特許第5936692号(P5936692)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936692
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ウード着香剤
(51)【国際特許分類】
   C11B 9/00 20060101AFI20160609BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20160609BHJP
   A61Q 13/00 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   C11B9/00 D
   C11B9/00 Z
   C11D3/50
   A61Q13/00 101
   A61K8/34
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-527574(P2014-527574)
(86)(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公表番号】特表2014-527111(P2014-527111A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012065617
(87)【国際公開番号】WO2013029958
(87)【国際公開日】20130307
【審査請求日】2015年6月10日
(31)【優先権主張番号】11179124.0
(32)【優先日】2011年8月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】FIRMENICH SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】エステル ドロール
(72)【発明者】
【氏名】ヨーゼフ リーマッハー
【審査官】 小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】 特表平11−506475(JP,A)
【文献】 特表2005−505511(JP,A)
【文献】 Journal of Agricultural and Food Chemistry,Vol.57, No.21,p.9979-9984 (2009).
【文献】 Food Chemistry,Vol.122, No.1,p.300-306 (2010).
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C11B 1/00− 15/00
C11C 1/00− 5/02
C07B 31/00− 63/04
C07C 1/00−409/44
C11D 1/00− 19/00
A61K 8/00− 8/99
A61Q 1/00− 99/00
CAplus/REGISTRY/MARPAT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又はメチル基又はエチル基を表す)
の化合物を、付香成分としてウード特性を有する付香組成物の香気を付与、強化、改善又は変更するために用いる使用。
【請求項2】
が水素原子であることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が3−(n−プロピル)フェノールであることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
ウード特性を有する付香組成物であって、
i)付香成分として、請求項1から3までのいずれか1項に規定された少なくとも1種の式(I)の化合物;
ii)ウード特性を有する香料基剤;及び
iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む、前記付香組成物。
【請求項5】
前記香料基剤が、カストリウム、ベンジルアセトン、ペンタン酸、2−メトキシ−4−メチルフェノール、4−メチルフェノール、シプリオール精油、2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエン−1−カルバルデヒド、2,3,3−トリメチル−1−インダノン、(−)−(8R)−8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブタノン、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール、β−サンタロール及び/又はサンタル油の中から選択される少なくとも3種の付香共成分を含むことを特徴とする、請求項4に記載の付香組成物。
【請求項6】
i)少なくとも1種の付香組成物であって、
a)付香成分として、請求項1から3までのいずれか1項に規定された、少なくとも1種の式(I)の化合物;
b)ウード特性を有する香料基剤;及び
c)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む前記付香組成物;
ii)香料消費者基剤
を含む、付香消費者製品。
【請求項7】
香料消費者基剤が、香料、布地ケア製品、ボディケア製品、エアケア製品又は家庭用ケア製品であることを特徴とする、請求項6に記載の付香消費者製品。
【請求項8】
香料消費者基剤が、香水、コロン、アフターシェーブローション、液体又は固体洗剤、柔軟仕上げ剤、布用消臭剤、アイロン水、紙、漂白剤、シャンプー、カラーリング配合物、ヘアスプレー、バニシングクリーム、デオドラント又は制汗剤、着香石鹸、シャワームース又はバスムース、オイル又はジェル、衛生製品、エアフレッシュナー、「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、ワイプ、食器用洗剤又は硬質表面用洗剤であることを特徴とする、請求項6に記載の付香消費者製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、香料の分野に関する。更に詳細には、本発明は、ウード特性を有する香料組成物の主要成分として幾つかの特定の3−(低級アルキル)フェノールに関する。
【0002】
従来技術
ウードは、南西アジア由来の樹脂状心材であり、該樹脂は、植物の希少性と優れた品質の樹脂の製造の難しさのために、世界で最も高価な香りの天然樹脂の一つである。ウード樹脂の香気は、サンダルウッド−アンバー調の独特なバルサミコ香気を有すると記載されている。
【0003】
この興味深い天然ウード樹脂の記載、価格及び限定された/減少した生産のために、調香師は、天然香料の人工的な再構成を用いる傾向がある。しかしながら、新しい着臭剤の配合と研究に相当な労力を注いだにもかかわらず、開発された人工的な再構成は、なお典型的な本物の樹脂の真実性/自然な態様を欠いており、これはアンバーウッド調の動物的な態様とサンダルウッド調の暖かさとの間の独特なバランス及び強さの結果である。
【0004】
本発明の化合物は、着香剤の様々な文脈、例えば、M. CzernyのJ. Agric. & Food Chem., 2009年, 57, 9979に記載されており、ここでは、特に、類似のフェノールの中でも特に、3−(n−プロピル)フェノールが段ボール臭の一部であり且つ皮革様、フェノール様及びインク様の臭いを有することが記載されている。3−(n−プロピル)フェノールと3−エチルフェノールは、黒トリュフの香りにも存在しており、それらの香気は上の説明と同様に記載されている(3−エチルフェノールは更にフランスショウロ様であると記載されている)(L. CullereらのFood Chem., 2010, 122, 300を参照のこと)。最終的に、同じフェノールは、牛の尿中にも存在していると報告されている。
【0005】
文書WO96/30470号は、ウード木材の香気ノートを付与するためにN−エチル−N−(3−メチルフェニル)プロピオンアミドの使用を開示している。しかしながら、前述の文献は、本発明による低級アルキルフェノールをウード着香剤として用いる使用を決して示唆していない。
【0006】
これらの記述は、ウード再構成において可能な有用性を示唆することから懸け離れており、ここでは、香気の優雅さと繊細さが成分の前提条件であることが予想され、且つこれらの開示は木調の香気又は効果については完全に沈黙している。
【0007】
発明の詳細な説明
本発明者らはここで、驚くことに、以下の式
【化1】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又はメチル基又はエチル基を表す)
の化合物を、例えば、ウード特性を有する付香組成物の香気を付与、改善するための付香成分として使用できることを発見した。
【0008】
本発明の実施態様によれば、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又はメチル基を表す。
【0009】
本発明の実施形態によれば、Rは水素原子であり、即ち、化合物(I)は3−(n−プロピル)フェノール又は3−エチルフェノール又は3−(n−ブチル)フェノールである。
【0010】
本発明の上記実施態様のいずれか一つによれば、Rはメチル基である。本発明の上記実施態様のいずれか一つによれば、式(I)の化合物は3−(n−プロピル)フェノールである。
【0011】
明確にするために、「ウード特性を有する付香組成物」との表現、又は類似表現は、当業者によって理解される通常の意味、即ち、少なくともウード特性/ノート/態様を有することを特徴とする香気、好ましくはウード香気を有する付香組成物を意味する。
【0012】
以下の表1は、本発明の化合物によって及び類似のフェノールによって、人工的なウード香料再構成に与えられた効果を示す。この比較は、フェノール自体の香気が極めて類似している、例えば、3−メチルフェノール及び3−(n−プロピル)フェノールが同じ香気を有すると記載されていることを考慮した時に更に一層顕著である(上で引用されたM. Czernyの文献を参照のこと)。
【0013】
【表1】
【0014】
上記から分かるように、本発明の化合物は、実際にそのようなものとして全く知覚できなくなる、それらの特定の香気特性を付与することよりも、多様な香調の間に相乗効果を作り出すことによって初期の組成物の香りに更に作用する固有の能力を有する。この効果は、非常に驚くべきことであり、それ自体類似の香気特性を有する他の構造的に類似した化合物中には全く存在しない。
【0015】
上述したように、本発明は、式(I)の化合物を付香成分として用いる使用に関する。換言すれば、本発明は、ウード様の付香組成物又は着香物品の香気を付与、強化、改善又は修正する方法であって、前記組成物又は物品に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を添加することを含む、前記方法に関する。「式(I)の化合物の使用」とは、本願明細書では、香料産業で有利に利用され得る、化合物(I)を含有する任意の組成物の使用であるとも理解されるべきである。
【0016】
実際に付香成分として有利に利用され得る、前記組成物も本発明の対象である。
【0017】
従って、本発明の別の対象は、ウード様の付香組成物(又はウード特性を有する付香組成物)であって、
i)上に規定される、付香成分としての少なくとも1種の本発明の化合物;
ii)ウード特性を有する香料基剤、及び
iii)任意に少なくとも1種の香料補助剤
を含む、前記組成物である。
【0018】
「香料担体」とは、本願明細書では香料の観点から実質的に中性である材料を意味する、即ち、付香成分の官能特性を顕著に変更しない材料を意味する。前記担体は液体又は固体であってよい。
【0019】
液体担体としては、非限定例として、乳化系、即ち、溶媒及び界面活性剤系、又は香料においてよく使用される溶媒を挙げてよい。香料において一般によく使用される溶媒の性質及び種類の詳細な説明は網羅できない。しかしながら、非限定例としては、例えば、ジプロピレングリコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、安息香酸ベンジル、2−(2−エトキシエトキシ)−1−エタノール又はクエン酸エチルなどの溶媒が挙げられ、これらは最もよく使用されている。香料担体と香料基剤の両方を含む組成物の場合、前述のもの以外の他の好適な香料担体は、エタノール、水/エタノール混合物、リモネン又は他のテルペン、イソパラフィン、例えば、アイソパー(Isopar)(登録商標)(製造元:Exxon Chemical)の商標で知られたもの又はグリコールエーテル及びグリコールエーテルエステル、例えば、ダワノール(Dowanol)(登録商標)(製造元:ダウケミカルカンパニー)の商標で知られたものであってもよい。
【0020】
固体担体としては、非限定例として、吸着ガム又はポリマー、又は更に封入材料が挙げられる。かかる材料の例は、壁形成材料及び可塑化材料、例えば、単糖類、二糖類又は三糖類、天然又は化工デンプン、親水コロイド、セルロース誘導体、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、タンパク質又はペクチン、又は参考文献、例えば、H. Scherz, Hydrokolloide: Stabilisatoren, Dickungs- und Geliermittel in Lebensmitteln, Band 2 der Schriftenreihe Lebensmittelchemie, Lebensmittelqualitat, Behr's Verlag GmbH & Co., ハンブルク, 1996年に引用された更なる材料を含んでよい。カプセル化は、当業者によく知られたプロセスであり、例えば、噴霧乾燥、凝集又は押出などの技術を用いて実行され得る;又はコアセルベーション及び複合コアセルベーション技術などのコーティングカプセル化からなる。
【0021】
「ウード特性を有する香料基剤」とは、本願明細書では少なくとも2種の付香共成分を含む組成物であって、ウード特性を含む香りを有することを特徴とする又は更にウード香気を有することを特徴とする、前記組成物を意味する。当業者、即ち、調香師であれば、香料基剤がこのようなウード特性を有するかどうかを完全に評価することができる。
【0022】
前記付香共成分は式(I)のものではない。また、「付香共成分」とは、本願明細書では快楽効果を付与する付香調製物又は組成物に使用される化合物を意味する。換言すれば、付香するものであると見なされる、このような共成分は、単に香気を有するだけのものではなく、積極的な又は快適な方法で組成物の香気を付与又は修正することができるものとして当業者により認識されなければならない。
【0023】
基剤中に存在する付香共成分の性質及び種類は、本願明細書では更に詳細な説明を保証せず、いずれにしても網羅できないが、当業者であれば、彼らの一般的な知識に基づいて及び意図する使用又は用途並びに所望の感覚刺激効果に従ってそれらを選択することができる。一般的に、これらの付香共成分は、アルコール、ラクトン、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペノイド、窒素含有又は硫黄含有複素環式化合物及び精油などの様々な化学種に属し、且つ前記付香共成分は天然又は合成由来であってよい。これらの共成分の多くは、いずれの場合も、例えばS. Arctanderによる書籍、Perfume and Flavor Chemicals, 1969年、モントクレア、ニュージャージー州、米国、又はその最新版などの参照文献、又は他の類似の性質の論文、並びに香料分野の豊富な特許文献に記載されている。また、前記共成分は、様々な種類の付香化合物を制御された方法で放出することで知られた化合物であってもよいことが理解されている。
【0024】
ウード特性を有する香料基剤でよく使用される典型的な付香共成分は、非限定例として、カストリウム、ベンジルアセトン、ペンタン酸、2−メトキシ−4−メチルフェノール、4−メチルフェノール、シプリオール(cypriol)精油(例えば、cyperus scariosus)、2,6,6−トリメチル−1,3−シクロヘキサジエン−1−カルバルデヒド(サフラナールとしても知られる)、2,3,3−トリメチル−1−インダノン(Safraleine(登録商標)としても知られる)、(−)−(8R)−8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノルラブダン(Ambrox(登録商標)としても知られる)、ドデカヒドロ−3a,6,6,9a−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン(Cetalox(登録商標)としても知られる)、4−(4−メトキシフェニル)−2−ブタノン、3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール(Polysantol(登録商標)として知られる)、5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール(Sandela(登録商標))、β−サンタロール及び/又はサンタル油である。
【0025】
上記実施形態のいずれか一つによれば、前記香料基剤は、少なくとも3種、又は4種の上に列記された付香共成分を含む。
【0026】
「香料補助剤」とは、本願明細書では、追加的に付加される利益、例えば、色、特に耐光性、化学的安定性等を付与することができる成分を意味する。香料基剤でよく使用される補助剤の性質及び種類の詳細な説明は網羅できないが、前記成分が当業者によく知られていることが言及されなければならない。
【0027】
少なくとも1種の式(I)の化合物及び少なくとも1種の香料担体からなる本発明の組成物は、本発明の特定の実施態様並びに少なくとも1種の式(I)の化合物、少なくとも1種の香料担体、少なくとも1種の香料基剤、及び任意に少なくとも1種の香料助剤を含む付香組成物を表す。
【0028】
上記の組成物において、2種以上の式(I)の化合物を有する可能性は、これによって調香師が、様々な程度の付与された効果を有し、従って調香師の仕事のために新たな道具を作り出す調和物(accord)、香料を調製できるので重要であると述べることは有用である。
【0029】
更に、本発明の化合物も、前記化合物(I)が添加される消費者製品の香りを積極的に付与又は変更するために、現代香料、即ち、香水又は機能的香料の全分野でも有利に使用され得る。結果的に、
i)付香成分として、上で定義された、本発明による少なくとも1種の付香組成物;及び
ii)香料消費者基剤
を含む付香消費者製品も本発明の対象である。
【0030】
本発明の化合物は、そのままで又は本発明の付香組成物の一部として添加され得る。
【0031】
明確にするために、「付香消費者製品」とは、少なくとも付香効果を送達することが予想される消費者製品を意味しており、換言すれば、着香した消費者製品であることが言及されるべきである。明確にするために、「香料消費者基剤」とは、本願明細書では、機能性配合物だけでなく、場合により追加の有益剤(benefit agent)をも意味しており、これは付香成分と適合性であり且つ心地良い香りを適用面(例えば、皮膚、毛髪、テキスタイル、又は家庭面)に送達することが予想される消費者製品に相当する。換言すれば、本発明による付香消費者製品は、機能性配合物だけでなく、場合により追加の利益剤を含み、これは所望の消費者製品、例えば、洗剤又はエアフレッシュナー、及び感覚刺激的に有効量の少なくとも1種の本発明の化合物に相当する。
【0032】
香料消費者基剤の構成成分の性質及び種類は、本願明細書では更に詳細な説明を保証せず、いずれの場合も網羅されないが、当業者であれば、一般的な知識に基づいて及び前記製品の性質及び所望の効果によってそれらを選択することができる。
【0033】
好適な香料消費者基剤の非限定的例は、香料、例えば、香水、コロン又はアフターシェーブローション;布地ケア製品、例えば、液体又は固体洗剤、柔軟仕上げ剤、布用消臭剤、アイロン水、紙、又は漂白剤;ボディケア製品、例えば、ヘアケア製品(例えば、シャンプー、カラーリング配合物又はヘアスプレー)、化粧品(例えば、バニシングクリーム又はデオドラント又は制汗剤)、又はスキンケア製品(例えば、着香石鹸、シャワームース又はバスムース、オイル又はジェル、又は衛生製品);エアケア製品、例えば、エアフレッシュナー又は「すぐに使用できる」粉末状エアフレッシュナー、又は家庭用ケア製品、例えば、ワイプ、食器用洗剤又は硬質表面用洗剤であってよい。
【0034】
上記の消費者製品基剤の幾つかは、本発明の化合物に対する攻撃媒体を表すので、該化合物を、例えば、カプセル化によって又は酵素、光、熱又はpHの変化などの適切な外部刺激時に本発明の成分を放出するのに適した別の化学物質に化学結合させることによって、早期分解から保護する必要があり得る。
【0035】
本発明による化合物を、種々の前述の物品又は組成物中に組み込むことができる割合は、広範囲の値で変化する。これらの値は、付香されるべき物品の性質及び所望の感覚刺激効果に依存するだけでなく、本発明による化合物が当該技術分野で通常使用される付香共成分、溶媒又は添加剤と混合される時の所与の基剤中の共成分の性質にも依存する。
【0036】
例えば、付香組成物の場合、本発明の化合物の典型的な濃度は、それらが組み込まれる組成物の質量を基準として、0.005質量%〜0.7質量%、又は更に0.015質量%〜0.35質量%のオーダーである。これよりも低い濃度、例えば、0.001質量%〜0.25質量%のオーダーの濃度は、これらの化合物が着香物品中に組み込まれる時に使用することができ、パーセンテージは物品の質量を基準とする。
【0037】
実施例
実施例1
付香組成物の調製
ウッディな、ウード特性を有する付香組成物を、以下の成分を混合することによって調製した:
【表2】
1)1,2,3,5,6,7−ヘキサヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4−インデノン;製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、米国
2)ドデカヒドロ−3a,6,6,9−テトラメチル−ナフト[2,1−b]フラン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
3)製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
4)1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチルシクロペンタ−g−2−ベンゾピラン;製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、米国
5)3−メチル−5−シクロペンタデセン−1−オン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
6)4−(2,2,C−3、T−6−テトラメチル−R−1−シクロヘキシル)−3−ブテン−2−オン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
7)サンダルウッド調の特別な基剤;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
【0038】
表1に上記した化合物を、それぞれ10質量部で上記の組成物に添加するので、該組成物に表1に記載された効果を付与する。
【0039】
実施例2
付香組成物の調製
ウッディな、麝香のフローラル調の、ウード態様を有する付香組成物を、以下の成分を混合することによって調製した:
【表3】
【表4】
1)1−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセン−1−イル)−2−ブテン−1−オン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
2)ペンタデカノリド;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
3)(1S,1’R)−2−[1−(3’,3’−ジメチル−1’−シクロヘキシル)エトキシ]−2−メチルプロパノエート;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
4)メチルイオノン異性体の混合物;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
5)4−(1−エトキシエテニル)−3,3,5,5−テトラメチル−シクロヘキサン−1−オン;製造元:ジボダンSA、バーニア、スイス
6)製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
7)4/3−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、米国
8)4−(2,2,C−3,T−6−テトラメチル−R−1−シクロヘキシル)−3−ブテン−2−オン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
9)ジャスモン酸メチルジヒドロ;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
10)5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−3−メチルペンタン−2−オール;製造元:ジボダンSA、バーニア、スイス
11)(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−2−ナフチル)−1−エタノン;製造元:フィルメニッヒSA、ジュネーブ、スイス
12)メチル2,5,10−トリメチル−2,5,9−シクロドデカトリエン−1−イルケトン&異性体;製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、米国
13)メチルセドリルケトン;製造元:インターナショナルフレーバー&フレグランス、米国
【0040】
100質量部の1%w/wの3−(n−プロピル)フェノールのジプロピレングリコール溶液を上記の組成物に添加することによって、当初のウード態様は変換して、天然のウードノートを有するフレグランスを提供し、全体的な効果は天然のウード油を直接使用して得られるウードに類似している。