特許第5936768号(P5936768)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936768
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】電磁弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/06 20060101AFI20160609BHJP
【FI】
   F16K31/06 305R
   F16K31/06 305A
   F16K31/06 305J
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-510690(P2015-510690)
(86)(22)【出願日】2013年3月19日
(65)【公表番号】特表2015-517631(P2015-517631A)
(43)【公表日】2015年6月22日
(86)【国際出願番号】EP2013055629
(87)【国際公開番号】WO2013167305
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年11月6日
(31)【優先権主張番号】102012207584.4
(32)【優先日】2012年5月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ヘルマン
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−514600(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0121635(US,A1)
【文献】 英国特許出願公開第02295884(GB,A)
【文献】 国際公開第2008/056101(WO,A1)
【文献】 再公表特許第2004/085896(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁弁(100)であって、
弁ロッド(141)と、
該弁ロッド(141)を、第1の切換位置から第2の切換位置へと変位させる電磁的な操作装置(131,135,139)と、
前記弁ロッド(141)の変位に応じて異なる形状を有する、前記弁ロッド(141)を支持する支持装置(110,210,310,410)と、
ロック装置(121,122,123,125)とを備えており、前記弁ロッド(141)を第2の切換位置へと変位させるために前記電磁的な操作装置(131,135,139)が作動されると、可動な保持エレメント(121)がロック位置へと移動し、この位置で前記保持エレメント(121)は前記支持装置(110,210,310,410)に当接し、前記電磁的な操作装置(131,135,139)が非作動にされると前記保持エレメント(121)が前記ロック位置から離れるように、前記ロック装置が形成されていることを特徴とする、電磁弁。
【請求項2】
前記支持装置(110,210,310,410)は、前記支持装置(110,210,310,410)に作用する保持力が、前記弁ロッド(141)に作用する支持力に変換されるように形成されており、前記保持力と前記支持力の比は、前記弁ロッド(141)の変位に非線形に依存しており、前記ロック装置(121,122,123,125)は、前記保持力が、前記ロック位置へと移動された前記保持エレメント(121)によって前記支持装置(110,210,310,410)へと伝えられるように形成されており、前記保持エレメント(121)から前記支持装置(110,210,310,410)へと伝えられる前記保持力は、前記弁ロッド(141)に作用する前記支持力よりも小さいことを特徴とする、請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】
前記電磁的な操作装置は、前記弁ロッド(141)に結合された磁石可動子(135)と、ヨーク(131)と、励磁コイル(139)とを有していて、前記磁石可動子(135)と前記ヨーク(131)との間に戻しばね(137)が配置されており、
前記磁石可動子(135)と前記ヨーク(131)とは前記励磁コイル(139)によって磁化可能であって、これにより、前記磁石可動子(135)と前記ヨーク(131)との間に、前記戻しばね(137)の戻し力に抗する吸引力を発生させることができる、請求項1又は2記載の電磁弁。
【請求項4】
前記ロック装置は、前記保持エレメント(121)を前記ロック位置へと動かすばねエレメント(122)と、前記弁ロッド(141)に対して移動可能な可動子部分(125)と、別の戻しばね(127)とを有しており、前記移動可能な可動子部分(125)は前記保持エレメント(121)に支持されていて、前記別の戻しばね(127)は前記移動可能な可動子部分(125)と前記磁石可動子(135)との間に配置されており、
前記移動可能な可動子部分(125)は前記励磁コイル(139)によって磁化可能であって、これにより前記移動可能な可動子部分(125)と前記磁石可動子(135)との間に、前記別の戻しばね(127)の戻し力に抗する吸引力を発生させることができ、前記保持エレメント(121)は前記ばねエレメント(122)を介して前記ロック位置へと移動可能となる、請求項3記載の電磁弁。
【請求項5】
前記支持装置(110,210)はトグルレバー機構として形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項6】
前記支持装置が、2つの端部(111,113)と、該端部(111,113)を結合する結合ウェブ(112)とを備えたばねスリーブ(110)を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項7】
前記支持装置(310)は、ヒンジ(315)を介して結合される、互いに逆方向に可動な2つの支持エレメント(311)を有しており、これら支持エレメント(311)の間にはばねエレメント(319)が配置されていて、該ばねエレメント(319)は、前記弁ロッド(141)が第2の切換位置へと変位する際に、前記保持エレメント(121)が前記ロック位置へと移動可能となるように前記支持エレメント(311)を位置させる、請求項1から6までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項8】
前記支持装置(410)は、互いに反対方向に摺動可能な2つの支持エレメント(411)を有しており、該支持エレメント(411)の一方はヒンジ(416)を介して前記弁ロッド(141)に結合されており、前記支持エレメント(411)の他方はヒンジ(416)を介して、当該電磁弁に設けられた取り付け部分(165)に結合されていて、ばねエレメント(419)が前記支持エレメント(411)に配置されていて、該ばねエレメント(419)は、前記弁ロッド(141)が第2の切換位置へと変位するときに、前記保持エレメント(121)が前記ロック位置へと移動可能となるように前記支持エレメント(411)を位置させる、請求項1からまでのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項9】
前記支持装置(110,210,310,410)は、前記弁ロッド(141)の一方の端部に配置されていて、前記弁ロッド(141)は、反対側の端部に閉鎖エレメント(145)を有していて、該閉鎖エレメント(145)は移動可能に、かつばねエレメント(147)によってばね弾性的に、前記弁ロッド(141)に配置されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の電磁弁。
【請求項10】
第1の切換位置から第2の切換位置へと変位可能な電磁操作される弁ロッド(141)と、
保持力を、前記弁ロッド(141)に作用する支持力に変換することができるロック手段(110,121,122,123,125,210,310,410)であって、この場合、前記保持力と前記支持力とから成る比は、前記弁ロッド(141)の変位に非線形に依存しているロック手段と、を有しており、
該ロック手段(110,121,122,123,125,210,310,410)は、前記弁ロッド(141)が第2の切換位置に位置している状態で前記保持力を提供し、支持力に変換するように形成されており、提供される保持力は、前記弁ロッド(141)に作用する支持力よりも小さいことを特徴とする、電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁操作される弁ロッドを有した電磁弁に関する。弁ロッドは第1の切換位置から第2の切換位置へと変位することができる。
【0002】
背景技術
電気的に制御可能な磁石弁は例えば、自動車の冷却系において冷却媒体循環路を遮断又は切り換えるために使用される。このような形式の弁は各終端位置で(即ち、無通電又は通電)安定した切換位置をとることができるので、「デジタル」切換過程を実現することができる。公知の電磁弁は、変位可能な弁ロッドを有していて、この弁ロッドには強磁性の可動子と、シール円錐体の形の(少なくとも1つの)閉鎖エレメントが配置されている。励磁コイルに通電することにより、可動子と、これに対応する強磁性の対応極とを磁化することができ、これにより、これらの構成部分間に吸引力を発生させることができ、これにより弁ロッドは第1の切換位置から第2の切換位置へと変位することができる。弁ロッドに配置された閉鎖エレメントはこれにより弁座に向かって動くことができ、又は弁座から離れることができる。給電を遮断すると、戻しばねによって、かつ/又は冷却媒体の液圧によって、弁ロッドは再び第1の切換位置へと戻ることができる。無通電で開放される遮断弁又は切換弁として設けられているこのような原理で作動する弁は、独国特許出願公開第19754257号明細書、欧州特許第0653990号明細書、独国特許出願公開第19753575号明細書に記載されている。
【0003】
従来の電磁弁の欠点は、通電された切換位置で比較的高い電力消費が継続的に生じることにある。車両の冷却系において遮断弁を使用する場合、戻しばねの力に抗して、かつ液圧に抗して弁を閉鎖状態に維持するために、例えば20Nの範囲の閉鎖力を要することがある。これは12Vの車内電源電圧の場合、1Aの範囲の継続的な電力消費につながる。弁の閉鎖状態では、機械的作業が行われないので、弁の励磁コイルにおける電気的出力は完全に熱に変換される。このような損出出力は、昨今の効率化を求められる車両での使用を困難なものとする。コイルの寸法も、熱的な周辺条件により実質的に規定される。
【0004】
これに対し、電磁弁は、故障の際に安全な挙動を行うという利点を有している(フェイル・セーフ機能)。何故ならば、弁は、電気的出力供給がなくなった場合(例えば、コンタクト遮断、電圧降下、ケーブル破損、プラグ抜け等)自動的に、安定的で安全な切換位置(例えば開放位置)に切り換えられるからである。安定的な切換位置では電気的な出力消費が行われない別の構成の弁では、この機能はこれまで実現できていない、又は(やはり高い継続的な電力消費を伴う)付加的な機構を用いてしか実現できていない。従って、高い電気的損失出力にも関わらず、電磁弁は車両の冷却系において広く用いられている。
【0005】
発明の開示
本発明の課題は、フェイル・セーフ機能を完全に提供すると共に、1つの切換位置における継続的な高い電力消費を回避することができるような改善された電磁弁を提供することである。
【0006】
この課題は、独立請求項の特徴部に記載の構成により解決される。本発明の有利な別の構成は従属請求項に記載されている。
【0007】
本発明によれば、弁ロッドと、第1の切換位置から第2の切換位置へと弁ロッドを変位させる電磁的な操作装置と、弁ロッドを支持する支持装置とを備えた電磁弁が提案されている。支持装置は、弁ロッドの変位に応じて異なる形状を有する。この電磁弁はさらにロック装置を有しており、該ロック装置は、弁ロッドを第2の切換位置へと変位させるために電磁的な操作装置が作動されている状態で、可動な保持エレメントを、該保持エレメントが支持装置に当接するロック位置へと移動させ、電磁的な操作装置の非作動状態では、保持エレメントがロック位置から離れるように形成されている。
【0008】
この電磁弁では、電磁的な操作装置の作動により弁ロッドを第1の切換位置から第2の切換位置へと変位させることができる。(例えば戻しばねにより、かつ/又は液圧により生じる)戻し力に抗して行うことができる弁ロッドの変位は、支持装置の形状の変化を伴う。さらに、電磁的な操作装置の作動は、ロック装置が保持エレメントをロック位置へと動かし、これにより保持エレメントが支持装置に当接するという結果を伴う。これにより保持エレメントは、支持装置の形状の(逆方向への)変化に対抗することができ、これにより支持装置の安定性若しくは強度は増大する。この状態で、支持装置に支持された弁ロッドは確実に第2の切換位置で保持されることができる。このようにして支持装置の、ひいては弁ロッドのロックを実現することにより、操作装置を作動させるために、ひいては弁ロッドを変位させるために使用される電磁弁への電気的なエネルギ供給は、第2の切換位置への到達後は大幅に減じることができる。保持エレメントをロック位置にとどめるのは比較的小さい(若しくは最小の)電気エネルギ供給により可能である。
【0009】
さらに電磁弁は、故障の際に安全な挙動を有している。保持エレメントをロック位置に保持するために使用される減じられた電気エネルギの供給がなくなる(または下回られる)と、若しくは電磁的な操作装置が非作動にされると、保持エレメントはロック位置から離れる。これにより支持装置のロックは解除され、これにより弁ロッドは自動的に、若しくは戻し力によって再び第1の切換位置へと戻ることができる。
【0010】
好ましい構成では、支持装置に作用する保持力を、弁ロッドに作用する支持力に変換する支持装置が形成されている。保持力と支持力との比は、支持装置の形状に非線形に依存しており、ひいては弁ロッドの変位に非線形に依存している。ロック装置は、保持力が、ロック位置に移動される保持エレメントによって(のみ)支持装置に伝達されるように形成されている。この状態では、保持エレメントから支持装置へと伝達される保持力は、弁ロッドに作用する支持力よりも小さい。このような構成では、支持装置の(ひいては弁ロッドの)ロックを、保持エレメントと支持装置との間の比較的小さい保持力によって実現するために、支持装置の非線形の特性が利用される。この場合、この保持力を、支持装置と弁ロッドとの間のずっと大きな支持力へと変換することができる。同様に、支持装置に作用する弁ロッドによる大きな力(=支持力に対する反力)は、支持装置から保持エレメントへの小さな力作用(=保持力に対する反力)となる。これにより、保持エレメントは確実に、特に比較的小さな力で再びロック位置から離れることができる。
【0011】
支持装置は特に、弁ロッドと、電磁弁のハウジングの一部分との間に位置することができるので、支持装置はハウジングで支持することができる。さらに、第1の切換位置から第2の切換位置へと弁ロッドが変位する際には、支持装置の長手方向の寸法は拡大し、これに対して横方向の寸法は縮小する。この場合、(まず)支持装置の横方向の寸法の縮小により、保持エレメントがロック位置へと動くことが可能になる。この位置で支持装置に当接する保持エレメントは、支持装置の横方向の膨張、及びこれにより生じる長手方向の寸法の縮小に対して対抗することができる。
【0012】
別の好適な構成では、支持装置はトグルレバー機構として形成されている。このような構成により、上述したような保持力と支持力の非線形の特性を比較的簡単に実現することができる。
【0013】
これに関して、別の好適な構成では、支持装置が、2つの端部と、これらの端部を結合する結合ウェブとを備えたばねスリーブとを有している。ばねスリーブは例えば金属材料、例えばばね鋼から形成することができる。戻しばね作用を有するトグルレバー機構のこのような比較的単純で安価な構成では、ばねスリーブの各結合ウェブを、1つのトグルレバー機構の2つの脚の配置と考えることができる。相応の「旋回点」は端部と、各結合ウェブの領域とに設けることができる。この場合、ばねスリーブは弁ロッドの第1の切換位置では軸方向で収縮し、半径方向外側に向かって膨張することができる。第2の切換位置へ弁ロッドが変位した際には、ばねスリーブは自動的に、実質的に軸方向に伸びた、僅かにだけ外側に向かって膨張した形となっており、従って、第1の切換位置におけるよりも小さい横方向の寸法を有する。この状態で(のみ)ばねスリーブに当接する保持エレメントを介して、ばねスリーブには互い剛性を与えることができ、これにより軸方向の収縮を阻止することができる。保持エレメントの保持力はばねスリーブを介して、弁ロッドに作用する比較的大きな支持力に変換することができる。
【0014】
トグルレバー機構はばねスリーブではなく、別の形式で実現することもできる。可能な例としては、支持装置が2つの端部を有しており、この2つの端部が2つ以上の個所で、互いに隣接する2つの脚を介して結合されている。互いに隣接する脚の間と、それぞれ1つの脚と1つの端部との間には旋回点を、例えば膜ヒンジの形で設けることができる。このような形式の支持装置では、自動的に軸方向に伸びるようにするために、支持装置にさらに、2つの端部の間に付加的なばねエレメントを設けることができる。
【0015】
さらに、やはり非線形の特性が存在する支持装置の別の構成も考えられる。これについて別の好適な構成では、支持装置が、ヒンジを介して結合された、互いに反対方向に移動可能若しくは回転可能な2つの支持エレメントを有している。これらの支持エレメントの間にはばねエレメントが配置されており、このばねエレメントによって、弁ロッドが第1の切換位置から第2の切換位置へと変位する際に支持エレメントを、保持エレメントがロック位置へと移動することができるように配置することができる。このような支持装置も、保持エレメントの保持力を、弁ロッドに作用する比較的大きな支持力に変換するのに適している。
【0016】
このようなことは、支持装置が互いに反対方向に摺動可能な2つの支持エレメントを有している別の好適な構成にも当てはまる。これらの支持エレメントの一方は、ヒンジを介して弁ロッドに結合されている。これらの支持エレメントの他方はヒンジを介して、電磁弁に設けられた取り付け部分に結合されている。さらに、支持エレメントにはばねエレメントが配置されており、このばねエレメントによって、弁ロッドが第1の切換位置から第2の切換位置へと変位する際に支持エレメントを、保持エレメントがロック位置へと移動することができるように配置することができる。
【0017】
好適には、電磁的な操作装置は、弁ロッドに結合された磁石可動子と、ヨークと、励磁コイルとを有している。磁石可動子とヨークとの間には戻しばねが配置されている。磁石可動子とヨークとは、励磁コイルを介して磁化可能であり、これにより、磁石可動子とヨークとの間には、戻しばねの戻し力に抗する吸引力を発生させることができ、これにより、弁ロッドは第1の切換位置から第2の切換位置へと変位することができる。
【0018】
別の好ましい構成では、ロック装置が保持エレメントをロック位置へと動かすためのばねエレメントと、弁ロッドに対して移動可能な可動子部分と、別の戻しばねとを有している。移動可能な可動子部分は、支持装置をロックするために使用される保持エレメントに支持されている。別の戻しばねは、移動可能な可動子部分と、弁ロッドに配置された磁石可動子との間に配置されている。移動可能な可動子部分は(同様に)励磁コイルによって磁化可能であるので、移動可能な可動子部分と磁石可動子との間に、別の戻しばねの戻し力に抗する吸引力を発生させることができ、これにより保持エレメントは、これに所属のばねエレメントを介してロック位置へと動かされることができる。ロック装置のこのような構成により、保持エレメントを電磁的な操作装置の作動時に、(即ち励磁コイルの通電時に、)確実に支持装置のロック位置へと動かすことができる。操作装置の非作動時には、保持エレメントは再び確実にロック位置から離れることができる。この場合、移動可能な可動子部分と磁石可動子とは、別の戻しばねの作用により再び互いに離れ、これにより移動可能な可動子部分は保持エレメントをそのロック位置から離れるように押すことができる。
【0019】
支持装置のロック、ひいては弁ロッドのロックにより、弁ロッドが第2の切換位置へと変位した後、電磁弁への電気エネルギ供給若しくは励磁コイルへの給電を大幅に低減させることができる。減じられた、若しくは最小の給電により、移動可能な可動子部分と弁ロッドに配置された磁石可動子との間の吸引力を維持することができるので、保持エレメントはロック位置に留まる。給電が僅かであることによりさらに、励磁コイルを従来の電磁弁に比べて(ずっと)小さく設計することができる。
【0020】
移動可能な可動子部分と保持エレメントとの間の上述した支持は好適には可動なスリーブによって実現される。さらに保持エレメントは好適には、リング状のプレートとして形成されている。このような構成では、保持エレメントはロック位置で、支持装置を確実に取り囲んでいる。
【0021】
電磁弁は例えば切換弁であって良い。この場合、この弁は弁ロッド上の異なる位置に2つの閉鎖エレメントを有していて良く、特に互いに180°回転させられたシール円錐体の形で有していて良い。この場合、第1の切換位置では、閉鎖エレメントの一方が電磁弁に設けられた対応する弁座に当接して、これを閉鎖することができ、これに対して他方の弁座は閉じられていない。弁ロッドが第2の切換位置へと変位することにより、それ以前に閉じられていた弁座を開放させることができ、他方の弁座を、他方の閉鎖エレメントによって閉じることができ、これにより切換機能が実現される。
【0022】
さらに電磁弁を、弁ロッド上に単一の閉鎖エレメントが設けられている遮断弁として形成することもできる。これについて好適な構成では、支持装置が弁ロッドの一方の端部に配置されている。弁ロッドは他方の逆側の端部に閉鎖エレメントを有しており、この閉鎖エレメントは移動可能であって、ばねエレメントによってばね弾性的に弁ロッドに配置されている。弁に設けられた相応の弁座と協働することができる閉鎖エレメントのこのようなばね弾性的な配置により、構成部分の製造誤差を補償することができる。
【0023】
本発明によればさらに、電磁操作される弁ロッドを有した電磁弁が提案される。弁ロッドは第1の切換位置から第2の切換位置へと変位することができる。電磁弁はさらに、保持力を、弁ロッドに作用する支持力へと変換することができるロック手段を有している。保持力と支持力との比は、弁ロッドの変位に非線形に依存している。ロック手段は、弁ロッドが第2の切換位置に位置している状態で(のみ)保持力を提供し、弁ロッドに作用する支持力へと変換するように形成されている。この場合、提供される保持力は、弁ロッドに作用する支持力よりも小さい。
【0024】
ロック手段によって、弁ロッドを第2の切換位置でロックすることができ、これにより確実にこの位置に保持することができる。この場合ロックは、比較的小さい保持力で実現することができ、この保持力は非線形の特性により、弁ロッドに作用する(ずっと)大きな支持力に変換されることができる。ロックにより、弁ロッドの変位に使用される電磁弁に供給される電気エネルギは、第2の切換位置への到達後は大幅に低減させることができる。実質的に単にロック手段を介してロックを維持することが、減じられた(若しくは最小の)電気エネルギ供給という結果を伴う。同時に、故障時に安全な機能を提供することができる。このためには、減じられたエネルギ供給が遮断されると(又は下回られると)、ロック手段は保持力(及びこれによる十分な支持力)をもはや提供せず、これにより弁ロッドは自動的に、若しくは戻し力の影響により再び第1の切換位置へと戻れるようになっている。
【0025】
ロック手段を有した電磁弁のために、上記構成を相応の形式で使用することができる。特に、ロック手段を支持装置として、保持エレメントを備えたロック装置として実現することができる。
【0026】
本発明の、上述した構成及び/又は従属請求項に記載した好適な別の構成はさらに、例えば、明らかな従属関係の場合に又は両立できない選択的な場合に、個々に又は任意に互いに組み合わせた形で使用することができる。
【0027】
以下に添付の図面につき本発明を詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】支持装置としてばねスリーブを備えた電磁弁を開放状態で概略的に示した側面図である。
図2図1の電磁弁を閉鎖状態で概略的に示した側面図である。
図3図1の電磁弁を、閉鎖状態と開放状態の間の移行状態で概略的に示した側面図である。
図4】トグルレバー機構として形成された選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図5】トグルレバー機構として形成された選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図6】トグルレバー機構として形成された選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図7】ヒンジを介して結合された2つの支持エレメントを有した別の選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図8】ヒンジを介して結合された2つの支持エレメントを有した別の選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図9】互いに逆方向に摺動可能な2つの支持エレメントを有した別の選択的な支持装置を概略的に示した図である。
図10】互いに逆方向に摺動可能な2つの支持エレメントを有した別の選択的な支持装置を概略的に示した図である。
【0029】
図1には、電気的に制御可能な電磁弁100の開放状態における側面図が概略的に示されている。遮断弁として形成された弁100は特に、自動車の冷却媒体循環路内で使用することができ、2つのハウジング部分160,180を有している。以下では、磁極ポット若しくは磁極ハウジング160と弁ハウジング180とも記載するこれらのハウジング部分160,180は、これらハウジング部分160,180の間に配置された組み付けプレート170を介して互いに結合されている。
【0030】
媒体若しくは冷却液を貫流させるために形成されている弁ハウジング180は、内室と、非対称的に配置された2つの接続部181,182とを有している。ポンプによって圧送された冷却媒体を、図1で見て下方の接続部181から弁ハウジング180に供給することができ、側方の接続部182から導出することができる(図示せず)。
【0031】
弁ハウジング180は内室内に弁座155と、該弁座155と協働する、シール円錐体145の形の閉鎖エレメントとを有している。弁座155は、シールリングの形にエラストマ材料から形成することができる。弁座155を位置固定するために、弁ハウジング180内にはスペーサスリーブ185が配置されており、このスペーサスリーブ185によって弁座155を、下方の接続部181の領域に位置する弁ハウジング180のストッパに向かって緊締している。スペーサスリーブ185には、側方の接続部182に適合させられた開口部187が設けられている。図1にさらに示されているように、組み付けプレート170の下面にはシールパッキン175が設けられており、このシールパッキン175は、スペーサスリーブ185上に載置されており、スペーサスリーブ185を弁座155の方向に押し付けている。
【0032】
シール円錐体145は、摺動可能に支持された弁ロッド141の下端部に配置されている。弁ロッド141は、図1に示した、シール円錐体145と弁座155とが互いに間隔を置いて位置している第1の切換位置(出発位置若しくは「休止位置」)から、第2の切換位置(図2参照)へと変位することができる。この変位は電磁的に行われる。第2の切換位置では、シール円錐体145は弁座155に当接しており、これにより弁100は閉じられていて、接続部181,182間で体積流の流れはもはや不可能である。第2の切換位置から、往復ロッド若しくは弁ロッド141を再び第1の切換位置へと戻すことができる。
【0033】
図1にさらに示されているように、シール円錐体145には凹部が設けられており、該凹部には、弁ロッド141の一方の端部側の部分が収容されている。この凹部の内側にはさらに、弁ロッド141と、この弁ロッド141に向かい合って位置する前記凹部の底部領域との間に、ばねエレメント147が配置されている。これによりシール円錐体145は軸方向で(即ち、弁ロッド141の長手方向軸線に沿って)摺動可能であり、ばね的に弁ロッド141に配置されており、これにより構成部分の製造誤差を補償することができる。ばねエレメント147は図1に詳しく示されているように例えばコイルばねとして、又は選択的には板ばねとして形成することができる。
【0034】
第1の切換位置から第2の切換位置への弁ロッド141の変位及び第2の切換位置への戻り運動若しくは戻り調節は、磁極ハウジング160内に配置された構成部分によって実現される。このために弁ロッド141は、シールパッキン175と組み付けプレート170とに設けられた相応の開口を通って磁極ハウジング160の内部内へとガイドされている。貫通案内部をシールするために、シールパッキン175は、弁ロッド141の領域でシールスリーブとして形成することができ、又はこのようなシールスリーブを有することができる(図示せず)。
【0035】
第1の切換位置から第2の切換位置への弁ロッド141の変位は、弁ロッド141に結合された磁石可動子135と、組み付けプレート170に配置された、若しくは取り付けられたヨーク131(対応極)と、これらの構成部分131,135を取り囲む励磁コイル139とを含む電磁的な操作装置によって行われる。ヨーク131と磁石可動子135とは強磁性の材料から形成されていて、ほぼ(中空の)円筒形状を有している。この場合、弁ロッド141は真ん中の位置で、ガイドスリーブとして働くヨーク131を貫通して案内されており、磁石可動子135は弁ロッド141の周面側に取り付けられている。ヨーク131はさらに上面に円錐状の凹部を有している。磁石可動子135は下面に円錐状の部分を有しており、この円錐状の部分の輪郭は、ヨーク131の円錐状の凹部の輪郭にほぼ相当している。この領域で、ヨーク131と磁石可動子135との間にさらに戻しばね137が配置されていて、この戻しばね137はこれら両構成部分131,135を互いに押し離す。これにより弁100の開放若しくは第1の切換位置若しくは開放切換位置における弁100の保持が行われる。戻しばね137は図1に示したように、例えばコイルばねとして形成することができる。
【0036】
操作装置を作動させるために励磁コイル139に電流が流される。これにより磁界を形成することができ、これによりヨーク131と磁石可動子135とが磁化され、これによりこれらの構成部分131,135の間に電磁的な吸引力を発生させることができる。このようにして、弁ロッド141に配置された磁石可動子135は、ヨーク131の方向に引っ張られ、これにより弁ロッド141は図2に示した第2の切換位置へと摺動されて、この位置で、シール円錐体145が弁座155に当接する。電磁力は、戻しばね137、並びに(場合によっては)媒体若しくは冷却媒体から下側の接続部181に作用する液圧によって生じる戻し力に抗して作用する。弁の閉鎖状態では、図2に示したように、磁石可動子135とヨーク131との間に残留間隔が存在しており、これにより構成部分の製造誤差を補償することができる。励磁コイル139の通電が停止若しくは遮断されると、弁ロッド141は、戻しばね(及び後述するようなロック機能の停止)の作用により、再び図1に示した第1の切換位置に戻され、弁100は開放される。
【0037】
従来の構成の電磁弁では、(戻し力に抗して)閉鎖状態を維持するには、励磁コイルに比較的高い継続的な電流供給を行う必要がある。この状態では機械的な作業は行われないので、コイルによって吸収される電気的出力は完全に熱に変換され、従ってこれは高い損出出力につながっている。さらに従来の電磁弁は、このような熱的な周辺条件により規定される構造、特に比較的大きな寸法の対応する励磁コイルを備えた構造を有している。これに対して、図1図3に示した弁100は、弁ロッド141を支持するために支持装置と、閉鎖された(通電された)切換位置で支持装置をロックするためのロック装置とを備えた構成であって、これにより継続的な高い電流吸収を回避することができる。
【0038】
支持装置は、弁100では、戻しばね作用を行うトグルレバー機構として形成されていて、これは図1図3に示されているように、ばねスリーブ110として形成されている。ばねスリーブ110は、弁ロッド141と、磁極ハウジング160の上端部との間に配置されていて、ばねスリーブ110を、弁ロッド141と、磁極ハウジング160の内面とで支持することができる。ばねスリーブ110は、中空円筒状若しくはリング状の2つの端部111,113と、この両端部111,113を結合する複数の(例えば3つ、4つ、又は5つの)結合ウェブ112とを有している。端部111は磁極ハウジング160に配置されていて、他方の端部113は弁ロッド141の上端部に配置されている。
【0039】
ばねスリーブ110は、簡単かつ安価な方法で、例えば特にばね鋼のような金属材料から製造することができ、結合ウェブ112と、周面に設けられた空所と、(半径方向)外側に向けられた湾曲部とにより、ちょうちん形状を有している。ばねスリーブ110の湾曲は、弁100の開放切換状態でも閉鎖切換状態でも存在している(図1図2参照)。
【0040】
ばねスリーブ110の結合ウェブ112は、板ばねの脚の作用を有しているので、ばねスリーブ110は軸方向で(即ち、スリーブ110の長手方向延在若しくは弁ロッド141の移動行程に関して)力が負荷されていると収縮し、結合ウェブ112は横方向外側に向かって広がる(膨張する)。各結合ウェブ112は、トグルレバーの、互いに隣接して配置された2つの脚の配置として考えることができ、この場合、相応の「旋回点」は、結合ウェブ112から端部111,113への移行部と、各結合ウェブ112の中央領域とに位置することができる。図1に示された弁ロッド141の第1の切換位置では、ばねスリーブ110は軸方向で圧縮されて、外方に向かって膨張した状態にある。この場合、ばねスリーブ110は、弁ロッド141を介して磁極ハウジング160に押し付けられている。ばねスリーブ110は、ばねスリーブ110の長さが弁ロッド141の移動距離の長さだけ収縮する際に、トグルレバー作用によりばねスリーブ110の横方向の膨張が、長手方向の収縮よりもずっと大きくなるように寸法設定されている。弁ロッド141が図2に示した第2の切換位置に変位すると、ばねスリーブ110は自動的に、図示したように湾曲が僅かなほぼ軸方向で伸びた形となる。これによりばねスリーブ110は、第1の切換位置よりも大きな長手方向の寸法を有し、より小さな横方向の寸法を有する。この状態でも存在する外方への湾曲は、ばねスリーブ110の横方向への膨張を予め規定する働きを有し、これにより特に内側に向かう結合ウェブ112の屈曲を阻止している。
【0041】
弁ロッド141の支持のために使用されるばねスリーブ110をロックすることができる、電磁弁100のロック装置は、図1に示したように、軸方向で摺動可能な保持エレメント121と、保持エレメント121と磁極ハウジング160の上方部分との間に配置されたばねエレメント122と、弁ロッド141を取り囲み、弁ロッド141に関して軸方向で摺動可能な可動子部分125と、別の戻しばね127とを含む。ばねエレメント122を介して磁極ハウジング160に支持された保持エレメント121は、弁100の閉鎖時にばねエレメント122によって、図1に示した出発位置から、保持エレメント121がばねスリーブ110に接触しばねスリーブ110を取り囲むロック位置(図2参照)へと動くことができる。これについてはさらに詳しく後述する。保持エレメント121は、プレート状若しくは円環状のベース部分を有しており、この部分は(軸方向の)円形の開口を取り囲んでいる。保持エレメント121は外方に向かって、このベース部分に対して垂直に延在する縁部分を有しており、この部分を介して保持エレメント121は、磁極ハウジング160の内面に沿って滑動することができる。
【0042】
強磁性材料から形成されている可動子部分125は、軸方向摺動可能なスリーブ123を介して保持エレメント121に支持されている。この場合、スリーブ123とばねエレメント122とは、保持エレメント121の互いに逆の側に配置されている。保持エレメント121とスリーブ123とは両方ともプラスチック材料から形成することができる。別の戻しばね127は、移動可能な可動子部分125と、弁ロッド141に配置された磁石可動子135との間に配置されていて、これら両可動子部分125,135に互いに離れる方向に押す力を加える。図1図3に示されたように、別の戻しばね127とばねエレメント122とは、コイルばねとして形成することができる。移動可能な可動子部分125と、移動可能なスリーブ123とを機械的にガイドするために、さらに、環状のガイドスリーブ129が磁極ハウジング160内に設けられていて、このガイドスリーブ129の内側で、可動子部分125とスリーブ123とが軸方向で可動である。ガイドスリーブ129も強磁性材料から形成されている。
【0043】
ばねスリーブ110と、個々のばね122,127,137とは、ばね作用に関して、弁100が無通電で、接続部181に作用する冷却媒体圧の影響もない状態では、図1に示された開放切換位置を取る、もしくはこの位置に保持されるように調整されている。 このために戻しばね137のばね定数K137は、ばねスリーブ110と、ばね122,127のばね定数K110,K122,K127の合計より大きい。即ち、
K137>(K110+K122+K127)
さらに別の戻しばね127は、ばねエレメント122よりも大きなばね定数を有している。即ち、
K127>K122
これによりコイル139の無通電状態で、保持エレメント121はロック位置から離れることができる。
【0044】
ばねスリーブ110とロック装置の機能形式を以下に弁100の閉鎖過程につき詳しく説明する。この場合、弁100は最初、図1に示した(第1の)開放切換位置若しくは無通電切換位置に位置している。弁100の閉鎖のために、励磁コイル139に電流を流すことにより磁界が形成され、これによりヨーク131、磁石可動子135、移動可能な可動子部分125が磁化される。この場合に生じる、磁石可動子135とヨーク131との間の吸引力により、弁ロッド141は、戻しばね137の収縮状態で、図2に示した(第2の)閉鎖切換位置へと下方に向かって移動する。さらに、移動可能な可動子部分125と磁石可動子135との間の吸引力も存在し、これにより、可動子部分125は、別の戻しばね127の収縮状態で、磁石可動子135のへと動かされる。この場合、ガイドスリーブ129は、磁極ハウジング160と移動可能な可動子部分125との間の磁界線のガイドを形成することができる。
【0045】
弁100の閉鎖状態では、シール円錐体145は弁ロッド141を介して、所定の最低限の力よりもずっと大きな十分なシール力で弁座155を押圧する。例えば20Nであり得る最低限の力は、実質的に戻しばね137と、液圧的な冷却媒体とによって形成される逆方向に作用する反力に合わせて決められている。この状態で、シール円錐体145と弁ロッド141との間に配置されたばねエレメント147は(幾分)緊張させられている、若しくは収縮させられている。ばねエレメント147を介して(軸方向の)構成部分の製造誤差は補償することができるので、シール円錐体145は所定のシール力若しくは閉鎖力で弁座155に保持されていて、これにより弁100は確実に閉鎖されている。
【0046】
閉鎖切換位置若しくは第2の切換位置への弁ロッド141の移動若しくは変位によりさらに、ばねスリーブ110は、収縮状態から軸方向に膨張することができる(図2参照)。これに伴いばねスリーブ110が横方向に収縮することにより、ばねスリーブ110はより小さい横方向の寸法若しくは最小の直径へと減径する。さらに移動可能な可動子部分125は、磁石可動子135の方向に引き付けられるので、磁極ハウジング160のハウジング部分に支持された(予め収縮された)ばねエレメント122は膨張することができ、これにより保持エレメント121は、スリーブ123と共に、当該磁極ハウジング部分から離れる方向に押される。このようにして、保持エレメント121は、図1に示した出発位置から、保持エレメント121がばねスリーブ110に接触するロック位置へと動くことができる。ロック位置では、保持エレメント121が図2に示したように真ん中で(即ち軸方向に関して)ばねスリーブ110に配置されていて、このことは、弁100の相応の構成により、特に、保持エレメント121と可動子部分125との間に存在するスリーブ123の長さによって得られる。保持エレメント121、若しくは保持エレメント121の内側に位置する開口は、まず、ばねスリーブ110の横方向の寸法の縮小により、ロック位置への移動が可能となるように寸法設定されている。
【0047】
ロック位置では、ばねスリーブ110のばね脚部若しくは結合ウェブ112は、保持エレメント121の開口を取り囲む縁部に、若しくはここに位置する内周面に支持されることができる。このようにして保持エレメント121は、ばねスリーブ110の横方向の膨張及びこれにより生じる軸方向での収縮に反作用する相応の保持力を提供することができるので、ばねスリーブ110は比較的高い軸方向の剛性を得る。従って弁ロッド141をばねスリーブ110上で支持することができ、これにより弁100を確実に閉鎖状態に保持することができる。
【0048】
今や、弁100の閉鎖力は、従来の電磁弁とは異なり、もはや、磁石可動子135とヨーク131との間の磁気的吸引力にのみ依存するものではなく、付加的に、保持エレメント121及びばねスリーブ110によって得られる弁ロッド141のロックにも依存するものである。これにより、弁の閉鎖状態及び弁ロッド141のロックの「作動」状態に達した後、励磁コイル139への給電は大幅に低減させることができる。例えば、電流を約90%、初期値(即ち、閉鎖過程中の電流値)の約1/10にまで減じることができる。減じられた若しくは最小限の給電は実質的に、保持エレメント121をロック位置に保持する目的のためにのみ行われる。従ってこの電流(「保持電流」)は、移動可能な可動子部分125と磁石可動子135との間の吸引力、戻しばね127とばねエレメント122のばね定数、ばねスリーブ110と保持エレメント121との間の摩擦力に合わせて規定される。
【0049】
上述した機構による弁ロッド141のロックによりさらに、弁100の励磁コイル139を、従来の電磁弁に比べてずっと小さく設計することができる。閉鎖過程の動力学及び弁100の閉鎖力はこの場合、不変であるか、又は場合によってはより向上させることもできる。
【0050】
弁100の開放のためには、励磁コイル139の最小給電以下にする、若しくは最小給電を遮断する。これにより、移動可能な可動子部分125と磁石可動子135との間の吸引力は、これらの間に位置する戻しばね127が、図3に示されたように移動可能な可動子部分125と、これによりスリーブ123と保持エレメント121とをばねエレメント122の力に抗して軸方向上方に向かって摺動させることができるまで低下させられる、もしくはなくされる。これは、ばね定数K127が、上述したように、ばね定数K122よりも大きいので可能である。従って保持エレメント121はそのロック位置から離され、これにより、ばねスリーブ110の結合ウェブ112はもはや保持エレメント121の内周面上には支持され得ず、その結果、ばねスリーブ110はその高い軸方向の剛性を失う。このようにして、磁石可動子135、ひいては弁ロッド141は、戻しばね137の影響(と場合によっては、冷却媒体の影響と)によって、ばねスリーブ110を圧縮させながら上方に向かって第1の切換位置へと動くことができ、これにより弁100は再び、図1に示した開放状態をとることができる。このような開放機構は、(例えば電圧低下、接触喪失等といった)故障時に自動的に作動するので、故障時における確実な挙動が、若しくは弁100のフェイル・セーフ機能が実現される。
【0051】
弁の開放状態では、シール円錐体145は(再び)弁座155から分離される。この目的で、シール円錐体145と弁ロッド141との間に配置されたばねエレメント147の作動距離は、弁100の最大の軸方向の誤差を超過せず、これによりシール円錐体145の開放行程と、弁100の体積流について規定された横断面面積とを下回ることがないように設計されている。
【0052】
トグルレバー機構として作用し、磁極ハウジング160に支持されたばねスリーブ110は基本的に、半径方向若しくは側方から結合ウェブ112に作用することができる外側から作用する保持力を、弁ロッド141に軸方向で作用する支持力に変換することができる。トグルレバー作用に基づき、保持力と支持力との比は、ばねスリーブ110のそれぞれの(収縮した)形状に非線形に依存しており、ひいては弁ロッド141の変位に非線形に依存している。この非線形の比は、弁100において、ばねスリーブ110、ひいては弁ロッド141のロックを比較的小さい保持力で実現するために利用される。この場合、保持力は上述したように単にばねスリーブ110が軸方向で伸びている状態で、ロック位置へと動く保持エレメント121によってばねスリーブ110に伝達される。この状態では、保持エレメント121からばねスリーブ110へと伝達される保持力は、弁ロッド141に作用する支持力よりもずっと小さい。従って、ばねスリーブ110を介して、比較的小さな保持力が、弁ロッド141に作用し、弁100を閉鎖状態に保持する比較的大きな支持力へと変換することができる。同様に、弁ロッド141からばねスリーブ110に作用する大きな力(=支持力に対する反力)は、ばねスリーブ110から保持エレメント121へ作用する小さな力(=保持力に対する反力)となる。これにより、保持エレメント121は確実に、戻しばね127による比較的小さな力で再びロック位置から離れることができる。
【0053】
通電の可能な低減若しくは最小化に関しては、以下では、決定的な影響値に限って考慮する。弁100の閉じられたロック状態では、可動子部分125と磁石可動子135との間で作用する磁気的吸引力は、相互作用するばね122,127の合力を上回る。閉鎖状態を維持するための最小の吸引力は、従って、ばね122,127のばね定数間の差ができるだけ小さいことにより得られる。
【0054】
さらに、弁100はその組み付け位置によっては振動にさらされる可能性があることが考慮される。これは例えば、弁100が自動車の内燃機関に配置されている場合に生じる。従って、閉鎖された弁状態を維持するためには、この場合に生じる、可動子部分125を磁石可動子135から引き離す加速力(も同様に)磁気的吸引力によって補償する必要がある。可動子部分125と磁石可動子135との間の間隔が減少するにつれ、吸引力は指数的に上昇するので、弁の閉鎖状態における消費電流の最小化は、両可動子部分125,135の間の間隔をできるだけ小さくすることにより有利にすることができる。閉鎖過程におけるノイズ放出の理由により可動子部分125と磁石可動子135との間の直接接触が不可能であるならば、場合によっては比較的薄い(例えば最大0.1mmの厚さを有する)円環状のプラスチックプレートを、ノイズ緩衝のために可動子部分125,135間に配置することができる。移動可能な可動子部分125に作用する加速力の最小化はさらに、可動子部分125ができるだけ小さく、軽量に設計されていることにより良好にされる。このような影響値(即ち、ばね122,127の寸法、可動子部分125,135の間の最小間隔、移動可能な可動子部分125の寸法)を最良にすることにより、弁の閉鎖状態で、弁100に供給される電流若しくは保持電流を、従来の電磁弁構成において供給される電流の10%よりも小さく減じることができる。
【0055】
弁100では、ばねスリーブ110の代わりに、弁ロッド141と磁極ハウジング160の上方部分との間に比較可能な形式で配置され、ロック装置を介して保持エレメント121によってロックすることができる別の構成の支持装置を使用することもできる。可能な構成を、以下に図面につき詳しく説明する。同様の又は一致する構成部分及び特徴(例えば、電磁的な操作装置及び弁100のロック装置の機能形式)について得られる利点等についての既に説明した詳細に関しては、上記説明を参照されたい。
【0056】
図4図6には、トグルレバー機構の形で直接形成されている支持装置210の斜視図及び側面図が示されている。支持装置210は、2つのプレート状の端部211,214を有しており、これら端部211,214の間には、互いに隣接する側方部分212,213の形の2つの側方の支持構造が配置されている。これら側方部分212,213は1つのトグルレバーの脚を成している。弁100における使用に関して言うならば、図5及び図6に示したように、例えば端部211を磁極ハウジング160、他方の端部214を弁ロッド141に配置することができる。
【0057】
さらに図5及び図6にさらに示したように、端部211,214は膜ヒンジ216を介して側方部分212,213に接続されている。膜ヒンジ216を介して、互いに隣接する側方部分212,213も互いに接続されている。これにより、側方部分212,213は互いに、旋回、ひいては変位することができ、端部211,214に対しても旋回、ひいては変位することができる。端部211,214、側方部分212,213、膜ヒンジ216から成る装置は例えば、1つのプラスチック射出成形品として形成することができる。
【0058】
支持装置210はさらに、端部211,214の間に配置されたばねエレメント219を有している。このばねエレメント219は、図5及び図6に示したようにコイルばねとして形成することができる。戻し作用を有するばねエレメント219により、支持装置210は自動的に、図5に示した(軸方向で)伸びた形をとる。この場合、支持装置210の側面における側方部分212,213は(やや)傾斜して外方に向かって延びるように向けられている。これは、側方部分212,213の平行四辺形状の横断面形状に基づく。このような構成により、支持装置210の横方向の膨張挙動を予め規定することができ、即ち、支持装置210は、軸方向の力が加えられた場合、ばねスリーブ110と同様の形式で、横方向にのみ膨張する。端部214に当接する弁ロッド141が図1に相当する第1の切換位置へと摺動することにより生じる長手方向の収縮を伴う力作用は図6に示されている。図5の状態に比べて、この場合、側方部分212,213は著しく外方に向かって屈曲されていて、従って支持装置210は比較的大きな横方向の寸法を有している。
【0059】
従って、支持装置210を、上述したようにばねスリーブ110に匹敵する形式で保持エレメント121によってロックすることができる。図6に示した状態では(弁ロッド141が第1の切換位置にあり、弁100が開放されている)、保持エレメント121はその出発位置に位置している。弁100を閉鎖するために、弁ロッド141は励磁コイル139への通電により、図2に示した第2の切換位置へと変位される。その結果、支持装置210は図5に示した伸びた状態へ移行することができ、この状態では支持装置210は最小の横方向の寸法を有する。これにより保持エレメント121はロック位置へと動くことができ、ロック位置では保持エレメント121は真ん中の位置で支持装置210に、若しくは側方部分212,213に当接することができる。保持エレメント121、若しくは保持エレメント121の内側に位置する開口は、まず、支持装置210の横方向の寸法の縮小により、ロック位置への移動が可能となるように寸法設定されている。この場合、支持装置210の形状に応じて、保持エレメント121は上述した円形の開口の代わりに、例えば方形又は正方形の開口を有することができる。
【0060】
ロック位置では、保持エレメント121は、支持装置210の横方向の膨張及び軸方向での収縮に反作用する相応の保持力を提供することができる。これにより支持装置210は比較的高い軸方向の剛性を有するので、弁100を確実に閉鎖状態に保持することができる。これにより改めて、励磁コイル139の給電を最小値に減じることができる。最小給電をなくし(または下回り)、その結果、保持エレメント121がロック位置から離れると、支持装置210は高い強度を失う。従って支持装置210は(ばねエレメント219の力に抗して)軸方向で収縮することができ、これにより弁ロッド141を第1の切換位置へと戻すことができる。
【0061】
磁極ハウジング160に支持された支持装置210では、トグルレバー作用に基づき同様に、支持装置210に若しくはその側方部分212,213に外側から作用する保持力と、弁ロッド141に作用する支持力との間の比は、弁ロッド141の変位に非線形に依存する。図5に示した軸方向で伸びた状態では、保持エレメント121によって提供される保持力は、支持力よりもずっと小さい。従って、保持エレメント121がロック位置から離されるロック解除は、比較的僅かな力をかけることにより行うことができる。
【0062】
線的ではない伝達特性を有した支持装置は、トグルレバー機構によるものとは異なる形式で形成されていても良い。可能な構成を以下に図面につき説明する。
【0063】
図7及び図8には、別の支持装置310が側面図で示されている。この支持装置310は、ほぼ三角形状で、互いに鏡像対照的に配置された2つの支持エレメント311を有している。これら支持エレメント311は、互いに向かい合う「頂点」で、ヒンジ315を介して互いに接続されていて、これにより互いに可動若しくは旋回可能である。弁100で使用する場合は、弁ロッド141は、支持エレメント311の楔状の部分313の間の内側で支持されている。支持エレメント311は、これとは逆の側の、楔状の部分312で磁極ハウジング160に、即ちここに設けられた収容構造体161上に、若しくはその内側に支持されている。収容構造体161は、外側に向かって傾斜して延在する壁部分を備えた台形状の凹部を有している。同様に、支持エレメント311の部分312には斜めにされた端部が設けられている。収容構造体161と部分312のこのような構成により、支持エレメント311の旋回運動の際に、部分312の滑動を容易に行わせることができる。
【0064】
支持装置310はさらに、支持エレメント311の部分312の間に配置されたばねエレメント319を有している。このばねエレメント319は、図7に示したように(湾曲された)板ばねとして形成することができる。戻し作用を有するばねエレメント319により、支持エレメント311は自動的に、図7に示した位置へと回転することができ、これにより支持装置310は、軸方向に伸びた膨張された形を有する。
【0065】
支持エレメント311の部分313の間に配置された弁ロッド141が、図1に相当する第1の切換位置に摺動することにより生じる軸方向の力作用により、支持エレメント311は図8に示された位置へと回転することができる。この場合、支持エレメント311の部分313は互いに離れるように押され、これにより部分312はばねエレメント319を圧縮させながら互いに接近するように押される。支持装置310は、図8の状態で、図7の状態よりも大きな横方向の寸法を有している。
【0066】
従って、支持装置310も、上述した形式で保持エレメント121によってロックすることができる。図8に示した状態では(弁ロッド141が第1の切換位置にあり、弁100が開放されている)、保持エレメント121はその出発位置に位置している。弁100を閉鎖するためには、弁ロッド141は励磁コイル139への通電により、図2に相当する第2の切換位置へと変位される。この場合、支持エレメント311は、ばねエレメント319を介して、図7に示された位置へと回転させられることができ、この位置では、部分313の端部は比較的互いに近くに位置していて、その結果、支持装置310は(より)小さい横方向の寸法を有する。これにより保持エレメント121はロック位置へと動くことができ、ロック位置では保持エレメント121は外側から支持装置310に、若しくは部分313の端部に当接することができる。保持エレメント121、若しくは保持エレメント121の内側に位置する開口は、まず、図7に示した位置への支持エレメント311の回転運動により、ロック位置への移動が可能となるように寸法設定されている。支持装置310の形状に応じて、保持エレメント121の開口はこの場合も、例えば方形又は正方形の輪郭を有していて良い。
【0067】
ロック位置では、保持エレメント121は、支持エレメント311の、これに対して反対方向の回転に反作用する相応の保持力を提供することができる。これにより支持装置310は比較的高い安定性若しくは強度を有し、これにより弁100を確実に閉鎖状態に保持することができる。従ってこの場合も、励磁コイル139の給電を最小値に減じることができる。最小給電をなくし(または下回り)、その結果、保持エレメント121がロック位置から離れると、支持装置310は高い強度を失う。従って、弁ロッド141は部分313を再び互いに押し離すことができ、支持エレメント311は図8に示した位置に回転することができるので、弁ロッド141は、支持装置310が軸方向で「縮小」されながら第1の切換位置へと戻ることができる。
【0068】
磁極ハウジング160若しくは収容構造体161に支持された支持装置310では、同様に、支持装置310に若しくは部分313に外側から作用する保持力と、弁ロッド141に作用する支持力との間の比は、弁ロッド141の変位に非線形に依存する。図7に示した軸方向で膨張した状態では、保持エレメント121によって提供される保持力は、支持力よりもずっと小さい。従ってロックの解除は比較的僅かな力をかけることによって行うことができる。
【0069】
図9及び図10には、別の支持装置410が側面図で示されている。この支持装置410は、互いに摺動可能な2つの支持エレメント411を有している。支持エレメント411はほぼ楔状の部分412を有していて、これら部分412の斜めに延びる前側の面で、支持エレメント411が互いに沿って滑動することができる。支持エレメント411の一方は回転可能に弁ロッド141支持されていて、支持エレメント411の他方は回転可能に磁極ハウジング160、若しくはここに設けられた取り付け部分165に配置されて支持されている。この目的で、支持エレメント411は部分412から延在するウェブ状の部分413を有していて、その端部には、弁ロッド141及び取り付け部分165に回転可能に結合するヒンジ416が設けられている。この場合、支持エレメント411ごとに、それぞれ弁ロッド141及び取り付け部分165の側である互いに逆の側に設けられた1つの、又は2つの、このような形式の部分413を設けることができる。支持を改善し、回転可能な支持エレメント411をガイドするために、部分412及び弁ロッド141の端部及び取り付け部分165の端部には、互いに適合するように湾曲された、若しくは部分円形の当接面を備えて形成されている。
【0070】
支持装置410はさらに2つのばねエレメント419を有している。このばねエレメントは、両ヒンジ416の領域に配置されていて、円弧状の板ばねの形で設けられている。ウェブ状の部分413に端部で当接することができる戻し作用を有したばねエレメント419により、支持エレメント411は自動的に、図9に示した位置に回転することができ、この位置で支持装置410は、軸方向に伸びた膨張した形を有する。
【0071】
弁ロッド141が、図1に相当する第1の切換位置に摺動することにより生じる軸方向の力作用により、支持エレメント411は図10に示された位置へと回転することができる。この場合、ばねエレメント419が互いに離されながら、両支持エレメント411は互いに逆方向に、若しくは互いに離れる方向に回転されて、両支持エレメント411は、部分412の傾斜面に互いに沿って滑動することができる。支持装置410は、図10の状態で、図9の状態よりも大きな横方向の寸法を有している。
【0072】
このような機能形式により、支持装置410を、上述した形式で保持エレメント121によってロックすることができる。図10に示した状態では(弁ロッド141が第1の切換位置にあり、弁100が開放されている)、保持エレメント121はその出発位置に位置している。弁100を閉鎖するためには、弁ロッド141は励磁コイル139への通電により、図2に相当する第2の切換位置へと変位される。この場合、支持エレメント411は、ばねエレメント419を介して、互いに接近させられて、従って図9に示された位置へと回転させることができ、これにより支持装置410は(より)小さい横方向の寸法を有する。これにより保持エレメント121はロック位置へと動くことができ、ロック位置では保持エレメント121は外側から支持装置410に、若しくは部分412の端部に当接することができる。保持エレメント121、若しくは保持エレメント121の内側に位置する開口は、まず、図9に示した位置への支持エレメント411の回転運動により、ロック位置への移動が可能となるように寸法設定されている。支持装置410の形状に応じて、保持エレメント121の開口は、例えば方形又は正方形の輪郭を有していて良い。
【0073】
ロック位置では、保持エレメント121は、支持エレメント411の、これに対して反対方向の回転に反作用する相応の保持力を提供することができる。これにより支持装置410は比較的高い安定性を有するので、弁100を確実に閉鎖状態に保持することができる。これにより、励磁コイル139の給電を最小値に減じることができる。最小給電をなくし(または下回り)、その結果、保持エレメント121がロック位置から離れると、支持装置410は高い強度を失う。従って、弁ロッド141は支持部分411を再び互いに離れる方向に押す、若しくは回転させることができ、これにより弁ロッド141は、支持装置410が軸方向で「縮小」されながら第1の切換位置へと戻ることができる。
【0074】
磁極ハウジング160若しくは取り付け部分165に支持された支持装置410では、同様に、支持装置410に若しくは部分412に外側から作用する保持力と、弁ロッド141に作用する支持力との間の比は弁ロッド141の変位に非線形に依存する。図9に示した軸方向で伸びた状態では、保持エレメント121によって提供される保持力は、支持力よりもずっと小さい。従ってロックの解除は比較的僅かな力をかけることによって行うことができる。
【0075】
図面につき説明した構成は、本発明の好適な、若しくは例的な態様である。記載した構成の代わりに、記載した特徴の別の使用を含むことができる別の態様も想定可能である。特に、保持力と支持力との間の線的ではない特性が同様に存在し、従ってこの特性を同様に、ロック状態では、保持力を、弁ロッドに作用するきわめて大きな支持力に変換するために利用することができる別の構成の支持装置を実現することが考えられる。
【0076】
ロック装置若しくはこのようなロック装置の保持エレメントのためにも別の構成を考えることができる。例えば、1つの個所にのみ、又は所定の領域にのみ、当接部分を有した保持エレメントを設けることができる。このような保持エレメントのロック位置では、支持装置の横方向の膨張に反作用し、これにより支持装置をロックするために、この当接部分が支持装置に当接することができる。
【0077】
さらに上記事項は、無通電状態で開放する切換弁に限定されるものではなく、別の形式で構成された電磁弁でも適用することもできる。可能な実施例は切換弁である。このような電磁弁は、弁ロッドに異なる位置で配置されている第1の閉鎖エレメントと第2の閉鎖エレメントとを有することができる。第1の切換位置では、第1の閉鎖エレメントが所属の第1の弁座に当接して、これを閉鎖することができ、これに対して第2の弁座は閉じられていない。(励磁コイルの通電により新たに行われる)弁ロッドの第2の切換位置への変位により、以前閉鎖された第1の弁座を開放し、第2の弁座を第2の閉鎖エレメントによって閉鎖することができ、これは切換機能を実現する。この場合、同様に、保持エレメントをロック位置へ、弁ロッドを支持するために設けられた支持装置へと動かすことができ、これにより支持装置はロックされ、これにより給電を減じることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10