特許第5936699号(P5936699)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936699アミノ置換オルガノシランエステル触媒プライマー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936699
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】アミノ置換オルガノシランエステル触媒プライマー
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20160609BHJP
   C09D 5/00 20060101ALI20160609BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160609BHJP
   C09J 7/02 20060101ALI20160609BHJP
   F16F 15/32 20060101ALN20160609BHJP
【FI】
   B32B27/00 101
   C09D5/00 D
   C09D7/12
   C09J7/02 Z
   B32B27/00 D
   !B60B13/00 D
【請求項の数】14
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2014-533660(P2014-533660)
(86)(22)【出願日】2012年9月26日
(65)【公表番号】特表2014-534089(P2014-534089A)
(43)【公表日】2014年12月18日
(86)【国際出願番号】US2012057178
(87)【国際公開番号】WO2013049095
(87)【国際公開日】20130404
【審査請求日】2015年3月20日
(31)【優先権主張番号】61/540,906
(32)【優先日】2011年9月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/541,685
(32)【優先日】2011年9月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(72)【発明者】
【氏名】ジン, ネイヨン
(72)【発明者】
【氏名】レコウ, ピーター オー.
【審査官】 佐藤 玲奈
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−126579(JP,A)
【文献】 特開平11−209701(JP,A)
【文献】 特開平10−168419(JP,A)
【文献】 特開2008−267480(JP,A)
【文献】 特表2005−535779(JP,A)
【文献】 特表2007−516320(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/078654(WO,A1)
【文献】 特開2006−046622(JP,A)
【文献】 特表2002−508487(JP,A)
【文献】 特開平06−228525(JP,A)
【文献】 特開平10−008021(JP,A)
【文献】 特開2007−302774(JP,A)
【文献】 特開平04−070331(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0086942(US,A1)
【文献】 国際公開第2005/049714(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 − B32B 43/00
C09D 5/00
C09D 7/12
C09J 7/02
F16F 15/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素と、
アミノ置換オルガノシランエステル及びアミジン触媒を含むプライマー層と、
第1接着剤層と、を備えており、
前記プライマー層が、前記複合要素と前記接着剤層とをともに接着しており、
発泡体層を更に備えている、接着物品。
【請求項2】
前記ポリマーがフルオロポリマーである、請求項に記載の物品。
【請求項3】
前記フルオロポリマーが、(1)TFE、HFE、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンと、のコポリマーであるか、(2)フッ化ビニルと、フッ化ビニリデンと、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンと、のコポリマーであるかのいずれかである、請求項に記載の物品。
【請求項4】
前記微粒子が金属微粒子である、請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記金属微粒子がステンレス鋼、あるいは、1つ又はそれ以上のビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛又はこれらの混合物のいずれかを含む、請求項に記載の物品。
【請求項6】
前記第1接着剤層が、前記プライマー層と前記発泡体層との間に配置される、請求項に記載の物品。
【請求項7】
前記アミジン触媒が二環式アミジンである、請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項8】
前記アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、請求項に記載の物品。
【請求項9】
前記プライマー層が、プライマー組成物の総重量に対して70重量%〜95重量%の範囲内の前記アミノ置換オルガノシランエステルを含み、
前記プライマー層が、プライマー組成物の総重量に対して5重量%〜30重量%の範囲内の前記アミジン触媒を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
第2接着剤層を更に備えており、
前記発泡体層が、前記第1接着剤層と前記第2接着剤層との間に配置される、請求項に記載の物品。
【請求項11】
前記ポリマーが、TFE、HFE、エチレン、プロピレン、1−ブテン及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンと、のコポリマーであり、前記微粒子がステンレス鋼であり、かつ前記アミノ置換オルガノシランエステルが、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランである場合には、前記アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンではない、請求項1〜10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
複合要素を発泡体テープ層に接着する方法であって、
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素を提供する工程と、
アミノ置換オルガノシランエステル、アミジン触媒、及び溶媒を含むプライマーを提供する工程と、
発泡体層の第1主面上に配置された第1接着剤層を有する発泡体層を提供する工程と、
前記複合要素か、前記第1接着剤層か、又はそれらの両方の上に前記プライマーを配置して、プライマー層を形成する工程と、
前記プライマー層が前記複合要素と前記第1接着剤層との間に配置されるように、前記複合要素と前記第1接着剤層とをともにまとめる工程と、を含む方法。
【請求項13】
前記アミジン触媒が二環式アミジンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[関連出願の相互参照]
[0001]本出願は、2011年9月29日出願の米国仮特許出願第61/540,906号、及び2011年9月30日出願の米国仮特許出願第61/541,685号の優先権を主張し、それらの内容は本明細書に参考として援用される。
【0002】
[背景技術]
[0002]フッ素含有ポリマー(「フルオロポリマー」としても知られる)は、商業的に有用なクラスの材料である。フルオロポリマーとしては、例えば、架橋フルオロエラストマー及び半結晶質又はガラス質フルオロポリマーが挙げられる。フルオロポリマーは、一般に、熱安定性が高く、高温で特に有用である。それらはまた、非常に低い温度で極端な靭性及び可撓性を呈することができる。これらのフルオロポリマーの多くは、広範な種類の溶媒中でほぼ完全に不溶性であり、一般に化学的耐性を有する。いくつかは、極めて低い誘電損失及び高い絶縁耐力を有しており、固有の非接着性及び低摩擦特性を有することができる。特に、ヘキサフルオロプロピレンのような他のエチレン性不飽和ハロゲン化モノマーとフッ化ビニリデンとのコポリマーのようなフルオロエラストマーは、シール、ガスケット及びライニングのような高温用途において特に有用である。
【0003】
[0003]フルオロポリマーを含む多層構造体は、幅広い産業用途を享受している。多層の物品の層間の接着は、完成した物品の使用に依存して様々な性能基準を満たす必要がある場合がある。しかしながら、それらの層の1つがフルオロポリマーであるときは、フルオロポリマーの非粘着性をその原因の一部として、高い結合強度を確立することが困難であることが多い。
【0004】
[概要]
[0004]一態様では、本開示は、ポリマー及びこのポリマーに分散された微粒子を含む複合要素と、アミノ置換オルガノシランエステル及びアミジン触媒を含むプライマー層と、第1の接着剤層と、を備えており、そのプライマー層が、複合要素と第1接着剤層とをともに接着している、接着物品を提供する。
【0005】
[0005]別の態様では、本開示は、ポリマー及びこのポリマーに分散された微粒子を含む複合要素と、アミノ置換オルガノシランエステルを含むプライマー層と、第1の接着剤層と、を備えており、そのプライマー層が、複合要素と第1接着剤層とをともに接着している、接着物品を提供する。
【0006】
[0006]別の態様では、本開示は、複合要素を発泡体テープ層に接着する方法を提供し、この方法は、ポリマー及びこのポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素を提供する工程と、アミノ置換オルガノシランエステル、アミジン触媒、及び溶媒を含むプライマーを提供する工程と、発泡体層の第1主面上に配置された第1接着剤層を有する発泡体層を提供する工程と、複合要素か、第1接着剤層か、又はそれらの両方の上にプライマーを配置して、プライマー層を形成する工程と、複合要素と第1接着剤層とをともにまとめ、プライマー層は、複合要素と第1接着剤層との間に配置される工程と、を含む。
【0007】
[0007]別の態様では、本開示は、複合要素を発泡体テープ層に接着する方法を提供し、この方法は、ポリマー及びこのポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素を提供する工程と、アミノ置換オルガノシランエステル及び溶媒を含むプライマーを提供する工程と、発泡体層の第1主面上に配置された第1接着剤層を有する発泡体層を提供する工程と、複合要素か、第1接着剤層か、又はそれらの両方の上にプライマーを配置して、プライマー層を形成する工程と、複合要素と第1接着剤層とをともにまとめ、プライマー層は、複合要素と第1接着剤層との間に配置される工程と、を含む。
【0008】
[0008]別の態様では、本開示は、アミノ置換オルガノシランエステルとアミジン触媒とを含み、このアミジン触媒は二環式アミジンである、プライマー組成物を提供する。いくつかの実施形態では、二環式アミジンは1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)である。
【0009】
[0009]本開示の有用な物品としては、自動車のホイールバランスウェイトが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】[0010]本開示の物品の代表的な実施形態の投影図である。
図2】[0011]本開示の物品の代表的な実施形態の投影図である。
図3A】[0012]本開示の物品の代表的な実施形態の投影図である。
図3B】[0013]本開示の物品の代表的な実施形態の等角図である。
図4A】[0014]本開示の方法の代表的な実施形態における段階を示す。
図4B】本開示の方法の代表的な実施形態における段階を示す。
図4C】本開示の方法の代表的な実施形態における段階を示す。
図5】[0015]基材を含む本開示の物品の代表的な実施形態を示し、基材はホイールである。
【0011】
[0016]様々な図面における類似参照番号は類似要素を表す。要素によっては、同じ又は同等のものが複数個存在するものがあり、その場合、1つ以上の代表的な要素のみが参照符合によって示されている場合があるが、こうした参照符合は全てのこのような同じ要素に適用されるものであることは理解されるであろう。特に指定されない限り、本文献における全ての図面及び図は、一定の縮尺ではなく、本発明の異なる実施形態を例示する目的で選択される。特に、様々な構成要素の寸法は、指示のない限り、例示的な表現としてのみ記述され、様々な構成要素の寸法間の関係は、図面から推測されるべきではない。本開示において、「上部」、「下部」、「上流側」、「下流側」、「下」、「上」、「前」、「後ろ」、「外」、「内」、「上へ」及び「下へ」、並びに「第1の」及び「第2の」等の用語が使用され得るが、これらの用語は、特に断りのない限り、それらの相対的な意味においてのみ使用されることを理解されたい。特に、いくつかの実施形態では、ある構成要素は、互換性のある及び/又は同一の複数体(例えば、対)で存在してもよい。これらの構成要素について、「第1の」及び「第2の」という表記は、本明細書に記載されるように、使用の順序に適用してもよい(これを使用することは、どの構成要素が最初に使用されると選択されるかに無関係である)。
【0012】
[詳細な説明]
[0017]図1は、複合要素(又は層)110と、プライマー層130と、第1接着層140と、任意の発泡体層120と、を備える本開示の物品100の代表的な実施形態を示し、プライマー層130は複合要素110と第1接着剤層140とをともに接着している。発泡体層120が使用される場合、第1接着剤層140はプライマー層130と発泡体層120との間に配置される。複合要素110は、ポリマーマトリックス(又は層)111中に分散された微粒子115を含むことができる。微粒子115は、金属(すなわち、元素又は合金化された)、無機非金属、又は有機材料を含むことができ、ポリマーマトリックス111は、任意の適切なポリマー材料(例えば、フルオロポリマー)を含むことができる。
【0013】
[0018]金属微粒子材料を含む複合フルオロポリマー層は、フルオロポリマー層の密度を増加させることが望ましい用途において有用であり得る。例えば、自動車用ホイールバランスウェイトとして使用される加重下の物品中のフルオロポリマーの安定性及び粘弾性と、金属密度とを組み合わせることが望ましい場合がある。金属微粒子材料を含む複合フルオロポリマーは、所望により適切な界面改質剤を含む金属粒子材料とフルオロポリマーとを緊密にブレンドすることによって調製することができる。ブレンド及び押出し成形プロセスによる複合フルオロポリマー層の調製の例としては、この目的のために参考として本明細書に援用される米国特許第7,491,356号(Heikkila)に記載されているものが挙げられる。
【0014】
[0019]フルオロポリマーの有用な例としては、1つ又はそれ以上のフッ素原子を含むモノマーで作製される完全フッ素化及び部分フッ素化されたポリマーが挙げられ、典型的には、2種類以上のそのようなモノマーのコポリマーである。これらのポリマー又はコポリマーに有用なフッ素化モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、及び、パーフルオロ−(n−プロピル)ビニルエーテル(PPVE)又はパーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)のようなパーフルオロアルキルビニルエーテルが挙げられる。非フッ素化モノマーを含む他の共重合可能なオレフィンモノマーが存在してもよい。
【0015】
[0020]フルオロポリマー層は、例えば、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンのターポリマー(THV)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、テトラフルオロエチレンとエチレン(ETFE)のコポリマー、及び他の溶融加工可能なフッ素樹脂のような、部分的フッ素化ポリマーであってもよく、あるいは、溶融加工可能でない例えば硬化したフルオロエラストマーであってもよい。フルオロエラストマーは、射出若しくは圧縮成形、又は通常の熱可塑性樹脂に関連する他の方法によって硬化される前に加工されてもよい。フルオロエラストマーは、硬化又は架橋の後に更に加工することができない場合がある。フルオロエラストマーは、架橋されていない形態において溶媒を用いてコーティングされ得る。フルオロポリマーは、水性分散液を用いてコーティングされてもよい。フルオロポリマーの混合物もまた使用され得る。
【0016】
[0021]いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは、非フッ素化オレフィンモノマーを含むコポリマーである。いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、及びエチレン、プロピレン、又は他のアルケンを含む少なくとも1種類のアルケンのコポリマーである。いくつかの実施形態において、フルオロポリマーは、HFP、TFE、及びエチレン、プロピレン、又は他のアルケンを含む少なくとも1種類のアルケンのコポリマーである。例えば、いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、TFE、HFE、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーである。
【0017】
[0022]いくつかの実施形態では、フルオロポリマーは、溶液又は分散液から押出し成形可能な又はコーティングされることが可能な材料である。そのようなフルオロポリマーは、典型的には、約100℃〜約330℃、より好ましくは約150℃〜約270℃の範囲の融解温度を持つフッ素樹脂である。代表的なフッ素樹脂は、フッ化ビニリデン(VDF)及びテトラフルオロエチレンから誘導される相互共重合単位を含み、追加的に、他のフッ素含有モノマー、フッ素非含有モノマー、又はそれらの組み合わせから誘導される相互共重合単位を含むことができる。好適なフッ素含有モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、3−クロロペンタフルオロプロペン、ペルフルオロ化ビニルエーテル(例えば、CFOCFCFCFOCF=CFのようなペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル、並びにCFOCF=CF及びCFCFCFOCF=CFのようなペルフルオロアルキルビニルエーテル)、及びフッ化ビニルが挙げられる。好適な非フッ素含有モノマーの例としては、エチレン、プロピレン、及びブチレンなどのオレフィンモノマーが挙げられる。
【0018】
[0023]VDF含有フッ素樹脂は、例えば、米国特許第4,338,237号(Sulzbachら)又は同第5,285,002号(Grootaert)に記載されているような乳化重合技術を用いて調製することができ、これら両方の特許の全容はいずれも参考として本明細書に援用される。市販の有用なVDF含有フッ素樹脂としては、例えば、次の各商標により入手可能なフルオロポリマーが挙げられる。「THV 200」、「THV 400」、「THV 500G」、「THV 610X」(いずれもミネソタ州OakdaleのDyneon LLCから入手可能)、「KYNAR 740」(ペンシルベニア州PhiladelphiaのAtochem North Americaから入手可能)、「HYLAR 700」(ニュージャージー州MorristownのAusimont USA,Inc.から入手可能)、「FLUOREL FC−2178」(ミネソタ州OakdaleのDyneon LLCから入手可能)。
【0019】
[0024]好適なフルオロポリマーの例としては、VDF−HFPコポリマー、VDF−HFP−TFEターポリマー、TFE−プロピレンコポリマー、及びVDF−VF−アルケンコポリマーが挙げられる。好適なフルオロポリマーの別の例は、DuPont(デラウェア州Wilmington)から入手可能なTEDDLARのような、フッ化ビニルホモポリマーである。
【0020】
[0025]いくつかの実施形態では、ポリマーマトリックス111は、TFE−HFP−VDFターポリマー(融解温度約100〜260℃、荷重5kg、265℃でのメルトフローインデックスが約1〜30g/10分−1)、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン−エチレン(HTE)ターポリマー(融解温度約150〜280℃、荷重5kg、297℃でのメルトフローインデックスが1〜30g/10分−1)、エチレン−テトラフルオロエチレン(ETFE)コポリマー(融解温度約250〜275℃、荷重5kg、297℃でのメルトフローインデックスが約1〜30g/10分−1)、ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン(FEP)コポリマー(融解温度約250〜275℃、荷重5kg、372℃でのメルトフローインデックスが約1〜30g/100分−1)、及びテトラフルオロエチレンとペルフルオロ(アルコキシアルケン)のコポリマー(PFA)(融解温度約300〜320℃、荷重5kg、372℃でのメルトフローインデックスが約1〜30g/10分−1)を含むことができる。これらのフルオロポリマーはそれぞれ、ミネソタ州OakdaleのDyneon LLCから市販されている。TFE−HFP−VDFターポリマーは、「THV」の商標で販売されている。
【0021】
[0026]複合要素110は、微粒子115を含む。金属微粒子を含む複合フルオロポリマー層の好適な例及び作製方法としては、米国特許第7,491,356号(Heikkila)、同第2009/0324875号(Heikkila)、及び米国特許出願第2009/0254171号(Heikkila)に記載されているものが挙げられ、これらの各々の全容は参考として本明細書に援用される。いくつかの実施形態では、微粒子115は、典型的には、少なくとも10マイクロメートルの有効粒径を有する(金属微粒子の10重量%未満、多くの場合、5重量%未満が、10マイクロメートル未満の粒径を有する)。いくつかの実施形態では、微粒子115とポリマーマトリックス111との緊密な関係を実現するために、広範囲の粒径が有用である場合がある。例えば、微粒子115の分布は、少なくとも5重量%を約10〜70マイクロメートルの範囲に、少なくとも5重量%を約70〜250マイクロメートルの範囲に、少なくとも5重量%を約250〜500マイクロメートルの範囲に、少なくとも5重量%を500マイクロメートルを超える範囲に、含むことができる。いくつかの実施形態では、金属微粒子は、典型的には、1:1.5のアスペクト比(いくつかの実施形態では1.0:1.4、1.0:1.3、1.0:1.2、1.0:1.1のアスペクト比、又は更には、いくつかの実施形態では1.0:1.0のアスペクト比)を有し、典型的には、実質的に円形の断面又は球形粒子を反映する。2種類、3種類又はそれ以上の微粒子形状の金属のブレンドもまた、密度及び安定性に関わる所望の特性又は他の所望の特性を得るために有用である場合がある。
【0022】
[0027]いくつかの実施形態では、微粒子115は、ビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛、又はこれらの混合物のいずれかを含む金属微粒子である場合がある。いくつかの実施形態では、金属微粒子はステンレス鋼である。
【0023】
[0028]いくつかの実施形態では、微粒子115は、米国特許公開第2010/0279100号(Heikkilaら)、同第2010/0280145号(Heikkilaら)、及び同第2010/0280164号(Heikkilaら)に記載の複合体に従った無機非金属又は有機材料である場合があり、これらの各々の特許の開示の全容は本明細書に援用される。
【0024】
[0029]他のタイプの微粒子は、それらの粒子が複合要素110に分散可能であり複合要素110とプライマー層130との接着を妨害しないならば、複合要素110に分散されてもよいことが理解されるであろう。
【0025】
[0030]プライマー層130は、アミノ置換オルガノシランエステル及びアミジン触媒を含む。いくつかの実施形態では、有用なプライマー組成物は、複合要素110、第1接着剤層140、又はそれら両方の表面へのプライマー組成物のコーティングの適用を容易にするために、アミノ置換オルガノシランエステルと、アミジン触媒と、溶媒と、を含む。次いで、複合要素110と第1接着剤層140とをともにまとめる前に、例えば乾燥によりこの溶媒を除去することができる。使用できる溶媒の例としては、アセトン、イソプロピルアルコール、及びメチルエチルケトンなどが挙げられる。いくつかの実施形態では、好適な溶媒は、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0026】
[0031]アミノ置換オルガノシランエステルは、例えば、トリアルコキシシランであり得る加水分解性置換基を有していてもよい。アミノ置換オルガノシランエステル又はエステル等価体は、少なくとも1つのエステル又はエステル等価基、好ましくは2つ、又はより好ましくは3つの基をケイ素原子上に有する。エステル等価体は当業者に周知であり、例えば、シランアミド(RNR’Si)、シランアルカノエート(RC(O)OSi)、Si−O−Si、SiN(R)−Si、SiSR、及びRCONR’Siなどの化合物が含まれる。これらのエステル等価体はまた、例えばエチレングリコール、エタノールアミン、エチレンジアミン及びこれらのアミドから誘導されたものなどの環式化合物であってもよい。R及びR’は「エステル等価体」である。「エステル等価体」は、熱的及び/又は触媒的にR’’OHによって置換可能なシランアミド(RNR’Si)、シランアルカノエート(RC(O)OSi)、Si−O−Si、SiN(R)−Si、SiSR、及びRCONR’Siなどの基を指す。R及びR’は独立して選択され、これらとして水素、アルキル、アリールアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、並びにアルコキシアルキル、アミノアルキル、及びアルキルアミノアルキルなどの置換類縁体を挙げることができる。R’’はR及びR’と同じであってよいが、Hであってはならない。環状エステル等価体の例:
【0027】
【化1】
【0028】
この環状エステル等価体の例では、R’は、すぐ上に記載した定義により定義づけられるが、アリールではない場合がある。3−アミノプロピルトリアルコキシシランは、加熱で環化することがよく知られており、これらのRNHSi化合物は、本開示の代表的な実施形態において有用であろう。アミノ置換オルガノシランエステル又はエステル等価体は、境界に残留して結合を妨げる場合がある残留物を避けるように、メタノールと同様に容易に揮発するメトキシ等のエステル基を有することが好ましい。アミノ置換オルガノシランは少なくとも1つのエステル等価体を有さなくてはならず、例えば、トリアルコキシシランであってよい。例えば、アミノ置換オルガノシランは次の式を有することができる。
【0029】
ZNH−L−SiX’X’’X’’’
式中、Zは、水素、アルキル、又はアミノ置換アルキルを含む置換されたアルキルであり、Lは、二価の直鎖C〜C12アルキレンであるか、又はC〜Cシクロアルキレン、3〜8員環のヘテロシクロアルキレン、C〜C12アルケニレン、C〜Cシクロアルケニレン、3〜8員環ヘテロシクロアルケニレン、又はヘテロアリレン単位を含んでよい。Lは、1つ以上の二価の芳香族基又はヘテロ原子基で割り込みされてよい。芳香族基は複素環式芳香族を含んでよい。ヘテロ原子は好ましくは、窒素、イオウ又は酸素である。所望によりLは、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cアルコキシ、アミノ、C〜Cシクロアルキル、3〜6員ヘテロシクロアルキル、単環式アリール、5〜6員環ヘテロアリール、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、C〜Cアルキルオキシカルボニル、C〜Cアルキルカルボニル、ホルミル、C〜Cアルキルカルボニルアミノ、又はC〜Cアミノカルボニルで置換される。所望によりLは、更に、−O−、−S−、−N(Rc)−、−N(Rc)−C(O)−、−N(Rc)−C(O)−O−、−O−C(O)−N(Rc)−、−N(Rc)−C(O)−N(Rd)−、−O−C(O)−、−C(O)−O−、又は−O−C(O)−O−で割り込みされる。Rc及びRdのそれぞれは独立して水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシアルキル、アミノアルキル(一級、二級又は三級)、又はハロアルキルであり、X’、X’’及びX’’’のそれぞれはC〜C18アルキル、ハロゲン、C〜Cアルコキシ、C〜Cアルキルカルボニルオキシ、又はアミノ基であるが、X’、X’’及びX’’’の少なくとも1つが不安定な基であるものとする。更に、X’、X’’及びX’’’の任意の2つ又は全ては、共有結合を介して連結されてもよい。アミノ基はアルキルアミノ基であってよい。アミノ置換オルガノシランの例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST A−1110)、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(SILQUEST A−1100)、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(SILQUEST A−1120)、SILQUEST A−1130、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン(SILQUEST A−2120)、ビス−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン(SILQUEST A−1170)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリブトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、4−アミノブチルトリメトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(2−アミノエチル)フェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、DYNASYLAN 1146のようなオリゴマーアミノシラン、3−(N−メチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、及び、すぐ下に示す環状エステル化合物が挙げられる。
【0030】
【化2】
【0031】
[0032]追加の「前駆体」化合物、例えばビス−シリル尿素[RO)Si(CH)NR]C=Oも、まず熱的に解離することによりアミンを遊離するアミノ置換オルガノシランエステル又はエステル等価体の例である。
【0032】
[0033]第一級アミンは接着用途においてより反応性であることが期待されるので、アミノシランはこれを含むことが好ましい。本開示の代表的な実施形態のために特に有用なアミノ置換オルガノシランエステルの例は、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランである。
【0033】
[0034]フルオロポリマー層及びアクリル接着剤層を有するアミノオルガノ置換シランエステルの反応にアミジン及びグアニジンが触媒作用を及ぼすことができることが発見された。有用なアミジン触媒としては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる:
【0034】
【化3】

式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル基又はスルホン基などの酸官能基を含有しない基、又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)、及びこれらの組み合わせから選択され、R1、R2、R3及びR4のうちの任意の2つ以上は、所望により、ともに結合して、環構造(好ましくは5員環、6員環又は7員環、より好ましくは6員環又は7員環)を形成することができる。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜約20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。
【0035】
[0035]少なくとも1つの環構造を含むアミジン(すなわち、環式アミジン)が通常好ましい。2つの環構造を含む環式アミジン(すなわち、二環式アミジン)がより好ましい。
【0036】
[0036]有用なアミジン触媒の代表例としては、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1,2−ジエチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−n−プロピル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−イソプロピル−2−メチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−n−プロピル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、1−エチル−2−イソプロピル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、DBU(すなわち、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)、DBN(すなわち、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいアミジンとしては、1,2−ジメチル−1,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、DBU、DBN、及びこれらの混合物が挙げられ、DBU、DBN、及びこれらの混合物がより好ましく、DBUが最も好ましい。
【0037】
【化4】
【0038】
[0037]有用なグアニジンとしては、以下の一般式によって表すことができるものが挙げられる:
【0039】
【化5】

式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、一価の有機基、一価のヘテロ有機基(例えば、炭素原子を通して結合され、カルボキシル又はスルホンなどの酸官能基を含有しない基又は部分の形態で、窒素、酸素、リン又はイオウを含む)及びこれらの組み合わせから選択され、R1、R2、R3、R4及びR5のうちの任意の2つ以上は、所望により、ともに結合して、環構造(好ましくは5員環、6員環又は7員環、より好ましくは5員環又は6員環、最も好ましくは6員環)を形成することができる。有機基及びヘテロ有機基は、好ましくは1〜約20個の炭素原子(より好ましくは1〜約10個の炭素原子、最も好ましくは1〜約6個の炭素原子)を有する。
【0040】
[0038]少なくとも1つの環構造を含むグアニジン(すなわち、環式グアニジン)が通常好ましい。2つの環構造を含む環式グアニジン(すなわち、二環式グアニジン)がより好ましい。
【0041】
[0039]有用なグアニジン化合物の代表例としては、1−メチルグアニジン、1−n−ブチルグアニジン、1,1−ジメチルグアニジン、1,1−ジエチルグアニジン、1,1,2−トリメチルグアニジン、1,2,3−トリメチルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1,1,2,3,3−ペンタメチルグアニジン、2−エチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−n−プロピルグアニジン、1,1,3,3−テトラメチル−2−イソプロピルグアニジン、2−n−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、1,2,3−トリシクロヘキシルグアニジン、TBD(すなわち、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、MTBD(すなわち、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、7−エチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−プロピル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−イソプロピル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−ブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−イソブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−tert−ブチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−シクロヘキシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−n−オクチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−2−エチルヘキシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、7−デシル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン、ビグアニド、1−メチルビグアニド、1−n−ブチルビグアニド、1−(2−エチルヘキシル)ビグアニド、1−n−オクタデシルビグアニド、1,1−ジメチルビグアニド、1,1−ジエチルビグアニド、1−シクロヘキシルビグアニド、1−アリルビグアニド、1−n−ブチル−N2−エチルビグアニド、1,1’−エチレンビスグアニド、1−[3−(ジエチルアミノ)プロピル]ビグアニド、1−[3−(ジブチルアミノ)プロピル]ビグアニド、N’,N’’−ジヘキシル−3,12−ジイミノ−2,4,11,13−テトラアザテトラデカンジアミン及びこれらに類するもの並びにこれらの組み合わせが挙げられる。好ましいグアニジンとしては、TBD(すなわち、1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、MTBD(すなわち、7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デカ−5−エン)、2−tert−ブチル−1,1,3,3−テトラメチルグアニジン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0042】
[0040]いくつかの実施形態では、例えば、複合フルオロポリマー層がTFE、HFE、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーを含み、微粒子がステンレス鋼であり、アミノ置換オルガノシランエステルが3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランであるときは、アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン以外のアミジン触媒である場合がある。
【0043】
[0041]理論に束縛されるものではないが、DBU及びDBNを含む強塩基性二環式アミジンは、複合要素110のポリマーとプライマー層130のアミノ置換オルガノシランエステルとの共有結合の形成に関与する脱プロトン及び/又は脱離化学を支援することができると考えられる。
【0044】
[0042]本発明のプライマー組成物のいくつかの実施形態において、溶媒中のアミノ置換オルガノシランエステルの有用な濃度は、プライマー組成物の総重量に基づいて0.1重量%〜20重量%(又は、いくつかの実施形態では、プライマー組成物の総重量に基づいて1重量%〜10重量%、又は更には、いくつかの実施形態では2.5重量%〜5重量%)を含む。いくつかの実施形態において、アミジン触媒の有用な濃度は、プライマー組成物の総重量に基づいて、0重量%〜3重量%(又は、いくつかの実施形態では0.2重量%〜2重量%、又は更には、いくつかの実施形態では0.5重量%〜1重量%)を含む。
【0045】
[0043]いくつかの実施形態では、プライマー層130は、プライマー層130の総重量に基づいて70重量%〜100重量%(いくつかの実施形態では80重量%〜100重量%、又は90〜99重量%、又は更には、いくつかの実施形態では95重量%〜99重量%)の範囲内のアミノ置換オルガノシランエステルと、プライマー層130の総重量に基づいて0重量%〜30重量%(又は、いくつかの実施形態では1〜20重量%、又は5〜20重量%、又は更には、いくつかの実施形態では5〜15重量%)の範囲内のアミジン触媒と、を含む。いくつかの他の実施形態では、プライマー層130は、プライマー層130の総重量に基づいて少なくとも95重量%のアミノ置換オルガノシランエステルを含む。
【0046】
[0044]図1を再び参照すると、第1接着剤層140はプライマー層130と発泡体層120との間に配置される。第1接着剤層140の好適な例としては、例えば、参考としてその全容が本明細書に援用される米国特許第6,497,949号(Hydeら)に記載の感圧性アクリル接着剤のような感圧性アクリル接着剤が挙げられる。
【0047】
[0045]いくつかの実施形態では、第1接着剤層140は発泡体層120に間接的に接着されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の層(例えば、ウェブ、スクリム等)を発泡体層120と第1接着剤層140との間に介在させてもよい。
【0048】
[0046]いくつかの実施形態では、発泡体層120は連続気泡発泡体又は独立気泡発泡体を含む。いくつかの実施形態では、発泡体は熱可塑性発泡体を含む。いくつかの実施形態では、発泡体は熱硬化性発泡体を含む。いくつかの実施形態では、発泡体はアクリル発泡体を含む。いくつかの実施形態では、発泡体は可撓性発泡体である。代表的な発泡体は、例えば、「Handbook of Polymer Foams」(David Eaves編集、Shawbury,Shrewsbury出版、Shropshitre,UK:Rapra Technology,2004)に記載されている。好適な発泡体層は、米国特許出願第2010/075,132号(Waidら)にも記載されており、その開示の全容は参考として本明細書に援用される。
【0049】
[0047]図2は、物品100の層に相当する層を有する物品200の代表的な実施形態を示している(すなわち、ポリマー層211及びポリマー層211中に分散された粒子215を有する複合層210、プライマー層230、第1接着剤層240、発泡体層220であり、プライマー層230は、複合ポリマー層210と第1接着剤層240との間に配置されており、第1接着剤層240は、プライマー層230と発泡体層220との間に配置されている)。物品200は第2の接着剤層250を含み、その発泡体層220は、第1接着剤層240と第2接着剤層250との間に配置されている。いくつかの実施形態では、第2接着剤層250は第1接着剤層240と同じ組成物を有する。いくつかの他の実施形態では、第2接着剤層250は第1接着剤層240と同じ組成物を有していない場合があるが、そのような実施形態では、第2接着層の組成物は依然として、例えば米国特許出願第2010/075,132号(Waidら)又は米国特許第6,497,949号(Hydeら)に記載されている感圧性アクリル接着剤の1つのようなアクリル系の感圧性接着剤の一種として、典型的には選択される。本開示のいくつかの実施形態では、第1接着剤層240及び第2接着剤層250を有する好適な発泡体層220は、3M Company(ミネソタ州St.Paul)から「3M PRESSURE SENSITIVE ACRYLIC PLUS TAPE EX4008」の商標で市販されている両面発泡体テープであり、典型的にそれは剥離ライナーとともに提供される。
【0050】
[0048]図3A及び3Bは物品300の代表的な実施形態を示しており、その物品300は物品200の層に相当する層を有し、かつ基材360を更に備えており、発泡体層320と基材360との間に第2接着剤層350が配置されている。いくつかの実施形態では、基材360は剥離ライナーである。いくつかの他の実施形態では、基材360は、上に第2接着剤層350が接着されている金属表面を有する。基材360は、例えば、車両(例えば自動車、航空機等)の金属製ホイールリムを含むことができる。基材の表面は所望によりコーティング(例えば、塗装、陽極酸化等)された表面であり、その場合、第2接着剤層350は、典型的には、基材表面上のコーティングに接着される。
【0051】
[0049]図4A〜4Cは、本開示の接着物品の形成工程中の物品の代表的な実施形態を示す。図4Aは、ポリマー層311、及びポリマー層311に分散された微粒子315を有する複合ポリマー層310を示す。本開示のプライマー組成物を配置することは、複合ポリマー層310の主面上に配置されたプライマー層330を有する、図4Bの代表的な実施形態に示した中間工程の多層構造を提供する。図4Cは、第1主表面上に配置された第1接着剤層340、及びその第2主面上に配置された第2接着剤層350、及び第2接着剤層350上に配置された基材360(典型的には、接着作業中、基材360は剥離ライナーである)を有する発泡体層320の代表的な実施形態を示す。理解されるように、別の方法として、ポリマー層310と第1接着剤層340とをともにまとめる前に、プライマー層330をそれらの2層の間に挟んで、プライマー組成物を第1接着剤層340上のみに、又は第1接着剤層340及び複合ポリマー層310の両方の上に配置してよい。また、理解されるように、複合ポリマー層310と第1接着剤層340とをともにまとめる前に、プライマー組成物中の溶媒を少なくとも部分的に除去してよい。更に、本開示の方法のいくつかの実施形態では、物品200の生産に基材360が存在しなくてもよく、物品100の生産に基板360及び第2の接着層350の両方が存在しなくてもよい。
【0052】
[0050]複合要素110(又はそれぞれ210若しくは310)と第1接着剤層140(又はそれぞれ240若しくは340)とをともにまとめる前にプライマー層130(又はそれぞれ230若しくは330)から溶媒を除去することに関して、プライマー層130(又はそれぞれ230若しくは330)に残留している溶媒の量は、プライマー層の総重量に基づいて典型的には20重量%以下(いくつかの実施形態では、15重量%以下、又は10重量%以下、又は5重量%以下、又は2重量%以下、又は更には、いくつかの実施形態では1重量%以下である)。
【0053】
[0051]図5は、本開示の物品500を示しており、ここでは物品200は基材560に付着された第2接着剤層250を有し、基材560は自動車ホイールである。いくつかの実施形態では、所望により本開示の物品500は、ホイール形状とぴったり一致するように物品の屈曲を促進するために、複合ポリマー層の外表面に曲げ区域(図示せず)を提供するように形成することができる。
【0054】
[0052]有利にも、本開示のプライマー組成物は、後続の加工工程のために接着物品をともに保持することを可能にするレベルにまで急速に(例えば10〜30秒間)接着強さを蓄積するために有用である。本開示の有用な物品としては、自動車のホイールバランスウェイトが挙げられる。
【0055】
[実施形態]
実施形態1.
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素と、
アミノ置換オルガノシランエステル及びアミジン触媒を含むプライマー層と、
第1接着剤層と、を備えており、
前記プライマー層が、前記複合要素と前記接着剤層とをともに接着している、接着物品。
【0056】
実施形態2.前記ポリマーがポリマー層である、実施形態1に記載の物品。
【0057】
実施形態3.前記ポリマーがフルオロポリマーである、実施形態1又は2に記載の物品。
【0058】
実施形態4.前記フルオロポリマーがTFE、HFE、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーである、実施形態3に記載の物品。
【0059】
実施形態5.前記フルオロポリマーがフッ化ビニル、フッ化ビニリデン、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーである、実施形態3に記載の物品。
【0060】
実施形態6.前記微粒子が金属微粒子である、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の物品。
【0061】
実施形態7.前記金属微粒子がステンレス鋼を含む、実施形態6に記載の物品。
【0062】
実施形態8.前記金属微粒子が、ビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛、又はこれらの混合物のいずれかを含む、実施形態6に記載の物品。
【0063】
実施形態9.発泡体層を更に備えている、実施形態1〜8のいずれか1つに記載の物品。
【0064】
実施形態10.前記第1接着剤層が、前記プライマー層と前記発泡体層との間に配置される、実施形態9に記載の物品。
【0065】
実施形態11.前記アミジン触媒が二環式アミジンである、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の物品。
【0066】
実施形態12.前記アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、実施形態11に記載の物品。
【0067】
実施形態13.前記プライマー層が、前記プライマー組成物の総重量に対して70重量%〜95重量%の範囲内の前記アミノ置換オルガノシランエステルを含み、前記プライマー層が前記プライマー組成物の総重量に対して5重量%〜30重量%の範囲内の前記アミジン触媒を含む、実施形態1〜12のいずれか1つに記載の物品。
【0068】
実施形態14.第2接着剤層を更に備えており、前記発泡体層が、前記第1接着剤層と第2接着剤層との間に配置される、実施形態9又は10に記載の物品。
【0069】
実施形態15.前記第2接着剤層が、基材に付着される、実施形態14に記載の物品。
【0070】
実施形態16.前記基材が、剥離ライナー又はホイールである、実施形態15に記載の物品。
【0071】
実施形態17.複合要素を発泡体テープ層に接着する方法であって、
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素を提供する工程と、
アミノ置換オルガノシランエステル、アミジン触媒、及び溶媒を含むプライマーを提供する工程と、
発泡体層の第1主面上に配置された第1接着剤層を有する発泡体層を提供する工程と、
前記複合要素か、前記第1接着剤層か、又はそれらの両方の上に前記プライマーを配置して、プライマー層を形成する工程と、
前記複合要素と前記第1接着剤層とをともにまとめ、前記プライマー層が、前記複合要素と前記第1接着剤層との間に配置される工程と、を含む、方法。
【0072】
実施形態18.前記ポリマーがポリマー層である、実施形態17に記載の方法。
【0073】
実施形態19.前記ポリマーがフルオロポリマーである、実施形態17又は18に記載の方法。
【0074】
実施形態20.前記フルオロポリマーが、TFE、HFE、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーである、実施形態19に記載の方法。
【0075】
実施形態21.前記フルオロポリマーが、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、並びにエチレン、プロピレン、1−ブテン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種類のオレフィンのコポリマーである、実施形態19に記載の方法。
【0076】
実施形態22.前記微粒子が金属微粒子である、実施形態17〜21のいずれかに記載の物品。
【0077】
実施形態23.前記金属微粒子が、ビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛、又はこれらの混合物のいずれかを含む、実施形態22に記載の方法。
【0078】
実施形態24.前記金属がステンレス鋼を含む、実施形態22に記載の方法。
【0079】
実施形態25.前記アミジン触媒が二環式アミジンである、実施形態17〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0080】
実施形態26.前記アミジン触媒が、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、実施形態25に記載の方法。
【0081】
実施形態27.前記溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの混合物である、実施形態17に記載の方法。
【0082】
実施形態28.前記アミノ置換オルガノシランエステルが、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランである、実施形態17〜27のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
実施形態29.前記発泡体層が、その第2主面上に配置された第2接着剤層を更に含む、実施形態17〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
実施形態30.基板に前記第2接着剤層を付着する工程を更に含む、実施形態29に記載の方法。
【0085】
実施形態31.プライマー組成物であって、
アミノ置換オルガノシランエステルと、
アミジン触媒と、を含み、前記アミジン触媒が二環式アミジンである、プライマー組成物。
【0086】
実施形態32.前記二環式アミジンが、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エンである、実施形態31に記載のプライマー組成物。
【0087】
実施形態33.溶媒を更に含む、実施形態31又は32に記載のプライマー組成物。
【0088】
実施形態34.前記溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの混合物である、実施形態33のプライマー組成物。
【0089】
実施形態35.
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素と、
アミノ置換オルガノシランエステルを含むプライマー層と、
第1接着剤層と、を備えており、
前記プライマー層が、前記複合要素と前記接着剤層とをともに接着している、接着物品。
【0090】
実施形態36.前記微粒子が金属微粒子である、実施形態35に記載の物品。
【0091】
実施形態37.前記金属微粒子が、ビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛、又はこれらの混合物のいずれかを含む、実施形態36に記載の物品。
【0092】
実施形態38.発泡体層を更に備えている、実施形態35〜37のいずれか1つに記載の物品。
【0093】
実施形態39.前記第1接着剤層が、前記プライマー層と前記発泡体層との間に配置される、実施形態38に記載の物品。
【0094】
実施形態40.第2接着剤層を更に備えており、前記発泡体層が、前記第1接着剤層と第2接着剤層との間に配置される、実施形態38又は39に記載の物品。
【0095】
実施形態41.前記第2接着剤層が、基材に付着される、実施形態40に記載の物品。
【0096】
実施形態42.前記基材が、剥離ライナー又はホイールである、実施形態41に記載の物品。
【0097】
実施形態43.複合要素を発泡体テープ層に接着する方法であって、
ポリマー及び前記ポリマー中に分散された微粒子を含む複合要素を提供する工程と、
アミノ置換オルガノシランエステル及び溶媒を含むプライマーを提供する工程と、
発泡体層の第1主面上に配置された第1接着剤層を有する発泡体層を提供する工程と、
前記複合要素か、前記第1接着剤層か、又はそれらの両方の上に前記プライマーを配置してプライマー層を形成する工程と、
前記複合要素と前記第1接着剤層とをともにまとめ、前記プライマー層が、前記複合要素と前記第1接着剤層との間に配置される工程と、を含む、方法。
【0098】
実施形態44.前記ポリマーがポリマー層である、実施形態43に記載の方法。
【0099】
実施形態45.前記ポリマーがフルオロポリマーである、実施形態43又は44に記載の方法。
【0100】
実施形態46.前記溶媒が、アセトン、メチルエチルケトン、又はこれらの混合物である、実施形態43〜45のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態47.前記アミノ置換オルガノシランエステルが、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランである、実施形態43〜46のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態48.前記微粒子が金属微粒子である、実施形態43〜47のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態49.前記金属微粒子が、ビスマス、クロム、銅、鉄金属、スズ、タングステン、亜鉛、又はこれらの混合物のいずれかを含む、実施形態48に記載の方法。
【0104】
実施形態50.前記発泡体層が、その第2主面上に配置された第2接着剤層を更に含む、実施形態43〜49のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態51.基板に前記第2接着剤層を付着する工程を更に含む、実施形態50に記載の方法。
【0106】
[0053]本発明の利点及び実施形態は、以下の実施例により更に例示されるが、これらの実施例に列挙したその特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細は、本発明を過度に限定すると解釈されるべきではない。全ての部及びパーセンテージは、特に記載されていない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0107】
【表1】
【0108】
実施例1〜5及び比較例1及び2
[0054]実施例1〜3については、下記の表1に記載されるように、プライマー組成物をメチルエチルケトン(MEK)中で、触媒としてDBUを用いて、AEAPTMSをブレンドすることによって調製した。比較例1及び2(「Comp.1」及び「Comp.2」)は、DBUを添加せずにMEK中にAEAPTMSを溶解することにより調製した。次いで、ペーパータオルを用いて、このプライマー溶液を白色THV 500フィルム上に適用した。このプライマーを室温で乾燥させ、続いて、接着テープEX4008を室温で、プライミングされた白色THV500に対して積層した。測定した接着所要時間を以下の表1に記載した。30分間保持した後、THV 500フィルムからの接着テープの分離を試みることによって接着強さを検査した。表1に記載されているように、積層体の破損は発泡体テープの分割により生じており、良好な接着が示された。しかし、実施例1〜3の試料では、Comp.1及びComp.2の試料よりはるかに速く接着が生じた。
【0109】
【表2】
【0110】
(実施例4及び5)
[0055]実施例4及び5については、プライマー組成物を以下の表3に記載のようにMEK中でAEAPTMSとDBU触媒とをブレンドすることによって調製した。実施例4及び5のプライマー組成物はそれぞれ、蛍光増白剤としてUVITEXを1重量%含有している。次いで、以下の表3に記載のように、ナイロン発泡体アプリケータを使用し、室温にて、プライマー溶液を、押出し成形されたTN4000ホイールバランスウエイト複合体上に塗布した(この複合体は、フルオロポリマーTHV 221に分散されたステンレス鋼粒子及び顔料を含有する)。次いで、この乾燥した、プライミングされた押出成形ホイールバランスウエイト複合体を、室温でEX4008に積層した。積層後、1分後、1時間後、6時間後、及び24時間後の接着強さを測定するために試料を試験した。剥離強度を測定するために、積層体は、押出し成形されたホイールバランスウエイト複合体を底部にしてInstron機械的試験機(マサチューセッツ州NorwoodのInstronから入手した5565型)のアルミニウムプラテン上に載せ、毎分12インチ(30.5センチメートル)の速度で、90度の角度でEX4008テープを引っ張った。4インチ(10センチメートル)にかけての平均剥離値を計算した。結果を以下の表3にまとめる。
【0111】
【表3】
【0112】
実施例6及び比較例3
実施例6及び比較例3(「Comp.3」)については、プライマー組成物を、以下の表4に記載される量を用いて、イソプロピルアルコール(IPA)中でAEAPTMSとDBU触媒とをブレンドすることによって調製した。次いで、ペーパータオルを用いて、このプライマー溶液を白色THV 500フィルム上に適用した。これらのプライマーを室温で乾燥させ、続いて、接着テープSAFT 2110を、室温で、プライミングされた白色THV500に積層した。1時間及び24時間の保持後、THV 500フィルムからのSAFT 2110接着テープの分離を試みることによって接着強さを検査した。
【0113】
【表4】
【0114】
[0056]上述の試験及び試験結果は予測ではなく例示のみを意図したものであり、試験方法が変われば異なる結果が生じ得ると考えられる。実施例の項における定量的な値は全て、用いられる手順に伴う一般的に既知の許容誤差を考慮した近似的な値であるものと理解される。上記の詳細な説明及び実施例は、あくまで理解を助ける明確さのために示したものである。これらによって不要な限定をするものと理解されるべきではない。
【0115】
[0057]本明細書で開示された具体的な代表的構造、機能、詳細、構成などは、改変することができ、及び/又は数多くの実施形態で組み合わせることができることが、当業者には明らかであろう。そのような改変及び組み合わせは全て、本発明の範囲内にあるものとして発明者らによって想到される。したがって、本発明の範囲は、本明細書に記載される特定の例示的構造に限定されるべきではないが、むしろ少なくとも請求項の言語によって説明される構造、及びそれらの構造に相当する構造にまで拡大する。参照により本明細書に援用したいずれかの文書内での仕様と開示との間の不一致又は矛盾が存在するという点に関して、本明細書が優先される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5