(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物のアルコーリシスのための方法であって、
前記組成物を、前記ポリカーボネートではなく、前記構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する極性非プロトン溶媒と接触させる工程と、
前記溶液または懸濁液を前記ポリカーボネートから分離する工程と、ならびに、
前記分離されたポリカーボネートをアルコールと共に、触媒の存在下、70℃から200℃の温度、5mbarから40barの圧力で十分な時間の間加熱し、前記ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程と、
を含む方法。
前記リン含有難燃剤は、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の方法。
ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物のアルコーリシスのための方法であって、
前記組成物を、前記構成成分ではなく、前記ポリカーボネートの溶液を形成するトリクロロメタン溶媒と接触させる工程と、
前記溶液を前記構成成分から分離する工程と、
前記ポリカーボネートを前記溶液から回収する工程と、ならびに、
前記回収されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、前記ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程と、
を含む、方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
よって、価値のある高品質生成物のポリカーボネート廃棄物からの回収を可能にする費用効率が高いプロセスが継続して求められる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物のアルコーリシスのための方法を提供する。方法は組成物を、ポリカーボネートではなく、構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液またはろ過性懸濁液をポリカーボネートから分離する工程、分離されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程を含む。
【0006】
あるいは、方法は、ポリカーボネート含有組成物を、構成成分ではなく、ポリカーボネートの溶液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液を構成成分から分離する工程、ポリカーボネートを溶液から回収する工程、ならびに回収されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程を含む。
【0007】
本開示はまた、構成成分をポリカーボネートから分離するための方法を提供し、ここで、構成成分はリン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせである。方法は、構成成分およびポリカーボネートを含む混合物を、ポリカーボネートではなく、構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する溶媒と接触させる工程、ならびに溶液または懸濁液をポリカーボネートから分離する工程を含む。
【0008】
あるいは、方法は構成成分およびポリカーボネートを含む混合物を、構成成分ではなく、ポリカーボネートの溶液を形成する溶媒と接触させる工程、ならびに溶液を構成成分から分離する工程を含む。
【0009】
本開示はさらに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、およびポリカーボネートを分離するための方法を提供する。方法はリン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンおよびポリカーボネートを含む混合物を、選択的に難燃剤を溶解し、ポリカーボネートではなく、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのろ過性懸濁液を形成する第1の溶媒と接触させる工程、可溶化難燃剤およびろ過性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを混合物として、ポリカーボネートから分離する工程、第1の溶媒を混合物から除去し、難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを含む固体を提供する工程、固体を、選択的に難燃剤を溶解するが、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンを溶解しない第2の溶媒と接触させる工程、ならびに溶解された難燃剤をアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンから除去する工程を含む。
【0010】
ポリカーボネートの製造のための方法は、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物をポリカーボネートではなく、構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液または懸濁液をポリカーボネートから分離する工程、分離されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程、ジヒドロキシ芳香族化合物を回収する工程、ならびにジヒドロキシ芳香族化合物およびカルボニル源を重合させ、ポリカーボネート提供する工程を含む。
【0011】
ポリカーボネートの製造のための方法は、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物を構成成分ではなくポリカーボネートの溶液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液を構成成分から分離する工程、ポリカーボネートを溶液から回収する工程、ならびに回収されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを提供する工程、ジヒドロキシ芳香族化合物を回収する工程、ならびにジヒドロキシ芳香族化合物およびカルボニル源を重合させ、ポリカーボネート提供する工程を含む。
【0012】
炭酸ジフェニルの製造のための方法は、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物を、ポリカーボネートではなく、構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液または懸濁液をポリカーボネートから分離する工程、ポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させる工程、炭酸ジアルキルを回収する工程、ならびに炭酸ジアルキルをフェノールと反応させ、炭酸ジフェニルを提供する工程を含む。
【0013】
炭酸ジフェニルの製造のための方法はまた、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物を、構成成分ではなく、ポリカーボネートの溶液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液を構成成分から分離する工程、ポリカーボネートを溶液から回収する工程、ならびに回収されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させる工程、炭酸ジアルキルを回収する工程、ならびに炭酸ジアルキルをフェノールと反応させ、炭酸ジフェニルを提供する工程を含む。
【0014】
あるいは、ポリカーボネートの製造のための方法は、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物を、ポリカーボネートではなく、構成成分の溶液またはろ過性懸濁液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液または懸濁液をポリカーボネートから分離する工程、ポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させる工程、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを回収する工程、炭酸ジアルキルをフェノールと反応させ、炭酸ジフェニルを提供する工程、ならびにジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジフェニルを重合し、ポリカーボネートを提供する工程を含む。
【0015】
ポリカーボネートの製造のための方法はまた、ポリカーボネートならびに、リン含有難燃剤、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン、またはリン含有難燃剤およびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンの組み合わせを含む構成成分を含むポリカーボネート含有組成物を、構成成分ではなく、ポリカーボネートの溶液を形成する溶媒と接触させる工程、溶液を構成成分から分離する工程、ポリカーボネートを溶液から回収する工程、ならびに回収されたポリカーボネートをアルコールおよび触媒の存在下、70℃から200℃の温度および5mbarから40barの圧力で、十分な時間の間加熱し、ポリカーボネートを脱重合し、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを生成させる工程、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルを回収する工程、炭酸ジアルキルをフェノールと反応させ、炭酸ジフェニルを提供する工程、ならびにジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジフェニルを重合し、ポリカーボネートを提供する工程を含むことができる。
【0016】
本開示はまた、以上で記載される方法により製造されるポリカーボネート類を提供する。
【0017】
これらのおよび他の非限定的特徴は下記で、より特定的に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
廃棄物から得られるポリカーボネート含有組成物は難燃剤またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)を含み得る。難燃剤の存在により、時として、ポリカーボネートの脱重合のために大量の触媒が必要とされる。他方、ABSは、反応器の表面をコートし反応器の高額の洗浄が必要となる。したがって、難燃剤またはABSを含むポリカーボネート組成物のリサイクルは望ましいものより効率が低くなる可能性がある。驚いたことに、ポリカーボネート含有組成物の適切な溶媒による処理は、リン含有難燃剤またはABSを効果的に除去することが見出されている。これにより、リン含有難燃剤またはABSを含む組成物からであっても、ポリカーボネートの完全な脱重合が可能になる。リン含有難燃剤またはABSを効果的に除去する、ならびに残りのポリカーボネート含有材料のアルコーリシス反応を実施する能力は、低い価値のポリカーボネート含有材料のリサイクルを可能にするのに重要である。というのも、これらの材料は典型的には難燃剤またはABSを含むからである。
【0019】
溶媒の例示的な例としては、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトニトリル、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。溶媒はまた、他の極性非プロトン溶媒を含むことができる。極性非プロトン溶媒は、分子不斉を示すが、強電気陰性分子に付着された水素を有さず、よって解離性プロトン(H+)を含まない溶媒である。溶媒は難燃剤を溶解し、またはポリカーボネートではなくABSのろ過性懸濁液を形成する、すなわち、ABSはフィルタを通過するが、ポリカーボネートは通過しない。したがって、ポリカーボネートは難燃剤またはABSを含む溶液またはろ過性懸濁液から分離することができる。本明細書では、「ろ過性懸濁液」は、粒子がある一定のフィルタ、例えば25マイクロメートル以下、例えば20から25マイクロメートルの細孔サイズを有するフィルタ、例えばワットマン(Whatman)41フィルタを通過することができるようなサイズの粒子を含む懸濁液を示す。構成成分が難燃剤およびABSの両方を含む場合、ポリカーボネート含有組成物に溶媒を添加すると、溶解された難燃剤、フィルタを通過することができるABS粒子および可溶性でもろ過性でもなく、よってフィルタを通過することができないポリカーボネートを含むろ過性懸濁液が形成される。
【0020】
所望であれば、ポリカーボネート含有組成物は、溶媒で、高温にて十分な時間の間処理することができ、難燃剤が溶解され、またはABSのろ過性懸濁液が形成される。不溶性ポリカーボネートを除去した後、抽出物を蒸溜し、溶媒を除去することができる。残りの固体が難燃剤およびABSの両方を含む場合、アルコールなどの第2の溶媒を添加し、ABSではなく、難燃剤を選択的に溶解させることができる。溶解された難燃剤はその後、不溶性ABSから分離することができる。
【0021】
別の実施形態では、ポリカーボネート含有組成物の適切な溶媒による処理は、リン含有難燃剤およびABSではなく、ポリカーボネートを効果的に溶解することが見出されている。使用される溶媒はトリクロロメタンとすることができる。溶液がリン含有難燃剤またはABSから分離されるとすぐに、ポリカーボネートは溶液から回収することができる。例えば、ポリカーボネートは少なくとも部分的にトリクロロメタンを除去する、またはメタノールなどの沈殿溶媒を溶液に添加し、ポリカーボネートを再沈殿させることにより回収することができる。
【0022】
本明細書では、「ポリカーボネート」は、式(1)の繰り返し構造カーボネート単位を有する組成物を意味し、
【化1】
(1)
式中、R
1基の総数の少なくとも60パーセントは芳香族部分を含み、その残りは、脂肪族、脂環式、または芳香族である。一実施形態では、各R
1はC
6−30芳香族基であり、すなわち、少なくとも1つの芳香族部分を含む。R
1は、式HO−R
1−OH、特に式(2)のジヒドロキシ化合物から誘導することができ、
HO−A
1−Y
1−A
2−OH
(2)
式中、A
1およびA
2の各々は単環式二価芳香族基であり、Y
1は単結合またはA
1をA
2から分離する1つ以上の原子を有する架橋基である。一実施形態では、1つの原子はA
1をA
2から分離する。特定的には、各R
1は、式(3)のジヒドロキシ芳香族化合物から誘導することができ、
【化2】
(3)
式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立して、ハロゲン、C
1−12アルコキシ、またはC
1−12アルキルであり、ならびにpおよびqはそれぞれ独立して、0から4の整数である。R
aは、pが0の時水素であり、かつ、同様にR
bは、qが0の時水素であることが理解されるであろう。また、式(3)では、X
aは、2つのヒドロキシ−置換芳香族基を連結する架橋基であり、架橋基および各C
6アリーレン基のヒドロキシ置換基は、C
6アリーレン基上で互いにオルト、メタ、またはパラ(特定的にはパラ)に配置される。一実施形態では、架橋基X
aは単結合、−O−、−S−、−S(O)−、−S(O)
2−、−C(O)−、またはC
1−18有機基である。C
1−18有機架橋基は環状または非環状、芳香族または非芳香族とすることができ、ならびにハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、またはリンなどのヘテロ原子をさらに含むことができる。C
1−18有機基は、これに連結されたC
6アリーレン基がそれぞれ、C
1−18有機架橋基の共通のアルキリデン炭素または異なる炭素に連結されるように配置することができる。一実施形態では、pおよびqはそれぞれ1であり、ならびにR
aおよびR
bはそれぞれ、各アリーレン基上のヒドロキシ基に対してメタに配置されたC
1−3アルキル基、特定的にはメチルである。
【0023】
一実施形態では、X
aは置換または非置換C
3−18シクロアルキリデン、式−C(R
c)(R
d)−のC
1−25アルキリデン(式中、R
cおよびR
dはそれぞれ独立して、水素、C
1−12アルキル、C
1−12シクロアルキル、C
7−12アリールアルキル、C
1−12ヘテロアルキル、または環状C
7−12ヘテロアリールアルキルである)、または式−C(=R
e)−の基(式中、R
eは二価C
1−12炭化水素基である)である。この型の基としては、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデン、およびアダマンチリデン、ならびに2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデン、およびアダマンチリデンが挙げられる。
【0024】
別の実施形態では、X
aはC
1−18アルキレン基、C
3−18シクロアルキレン基、縮合C
6−18シクロアルキレン基、または式−B
1−G−B
2−の基(式中、B
1およびB
2は同じかまたは異なるC
1−6アルキレン基であり、GはC
3−12シクロアルキリデン基またはC
6−16アリーレン基である)である。例えば、X
aは式(4)の置換C
3−18シクロアルキリデンとすることができ、
【化3】
(4)
式中、R
r、R
p、R
q、およびR
tはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、酸素、またはC
1−12炭化水素基であり、Qは直接結合、炭素、または二価酸素、硫黄、あるいは−N(Z)−(式中、Zは水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C
1−12アルキル、C
1−12アルコキシ、またはC
1−12アシルである)であり、rは0から2であり、tは1または2であり、qは0または1であり、ならびにkは0から3であり、ただし、R
r、R
p、R
q、およびR
tの少なくとも2つは一緒になり、縮合脂環式、芳香族、またはヘテロ芳香族環となることを条件とする。縮合環が芳香族である場合、式(4)で示される環は、環が縮合された場合、不飽和炭素−炭素結合を有するであろうことが理解されるであろう。kが1であり、iが0である場合、式(4)で示される環は4個の炭素原子を含み、kが2である場合、式(4)で示される環は5個の炭素原子を含み、ならびにkが3である場合、環は6個の炭素原子を含む。一実施形態では、2つの隣接する基は(例えば、R
qおよびR
tは一緒になり)芳香族基を形成し、ならびに別の実施形態では、R
qおよびR
tは一緒になり1つの芳香族基を形成し、ならびにR
rおよびR
pは一緒になり第2の芳香族基を形成する。R
qおよびR
tが一緒になり芳香族基を形成する場合、R
pは二重結合酸素原子、すなわち、ケトンとすることができる。
【0025】
「ポリカーボネート類」はホモポリカーボネート類(ここで、ポリマ中の各R1は同じである)、カーボネート中に異なるR
1部分を含むコポリマ類(「コポリカーボネート類」)、カーボネート単位および他の型のポリマ単位、例えばエステル単位を含むコポリマ類、ならびにホモポリカーボネート類またはコポリカーボネート類の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。
【0026】
ポリカーボネート含有組成物は様々な起源に由来する可能性がある。難燃剤を含むポリカーボネート組成物はまた、本明細書では「FRポリカーボネート」と呼ばれる。FRポリカーボネート類は電子装置内の様々な構成要素およびハウジングにおいて使用される。装置が廃棄されるとすぐに、プラスチックは金属およびガラス構成要素から分離され、処理され、工業用の潜在的供給原料が提供される。これらの供給原料は電子廃棄物由来のプラスチックと呼ばれる。FRポリカーボネート含有電子廃棄物の例としては、フロートシンク(float sink)電子廃棄物およびトロンメル電子廃棄物由来のプラスチックが挙げられる。
【0027】
「フロートシンク電子廃棄物」プラスチックは液体分離プロセスを介して得られる。粉砕された後、電子廃棄物材料は、フロートシンク槽において選択された液体中でのそれらの相対浮力により分離される。例えば、そのようなプロセスでは、第1のフロート/シンク槽は淡水で充填される。ポリエチレンおよびポリプロピレンは浮き、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、およびFRポリカーボネート(これらは沈む)から除去される。これらの「沈降物」は、1.035g/cc密度の水溶液を含む第2の槽、ならびにパドル羽根を備えた3つの回転ドラムに入る。ポリスチレンはこの槽内で浮き、一方、ABSおよびFRポリカーボネートは沈む。FRポリカーボネートおよびABSは相溶性ブレンドであり、これを製造加工業者は、フロートシンク電子廃棄物プラスチックとして販売する。フロートシンク電子廃棄物プラスチックは、例えば、グローバルエレクトリックアンドエレクトロニックプロセシング(Global Electric and Electronic Processing)(GEEP)から入手可能である。
【0028】
「トロンメル電子廃棄物」プラスチックは、粉砕され、物理的にトロンメルスクリーニングを介して選別された、電子廃棄物由来のプラスチックである。トロンメル電子廃棄物プラスチックは、例えば、グローバルエレクトリックアンドエレクトロニックプロセシング(GEEP)から入手可能である。
【0029】
他の電子廃棄物材料は最初に手作業で分離され、その後にサイズ低減される。主としてポリカーボネート/ABSブレンドであると考えられるそれらの部分はその後、手で選ばれ、リサイクルのための供給原料として使用される。そのような電子廃棄物プラスチックは、リサイクルトロニクス(Recycletronics)から入手可能である。
【0030】
ポリカーボネート含有組成物中のリン含有難燃剤は、有機ホスフェートおよびリン−窒素結合を含む有機化合物を含む。
【0031】
1つの型の有機ホスフェートは式(GO)
3P=Oの芳香族ホスフェートであり、式中、各Gは独立してアルキル、シクロアルキル、アリール、アルキルアリール、またはアラルキル基であり、ただし、少なくとも1つのGは芳香族基であることを条件とする。G基の2つは一緒になり、環状基、例えば、ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェートを提供することができる。芳香族ホスフェートとしては、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスファイト、フェニルビス(3,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2−エチルヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル)p−トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5’−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、などが挙げられる。特定の芳香族ホスフェートは各Gが芳香族であるもの、例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、などである。
【0032】
二または多官能性芳香族リン含有化合物、例えば、下記式の化合物もまた、有用であり、
【化4】
式中、各G
1は独立して、1から30個の炭素原子を有する炭化水素であり、各G
2は、独立して1から30個の炭素原子を有する炭化水素またはヒドロカルボノキシであり、各Xは独立して臭素または塩素であり、mは、0から4であり、ならびにnは、1から30である。二または多官能性芳香族リン含有化合物としては、レゾルシノールテトラフェニルジホスフェート(RDP)、それぞれ、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェートおよびビスフェノールAのビス(ジフェニル)ホスフェート、それらのオリゴマおよびポリマ対応物、などが挙げられる。
【0033】
リン−窒素結合を含む例示的な難燃剤化合物としては塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド類、リン酸アミド類、ホスホン酸アミド類、ホスフィン酸アミド類、トリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドが挙げられる。有機リン含有難燃剤は、一般に、全てのフィラーを排除した、100重量部の総組成物に基づき、約0.1から約20重量部、例えば、約2から約18重量部または約4から約16重量部、任意で約2から約15重量部の量で存在する。
【0034】
FRポリカーボネート組成物中のポリカーボネート類は、アルコーリシスにより脱重合させることができる。本明細書では、アルコーリシスは、アルコールを溶媒および反応物の両方として使用することにより、ポリカーボネートを脱重合してジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキル類を生成させるプロセスを示す。
【0035】
アルコールは、C
1−10アルコール、例として、アルキルアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、およびアリールアルコール、例えばフェノール、クレゾール類、などとすることができる。アルキルアルコールの存在下でのアルコーリシスは炭酸ジアルキルを生成させる。アリールアルコールの存在下でのアルコーリシスは炭酸ジアリールを生成させる。本明細書における記載および実施例が炭酸ジアルキルに言及する場合、炭酸ジアリールを生成させるアルコーリシスプロセス、およびポリカーボネート類を調製するための回収された炭酸ジアリールの使用もまた、本開示の範囲内にあることが認識される。メタノールが使用される場合、アルコーリシスはメタノリシスと呼ばれ、エタノールが使用される場合、プロセスはエタノーリシスと呼ばれる、など。本明細書における記載および実施例がメタノリシスに言及する場合、当業者は、他のアルコール類は、一般にアルコーリシスと呼ばれるものに対して同じ意味で使用することができること、ならびに後者は発明の範囲内にあることを理解するであろう。
【0036】
触媒、例えば、エステル交換触媒は、チタンイソプロポキシド、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、水素化ホウ素の四級アンモニウム塩、水素化アルミニウムの四級アンモニウム塩、アルカリ金属の水素化物、アルカリ土類金属の水素化物、アルカリ金属のアリールオキシド、アルカリ土類金属のアリールオキシド、アルカリ金属の有機塩、アルカリ土類金属の有機塩、ホウ素化合物、ケイ素化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物、有機スズ化合物、鉛化合物、オニウム化合物、アンチモン化合物、マンガン化合物、チタン化合物、亜鉛化合物またはジルコニウム化合物の1つ以上とすることができる。
【0037】
アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化カルシウムとすることができる。水素化ホウ素および水素化アルミニウムの四級アンモニウム塩は、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナトリウムおよびテトラメチルアンモニウムボロヒドリドとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水素化物は、水素化リチウム、水素化ナトリウムまたは水素化カルシウムとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアルコキシドは、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシドまたはカルシウムメトキシドとすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属のアリールオキシドは、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、マグネシウムフェノキシド、LiO−Ar−OLi(式中、Arはアリーレン基を表す)、およびNaO−Ar−ONa(式中、Arはアリーレン基を表す)とすることができる。アルカリ金属およびアルカリ土類金属の有機塩は、酢酸リチウム、酢酸カルシウム、または安息香酸ナトリウムとすることができる。亜鉛化合物は酸化亜鉛、酢酸亜鉛または亜鉛フェノキシドとすることができる。ホウ素化合物は酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸トリメチル、ホウ酸トリブチル、ホウ酸トリフェニル、ホウ酸アンモニウム、またはホスホニウムボレートとすることができる。ケイ素化合物は酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、テトラアルキルケイ素(tetraalkylsilicon)、テトラアリールケイ素(tetraarylsilicon)、またはジフェニル−エチル−エトキシケイ素とすることができる。ゲルマニウム化合物は酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、およびゲルマニウムエトキシドまたはゲルマニウムフェノキシドとすることができる。スズ化合物は、酸化スズ、ジアルキルスズオキシド、ジブチルスズオキシド、ジアルキルスズカルボキシレート、または酢酸スズとすることができる。スズに結合されたアルコキシ基またはアリールオキシ基を有するスズ化合物は、エチルスズトリブトキシドおよび有機スズ化合物を含むことができる。鉛化合物は、酸化鉛、酢酸鉛、炭酸鉛、および塩基性炭酸鉛を含む。鉛のアルコキシドおよびアリールオキシドもまた、金属エステル交換触媒として使用することができる。鉛のアリールオキシドの1つの例は鉛ジフェノキシドである。オニウム化合物は四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩、または四級アルソニウム塩を含むことができる。アンチモン化合物は酸化アンチモンおよび酢酸アンチモンを含むことができる。マンガン化合物は酢酸マンガン、炭酸マンガンおよびホウ酸マンガンを含むことができる。チタン化合物は、酸化チタンおよびチタンアルコキシドおよびチタンアリールオキシドを含む。ジルコニウム化合物は酢酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、ジルコニウムアルコキシド、ジルコニウムアリールオキシド、およびジルコニウムアセチルアセトナートを含む。
【0038】
前記に加えて、本明細書で使用されるエステル交換触媒は、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、メチルトリブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセタート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセタート、またはテトラブチルホスホニウムフェノラートを含むことができる。本明細書で使用されるエステル交換触媒は、前記化合物の1つ以上とすることができる。特定の実施形態では、触媒はテトラ(イソプロピル)チタネート、アルミニウムイソプロポキシド、ジブチルスズオキシド、金属フェノキシド、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせである。便宜的に、触媒は炭酸ジフェニル生成ユニットからの触媒パージストリームである。
【0039】
触媒がチタン系触媒である場合、触媒は十分な量の水を、ジヒドロキシ芳香族化合物、ジアルキル化合物およびアルコールのブレンドに添加し、触媒を二酸化チタンに変換する(これは濾過して除去することができる)ことにより、除去することができる。
【0040】
触媒の触媒活性量は、ポリカーボネート含有組成物およびアルコールの総重量に基づき、4wt%、3wt%、2wt%、1wt%、0.5wt%、0.25wt%、0.1wt%、0.05wt%、0.025wt%、0.01wt%未満とすることができる。特定の実施形態では、触媒は、ポリカーボネート含有組成物およびアルコールの総重量に基づき、0.01wt%から2wt%、0.01wt%から1wt%、または0.01wt%から0.1wt%の量で存在することができる。
【0041】
ポリカーボネートのアルコーリシスは一般に、少なくとも30℃の温度、特定的には70℃から200℃の温度、より特定的には100℃から180℃、最も特定的には130℃から170℃で実施される。30℃未満の温度では、反応速度が経済的操業には遅すぎる可能性がある。大気または超大気圧、例えば40barまで、特定的には50mbarから40bar、より特定的には5barから20barの自己圧力(autogenous pressure)が使用され得る。
【0042】
ポリカーボネートのアルコーリシスは、温度および圧力ならびに使用される特定のポリカーボネート含有組成物および触媒によって、約0.5から約10時間、特定的には約1から約5時間、より特定的には約2から約4時間の間実施することができる。便宜的に、ポリカーボネートの変換は4時間未満で99%完了する。
【0043】
1:1から10:1、特定的には2:1から8:1、より特定的には2:1から6:1のアルコール対ポリカーボネート含有組成物の重量比を使用することができる。メタノール、エタノール、またはブタノールなどのアルコール対ポリカーボネート含有組成物のモル比は、8:1から80:1、特定的には16:1から64:1、より特定的には16:1から48:1とすることができる。本明細書で設定されたもの以外の他の比も使用することができるが、試薬および溶媒の両方として使用されるので、過剰のアルコールが望ましい可能性がある。
【0044】
アルコールおよび炭酸ジアルキルの組み合わせはジヒドロキシ芳香族化合物から蒸留により分離することができる。アルコール/炭酸ジアルキルストリーム(50wt%までの炭酸ジアルキルを含む)は、ポリカーボネート類のアルコーリシスのために再利用することができる。あるいは、アルコール/炭酸ジアルキル混合物は、アルコールリッチサブストリームおよび炭酸ジアルキルリッチサブストリームに分離することができ、各ストリームは75%超のアルコールまたは炭酸ジアルキルを含む。アルコールリッチサブストリームは、ポリカーボネート類を脱重合するために再利用することができる。一実施形態では、サブストリームの1つまたは両方は、さらなる反応において使用する前に精製することができる。
【0045】
炭酸ジアルキル類の例示的な例としては、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸ジエチル、および炭酸ジブチルが挙げられる。特定のジヒドロキシ芳香族化合物のいくつかの例示的な例としては下記が挙げられる:4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブテン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、trans−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオリン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビスフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェナジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、および2,7−ジヒドロキシカルバゾール、レゾルシノール、置換レゾルシノール化合物、例えば5−メチルレゾルシノール、5−エチルレゾルシノール、5−プロピルレゾルシノール、5−ブチルレゾルシノール、5−t−ブチルレゾルシノール、5−フェニルレゾルシノール、5−クミルレゾルシノール、2,4,5,6−テトラフルオロレゾルシノール、2,4,5,6−テトラブロモレゾルシノール、など、カテコール、ヒドロキノン、置換ヒドロキノン、例えば2−メチルヒドロキノン、2−エチルヒドロキノン、2−プロピルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、2−t−ブチルヒドロキノン、2−フェニルヒドロキノン、2−クミルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラ−t−ブチルヒドロキノン、2,3,5,6−テトラフルオロヒドロキノン、2,3,5,6−テトラブロモヒドロキノン、など、または前記ジヒドロキシ化合物の少なくとも1つを含む組み合わせ。
【0046】
ジヒドロキシ芳香族化合物の他の具体例としては、下記が挙げられる:1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(「ビスフェノールA」または「BPA」とも呼ばれる)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(PPPBP)、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(DMBPC)、および1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール。1つの特定の実施形態では、ポリカーボネートのアルコーリシスから誘導されたジヒドロキシ芳香族化合物はビスフェノールAである。
【0047】
得られたジヒドロキシ芳香族化合物は、そのままで販売することができ、あるいは、ポリカーボネートを製造するための重合を含むさらなる反応で使用することができる。得られた炭酸ジアルキルはフェノールと反応することができ、炭酸ジフェニルを提供する。一実施形態では、ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアルキルはさらなる反応のために使用される前に精製することができる。
【0048】
例えば、ジヒドロキシ芳香族化合物は、カルボニル源、すなわち、カーボネート前駆体との重合によりポリカーボネートを形成させるために使用することができる。ポリカーボネートを生成するためのジヒドロキシ芳香族化合物の重合は、界面または溶融重合法によるものとすることができる。界面重合のための反応条件は様々であり得るが、プロセスは一般に、ジヒドロキシ芳香族化合物を苛性ソーダまたはカリ水溶液中に溶解または分散させる工程、得られた混合物を水に混和しない溶媒媒質に添加する工程、ならびに反応物をカーボネート前駆体と、触媒、例えばトリエチルアミンまたは相間移動触媒の存在下、制御されたpH条件下、例えば、8から12で接触させる工程を含む。最も普通に使用される水に混和しない溶媒としては塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、などが挙げられる。
【0049】
カーボネート前駆体としては、ハロゲン化カルボニル、例えば臭化カルボニルまたは塩化カルボニル、あるいはハロホルメート(haloformate)、例えば二価フェノールのビスハロホルメート類(例えば、ビスフェノールA、ヒドロキノン、などのビスクロロホルメート類)またはグリコールのビスハロホルメート類(例えば、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、などのビスハロホルメート)が挙げられる。前記型のカーボネート前駆体の少なくとも1つを含む組み合わせもまた使用することができる。一実施形態では、カーボネート結合を形成するための界面重合反応はホスゲンをカーボネート前駆体として使用し、ホスゲン化反応と呼ばれる。
【0050】
使用することができる相間移動触媒の中には、式(R
3)
4Q
+Xの触媒があり、式中、各R
3は同じかまたは異なり、C
1−10アルキル基であり、Qは窒素またリン原子であり、ならびにXはハロゲン原子またはC
1−8アルコキシ基またはC
6−18アリールオキシ基である。相間移動触媒としては、例えば、[CH
3(CH
2)
3]
4NX、[CH
3(CH
2)
3]
4PX、[CH
3(CH
2)
5]
4NX、[CH
3(CH
2)
6]
4NX、[CH
3(CH
2)
4]
4NX、CH
3[CH
3(CH
2)
3]
3NX、およびCH
3[CH
3(CH
2)
2]
3NXが挙げられ、式中、XはCl
−、Br
−、C
1−8アルコキシ基またはC
6−18アリールオキシ基である。相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に基づき、0.1から10wt%とすることができる。別の実施形態では、相間移動触媒の有効量は、ホスゲン化混合物中のビスフェノールの重量に基づき0.5から2wt%とすることができる。
【0051】
分枝ポリカーボネートブロックは、分岐剤を重合中に添加することにより調製することができる。連鎖停止剤(キャッピング剤とも呼ばれる)を重合中に含ませることができる。連鎖停止剤は分子量増大速度を制限し、それで、ポリカーボネートにおける分子量を制御する。
【0052】
あるいは、溶融プロセスを使用してポリカーボネート類を製造することができる。溶融重合は、バッチプロセスとして、または連続プロセスとして実行され得る。どちらの場合にも、使用される溶融重合条件は2つ以上の明確な反応段階を含むことができ、例えば、第1の反応段階では、開始ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアリールがオリゴマポリカーボネートに変換され、第2の反応段階では、第1の反応段階で形成されたオリゴマポリカーボネートが高分子量ポリカーボネートに変換される。そのような「段階的」重合反応条件は、連続重合系での使用にとりわけ好適であり、この場合、開始モノマは第1の反応容器内でオリゴマ化され、その中で形成されたオリゴマポリカーボネートは、1つ以上の下流反応器に連続して移動され、そこで、オリゴマポリカーボネートは高分子量ポリカーボネートに変換される。典型的には、オリゴマ化段階では、生成されたオリゴマポリカーボネートは、約1,000から約7,500ダルトンの、数平均分子量を有する。1つ以上のその後の重合段階では、ポリカーボネートの数平均分子量(Mn)は、約8,000と約25,000ダルトンの間まで増加される(ポリカーボネート標準を使用して)。
【0053】
「溶融重合条件」という用語は、エステル交換触媒の存在下で、ジヒドロキシ芳香族化合物と炭酸ジアリールの間の反応を達成するのに必要なそれらの条件を意味すると理解される。典型的には、溶媒はそのプロセスでは使用されず、反応物ジヒドロキシ芳香族化合物および炭酸ジアリールは溶融状態にある。反応温度は約100℃から約350℃、特定的には約180℃から約310℃とすることができる。圧力は、反応の初期段階では、大気圧、超大気圧、または大気圧から約15torrの圧力範囲とすることができ、後の段階では、減圧、例えば約0.2から約15torrとすることができる。反応時間は一般に約0.1時間から約10時間である。
【0054】
ポリカーボネート類の溶融エステル交換重合生成において使用される触媒はαまたはβ触媒を含むことができる。β触媒は典型的に揮発性であり、高温で分解する。よって、β触媒は初期低温重合段階での使用に好ましい。α触媒は典型的には、β触媒よりも熱的に安定で、より揮発性が低い。
【0055】
α触媒はアルカリまたはアルカリ土類イオンの起源を含むことができる。これらのイオンの起源としては、アルカリ金属水酸化物、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム、ならびにアルカリ土類水酸化物、例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。アルカリおよびアルカリ土類金属イオンの他の可能な起源としては、カルボン酸の対応する塩(例えば酢酸ナトリウム)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)の誘導体(例えばEDTA四ナトリウム塩、およびEDTAマグネシウム二ナトリウム塩)が挙げられる。他のαエステル交換触媒としては、不揮発性無機酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩、例えばNaH
2PO
3、NaH
2PO
4、Na
2HPO
3、KH
2PO
4、CsH
2PO
4、Cs
2HPO
4、など、あるいはリン酸の混合塩、例えばNaKHPO
4、CsNaHPO
4、CsKHPO
4、などが挙げられる。前記触媒のいずれかの少なくとも1つを含む組み合わせが使用され得る。
【0056】
可能なβ触媒は、四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせを含むことができる。四級アンモニウム化合物は構造(R
4)
4N
+X
−の化合物とすることができ、式中、各R
4は同じかまたは異なり、C
1−20アルキル基、C
4−20シクロアルキル基、またはC
4−20アリール基であり、ならびにX
−は有機または無機アニオン、例えば水酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ギ酸、炭酸、または重炭酸である。有機四級アンモニウム化合物の例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムアセタート、テトラメチルアンモニウムホルメート、テトラブチルアンモニウムアセタート、および前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。テトラメチルアンモニウムヒドロキシドがしばしば使用される。四級ホスホニウム化合物は構造(R
5)
4P
+X
−の化合物とすることができ、各R
5は同じかまたは異なり、C
1−20アルキル基、C
4−20シクロアルキル基、またはC
4−20アリール基であり、ならびにX
−は有機または無機アニオン、例えば水酸化物、ハロゲン化物、カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ギ酸、炭酸、または重炭酸である。X
−が多価アニオン、例えば炭酸または硫酸である場合、四級アンモニウムおよびホスホニウム構造内の正および負電荷は適正に平衡化されることが理解される。例えば、R
20−R
23がそれぞれ、メチル基であり、X
ーが炭酸である場合、X
−は2(CO
3−2)を表すことが理解される。有機四級ホスホニウム化合物の例としては、テトラメチルホスホニウムヒドロキシド、テトラメチルホスホニウムアセタート、テトラメチルホスホニウムホルメート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセタート(TBPA)、テトラフェニルホスホニウムアセタート、テトラフェニルホスホニウムフェノキシド、および前記の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。TBPAがしばしば使用される。
【0057】
使用されるαおよびβ触媒の量は、重合反応で使用されるジヒドロキシ化合物の総モル数を基本にすることができる。β触媒、例えば、ホスホニウム塩の、重合反応において使用される全ジヒドロキシ化合物に対する比に言及する場合、ジヒドロキシ化合物1モルあたりのホスホニウム塩のモル数を示すことが好都合であり、反応混合物中に存在する各個々のジヒドロキシ化合物のモルの合計で割ったホスホニウム塩のモル数を意味する。α触媒は、使用されるジヒドロキシ化合物1モルあたり1×10
−2から1×10
−8モル、特定的には、1×10
−4から1×10
−7モルの金属を提供するのに十分な量で使用することができる。β触媒(例えば、有機アンモニウムまたはホスホニウム塩)の量は、反応混合物中のジヒドロキシ化合物の合計1モルあたり1×10
−2から1×10
−5、特定的には1×10
−3から1×10
−4モルとすることができる。
【0058】
分枝ポリカーボネートブロックは、分岐剤を重合中に添加することにより調製することができる。これらの分岐剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、および前記官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含む多官能性有機化合物を含む。具体例としては、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸トリクロリド(trimellitic trichloride)、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビス−フェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。分岐剤は、0.05から2.0重量%のレベルで添加することができる。直鎖ポリカーボネート類および分枝ポリカーボネート類を含む混合物を使用することができる。下記分枝構造の量は2,000ppmまたはそれ未満である。
【0059】
様々な実施形態を下記非限定的な実施例によりさらに説明する。
【化5】
【化6】
【化7】
【実施例】
【0060】
実施例において使用される、または実施例のプロセスにより生成される材料を表1に記載する。
【0061】
【表1】
【0062】
[一般手順]
全てのメタノリシス研究は、ジャケットオイルヒータを有する加熱ジャケットおよび冷却水槽を有する冷却コイルが取り付けられた2リットル(チタン)アマル(Amar)高圧反応器内で実施した。反応器にはまた底部放出弁が取り付けられ、反応質量が取り出された。各実験開始前に、反応器を数回加圧窒素でフラッシングし、よって、反応器の内側で酸素を含まない雰囲気を確保した。その後、反応器に所望の量のメタノール、ポリカーボネート廃棄物、および触媒を入れた。反応器を再び、数回加圧窒素でフラッシングした。これにより、系のゼロリーク条件も確保された。撹拌速度をその後、所望の値に調整した。反応器内容物を、熱油を反応器ジャケットを通して循環させることにより所望の温度まで加熱した。反応器の温度を、冷却コイルを通して冷水を循環させることにより設定温度の±0.5℃以内で制御した。所望の温度に到達した時点で時間を時間ゼロと記した。系全体をこのようにバッチモードで180分間動作させた。実験の終わりに、冷却コイルを通して冷却水を循環させることにより反応器内容物を25℃−30℃まで冷却した。反応器をその後、手動で通気弁を開くことにより減圧して大気圧とし、底部排水弁を用いて反応器内容物を排出させた。その後、反応混合物を濾過し、蒸溜してメタノールおよびDMCを回収した。後に残った固体をBPA純度に対して高圧液体クロマトグラフィ(HPLC)により分析した。蒸留中に得られたDMCをガスクロマトグラフィ(GC)により分析した。
【0063】
ポリカーボネート量を、赤外線放射分光法(IR)により定量した。BPAをHPLCにより定量し、DMCをGCにより定量した。
【0064】
<実施例1>
140グラムのポリカーボネート原料#1を、0.7リットルのアセトンと50℃の温度で接触させた。300分保持した後、アセトン抽出および溶解構成成分を不溶性ポリカーボネート(94%純度)から分離した。ポリカーボネートを、過剰のメタノールおよびテトラ(イソプロピル)チタネートで処理しポリカーボネートのメタノリシスを開始させ、ビスフェノールA(95%純度、82%収率)および炭酸ジメチル(74%収率)を生成させた。アセトン抽出物を蒸留して、アセトンを除去し、残った固体を、メタノールで処理しビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を溶解させ、よって、これを不溶性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンから分離した。
【0065】
<実施例2>
140グラムのポリカーボネート原料#2(約70%ポリカーボネートを含む)を、0.7リットルのアセトンと50℃の温度で接触させた。300分保持した後、アセトン抽出および溶解構成成分を不溶性ポリカーボネートから分離した。ポリカーボネートを、過剰のメタノールおよびテトラ(イソプロピル)チタネートで処理し、ポリカーボネートのメタノリシスを開始させ、ビスフェノールA(95%純度、91%収率)および炭酸ジメチル(81%収率)を生成させた。アセトン抽出物を蒸留して、アセトンを除去し、残った固体を、メタノールで処理しビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)を溶解させ、よって、これを不溶性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンから分離した。
【0066】
<実施例3>
200グラムのポリカーボネート原料#3(約12%ポリカーボネートを含む)を、1.6リットルのトリクロロメタンと室温で接触させた。180分保持した後、トリクロロメタン抽出および溶解構成成分を、不溶性構成成分から分離し、メタノールにより再沈殿させた。メタノール不溶性沈殿物は138gのポリカーボネートを含んだ。100gのこのポリカーボネートを、メタノールで処理し、テトラ(イソプロピル)チタネートポリカーボネートのメタノリシスを開始させ、ビスフェノールA(90%純度、84%収率)および炭酸ジメチル(82%収率)を生成させた。
【0067】
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は文脈で明確に別記されない限り複数の指示対象を含む。「または」は、「および/または」を意味する。よって、「難燃剤またはABSを含む組成物」への言及は、例えば、難燃剤、ABS、または両方を含む組成物を意味する。同じ構成成分または特性を対象にする全ての範囲の終点は包含され、独立して組み合わせ可能である。「任意的な」または「任意で」は、その後に記載される事象または状況が起きてもよく、または起こらなくてよいこと、ならびに、その記載は、事象が起きた場合および起こらない場合を含むことを意味する。別に規定されない限り、本明細書で使用される技術および科学用語はこの発明が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。
【0068】
本明細書では、「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金、反応生成物、などを含む。化合物は標準命名法を使用して記載される。例えば、いずれの示された基によっても置換されていない任意の位置はその原子価が示された結合、または水素原子により満たされていると理解される。2つの文字または記号間にないダッシュ記号(「−」)は置換基のための付着点を示すために使用される。例えば、−CHOは、カルボニル基の炭素を介して付着される。
【0069】
本明細書では、「ヒドロカルビル」および「炭化水素」という用語は広く、炭素および水素を含み、任意で1から3個のヘテロ原子、例えば、酸素、窒素、ハロゲン、ケイ素、硫黄、またはそれらの組み合わせを有する置換基を示し、「アルキル」は、直鎖または分枝鎖、飽和一価炭化水素基を示し、「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖、飽和、二価炭化水素基を示し、「アルキリデン」は、1つの共通の炭素原子上に2つの原子価を有する、直鎖または分枝鎖、飽和、二価炭化水素基を示し、「アルケニル」は、炭素−炭素二重結合により結合された少なくとも2つの炭素を有する、直鎖または分枝鎖一価炭化水素基を示し、「シクロアルキル」は、少なくとも3個の炭素原子を有する非芳香族一価単環式または多環式炭化水素基を示し、「シクロアルケニル」は、少なくとも3個の炭素原子を有し、少なくとも1の不飽和度を有する、非芳香族環状二価炭化水素基を示し、「アリール」は、1つまたは複数の芳香環中に炭素のみを含む芳香族一価基を示し、「アリーレン」は、1つまたは複数の芳香環中に炭素のみを含む芳香族二価基を示し、「アルキルアリール」は、以上で規定されたアルキル基で置換されたアリール基を示し、4−メチルフェニルは例示的なアルキルアリール基であり、「アリールアルキル」は、以上で規定されたアリール基で置換されたアルキル基を示し、ベンジルは例示的なアリールアルキル基であり、「アシル」は、カルボニル炭素架橋(−C(=O)−)を介して付着される、指示された数の炭素原子を有する以上で規定されたアルキル基を示し、「アルコキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して付着される、指示された数の炭素原子を有する以上で規定されたアルキル基を示し、ならびに「アリールオキシ」は、酸素架橋(−O−)を介して付着される、指示された数の炭素原子を有する以上で規定されたアリール基を示す。
【0070】
別記されない限り、前記基の各々は非置換とすることができ、または置換することができ、ただし、置換は化合物の合成、安定性、または使用に著しく悪影響を及ぼさないことを条件とする。「置換された」という用語は本明細書では、指定された原子または基上の少なくとも1つの水素が別の基に置き換えられることを意味し、ただし、指定された原子の正常原子価を超えないことを条件とする。置換基がオキソ(すなわち、=O)である場合、そうすると、その原子上の2つの水素が置き換えられている。置換基または変数の組み合わせが許容され、ただし、化合物の合成または使用に著しく悪影響を及ぼさないことを条件とする。「置換された」位置上に存在することができる例示的な基としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:シアノ、ヒドロキシル、ニトロ、アジド、アルカノイル(例えば、C
2−6アルカノイル基、例えばアシル)、カルボキサミド、C
1−6またはC
1−3アルキル、シクロアルキル、アルケニル、およびアルキニル(少なくとも1つの不飽和結合および2から8、または2から6個の炭素原子を有する基を含む)、C
1−6またはC
1−3アルコキシ基、C
6−10アリールオキシ、例えばフェノキシ、C
1−6アルキルチオ、C
1−6またはC
1−3アルキルスルフィニル、C
1−6またはC
1−3アルキルスルホニル、アミノジ(C
1−6またはC
1−3)アルキル、少なくとも1つの芳香環(例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、など、各環は置換または非置換芳香族である)を有するC
6−12アリール、1から3つの別々のまたは縮合環および6から18個の環炭素原子を有するC
7−19アルキレンアリール(ベンジルは例示的なアリールアルキル基である)、または1から3つの別々のまたは縮合環および6から18個の環炭素原子を有するアリールアルコキシ(ベンジルオキシは例示的なアリールアルコキシ基である)。
【0071】
本明細書で引用される全ての参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。典型的な実施形態を説明目的のために明記してきたが、前記記載は、本明細書における範囲を制限すると判断すべきではない。したがって、当業者であれば、本明細書における精神および範囲から逸脱せずに、様々な改変、適応、および代案を思いつくであろう。