特許第5936704号(P5936704)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5936704サイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936704
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】サイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7004 20060101AFI20160609BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20160609BHJP
   A61P 5/30 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 15/12 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160609BHJP
   C12N 1/20 20060101ALN20160609BHJP
   C12P 17/18 20060101ALN20160609BHJP
   A61K 31/352 20060101ALN20160609BHJP
【FI】
   A61K31/7004
   A23L1/30 Z
   A61P5/30
   A61P15/12
   A61P19/10
   A61P35/00
   !C12N1/20 A
   !C12P17/18 D
   !A61K31/352
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-544650(P2014-544650)
(86)(22)【出願日】2012年10月15日
(65)【公表番号】特表2015-500802(P2015-500802A)
(43)【公表日】2015年1月8日
(86)【国際出願番号】KR2012008398
(87)【国際公開番号】WO2013081294
(87)【国際公開日】20130606
【審査請求日】2014年5月29日
(31)【優先権主張番号】10-2011-0126552
(32)【優先日】2011年11月30日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507406611
【氏名又は名称】シージェイ チェルジェダン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100077012
【弁理士】
【氏名又は名称】岩谷 龍
(72)【発明者】
【氏名】キム,テクボム
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンボ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミンヘ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ソンジェ
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ジェホン
【審査官】 吉田 佳代子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−199429(JP,A)
【文献】 特表2004−529958(JP,A)
【文献】 米国特許第03578655(US,A)
【文献】 特開2010−018528(JP,A)
【文献】 国際公開第03/097820(WO,A1)
【文献】 国際公開第08/142860(WO,A1)
【文献】 国際公開第08/059623(WO,A1)
【文献】 特開2010−178683(JP,A)
【文献】 特表2010−508821(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00−33/44
A23L 1/22
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクオール濃度上昇用医薬品製剤を製造するためのサイコースの使用。
【請求項2】
前記サイコースは、エクオール変換能を有する腸内微生物を選択的に増殖させたり、腸内微生物のエクオール変換能を亢進させる機能を有する、請求項1に記載の使用
【請求項3】
エクオール生産菌株と、ダイゼインおよび/またはジヒドロダイゼインを含有するエクオール生産菌株の培養培地にサイコースを添加することを含む培地中のエクオールの濃度を上昇させる方法。
【請求項4】
前記サイコースは、エクオール生産菌株を選択的に増殖させたり、エクオール生産菌株のエクオール変換能を亢進させる機能を有する、請求項に記載の方法。
【請求項5】
サイコースと、アドニトール、アラビノース、ガラクトース、メレジトース、トレハロース、リボース、ソルボース、キシロース及びイノシトールからなる群から選ばれる1種類以上の糖類を含むエクオール濃度上昇用食品。
【請求項6】
前記食品が、ダイゼイン、その配糖体化合物およびその還元生成物からなる群から選ばれる1種類以上を含む請求項5に記載の食品。
【請求項7】
エクオール生産菌株を選択的に増殖させたり、エクオール生産菌株のエクオール変換能を亢進させる機能を有するサイコースを含み、不定愁訴などの更年期障害、骨粗鬆症、乳癌、前立腺癌、月経前症候群を改善または予防するための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイコース(Psicose)を有効成分とするエクオール濃度上昇剤に関し、具体的には、人体の腸内微生物によるエクオール生成を促進するためにサイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤に関する。
【背景技術】
【0002】
エクオール(Equol)は、下記の化学式1の構造を有するイソフラバン化合物であって、豆類食品を摂取したとき、食品に存在するイソフラボノイドの腸内微生物による転換で生成される。
【0003】
【化1】
【0004】
大豆イソフラボンの活性代謝物であるエクオールが、臨床応用での大豆食品の有効性の鍵を握っていると報告されている。すなわち、乳癌、前立腺癌、老化防止、更年期障害及び閉経後の骨粗鬆症に対して、大豆イソフラボンよりもその代謝物であるエクオールが有効であることを意味する報告が多数見付かっている(文献[D.Ingram,et al.,(1997)Lancet,350,990―994];文献[A.M.Duncan,et al.,(2000)Cancer Epidemiology,Biomarkers&Prevention,9,581―586];文献[C.Atkinson,et al.,(2002)J.Nutr.,32(3),595S];文献[H.Akaza,et al.,(2002)Jpn.J.Clin.Oncol.,32(8),296―300];文献[S.Uchiyama,.et al.,(2001)Ann.Nutr.Metab.,45,113(abs);Biol Reprod.2004;70:1188―95など参照)。
【0005】
また、エクオールは、腸内細菌によって生成され、その生成には個人差が存在すると報告されている[文献:Nutr Cancer.2000;36:27―32]。エクオールを生産できない人には、エクオール生産生菌が腸内に存在しないと推定される。このような人の場合、大豆加工食品を摂取したとしても、所望の抗エストロゲン効果、エストロゲン類似効果は期待できないと考えられる。このような人が望む効果を発現させるためには、エクオール生産生菌を摂取させたり、エクオール自体を摂取させればよいと考えられる。
【0006】
一方、このように有用なエクオールの生命工学的合成に対する試みも予想されるが、エクオールの生成反応が多くの微生物を必要とする複雑な生化学的経路からなっており(図2参照)、ほとんどの嫌気性微生物と同様に知られているエクオール生成微生物の成長と反応速度が非常に遅い点が技術的に克服すべき課題として残っている。
【0007】
したがって、より実質的な研究を目的にして、エクオール生産能を有する腸内細菌やエクオール生産を促進する物質の探索に多くの研究がなされており、エクオール生産能を有する微生物として、バクテロイデスオバータス、ストレプトコッカスインターメジウス 、ストレプトコッカスコンステラータスが報告されている(国際特許出願公開第1999/07392号参照)。また、多様な先行研究を通じて各種単糖類あるいは多糖類が優れたエクオール濃度の上昇または低下作用を有すると報告されているが、特に、アドニトール、アラビノース、エリトリトール、ガラクトース、ラクチトール、メレジトース、トレハロース、リボース、ソルボース、キシロース、イノシトール及びソルビトールなどの糖類がエクオール濃度の上昇に寄与すると報告されている(国際特許出願公開第2007/052749号の下記の表1参照)。
【0008】
【表1】
【0009】
一方、サイコースは、砂糖と類似する甘味を有するが、超低熱量である単糖類であって、機能性甘味料として広く用いられている。特に、サイコースは、自然界に極めて少量存在する希少糖であって、ケトヘキソース(keto―hexose)として分類される。サイコースは、D―タガトース 3―エピメラーゼによってフルクトースから作られると報告されている。サイコースは、甘味の強度と種類は果糖と非常に類似するが、果糖と異なって体内吸収時にほとんど代謝されないので、熱量はゼロに近い。また、サイコースは、脂質合成に関与する酵素活性を抑制し、腹部肥満を減少させる機能を有するので、ダイエット食品の有効成分として有用に使用することができる。また、砂糖代替甘味料として広く用いられている糖アルコール類は、一定量以上摂取したときに下痢を誘発するなどの副作用を起こす一方、サイコースには副作用がほとんどない(Matsue,T.,Y.Baba,M.Hashiguchi,K.Takeshita,K.Izumori,and H.Suzuki.2001.Dietary D―psicose、a C―3 epimer of D―fructose,suppresses the activity of hepatic lipogenic enzymes in rats.Asia Pac.J.Clin.Nutr.10:233―237.;Matsuo,T.,and K.Izumori.2004. D―psicose,a rare sugar that provides no energy and additionally beneficial effects for clinical nutrition.Asia Pac.J.Clin.Nutr.13:S127参照)。
【0010】
そこで、本発明者等は、現在までに報告されている一般糖類及び多糖類の他に、追加的にエクオールの転換を促進する効能を有する機能性食品を探し出そうとした。鋭意努力を重ねた結果、機能性甘味料として知られているサイコースが予想外にエクオール生成を促進するという有意な結果を導出し、これから本発明を完成するに至った。
【0011】
多様な糖類のエクオール転換促進効能の相対的比較評価をするために、1次的に既存の文献に基づいて高い転換促進率を示す物質を選別しようとした。既存の論文のエクオール転換促進率に優れる物質のみを選別すると、ラクチトール、イノシトール、メレジトース、ソルボース、トレハルロス、キシロースがこれに該当した。
【0012】
また、本発明者は、糖アルコール類ではない天然由来の一般糖類に注目したので、代表的な対照物質としてキシロースを選定し、発明者間の実験方法の差及び実験的誤差の有無に対する不正確性を最小化するために、キシロースよりも相対的に高い転換率を示す糖類のみを、エクオール転換率を促進する効果を有する試験物質に規定しようとした。研究者等は、このような目的に符合する既存に評価されていない新規の一般(機能性)糖類素材を対象にして一連の実験を行い、このうちサイコースがエクオール生成を促進するという有意な結果を導出し、これから本発明を完成するに至った。
【0013】
本発明は、サイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤に関し、より具体的には、人体の腸内微生物によるエクオール生成を促進するためにサイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の主な目的は、現在までに報告されている一般糖類及び多糖類の他に、追加的にエクオールの転換を促進する効能を有する機能性食品を提供することにある。
【0015】
本発明の他の目的は、稀少糖類の一つであるサイコースの新たな用途を提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、人体に投与したときに副作用なく安全であり、生理機能活性化作用を有し、エクオール転換を促進する機能を有する組成物あるいは食品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、前記課題を解決するために鋭意努力を重ねた結果、食品として安全で且つ低カロリーである機能性甘味料サイコースがエクオール濃度を上昇させる作用を有することを発見し、本発明を完成するに至った。
【0018】
また、本発明者等は、サイコースを含有した培地を使用すると、エクオール変換能を有する微生物を選択的に増殖させたり、エクオール変換能を亢進させる機能を有することを明らかにした。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、人体に投与したときに副作用なく安全であり、生理機能活性化作用を有し、エクオール転換を促進する機能を有する組成物あるいは食品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】ダイゼインとDHDからエクオールの生成を示す展開溶媒(トルエン:アセトン=2:1)を使用したTLC写真である(Dz:ダイゼイン、DHD:ジヒドロダイゼイン)。エクオール生成微生物菌の場合は、3日までダイゼインを使用してエクオールを生成し、3日目には全てのDHDがエクオールに転換された。
図2】現在まで知られている腸内微生物によるダイゼインの代謝過程を示す図である。
図3】エクオール変化に及ぼす各種糖類の影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に使用されるサイコースはD―サイコースを意味し、糖蜜や異性化糖中に微量含まれているが、D―フルクトースからエピメラーゼによって酵素的に生産可能な稀少糖の一種である。前記サイコースは、抗酸化性などの生理機能が期待されており、さらに、甘味が砂糖の60%ないし70%に達するにもかかわらず、エネルギーがほぼ0キロカロリーで、溶解性に優れるという特性を有する。
【0022】
本発明の一様態は、前記サイコースを有効成分とするエクオール濃度上昇剤に関する。前記サイコースのエクオール濃度上昇作用は、サイコースがエクオール変換能を有する微生物を選択的に増殖させたり、微生物のエクオール変換能を亢進 させることに起因する。
【0023】
本発明のエクオール濃度上昇作用を有するサイコースは、体内、血中、大腸内などの腸内でエクオール濃度上昇剤として用いることができ、これら糖類を有効成分とするエクオール濃度上昇剤は、不定愁訴などの更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化、乳癌、前立腺癌、月経前症候群などのイソフラボンと関連した各種疾病の治療と改善、またはその予防などの目的で用いることができる。
【0024】
通常のエクオールの製造方法としては、ダイゼインを含む原料に対して、ダイゼインを代謝し、エクオールを生産する微生物(以下、エクオール生産菌と表記する)で発酵処理する方法が知られている。したがって、本発明のサイコースは、エクオールの基質であるダイゼインと共に使用することが望ましい。ダイゼインとしては、合成品や天然抽出物などの市販品を使用してもよく、ダイゼインを多く含有する天然素材やその加工品を使用することができる。具体的には、ダイゼインを多く含有する素材としては、大豆、えんどう豆、葛、クローバーなどを挙げることができ、これらの加工品としては、豆腐、豆乳、揚げ物、納豆、醤油、みそ、テンペなどを挙げることができる。また、一般に、イソフラボン配糖体は、体内の腸内細菌の作用によってアグリコン化されるので、ダイゼインは、その配糖体化合物であるダイジン、マロニルダイジン、アセチルダイジンなどの形態で使用することもできる。
【0025】
本願発明では、特別な制限なく公知のエクオール生産菌株を用いることができ、エクオール生産菌株としては、例えば、バクテロイデスオバータス、ストレプトコッカスインターメジウス 、ストレプトコッカスコンステラータス、ラクトコッカスガルビエなどがあり、より詳細には、バクテロイデスE―23―15(FERM BP―6435号)、ストレプトコッカスE―23―17(FERM BP―6436号)、ストレプトコッカスA6G225(FERM BP―6437号)、ラクトコッカス20―92(FERM BP―10036号)などがある。
【0026】
本発明は、前記のような通常のエクオールの製造方法において、サイコースを培地に追加してエクオール生産菌を発酵させることによって、エクオール生産濃度を増加させることができる。
【0027】
前記様態において、本発明に係るエクオール濃度上昇剤は、サイコースの他に、エクオール濃度を上昇させる作用を有すると知られている他の糖類をさらに含むことができる。追加可能な他の糖類としては、例えば、アドニトール、アラビノース、エリトリトール、ガラクトース、ラクチトール、メレジトース、トレハロース、リボース、ソルボース、キシロース、イノシトールまたはソルビトールなどがあり、これに制限されることはない。
【0028】
したがって、本発明の他の様態は、エクオール生産菌株の培養培地にサイコースを添加することを含むエクオール濃度上昇方法に関する。
【0029】
本発明の更に他の様態は、サイコースを含有することを特徴とするエクオール生成菌株の培養培地を提供する。
【0030】
本発明の更に他の様態は、サイコースを含むエクオール濃度上昇用食品に関する。
【0031】
本発明の一様態において、多様な腸内微生物の集合体である微生物群を使用して炭水化物の種類によるエクオール生成量の差を確認した。その結果、微生物群叢の変化やエクオール生成微生物の成長に炭水化物が影響を及ぼすという点を確認した(実施例2)。特に、純粋なダイゼインを使用したときとは異なって、炭水化物を添加した場合にエクオール生成量の反応速度に差があることを示した。すなわち、よりゆっくり長い期間にわたってエクオールの生成が行われる。
【0032】
サイコースは、3日間の反応条件でエクオール生成を著しく促進する効果を示した(実施例2)。
【0033】
サイコースのエクオール濃度調節活性は、エクオール生産能を有する微生物群ストック(stock)(エクオールプロデューサーから採取した糞便を遠心洗浄したもの、KR登録2008―0072635)にエクオールの基質となるダイゼイン及びサイコースを添加して培養し、培養液中のエクオール濃度を測定した後、これをダイゼイン及びキシロースを含有する培養液内のエクオール濃度と比較し、次の式に挿入してエクオール増減百分率を算出した。
【0034】
エクオール増減百分率(%)=(サイコース及びダイゼインを含有する培養液内のエクオール濃度)/(キシロース及びダイゼインを含有する培養液内のエクオール濃度)×100
【0035】
本発明に係るエクオール濃度上昇剤の投与量には厳格な制限がなく、対象者や適用疾患などの各種使用様態に応じて得られる効果が異なるので、適切な投与量を設定することが望ましい。エクオール濃度上昇剤の投与量は、1日当たり0.1mgないし100gで、特に50mgないし50gであることが望ましい。
【0036】
本発明のエクオール濃度上昇剤は、経口投与または非経口投与のいずれを通じても使用可能であるが、このうち経口投与が望ましい。投与時には、有効成分であるサイコースを経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体または液体の医薬用無毒性担体と混合し、慣用の医薬品製剤の形態で投与することができる。
【0037】
このような製剤としては、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥剤などを挙げることができる。これら製剤は通常の方法で製造することができる。前記の医薬用無毒性担体としては、澱粉、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチレン澱粉、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などを挙げることができる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤、賦形剤などの一般添加剤を適宜添加することができる。
【0038】
また、本発明の糖類は、前記のような医薬品製剤として使用可能なだけでなく、飲食品などとして使用することができる。この場合、本発明の糖類は、そのまま使用してもよく、各種栄養成分を加えて飲食品中に含有させてもよい。エクオール濃度相乗作用を有するサイコースは、体内のエクオール濃度を上昇させる目的で用いたり、または、不定愁訴などの更年期障害、骨粗鬆症、高脂血症、動脈硬化、乳癌、前立腺癌、月経前症候群などの改善及び予防などに有用な保健用食品または食品素材として用いることができる。
【0039】
具体的に、本発明の糖類を飲食品に配合する場合は、飲食品として使用可能な添加剤を適宜使用することによって、慣用手段を通じて食用に適した形態、すなわち、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形してもよく、または、各種食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、さつま揚げなどの水産加工食品、パン、お菓子、バター、粉ミルク、発酵乳製品に添加して使用してもよく、水、果汁、牛乳、清凉飲料、お茶などの飲料に添加して使用してもよい。また、飲食品には動物の飼料も含まれる。
【0040】
従来知らているエクオール生成菌株は、ダイゼインの還元生成物であるジヒドロダイゼイン(DHD)を基質としてのみ使用するものとして知られているが、微生物群ストックには多様な微生物がいて、ダイゼインでDHDの反応が進められるので、ダイゼインとDHDを共に基質として使用することによって、エクオールを生成する微生物群を使用してエクオールの生成をTLCで分析し、炭水化物の存在下でのエクオール生成変化量を測定した。
【0041】
実施例1:エクオール生成微生物群の活性化と標準条件でのエクオール生成測定
【0042】
1)エクオール生成測定
【0043】
液体窒素に保管されたエクオール生成微生物群ストック(エクオールプロデューサーから採取した糞便を遠心洗浄したもの、KR登録2008―0072635)をGAM(Gifu anaerobic medium)培地(4ml)に接種した後、3時間ないし4時間育てて活性化させた。
【0044】
OD(optical density)が約1.5になったとき、200μLの培地を取ってエッペンドルフチューブ(Eppendorf tube)に移し、最終0.1mM濃度のダイゼイン濃度で添加してボルテックス(vortexing)することによって反応を開始した。
【0045】
時間に伴うエクオール生成量を測定するために、接種後、それぞれ1日、2日、3日が経過した時点で培地を50μLずつ取り出した。
【0046】
エチルアセテート1mlを培地に添加し、イソフラボノイドを抽出した。抽出過程は、ボルテックス後に遠心分離してエチルアセテート800μLを取り、真空乾燥(vaccum dry)で溶媒を除去し、メタノール10μLに溶かした後で2μLをTLCに点滴した。
【0047】
1)結果
【0048】
前記TLCで微生物群がダイゼインからエクオールを生成することを確認し、その生成量は、接種後3日間にわたって継続して増加した。3日後には、基質として供給されたダイゼインが検出されなかった。したがって、微生物転換実験は3日間進められた。
【0049】
実施例2:炭水化物の存在下でのエクオール生成変化量測定
【0050】
キシロース、タガトース、サイコース、スクロース、フラクトオリゴ糖、グルコースなどの合計6種の炭水化物を使用することによって、実施例1に用いられたエクオール生成条件でエクオール生成増減量を測定した。
【0051】
1)微生物反応及びエクオール生成量の比較
【0052】
前記実施例1と同一の方法でエクオール生成微生物群を接種し、生成物を抽出した。前記実施例1との相違点は、活性化された微生物群の基質接種前にキシロース、タガトース、サイコース、スクロース、フラクトオリゴ糖、グルコースをそれぞれ2mgずつ培地に添加し、最終の炭水化物濃度を1%に調整する過程を追加したことである。また、基質としてはダイゼインのみを使用した。純粋なダイゼインを使用したときとは異なって、炭水化物を添加した場合、エクオール生成量の反応速度において差があった。すなわち、よりゆっくり長い期間にわたってエクオールの生成が行われる。
【0053】
生成物中のエクオール増減量を比較するために、TLC結果のイメージアナライザーを用いた定量分析を使用した。
【0054】
2)結果
【0055】
実験の結果、キシロース及びダイゼインを含有する培養液内のエクオール生成量を100とし、3日目の各炭水化物添加時のエクオール生成量を比較したときの比較結果は下記の通りである(下記の表2の結果は、各炭水化物の種類によるエクオールの生成量をキシロースと相対比較(%)したものであって、2種類の発色方法に対するイメージ分析結果の平均値を示したものである)。
【0056】
【表2】
【0057】
実施例3:錠剤形態のエクオール濃度上昇剤
【0058】
下記の処方で各種成分を混合し、造粒、乾燥後に打錠して錠剤を製造した。
【0059】
未結晶セルロース 110mg
サイコース 75mg
ステアリン酸マグネシウム 0.4mg
メチルセルロース 13mg
【0060】
実施例4:清凉飲料形態のエクオール濃度上昇剤
【0061】
下記の処方で各種成分を混合し、均質化して清凉飲料を収得した。
【0062】
香料 0.7g
サイコース 2.0g
クエン酸 0.4g
果糖 5g
精製水 80g
図1
図2
図3