特許第5936761号(P5936761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッドの特許一覧

特許5936761組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート
<>
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000002
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000003
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000004
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000005
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000006
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000007
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000008
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000009
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000010
  • 特許5936761-組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936761
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイート
(51)【国際特許分類】
   B64D 11/06 20060101AFI20160609BHJP
   B60N 2/34 20060101ALI20160609BHJP
   B60N 2/46 20060101ALI20160609BHJP
   A47C 17/16 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   B64D11/06
   B60N2/34
   B60N2/46
   A47C17/16 Z
【請求項の数】14
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-500551(P2015-500551)
(86)(22)【出願日】2013年3月13日
(65)【公表番号】特表2015-511557(P2015-511557A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】US2013030794
(87)【国際公開番号】WO2013138442
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】61/610,529
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/610,521
(32)【優先日】2012年3月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500413696
【氏名又は名称】ビーイー・エアロスペース・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】B/E Aerospace, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】特許業務法人快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォレス アンドリュー ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ラター ポール ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】ミッチェル アンドリュー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】プラント トミー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ポジ アレクサンダー ニコラス
【審査官】 志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0097553(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02454751(GB,A)
【文献】 特表2009−520638(JP,A)
【文献】 特表2007−514580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 11/06
B60N 2/34
B60N 2/46
A47C 17/16 − 17/213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機の乗客用スイートであって、
直立座席位置と水平ベッド位置との間で移動するように構成された背もたれ部と座底部とを備える座席と、
前記座席から離れて配置されたオットマンであって、前記座席が前記座席位置にあるときに足載せ台となり、前記座席が前記水平ベッド位置にあるときにベッド表面となるオットマンと、
前記座席に沿って配置された第1アームレストアセンブリであって、アームレストと、前記アームレストが上側水平アームレスト位置と下側水平ベッド位置との間で移動するように取り付けられるアームレストハウジングとを備える第1アームレストアセンブリと
前記座席に沿って配置された第2アームレストアセンブリと、を備え、
前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、及び前記第1アームレストアセンブリは、前記座席が前記水平ベッド位置にあり、前記第1アームレストアセンブリが前記下側水平ベッド位置にあるときベッドを形成するべく、水平方向に位置を合わせて存在し、
前記第2アームレストアセンブリは、
アームレストと、
前記アームレストが上側水平アームレスト位置と下側水平ベッド位置との間で移動するように取り付けられるアームレストハウジングと、
上側ベッド表面を有し、収納位置と展開位置との間で移動するように前記アームレストハウジング内に取り付けられた平坦なベッド拡張部とを備え、
前記収納位置では、前記ベッド拡張部は、前記アームレストハウジング内において垂直位置で収容され、前記展開位置では、前記ベッド拡張部は、前記上側ベッド表面が前記アームレストの上側水平表面と水平方向に位置を合わせた状態となる昇位水平位置で前記アームレストハウジングの外部に配置され、
前記第1アームレストアセンブリ及び前記第2アームレストアセンブリの各々のアームレストが前記下側水平ベッド位置にあり、かつ前記ベッド拡張部が昇位にあるとき、前記第2アームレストアセンブリの前記アームレスト及び前記平坦なベッド拡張部は、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、及び前記第1アームレストアセンブリの前記アームレストに水平方向に位置を合わせて存在することを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項2】
請求項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
乗客の生活領域を定める仕切壁を更に備え、
前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が水平ベッド位置にあるとき、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が協働して、前記乗客の生活領域の全体を実質的に占めるベッドを形成することを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項3】
請求項又はに記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記第2アームレストアセンブリに沿って配置されたクローゼットを更に備える、航空機の乗客用スイート。
【請求項4】
請求項からのいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記ベッド拡張部が、水平直線スライド上を移動するように取り付けられ、その移動によって、前記ベッド拡張部が展開するように前記アームレストの前側開口から押し出されることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項5】
請求項からのいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記アームレストと前記ベッド拡張部との間の相互接続部が、初めに前記ベッド拡張部を前記アームレストハウジングから展開し、その後、前記アームレストを前記垂直位置から前記昇位水平位置に移動させることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項6】
請求項からのいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記第1アームレストアセンブリの前記アームレスト及び前記第2アームレストアセンブリの前記アームレストの各々が、直線スライドに沿ってそれぞれのハウジングに対して垂直に移動することを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項7】
請求項1からのいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記スイートの開口を開閉するべく開位置と閉位置との間で摺動可能なプライバシースクリーンを更に備える、航空機の乗客用スイート。
【請求項8】
請求項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記プライバシースクリーンが、前記プライバシースクリーンに対して所望の程度の照明及び色を与えるべく制御可能な照明要素を備えることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項9】
請求項又はに記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記プライバシースクリーンが、透光性であることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項10】
組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイートであって、
直立座席位置と水平ベッド位置との間で移動可能な背もたれ部と座底部とを備える座席と、
前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記座席の前記水平ベッド位置の表面積を拡張するように、前記背もたれ部から離れて配置されたオットマンと、
前記座席に沿って配置された第1アームレストアセンブリであって、前記第1アームレストアセンブリは、ハウジングに対して垂直方向に移動するように取り付けられたアームレストを備え、前記アームレストは、前記アームレストが完全に下げられて前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在する、第1アームレストアセンブリと、
前記座席に沿って配置された第2アームレストアセンブリであって、前記第2アームレストアセンブリは、ハウジングに対して垂直方向に移動するように取り付けられたアームレストを備え、前記アームレストは、前記アームレストが完全に下げられて前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在し、前記第2アームレストアセンブリは、そこから展開可能なベッド拡張部を更に備え、前記ベッド拡張部は、前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在する、第2アームレストアセンブリとを備え、
前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部は、前記水平ベッド位置において実質的に連続的で平坦なベッド表面を形成することを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項11】
請求項10に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記ベッド拡張部は、上側ベッド表面を有し、収納位置と展開位置との間で移動するように前記アームレストハウジング内に取り付けられ、
前記収納位置では、前記ベッド拡張部は、前記アームレストハウジング内において垂直位置で収容され、前記展開位置では、前記ベッド拡張部は、昇位水平位置で前記アームレストハウジングの外部に配置されることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記スイートの通路側に沿って配置され、前記スイートにプライバシーを提供するために開位置と閉位置との間で摺動するべく構成されたプライバシースクリーンを更に備え、
前記プライバシースクリーンは透光性であり、かつ前記プライバシースクリーンに対して所望の程度の照明及び色を与えるべく制御可能な照明要素を備える、航空機の乗客用スイート。
【請求項13】
請求項10から12のいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記スイートが、スイートの生活領域を定める複数の壁によって画定され、
前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が協働して、水平ベッド座席位置において実質的に連続的で水平なベッド表面を形成することを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【請求項14】
請求項10から13のいずれか一項に記載の航空機の乗客用スイートであって、
前記ベッド拡張部は、展開されたときに、前記オットマン、前記座底部、及び前記第2アームレストアセンブリの前記アームレストの間のギャップを埋めることを特徴とする航空機の乗客用スイート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレミアムクラスの航空機の乗客用座席に関し、特に、乗客の生活領域が画定された航空機の乗客用スイートであって、スイート内の座席及び他の表面が、実質的に乗客の生活領域の床空間の全体を占めるベッドを協働して形成するべく調整できる乗客用スイートに関する。
【背景技術】
【0002】
長距離の国際航空会社は、一般的には乗客に、エコノミークラス、ビジネスクラス、及びプレミアムクラスの3つのクラスのサービスを提供する。エコノミークラスは、アメニティは最小限として比較的低料金で大半の乗客に対応し、ビジネスクラスは、アメニティを増やして比較的少ない数のより高い料金を支払う乗客に対応し、プレミアムクラスは、高品質の食事と飲み物、広い客室座席領域等を含むぜいたくなアメニティを提供して比較的高い料金で比較的少数の乗客に対応する。大型の長距離用航空機の出現とともに、高い料金を支払う余裕のあるプレミアムクラスの乗客が、広い空間、プライバシー、及びより効率的な作業領域を移動手段に求めることに応じるために、より広い空間が利用可能となった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来型の長距離のプレミアムクラスの収容設備は、一般的には比較的大きい座席を備え、その座席は、離陸時、着陸時、及び食事時のための完全直立位置と、部分的にリクライニングしたリラクゼーション用の位置と、背もたれ部、座底部、及び足載せ台が概ねフルフラットな横臥用形態に延びてベッドを形成する完全リクライニング位置との間での広い移動範囲にわたって動く。これらの座席ユニットでは、ベッドのサイズが、背もたれ部、座底部、及び足載せ台の合わせた全表面積によって限定されている。そのため、そのベッドは一般的には狭い幅と短い長さしか有しておらず、これが乗客の動きを制限するとともに、乗客にはただ一つの姿勢で眠ることを強いていた。更に、ベッドの形成のために座席のみしか使用されないので、座席に隣接する硬い表面が露出されたままとなるので、乗客がそのような表面に接した場合に睡眠の快適さが損なわれることになる。従来技術の長距離のプレミアムクラスの収容設備は、一般的にはある程度のプライバシーしか提供しないので、それにより睡眠の快適さが更に損なわれる。
【0004】
したがって、必要とされているのは、乗客の睡眠の快適さとプライバシーを大幅に向上させることで従来技術のプレミアムクラスの収容設備の欠点を克服した、プレミアムクラスの乗客用スイートである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、乗客の睡眠の快適さを向上させるため、表面積の大きい、プレミアムクラス航空機乗客用スイートのベッドを提供することである。
【0006】
本発明の更なる目的は、スイート内の複数の表面が大型のベッドを協働して形成するべく調整できるプレミアムクラスの乗客用スイートを提供することである。
【0007】
本発明の更なる目的は、睡眠中の乗客のために完全なプライバシーを提供するプレミアムクラスの乗客用スイートを提供することである。
【0008】
本発明の更なる目的は、航空機のプレミアムクラスにおけるスイートの密度を最大化するべく入れ子式配置になるプレミアムクラスの乗客用スイート群を提供することである。
【0009】
これらの及び他の目的及び利点は、航空機の乗客用スイートであって、直立座席位置と水平ベッド位置との間で移動するように構成された背もたれ部と座底部とを備える座席と、前記座席から離れて配置されたオットマンであって、前記座席が前記座席位置にあるときに足載せ台となり、前記座席が前記水平ベッド位置にあるときにベッド表面となるオットマンと、前記座席に沿って配置された第1アームレストアセンブリであって、アームレストと、前記アームレストが上側水平アームレスト位置と下側水平ベッド位置との間で移動するように取り付けられるアームレストハウジングとを備える第1アームレストアセンブリとを備え、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、及び前記第1アームレストアセンブリは、前記座席が前記水平ベッド位置にあり、前記第1アームレストアセンブリが前記下側水平ベッド位置にあるときベッドを形成するべく、水平方向に位置を合わせて存在することを特徴とする航空機の乗客用スイートを提供することにより達成される。
【0010】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記座席に沿って配置された第2アームレストアセンブリを更に備えていてもよく、ここで、前記第2アームレストアセンブリは、アームレストと、前記アームレストが上側水平アームレスト位置と下側水平ベッド位置との間で移動するように取り付けられるアームレストハウジングと、上側ベッド表面を有し、収納位置と展開位置との間で移動するように前記アームレストハウジング内に取り付けられた平坦なベッド拡張部とを備え、前記収納位置では、前記ベッド拡張部は、前記アームレストハウジング内において垂直位置で収容され、前記展開位置では、前記ベッド拡張部は、前記上側ベッド表面が前記アームレストの上側水平表面と水平方向に位置を合わせた状態となる昇位水平位置で前記アームレストハウジングの外部に配置され、前記第1アームレストアセンブリ及び前記第2アームレストアセンブリの各々のアームレストが前記下側水平ベッド位置にあり、かつ前記ベッド拡張部が昇位にあるとき、前記第2アームレストアセンブリの前記アームレスト及び前記平坦なベッド拡張部は、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、及び前記第1アームレストアセンブリの前記アームレストに水平方向に位置を合わせて存在する。
【0011】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、乗客の生活領域を定める仕切壁を更に備えていてもよく、ここで、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が水平ベッド位置にあるとき、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が協働して、前記乗客の生活領域の全体を実質的に占めるベッドを形成する。
【0012】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記第2アームレストアセンブリに沿って配置されたクローゼットを更に備えていてもよい。
【0013】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記座席の前側仕切壁に配置されたビデオモニタを備えていてもよい。
【0014】
本発明の更なる実施形態によれば、前記ベッド拡張部が、水平直線スライド上を移動するように取り付けられていてもよく、その移動によって、前記ベッド拡張部が展開するように前記アームレストの前側開口から押し出されてもよい。
【0015】
本発明の更なる実施形態によれば、前記アームレストと前記ベッド拡張部との間の相互接続部が、初めに前記ベッド拡張部を前記アームレストハウジングから展開してもよく、その後、前記アームレストを前記垂直位置から前記昇位水平位置に移動させてもよい。
【0016】
本発明の更なる実施形態によれば、前記第1アームレストの前記アームレスト及び前記第2アームレストの前記アームレストの各々が、直線スライドに沿ってそれぞれのハウジングに対して垂直に移動してもよい。
【0017】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記スイートの開口を開閉するべく開位置と閉位置との間で摺動可能なプライバシースクリーンを更に備えていてもよい。
【0018】
本発明の更なる実施形態によれば、前記プライバシースクリーンが、前記プライバシースクリーンに対して所望の程度の照明及び色を与えるべく制御可能な照明要素を備えていてもよい。
【0019】
本発明の更なる実施形態によれば、前記プライバシースクリーンが、透光性であってもよい。
【0020】
本発明の更なる実施形態によれば、2以上の同様の航空機の乗客用スイートが、列を形成するべく入れ子式に配置されていてもよい。
【0021】
本発明の別の実施形態によれば、本明細書において提供されるのは、直立座席位置と水平ベッド位置との間で移動可能な背もたれ部と座底部とを備える座席と、前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記座席の前記水平ベッド位置の表面積を拡張するように、前記背もたれ部から離れて配置されたオットマンと、前記座席に沿って配置された第1アームレストアセンブリであって、前記第1アームレストアセンブリは、ハウジングに対して垂直方向に移動するように取り付けられたアームレストを備え、前記アームレストは、前記アームレストが完全に下げられて前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在する、第1アームレストアセンブリと、前記座席に沿って配置された第2アームレストアセンブリであって、前記第2アームレストアセンブリは、ハウジングに対して垂直方向に移動するように取り付けられたアームレストを備え、前記アームレストは、前記アームレストが完全に下げられて前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在し、前記第2アームレストアセンブリは、そこから展開可能なベッド拡張部を更に備え、前記ベッド拡張部は、前記座席が前記水平ベッド位置にあるときに前記背もたれ部及び前記座底部と水平方向に位置を合わせて存在する、第2アームレストアセンブリと、によって協働して形成される組み合わせベッドを備える航空機の乗客用スイートであって、ここで、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部は、前記水平ベッド位置において実質的に連続的で平坦なベッド表面を形成する。
【0022】
本発明の更なる実施形態によれば、前記ベッド拡張部は、上側ベッド表面を有し、収納位置と展開位置との間で移動するように前記アームレストハウジング内に取り付けられていてもよく、前記収納位置では、前記ベッド拡張部は、前記アームレストハウジング内において垂直位置で収容され、前記展開位置では、前記ベッド拡張部は、昇位水平位置で前記アームレストハウジングの外部に配置される。
【0023】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記スイートの通路側に沿って配置され、前記スイートにプライバシーを提供するために開位置と閉位置との間で摺動するべく構成されたプライバシースクリーンを備えていてもよい。
【0024】
本発明の更なる実施形態によれば、前記プライバシースクリーンは透光性であり、かつ前記プライバシースクリーンに対して所望の程度の照明及び色を与えるべく制御可能な照明要素を備えていてもよい。
【0025】
本発明の更なる実施形態によれば、前記スイートは、前記スイートが、スイートの生活領域を定める複数の壁によって画定されていてもよく、ここで、前記背もたれ部、前記座底部、前記オットマン、前記アームレスト、及び前記ベッド拡張部が協働して、水平ベッド座席位置において実質的に連続的で水平なベッド表面を形成する。
【0026】
本発明の実施形態は、上記の特徴の1つ又は複数又はその任意の組み合わせを含み得る。
【0027】
本発明は、以下の発明の詳細な説明を添付の図面を参照して読んだときに最もよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態による入れ子式に配置される乗客用スイートの頭上側からの斜視図である。
図2図2は、ベッドが収納された状態で示された図1のスイートの上面図である。
図3図3は、ベッドが展開された状態で示された図1のスイートの上面図である。
図4図4は、ベッドを示すために透明にあらわされた、スイートを画定する仕切壁が示された図1のスイートの斜視図である。
図5図5は、スイートの入口ドアが閉じられた状態で示された、図1のスイートの側部及び上部の斜視図である。
図6図6は、右手アームレスト内のその収納位置にあるベッド拡張部を示す、座席側からのアームレストの簡略化した図である。
図7図7は、右手アームレストから垂直位置に取り出されたときのその初期位置にあるベッド拡張部を示す、座席側からのアームレストの簡略化した図である。
図8】右手アームレストと同じ水平レベル及びそれに隣接したところでその展開位置にあるベッド拡張部を示す、座席側からのアームレストの簡略化した図である。
図9図9は、座席側からみた座席アセンブリのアームレストの、明確化のために部分切り欠きとした側立面図である。
図10図10は、通路側からみた座席アセンブリのアームレストの、明確化のために部分切り欠きとした側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の例示的な実施形態が示された添付の図面を参照して、本発明についてより完全に説明する。しかし、本発明は、多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載する代表的な実施形態に限定されるものと解すべきではない。本開示が徹底的かつ完全となり、本発明の範囲を全て伝達して当業者による本発明の製造、使用、及び実施を可能ならしめるものとなるように、例示的な実施形態が提示される。種々の図面にわたって、類似の参照番号は類似の要素を表す。
【0030】
ここで図面を参照すると、プレミアムクラスの航空機の乗客用スイートは、全体に符号10を付して示されている。スイート10は、商用航空機のプレミアムクラスセクションに展開することができ、図1に示すように他の同様のスイートと入れ子式に配置されるように構成される。図に示すように、スイート10は、座席の長手軸が航空機の長手軸と概ね平行となるように配置されるが、他の方向に向けることも想定される。複数のスイートは、スイートの列を形成するべく末端同士を結合して配置することができる。スイートは、1つ又は複数の客室内部壁に対向するように配置されてもよい。スイートは、航空機の幅に応じて航空機の中心線の周囲に配置することもできる。隣接する平行な列は、客室全体にわたる移動のため並びにスイートへの入室及び退室を容易にするための通路によって分離される。
【0031】
スイートの座席12は、フルフラットにすることが可能な座席であって、背もたれ部14と座底部16とを備え、垂直な、地上走行、離陸、及び着陸用位置と、背もたれ部14及び座底部16が協働して概ね平坦なベッド表面を形成する水平なフルフラット位置との間で選択的に移動可能に構成される。座席の移動は、従来の機構によって達成され得る。座席12はスイートの1つの角部に配置され、オットマン18は前壁に沿って設けられ、オットマンの幅広い部分は、座席とは反対側の角部に配置される。オットマン18の幅広い部分は、スイートの訪問者のための一時的な座席としての役割を果たし得る。左右のアームレストアセンブリ20、22は座席12に沿って配置され、後述するベッド拡張部を形成するべく垂直方向に調整できるように構成される。クローゼット24は通路に沿ったアームレスト20の右側に沿って配置され、物の保管、スイートの制御部の収容、作業表面26の提供等のために構成される。クローゼット24は、通路壁の一部もなす。ビデオモニタ28は、最適な視野角のために座席の直前の前側仕切壁上に取り付けられる。
【0032】
仕切壁は、スイートを外囲し、かつ乗客の生活領域又は空間を画定する。他のアメニティのなかで乗客の生活領域に含まれるのは、座席12、クローゼット24、オットマン18、アームレスト20、22、及び床空間である。仕切は、スイートの開口を除いて1つの連続した壁を形成するべく配置された複数の壁を含み得る。1つのスイートの壁は、隣接するスイートの壁の役割を果たしてもよい。例えば、1つのスイートの後側仕切壁が、隣接するスイートの前側仕切壁の役割を果たしてもよい。仕切壁は、床から、直立位置にあるときの背もたれ部14の上部と概ね同じ高さまで延在する。壁の高さは、プライバシーを向上させるように又は緩めるようにスイートを設計する際には、高くされるか又は低くされ得る。
【0033】
座席12からオットマン18までの距離は、クローゼット24からビデオモニタ28までの距離より長い。この配置では、乗客の快適さおよびプライバシーを向上させるために座席12とオットマン18の各々にポケットが形成される。座席12をクローゼット24に対して僅かに後方に移動させることにより、座席が垂直形態又はベッド形態のいずれにあるときでも乗客がクローゼットを完全に使用することも可能となる。
【0034】
スイートの開口は、スイートのクローゼット側に沿って設けられ、入室/退室を容易にするべく通路に向かって開口する。図に示すように、通路がクローゼット24とオットマン18との間に設けられる。艶消し仕上げされた透光性のプライバシースクリーン30等のドアは、スイートの通路側に沿って開位置と閉位置の間で摺動し、スイートを航空機客室の残部からスイートを分離する。スイート10の全体はプライバシー壁によって外囲され、プライバシー壁はプライバシースクリーン30と協働して、スイートの占有者に所望の程度のプライバシーを与える。プライバシースクリーン30は、床トラックに沿って摺動してもよく、又は壁トラックから懸吊されてもよい。プライバシースクリーン30は、好ましくは通路への突出を最小にするような名目厚さを有する。
【0035】
例えば発光ダイオード等のライトは、プライバシースクリーン30の1つ又は複数の縁部に又はその周辺に取り付けられ、それらが照らされるときには、ライトはプライバシースクリーンを透過してスクリーンの色付き照明を提供する。スクリーンの開閉に応じてスクリーン照明の色を自動切り替えする能力によって、乗客又は乗務員がプライバシースクリーンの照明の色を選択し、「就寝中」、「次の食事のときに起こしてください」、「乗務員呼び出し中」等の情報を伝えることが可能となる。プライバシースクリーンの開閉を示すために、色は、乗務員によって又はコントローラで自動的に特定の色に固定することもできる。
【0036】
プライバシースクリーン30は、不透明であっても、透光性であっても、又は透明であってもよい。これらの透光条件のいずれにおいても、プライバシースクリーン30は、RGB発光ダイオード(LED)等の赤/緑/青光源を備えていて良い。LEDは、乗客が照明の強度やプライバシースクリーン30の色を変えることが可能となるように、又は客室の乗務員に対して表示するメッセージを乗客が選択することが可能となるように乗客によって制御可能であるのが好ましい。同様に、乗務員は就寝中の乗客に対してメッセージをLEDによって中継して伝える能力を有していてよい。プライバシースクリーン30は、図示されたスイートに限定されず、本出願に記載された他の特徴が用いられているか否かに関わりなく、あらゆる適切なファーストクラス又はビジネスクラスの座席エンクロージャとともに使用することができる。
【0037】
座席形態にあるとき、例示的実施形態の座席12は、そのユニットが航空機の長手軸に概ね沿った向きにある状態で1.6mの座席ピッチを提供する。これによって、窓から外を眺めることが可能な、従来の前方向きの座席の配置が可能となる。座席12は、背もたれ部14及び座底部16をリクライニングさせることによって、図1及び図2に示す座席形態から図3及び図4に示す就寝用形態へと変換され、比較的高身長の乗客でも完全に倒した位置で横たわることができる十分に長い長さ寸法を提供する。スイート要素は、背もたれ部14、座底部16、アームレストアセンブリ20、22、オットマン18、及びベッド拡張部32が全体で形成する形態を有するベッドに再構成される。例示的な実施形態では、ベッドは、リクライニング状態での2.1mの長さを提供するとともに、より小さい幅しか必要ない頭領域及び足領域を除き全座席幅が広くなっている。これは、アームレストアセンブリ20、22を低くして、リクライニングされた背もたれ部14及び座底部16と同じ高さレベルにすることによって達成される。ベッド拡張部32は、座席用位置にあるときには右アームレストアセンブリ20に収容され、外向き及び上向きに拡張して、図3に示すようにベッドの胴体及び上側足領域に追加の幅を提供する。
【0038】
座席位置と就寝位置との間の再構成は、迅速かつ隣の乗客に迷惑をかけずに達成することができる。座席位置と就寝位置は各座席ごとに完全に独立しており、あらゆる乗客の組み合わせが、飛行中に座席位置又は就寝位置のいずれかの状態にあってもよい。また、座席の方向を変えることによって空間の利用率を向上させていた多くの従来の形態とは異なり、空間の利用率の向上を全ての乗客が前方を向いて座っている状態で達成することができる。図5に示すように、プライバシースクリーン30をスイート10のオットマン側に向かって摺動させて、座席位置又は就寝位置のいずれかの状態にある乗客に追加のプライバシーを提供することができる。
【0039】
図3及び図4に示すようなベッドの構成では、座席12、オットマン18、左右のアームレストアセンブリ20、22、及びベッド拡張部32を含むスイート要素が再構成され、協働して表面積の広いベッドを形成する。スイート要素は、スイートの床空間全体に効果的に位置を占め又は覆っている。この広いベッド表面によって、従来型のフルフラット座席と比較して肩部及び腰部の幅を広げ長さを長くすることができ、睡眠中の乗客が自由に動くこと、寝返りを打つこと、睡眠の姿勢を変えることが可能となり、睡眠の快適さが向上する。スイート要素を再構成して、スイートを効果的に覆うベッドを形成することによって、座席に隣接する硬い表面は最小限となり、かつベッドの物品及び他の物品が床に落ち込むような開口及びギャップが無くなる。
【0040】
図6乃至図10を参照すると、右アームレストアセンブリ20は、座席形態にあるとき、乗客が腕を載せることができるレスト部の提供という通常の目的を果たすアームレスト34を有する。アームレストアセンブリ20はアームレストハウジング40を備えており、後述するように、アームレストアセンブリ20が垂直移動してそこに出入りするように構成されている。アームレスト34は、垂直スライドレール42、44上に取り付けられる。ケーブルプーリ46が、カウンタバランスケーブルを案内する。スピードコントローララック50は、過剰に速く展開するのを防止し、水平直線スライド52は、ベッド拡張部32をアームレストハウジング40の前部から押し出す手段を提供する。
【0041】
アームレストアセンブリ20の上部にある押しボタンコントロール54を押して、ベッド拡張部32を展開する。アームレストアセンブリ20は、回転ダンパ/スピードコントローラ56、水平スライダ最終ダンパ及び末端ストップ部58、垂直スライダカウンタバランスばね60、及び水平スライダばねモータ62も備える。ベッド拡張部32の展開は、アームレストアセンブリ20の移動によって手動で操作される。展開を開始するため、乗客又は客室乗務員はアームレスト34の押しボタンコントロール54を押し、これによってベッド拡張部32上のラッチが解除される。次にベッド拡張部32は、ばねモータ62によって前方に駆動される。ばねモータ62は収納位置で蓄勢され、解除されてベッド拡張部32を駆動してアームレストハウジング40から出す。ベッド拡張部32の動きは、水平直線スライド52によって案内され、固定的に取り付けられた回転ダンパ/スピードコントローラ56によってスピード制御される。回転ダンパ/スピードコントローラは、摺動するベッド拡張部32に、その機構の下側に設けられたケーブルプーリ46及び水平スピードコントローララック50を介して結合されている。
【0042】
図7に示すようにベッド拡張部32の水平方向の展開が終了すると、アームレスト34が自動的にロック解除されて、アームレストを垂直下向きに、完全ダウン位置においてラッチするまで押すことが可能となる。この動きによって垂直スライダカウンタバランスばね60が蓄勢され、これはカウンタバランスとして作用し、後にダウンラッチを解除したときアームレスト34をその上側位置に戻すために用いられる。
【0043】
アームレスト34をアームレストハウジング40内に下向きに動かすことで、図8に示すように、ベッド拡張部32の垂直位置から水平位置への回転も生ずる。これは、ベッド拡張部32を水平摺動キャリッジ66に結合する蝶番付きカンチレバー64によって達成される。アームレスト34が下向きに動くと、それがベッド拡張部32を強制的に下向きに動かすことにもなる。両者が、スライドレール・ベアリング装置によって一体に結合されているからである。下向きに駆動されると、ベッド拡張部32は、カンチレバー64の幾何学的形状によって摺動キャリッジ66の周囲のベアリング上を回転するように強制される。その回転は、ベッド拡張部がアームレスト34と水平方向に位置を合わせて配置されたとき終了する。図8に示すように、カンチレバー64は斜め外向きに延びて、ベッド拡張部32の外側縁部を支持する。
【0044】
加えて、アームレスト34の下向きの動きによって、図示されていない支持ペグが、ケーブル駆動装置を介してオットマン18の下から出るように駆動される。この支持ペグはカンチレバー状態のベッド拡張部32の下で延在して、必要な場合に追加の支持を与える。
【0045】
ベッド拡張部32を収納するためには、アームレストラッチが解除されて、アームレスト34が、垂直スライダカウンタバランスばね60によってその最上位置に戻るように駆動される。これが行われる際に、それによって支持ペグを引っ込めること、及びベッド拡張部32を回転して垂直位置に戻すことも行われる。最後に、乗客又は客室乗務員が、ベッド拡張部32をそれがラッチするまで手で摺動させてアームレストハウジング内に戻し、垂直スライダカウンタバランスばね60を再蓄勢する。
【0046】
アームレストアセンブリ20を参照して本発明を説明してきたが、アームレストアセンブリ22は、上述したものと同じアームレスト機能と機構を備えたものであり得、アームレストアセンブリ20に加えて又はそれの代わりに展開することができる。図3及び図4を参照されたい。アームレストアセンブリ22は、アームレストと一緒に動作するベッド拡張部を備えていないことに留意されたい。アームレストアセンブリ20のベッド拡張部32は、クローゼット20とオットマン18との間のギャップを埋める機能を果たし、スイートの内部壁側にはそのようなギャップは存在しない。
【0047】
スイートを占めるベッドを備えたプレミアムクラスの乗客用スイートについて上述した。本発明の種々の細部は、本発明の範囲を逸脱することなく変更することができる。更に、本発明の好ましい実施形態及び本発明の実施するための最良の形態の上述の説明は、例示のみを目的として提供されたものであり、限定を目的としたものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10