【実施例1】
【0020】
本発明の実施例1を
図1乃至
図10を参照して説明する。
まず、
図1を用いて実施例1のウエハ関連データ管理システムの構成を説明する。
図1には、3本の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3が図示されている。
各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3には、それぞれダイ供給装置11をセットした装着機12や、テープフィーダ13をセットした装着機14が1台又は複数台配置されている。各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3には、装着機の他に、半田印刷機、検査機、リフロー炉等が配置されていても良い。
【0021】
部品実装ラインLine#1,Line#2の各装置は、ライン管理コンピュータ16とネットワーク接続され、該ライン管理コンピュータ16によって生産管理される。部品実装ラインLine#3の各装置は、ライン管理コンピュータ17とネットワーク接続され、該ライン管理コンピュータ17によって生産管理される。ライン管理コンピュータ16,17は、ホストコンピュータ18とネットワーク接続され、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3の生産が管理される。
【0022】
次に、
図2を用いてダイ供給装置11の構成を概略的に説明する。
ダイ供給装置11は、マガジン保持部22(トレイタワー)、パレット引き出しテーブル23、XY移動機構25、突き上げユニット28(
図3参照)等を備え、パレット引き出しテーブル23を装着機12(
図1参照)に差し込んだ状態にセットされる。
【0023】
ダイ供給装置11のマガジン保持部22内に上下動可能に収納されたマガジン(図示せず)には、ダイ31(ウエハ部品)を載せたウエハパレット32が多段に積載され、生産中にマガジンからウエハパレット32がパレット引き出しテーブル23上に引き出されるようになっている。
図4に示すように、ウエハパレット32は、ウエハを碁盤目状にダイシングして形成したダイ31を貼着した伸縮可能なダイシングシート34を、円形の開口部を有するウエハ装着板33にエキスパンドした状態で装着し、該ウエハ装着板33をパレット本体35にねじ止め等により取り付けた構成となっている。
【0024】
突き上げユニット28(
図3参照)は、ウエハパレット32のダイシングシート34下方の空間領域をXY方向に移動可能に構成されている。そして、ダイシングシート34のうちのピックアップ(吸着)しようとするダイ31の貼着部分をその下方から突き上げポット37の突き上げピン39(
図5、
図6参照)で局所的に突き上げることで、当該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させてダイ31をピックアップしやすい状態に浮き上がらせるようにしている。
【0025】
この突き上げユニット28は、サーボモータ(図示せず)を駆動源として突き上げユニット28全体が上下動するように構成されている。ダイピックアップ動作時には、突き上げユニット28が上昇して突き上げポット37の上面がウエハパレット32のダイシングシート34にほぼ接触する所定のシート吸着位置まで上昇すると、ストッパ機構(図示せず)によって突き上げユニット28の上昇が止まり、更に上昇動作を続けると、突き上げポット37の上面から突き上げピン39(
図5、
図6参照)が上方に突出して、ダイシングシート34のうちのピックアップしようとするダイ31の貼着部分を突き上げるようになっている。この場合、駆動源となるサーボモータの回転量を調整することで、突き上げピン39の突き上げ高さ位置(突き上げ量)を調整できるようになっている。
【0026】
図2に示すように、XY移動機構25には、吸着ヘッド41とカメラ42とが組み付けられ、該XY移動機構25によって吸着ヘッド41とカメラ42が一体的にXY方向に移動するように構成されている。吸着ヘッド41には、ダイシングシート34上のダイ31を吸着する吸着ノズル43(
図5、
図6参照)が上下動するように設けられている。カメラ42は、ダイシングシート34上のダイ31を上方から撮像してその撮像画像を画像処理することで、吸着ノズル43で吸着するダイ31の位置を確認できるようになっている。
【0027】
図4に示すように、ウエハパレット32には、該ウエハパレット32の識別情報(以下「パレットID」という)を記録又は記憶したパレットID記録部45が設けられている。このパレットID記録部45は、バーコード、2次元コード等のコードを記録したものでも良いし、電子的に記憶するRFタグ(電子タグ、ICタグ、電波タグ、無線タグとも呼ばれる)や、磁気的に記録する磁気テープ等を用いても良い。
【0028】
一方、
図1に示すように、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3を接続するネットワークには、ウエハ関連データ作成装置47と情報管理サーバ48が接続されている。ウエハ関連データ作成装置47は、ダイ供給装置11で使用するウエハ関連データをオフライン(機外)で作成する装置であり、
図7及び
図8に示すように、ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレット32をセットするセット台(図示せず)と、このセット台にセットしたウエハパレット32のダイシングシート34上のダイ31を吸着するテスト用吸着ノズル51を保持する吸着ヘッド52と、ダイシングシート34のうちのテスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31の貼着部分を突き上げるテスト用突き上げピン53と、ダイシングシート34上のダイ31を撮像するテスト用カメラ54とを備えた構成となっている。吸着ヘッド52とテスト用カメラ54は、XY移動機構55によって一体的にXY方向に移動するように構成されている。
【0029】
ウエハ関連データ作成装置47のテスト用吸着ノズル51、テスト用突き上げピン53及びテスト用カメラ54は、ダイ供給装置11の吸着ノズル43、突き上げピン39及びカメラ42と実質的に同じ仕様のものが用いられ、それぞれ、ダイ供給装置11の吸着ノズル43、突き上げピン39及びカメラ42に合わせて取り替え可能となっている。ウエハ関連データ作成装置47のテスト用突き上げピン53の本数も、ダイ供給装置11の突き上げピン39の本数に合わせて変更可能となっている。
【0030】
次に、ウエハ関連データ作成装置47を使用してウエハ関連データを作成(セットアップ)する手順を説明する。
まず、ウエハ関連データ作成装置47を動作させるのに必要なウエハ関連データの初期値(チューニング前の暫定値)をウエハ関連データ作成装置47の制御装置(図示せず)に入力する。
【0031】
この後、画像処理データを作成して画像処理のテストを行う。画像処理データの作成方法は、ウエハ関連データの作成対象となるウエハパレット32をセット台にセットし、そのウエハパレット32のダイシングシート34上のウエハ(ダイ31)をその上方からテスト用カメラ54で撮像し、ウエハの画像を取り込んで画像処理して、画像処理データの初期値(チューニング前の暫定値)を用いてウエハ(ダイ31)の形状を認識して、画像処理データ(ウエハやダイ31のサイズ等)を作成する。そして、作成した画像処理データを用いて、テスト用カメラ54のウエハの撮像画像からダイ31の形状を認識する画像処理のテストを行い、ダイ31の形状を安定して認識できるようになるまで画像処理データをチューニングする。
【0032】
この後、ダイシングシート34上のダイ31の行列数を自動的にカウントする。この際、ダイシングシート34上のウエハ円の中心を通る直線に沿ってダイ31を1個ずつ画像処理しながらダイ31の数をカウントしてダイ31の行列数を求める。このカウントは、横方向(X方向)と縦方向(Y方向)の列でそれぞれ行い、横方向と縦方向の行列数を求める。
【0033】
この後、ウエハ関連データ作成装置47のテスト用突き上げピン53の突き上げ動作及びテスト用吸着ノズル51のダイ吸着動作を実行して突き上げ関連データを作成する。この際、テスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31の位置を検出するために、まず、
図8(a)に示すように、テスト用吸着ノズル51で吸着しようとするダイ31をその上方からテスト用カメラ54で撮像し、ダイ31の画像を取り込んで画像処理して、ダイ31の位置を検出する。
【0034】
この後、
図8(b)に示すように、テスト用吸着ノズル51を下降させてダイ31を吸着する。この後、
図8(c)に示すように、テスト用突き上げピン53を上昇させて、ダイの貼着部分を突き上げピン53で突き上げて該ダイ31の貼着部分をダイシングシート34から部分的に剥離させながら、テスト用吸着ノズル51を上昇させる。これにより、
図8(d)に示すように、ダイシングシート34からダイ31が剥離されてから、テスト用突き上げピン53を下降させて元の位置に戻す。これらの動作により、突き上げ関連データをチューニングする。
【0035】
ここで、チューニングする突き上げ関連データは、突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ量、突き上げプロファイル等である。突き上げプロファイルは、
図9に示すように、突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ速度又は加速度の経時変化を指定するテーブルであり、突き上げ動作の途中で突き上げ速度(加速度)を切り換えるようにしている。この突き上げプロファイルによって突き上げピン39(テスト用突き上げピン53)の突き上げ動作の挙動(速度又は加速度)が指定される。突き上げ動作の途中で突き上げ速度(加速度)を切り換えるようにすれば、例えば、突き上げ動作の初めはゆっくりと突き上げ速度を上げ、途中から更に突き上げ速度を上げたり、或は、その反対に、突き上げ動作の途中から突き上げ速度を下げるようにしても良い。突き上げ速度(加速度)を切り換える高さ位置を指定できるようにしても良い。
【0036】
その他、突き上げ関連データとして、突き上げポット37の種類(形状、径)、突き上げピン39の形状、ピン配置等を指定できるようにしても良い。
また、ダイシングシート34上のダイ31の吸着開始位置を次のようにして設定する。まず、
図10(a)に示すように、ウエハパレット32のダイシングシート34上の基準位置となるリファレンスダイRをその上方からテスト用カメラ54で撮像し、画像処理によりリファレンスダイRの位置を検出して、2本の位置決めピン61,62の位置を基準にしてウエハの中心位置を求める。
【0037】
この後、
図10(b)に示すように、ウエハ関連データ作成装置47のモニタ画面上でウエハの生画像又はイメージ図を見ながら、吸着開始位置をマウス等の操作でセットする。この後、
図10(c)に示すように、ウエハの中心位置を原点とする吸着開始位置の座標を演算する。
【0038】
以上のようにしてウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データ(画像処理データ、ダイ31の行列数、突き上げ関連データ、ダイ31の吸着開始位置等)は、情報管理サーバ48に転送され、該ウエハ関連データがパレットIDと関連付けて記憶される。尚、生産中に部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3のいずれかを停止させて、従来と同じ方法でダイ供給装置11を使用してウエハ関連データを作成した場合は、このウエハ関連データもパレットIDと関連付けて情報管理サーバ48に記憶するようにすれば良い。
【0039】
この情報管理サーバ48は、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3で使用するウエハ関連データを一元管理するサーバであり、該情報管理サーバ48で起動するウエハマップコンバータ57にウエハマッピングデータを登録すると共に、該ウエハマップコンバータ57によってウエハマップファイルを読取り可能なファイルにコンバートして情報管理サーバ48に保管する。
【0040】
各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3又はダイ供給装置11には、ウエハパレット32のパレットID記録部45からパレットIDを読み取るリーダ(パレットID読取り手段)が設けられている。各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3の生産中は、ダイ供給装置11にセットするウエハパレット32のパレットID記録部45からパレットIDをリーダで読み取り、該パレットIDに対応するウエハ関連データとマップデータを情報管理サーバ48の記憶データから検索して該ダイ供給装置11に自動的にダウンロードし、該ウエハ関連データを使用して該ダイ供給装置11を制御する。尚、ダイ供給装置11から使いかけのウエハパレット32が取り出された場合は、当該ダイ供給装置11からマップデータを情報管理サーバ48にアップロードする。
【0041】
以上説明した本実施例1では、テスト用吸着ノズル51とテスト用突き上げピン53とテスト用カメラ54を装備したウエハ関連データ作成装置47を用いてウエハ関連データを作成するようにしたので、オフラインで突き上げピン39の突き上げ動作や吸着ノズル51のダイ吸着動作に関するデータをセットアップすることができ、生産をしている最中に次の段取り替えの準備(ウエハ関連データのセットアップ)を実行でき、生産性を向上できる。
【0042】
しかも、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データをパレットIDと関連付けて情報管理サーバ48に記憶するようにしたので、部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3のダイ供給装置11にセットしたウエハパレット32のパレットIDに対応するウエハ関連データを情報管理サーバ48の記憶データから検索してダイ供給装置11に自動的にダウンロードすることができる。これにより、パレットIDに対応したウエハ関連データをダイ供給装置11に入力する作業を自動化でき、省力化の要求を満たすことができる。
【0043】
更に、本実施例1では、情報管理サーバ48を複数の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3にネットワーク接続してウエハ関連データを一元管理するようにしたので、ウエハ関連データ作成装置47で作成したウエハ関連データを複数の部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3で共用することが可能となり、各部品実装ラインLine#1,Line#2,Line#3毎に別々にウエハ関連データ作成装置47でウエハ関連データを作成する必要がなく、ウエハ関連データのセットアップ時間を削減することができ、部品実装ラインの段取り替えによるダウンタイムを減少させることができる。また、事前にウエハ関連データのセットアップを全て行っておくことで、ウエハパレット32の無停止補給が可能となる。
【0044】
尚、本発明は、情報管理サーバ48を1つの部品実装ラインのみにネットワーク接続しても良い。