(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光源と前記グレーティング素子が直接光学的に接続されており、前記活性層の出射面と反対側の外側端面と前記ブラッググレーティングとの間で前記外部共振器を形成しており、前記活性層の前記外側端面と前記ブラッググレーティングの出射側終点との間の長さが910μm以下であることを特徴とする、請求項1または2記載の装置。
前記ブラッググレーティングの反射率が、前記光源の出射端の反射率、前記グレーティング素子の入射面の反射率、および前記グレーティング素子の出射面の反射率よりも大きいことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に模式的に示す外部共振器型発光装置1は、半導体レーザ光を発振する光源2と、グレーティング素子9とを備えている。光源2とグレーティング素子9とは、共通基板3上にマウントされている。
【0031】
光源2は、半導体レーザ光を発振する活性層5を備えている。本実施形態では、活性層5は基体4に設けられている。
ここで、光源2は、単独でレーザ発振可能な光源とする。これは、光源2が、グレーティング素子がなくても、それ自体でレーザ発振することを意味する。
【0032】
光源2は、単独でレーザ発振したときに、縦モードがシングルモード発振するものが好ましい。しかし、グレーティング素子を使用した外部共振器型レーザの場合、反射特性に波長依存性を持たせることができるので、その波長特性の形状を制御することにより、光源2が単独で縦モードがマルチモード発振していても、外部共振器型レーザとしてはシングルモード発振させることが可能である。
基体4の外側端面には高反射膜6が設けられており、グレーティング素子側の端面には反射膜7Aが形成されている。
【0033】
図1、
図3に示すように、グレーティング素子7には、半導体レーザ光Aが入射する入射面11aと所望波長の出射光Bを出射する出射面11bを有する光学材料層11が設けられている。Cは反射光である。光学材料層11内には、ブラッググレーティング12が形成されている。光学材料層11の入射面11aとブラッググレーティング12との間には、回折格子のない伝搬部13が設けられており、伝搬部13が活性層5と間隙14を介して対向している。7Bは、光学材料層11の入射面側に設けられた無反射膜であり、7Cは、光学材料層11の出射面側に設けられた無反射膜である。本例では、光学材料層11はリッジ型光導波路であり、基板10に設けられている。光学材料層11は、ブラッググレーティング12と同一面に形成されていてもよく、相対する面に形成されていてもよい。
【0034】
好適な実施形態においては、ブラッググレーティングの反射率が、光源の出射端の反射率、グレーティング素子の入射面の反射率、およびグレーティング素子の出射面の反射率よりも大きい。この観点からは、グレーティング素子の入射面の反射率、およびグレーティング素子の出射面の反射率は、0.1%以下が好ましい。このためにグレーティング素子の入射面と出射面には無反射層7B、7Cを形成することが好ましい。無反射層の反射率は、グレーティング反射率よりも小さい値であればよく、さらに0.1%以下が好ましい。しかし、端面における反射率がグレーティング反射率よりも小さい値であれば、無反射層はなくてもよく、反射膜であってもよい。
【0035】
図2に示すように、本例では、基板10上に接着層15、下側バッファ層16を介して光学材料層11が形成されており、光学材料層11上に上側バッファ層17が形成されている。光学材料層11には例えば一対のリッジ溝19が形成されており、リッジ溝の間にリッジ型の光導波路18が形成されている。この場合、ブラッググレーティングは平坦面11a面に形成していてもよく、11b面に形成していてもよい。ブラッググレーティング、およびリッジ溝の形状ばらつきを低減するという観点では、ブラッググレーティングを11a面上に形成することによって、ブラッググレーティングとリッジ溝19とを基板の反対側に設けることが好ましい。
【0036】
また、
図4に示す素子9Aでは、基板10上に接着層15、下側バッファ層16を介して光学材料層11が形成されており、光学材料層11上に上側バッファ層17が形成されている。光学材料層11の基板10側には、例えば一対のリッジ溝19が形成されており、リッジ溝19の間にリッジ型の光導波路18が形成されている。この場合、ブラッググレーティングは平坦面11a側に形成していてもよく、リッジ溝のある11b面に形成していてもよい。ブラッググレーティング、およびリッジ溝の形状ばらつきを低減するという観点では、ブラッググレーティングを平坦面11a面側に形成することによって、ブラッググレーティングとリッジ溝19とを基板の反対側に設けることが好ましい。また、上側バッファ層17はなくてもよく、この場合、空気層が直接グレーティングに接することができる。これによりグレーティング溝が有る無しで屈折率差を大きくすることができ、短いグレーティング長で反射率を大きくすることができる。
【0037】
この場合、レーザ光の発振波長は、グレーティングにより反射される波長で決定される。グレーティングによる反射光と活性層5のグレーティング素子側の端面からの反射光がレーザのゲイン閾値を上回れば、発振条件を満足する。これにより波長安定性の高いレーザ光を得ることができる。
【0038】
波長安定性をより高くするには、グレーティングからの帰還量を大きくすればよく、この観点からグレーティングの反射率は活性層5の端面における反射率よりも大きくする方が好ましい。
【0039】
光源としては、高い信頼性を有するGaAs系やInP系材料によるレーザが好適である。本願構造の応用として、例えば、非線形光学素子を利用して第2高調波である緑色レーザを発振させる場合は、波長1064nm付近で発振するGaAs系のレーザを用いることになる。GaAs系やInP系のレーザは信頼性が高いため、一次元状に配列したレーザアレイ等の光源も実現可能である。波長が長くなるとブラッグ波長の温度変化が大きくなることから、波長安定性を高めるにはレーザの発振波長は990nm以下が特に好ましい。一方、波長が短くなると半導体の屈折率変化△naが大きくなりすぎるため、波長安定性を高めるためにはレーザの発振波長は780nm以上が特に好ましい。また、活性層の材質や波長も適宜選択できる。
【0040】
リッジ型の光導波路は、例えば外周刃による切削加工やレーザアブレーション加工することによって物理的に加工し、成形することによって得られる。
【0041】
バッファ層は、光導波路のクラッド層として機能することができる。この観点からは、バッファ層の屈折率は、光学材料層の屈折率よりも低いことが好ましく、その屈折率差は0.2以上が好ましく、0.4以上が更に好ましい。
【0042】
ブラッググレーティングは以下のようにして物理的、あるいは化学的なエッチングにより形成することができる。
【0043】
具体例として、Ni、Tiなどの金属膜を高屈折率基板に成膜し、フォトリソグラフィーにより周期的に窓を形成しエッチング用マスクを形成する。その後、反応性イオンエッチングなどのドライエッチング装置で周期的なグレーティング溝を形成する。最後に金属マスクを除去することにより形成できる。
【0044】
光学材料層中には、光導波路の耐光損傷性を更に向上させるために、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、スカンジウム(Sc)及びインジウム(In)からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含有させてもよく、この場合、マグネシウムが特に好ましい。また結晶中には、ドープ成分として、希土類元素を含有させることができる。希土類元素としては、特にNd、Er、Tm、Ho、Dy、Prが好ましい。
【0045】
接着層の材質は、無機接着剤であってよく、有機接着剤であってよく、無機接着剤と有機接着剤との組み合わせであってよい。
【0046】
また、光学材料層11は、支持基体上に薄膜形成法によって成膜して形成してもよい。こうした薄膜形成法としては、スパッタ、蒸着、CVDを例示できる。この場合には、光学材料層11は支持基体に直接形成されており、上述した接着層は存在しない。
また、光学材料層の厚さは0.5〜3.0μmであることが更に好ましい。
【0047】
支持基体の具体的材質は特に限定されず,ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、石英ガラスなどのガラスや水晶、Siなどを例示することができる。
【0048】
無反射層の反射率は、グレーティング反射率以下である必要があり、無反射層に成膜する膜材としては、二酸化珪素、五酸化タンタルなどの酸化物で積層した膜や、金属類も使用可能である。
【0049】
また、光源素子、グレーティング素子の各端面は、それぞれ、端面反射を抑制するために斜めカットしていてもよい。また、グレーティング素子と支持基板の接合は、
図2の例では接着固定だが、直接接合でもよい。
【0050】
以下、式(1)〜式(8)の条件の意味について更に述べる。
ただし、数式は抽象的で理解しにくいので、最初に、従来技術の典型的な形態と本発明の実施形態とを端的に比較し、本発明の特徴を述べる。次いで、本発明の各条件について述べていくこととする。
【0051】
まず、半導体レーザの発振条件は、下式のようにゲイン条件×位相条件で決まる。
【数7】
【0052】
ゲイン条件は、(2-1)式より下式となる。
【数8】
【0053】
ただし、αa、αbは、それぞれ、活性層、グレーティング層の損失係数であり、La、Lbは、それぞれ、活性層、グレーティング層の長さであり、r1、r2は、ミラー反射率(r2はグレーティングの反射率)であり、Coutは、グレーティング素子と光源との結合損失であり、ζ
t g
thは、レーザ媒体のゲイン閾値であり、φ1は、レーザ側反射ミラーによる位相変化量であり、φ2は、グレーティング部での位相変化量である。
【0054】
(2-2)式より、レーザ媒体のゲインζ
t g
th(ゲイン閾値)が損失を上回れば、レーザ発振することを表す。レーザ媒体のゲインカーブ(波長依存性)は、半値全幅は50nm以上あり、ブロードな特性をもっている。また、損失部(右辺)は、グレーティングの反射率以外はほとんど波長依存性がないので、ゲイン条件はグレーティングにより決まる。このため、比較表では、ゲイン条件はグレーティングのみで考えることができる。
【0055】
一方、位相条件は(2-1)式から、下式のようになる。ただし、φ1については零となる。
【数9】
【0056】
光源2がレーザ発振している場合は、複合共振器になるために上記の(2-1)式、(2-2)式、(2-3)式は複雑な数式になり、レーザ発振の目安として考えることができる。
【0057】
外部共振器型レーザは、外部共振器として、石英系ガラス導波路、FBGを用いたものが製品化されている。従来の設計コンセプトは、表1および
図5、
図6に示すように、グレーティングの反射特性は△λg=0.2nm程度、反射率10%となっている。このことから、グレーティング部の長さは1mmとなっている。一方、位相条件については、満足する波長は離散的になり、△λg内に、(2-3)式が2〜3点あるように設計されている。このため、レーザ媒体の活性層長さが長いものが必要になり、1mm以上のものが使用されている。
【0059】
ガラス導波路やFBGの場合、λgの温度依存性は非常に小さく、dλ
G/dT=0.01nm/℃程度となる。このことから、外部共振器型レーザは、波長安定性が高いという特徴をもつ。
しかし、位相条件を満足する波長の温度依存性は、これに比してdλ
s/dT=dλ
TM/dT =0.05nm/℃と大きく、その差は0.04nm/℃となる。
【0060】
また、コア層としてSi0
2やSiO(1-x)Nxを使用する場合、屈折率の温度変化率△nfは 1×10
-5/℃と小さく、波長1.3μmではλgの温度依存性は非常に小さくdλ
G/dT=0.01nm/℃となる。一方、外部共振器の位相条件が成り立つ波長(発振波長)の温度係数について、InGaAsP系レーザを使用した場合、 光源の等価屈折率3.6、屈折率の温度変化3×10
-4/℃、長さLa=400μm、回折格子の等価屈折率1.54、1×10
-5/℃、長さ155μmとするとdλ
G/dT=dλ
TM/dT= 0.09nm/℃となる。したがって、その差は0.08 nm/℃となる。
【0061】
このようにしてレーザ発振したレーザ光のスペクトル波形は、線幅が0.2nm以下となる。広い温度範囲でレーザ発振するために、さらにモードホップしない温度範囲をより広くするために、室温25℃における外部共振器によるレーザ発振波長はグレーティング反射率の中心波長よりも短波長側であることが好ましい。この場合、温度が上昇するにつれてレーザ発振波長は長波長側にシフトしてグレーティング反射率の中心波長よりも長波長側でレーザ発振することになる。
【0062】
また広い温度範囲でレーザ発振するために、さらにモードホップしない温度範囲をより広くするために、室温25℃における外部共振器によるレーザ発振波長は光源2の同じ温度での発振波長よりも長波長側で発振することが好ましい。この場合、温度が上昇するにつれて外部共振器によるレーザ発振波長は光源2の発振波長に対して短波長側でレーザ発振することになる。
【0063】
室温での外部共振器によるレーザ発振波長と光源2の発振波長の差は、レーザ発振の温度許容範囲を広くする観点において0.5nm以上が好ましく、さらに2nm以上であってもよい。しかし、波長差を大きくしすぎるとパワーの温度変動が大きくなるのでこの観点から10nm以下が好ましく、さらに6nm以下が好ましい。
【0064】
一般的に、モードホップが起こる温度T
mhは、非特許文献1より下式のように考えることができる(Ta=Tfとして考える)。
ΔG
TMは、外部共振器レーザの位相条件を満足する波長間隔(縦モード間隔)である。
【数10】
【0065】
これより従来の場合、T
mhは5℃程度となる。このためモードホップが起こりやすい。したがって、モードホップが起こってしまうと、グレーティングの反射特性に基づきパワーが変動し、5%以上変動することになる。
【0066】
以上から、実動作において、従来のガラス導波路やFBGを利用した外部共振器型レーザは、ペルチェ素子を利用して温度制御を行っていた。
【0067】
これに対し、本発明は、前提条件として(2-4)式の分母が小さくなるグレーティング素子を使用するものである。(2-4)式の分母は、0.03nm/℃以下にすることが必要であり、具体的な材料としては、ガリウム砒素(GaAs)、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)、酸化タンタル(Ta
2O
5)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミナ(Al
2O
3)が好ましい。例えば、ニオブ酸リチウム(LiNbO
3)を利用する場合、△λ
Gを1.3nm程度に設計し、位相条件を満足する波長を△λ
G内に2点となるように活性層の長さを250μmに設定すると、△G
TMは例えば1.2nmとなり、T
mhは60℃となり、動作温度範囲を広くすることができる。
図7にこの例を示す。
【0068】
位相条件を満足する波長は、△λ
G内に5点以下存在していれば、モードホップが起こりにくく、安定なレーザ発振条件で、かつ縦モードがシングルモードで発振が動作が可能である。このような条件でレーザ発振した出力のスペクトル幅は0.1nm以下となる。
【0069】
すなわち、本発明構造は、温度変化に対して、発振波長はグレーティングの温度特性に基づき0.05nm/℃で変化するが、モードホップは起こりにくくすることが可能である。本願構造は、△λ
Gを大きくするためにグレーティング長Lbは100μmとし、△G
TMを大きくするためにLaは250μmとしている。
【0070】
なお、特許文献6との相違についても補足する。
本願は、グレーティング波長の温度係数と縦モードの温度係数を近づけることで温度無依存を実現するもので、このために共振器構造をコンパクトにでき、かつ付加するものが不要である。特許文献6では、各パラメータは以下のように記載されており、いずれも従来技術の範疇となっている。
△λ
G=0.4nm
縦モード間隔△G
TM=0.2nm
グレーティング長Lb=3mm
LD活性層長さLa=600μm
伝搬部の長さ=1.5mm
【0071】
以下、本発明の各条件について更に述べる。
ブラッグ反射率のピークにおける半値全幅Δλ
Gを0.8nm以上とする(式1)。λ
Gはブラッグ波長である。すなわち、
図5、
図6、
図7に示すように、横軸にブラッググレーティングによる反射波長をとり、縦軸に反射率をとったとき、反射率が最大となる波
長をブラッグ波長とする。またブラッグ波長を中心とするピークにおいて、反射率がピークの半分になる二つの波長の差を半値全幅Δλ
Gとする。
【0072】
ブラッグ反射率のピークにおける半値全幅Δλ
Gを0.8nm以上とするのは、
図7に示すように反射率ピークをブロードにするためである。この観点からは、半値全幅Δλ
Gを1.2nm以上とすることが好ましく、1.5nm以上とすることが更に好ましい。また、半値全幅Δλ
Gを5nm以下とすることが好ましく、3nm以下とすることが更に好ましく、2nm以下とすることが好ましい。
【0073】
ブラッググレーティングの長さL
bは500μm以下とする(式2)。ブラッググレーティングの長さL
bは、光導波路を伝搬する光の光軸の方向におけるグレーティング長である。ブラッググレーティングの長さL
bを500μm以下と従来に比べて短くすることは、本発明の設計思想の前提となる。この観点からは、ブラッググレーティングの長さL
bを300μm以下とすることが更に好ましい。また、L
bは200μm以下とすることがいっそう好ましい。
【0074】
活性層の長さL
aも500μm以下とする(式3)。活性層の長さL
aを従来と比べて短くすることも、本発明の設計思想の前提である。この観点からは、活性層の長さL
aを300μm以下とすることが更に好ましい。また、活性層の長さL
aは、150μm以上とすることが好ましい。
【0075】
ブラッググレーティングを構成する材質の屈折率n
bは1.8以上とする(式4)。従来は石英などの、より屈折率の低い材料が一般的であったが、本発明の思想では、ブラッググレーティングを構成する材質の屈折率を高くする。この理由は、屈折率が大きい材料は屈折率の温度変化が大きいからであり、(2-4)式のT
mhを大きくすることができ、さらにグレーティングの温度係数dλ
G/dTを大きくできるからである。この観点からは、n
bは1.9以上であることが更に好ましい。また、n
bの上限は特にないが、グレーティングピッチが小さくなりすぎて形成が困難になることから4以下であるが、さらに3.6以下であることが好ましい。また、同じ観点で光導波路の等価屈折率は3.3以下になることが好ましい。
【0076】
その上で、式(5)に示す条件が重要である。
式(5)において、dλ
G/dTは、ブラッグ波長の温度係数である。
また、dλ
TM/dTは、外部共振器レーザの位相条件を満足する波長の温度係数である。
【0077】
ここで、λ
TMは、外部共振器レーザの位相条件を満足する波長であり、つまり前述した(2.3式)の位相条件を満足する波長である。これを本明細書では「縦モード」と呼ぶ。
【0078】
以下、縦モードについて補足する。
(2.3)式は、φ2+2βLa=2pπ、かつ、β=2π/λなので、これを満足するλがλ
TMとなる。φ2は、ブラッググレーティングの位相変化であり、下式で算出する。
【0080】
△G
TMは、外部共振器レーザの位相条件を満足する波長間隔(縦モード間隔)である。
λ
TMは、複数存在するので、複数のλ
TMの差を意味する。先に用いた△λは△G
TMに等しく、λ
sはλ
TMに等しい。
【0081】
したがって、式(5)を満足することで、モードホップが起こる温度を高くし、事実上モードホップを抑制することができる。式(5)の数値は、0.025以下とすることが更に好ましい。
【0082】
グレーティング素子の長さL
WGも600μm以下とする(式6)。これもLbと同様に短くすることが本発明の前提となる。この観点からは、L
WGは400μm以下が好ましく、300μm以下が更に好ましい。また、L
WGは50μm以上が好ましい。
【0083】
光源の出射面と光導波路の入射面との距離L
gは、1μm以上、10μm以下とする(式(7))。これによって安定した発振が可能となる。
伝搬部の長さL
mは、20μm以上、100μm以下とする(式8)。これによって安定した発振が可能となる。
【0084】
好適な実施形態においては、光源とグレーティング素子が直接光学的に接続されており、活性層の出射面と反対側の外側端面とブラッググレーティングとの間で共振器構造を形成しており、活性層の外側端面とブラッググレーティングの出射側終点との間の長さが900μm以下である。グレーティング部では光は徐々に反射されていくために反射ミラーのように明確な反射点を観測することはできない。実効的な反射点は数学的に定義することはできるが、ブラッググレーティングの出射側終点よりレーザ側に存在する。このよう
なことから本願では、出射側の終点で共振器の長さを定義している。本発明によれば、非常に短い共振器長であっても、高い効率で目的波長の光を発振させることができる。この観点からは、活性層の外側端面とブラッググレーティングの出射側終点との間の長さが800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下であることが特に好ましい。また、レーザの出力を高めるという観点からこの長さは、300μm以上であることが好ましい。
【0085】
上述の各例では、光導波路が、リッジ部と、このリッジ部を成形する少なくとも一対のリッジ溝からなるリッジ型光導波路である。この場合には、リッジ溝の下に光学材料が残されており、かつリッジ溝の外側にもそれぞれ光学材料からなる延在部が形成されている。
【0086】
しかし、リッジ型光導波路において、リッジ溝の下にある光学材料を除去してしまうことで、ストライプ状の細長いコアを形成することもできる。この場合には、リッジ型光導波路が、光学材料からなる細長いコアからなり、コアの横断面が凸図形をなしている。このコアの周りには、バッファ層(クラッド層)や空気層が存在しており、バッファ層や空気層がクラッドとして機能する。
【0087】
凸図形とは、コアの横断面の外側輪郭線の任意の二点を結ぶ線分が、コアの横断面の外側輪郭線の内側に位置することを意味する。このような図形としては、三角形、四角形、六角形、八角形などの多角形、円形、楕円形などを例示できる。四角形としては、特に、上辺と下辺と一対の側面を有する四角形が好ましく、台形が特に好ましい。
【0088】
図11、
図12は、この実施形態に係るものである。
図11(a)のグレーティング素子21Aでは、支持基板10上にバッファ層16が形成されており、バッファ層16上に光導波路30が形成されている。光導波路30は、前述したような屈折率1.8以上の光学材料からなるコアからなる。光導波路の横断面(光伝搬方向と垂直な方向の断面)形状は台形であり、光導波路は細長く伸びている。本例では、光導波路30の上側面が下側面よりも狭くなっている。光導波路30内には、前述したような入射側伝搬部、ブラッググレーティング、出射側伝搬部が形成されている。
【0089】
図11(b)のグレーティング素子21Bでは、支持基板10上にバッファ層22が形成されており、バッファ層22内に光導波路30が埋設されている。光導波路の横断面(光伝搬方向と垂直な方向の断面)形状は台形であり、光導波路は細長く伸びている。本例では、光導波路30の上側面が下側面よりも狭くなっている。バッファ層22は、光導波路30上の上側バッファ22b、下側バッファ22aおよび光導波路30の側面を被覆する側面バッファ22cを含む。
【0090】
図11(c)のグレーティング素子21Cでは、支持基板10上にバッファ層22が形成されており、バッファ層22内に光導波路30Aが埋設されている。光導波路30Aは、前述したような屈折率1.8以上の光学材料からなるコアからなる。光導波路の横断面(光伝搬方向と垂直な方向の断面)形状は台形であり、光導波路は細長く伸びている。本例では、光導波路30Aの下側面が上側面よりも狭くなっている。
【0091】
図12(d)のグレーティング素子21Dでは、支持基板10上にバッファ層16が形成されており、バッファ層16上に光導波路30が形成されている。そして、光導波路20が、別のバッファ層23によって包含され、埋設されている。バッファ層23は、上側バッファ23aおよび側面バッファ23bからなる。本例では、光導波路30の上側面が下側面よりも狭くなっている。
【0092】
図10(e)のグレーティング素子21Eでは、支持基板10上にバッファ層16が形成されており、バッファ層16上に光導波路30Aが形成されている。そして、光導波路30Aが、別のバッファ層23によって包含され、埋設されている。バッファ層23は、上側バッファ23aおよび側面バッファ23bからなる。本例では、光導波路30Aの下側面が上側面よりも狭くなっている。
なお、光導波路の幅Wmは、光導波路の横断面における幅のうち最も狭い部分の幅とする。
【実施例】
【0093】
(実施例1)
図1〜
図3に示すような装置を作製した。
具体的には、z板MgOドープのニオブ酸リチウム結晶基板にTiを成膜して、フォトリソグラフィー技術によりy軸方向にグレーティングパターンを作製した。その後、Tiパターンをマスクにしてフッ素系の反応性イオンエッチングにより、ピッチ間隔Λ180nm、長さLb100μmのグレーティング溝を形成した。グレーティングの溝深さは300nmであった。また、y軸伝搬の光導波路を形成するために、エキシマレーザにて、グレーティング部に、幅Wm3μm、Tr0.5μmの溝加工を実施した。さらに、溝形成面にSiO
2からなるバッファ層17をスパッタ装置で0.5μm成膜し、支持基板としてブラックLN基板を使用してグレーティング形成面を接着した。
【0094】
次に、ブラックLN基板側を研磨定盤に貼り付け、グレーティングを形成したLN基板の裏面を精密研磨して1μmの厚み(Ts)とした。その後、定盤からはずし研磨面をスパッタにてSiO
2からなるバッファ層16を0.5μm成膜した。
【0095】
その後、ダイシング装置にてバー状に切断し、両端面を光学研磨し、両端面を0.1%以下のARコートを形成し、最後にチップ切断を行いグレーティング素子を作製した。素子サイズは幅1mm、長さL
wg 500μmとした。
【0096】
グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子に光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。その結果、x軸方向の偏光(常光)に対して中心波長800nm、最大反射率は3%で、半値全幅△λ
Gは1.3nmの特性を得た。
【0097】
次に、このグレーティング素子を使用した外部共振器型レーザの特性評価のために、
図1に示すようにレーザモジュールを実装した。光源素子としてGaAs系レーザ構造を有し、片端面には高反射膜、もう一方の端面は反射率0.1%のARコートを成膜したものを用意した。
光源素子仕様:
中心波長: 800nm
レーザ素子長 250μm
実装仕様:
Lg: 3μm
Lm: 20μm
【0098】
モジュール実装後、ペルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、中心波長800nm、出力50mWのレーザ特性であった。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、モードホップが起こる温度、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.05nm/℃、モードホップ温度60℃、パワー出力変動は1%以内であった(
図5、
図7)。
【0099】
(比較例1)
実施例1と同様に、z板MgOドープのニオブ酸リチウム結晶基板にTiを成膜して、フォトリソグラフィー技術によりy軸方向にグレーティングパターンを作製した。その後、Tiパターンをマスクにしてフッ素系の反応性イオンエッチングによりピッチ間隔Λ180nm、長さLb1000μmのグレーティング溝を形成した。グレーティングの溝深さは300nmであった。また、y軸伝搬の光導波路を形成するためにエキシマレーザにてグレーティング部に幅Wm3μm、Tr 0.5μmの溝加工を実施した。
【0100】
さらに、溝形成面にSiO
2からなるバッファ層17をスパッタ装置で0.5μm成膜し、支持基板としてブラックLN基板を使用してグレーティング形成面を接着した。
【0101】
次に、ブラックLN基板側を研磨定盤に貼り付け、グレーティングを形成したLN基板の裏面を精密研磨して1μmの厚み(Ts)とした。その後、定盤からはずし研磨面をスパッタにてSiO
2からなるバッファ層16を0.5μm成膜した。その後、ダイシング装置にてバー状に切断し、両端面を光学研磨し、両端面を0.1%以下のARコートを形成し、最後にチップ切断を行いグレーティング素子を作製した。素子サイズは幅1mm、長さL
wg 1500μmとした。
【0102】
グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子に光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。その結果、x軸方向の偏光(常光)に対して中心波長800nm、最大反射率は10%で、半値全幅△λ
Gは0.2nmの特性を得た。
【0103】
次に、このグレーティング素子を使用した外部共振器型レーザの特性評価のために、別図のようなレーザモジュールを実装した。光源素子としてGaAs系レーザ構造を有し、片端面には高反射膜、もう一方の端面は反射率0.1%のARコートを成膜したものを用意した。
光源素子仕様:
中心波長: 800nm
レーザ素子長: 1000μm
実装仕様:
Lg: 3μm
Lm: 20μm
【0104】
モジュール実装後、パルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、中心波長800nm、出力50mWのレーザ特性であった。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、モードホップが起こる温度、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.05nm/℃、モードホップ温度6℃、パワー出力変動は10%であった。
【0105】
(実施例2)
図1および
図4に示すような装置を作製した。
具体的には、z板MgOドープのニオブ酸リチウム結晶基板にTiを成膜して、フォトリソグラフィー技術によりy軸方向にグレーティングパターンを作製した。その後、Tiパターンをマスクにしてフッ素系の反応性イオンエッチングにより、ピッチ間隔Λ214nm、長さLb 100μmのグレーティング溝を形成した。グレーティングの溝深さは40nmであった。また、y軸伝搬の光導波路を形成するために、エキシマレーザにて、グレーティング部に、幅Wm3μm、Tr0.5μmの溝加工を実施した。さらに、溝形成面にSiO
2からなるバッファ層17をスパッタ装置で0.5μm成膜し、支持基板としてブラックLN基板を使用してグレーティング形成面を接着した。ブラックLNとは、酸素欠損状態にしたニオブ酸リチウムのことであり、焦電による電荷発生を抑制できる。これにより温度変動があった場合の耐サージによる基板クラックを防止できる。
【0106】
次に、支持基板側を研磨定盤に貼り付け、グレーティングを形成した支持基板の裏面を精密研磨して1μmの厚み(Ts)とした。その後、定盤からはずし研磨面をスパッタにてSiO
2からなるバッファ層16を0.5μm成膜した。
【0107】
その後、ダイシング装置にてバー状に切断し、両端面を光学研磨し、両端面を0.1%のARコートを形成し、最後にチップ切断を行いグレーティング素子を作製した。素子サイズは幅1mm、長さL
wg500μmとした。
【0108】
グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子に光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。その結果、TEモードに対して中心波長945nm、最大反射率は20%で、半値全幅△λ
Gは2nmの特性を得た。
【0109】
次に、このグレーティング素子を使用した外部共振器型レーザの特性評価のために、
図1に示すようにレーザモジュールを実装した。光源素子としてGaAs系レーザ構造を有し、片端面には高反射膜、もう一方の端面は反射率0.1%のARコートを成膜したものを用意した。
光源素子仕様:
中心波長: 950nm
出力 20mW
半値幅: 50nm
レーザ素子長 250μm
実装仕様:
Lg: 1μm
Lm: 20μm
【0110】
モジュール実装後、ペルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、中心波長945nm、出力50mWのレーザ特性であった。レーザのスペクトル特性を
図8に示す。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.05nm/℃、モードホップによる出力変動が大きくなる温度域は80℃、この温度域でのパワー出力変動はモードホップが起こっても1%以内であった。
【0111】
(実施例3)
実施例2と同じ方法で、ピッチ間隔Λ222nm、長さLb 100μmのグレーティング溝を形成した。グレーティングの溝深さは40nmとした。グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子に光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。その結果、TEモードに対して中心波長975nm、最大反射率は20%で、半値全幅△λ
Gは2nmの特性を得た。
【0112】
次に、
図1に示すようにレーザモジュールを実装した。光源素子は通常のGaAs系レーザで出射端面にはARコートなしとした。
光源素子仕様:
中心波長: 977nm
出力: 50mW
半値幅: 0.1nm
レーザ素子長 250μm
実装仕様:
Lg: 1μm
Lm: 20μm
【0113】
モジュール実装後、ペルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、グレーティングの反射波長に対応した中心波長975nmで発振し、出力はグレーティング素子がない場合よりも小さくなるが40mWのレーザ特性であった。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.05nm/℃、モードホップによる出力変動が大きくなる温度域は80℃、この温度域でのパワー出力変動はモードホップが起こっても1%以内であった。
【0114】
(比較例2)
実施例3において、グレーティング素子がない場合には、レーザ発振波長の温度係数は0.3nm/℃で大きく、モードホップ温度は10℃程度とであった。10℃以上ではパワー変動が大きくなり、出力変動は10%以上となった。
【0115】
(実施例4)
石英基板にスパッタ装置にてTa2O5を1.2μm成膜して光学材料層を形成した。次に、Ta2O5上にTiを成膜して、フォトリソグラフィー技術によりy軸方向にグレーティングパターンを作製した。その後、Tiパターンをマスクにしてフッ素系の反応性イオンエッチングにより、ピッチ間隔Λ232nm、長さLb 100μmのグレーティング溝を形成した。グレーティングの溝深さは40nmとした。次に、上記と同様にして反応性イオンエッチングにより、明細書
図2、3に示す形状の光導波路を形成した。グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子に光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。その結果、TEモードに対して中心波長945nm、最大反射率は20%で、半値全幅△λ
Gは2nmの特性を得た。
【0116】
次に、
図1に示すようにレーザモジュールを実装した。光源素子は通常のGaAs系レーザで出射端面には0.1%ARコートを成膜した。
光源素子仕様:
中心波長: 950nm
出力: 20mW
半値幅: 50nm
レーザ素子長 250μm
実装仕様:
Lg: 1μm
Lm: 20μm
【0117】
モジュール実装後、ペルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、グレーティングの反射波長に対応した中心波長945nmで発振し、出力はグレーティング素子がない場合よりも小さくなるが40mWのレーザ特性であった。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.03nm/℃、モードホップによる出力変動が大きくなる温度域は50℃、その温度域でのパワー出力変動はモードホップが起こっても1%以内であった。
【0118】
(実施例5)
実施例1と同様にして、
図1、
図3に示すような装置を作製した。ただし、グレーティング素子21Dの横断面形状は、
図12(a)に示す形状とした。
【0119】
具体的には、石英からなる支持基板10にスパッタ装置にて下側クラッド層になるSiO
2層16を0.5μm成膜し、またその上にTa2O5を1.2μm成膜して光学材料層を形成した。
次に、Ta2O5上にTiを成膜して、EB描画装置によりグレーティングパターンを作製した。その後、Tiパターンをマスクにしてフッ素系の反応性イオンエッチングにより、ピッチ間隔Λ238.5nm、長さLb 100μmのブラッググレーティングを形成した。グレーティングの溝深さtdは40nmとした。
【0120】
さらに光導波路30を形成するために、上記と同様な方法で反応性イオンエッチングし、幅Wm3μm、両サイドは光導波路30を残して光学材料層を完全に切り込むようにエッチングした。光導波路30の厚さTsは1.2μmである。
最後に、上側クラッドとなるSiO
2からなるバッファ層23を光導波路30を覆うように2μmスパッタにて形成した。
【0121】
その後、ダイシング装置にてバー状に切断し、両端面を光学研磨し、両端面を0.1%のARコートを形成し、最後にチップ切断を行いグレーティング素子を作製した。素子サイズは幅1mm、長さLwg 500μmとした。
【0122】
グレーティング素子の光学特性は、広帯域波長光源であるスーパ・ルミネッセンス・ダイオード(SLD)を使用して、グレーティング素子にTEモードの光を入力して出力光を光スペクトルアナライザで分析することにより、その透過特性から反射特性を評価した。測定したグレーティング素子の反射中心波長は、975nmであり、反射率は18%、半値全幅△λ
Gは2nmの特性を得た。
【0123】
次に、
図1に示すようにレーザモジュールを実装した。光源素子は通常のGaAs系レーザで出射端面にはARコートなしとした。
光源素子仕様:
中心波長: 977nm
出力: 50mW
半値幅: 0.1nm
レーザ素子長 250μm
実装仕様:
Lg: 1μm
Lm: 20μm
【0124】
モジュール実装後、ペルチェ素子を使用することなく電流制御(ACC)で駆動したところ、グレーティングの反射波長に対応した中心波長975nmで発振し、出力はグレーティング素子がない場合よりも小さくなるが40mWのレーザ特性であった。また動作温度範囲を評価するために恒温槽内にモジュールを設置し、レーザ発振波長の温度依存性、出力変動を測定した。その結果、発振波長の温度係数は0.03nm/℃、モードホップによる出力変動が大きくなる温度域は40℃、この温度域でのパワー出力変動はモードホップが起こっても1%以内であった。