特許第5936869号(P5936869)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936869
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】設備機器浸水対策システム
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/28 20060101AFI20160609BHJP
   H05K 7/18 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H02B1/12 F
   H05K7/18 Q
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-21756(P2012-21756)
(22)【出願日】2012年2月3日
(65)【公開番号】特開2013-162603(P2013-162603A)
(43)【公開日】2013年8月19日
【審査請求日】2015年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片山 亨也
(72)【発明者】
【氏名】安原 正明
(72)【発明者】
【氏名】大橋 毅
(72)【発明者】
【氏名】虫上 宏
(72)【発明者】
【氏名】高垣 英基
【審査官】 段 吉享
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−067295(JP,A)
【文献】 特表2002−504198(JP,A)
【文献】 特開2008−025197(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02B 1/28
H05K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機器が設置される設置場所において予め想定される浸水水位より高い位置に設けられ、前記設備機器を、浸水水位より高い位置に設定される退避位置に持ち上げる退避部材と、
前記退避手段で持ち上げられる前記設備機器をガイドするガイド部材と、
前記退避部材で持ち上げられた前記設備機器を、退避位置で保持する落下防止部材と
前記設備機器に接続されて、前記設備機器の上方へ引き出されるケーブルを収納し、前記設備機器が上昇する動作で変形するケーブル保護部材と、
前記設備機器の上面に設けられ、前記ケーブル保護部材が固定される下部固定部材と、
前記ケーブル保護部材を、前記ガイド部材に固定する上部固定部材とを備え、
前記ケーブル保護部材は、前記設備機器が上昇する動作によって、前記設備機器の上面に誘導される形状に変形する
ことを特徴とする設備機器浸水対策システム。
【請求項2】
前記退避部材は、前記設備機器の上方に設けられ、前記設備機器を吊下して昇降させるクレーンで構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の設備機器浸水対策システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洪水時等に配電盤等の設備機器の浸水を防止する設備機器浸水対策システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洪水時浸水予想地域(ハザードマップエリア)内の電気所であれば、浸水の可能性があるという問題が生じている。この問題を解決するために、浸水対策として電気所の外柵に構内への浸水対策用の遮水壁の設置や、配電盤を設置する建物の扉やケーブル引き込み箇所等の浸水対策処理を行っているが、完全な防水とはならず、電気所構内の水位が上昇すると浸水が起こる可能性がある。
【0003】
また、建物全体を折り畳み可能な防水壁で覆うことも考えられるが、日常の保守の妨げになる。更に、建物及び配電盤下部のケーブルビットを経路として防止壁の内側まで浸水する可能性がある。
【0004】
一方、配電盤を設置する建物を2階建てとし、その2階部分に配電盤を設置したり、平屋構造の建物でも高床式にする等、配電盤の設置位置を予め想定し得る浸水水位以上とするのは、建物を建設する上で、費用上好ましいものではない。
【0005】
同様に、配電盤の設置場所のみを想定し得る浸水水位以上とする場合、日常の保守を行うにあたり梯子や踏み台等の使用の頻度が増え、作業の手間が掛かるようになる。
【0006】
このように、建物全体への様々な防水対策を実施しても、完全な防水とはならない。そして、一度浸水すると、配電盤としての機能を喪失し、復旧に莫大な費用と時間を必要とする。
【0007】
そこで、配電盤等の設備機器を、防水カバーで覆う技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、配電盤等の扉に、浸水防止用のパッキンを設ける技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−54403号公報
【特許文献2】特開2009−55651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、配電盤への防水対策を実施しても、完全な防水とするのは困難であり、一度浸水すると、配電盤としての機能を喪失し、復旧に莫大な費用と時間を必要とする。これに対し、ジャッキ等の持ち上げ装置を利用して配電盤全体を持ち上げることも考えられるが、浸水時には持ち上げ装置自体の浸水被害が予想される。持ち上げ装置が浸水すると、配電盤の落下等、別の障害が発生する可能性がある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、設備機器の浸水を確実に防止できるようにした設備機器浸水対策システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するため、本発明は、設備機器が設置される設置場所において予め想定される浸水水位より高い位置に設けられ、設備機器を、浸水水位より高い位置に設定される退避位置に持ち上げる退避部材と、退避手段で持ち上げられる設備機器をガイドするガイド部材と、退避部材で持ち上げられた設備機器を、退避位置で保持する落下防止部材と、設備機器に接続されて、設備機器の上方へ引き出されるケーブルを収納し、設備機器が上昇する動作で変形するケーブル保護部材と、設備機器の上面に設けられ、ケーブル保護部材が固定される下部固定部材と、ケーブル保護部材を、ガイド部材に固定する上部固定部材とを備え、ケーブル保護部材は、設備機器が上昇する動作によって、設備機器の上面に誘導される形状に変形する設備機器浸水対策システムである。
【0012】
本発明では、浸水が予想される場合、設備機器が、浸水水位より高い位置に設定される退避位置に持ち上げられ、落下防止部材で保持される。設備機器を持ち上げる退避部材自体が、浸水水位より高い位置に設けられ、設備機器が設置された建物内まで浸水するような状況でも、設備機器及び設備機器を持ち上げている退避部材の浸水被害が防止される。
【0013】
また、設備機器を持ち上げる動作で、設備機器がガイド部材でガイドされ、設備機器が周辺の他の機器に接触すること、及び、設備機器が転倒する等の障害の発生が防止される。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、予め想定される浸水水位より高い位置に設けられる退避部材を利用して、浸水が予想される場合に、設備機器を、浸水水位より高い位置に設定される退避位置に持ち上げることができる。
【0015】
これにより、設備機器の浸水を確実に防止することができる。また設備機器の浸水が防止されることで、浸水被害による修理費用を低減することができる。更に、浸水被害による復旧時間を短縮することができる。また、安定した電力供給の早期回復を図ることができる。また、設備機器に接続されるケーブルは、設備機器の上方へ引き出されるので、ケーブルの浸水被害も防止することができる。更に、ケーブル保護部材は、設備機器が上昇する動作によって、ケーブルを設備機器の上面に誘導する形状に変形するので、設備機器を上昇させる動作で、ケーブルが損傷することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態の設備機器浸水対策システムの一例を示す斜視図である。
図2】本実施の形態の設備機器浸水対策システムにおけるガイド及び落下防止機構の一例を示す要部説明図である。
図3】本実施の形態の設備機器浸水対策システムにおけるケーブル保護機構の一例を示す要部説明図である。
図4】本実施の形態の設備機器浸水対策システムの動作の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<本実施の形態の設備機器浸水対策システムの構成例>
以下、図面を参照して、本発明の設備機器浸水対策システムの実施の形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施の形態の設備機器浸水対策システムの一例を示す斜視図である。本実施の形態の設備機器浸水対策システム1Aは、設備機器の一例である配電盤10を昇降させるクレーン2と、クレーン2による配電盤10の昇降動作をガイドするガイド部材3と、クレーン2で持ち上げられた配電盤10を、任意の高さで固定する落下防止具4を備える。
【0019】
クレーン2は退避部材の一例で、配電盤10が設置される設置場所において予め想定される浸水水位より高い位置に設定される退避位置まで配電盤10を持ち上げる動作に加えて、本例では、退避位置に持ち上げた配電盤10を降ろす動作が行われる。
【0020】
クレーン2は、配電盤10が設置される建物において、配電盤10の上部の天井に昇降機20が設置され、予め想定される浸水水位より高い位置に設けられる。クレーン2は、昇降機20により巻き上げ及び送り出されるワイヤ21の先端にフック22が取り付けられ、昇降機20でワイヤ21が巻き上げられることでフック22が上昇し、昇降機20でワイヤ21が送り出されることでフック22が下降する。
【0021】
クレーン2は、配電盤10の上面に取り付けられた複数の吊り下げ金具11aの間で張られたワイヤ11bにフック22が掛けられる。これにより、配電盤10は、クレーン2により上方から吊下され、昇降機20でワイヤ21が巻き上げられることで、フック22に掛けられた配電盤10が上昇し、昇降機20でワイヤ21が送り出されることで、配電盤10が下降する。
【0022】
ガイド部材3は、配電盤10に設けられたガイドローラ12の移動をガイドすることで、配電盤10の昇降動作をガイドするレール30と、レール30が固定されるフレーム31を備える。
【0023】
レール30は、例えば、断面形状が略コ形のチャンネルと称される鋼材で構成される。レール30は、配電盤10が設置される建物の床に立設され、配電盤10の昇降方向に沿って延在する。レール30は、外形が直方体形状の配電盤10の4つの角部に合わせて、配電盤10の外側に配置され、4本のレール30がフレーム31で固定される。
【0024】
フレーム31は、例えば断面形状が略L形のアングルと称される鋼材で構成され、建物の床に設置された通常使用状態の配電盤10の扉10aの開閉の妨げにならないように、配電盤10より上側でレール30の上部に接合される。
【0025】
ガイド部材3は、各レール30の上端間にフレーム31が略水平に配され、各レール30の下端が建物の床に固定されて、配電盤10を囲う直方体形状に構成されることで、配電盤10の昇降動作でレール30に掛かる負荷に対してレール30の形状が保持される。
【0026】
図2は、本実施の形態の設備機器浸水対策システムにおけるガイド及び落下防止機構の一例を示す要部説明図である。配電盤10は、4本のレール30の配置に合わせて4つの角部に設けられた支持部13に、レール30と接するガイドローラ12が、配電盤10の昇降方向に沿って回転可能に設けられる。
【0027】
配電盤10は、図1に示すように、建物の床に設置された通常使用状態では、チャンネルベース14に図示しない固定ボルトで固定されている。一方、配電盤10は、建物の床から持ち上げる退避状態とするため、図示しない固定ボルトが外されると、配電盤10の昇降動作でガイドローラ12がレール30でガイドされて回転し、配電盤10の上下方向の移動が可能になると共に、水平方向の移動が4本のレール30によって規制される。
【0028】
落下防止具4は落下防止部材の一例で、配電盤10の支持部13に回転可能に設けられ、レール30に設けられたラック40に対して外れることが可能に噛み合う。ラック40は、レール30に沿って延在し、落下防止具4の爪部42が噛み合う凹部40aが、矢印で示す配電盤10の昇降方向に沿って複数箇所に設けられる。
【0029】
落下防止具4は、上端が軸41を支点として支持部13に回転可能に支持され、下端にラック40の凹部40aと噛み合う爪部42が設けられる。落下防止具4は、電磁石を利用した図示しないソレノイド等の駆動手段の駆動力で回転して、爪部42がラック40の凹部40aに対して噛み合う動作、及び外れる動作が行われる。なお、落下防止具4は、手動で回転する構成を備えても良い。
【0030】
落下防止具4は、軸41を支点に爪部42が外側に開く方向に回転することで、爪部42がラック40の凹部40aと噛み合う。落下防止具4は、爪部42が外側へと開く方向に図示しないバネで付勢され、爪部42とラック40の噛み合いが保持される。
【0031】
また、落下防止具4は、上端が軸41で回転可能に支持されることで、配電盤10が自重で下降する方向へ移動する動きによって、軸41を支点に爪部42が外側に開く方向に回転し、爪部42とラック40の噛み合いが保持される。
【0032】
配電盤10は重量が200kg程度と重いため、4本のレール30のそれぞれにラック40を設けると共に、各レール30に対応した支持部13に落下防止具4を設ける構成としても良い。これに対して、配電盤10の大きさ、重さ等に応じて、少なくとも1本のレール30にラック40を設けると共に、ラック40が備えられたレール30に対応した支持部13に落下防止具4を設ける構成としても良い。
【0033】
設備機器浸水対策システム1Aは、配電盤10に接続された制御ケーブル5を保護するケーブル保護具50と、制御ケーブル5を配電盤10に固定する下部固定用バー51と、制御ケーブル5をガイド部材3に固定する上部固定用バー52を備える。
【0034】
制御ケーブル5は、配電盤10の図示しない内部の機器と接続され、配電盤10の上部から引き出される。制御ケーブル5は、配電盤10での遠隔操作を行う信号等が伝送される。
【0035】
図3は、本実施の形態の設備機器浸水対策システムにおけるケーブル保護機構の一例を示す要部説明図である。ケーブル保護具50は、1本あるいは複数本の制御ケーブル5を収納して、配電盤10の昇降動作に応じて変形可能に構成される。ケーブル保護具50は、本例では、1本あるいは複数本の制御ケーブル5を収納可能な空間を有した複数の収納体50aが、図示しない軸あるいは凹状の部位と凸状の部位の係止等により回転可能に連結され、各収納体50aが連結された部位を支点に回転する。
【0036】
ケーブル保護具50は、各収納体50aの回転量が、制御ケーブル5の折り曲げ許容半径を考慮して決められ、制御ケーブル5の折り曲げ許容半径に応じた任意の形状に変形可能に構成される。
【0037】
下部固定用バー51は下部固定部材の一例で、配電盤10の上面に設けられ、配電盤10と共に昇降する。下部固定用バー51は、配電盤10の上部から引き出された制御ケーブル5を収納したケーブル保護具50を、配電盤10の上面に固定する。
【0038】
上部固定用バー52は上部固定部材の一例で、ガイド部材3のフレーム31の間に掛け渡され、ガイド部材3で昇降動作がガイドされる配電盤10の上方に設けられる。上部固定用バー52は、制御ケーブル5を収納して下部固定用バー51に固定されたケーブル保護具50を、ガイド部材3の上部に固定する。
【0039】
下部固定用バー51と上部固定用バー52との間の制御ケーブル5の長さは、配電盤10が建物の床に設置された通常使用状態で、多少の弛みが生じる程度に設定される。ケーブル保護具50は、配電盤10が持ち上げられる動作によって、下部固定用バー51と上部固定用バー52との距離が狭くなることで、制御ケーブル5の折り曲げ許容半径に応じた形状で、かつ、ガイド部材3等に接触しない配電盤10の上面に誘導される形状に変形するように構成される。
【0040】
<本実施の形態の設備機器浸水対策システムの動作例>
図4は、本実施の形態の設備機器浸水対策システムの動作の一例を示す斜視図で、次に、各図を参照して、本実施の形態の設備機器浸水対策システムの動作例について説明する。
【0041】
配電盤10は、図1に示すように建物の床に設置された通常使用状態では、チャンネルベース14に図示しない固定ボルトで固定されている。ガイド部材3は、通常使用状態にある配電盤10に対して、配電盤10の扉10aの開閉の妨げにならないように、レール30及びフレーム31の配置及び形状等が決められている。これにより、配電盤10の通常使用状態では、メンテナンス等のための扉10aの開閉が何ら支障なく行える。
【0042】
浸水が予想される場合、作業者は該当電気所に出向き、配電盤10をチャンネルベース14に固定している図示しない固定ボルトを外す。その後、クレーン2を操作して昇降機20によりワイヤ21を巻き上げる。昇降機20でワイヤ21が巻き上げられることで、フック22に掛けられた配電盤10が上昇する。このように、設備機器浸水対策システム1Aでは、浸水が予想される場合に、作業者が該当電気所に出向き操作を行うため、浸水前における配電盤10、配電盤10の周囲及び建物等の確認が可能となる。
【0043】
配電盤10が上昇する動作で、配電盤10に設けたガイドローラ12がレール30でガイドされて回転し、配電盤10が上昇する方向への移動がガイドされると共に、配電盤10の水平方向の移動が4本のレール30によって規制される。レール30の断面形状を略コ形とすることで、ガイドローラ12がレール30から外れることが防止される。これにより、配電盤10が略垂直に上昇し、周囲に他の装置が設置されている場合に、配電盤10が他の装置に衝突することが防止される。
【0044】
配電盤10に接続されている制御ケーブルを収納したケーブル保護具50は、配電盤10の上昇により、下部固定用バー51と上部固定用バー52との距離が狭くなることで、制御ケーブル5の折り曲げ許容半径に応じた形状で、かつ、ガイド部材3等に接触しない配電盤10の上面に誘導される形状に変形する。これにより、配電盤10を上昇させる動作で、制御ケーブル5が損傷することが防止される。
【0045】
配電盤10を所定の高さまで上昇させると、作業者はクレーン2を停止する。その後、落下防止具4を、爪部42が外側に開く方向に軸41を支点として回転させることで、爪部42をラック40の凹部40aと噛み合わせる。
【0046】
これにより、図4に示すように、配電盤10は、予め想定し得る浸水水位h1より高い退避位置h2で保持されて、クレーン2による制動が働かないような状況でも、退避状態から落下することが防止される。従って、配電盤10が設置された建物内に水Wが浸入するような状況でも、配電盤10が水Wに浸かることが防止され、浸水被害を防止することができる。
【0047】
また、配電盤10を持ち上げる装置であるクレーン2は、配電盤10より更に上方に設置され、また、配電盤10に接続される制御ケーブル5は、配電盤10の上方へ引き出されるので、配電盤10を持ち上げる装置、及び配電盤10に接続される各種ケーブルの浸水被害も防止することができる。
【0048】
なお、配電盤10を退避状態から降ろす場合は、クレーン2が正常に作動する状態であることを確認して、落下防止具4を、爪部42が内側に閉じる方向に軸41を支点として回転させることで、爪部42をラック40の凹部40aから外す。その後、クレーン2を操作して昇降機20によりワイヤ21を送り出す。昇降機20でワイヤ21が送り出されることで、フック22に掛けられた配電盤10が下降する。
【0049】
そして、配電盤10を建物の床まで下降させた後、クレーン2を停止し、必要に応じてチャンネルベース14に図示しない固定ボルトで固定する。
【0050】
ここで、本実施の形態では、配電盤10を持ち上げる退避部材として、配電盤10を吊下するクレーン2を例に説明したが、レール30にラックを設けると共に、配電盤10側にラックと噛み合うピニオンと、ピニオンを駆動するモータ等を設けた自走式の退避部材としても良い。このような退避部材では、配電盤10の昇降と共に昇降することで、配電盤10が浸水水位より高い位置にあれば、退避部材も浸水位置より高い位置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、洪水時浸水予想地域内の電気所に設置される配電盤の他、他の設備機器に適用される。
【符号の説明】
【0052】
1A・・・設備機器浸水対策システム、10・・・配電盤、11a・・・吊り下げ金具、11b・・・ワイヤ、12・・・ガイドローラ、13・・・支持部、2・・・クレーン、20・・・昇降機、21・・・ワイヤ、22・・・フック、3・・・ガイド部材、30・・・レール、31・・・フレーム、4・・・落下防止具、40・・・ラック、40a・・・凹部、41・・・軸、42・・・爪部、5・・・制御ケーブル、50・・・ケーブル保護具、50a・・・収納体、51・・・下部固定用バー、52・・・上部固定用バー
図1
図2
図3
図4