減少したレベルのATOを含有する、優れた難燃性および優れた物理的特性を有するポリマー組成物の配合における、柔軟性の増加を可能にする。
【発明を実施するための形態】
【0021】
アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物が提供され、この難燃性ポリマー組成物は、
a)ポリマー樹脂(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂)と、
b)1種または複数種の式I
【化4】
(式中、各R
1は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択され、
各R
2は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択されるが、但し、少なくとも1個のR
2はハロゲンであることを条件とし、nは、0〜5(例えば、1、2、3、4または5)であり、mは、1〜4(例えば、1、2、3または4)であり、かつxは、1〜10である)のオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルと、
c)式II
【化5】
(式中、
qは、0または1であり;pは、0〜4であり(例えば、pは、0、1または2であり);
Yは、1〜12個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子)のアルキル基であり;
Xは、カルボニル基またはカルボニルオキシ基であり;
Gは、直接結合、フェニレン基、または7〜9個の炭素原子のアラルキレン基である)のモノマー単位を含む、オリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質と
を含み、この難燃性ポリマー組成物は、アンチモン化合物を含んでいない。
【0022】
ポリマー樹脂a)は、c)のオリゴマーまたはポリマーと同じではない。ある実施形態においては、ポリマー樹脂a)は、成分c)に比べて重量でより多くの量で存在し、他の実施形態においては、成分c)の方が、より多くの量で存在する。
【0023】
さらに、アンチモン非含有難燃性ポリマー樹脂組成物を製造するための方法が提供され、当該方法は、式I
【化6】
(式中、各R
1は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択され、
各R
2は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択されるが、但し、少なくとも1個のR
2はハロゲンであることを条件とし、nは、0〜5(例えば、1、2、3、4または5)であり、mは、1〜4(例えば、1、2、3または4)であり、かつxは、1〜10である)のオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルを、溶融加工の間にポリマー樹脂(例えば、熱可塑性ポリマー樹脂)中に組み込む工程を含み、
ここで、式II
【化7】
(式中、
Yは、1〜12個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子)のアルキル基であり;
Xは、カルボニル基またはカルボニルオキシ基であり;
Gは、直接結合、フェニレン基、または7〜9個の炭素原子のアラルキレン基であり;
qは、0または1であり;かつ
pは、0〜4である(例えば、pは、0、1または2である))のモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質が、ポリマー樹脂中に存在するか、またはポリマー樹脂に添加され、また、
ここで、アンチモン化合物は、ポリマー樹脂中に存在することも、ポリマー樹脂に添加されることもない。
【0024】
例えば、Gが直接結合でありかつqが0である場合、オリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質c)は、式III
【化8】
のモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーである。
【0025】
qが1である場合、オリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質c)は、式IVまたは式V
【化9】
のモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーである。
【0026】
qが1である場合の多くの実施形態において、Gは、例えば、
【化10】
の基であり、ここで、各Zは、例えば、独立してHまたはメチルであり、アステリスクは、式IIに描かれたフェニル環への結合点を示す。
【0027】
例えば、qが1である多くの実施形態において、式VIのモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーは、式VI
【化11】
の化合物である。
【0028】
典型的に、式VIの化合物において、pは、0である。
【0029】
式Iのハロゲン化エーテル化合物は公知であり、多くの公知の方法(例えば、既に参照により援用されている米国特許出願公開第2011/0040003号明細書、同第2011/0184107号明細書、および米国特許出願公開第2012/0065297号明細書)によって調製され得る。典型的に、本発明のハロゲン化アリールエーテル成分は、ハロゲン化アリールエーテルオリゴマーの混合物を含み、そのハロゲン化アリールエーテルオリゴマーのハロゲン含有量は、全ハロゲン化アリールエーテルオリゴマーの総重量に基づき少なくとも50wt%である。例えば、ハロゲンとしてのR
1およびR
2が臭素である場合、ハロゲン化アリールエーテルオリゴマーのハロゲン含有量は、50〜約83wt%である。
【0030】
典型的に、R
1およびR
2は、ハロゲン(例えば、塩素または臭素)、最も多くの場合、臭素であり、nおよびmは、少なくとも1、多くの場合、少なくとも2である(例えば、nは、3、4または5であり、mは、2、3または4である)。多くの実施形態において、ハロゲン化アリールエーテルは、xが1〜10(例えば、1〜6または1〜4)である様々な長さのオリゴマーの混合物を含む。例えば、ハロゲン化アリールエーテルは、xが1、2および3である様々な長さのオリゴマーの混合物を含む。
【0031】
式I中の非末端アリール環上の互いに対するエーテル結合は、オルト、メタまたはパラであり得る。一部の実施形態において、オルト、メタおよび/またはパラ結合が混じり合ったものが存在する。1つの実施形態において、式Iの非末端アリール環上のエーテル結合の少なくとも50%が互いにメタであり、別の実施形態においては、式Iの非末端アリール環上のエーテル結合の少なくとも50%が互いにパラである。
【0032】
オリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルのハロゲン含有量は、様々であり得る。一部の特定の実施形態において、ハロゲンは臭素であり、臭素含有量は、約70〜約82%または約74〜約80%である。1つの特定の実施形態において、臭素含有量は、約78〜約79%である。
【0033】
例えば、式Iの臭素化フェニルエーテルオリゴマーの混合物は、フェニルエーテルオリゴマー(例えば、Rが水素である式Iの化合物)の混合物を臭素と臭素化触媒との混合物に添加することによって調製され、臭素含有量(amount bromine content)は、添加時間、保持時間、および反応温度を選択することによって制御される。
【0034】
例えば、エーテル酸素を介して結合した3個、4個、5個、6個、7個および8個のフェニル環からなるそれぞれのオリゴマーを含むフェノールエーテルオリゴマーの混合物が、上記の方法に従って臭素化される。1つの特定の実施形態において、フェノールエーテルオリゴマーは、gc分析により測定される場合に、約30〜約50%の3環オリゴマーと、30〜60%の4環オリゴマーと、1〜15%の5環オリゴマーと、6個またはそれ以上のフェニル環を含有する合計15%未満のオリゴマーとを含む。
【0035】
本発明に従って使用される場合、本発明の臭素化オリゴマーの方が臭素化ジフェニルエーテルよりも有効であることから、ジフェニルエーテル物質の量は最小限に抑えられ、多くの実施形態において、本発明の組成物は、組成物全体に基づき0〜2重量%、多くの場合、0〜1重量%以下の臭素化ジフェニルエーテルを含有する。
【0036】
例えば、臭素化フェノールエーテルオリゴマーは、gc分析により測定される場合に、
約30〜約45%(例えば、約35〜約45%)の3環オリゴマーと、
約35〜約60%(例えば、約35〜約55%)の4環オリゴマーと、
約1〜約10%(例えば、約3〜約10%)の5環オリゴマーと、
約1〜約10%(例えば、約3〜約10%)の6環オリゴマーと、
約0.1〜約4%(例えば、約0.1〜約3%)の7環オリゴマーと、
約0〜約2%(例えば、約0〜約2.5%)の8環オリゴマーと
を含む。
【0037】
1つの実施形態において、上に記載されたエーテルから上記の方法に従って得られる臭素化フェニルエーテルオリゴマー組成物は、約77〜約80%、場合によっては約78〜約79%の臭素含有量、および約145〜約195℃、場合によっては約150〜約190℃のTgを有する。
【0038】
成分c)のフェノキシ物質は、市販されているか、または多くの公知の方法によって調製され得る。フェノキシ物質は、3〜9個の式IIIまたは式IVのモノマー単位を含むオリゴマーであり得、そのうちの多くはよく知られた物質である。多くの実施形態において、フェノキシ物質は、少なくとも10個の式IIのモノマー単位、概して10個より多く、多くの場合、100個より多くのモノマー単位を含むポリマーを含む。そのようなポリマーもまたよく知られており、容易に入手可能であり、取り扱い易く、かつ、多くの場合、オリゴマーよりも、ポリマー組成物に適切な物理的性質を付与する可能性が高い。多くの実施形態において、フェノキシ物質c)は、約1,000〜約100,000(例えば、約1,500〜約80,000、または約1,500〜約50,000)の重量平均分子量を有する。
【0039】
2種以上のオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質が、成分c)として存在し得る。成分c)を構成するフェノキシ物質は、ホモポリマーである必要はなく、2種以上の式IIのモノマー単位および/または式II以外の他のモノマー単位を含み得るが、しかしながら、モノマー単位の大部分は式IIのものである。
【0040】
多くの実施形態において、フェノキシ物質c)は、式IIIのモノマーを含むポリフェニレンエーテルから選択される。例えば、好適なポリフェニレンエーテル(PPE)は、米国特許第4,659,763号明細書の開示およびそこに見出される引用文献に従って調製され得るが、しかしながら、本発明のPPEは、米国特許第4,659,763号明細書の好ましい実施形態によって限定されるものではなく、例えば、そこに具体的に開示されているPPEよりも高いまたは低い分子量を有し得る。
【0041】
本発明において有用なPPEの例としては、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジエチル−1,4フェニレン)エーテル;ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2−メチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(3−メチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2−メチル−6−アリル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,3,6−トリメチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,3,5,6−テトラメチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,5−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。
【0042】
多くの実施形態において、フェノキシ物質c)は、式IIIa
【化12】
のポリフェニレンエーテルであり、式中、Yは、C
1〜4アルキル基であり、nは、約12〜約500である。例えば、本発明の相乗剤c)は、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジエチル−1,4フェニレン)エーテル;ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル;ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレン)エーテルおよびポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレン)エーテルから選択される。
【0043】
ポリフェニレンエーテルは、加工の間にポリマー樹脂に添加され得るか、またはポリマーブレンドの一部であり得、そのポリマーブレンドに臭素化エーテル難燃剤が添加される。
【0044】
ある実施形態において、成分c)のフェノキシ物質は、3〜9個の式IVのモノマー単位を含むアリールカーボネートオリゴマーまたは10個以上の式IVのモノマー単位を含むポリマーである。このようなカーボネートは、市販されているか、または多くの公知の方法によって調製され得る。多くの場合、フェノキシ物質がアリールカーボネートである場合において、これは、ポリマーブレンド(例えば、ポリマー樹脂a)とのブレンド)の一部であるポリマー樹脂であり、かつこれは、そのブレンドの過半成分であり得る。
【0045】
ポリマー樹脂a)は、広く様々なポリマーまたはコポリマーから選択され得る。例えば、ポリマー樹脂a)は、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはTPO);成分c)の物質と同じではないポリカーボネート、ポリスチレンもしくはゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)またはポリ(エチレンナフタレンジカルボキシレート))、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然もしくは合成ゴム、またはそれらのブレンドもしくはコポリマー(例えば、ABS、PETGなど)である。ポリマーはまた、充填剤および強化剤(例えば、ガラス繊維)も含有し得る。
【0046】
言うまでもなく、さらなる相乗剤の有無を問わず、唯一のポリマー樹脂がアリールポリカーボネートなどである組成物中に難燃剤b)がブレンドされる場合には、優れた結果が予想されるであろう。
【0047】
多くの実施形態において、難燃性ポリマー組成物は、例えばポリオレフィン、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ABS、PETGなど(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステルまたはABS)を樹脂として含む、難燃性熱可塑性組成物である。
【0048】
1つの実施形態において、樹脂は、ポリスチレン、ポリエステルまたはポリアミドであり、例えば、ポリマーは、ポリアミド−6,6、ガラス繊維入りポリアミド、HIPSまたはPETであり得る。特定の実施形態において、ポリマー樹脂a)は、c)に従うポリフェニレンエーテルとブレンドされてPPE/HIPSブレンドを形成しているスチレン(すなわち、HIPS)であるか、またはa)は、c)に従うPCとブレンドされてPC−ABSブレンドを形成しているABSである。
【0049】
本発明のポリマー組成物はまた、多くの場合、標準的な添加剤(例えば、熱および光安定剤、加工助剤、着色剤、帯電防止剤、蛍光漂白剤、充填剤、可塑剤、成形剤、ならびに他の一般的に遭遇される添加剤)も含むであろう。例えば、一般的な安定剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン安定剤、紫外線吸収剤、ホスファイト、ホスホナイト、脂肪酸のアルカリ金属塩、ハイドロタルサイト、エポキシ化ダイズ油、ヒドロキシルアミン、第三級アミンオキシド、ラクトン、第三級アミンオキシドの熱反応生成物、チオ相乗剤などが挙げられる。
【0050】
本発明のハロゲン化アリールエーテルオリゴマーb)およびフェニルオキシド物質c)は、樹脂a)とのブレンドとして既に存在しているものではない場合は、標準的な溶融ブレンド法(ブラベンダー混合、押出、ブロー成形、射出成形などを含む)によって、ポリマー中に組み込まれる。
【0051】
溶融加工は、ポリマー(例えば、熱可塑性ポリマー)が、その溶融温度付近またはその溶融温度より上に高められ、そして押出されるか、流延されるか、成形されて所望の形状にされる、広く様々なポリマー物品の好都合な製造方法であり、本発明の難燃剤をポリマー樹脂中に組み込むための能率的な方法である。溶融加工物品としては、成形品、例えば、電子ハウジング、自動車部品、電気コネクター、電気絶縁物(例えば、ワイヤー、コイルおよびボビン用の電気絶縁物)、押出またはインフレートまたは流延フィルム、スパンボンドまたはメルトブローン繊維、モノフィラメント、トウ、布帛などが挙げられる。
【0052】
UL−94 V−0等級を達成するために難燃性組成物中にブレンドされるオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルb)およびフェニオキシ(phenyoxy)物質c)の量は、存在する種々のポリマー樹脂に応じて様々であろう。難燃性PC−ABSブレンドなどの一部の実施形態において、ブレンドのポリマー樹脂のうちの1つは、成分c)の相乗剤として作用する物質でもある。これらの実施形態のいくつかにおいて、相乗剤として作用する樹脂の量は、樹脂がブレンドに加える他の特性のため、難燃性だけのために必要とされ得るであろうものよりも多くの量で存在する。したがって、1つの例において、本発明は、組成物の85wt%までが本発明の成分c)において規定されるポリカーボネート物質である、難燃性PC−ABSブレンド組成物に関する。
【0053】
概して、アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物は、ポリマー樹脂a)と、ポリマー組成物の約1〜約35重量%(例えば、1〜約25重量%)のオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルb)と、1〜約85重量%のオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質c)と、0〜約10wt%のいずれかの任意選択の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤とを含む。適切な難燃性のために必要とされるオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルb)の量は、多くの場合において、存在するフェノキシ物質c)の量によって決まるであろう。例えば、1つの一連の試験において、ブレンドの80%がPCであるPC/ABSブレンドはUL−94 V−O等級を達成するために8重量%のb)の添加を必要とするのに対して、ブレンドの30%がPCであるPC/ABSブレンドは同等級を達成するために22重量%のb)の添加を必要とすることが分かった。
【0054】
例えば、1つの実施形態において、難燃性ポリマー組成物は、
a)ポリマー樹脂(例えば、ポリオレフィン;成分c)の物質ではないポリカーボネート、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール(ポリオキシメチレン)、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択されるポリマー)と;
b)難燃性ポリマー組成物の約1〜約35重量%の上記のとおりの式Iのハロゲン化アリールエーテルオリゴマー(例えば、gc分析により測定される場合に、
約30〜約45%(例えば、約35〜約45%)の3環オリゴマーと、
約35〜約60%(例えば、約35〜約55%)の4環オリゴマーと、
約1〜約10%(例えば、約3〜約10%)の5環オリゴマーと、
約1〜約10%(例えば、約3〜約10%)の6環オリゴマーと、
約0.1〜約4%(例えば、約0.1〜約3%)の7環オリゴマーと、
約0〜約2%(例えば、約0〜約2.5%)の8環オリゴマーと
を含む式Iに従う臭素化フェノールエーテルオリゴマーの混合物)と;
c)上記のとおりの式IIのモノマー単位を含む約1〜約85重量%の1種または複数種のオリゴマーまたはポリマーフェニオキシ(phenyoxy)物質フェノキシ物質(例えば、式IIIのモノマー単位を含むポリマーおよび/または式VIのモノマー単位を含むポリマー)と;
d)0〜約10重量%の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤と
を含む。
【0055】
特に明記されない限り、冠詞「a」または「an」は、1つまたは複数を意味し得る。
【0056】
例えば、
a)ポリマー樹脂(例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはTPO);ポリスチレン(例えば、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS))、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択されるポリマー)と、
b)1〜約35重量%(例えば、1〜約30重量%、1〜25重量%、1〜20重量%、2〜15重量%または3〜12重量%)の式Iのハロゲン化アリールエーテルオリゴマーと、
c)式IIのモノマー単位を含む、約5〜約85重量%(例えば、約5〜約30重量%、約5〜約25重量%または約10〜約25重量%)のフェノキシ物質と、
d)0〜約10重量%の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤と
を含む、先の実施形態の難燃性ポリマー組成物。
【0057】
例えば、1組の実施形態において、難燃性ポリマー組成物は、
a)上記のとおりの1種または複数種のポリマー樹脂と、
b)約1〜約20重量%、約2〜約15重量%、約3〜約12重量%の式Iのハロゲン化アリールエーテルオリゴマーと、
c)式IIのモノマー単位を含む、約1〜約25重量%、約2〜約20重量%、約5〜約20重量%のフェノキシ物質(例えば、式IIIのモノマー単位を含むエーテル(例えば、式IIIaのモノマー単位を含むエーテル);または式IVのモノマー単位を含むカーボネート)と、
d)0〜約10重量%、0〜約5重量%、約0〜約3重量%の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤と
を含む。
【0058】
別の組の実施形態において、難燃性ポリマー組成物は、
a)上記のとおりの1種または複数種のポリマー樹脂と、
b)約1〜約30重量%(例えば、3〜約25重量%)の式Iのハロゲン化アリールエーテルオリゴマーと、
c)式IIのモノマー単位を含む、約20〜約85重量%(例えば、約30〜約80重量%)のフェノキシ物質と、
d)0〜約10重量%の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤と
を含む。
【0059】
ある実施形態において、a)は、ポリオレフィンもしくはポリスチレン(例えば、HIPS)であり、b)は、1〜10wt%の量で存在し、そしてc)は、30〜60wt%の量で存在するエーテルである;または、a)は、ポリオレフィンもしくはポリスチレン(例えば、HIPS)であり、b)は、7〜15wt%の量で存在し、そしてc)は、10〜25wt%の量で存在するエーテルである。
【0060】
ある他の実施形態において、a)は、ポリオレフィン、ポリスチレンもしくはゴムと、例えばABSとを含むコポリマーもしくはブレンドであり、b)は、約5〜約25wt%の量で存在し、そしてc)は、20〜85wt%の量で存在するアリールカーボネートである;または、a)は、ポリオレフィン、ポリスチレンもしくはゴムと、例えばABSとを含むコポリマーもしくはブレンドであり、b)は、約5〜約20wt%の量で存在し、そしてc)は、50〜80wt%の量で存在するアリールカーボネートである;または、a)は、ポリオレフィン、ポリスチレンもしくはゴムと、例えばABSとを含むコポリマーもしくはブレンドであり、b)は、約12〜約25wt%の量で存在し、そしてc)は、20〜50wt%の量で存在するアリールカーボネートである。
【0061】
当該難燃性組成物は、他の難燃剤(例えば、他のハロゲン化有機難燃剤およびリンベースの難燃剤(例えば、ホスフィンオキシドおよびリン含有酸塩(phosphorus acid salt)(例えば、ホスホン酸塩、ホスフィン酸塩またはリン酸塩)))を含有し得る。
【0062】
本発明は、アンチモン相乗剤の存在を排除するものであり、かつ多くの他の金属ベースの相乗剤の存在を著しく低減または排除することを可能にする。公知の金属ベースの相乗剤としては、例えば、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属亜硫酸塩、金属硫化物、金属炭酸塩、金属炭化物、金属硝酸塩、金属亜硝酸塩、金属窒化物、金属ホウ酸塩、金属ケイ酸塩および金属リン酸塩が挙げられる。1つの実施形態において、難燃性組成物はまた、酸化鉄および有機鉄化合物も含んでおらず、別の実施形態において、当該組成物は、あらゆる鉄化合物を含んでおらず、特定の実施形態において、当該組成物は、あらゆる金属ベースの相乗剤を含んでいない。
【0063】
しかしながら、多くの実施形態において、アンチモンも鉄も含有しない難燃相乗剤は存在する。特には、難燃相乗剤としての活性を有することが知られている多くの化合物(例えば、シリカ、酸化チタンなど)は、他の目的のためにも使用されるものであるからである。本発明において、こうした任意選択の相乗剤は、典型的に、組成物の約10重量%以下で存在する。
【0064】
典型的に、任意選択の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤(d)は、有機相乗剤(例えば、メラミン、メラミン塩およびシリコーン)および無機相乗剤(例えば、ホウ酸、リン酸、スズ酸、モリブデン酸、タングステン酸など);
そのような酸の塩(メタホウ酸バリウム、オルトホウ酸カルシウム、メタホウ酸カルシウム、ピロホウ酸カルシウム、四ホウ酸三マグネシウム、オルトホウ酸マンガン、四ホウ酸マンガン、二ホウ酸ニッケル、メタホウ酸銅、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、四ホウ酸亜鉛、メタホウ酸カドミウム、四ホウ酸カドミウム、スズ酸ナトリウムおよびスズ酸カリウム、スズ酸マグネシウム、スズ酸コバルト、スズ酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、タングステン酸亜鉛などを含む);
金属酸化物(例えば、シリカ、ベーマイト、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化バナジウム、酸化タングステンなど);
金属水酸化物(例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズおよび水酸化ジルコニウムなど);
ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルミニウム(粘土などを含む);
炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、硫化亜鉛、窒化チタン、硫酸ナトリウムなどから選択される。
【0065】
例えば、金属化合物が任意選択の難燃相乗剤として存在する場合、それは、多くの場合、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、スズ、チタンまたはカルシウムの酸化物、水酸化物または塩である。
【0066】
本発明の難燃剤組み合わせb)およびc)は、多くのポリマーおよびポリマーブレンドに対して有効である。ポリフェニレンエーテル樹脂を含むポリマーブレンドが知られており、本発明の特定の実施形態になる。例えば、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)/耐衝撃性ポリスチレン(PPE/HIPS)またはPC/ABSブレンドのいずれかへのハロゲン化アリールエーテルの添加は、最終組成物中にアンチモン化合物も鉄化合物も存在しないならば、本発明の方法の必須の構成要素を全て満たす。もちろん任意選択の難燃相乗剤および他の標準的なポリマー添加剤もまた添加され得るが、実施例に示されるように、他のハロゲン化難燃剤よりも本発明のハロゲン化アリールエーテルが選択される場合には、優れた難燃性のためにさらなる相乗剤は必要ではない。
【0067】
例えば、20%のポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)および本発明の臭素化アリールエーテルを含有する、PPE/HIPSポリマーブレンドを含む組成物が調製され、UL−94垂直燃焼試験プロトコルに準じて他の市販の臭素化難燃剤を含有する同様の組成物と比較された。この実験において、60〜83%の間の臭素含有量を有する臭素化アリールエーテルの混合物12wt%を難燃剤として含む組成物、デカブロモジフェニルエタン12wt%を難燃剤として含む同様の組成物、およびトリス(トリブロモフェニル)シアヌレート15wt%を難燃剤として含む同様の組成物から、1/16インチの試験片が調製された。アンチモン化合物も他の金属ベースの相乗剤も添加されなかった。
【0068】
本発明の組成物は、最も高い等級のUL−94 V−Oを達成したが、その他の組成物は、完全にこの試験に不合格となった。
【0069】
同様に、22〜8wt%の臭素化アリールエーテル入りの、30〜80%のPCを含むPC−ABSブレンドについても優れた結果が以下の実施例において示されている。
【0070】
ポリフェニレンエーテルおよびアリールカーボネートを含む他のブレンドもまた、本発明の発見および方法から利益を得ると予想され、難燃性でかつアンチモン非含有のポリマー組成物を結果としてもたらす。
【実施例】
【0071】
以下の実験のための試料の調製において、樹脂、難燃剤および加工添加剤を含む全ての材料をまず均一にブレンドし、次いで、ストランドダイを用いた配合用二軸スクリュー押出機(W/P L/d=36)のホッパー中に供給し、ペレット化して、Van Dorn 35 MT機で射出成形した。試験片を50%RH/23℃で状態調整し、機械的/熱的性質および燃焼性について、ASTM/UL法に準じて試験した。
【0072】
実施例において使用した本発明の臭素化ポリアリールエーテル難燃剤は、gc分析により測定される場合に、
約35〜約45%の3環オリゴマーと、
約35〜約55%の4環オリゴマーと、
約3〜約10%の5環オリゴマーと、
約3〜約10%の6環オリゴマーと、
約0.1〜約3%の7環オリゴマーと、
約0〜約2.5%の8環オリゴマーと
を含み、約70〜約80wt%の臭素を含有する、式Iに従う臭素化フェノールエーテルオリゴマーの混合物である。
【0073】
UL−94の垂直燃焼試験に準じた各燃焼性等級の基準は、次のとおりである。
V−0:長軸が火炎と平行するように配置された試料において、点火用火炎を取り除いた後の有炎燃焼および/またはくすぶりの平均時間が10秒を超えてはならず、かつ垂直に配置された試料はいずれも、脱脂綿に着火する燃焼粒子の滴下を生じてはならない。
V−1:長軸が火炎と平行するように配置された試料において、点火用火炎を取り除いた後の有炎燃焼および/またはくすぶりの平均時間が30秒を超えてはならず、かつ垂直に配置された試料はいずれも、脱脂綿に着火する燃焼粒子の滴下を生じてはならない。
V−2:長軸が火炎と平行するように配置された試料において、点火用火炎を取り除いた後の有炎燃焼および/またはくすぶりの平均時間が30秒を超えてはならないが、垂直に配置された試料は、綿に着火する燃焼粒子の滴下を生じる。
【0074】
実施例1
表1に詳述されるような異なる臭素化難燃剤を含有する一連の20%ポリ(2,6−ジメチルフェニレンエーテル)/HIPS配合物を、235℃および250RPMで二軸スクリュー押出機において配合することによって調製してペレットを得、これを、450°F、200RPM、射出成形圧700psiおよび保持圧力600psiで射出成形した。
【0075】
試験片を、UL−94垂直燃焼試験プロトコル(ASTM D 3801、IEC 707、またはISO 1210)を用いてスクリーニングした。このプロトコルにおいて、成形試験片は2回の10秒間の火炎印加に供され、各配合物につき5個の試験片が試験される。各火炎印加の後の試験片の消火時間が示され、その試験片について時間1(T1)および時間2(T2)として報告される。UL−94垂直燃焼試験プロトコルは、物質を不合格からUL−94 V−0までの4つの区分に等級分けしている。スクリーニングの目的のために、5個の成形試験片全てについてのT1およびT2についての平均燃焼時間および対応する等級を表1に列挙する。
【0076】
【表1】
【0077】
機械的性質試験を、本発明の臭素化ポリアリールエーテルを含有する上記のATO非含有HIPS配合物、ならびにデカブロモジフェニルエタンおよびATOを含有する典型的な市販の配合物に対して実施した。その結果を表2に示す。表2は、引張、曲げ、衝撃、加熱撓み温度(HDT)を含む特性が全て、本発明の配合物の場合の方が、対応する標準的な配合物と比べて優れていることを示している。
【0078】
【表2】
【0079】
実施例2
実施例1の手順に従い、異なる量の本発明の臭素化ポリアリールエーテルを含有する一連のATO非含有の33%PPE:HIPS配合物を調製し、FR活性について試験した。添加量レベル調査の結果を、表3にまとめる。UL−94等級(1/16インチ)は、10%の難燃剤添加量で得られる。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例3
実施例1の手順に従い、異なる量の本発明の臭素化ポリアリールエーテルを含有する一連のATO非含有の50%PPE:HIPS配合物を調製し、FR活性について試験した。添加量レベル調査の結果を、表4にまとめる。UL−94等級(1/16インチ)は、5%の難燃剤添加量で得られる。
【0082】
【表4】
【0083】
機械的性質試験を、5wt%の本発明の臭素化ポリアリールエーテル(FR1)を含有する上記のATO非含有HIPS配合物および当該難燃剤を含まないほぼ同一の配合物に対して実施した。物理的性質は、各配合物について同様であるが、FR1を含まない物質は、当然、難燃性試験に不合格となる。その結果を表5に示す。
【0084】
【表5】
【0085】
PC/ABSブレンド
同様に、PC/ABS系などのブレンドにおいて、FR1(上記のとおり)は、金属相乗剤、すなわちATOの必要なしに有効であることが分かった。市販のPC/ABSブレンドは、80/20または85/15のPC/ABS比で使用されることが多い。添加量レベル調査により、以下に表6で示すV−0 PC/ABS(80/20)配合物における当該難燃剤の有効性が証明される。
【0086】
【表6】
【0087】
表7は、本発明のFR1を含むATO非含有のPC/ABS(80/20)配合物の難燃性および物理的性質を、他の従来からの難燃剤と比較したものである。FR1を含む配合物だけが、適切な難燃性を、優れた物理的性質という追加の利点を伴って提供する。
【0088】
【表7】
【0089】
表8は、列挙された量のPC(例えば30%PCは、30/70のPCとABSとの割当て(ration)を意味する)を含有するPC/ABSにおいてV−0のUL−94等級(1/16インチ)を得るために使用されるFR1(上記のとおり)の量を示している。
【0090】
【表8】
特許請求の範囲
[請求項1]
アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物であって、
a)ポリマー樹脂と、
b)前記アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物の重量に基づき約1〜約35重量%の1種または複数種の式I
【化13】
(式中、各R1は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択され、
各R2は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択されるが、但し、少なくとも1個のR2はハロゲンであることを条件とし、nは、0〜5であり、mは、1〜4であり、かつxは、1〜10である)のオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテル(ここで、前記エーテルのハロゲン含有量は、少なくとも50重量%である)と、
c)式II
【化14】
(式中、
qは、0または1であり;pは、0〜4であり(例えば、pは、0、1または2であり);
Yは、1〜12個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子)のアルキル基であり;
Xは、カルボニル基またはカルボニルオキシ基であり;
Gは、直接結合、フェニレン基、または7〜9個の炭素原子のアラルキレン基である)のモノマー単位を含む、前記アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物の重量に基づき1〜約85重量%のオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質と、
d)0〜約10重量%の非アンチモン難燃相乗剤または補助剤と
を含み、前記難燃性ポリマー組成物は、アンチモン化合物を含んでおらず、かつポリマー樹脂a)は、c)の前記オリゴマーまたはポリマーと同じではない、難燃性ポリマー組成物。
[請求項2]
a)が、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択されるポリマー樹脂であり;
b)が、約65〜約83wt%のハロゲン含有量を有する、R1およびR2が臭素である式Iに従う臭素化フェノールエーテルオリゴマーの混合物であり、前記混合物は、gc分析により測定される場合に、
約30〜約45%の3環オリゴマーと、
約35〜約60%の4環オリゴマーと、
約1〜約10%の5環オリゴマーと、
約1〜約10%の6環オリゴマーと、
約0.1〜約4%の7環オリゴマーと、
約0〜約2.5%の8環オリゴマーと
を含み;そして
c)が、式IIIおよび/または式IV:
【化15】
(式中、Y、Gおよびpは上で規定したとおりである)のモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質である、
請求項1に記載の組成物。
[請求項3]
前記フェノキシ物質c)が、式IIIa
【化16】
(式中、Yは、C1〜4アルキル基であり、かつnは、約12〜約500である)のポリフェニレンエーテルである、請求項2に記載の組成物。
[請求項4]
a)がポリスチレン樹脂を含み、b)が1〜10wt%の量で存在し、そしてc)が30〜60wt%の量で存在する式IIIのエーテルである、請求項2に記載の組成物。
[請求項5]
a)がポリスチレン樹脂を含み、b)が7〜15wt%の量で存在し、そしてc)が10〜25wt%の量で存在する式IIIのエーテルである、請求項2に記載の組成物。
[請求項6]
a)が、耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項4に記載の組成物。
[請求項7]
a)が、耐衝撃性ポリスチレンを含む、請求項5に記載の組成物。
[請求項8]
a)がABSであり、b)が約5〜約25wt%の量で存在し、そしてc)が20〜85wt%の量で存在する式IVのアリールカーボネートである、請求項2に記載の組成物。
[請求項9]
a)がABSであり、b)が約12〜約25wt%の量で存在し、そしてc)が20〜50wt%の量で存在する式IVのアリールカーボネートである、請求項2に記載の組成物。
[請求項10]
前記非アンチモン難燃相乗剤または補助剤が、メラミン、メラミン塩、シリコーン、または、金属酸化物、金属水酸化物、金属硫酸塩、金属亜硫酸塩、金属硫化物、金属炭酸塩、金属炭化物、金属硝酸塩、金属亜硝酸塩、金属窒化物、金属ホウ酸塩、金属ケイ酸塩および金属リン酸塩から選択される金属ベースの相乗剤である、請求項1に記載の組成物。
[請求項11]
前記非アンチモン難燃相乗剤または補助剤が、メラミン、メラミン塩、シリコーン、または、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、スズ、チタンもしくはカルシウムの酸化物、水酸化物もしくは塩から選択される金属ベースの相乗剤である、請求項10に記載の組成物。
[請求項12]
前記非アンチモン難燃相乗剤または補助剤が、メラミン、メラミン塩またはシリコーンであり、前記ポリマー組成物が、金属ベースの相乗剤を含まない、請求項10に記載の組成物。
[請求項13]
アンチモン非含有難燃性ポリマー樹脂組成物を製造するための方法であって、前記アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物の重量に基づき約1〜約35重量%の1種または複数種の式I
【化17】
(式中、各R1は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択され、
各R2は、独立して、ハロゲンおよびアルキルから選択されるが、但し、少なくとも1個のR2はハロゲンであることを条件とし、nは、0〜5であり、mは、1〜4であり、かつxは、1〜10である)のオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテル(ここで、前記エーテルのハロゲン含有量は、少なくとも50重量%である)を、溶融加工の間にポリマー樹脂中に組み込む工程を含み、
ここで、式II
【化18】
(式中、
qは、0または1であり;pは、0〜4であり(例えば、pは、0、1または2であり);
Yは、1〜12個の炭素原子(例えば、1〜4個の炭素原子)のアルキル基であり;
Xは、カルボニル基またはカルボニルオキシ基であり;
Gは、直接結合、フェニレン基、または7〜9個の炭素原子のアラルキレン基である)のモノマー単位を含む、前記アンチモン非含有難燃性ポリマー組成物の重量に基づき1〜約85重量%のオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質が、前記ポリマー樹脂中に存在するか、または前記ポリマー樹脂に添加され、
前記難燃性ポリマー組成物は、アンチモン化合物を含んでおらず、かつ前記ポリマー樹脂は、式IIのモノマー単位を含む前記オリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質と同じではない、方法。
[請求項14]
前記ポリマー樹脂が、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ゴム改質スチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアクリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリアセタール、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、エポキシ樹脂、天然ゴム、合成ゴムならびにそれらのブレンドおよびコポリマーから選択され;
約65〜約83wt%のハロゲン含有量を有する前記1種または複数種の式Iのオリゴマーハロゲン化ポリフェニルエーテルが、R1およびR2が臭素である式Iに従う臭素化フェノールエーテルオリゴマーの混合物であり、前記混合物は、gc分析により測定される場合に、
約30〜約45%の3環オリゴマーと、
約35〜約60%の4環オリゴマーと、
約1〜約10%の5環オリゴマーと、
約1〜約10%の6環オリゴマーと、
約0.1〜約4%の7環オリゴマーと、
約0〜約2.5%の8環オリゴマーと
を含み;そして
前記式IIのモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質は、式IIIおよび/またはIV:
【化19】
(式中、Y、Gおよびpは上で規定したとおりである)のモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質である、請求項13に記載の方法。
[請求項15]
前記ポリマー樹脂が、ポリスチレンまたはABSを含む、請求項14に記載の方法。
[請求項16]
前記ポリマー樹脂が、耐衝撃性ポリスチレンであり、前記式IIのモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質が、式IIIのエーテルである、請求項15に記載の方法。
[請求項17]
前記ポリマー樹脂が、PC/ABSであり、前記式IIのモノマー単位を含むオリゴマーまたはポリマーフェノキシ物質が、式IVのアリールカーボネートである、請求項15に記載の方法。