特許第5936705号(P5936705)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフトの特許一覧

特許5936705高融点疎水性化合物のバイオアベイラビリティが向上した薬学的組成物
<>
  • 特許5936705-高融点疎水性化合物のバイオアベイラビリティが向上した薬学的組成物 図000026
  • 特許5936705-高融点疎水性化合物のバイオアベイラビリティが向上した薬学的組成物 図000027
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936705
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】高融点疎水性化合物のバイオアベイラビリティが向上した薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/437 20060101AFI20160609BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 47/14 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20160609BHJP
   A61K 47/38 20060101ALI20160609BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   A61K31/437
   A61K31/506
   A61K47/04
   A61K47/14
   A61K47/20
   A61K47/32
   A61K47/38
   A61P35/00
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-546435(P2014-546435)
(86)(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公表番号】特表2015-500306(P2015-500306A)
(43)【公表日】2015年1月5日
(86)【国際出願番号】EP2012074884
(87)【国際公開番号】WO2013087546
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2014年8月12日
(31)【優先権主張番号】61/569,863
(32)【優先日】2011年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】306021192
【氏名又は名称】エフ・ホフマン−ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100101199
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義教
(72)【発明者】
【氏名】アルバーノ, アントニオ エー.
(72)【発明者】
【氏名】デサイ, ディペン
(72)【発明者】
【氏名】ディヌンツィオ, ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ゴー, セナイダ
(72)【発明者】
【氏名】アイヤー, ラマン, マハーデーヴァン
(72)【発明者】
【氏名】サンデュ, ハープリート, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】シャー, ナブニット, ハルゴヴィンダス
【審査官】 鳥居 福代
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/114928(WO,A1)
【文献】 特表2009−543849(JP,A)
【文献】 特表2009−529516(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/119984(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/104945(WO,A1)
【文献】 難水溶性薬物の物性評価と製剤設計の新展開,2010年 1月29日,第1刷,213頁,217頁,219頁
【文献】 Neoplasia,2010年,Vol.12, No.8,pp.637-649
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/437
A61K 31/506
A61K 47/04
A61K 47/14
A61K 47/20
A61K 47/32
A61K 47/38
A61P 35/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリビニルピロリドン(PVP)又はコポビドンであるポリマーと、式(I)
(I)
による化合物、又は式(II)
(II)
による化合物と、場合により界面活性剤及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロース−アセテートスクシネートとを含む固体分散体を含む薬学的組成物。
【請求項2】
前記化合物が、前記ポリマー中に分子的に分散される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記固体分散体が、前記化合物及び前記ポリマーの固体分子複合体である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物が、前記ポリマーにより形成されたマトリックス内に固定化される、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ポリマーがコポビドンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記化合物が、前記固体分散体の重量%〜50重量%の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリマーが、前記固体分散体の50重量%〜98.8重量%の量で存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記固体分散体が、熱溶融押出法を用いて調製される、請求項1からの7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
流動増強剤を更に含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記流動増強剤がコロイド状シリコーンである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記流動増強剤が、前記組成物の最大重量%の量で存在する、請求項9又は10に記載の組成物。
【請求項12】
前記ポリマーがコポビドンであり、前記固体分散体が界面活性剤を含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、モノステアリン酸グリセロール、ジオクチルコハク酸ナトリウム(DOSS)、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記界面活性剤がジオクチルコハク酸ナトリウムである、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
前記界面活性剤が、前記固体分散体の最大10重量%の量で存在する、請求項12から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記化合物が式(I)の化合物である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記化合物が式(II)の化合物である、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記化合物が式(II)の化合物であり、前記ポリマーがコポビドンであり、前記固体分散体がヒドロキシプロピルメチルセルロース−アセテートスクシネートを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記コポビドン及び前記ヒドロキシプロピルメチルセルロース−アセテートスクシネートが、それぞれ15:85から40:60の比で固体分散体中に存在する、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
医薬として使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
癌の治療のための医薬として使用するための、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
癌がメラノーマである、請求項21に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物の固体分散体を含む薬学的組成物に関する。組成物において、薬物は実質的に非晶質体である。
【発明の概要】
【0002】
本発明は、式(I)
(I)
の化合物、又は式(II)
(II)
による化合物と、ポリビニルピロリドン(PVP)又はコポビドンであるポリマーと、場合により界面活性剤及び/又はHPMC−ASを含む固体分散体とを含む薬学的組成物に関する。
【0003】
本発明はまた、本発明の組成物の治療的に有効な量を、治療を必要とする被験者に投与することを含む、癌を治療又は改善する方法にも関する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】製剤48A、48B及び48Cに関する2段階非シンク溶解試験結果を示す図である。
図2】製剤49A及び49Cに関するX線回析パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明は、薬物(以下に定義)及びポリマーを含む固体分散体を含む薬学的組成物を提供する。
【0006】
本明細書で使用される場合、用語「実質的に非晶質体(substantially in amorphous form)」は、薬物の50%超、又は55%超、又は60%超、又は65%超、又は70%超、又は75%超、又は80%超、又は85%超、又は90%超、又は95%超が非晶質体で存在することを意味する。
【0007】
本明細書で使用される場合、用語「固体分散体」は、少なくとも2つの成分、例えば薬物及びポリマーを有する任意の固体組成物を意味する。
【0008】
本明細書で使用される場合、用語「分子的に分散された(molecularly dispersed)」は、ポリマーを含む薬物のランダム分布を指す。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「固体分子複合体」は、ポリマーにより形成されたマトリックス(以下、「ポリマーマトリックス」)内に分子的に分散された薬物を含む固体分散体を指す。
【0010】
本明細書で使用される場合、ポリマーマトリックス内の薬物の固定化に関して、用語「固定化された(immobilized)」は、薬物の分子が前述のマトリックス中で保持され、及び移動性の欠如により結晶核生成を妨げられるようにポリマーの分子と相互作用することを意味する。例えば、ポリマーは、分子内水素結合又は2つ以上の薬物分子間の弱い分散力を妨げることができる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「薬物」は、化合物I又は化合物II(両方とも以下に定義されている)のどちらかを指す。化合物I及び化合物IIは両方とも、Rafキナーゼ阻害剤である。そのため、これらは、癌の治療又は改善に有用である。
【0012】
「化合物I」は、本明細書で使用される場合、プロパン−1−スルホン酸{3−[5−(4−クロロ−フェニル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−2,4−ジフルオロ−フェニル}−アミドを指す。この薬物は、以下の構造を有する。
【0013】
「化合物II」は、本明細書で使用される場合、プロパン−1−スルホン酸{2,4−ジフルオロ−3−[5−(2−メトキシ−ピリミジン−5−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−3−カルボニル]−フェニル−アミドを指す。この薬物は、以下の構造を有する。
【0014】
本出願人は、ポリマーの選択が、インビボで達成されるAUC及びCmaxに有意な影響を与えることを見出した(実施例8参照)。
【0015】
一実施態様において、ポリマーは、ポリビニルピロリドン(PVP)又はコポビドンである。特定の実施態様において、ポリマーはPVPである。別の特定の実施態様において、ポリマーはコポビドンである。
【0016】
コポビドン(BASF及びISPから入手可能)は、質量比6:4の1−ビニル−2−ピロリドン及び酢酸ビニルの親水性コポリマーである。コポビドンは、生理学的に適切な液体において最大8時間薬物を非晶質体で保持する、薬物との安定な固体分散体を形成することができ、故に投与した際に薬物のバイオアベイラビリティを向上させることができる。上記に加えて、コポビドンは、生理的pH範囲(1.5〜7.5)でpH非依存性可溶性を有する非イオン性ポリマーである。その結果、コポビドンを用いて形成された固体分散体は、GI管全体にわたって薬物を放出することができ、故に薬物の吸収を向上させることができる。
【0017】
一実施態様において、薬物は、前述のポリマー中に分子的に分散される。
【0018】
一実施態様において、固体分散体は、化合物I又は化合物II及び前記ポリマーの固体分子複合体である。
【0019】
一実施態様において、薬物は、前記ポリマーにより形成されたマトリックス内に固定化される。
【0020】
一実施態様において、組成物は、薬物が固体分散体の約1重量%〜約50重量%、約1重量%〜約40重量%、又は約1重量%〜約30重量%の量で存在する固体分散体を含む。
【0021】
一実施態様において、固体分散体は、約50℃より高い、好ましくは100℃より上の単一のガラス転移温度を有する。
【0022】
一実施態様において、組成物は、ポリマーが固体分散体の約50重量%〜約98.8重量%、約60重量%〜約98.8重量%、又は約70重量%〜約98.8重量%の量で存在するポリマーを含む固体分散体を含む。
【0023】
一実施態様において、固体分散体は、熱溶融押出法(ホットメルト押出法)(例えば、Ghebre−Sellassie,I.及びC.Martin、Pharmaceutical Extrusion Technology、Marcel Dekker、2003参照)を用いて調製される。このような方法において、固体分散体の成分は、高温で混合され、押し出される。
【0024】
一実施態様において、組成物は、コポビドン中に分子的に分散された化合物Iを含む。
【0025】
一実施態様において、固体分散体は、化合物I及びコポビドンの固体分子複合体である。
【0026】
一実施態様において、化合物Iは、コポビドンにより形成されたマトリックス内に固定化される。
【0027】
一実施態様において、組成物は、化合物Iが固体分散体の約1重量%〜約40重量%の量で存在し、及びコポビドンが固体分散体の約60重量%〜約98.8重量%の量で存在する固体分散体を含む。
【0028】
一実施態様において、組成物は、化合物Iが固体分散体の約1重量%〜約40重量%の量で存在し、及びコポビドンが固体分散体の約60重量%〜約98.8重量%の量で存在する固体分散体を含む。
【0029】
一実施態様において、化合物I及びコポビドンを含む固体分散体は、熱溶融押出法(例えば、Ghebre−Sellassie,I.及びC.Martin、Pharmaceutical Extrusion Technology、Marcel Dekker、2003参照)を用いて調製される。
【0030】
一実施態様において、組成物は、コポビドン中に分子的に分散された化合物IIを含む。
【0031】
一実施態様において、固体分散体は、化合物II及びコポビドンの固体分子複合体である。
【0032】
一実施態様において、化合物IIは、前記コポビドンにより形成されたマトリックス内に固定化される。
【0033】
一実施態様において、組成物は、化合物IIが固体分散体の約1重量%〜約50重量%の量で存在し、及びコポビドンが固体分散体の約50重量%〜約98.8重量%の量で存在する固体分散体を含む。
【0034】
一実施態様において、化合物II及びコポビドンを含む固体分散体は、熱溶融押出法(例えば、Ghebre−Sellassie,I.及びC.Martin、Pharmaceutical Extrusion Technology、Marcel Dekker、2003参照)を用いて調製される。
【0035】
本発明の一実施態様において、組成物は、流動増強剤(易流動剤)を更に含む。特定の実施態様において、流動増強剤は、コロイド状シリカ(本明細書ではコロイド状二酸化ケイ素とも呼ばれる)である。流動増強剤は、例えば、組成物の最大約5重量%、又は組成物の最大約3重量%の量で組成物中に存在していてもよい。本出願人は、コロイド状二酸化ケイ素を含む組成物が、コロイド状二酸化ケイ素を含まない組成物と比較して向上した安定性並びに向上したAUC及びCmaxを示すことを見出した(実施例6参照)。
【0036】
溶融押出製剤は、良好なバイオアベイラビリティ及び固体安定性の利点を示す。更に、溶融押出製剤を用いることの製造利点がある。十分な治療効果を達成するためにより低い用量、低かさ密度、高表面積、より低いポリマー充填による薬物充填の増強、良好な可溶性及び優れた物理化学的特性の利点も有する溶融押出製剤を開発することが望ましい。
【0037】
患者コンプライアンスのためには、錠剤などのより高い強度の剤形の開発が望ましい。当分野で公知の固体分散体製剤は、錠剤に望ましくないバインダー効果を与え得、故に錠剤崩壊を遅らせ得るポリマーの高利用を必要とする。崩壊剤が添加されてもよいが、追加の賦形剤を添加することは錠剤圧縮にマイナスの影響を与える可能性がある。崩壊が迅速で錠剤圧縮が良好な他の固体分散体製剤錠剤を開発することが有利である。
【0038】
本出願人は、薬物として化合物Iを含む実施態様において、特定の固体分散体の成分としての界面活性剤の添加は、固体分散体からの化合物Iの溶解を向上させることができることを見出した。したがって、本発明の一実施態様は、化合物I、PVP又はコポビドンであるポリマー、及び界面活性剤を含む固体分散体を含む組成物である。本発明の一実施態様において、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、モノステアリン酸グリセロール、ジオクチルコハク酸ナトリウム(DOSS)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。一実施態様において、界面活性剤はSLSである。別の実施態様において、界面活性剤はモノステアリン酸グリセロールである。更に別の実施態様において、界面活性剤はDOSSである。特定の実施態様において、界面活性剤は、固体分散体の最大約10重量%、又は固体分散体の最大約5重量%、又は固体分散体の約1重量%〜約2重量%の量で存在する。特定の実施態様において、組成物は、化合物I、コポビドン及びDOSSを含む固体分散体を含む。より特定の実施態様において、DOSSは、固体分散体の約1重量%〜約2重量%の量で存在する。
【0039】
本出願人は、薬物が化合物IIであり、ポリマーがコポビドンである本発明の実施態様において、固体分散体へのヒドロキシプロピルメチルセルロース−アセテートスクシネート(HPMC−AS)の添加は、得られた剤形の崩壊特性を向上させることができることを見出した。HPMC−AS、LF;HPMC−AS、M;HPMC−AS、HF;及びHPMC−AS、HGを含む、様々なグレードのHPMC−ASが使用され得る。本発明の一実施態様は、化合物II、コポビドン、及びHPMC−ASを含む固体分散体を含む組成物である。別の実施態様において、固体分散体は、化合物II、コポビドン、及びHPMC−AS、LFを含む。別の実施態様において、固体分散体は、化合物II、コポビドン、及びHPMC−AS、HFを含む。更に別の実施態様において、固体分散体は、化合物II、コポビドン、及びHPMC−AS、HGを含む。このような実施態様において、本出願人は、固体分散体で用いられるコポビドン対HPMC−ASの比が極めて重要であることを見出した。一実施態様において、比は約15:85〜約50:50である。別の実施態様において、比は約15:85〜約40:60である。特定の実施態様において、比は約35:65である。別の特定の実施態様において、比は約20:80である。
【0040】
一実施態様において、本発明は、薬物、ポリビニルピロリドン(PVP)又はコポビドンであるポリマー、並びに場合により、界面活性剤及び/又はHPMC−ASを含む固体分散体を含む薬学的組成物に関する。
【0041】
上記に加えて、本発明は、本組成物における追加の成分の使用を企図する。可塑剤、例えばPEG−400及びポロキサマー(界面活性剤としても機能する)が使用されてもよい。更に、崩壊剤、例えばデンプングリコール酸ナトリウム、ポリプラスドンXL、及びクロスカルメロースナトリウムが使用されてもよい。ステアリン酸マグネシウムなどのさらなる潤滑剤が使用されてもよい。
【0042】
上記に加えて、本発明は、本発明の組成物の治療的に有効な量を、治療を必要とする被験者に投与するステップを含む、癌を治療又は改善する方法に関する。特定の実施態様において、癌はメラノーマである。故に、本発明はまた、医薬、特に癌、より具体的にはメラノーマの治療のための医薬として使用するための、本明細書に開示された組成物にも関する。
【実施例】
【0043】
実施例1
この例は、化合物Iを含む本発明の製剤を記載する。製剤の内容は次の通りであった。
【0044】
製剤は、HME法(Ghebre−Sellassie,I.及びC.Martin、Pharmaceutical Extrusion Technology、Marcel Dekker、2003)を用いて調製した。化合物I、PVP及びPEG400を混合し、混合物を160℃で押し出した。得られた押出成形物は手で粉砕した。ポロキサマー、デンプングリコール酸ナトリウム及びコロイド状二酸化ケイ素を、粉砕した押出成形物に外添し、一緒に混合して均一な混合物を得た。
【0045】
混合物を硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0046】
実施例2
比較のため、安定な結晶形で化合物Iを含有する製剤を調製した。
安定な結晶製剤
【0047】
この製剤は、乾式混合方法(Lachmanら、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy、Lea & Febiger、1986)により調製した。全ての成分を適当な時間混合し、得られた乾式混合物を硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0048】
実施例3
同様に比較のため、脂質ベースのビヒクル(脂質製剤)に溶解した安定な結晶形で化合物Iを含有する製剤も調製した。
脂質製剤
【0049】
この製剤は、Labrosol(登録商標)(Gattefosse)、Gelucire(登録商標)(Gattefosse)及びビタミンE−TPGSと共に化合物Iを乳鉢及び乳棒において分散させて調製した。次いで、得られた脂質懸濁液を、硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0050】
実施例4
実施例2及び3の製剤並びに実施例1の固体分散体製剤を用いた単回経口投与PK試験を、クロスオーバーデザインを用いてメスビーグル犬で実施した。製剤は全て50mg/kg用量レベルで投与した。
【0051】
本出願人は、化合物Iを固体分散体(実施例1製剤)として投与した場合、化合物Iが結晶形である実施例2又は3の製剤のいずれかで化合物Iを投与した場合と比べて、化合物Iは著しく高いバイオアベイラビリティを示すことを見出した。
【0052】
実施例5
定温での様々なポリマーにおける化合物Iの混和性を分析した。
【0053】
化合物I及びポリマーを混合して、10重量%化合物I及び90重量%ポリマーである混合物を生成した。均一な混合物をHaake(登録商標)MiniLabベンチトップ押出機を用いて押し出した。送り速度は1〜2g/分の間で一定しており、スクリュー回転数は100RPMに設定した。混合物は2つの異なる温度、すなわち、それぞれ160及び200℃で押し出した。押出成形物を、PXRDパターン及び目視観察により混和、部分的非混和、非混和に分類した。
【0054】
本出願人は、化合物Iは160℃で溶融押出した場合、他のポリマーと比べてコポビドンにおいて高い可溶性/混和性を有することを見出した(表2)。
【0055】
実施例6
2つの製剤、1つはコロイド状二酸化ケイ素を含まない、1つはコロイド状二酸化ケイ素を含む製剤(それぞれ実施例6a及び6b)は、次のように生成した。
【0056】
製剤は、10〜15g/分の一定送り速度、150rpmのスクリュー回転数、及び160〜185℃の範囲の処理温度で、Leistriz(登録商標)Micro18実験室スケール押出機を用いて処理した。押し出しすると、押出成形物を微粉末に粉砕し、試験及び評価目的で硬ゼラチンカプセルに充填した。製剤は両方とも、110〜120℃の範囲のガラス転移温度及び非晶質PXRDパターンを示した。製剤は両方とも、類似したインビトロ放出プロファイルを提供した。
【0057】
コロイド状二酸化ケイ素を含む製剤は、コロイド状二酸化ケイ素を含まない製剤と比較して、通常の条件下で最大4時間安定であることが見出され、AUC及びCmaxも向上した(表3参照)。
【0058】
実施例7
以下の評価は、モノステアリン酸グリセリンの添加が製剤の加工性を向上させることを示した(表5)。
【0059】
実施例8
本出願人はまた、界面活性剤及びポリマーの選択も、AUC及びCmaxに有意な影響を与えることも見出した。コポビドン及びラウリル硫酸ナトリウムを含有する以下の固体分散体製剤は、ポビドン及びモノステアリン酸グリセロールを含有する固体分散体製剤と比べて、より高いAUC及びCmaxを提供した(表6参照)。
【0060】
実施例9〜11
溶融押出成形物からより高いバイオアベイラビリティを同様に提供したSLSなどの溶解剤と比べて、DOSSを含有する錠剤はより良好なインビトロ放出を提供した。これは、DOSSが驚くべきことに放出調整剤として機能することを示唆するものである。
【0061】
実施例12〜18
固体分散体製剤に溶解剤を添加する方法は、溶解速度及び薬物回復に有意な影響を与える。ドキュセートナトリウム85%(15%安息香酸ナトリウムを含有するジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)の粒内添加は、より高い溶解速度及び回復を提供した。
【0062】
実施例19
この例は、化合物Iを含む本発明の製剤を記載する。
1.これらの4つの成分は、ライストリッツ押出機を通して処理(押し出)された粉末混合物の成分であった。
2.15%安息香酸ナトリウムを含有するジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
3.完全コーティングシステム
【0063】
化合物I、コポビドン、ドキュセートナトリウム85%及びコロイド状二酸化ケイ素を混合し、Leistriz Micro18実験室スケール押出機を用いて押し出した。送り速度は、10〜15g/分の間で一定しており、スクリュー回転数は150RPMに設定した。処理温度は、160〜185℃の間に設定した。押出成形物を粉砕し、外部成分−コロイド状二酸化ケイ素及びベヘン酸グリセロール−を添加し、適切な粉末混合機を用いて15分間混合した。混合物を、110〜180N硬度の範囲の硬度で錠剤に圧縮した。錠剤は、オパドライIIピンク完全コーティングシステムでコーティングした。
【0064】
実施例20
この例は、化合物IIを含む本発明の製剤を記載する。製剤の内容は次の通りである。
【0065】
製剤は、HME法(Ghebre−Sellassie,I.及びC.Martin、Pharmaceutical Extrusion Technology、Marcel Dekker、2003)を用いて調製した。化合物II、コポビドン及びHPMC−ASを混合し、混合物を160℃で押し出した。得られた押出成形物は手で粉砕した。コロイド状二酸化ナトリウム、微結晶セルロース、ポリプラスドンXL、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムを、粉砕した押出成形物に外添し、一緒に混合して均一な混合物を得た。
【0066】
実施例21〜32a
以下は、化合物IIが非晶質体で含有される化合物IIを含む追加の組成物である。量は組成物の重量%で表される。
【0067】
実施例32b〜47
以下は、化合物IIが非晶質体で含有される化合物IIを含む追加の組成物である。量は組成物の重量%で表される。実施例43を例外として、各組成物を錠剤に充填し、錠剤の75.5重量%が組成物であった。実施例36及び41の組成物を用いて形成した錠剤は、崩壊を示さなかった。実施例32b〜35、37〜40、42、及び44〜47の組成物を用いて形成した錠剤は、崩壊を示した。実施例43については、60重量%〜75重量%で組成物を含有する錠剤は、崩壊を示さなかった。
【0068】
実施例48
この例は、熱溶融押出により調製した、HPMCASの異なるグレード及び異なるポリマー比を利用する本発明の製剤を記載する。製剤の組成は表11に示されている。製剤48Aは、薬物及びコロイド状二酸化ケイ素をタンブルブレンドし、この後、0.055スクリーンを備えた回転式インペラーミルを用いて塊を粉砕し(delumping)、ポリマー賦形剤と最終混合して調製した。溶融押出は、175℃の処理温度で3mmダイを備えた20:1構成のライストリッツ18mmツインスクリュー共回転押出機を用いて実施した。製剤48B及び48Cは、溶融押出の前に薬物及びポリマー賦形剤をタンブルブレンドして製造した。溶融押出は、175℃の温度に維持したHaake Minilab円錐ツインスクリュー押出機を用いて実施した。
【0069】
押出後、全ての分散体を粉砕し、サイズ約250ミクロン未満を有する微粉末に選別し、2段階溶解試験を適用した非シンク条件下での溶解実績について試験した。250mg等量の化合物IIを含有する粉末として試験した各製剤の溶解プロファイルは、光ファイバープローブ及びpH変化方法を実行するUSP装置II 6ベッセル溶解アセンブリを用いてモニターした。第1段階媒体は、総容量約500ml、酵素なしのpH2人工胃液であった。第2段階媒体は、第1段階の酸性容量に濃縮物を添加して総容積約1000mlを得ることにより得た、pH6.5の生体関連FaSSIF媒体であった。図1に示された各製剤のプロファイルは、化合物IIの結晶可溶性より大きい溶液中薬物レベルを示している。
【0070】
製剤A及び製剤Cの溶融押出固体分散体もまた、75mg API/kgの用量で、pH4.0、2.0%ヒドロキシプロピルセルロースビヒクル中の75mg/ml合計固体経口懸濁液としてビーグル犬(n=6)に投与した。化合物IIの薬物動態測定値は、表12に示されている。
【0071】
実施例49
この例は、175℃で熱溶融押出により調製した場合、実質的に非晶質状態で分散体内に含有される化合物IIの量を増加させるために、異なるコポビドン:HPMCAS−HF比を利用した本発明の製剤を記載する。各製剤の組成は、重要な製品及びプロセス特質と共に13に示されている。製剤49A、49B、49C及び49Dは、溶融押出の前に薬物及びポリマー賦形剤をタンブルブレンドして製造した。溶融押出は、175℃の温度及び360rpmのスクリュー回転数に維持したHaake Minilab円錐ツインスクリュー押出機を用いて実施した。ダイ出口からの透明なアンバーガラスの外観を用いて非晶質材料を同定し、固体分散体の粉砕された粉末試料で行ったX線回析試験により追認した。製剤49A及び製剤49Cの代表的な回析パターンは、図2に示されている。
図1
図2