(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記検査部と前記切断部との間、又は前記切断部と前記接合部との間の少なくともいずれかに設けられ、それぞれ上流側から送られる前記連包品を一時的に収納する蓄積部(11)を有することを特徴とする請求項1に記載の物品検査システム。
前記検査部は、前記連包品のうち、前記個装部に収納される前記内容物の良又は不良を検出し、前記内容物の不良を検出したとき、該内容物を収納する前記個装部を不良部分(2 ’)として判定信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載の物品検査システム。
前記検査部は、前記連包品のうち、前記境界部の状態の良又は不良を検出し、前記境界部の状態の不良を検出したとき、該境界部を不良部分(3 ’)として判定信号を出力することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品検査システム。
前記制御部は、二つ以上の前記個装部を含むように、切断すべき前記2か所の境界部を決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品検査システム。
前記検査部と前記切断部との間に設けられ、前記検査部からの判定信号に基づいて、前記連包品の前記不良部分に対応する前記個装部に少なくとも1つのマークを付与するマーク付与部(6)と、
前記マーク付与部と前記切断部の間に設けられ、前記マークを検知して前記切断部に切断のタイミング信号を出力するマーク検出センサ(21)と、
をさらに有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の物品検査システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述したような従来技術の状況に鑑みれば、特許文献1に記載の内容物検査装置と、特許文献2に記載の長尺物連結装置を組み合わるとともに、さらに連包品を切断する何らかの切断装置をこれに加えることにより、連包品を搬送しながら検査を行い、不良部分を切断除去し、不良部分を切断したために分離した連包品の前後を接続して一連の連包品に戻して搬出する自動検査装置を構成できる可能性が考えられる。
【0006】
しかしながら、従来は、単品の検査装置や切断装置、また連結装置等が知られていたとしても、これらを有機的に組み合わせた効率的な連包品の自動検査装置は実用上は知られていなかった。このように、連包品の検査、不良部分の切断、接合が一体の装置で効率的に全自動で行なえないのは、次のような理由によるものと考えられる。
【0007】
まず、検査対象である連包品の取り扱いの困難性に起因する理由である。連包品は、内容物を収納する個装部が境界部を挟んで連続している構造であり、一般的に境界部は個装部を構成する2枚のシートをシールすることにより製造する場合が多いため、シール不良やシール部分に内容物が挟まる噛み込みといった不良が発生する場合があり、境界部が所定間隔で正しい形状に製造されない場合があった。このような問題の可能性を有する連包品によれば、検出した不良の個装部を切断除去するためには、単に境界部の間隔に応じた所定タイミングで切断すればよいとはいえず、仮に境界部に噛み込みがあったり、境界部のシール不良で個装部のサイズが通常の2個分あったりすれば、所定の境界部の間隔で切断したのでは、内容物のある部分で切断が行われて内容物が外に散乱してしまうことが考えられる。このような境界部の異常はX線検査装置では検出できない場合が多いため、その検出のためには専用のセンサを必要とせざるを得ない。従って、このような境界部の検出を行なう手段を持たずに単機能の検査装置や切断装置等を単に連結しても、境界部を正常に検出できないため、検出した不良の個装部の除去のために正常な境界部で切断ができず、個装部等で切断して内容物を散乱させてしまう恐れがあった。
【0008】
次に、連包品は不良品の切断除去後に接合しなければならないという理由である。すなわち、検査対象である連包品は一連帯状の検査対象物であるため、検査結果に応じて不良部分を切断除去した後には、前後の切断部分を正しく突き合わせて確実に接合しないと後工程での正常な搬送やリール等への巻き取り収納が困難になってしまう。このため、前後を接続して一連の連包品に戻さなければならないが、この接続には例え機械を用いたとしても長時間を要するため、切断すべき不良箇所が多い場合には全体の作業効率が大きく低下してしまう。一連の連包品を繋ぎ合わせるには、前の連包品の後端と後の連包品の前端とを正確に突き合わせ、あるいは適当な重ね代をもって重ね合わせ、その接合部分に接着テープ等の接続材料を当て、その部分を押圧手段等で押圧するという複雑な行程を経る必要がある。この接続工程だけで20〜30秒ほどもかかるのが普通である。従って、不良品が多く、切断箇所が増えると、接続工程に長時間を要することとなって切断工程で内容物の流れが止まってしまい、工程全体が停滞してしまう。
【0009】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、内容物が収納された個装部と境界部とが交互に連続した状態となるように製造される連包品の検査システムにおいて、特に連包品を搬送しながら検査して不良と判定した個装部等を切断除去する際においても、個装部の不良と境界部の検出に基づいて最適な切断位置の判断を行なうことにより、接合工程の時間を可及的に短くするとともに、切断除去する個装部の量を最小限にすることができるようにした能率的な全自動型の連包品の物品検査システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載された物品検査システムは、
内容物を収納する個装部2と境界部3とが交互に並ぶ連包品1を搬送しながら検査する物品検査システムにおいて、
前記連包品1の良部分又は不良部分2 ’,3 ’を検出して判定信号を出力する検査部5と、
前記境界部を検出して境界信号を出力する境界検知部18と、
前記不良部分の上流側及び下流側にある2か所の境界部を切断して前記不良部分を前記連包品1から分離する切断部10と、
前記切断部10で不良の前記個装部2が分離された後に、上流側にある前記連包品1の後端部と下流側にある前記連包品1の前端部とを位置決めして接合する接合部12と、
前記検査部5からの判定信号と前記境界検知部18からの境界信号
とを
順次受けて、前記不良部分2 ’,3 ’を前記連包品1から分離するために、
連続する複数の前記判定信号及び前記境界信号に基づいて切断すべき前記2か所の境界部3を決定し、前記決定に基づいて前記切断部10を制御する制御部35と、
を有することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載された物品検査システムは、請求項1記載の物品検査システムにおいて、
前記検査部5と前記切断部10との間、又は前記切断部10と前記接合部12との間の少なくともいずれかに設けられ、それぞれ上流側から送られる前記連包品1を一時的に収納する蓄積部11を有することを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載された物品検査システムは、請求項1から請求項2のいずれかに記載の物品検査システムにおいて、
前記検査部5は、前記連包品1のうち、前記個装部2に収納される前記内容物の良又は不良を検出し、前記内容物の不良を検出したとき、該内容物を収納する前記個装部2を不良部分2 ’として判定信号を出力することを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載された物品検査システムは、請求項1から請求項3のいずれかに記載の物品検査システムにおいて、
前記検査部5は、前記連包品1のうち、前記境界部3の状態の良又は不良を検出し、前記境界部3の状態の不良を検出したとき、該境界部3を不良部分3 ’として判定信号を出力することを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載された物品検査システムは、請求項1から請求項4のいずれかに記載の物品検査システムにおいて、
前記制御部35は、二つ以上の前記個装部2を含むように、切断すべき前記2か所の境界部3を決定することを特徴としている。
【0015】
請求項6に記載された物品検査システムは、請求項1から請求項5のいずれかに記載の物品検査システムにおいて、
前記検査部5と前記切断部10との間に設けられ、前記検査部5からの判定信号に基づいて、前記連包品1の前記不良部分2 ’に対応する前記個装部2に少なくとも1つのマークを付与するマーク付与部6と、前記マーク付与部6と前記切断部10の間に設けられ、前記マークを検知して前記切断部10に切断のタイミング信号を出力するマーク検出センサ21と、
をさらに有することを特徴としている。
【0016】
請求項7に記載された物品検査システムは、請求項1から請求項6のいずれかに記載の物品検査システムにおいて、
前記検査部5には、該検査部5の上流に設けられた前段装置から搬出される前記連包品1が搬入され、前記検査部5と前記前段装置との間に、該連包品1を一時的に収納する搬入蓄積部4を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された物品検査システムによれば、切断部を制御する制御部は、検査部からの判定信号と境界センサからの境界信号を利用して、不良の個装部を含む連包品の一部分を分離するために切断すべき適切な境界部を
それぞれ複数の判定信号及び境界信号に基づいて判定するので、
不良が断続的に発生する場合や個装部と境界部の不良が混在するような場合にも、除去される個装部の個数を抑えつつ、切断箇所を可及的に少なくすることができる。このため、境界部での切断及び不良な個装部の排除が効率的になり、これに続いて行われる最も時間を要する接合部での接続作業が少なくなり、システム全体の工程を渋滞なく続行することができる。
【0018】
請求項2に記載された物品検査システムによれば、特に、切断部から送られる連包品は接合部の前にある蓄積部に一時的に収納できるので、時間を要する分断された連包品の接続作業が下流の接合部で行われていても、上流の切断部では作業を停止する必要がなく、この点においてもシステム全体の工程の効率化が担保される。
【0019】
請求項3に記載された物品検査システムによれば、例えば、個装部に収納される内容物に対し、検査部より異物混入や欠品等を検出したとき、その内容物を収納する個装部を不良部分として判定し、それぞれその個装部の上流側と下流側にある2か所の境界部を切断することができる。したがって、個装部と境界部とが交互に並ぶような連包品について、内容物を飛散させるようなことがなく、不良と判定された個装部を適切に連包品から分離することができる。
【0020】
請求項4に記載された物品検査システムによれば、例えば、境界部における内容物の噛み込みや異物混入等を検出したとき、その境界部を不良部分として判定し、それぞれその境界部の上流側と下流側にある2か所の境界部を切断することができる。したがって、個装部と境界部とが交互に並ぶような連包品について、内容物を飛散させるようなことがなく、不良と判定された境界部を残さず連包品から分離することができる。
【0021】
請求項5に記載された物品検査システムによれば、不良と判定された個装部や境界部が、複数断続的に生じた場合に、それら不良部分を個別に分離するのではなく、良品の個装部をも一体的に一部分として分離するように切断すべき境界部分を決定することができる。これにより、接合工程における接合動作の回数を最小限にとどめて接合に要する時間を短縮化しつつ、不良部分とともに分離される良品の個装部の個数を抑えることができる。
【0022】
請求項6に記載された物品検査システムによれば、検査部が不良と判定した個装部にはマーク付与部がマークを付与し、マーク検出センサが個装部のマークを検出して下流の切断部に切断のタイミング情報を与えるので、切断部はマークされた不良の個装部を含む必要な部分を確実に判断して切断することができる。
【0023】
請求項7に記載された物品検査システムによれば、検査部が、連包品を製造する充填機や包装機等の前段装置から搬出される連包品を受けるようになっているときに、この前段装置との間に、検査部に搬入されてくる連包品を一時的に収納する搬入蓄積部を備えている。これにより、前段装置が包装材のロール切替や動作調整等により一時的に連包品の搬出を停止するような場合でも、検査部は搬入蓄積部に収納されている連包品の搬入を継続でき、停止することがない。したがって、請求項1から請求項6に記載された物品検査システムが発揮する好適な効果を、前段装置の影響を受けることなく、より確実に発揮できるようになる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜
図9を参照して実施形態の物品検査システムについて説明する。
1.連包品について
この物品検査システムは連包品1を検査対象としている。
図4等に示すように、ここで連包品1とは、内容物を収納する袋状の個装部2と、個装部2と個装部2との間にある境界部3とが、交互に連続して並ぶ帯状の製品を指す。連包品1の構造乃至製法は種々知られているが、一例を挙げれば、例えば2枚の長手帯状のシートを重ね合わせ、あるいは1枚の帯状のシートを幅方向に折り、個装部2となる部分に内容物を封入して周囲をシールし、個装部2と個装部2の間を密閉された境界部3とする構造乃至手法がある。しかしながら、これは本発明の対象である連包品1の構成乃至製法等を限定するものではない。連包品1の個装部2に収納される内容物の種類等についても特に限定はなく任意である。
【0026】
2.物品検査システムの全体構成及び基本動作について(
図1)
図1は、実施形態の物品検査システムの全体構成図である。この物品検査システムは、大略、連包品1が搬送される上流側から下流に向けて、第1蓄積部4、検査部5、マーク付与部6、第2蓄積部7、切断部への搬入部8、第3蓄積部9、切断部10、第4蓄積部11、そして接合部12等が順に配置されてなる装置である。この装置全体は、詳細は後述するが、図示しない制御部によって全体として統括して制御されており、連包品1は検査部5で検査され、不良と判定された部分にマーク付与部6でマークが付され、切断部10はこのマークを読み取って不良部分を切断除去し、接合部12は切り離された前後の連包品1を突き合わせて接合する。
以下、
図1を参照して本システムの構成の詳細と基本的動作を説明する。
【0027】
図1に示す装置全体の上流側(図の右方)には、図示はしないが連包品1を製造するために帯状のシートを袋状に形成しながら内容物を封入する充填装置があり、この図示しない充填装置から搬出された連包品1が、導入ローラ15を介して本装置の右端にある箱形の第1蓄積部4に一時的に溜めこまれるようになっている。第1蓄積部4は、充填装置から送り込まれる連包品1の搬入速度と、後述する後段の検査部5を連包品1が通過する速度の不一致を吸収するために設けられている。
【0028】
第1蓄積部4の後段には検査部5が設けられ、検査部5に搬入される連包品1は、一旦この第1蓄積部4を経由して、検査部5に搬入されるようになっていて、所定長の連包品が溜めこまれた状態となっている。本実施形態の検査部5はX線異物検出装置であり、連包品1を搬送する搬送手段16と、搬送手段16の上方に設けられて搬送される連包品1にX線を照射する検査手段としてのX線装置17と、搬送手段16の下方に設けられて連包品1を透過したX線を検知する図示しない検査手段としてのX線センサとを有しており、異物混入や欠品等の個装部2の不良や、異物の噛み込み等の境界部3の不良を検出して良又は不良の判定信号を出力することができる。なお、この検査部5はX線異物検出装置に限らず、重量測定装置、金属検出装置又は画像検査装置等であってもよく、要するに搬送される連包品1の個装部2や境界部3の良不良を何らかの指標を基準に判定できる手段であればよい。
【0029】
また、検査部5の搬送手段16の入口上方には境界検知部18としての境界センサ18Aが設けられている。境界センサ18Aは、連包品1の境界部3を検出して境界信号を出力し、又は切断された連包品1の端部を検出することもできる。境界センサ18Aの原理は問わない。例えば連包品1が透明なフィルムで製造されている場合には、一般的に境界部3には黒色等の光不透過性のマークが印刷されており、これを検知することによって境界信号を出力することができるので、境界センサ18Aとしては投授光式の透過センサを採用することができる。また、連包品1がアルミニウムフィルム等の不透明材料で製造されている場合には、個装部2が内部に空気を含んでいるのに対し、境界部3は2枚のアルミニウムフィルムが圧着された空気層を含まない構造であることから、境界センサ18Aとしては超音波センサを採用することができる。なお、これらの具体的なセンサの種類は境界センサ18Aとしての例示にすぎない。具体的には、後述するものを含め、各境界センサ18A〜18Cを複数チャンネルの入力ポートをもつセンサアンプに接続してもよいし、面状の検知領域をもつエリアセンサなどを適宜選定して用いてもよい。
【0030】
検査部5の後段には、連包品1の中で検査部5が不良と判定した個装部2’、又は境界センサ18Aが出力した境界信号の状態から不良と判断される境界部3’に対応させて、不良品を示すマークを付与するマーク付与部6が設けられている。不良と判断される判断部される境界部3 ’については、その両側の個装部(2,2)にマークを付与するようにしてもよい。マークの種類は、不良と判定された欠陥等の種類や位置によって色や形状等が異なるように定めておくこととしてもよい。欠陥等の種類としては、充填不良、空袋、異物混入、境界部3への内容物の噛み込み、境界部3のシール不良等があり、不良発生の位置としては、個装部2又は境界部3のいずれかと考えられる。また、1つの個装部2に複数種類の不良が検出された場合や、互いに隣接する個装部と境界部を不良と判断した場合には、不良の種類を後で特定できるように複数のマークを1つの個装部に付与してもよいし、切断箇所の決定に必要な情報として1つの個装部に1つのマークを付与するようにしてもよい。なお、マークとしては、実際にインクジェット装置等によってマークを印刷しても良いし、マークとなるラベルを貼付してもよい。
【0031】
マーク付与部6の後段には箱形の第2蓄積部7が設けられ、判定が終了して次段の切断部10に搬入される前の連包品1が一時的に溜めこまれるようになっている。第2蓄積部7は、後述する後段の切断部10における連包品1の不良部分の切断及び排出時に搬送が停止するため、検査部5から搬送されてくる連包品1を一時的に蓄積し、検査部5から送られてくる連包品1の搬送速度と、後段の切断部10へ送り込まれる連包品1の搬送速度との不一致を吸収するために設けられている。
【0032】
第2蓄積部7の後段には、次段の切断部10に連包品1を搬入するための搬入部8として、連包品1を所定の高さまで引き上げる繰り入れローラ19と、繰り入れローラ19によって引き上げた連包品1を一時的に蓄積する第3蓄積部9と、第3蓄積部9の下流側に設けられた頂部ローラ20とを有している。頂部ローラ20は、第3蓄積部9に蓄積された連包品1をさらに上方に持ち上げてから、後述する後段の切断部10に向けて下方に供給する手段である。このように、本実施形態では、連包品1を吊り下げた状態で切断部10に供給して不良部分の切断・除去を行なうため、連包品1を高い位置から下降させて切断部10へ搬入することとしているが、このような場合、いきなり最高位置まで連包品1を持ち上げる構成とすれば、送り精度(停止精度)を維持するには不利であるため、繰り入れローラ19によって頂部ローラ20よりも一段低い位置まで連包品1を持ち上げている。第3蓄積部9は、この繰り入れローラ19の搬入速度と、頂部ローラ20による切断部10への搬送速度との不一致を吸収するために設けられている。
【0033】
頂部ローラ20によって下方に供給される連包品1の経路の近傍には、連包品1に貼付された前記マークを検知してマーク検知信号を出力するマーク検出センサ21が設けられている。マーク検出センサ21が出力するマーク検知信号は、後述する切断部10に与えられ、マークが付与された個装部2を含む連包品1の一部を切断して除去するためのタイミング情報を得るために用いられる。境界センサ18Bは、切断部10に搬送される連包品1の境界部3を検知して境界信号を出力するマーク検出センサ21と境界センサ18Bは一体的に配置されてもよいし、後述する
図2に示す例のように、それぞれが別々に切断部10乃至その前段付近に設けられているものとしてもよい。
【0034】
マーク検出センサ21の下流、すなわち下方には、不良とされた個装部2を切断する切断部10が設けられている。切断部10は、不良と判定されてマークを貼付された個装部2の両側にある少なくとも2か所の境界部3,3を切断し、不良の個装部2を連包品1から分離する切断手段としてのカッタ22を有している。本実施例では、カッタ22は、連包品1を搬送しながら、その搬送速度に合わせた回転動作により切断する方式を用いているが、連包品1の搬送を停止させて切断する方式でもよい。
なお、不良部分の切断位置の判断については項を改めて後述するが、必ずしも不良の個装部2に直近の境界部3とは限らないし、切り離される不良部分に良品の個装部2が含まれている場合もありうる。
【0035】
切断部10の下方には接続コンベア25が設けられ、さらにその下方には第4蓄積部11が設けられている。第4蓄積部11の下流側である図中左側には、切断部10で不良の個装部2が切断、分離された後に、上流側にある連包品1の後端部と、下流側にある連包品1の前端部とを突き合わせて接合するための接合部12が設けられている。接合部12は、分離した連包品1をテープで接合するパウチスプライサー等の接合手段26と、その上流側の搬送手段である第1押さえローラ27と、同下流側の搬送手段である第2押さえローラ28と、第1押さえローラ27の入口側に設けられて切断された連包品1の端部を検知する境界センサ18Cとを有している。なお、第1押さえローラ27と第2押さえローラ28は、連包品1を搬送するための挟持位置と連包品1を開放する開放位置とを自由に選択できる。
【0036】
なお、前記接続コンベア25は、上側のローラ軸を支点として自由端である下側が下流側に向けて揺動自在とされており、切断部10と第4蓄積部11を上下に連通させる垂直位置と、下側が接合部12に近接して切断部10と接合部12を連絡する上方位置との間で、工程に応じて位置を設定することができる。
【0037】
すなわち、接続コンベア25は、良品が連続して流れている場合には垂直位置に設定されており、切断部10を単に通過してきた良品の連包品1は第4蓄積部11の内部に垂れ下がって蓄積された部分が生じた状態となり、そのまま後段に供給されて後述する接合部12を通過して下流に供給されていく。不良部分が検出された場合は、不良部分の先方(下流側)の境界部3が切断部10で切断され、この切断部分の先にある部分が後段の接合部12に送られて行き、不良部分の後方(上流側)の境界部3が切断部10で切断されると、中間にある不良部分は連包品1から切り離されて落下し、垂直位置にある接続コンベア25を通過し、第4蓄積部11に落ち込む。その後、接続コンベア25は上方位置に設定され、不良部分の後方(上流側)にあった部分が後段の接合部12に送られ、不良部分の先方にあった部分と接合部12で切断部分どうしが位置決めされ、接合手段26によって接合される。このように、不良部分を排出した後の連包品1の搬送では、接続コンベア25は上方位置になり、第4蓄積部11内には連包品1の蓄積がなくなることになる。
【0038】
接合部12の下流には、接合部12から連包品1を引き出して下流に搬送するための送り出しローラ29が設けられている。送り出しローラ29は、連包品1を搬送するための挟持位置と連包品1を開放する開放位置とを自由に選択できる。送り出しローラ29の下流側隣部には第5蓄積部30が設けられており、送り出しローラ29が接合部12から送り出した連包品1を図示しない後工程に送るため、必要に応じて一時的に蓄積できるようになっている。
【0039】
以上説明した本実施形態の物品検査システムでは、システム内を搬送手段で移動する連包品1を検査部5で検査し、不良部分にマーク付与部6でマークを付与し、切断部10はマークの読み取りに基づいて不良部分を切断除去し、接合部12は切り離された前後の連包品1を突き合わせて接合する、といった動作を行なう。これら検査部5、切断部10、接合部12は機能の相違により必ずしも動作速度が同一とはならない。特に接合部12では、また場合によっては切断部10においても、動作のために連包品1の搬送が一時停止することがある。従って、[発明が解決しようとする課題]の項でも説明したように、従来知られているような検査部5、切断部10、接合部12を単に一連のラインに並べただけでは、連包品1を連続的に搬送しながら検査・切断・接合するといった一連の動作を安定的かつ効率よく実現することは困難であり、連包品1の搬送が停止する状況が発生してしまう。
【0040】
しかしながら、本実施形態の物品検査システムによれば、前述したような切断部10や接合部12における連包品1の停止に関して、前述したように要所に連包品1の蓄積部を設けることによって連続搬送を保証する工夫がなされている。
【0041】
不良と判定された個装部2’を切断部10で切断除去する場合には、この個装部2’の前後の2箇所の境界部3,3を切断しなければならず、少なくとも2回、連包品1の搬送を停止する必要がある。この場合には、連包品1の連続搬送を保証するために第2蓄積部7が機能する。すなわち、切断部10での搬送が不良部分の切断除去の動作期間中に停止すると、上流の検査部5から送られてくる連包品1は第2蓄積部7に溜め込まれる。この溜め込みにより、上流の検査部5を通過する連包品1の搬送は停止させる必要がなく、検査は連続的に行なわれる。
【0042】
不良部分を切断除去した後に、前後に分かれた 2つの連包品1の各切断部分を接合部12で位置決めし、接合する。この接合動作の間、連包品1の搬送は停止する必要がある。この場合には、上流側における連包品1の連続搬送を保証するために第4蓄積部11が機能する。すなわち、不良部分がマークされた連包品1が切断部10に搬送されてくると、マーク検出センサ21がこれを検出し、不良部分の先方側(下流側)で切断箇所に設定された境界部3が切断位置まで搬送されて停止し、ここがカッタ22によって切断される。この時、接続コンベア25は垂直位置にある。
【0043】
切断位置より先方側(下流側)にある連包品1は、接合部12の下流にある送り出しローラ29によって下流に搬送されていく。接合部12の境界センサ18で先方側(
下流側)にある連包品1の後端が検出されると、所定のタイミングで第2押さえローラ28が挟持位置に設定されて先方側(下流側)の連包品1をクランプし、これと同時に、送り出しローラ29が停止して接合動作の準備のためにクランプを解除する。
【0044】
後方側(上流側)にある連包品1にあっては、不良部分の後方側(上流側)で切断箇所に設定された境界部3が切断位置まで搬送されて停止し、ここが切断手段によって切断される。この時も接続コンベア25は垂直位置にあり、これによって不良部分は連包品1から切り離されて落下し、第4蓄積部11に回収される。
【0045】
その後、接続コンベア25は上方位置に設定され、切断部10における連包品1の搬送が再開される。切断後の後方側(上流側)の連包品1は上方位置にある接続コンベア25を経て接合部12に入り、先端部が境界センサ18Cに検出されてから所定タイミングで第1押さえローラ27の位置まで搬送され、境界センサ18Cの検出信号から所定時間後に作動する第1押さえローラ27により当該位置でクランプされる。その後、接続コンベア25は垂直位置に戻る。ここから、接合部12における接続動作が開始される。
【0046】
接合部12よりも前では連包品1の搬送は停止せず、切断部10から送られてくる連包品1は第4蓄積部11の内部に垂れ下がって溜まり始める。その間に接合動作が終了すると、接合部12の下流にある送り出しローラ29が連包品1を挟持して作動し、連包品1の下流への搬送を再開する。
【0047】
このように連包品1の接合動作が完了した後、連包品1の搬送は再開されるが、第4蓄積部11に溜まった余裕分を解消すべく、搬送再開後のある期間内は通常の搬送速度よりも速い速度で搬送することとしてもよい。その場合、第4蓄積部11の溜まり分が解消した後は通常の搬送速度に戻すものとする。
【0048】
このように、本実施形態では、処理速度が異なる検査部5、切断部10、接合部12等を一ラインに構成し、しかも切断部10や接合部12は停止する場合があるにも関わらず、要所に連包品1を溜め込む蓄積部を設置してその前後における連包品1の搬送速度の相違を吸収している。このため、ライン全体として連包品1を一定速度で安定して連続搬送することができ、生産性の高い連包品1の検査作業を行なうことができる。
【0049】
なお、本実施形態では、不良と判定した個装部2や境界部3にマークを付与し、切断部10ではこのマークをセンサで検出して不良部分の切断を行なっていたが、検査部5による個装部2の検査結果から得られた判定情報と、境界センサ18Aにより得た境界信号を、制御部が有する記憶手段である2つのシフトレジスタにそれぞれ順次記憶しておき、制御部がこれらシフトレジスタに記憶された判定情報、切断部10に設けられた境界センサ18Bからの境界信号をトリガ信号として順次読出して分離すべき2箇所の境界部3を決定し、所定のタイミングでカッタ22を動作させて連包品1から不良部分を切断除去するように制御してもよい。
【0050】
3.物品検査システムの機能ブロック及び制御部の制御について(
図2及び
図3)
図2は、以上説明した本物品検査システムの全体構成の中から主要な機能だけを抜き出してブロック図として示したものである。従って、
図2においては、検査部5と、切断部10と、接合部12と、これら各部に設けられて連包品1の判定信号や境界信号等を出力する複数のセンサ18A〜18C,21や、連包品1を搬送する搬送手段16,8,27,28、前記各センサ18A〜18C,21からの信号等を利用して前記各部を制御する共通の制御部35等は示してあるが、マーク付与部6や第1乃至第5蓄積部等は図示していない。
【0051】
図2に示すように、検査部5と切断部10と接合部12に設けられた複数のセンサ18A〜18C,21から連包品1の判定信号や境界信号等が共通の制御部35に送られ、制御部35はこれらの信号を利用して前記各部を制御する。装置各部の状況の表示と、装置に対する操作乃至情報その他の設定行為は、前記各部に共通の表示操作部36によって行なうことができる。前記制御部35によれば、後で接続しなければならない連包品1の切断箇所数を可及的に少なくして作業時間を短縮化できる能率的な切断位置の判断を行なうことができる。
【0052】
以下、
図3を参照し、このような本物品検査システムにおいて検査部5で連包品1を検査し、不良部分にマークを付し、その部分を検出して切断部10で切断除去し、切断箇所の前後を位置決めして接合部12で接合するという制御部35の機能を説明する。この
図3は、本実施形態の物品検査システムの各機能部分における連包品1の状態と、各センサから得られる各種信号と、これら各種信号に基づいて制御部35から出力される制御信号の出力タイミングを示す図であり、制御部35による信号乃至情報処理及びこれに基づく各部に対する制御機能を表すものであって、
図1を参照して先に説明した本システムの具体的な機械的動作を制御部35による制御の面から示したものといえる。この図中、各信号に付した添え字を伴うTの符号は、搬送速度が一定の場合には時間を表しており、これに並記した添え字を伴うPの符号は、エンコーダ等の出力パルスの数によって表した位置を示すものである。
なお、制御部35が行なう制御の特徴、すなわち連包品1の切断箇所数が少なく作業時間を短縮化できる能率的な切断位置の判断及びその実行の詳細については、次項4にて改めて詳細に説明する。
【0053】
(1)検査部5における制御
まず、検査部5(検査手段17)においては、搬送手段16を制御する搬送制御信号がRUN状態になり、連包品1が搬送手段で検査部5に搬入されてくる。図示の連包品1には、図中丸付き数字の(1) から(6) までの符号を一部の個装部2に連続して宛ててあるが、ここでは一例として、その中の(4) がNG品(不良品)であり黒塗りで示してある。
【0054】
検査部5の境界センサ18Aは、連包品1の境界を検知すると、連包品1における境界部3の間隔に対応した所定時間間隔で境界信号を出力する。また、検査部5は、境界部3と境界部3の間にある個装部2の検査結果を示す判定信号を、直前の境界部3の境界信号から時間T1(P1)経過した時に出力する。ここでは検査結果はOK(判定信号が良)とNG(判定信号が不良)のいずれかで示される。NGが出た場合には、その時から時間T2(P2)が経過した時にマーク付与部6にマーク付与信号を出力し、これによってマーク付与部6は、NG(判定信号が不良)とされた個装部2(4) に不良を示すマークを付与することができる。
【0055】
(2)切断部10における制御
検査部5で個装部(4) に不良のマークを付与された連包品1が切断部10に搬入されてくる。
切断部10のマーク検出センサ21が個装部(4) のマークを検知し、マーク検知信号を出力したところで切断シーケンスが開始される。すなわち、このマーク検知信号の出力から時間T3(P3)が経過したところで、搬送制御信号が示す搬送手段20の搬送速度はNORMAL(ノーマル,通常搬送速度)からSLOW(遅)に変わって搬送手段20の速度が減速し、さらにマーク検知信号の出力からの経過時間が時間T4(P4)に達したところで、切断部10による切断動作を可能とする切断Enable信号が立ち上がり、切断可能な時間範囲内において、境界センサ18Bから得られた境界信号をカウントし、切断位置の先方の所定位置にある境界部3を示す境界信号0が得られてから時間T5(P5)経過後にカッタ22を駆動して不良な個装部(4) の先方の境界部3を切断する。同様に、切断位置の後方の所定位置にある境界部3を示す境界信号1が得られてから時間T5(P5)経過後に切断部10を駆動して不良な個装部(4) の後方の境界部3をカッタ22で切断する。なお、この例では、不良とされた個装部(4) の直前、直後の各境界部3,3を切断し、切断によって除去される個装部2は不良とされた個装部(4) の1個だけとなっている。
【0056】
しかしながら、マークを検知してからの搬送時間T3やT4をより短く設定すれば、マークされた個装部(4) よりも十分に離れた位置にある境界部3を切断することとなり、安全余裕分を見込んで不良の個装部(4) とその近傍の良品である他の個装部2も含めて切断除去することができる。
【0057】
また、
図3の制御例では連包品1を低速で搬送しながら切断を行なったが、十分高い切断精度が得られるのであれば、制御上、連包品1は停止は不要であり、減速すら必要ない場合もありうる。
【0058】
また、
図3の制御例では、切断Enable信号がONとなった後、境界センサ18Bからの境界信号が最初に表れてから、最後の境界信号が表れて切断Enable信号がOFFとなるまでの境界信号のカウントアップ値Cnを1としており、不良とされた個装部(4) の直前、直後の各境界部3を切断して不良である1個の個装部(4) だけを切断することとしている。しかしながら、境界信号のカウントアップ値Cnを可変とすることによって、個装部2を何個切断するかの設定を任意に行なうことができる。
【0059】
(3)接合部12における制御
切断部10においてカッタ22に最初の切断信号が与えられた時から所定時間T6(P6)経過後、接合シーケンスが開始される。すなわち、接合部12は接合スタンバイ信号がONとなってスタンバイ状態に入り、搬送制御信号が示す搬送手段27,28,29の搬送速度はNORMAL(通常搬送速度)からSLOW(遅)に変わって搬送手段は減速される。
【0060】
切断部10で切断されて2つに分かれた連包品1が接合部12に搬入されてくると、まず下流側の連包品1の切断された後端(個装部(3) の後端の境界部3) が境界センサ18Cで検知され、端部カウンタがスタートする(端部カウント0)。次に、上流側の連包品1の切断された先端(個装部(5) の先端の境界部3) が境界センサ18Cで検知され、端部カウンタがカウントアップする(端部カウント1)。そして、接合スタンバイ信号をOFFにするとともに、この検知から所定時間T8(P8)経過後に上流側の連包品1の搬送速度もSTOP(停止)とする。これによって、上下流の各連包品1,1の切断された各端部は接合部12において所定の相互位置(突き合わせ、重ね合わせ)を以て位置決めされた状態となる。なお、搬送手段による連包品1の搬送速度は、上流の連包品1の端部と下流の連包品1の端部の接合精度や重ね代等を考慮して適宜制御すればよい。
【0061】
そして、上流側の連包品1が停止したと同時に、接合部12に与えられる接合信号がOFFからONになり、不良の個装部(4) が除去されて2つに切断された前後の連包品1,1は、接合手段26により繋ぎ合わされて再度一続きの連包品1になる。接合が完了すると、端部カウンタもリセットされ、搬送手段29の搬送速度はSTOP(停止)からSLOW(遅)に変わり、さらにNORMAL(通常搬送速度)に制御されて連包品1は接合部12から通常搬送速度で搬出されていく。
【0062】
以上
図3を参照して説明したように、本実施形態では、制御部35が、要所に配置した複数の境界センサ18A〜18Cからの境界信号や検査部5からの判定信号を用いて、各部を最も時間的な損失が発生しないように統括的に制御することにより、処理速度が異なる検査部5、切断部10、接合部12等をなるべく停滞が発生しないように制御することができる。このため、前述した複数の蓄積部を設置した効果と相乗して、ライン全体として連包品1を一定速度で一層安定して連続搬送することができ、より一層生産性の高い連包品1の検査作業を行なうことができる。
【0063】
4.制御部35による連包品1の切断位置の判断と実行について(
図4〜
図9)
次に、本実施形態の物品検査システムの制御部35が行なう制御のさらなる特徴、すなわち連包品1の切断箇所数がなるべく少なく、作業時間を短縮化できる能率的な切断位置の判断と、その実行の詳細について、
図4乃至
図9を参照して詳細に説明する。
【0064】
前項では、
図3に示すように、連包品1の中の一つの個装部2(例では符号(4) で示した)が不良と判定され、これを除去するために、個装部(4) の両側の直近にある2箇所の境界部3,3を切断し、実際に不良とされた1個の個装部(4) のみを廃棄することとした。しかしながら、不良部分の切断位置は、必ずしも不良部分の両側に直近の境界部3だけが最良の判断であるとは限らない。不良部分が良品部分を挟んで断続するような場合は、不良の個装部2ごとにその両側を切断していたのでは切断箇所が多くなりすぎ、従って最も時間のかかる接合箇所が多くなりすぎてしまい、一ラインで連続して行なっている本システムの作業の連続性に問題が発生してしまう。
【0065】
そこで、本システムの制御部35は、発生する不良の個数や発生の頻度により、また不良が個装部2に発生したか、境界部3に発生したか、又は両方に発生したかといった発生箇所の違いにより、切断箇所がなるべく少なくなるように判断して、切断後の工程で最も時間がかかる接合作業の発生をなるべく抑えるようにしている。
【0066】
図4は、実施形態の物品検査システムにおける正常な境界部3の連包品1と、境界センサ18による検出信号例を示す図である。
同図(a)に示すように、境界部3と個装部2が共に正常な連包品1を所定方向に所定搬送速度で搬送し、境界センサ18で境界部3を検出すると、同図(b)に示すように、境界センサ18は、連包品1における境界部3の間隔及び幅に対応したパルス状の境界信号を出力する。
【0067】
図5は、実施形態の物品検査システムにおける正常な境界部3及び異常な境界部3’を有する連包品1と、境界センサ18によるこれら境界部3,3’の検出信号例を示す図である。
同図(a)に示す連包品1における境界部3’の異常はシール不良である。長手帯状のシートを幅方向に二つ折りにして重ね、内容物が入った個装部2となる部分の周囲を折り部を除き圧着することで、このように個装部2の周囲がシールされた連包品1が製造される。しかしながら、その境界部3におけるシートの圧着が不十分であると、例えば図示のように境界部3の幅が狭く、シール部分が剥がれて隣接する個装部2,2’同士がつながって内容物が混ざったり、連包品1が後工程や消費者により切り離されるような用途であれば内容物の飛散をもたらす。
検知手順を示す同図(b)の各分図に示すように、これを所定方向に所定搬送速度で搬送し、境界センサ18Aで境界部3を検出すると、分
図1)に示すように、境界センサ18Aは、連包品1における境界部3の間隔及びパルス幅に対応したパルス信号を出力する。分
図2)に示すように、制御部35は、境界信号の立ち下がりごとにシール部検知タイマを作動させて正常な場合の境界部3の間隔に対応した所定時間T
N をタイマにより監視している。タイマがタイムアップする前に次の境界信号が検知されれば、その境界信号は正常であると判断する。しかし、同図(a)に示したように、上述したシール不良の境界部3’は搬送方向の幅が小さくなっているため、同図(b)の分
図1)に示すように、そこで検知される境界信号のパルス幅も狭くなっている。従って、同図(b)の分
図2),3)に示すように、前の正常な境界信号の立ち下がりから始めた前記所定時間T
N のカウント完了時には、次の境界信号はまだ検知されておらず、これによってその位置の境界部3’に不良があることが判断できる。同図(b)の分
図3)に示すように、この不検知が確認された時点で制御部はシール部不良を示すシール部不良信号を出力する。
【0068】
このように、境界部3の検出間隔を監視することにより、各個装部2の搬送方向についての前端と後端の間隔を標準値と比較し、これが長い場合には境界部3にシール不良があると判断することができる。このような境界部3の不良が検出された場合には、この不良の境界部3を挟む両側の個装部2のさらに外側にある正常な2箇所の境界部3,3を切断することにより、この境界部3のシール不良を確実に切断除去することができ、また個装部2や不良な境界部3を切断することがないため中身を外に飛び散らせることもない。
【0069】
図6は、実施形態の物品検査システムにおいて連包品1から1個の不良な個装部2を除去する場合の切断箇所の決定により不良部分を除去する手法を示す図である。
これは、1個の不良の個装部2’(黒塗りで示す)について、その前後1個ずつ、合計3個の個装部2,2’を切断除去する制御例である。切断箇所はすべて正常な境界部3であるものとする。分図(a)に示すように、検査部5による個装部2の検査は所定個数(図ではk+mからkまでのM個)を一組として行い、その一組の判定信号が得られてから制御部35は切断方法を判断する。この例では、中身判定結果はk番目の個装部2’が不良(黒菱形で示す)であることを示したが、その他は正常であった(白丸で示す)。この場合、分図(b)に示すように、良品のk+1番目と、不良品であるk番目と、k−1番目の正常の個装部2の3個を切断除去するものと決定し、分図(c)に示すように、k+1番目の個装部2の直近下流側の境界部3と、k−1番目の個装部2の直近上流側の境界部3の2箇所で切断部10のカッタ22を動作させて切断する。
【0070】
図7は、実施形態の物品検査システムにおいて断続する複数個の不良な個装部2’を連包品1から除去する場合の切断箇所の決定により不良部分を除去する手法を示す図である。
これは、3個の不良な個装部2’と正常な個装部2とが交互に並んだ場合に、これら3個の不良な個装部2’と4個の正常な個装部2を含む合計7個の個装部2を一組として2箇所の切断で除去する制御例である。切断箇所はすべて正常な境界部3である。分図(a)に示すように、検査部5による連包品1の検査結果は、個装部2及び境界部3のそれぞれについて出力順に制御部35に記憶され、検査結果が不良となったときには前後所定数の検査結果を用いて切断すべき2箇所の境界部を決定する。この例では、中身判定結果はk+M−1番目の個装部2’と、中途の1個の個装部2’と、k番目の個装部2’の3個が不良であることを示している。この場合、分図(b)に示すように、検査範囲を含むk+M番目の個装部2とk−1番目の個装部2の間にあるM+2個(図示例では7個)の個装部2を一組として一括して切断するものと判断し、分図(c)に示すように、k+M番目の個装部2の直近下流側の境界部3とk−1番目の個装部2の直近上流側の境界部3の2箇所で切断部10のカッタ22を動作させて切断する。
なお、この場合、M個の個装部2を検査してから切断位置を判断していたが、不良がM個連続した場合には、M個の個装部2と、その両側1個ずつの個装部2の合計M+2個について、その外側の2箇所の境界部3,3で切断するか、又は異常と判定してシステムを停止させるものとしてもよい。
【0071】
図8は、実施形態の物品検査システムにおいて連包品1から不良の境界部3を除去する場合の切断箇所の決定により不良部分を除去する手法を示す図である。不良の境界部3の検出手法は
図5を参照して先に説明した通りである。その切断除去の考え方は基本的に不良な個装部2の切断除去の場合と同様である。
例えば、分図(a)に示すように、不良の境界部3’が、判断の単位となる所定個数の検査結果の中で1個だけである場合、その不良の境界部3’の両側にある2個の正常な個装部2,2も一緒に除去するものとし、これら2個の個装部2,2の外側に隣接する2箇所の正常な境界部3,3で切断する。
また、分図(b)に示すように、不良の境界部3’が、判断の単位となる所定個数の検査結果の中で断続して2箇所に検出された場合、その2箇所の不良の境界部3’,3’の内側にある正常な例えば2個の個装部2,2とともに、2箇所の不良の境界部3’,3’の両側にある2個の正常な個装部2,2も一緒に除去するものとし、その最も外側の正常な2個の個装部2のさらに外側の2箇所の境界部3を切断して、除去される部分が一連となるようにする。
【0072】
図9は、実施形態の物品検査システムにおいて連包品1から不良の個装部2’と不良の境界部3’を除去する場合の切断箇所の決定により不良部分を除去する手法を示す図である。
分図(a)に模式的に示すように、境界部3のシール不良と個装部2の不良が複合して検出された場合には、基本的には境界部3のシール不良に関する切断位置の判定結果を演算して制御部35の第1のレジスタに記憶し、個装部2の不良に関する切断位置の判定結果を演算して制御部35の第2のレジスタに記憶し、これら各レジスタの各記憶情報から制御部35が論理和(OR)を算出し、その結果に基づいて切断箇所を決定すればよい。
例えば、分図(b)に示すように、判断の単位となる所定個数の検査結果において、不良の境界部3’が断続して2箇所に検出され、これら2個の不良の境界部3’の外側に1個の不良の個装部2’が検出されたとする。この場合には、これら2箇所の不良の境界部3’の内側にある正常な例えば2個の個装部2,2と、最も外側にある不良の個装部2’のさらに外側の1個の正常な個装部2と、不良の個装部2に隣接しない不良の境界部3’のさらに外側の1個の正常な個装部2の合計5個の個装部2を一緒に除去するものとし、その最も外側の正常な2個の個装部2のさらに外側の2箇所の正常な境界部3,3を切断する。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の物品検査システムによれば、装置の要所に連包品1の蓄積部を設けることによって、その前後における連包品1の速度差を吸収することができる。また、蓄積部による上記効果とともに、制御部35は、検査部5からの判定信号と境界センサ18からの境界信号を利用して、不良の個装部2’及び不良の境界部3’を含む不良部分を連包品1から分離するために切断箇所がなるべく少なくなるような切断位置を決定できるので、不良部分の切断除去の作業が効率的になり、その結果切断に続いて行われる最も時間を要する接合部12での接続動作の回数が少なくなる。このため、システム全体の工程をさらに効率化して渋滞なく連続して続行することができる。
【0074】
なお、本実施形態のような手法によれば、切断箇所数を減らすために、不良の個装部2’等と共に良品の個装部2も切断除去することになるが、システム全体を停止させることなく効率的に連続運転するメリットに比べれば、比較的安価な製造コストで大量生産する連包品の中から少数の良品の個装部2を廃棄するコストは問題にならない位小さい。