特許第5936890号(P5936890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936890
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】ガラリ自動開閉扉
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20160609BHJP
   E06B 7/08 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   F24F7/013 101B
   E06B7/08
   F24F7/013 101V
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-54933(P2012-54933)
(22)【出願日】2012年3月12日
(65)【公開番号】特開2013-190115(P2013-190115A)
(43)【公開日】2013年9月26日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】専徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】水田 敏明
(72)【発明者】
【氏名】有富 真治
(72)【発明者】
【氏名】内田 裕史
(72)【発明者】
【氏名】成宗 拓馬
【審査官】 久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−067839(JP,U)
【文献】 特開平04−110544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/013
E06B 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
換気扇を備える建屋又は部屋の壁又はドアに設けられたガラリに取付けられ、前記換気扇が稼働すると開き、換気扇が停止すると閉じる、ガラリを開閉するガラリ自動開閉扉であって、
上辺部を支点に回動する、ガラリを塞ぐように取付けられる開閉扉と、
前記開閉扉をガラリに吸着させる磁石と、
前記磁石を前記開閉扉の両側辺部に固定する磁石固定手段と、を含み、
前記磁石固定手段が、磁石を移動自在に収納する前記開閉扉の両側辺部の上下方向に設けられた溝と、前記磁石を前記溝の壁面に押付け固定させる押圧手段と、からなり、前記磁石を任意の高さに固定可能なことを特徴とするガラリ自動開閉扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラリに取付け使用するガラリ自動開閉扉に関する。
【背景技術】
【0002】
建物又は部屋に外気を取り込む、建物又は部屋の空気を外部に排気するためにガラリが使用されている。ガラリには、給気量、換気量を調節し、又は給気、換気を行わせないように通気口を手動又は自動で開閉する開閉板が設けられたものがある。
【0003】
建屋に設けられた手動式の開閉板を備えるガラリは、季節に応じて開閉される場合が多いが、建物内に冷暖房装置を設置することで、通年閉運用とされる場合もある。例えば、小規模の電気所において、省力化と省エネのためガラリを通年閉運用とし、通常、一台の冷房機器により室温を管理し、冷房機器が故障した場合、温度センサーにより換気扇を稼働させ室内を換気するケースがある。
【0004】
冷房機器のバックアップに換気扇を使用する場合、ガラリが閉じていると換気量が不十分となり、室内の温度も十分に低下させることができない。ガラリには、電動で開閉するものもあり、このようなガラリを使用し、換気扇と連動させれば十分に換気を行うことができるがコストアップとなる。
【0005】
このような問題を解決するために換気時に自動的に給気フィン(以下、開閉板と記す)を開いて給気を行うことができる自動開閉式給気ガラリが提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−152163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の自動開閉式給気ガラリは、開閉板をスプリング又は磁石より常に閉じる方向に吸引(吸着)し、排気時の室内の負圧により開閉板をスプリング又は磁石の吸引力(吸着力)に抗して室内方向に開くように構成している。このように構成すれば、換気扇を稼働させると室内が負圧となり、自動的に開閉板が開き、換気扇を停止させると自動的に開閉板が閉じるので、開閉板を開閉するために電動モータなどを設ける必要がなく好ましい。
【0008】
特許文献1に記載の自動開閉式給気ガラリの場合、スプリングの吸引力又は磁石の吸着力が強すぎると換気扇が稼働しても開閉板が開かず、逆にスプリングの吸引力又は磁石の吸着力が弱過ぎると、外部の風により簡単に開閉板が開いてしまう。このため開閉板に取付けるスプリングの吸引力又は磁石の吸着力、取付け位置などを調節し、換気扇を稼働させたとき生じる室内の負圧の大きさとバランスさせる必要があるが、特許文献1にはスプリングの吸引力又は磁石の吸着力の決定方法などに関する具体的な記載はない。
【0009】
開閉板を開閉させる力は、スプリングの吸引力又は磁石の吸着力、取付け位置はもちろん、換気扇の容量、建屋又は部屋の大きさ及び機密性、ガラリの大きさ、外気の風圧などの複数の因子により決定されるので、事前にスプリングの吸引力又は磁石の吸着力、取付け位置を決定することはできない。このため吸引力の異なるスプリング又は吸着力の異なる磁石を何種類か用意し、試行錯誤的に調整することとなるが調整は容易ではない。
【0010】
本発明は、開閉の調節が容易であり所望の給気又は排気条件で開閉させることが可能な、ガラリに取付け使用するガラリ自動開閉扉を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、換気扇を備える建屋又は部屋の壁又はドアに設けられたガラリに取付けられ、前記換気扇が稼働すると開き、換気扇が停止すると閉じる、ガラリを開閉するガラリ自動開閉扉であって、上辺部を支点に回動する、ガラリを塞ぐように取付けられる開閉扉と、前記開閉扉をガラリに吸着させる磁石と、前記磁石を前記開閉扉の両側辺部に固定する磁石固定手段と、を含み、前記磁石固定手段が、磁石を移動自在に収納する前記開閉扉の両側辺部の上下方向に設けられた溝と、前記磁石を前記溝の壁面に押付け固定させる押圧手段と、からなり、前記磁石を任意の高さに固定可能なことを特徴とするガラリ自動開閉扉である。
【発明の効果】
【0013】
本発明のガラリ自動開閉扉は、換気扇を備える建屋又は部屋の壁又はドアに設けられたガラリに取付け使用されるガラリ自動開閉扉であり、開閉扉をガラリに吸着させる磁石を任意の高さに固定することができるため、開閉扉の開閉調節が容易であり、所望の給気又は排気条件で開閉させることができる。さらに磁石を任意の高さに固定する磁石固定手段を含めガラリ自動開閉扉の構造が簡単なので容易に実施可能であり実用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態であるガラリ自動開閉扉1の斜視図である。
図2図1のガラリ自動開閉扉1の背面図である。
図3図2の切断線A−Aで切断した断面図である。
図4図2の切断線B−Bで切断した断面図である。
図5図1のガラリ自動開閉扉1の他の磁石収納溝41を示す断面図である。
図6図1のガラリ自動開閉扉1の他の磁石収納溝42を示す断面図である。
図7】本発明の第2実施形態であるガラリ自動開閉扉3の背面図である。
図8図7のガラリ自動開閉扉3のピンチ61の斜視図である。
図9図7の切断線C−Cで切断し上下を反転した断面図である。
図10図7の切断線D−Dで切断し上下を反転した断面図である。
図11】本発明の第3実施形態であるガラリ自動開閉扉5の背面図である。
図12図11の切断線E−Eで切断し上下を反転した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の第1実施形態であるガラリ自動開閉扉1の斜視図であり、図2は、ガラリ自動開閉扉1の背面図である。図3は、図2の切断線A−Aで切断した断面図であり、図4は、図2の切断線B−Bで切断した断面図である。以下、ガラリ自動開閉扉1を、換気扇を有する建屋の壁200に設けられたガラリ100に取付け使用する場合を例として、ガラリ自動開閉扉1の構成、作用、効果を説明する。
【0017】
ガラリ自動開閉扉1は、建屋の壁200に設けられたガラリ100の前面102を覆うように取付けられ使用される。換気扇(図示省略)が稼働すると建屋内が負圧となり建屋内外の圧力差によりガラリ自動開閉扉1が自動的に開き、建屋外から建屋内に向って給気し、換気扇が停止するとガラリ自動開閉扉1が閉じてガラリ100を塞ぎ、外気が建屋内に入り込むことを防止する。ここでガラリ100の前面102とは、建屋内側の面を言う。
【0018】
ガラリ自動開閉扉1は、ガラリ100の前面102を開閉可能に覆う開閉扉10と、開閉扉10をガラリ100に吸着させる、開閉扉10の両側辺部13に装着された磁石20と、磁石20を開閉扉10に固定する磁石収納溝40及び押圧手段であるスプリング51からなる磁石固定手段31とを有する。
【0019】
開閉扉10は、合成樹脂板で形成された、ガラリ前面102と同一の大きさの板状体であり、閉じたときガラリ前面102を完全に覆うことができる。開閉扉10は、上辺部15に蝶番90が取付けられ、この蝶番90を介してガラリ100を覆うように壁200に固定されている。さらに開閉扉10の裏面18の両側辺部13には、磁石20を収納し、固定するための磁石収納溝40が設けられている。本明細書において両側辺部13とは、両側の側辺及びその近傍を言う。
【0020】
開閉扉10は、両側辺部13に磁石20を収納、固定する磁石収納溝40を設けることができる厚さがあれば、薄く、軽いことが好ましい。開閉扉10が重くなり過ぎると、磁石20の吸着力を小さくしても換気扇稼働時に開閉扉10が開かなくなる。開閉扉10が軽い場合は、磁石20の吸着力を調整することで開閉扉10を適切に開閉させることができる。また開閉扉10を軽くすることで、蝶番90も小型化できる。なお材質は、合成樹脂に限定されるものではない。
【0021】
開閉扉10は、全体を1枚の板で形成してもよいが、ガラリ100の外周を覆う枠体と枠体を覆う板材とで形成し、枠体に磁石20を収納、固定する磁石収納溝40を設けてもよい。このようにすれば、中央部は板材のみとなるので、軽くすることができる。このとき板材の変形が懸念されれば、補強材を取付ければよい。
【0022】
磁石20は、開閉扉10の裏面18の両側辺部13に設けられた磁石収納溝40に収納、固定され、開閉扉10をガラリ100に吸着させ外気が建屋内に入り込むことを防止する。ここで使用する磁石20は、永久磁石であり、磁石粉末とゴムとを混合し成形したゴム磁石、磁石粉末とプラスチックとを混合し成型固化したプラスチック磁石なども使用することもできる。なお、ガラリ100が弱磁性体で磁石20が吸着することができない場合は、ガラリ100側に薄い鉄板などを貼付する。
【0023】
磁石20は、小型、薄型であり、横縦断面が台形の形状を有する。磁石20の傾斜面24は、図4に示すように内側に傾斜している。このような形状の磁石20を使用するのは、磁石収納溝40内に磁石20を固定するとき、磁石の傾斜面24を磁石収納溝40の傾斜面44に接触させ固定するためである。磁石20の厚さを薄くすることで磁石20を収納、固定する磁石収納溝40の高さも低くなり、結果、開閉扉10自体の厚さも薄くすることができる。
【0024】
磁石固定手段31は、開閉扉10の両側辺部13に磁石20を固定させる手段であり、磁石20が入り込む磁石収納溝40と、磁石収納溝40に磁石20を固定すべく磁石収納溝40の傾斜面44に磁石20を押し付ける押圧手段であるスプリング51とを有する。
【0025】
磁石収納溝40は、開閉扉10の裏面18の両側辺部13、より正確には両側の側辺14から僅かに内側に入ったところに上辺16近傍から下辺17近傍まで設けられており、ガラリの外周枠104に一致する。
【0026】
磁石収納溝40は、横断面形状が台形であり、傾斜面44は、磁石の傾斜面24と一致させてある。磁石収納溝40の深さは、磁石収納溝40内で磁石20を移動可能とするために磁石20の高さよりも大きい。磁石収納溝40は、開閉扉10の表面19まで貫通しないように設けられ、上端には、磁石20を磁石収納溝40内に嵌め込むための収納口46が設けられている。上端に磁石20を固定すると、僅かな力でガラリ自動開閉扉1が開くので、上端に磁石20を固定することは殆どない。このために上端に収納口46を設けている。
【0027】
また磁石収納溝40の底面47には、スプリング51が嵌り込む円弧状の凹部48が所定の間隔で複数設けられている。凹部48の数は、特定の数に限定されず、数が多いほど磁石20の固定位置(高さ)を細かく設定することができる。
【0028】
スプリング51は、磁石収納溝40の傾斜面44に磁石の傾斜面24を押し付け、磁石20を磁石収納溝40内に固定するための部材であり、磁石の底面25に取付けられている。スプリング51は、弾性を有する板材が円弧状に形成され、一端部53のみが磁石の底面25に固定され、他端部55はフリーとなっている。これにより磁石20を押し付けると、スプリング51が平になるように変形し、移動が自在となる。
【0029】
底面25にスプリング51を取付けた磁石20を磁石収納溝40に嵌め入れ、スプリング51を磁石収納溝40の凹部48に嵌り込ませると、スプリング51の移動が抑止され、さらにスプリング51が、磁石の傾斜面24と磁石収納溝の傾斜面44とを圧接させるので磁石20はその位置でしっかりと固定される。このとき磁石の表面26と開閉扉の裏面18とが面一となる。磁石の表面26と開閉扉の裏面18とを面一とすることで、開閉扉の裏面18とガラリの表面102、より正確にはガラリの外周枠104とを密着させることができる。磁石収納溝の傾斜面44は、先端部が狭くなるように傾斜しているので、磁石20が磁石収納溝40から飛び出すことはない。
【0030】
ガラリ自動開閉扉1の使用方法の一例及び動作を説明する。ここでは、建屋内に換気扇を設け、換気扇が稼動すると、ガラリ自動開閉扉1が開き、建屋内に給気し、換気扇が停止しているときは外気が建屋内に入り込まないようにガラリ100を塞ぐように使用する場合である。
【0031】
開閉扉10の裏面18に設けられた磁石収納溝40の収納口46から、左右の磁石収納溝40それぞれに磁石20を嵌め入れ、磁石収納溝20の中間位置に磁石20を置く。磁石20を移動させ、スプリング51の底部57を磁石収納溝の凹部48に嵌め込むことで簡単に磁石20を固定することができる。
【0032】
蝶番90を介して、ガラリ100を覆うようにガラリ自動開閉扉1を取付け、換気扇を起動する。換気扇が稼動するとガラリ自動開閉扉1が自動的に開くか否か確認する。ガラリ自動開閉扉1が開かない場合は、磁石20の位置を上辺16側にスライド移動させる。逆にガラリ自動開閉扉1が開いた場合は、磁石20の位置を下辺17側にスライド移動させる。これらの操作により、換気扇を稼動させたときガラリ自動開閉扉1が開く、開かない境界点を見つける。最終的な磁石20の固定位置は、前記境界点から少し上方(蝶番方向側)とする。
【0033】
磁石20の固定位置を上辺16側にするほど、梃子の原理により少ない力でガラリ自動開閉扉1が開く。換気扇を稼動させたとき、ガラリ自動開閉扉1が開くようにするには、前記境界点よりも上方に磁石20を固定すればよいが、屋外の風で簡単に開かないようにするためには、磁石20はできるだけ下方に取り付けることが好ましい。この点を考慮し、最終的な磁石20の固定位置は、少しの余裕を持たせ前記境界点から少し上辺16側とする。
【0034】
ガラリ自動開閉扉1の開閉を決める因子には、磁石20、開閉扉10の大きさ、重量、換気扇の容量、建屋の大きさ、気密性などがあり、これらが複合的に作用しガラリ自動開閉扉1が閉じ又は開く。このうち磁石20が開閉に及ぼす影響は大きく、磁石20が開閉扉10に作用する力は、磁石20自体の吸着力の他、開閉扉10に対する磁石20の取付け位置により大きく異なる。本実施形態のガラリ自動開閉扉1は、工具を使用することなく磁石20の取付け位置を簡単に変更することができるので、容易に、換気扇の稼動によりガラリ自動開閉扉1が開き、換気扇停止時には外気が建屋内に入り込まないように調節することができる。
【0035】
ガラリ自動開閉扉1では、磁石収納溝40とスプリング51とで磁石20を任意の高さに固定可能とするが、磁石収納溝40の形状は、図3図4の形状に限定されるものではない。また磁石20を磁石収納溝40に固定する押圧手段も図3図4に示すスプリング51に限定されるものではない。
【0036】
図5及び図6に他の磁石収納溝41、42及び押圧手段を示す。図1から図4に示す構成と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0037】
図5は、他の磁石収納溝41を示す横断面図である。ここに示す磁石収納溝41は、横断面において上部に段差部45を有し、磁石21も磁石収納溝41の横断面形状に合致するように段差部27が設けられている。ここでは、図3及び図4と同様に、磁石21を磁石収納溝41の段差部45の壁面に押付ける手段としてスプリング51を使用する。図5に示す磁石収納溝41において、磁石21を固定するメカニズムは、図3及び図4に示す磁石収納溝40と同じである。なお、ここで使用する磁石21は、全体が1つの磁石となっているが、段差部27から上のみを磁石とし、段差部27から下の部分は他の部材で形成し、これらを貼り合わせて使用してもよい。
【0038】
図6は、他の磁石収納溝42を示す横断面図である。ここに示す磁石収納溝42は、横断面において、中央部から下方が底面47に対して垂直であり、中央部から上方が内側に向って傾斜しており、ここに収納、固定される磁石22も磁石収納溝42の横断面形状に合致するように上方部が内側に向った傾斜面24となっている。ここでは、図3から図5に示す押圧手段とは異なり、磁石22を磁石収納溝42の傾斜面44に押付ける手段として弾性を有する長方体のゴム材59を使用する。ここでは、押圧手段にスプリング51を使用する場合と異なり、磁石収納溝42の底面47に凹部48を設けていない。磁石22の傾斜面24を磁石収納溝42の傾斜面44に押付け固定する点は、図3図4に示す磁石収納溝40及び磁石20と同じである。
【0039】
以上、第1実施形態に示すガラリ自動開閉扉1は、磁石20、21、22が開閉扉10内に収納され、さらに表面19からは磁石20、21、22が見えないので外観がすっきりとし好ましい。
【0040】
図7は、本発明の第2実施形態であるガラリ自動開閉扉3の背面図、図8は、ガラリ自動開閉扉3のピンチ61の斜視図である。図9は、図7の切断線C−Cで切断し上下を反転した断面図、図10は、図7の切断線D−Dで切断し上下を反転した断面図である。図1から図6に示す第1実施形態のガラリ自動開閉扉1と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
ガラリ自動開閉扉3もガラリ自動開閉扉1と同様に、ガラリ100の前面102を開閉可能に覆う開閉扉11と、開閉扉11をガラリ100に吸着させる、開閉扉11の両側辺部13に装着された磁石23と、磁石23を開閉扉11に固定する磁石固定手段33とを有し、建屋の壁200に設けられたガラリの前面102に取付けられ、換気扇(図示省略)が稼働すると建屋内が負圧となりガラリ自動開閉扉3が開き、建屋外から建屋内に向って給気し、換気扇が停止すると閉じてガラリ100を塞ぎ、外気が建屋内に入り込むことを防止する。
【0042】
ガラリ自動開閉扉3とガラリ自動開閉扉1とは、基本的構成及び作用効果を同じくするが、磁石23を固定する磁石固定手段33が異なる。磁石固定手段33は、ガラリ自動開閉扉1と同様に、開閉扉11の両方の側辺部に設けられている。
【0043】
磁石固定手段33は、洗濯ばさみのようなピンチ61からなり、複数のピンチ61が、開閉扉11の両方の側辺14に上辺16から下辺17まで複数設けられている。ピンチ61の数は、特定の数に限定されず、数が多いほど磁石23の固定位置(高さ)を細かく設定することができる。ピンチ61は、ガラリ自動開閉扉3を閉じたとき、固定する磁石23がガラリの外周枠104上となるように設けられている。
【0044】
ガラリ自動開閉扉3は、開閉扉11の両方の側辺14に磁石固定手段33であるピンチ61が取付けられるので、開閉扉11は、ガラリ自動開閉扉1で使用する開閉扉10と比較すると若干幅が狭い。但し、ガラリ自動開閉扉3を閉じたとき、ガラリ100の給気口106を完全に塞ぐことができる点は、開閉扉10と同じである。
【0045】
開閉扉11は、ガラリ自動開閉扉1で使用する開閉扉10と異なり裏面18に磁石23を収納、固定するための磁石収納溝40を有していない。このため開閉扉11を加工する必要がなく、開閉扉11を薄くすることができる。他の部分については、開閉扉11は、開閉扉10と同様に構成することができる。
【0046】
ピンチ61は、一対の挟持板63(63a、63b)が間隔を有した状態で、ばね付き支持軸67で連結され構成されている。一方の挟持板63bが、開閉扉11の側辺14に固定されており、挟持板63の下端64が開閉扉11の裏面18と同じ高さとなるように取付けられている。これによりピンチ61で磁石23を挟み込んだとき、磁石の表面26と開閉扉12の裏面18とを簡単に面一とすることができる。なお、挟持板63aは、磁石23を挟み込まないときも下端64が、開閉扉11の裏面18から突出しないように斜めに加工されている。
【0047】
ばね付き支持軸67のばね(図示を省略)は、図9に示すように一対の挟持板63の下方が閉じるように作用する。これにより挟持板63の下方で磁石23を挟み、磁石23をしっかりと固定することができる。一対の挟持板63の内側65に滑り止め加工を施し、又は一対の挟持板63の内側65に滑り止め材を取付ければ、より確実に磁石23を固定することができる。
【0048】
磁石23は、第1実施形態に示す磁石20、21、22と同様に永久磁石であり、幅がピンチ61のばね付き支持軸67部分の間隔と同一な直方体の磁石である。磁石23の幅とピンチ61のばね付き支持軸67部分の間隔とを一致させることで、ピンチ61で磁石23を挟み込んだとき、図8図10に示すように一対の挟持板63が磁石23の側面29全体に接触し、磁石23をしっかりと固定することができる。磁石23は、形状を除けば、第1実施形態に示す磁石20、21、22と同様に構成することができる。
【0049】
ガラリ自動開閉扉3も第1実施形態のガラリ自動開閉扉1と同様に、任意の高さに磁石23を固定することが可能であり、磁石23の取付け位置の変更も簡単であるので、容易に、換気扇の稼動によりガラリ自動開閉扉3を開き、換気扇停止時には外気が建屋内に入り込まないように調節することができる。
【0050】
図11は、本発明の第3実施形態であるガラリ自動開閉扉5の背面図であり、図12は、図11の切断線E−Eで切断し上下を反転した断面図である。図1から図6に示す第1実施形態のガラリ自動開閉扉1、図7から図10に示す第2実施形態のガラリ自動開閉扉3と同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
ガラリ自動開閉扉5もガラリ自動開閉扉1、3と同様に、ガラリ100の前面102を開閉可能に覆う開閉扉12と、開閉扉12をガラリ100に吸着させる、開閉扉12の両方の側辺部13に装着された磁石23と、磁石23を開閉扉12に固定する磁石固定手段35とを有し、建屋の壁200に設けられたガラリの前面102に取付けられ、換気扇(図示省略)が稼働すると建屋内が負圧となりガラリ自動開閉扉5が開き、建屋外から建屋内に向って給気し、換気扇が停止すると閉じてガラリ100を塞ぎ、外気が建屋内に入り込むことを防止する。
【0052】
ガラリ自動開閉扉5とガラリ自動開閉扉1、3とは、基本的構成及び作用効果を同じくするが、磁石23を固定する磁石固定手段35が異なる。磁石固定手段35は、ガラリ自動開閉扉1、3と同様に、開閉扉12の両方の側辺部13に設けられている。
【0053】
磁石固定手段35は、開閉扉12の両方の側辺部13にそれぞれ設けられた、磁石23を収納、固定する磁石収納溝43と、磁石収納溝43に磁石23を固定すべく磁石収納溝43の内側壁面49に磁石23を押し付ける押圧具81を有する。押圧具81は、磁石23の取付け位置を変更することができるように複数設けられている。押圧具81の数は、特定の数に限定されず、数が多いほど磁石23の固定位置(高さ)を細かく設定することができる。押圧具81はガラリ自動開閉扉3を閉じたとき、固定する磁石23がガラリの外周枠104上となるように設けられている。
【0054】
磁石収納溝43は、開閉扉12の裏面の両側辺部13に上辺16から下辺17まで設けられている。磁石収納溝43は、図12に示すように横断面形状が矩形であり、開閉扉12の裏面18を矩形に削り取る形で形成されており、表面19には貫通していない。このため開閉扉12の両側辺部13の横断面は、L字型となっている。このL部分は、押圧具81を支持する支持台71として機能する。
【0055】
押圧具81は、磁石23を磁石収納溝43の内側壁面49に押圧する押圧板83と、支持台71に穿設された貫通孔(図示省略)に挿通し、押圧板83と連結する支持棒85と、支持棒85が挿通し、支持台71と押圧板83との間に位置し、押圧板83を磁石収納溝43の内側壁面49に押付けるように作用する圧縮コイルばね87とを有する。押圧板83は、磁石収納溝43と同じ高さであり、幅は、磁石23と同じである。押圧板83の磁石23を挟み込む面には滑り止め加工が施されている。
【0056】
押圧具81に挟み込まれた磁石23は、常に圧縮コイルばね87で磁石収納溝43の内側壁面49に押付けられているので簡単に外れることはない。ここに示す磁石固定手段35も第1実施形態に示す磁石固定手段31、第2実施形態に示す磁石固定手段33と同様に、工具を使用することなくワンタッチで磁石23を固定することができる。
【0057】
ガラリ自動開閉扉5も第1実施形態のガラリ自動開閉扉1、第2実施形態のガラリ自動開閉扉3と同様に、任意の高さに磁石23を固定することが可能であり、磁石23の取付け位置の変更も簡単であるので、容易に、換気扇の稼動によりガラリ自動開閉扉5が開き、換気扇停止時には外気が建屋内に入り込まないように調節することができる。
【0058】
以上、第1から第3実施形態を用いて、本発明のガラリ自動開閉扉を説明したように本発明のガラリ自動開閉扉は、磁石を任意の高さに固定する磁石固定手段を含めガラリ自動開閉扉の構造が簡単なので容易に実施可能であり実用性が高い。このようなガラリ自動開閉扉は、電気、電子機器、その他熱を発する機器を備える建屋又は部屋、例えば電気所、通信用中継所、非常用ディーゼル発電機室など換気扇を稼動させて換気する給気ガラリに好適に使用することができる。
【0059】
なお、本発明のガラリ自動開閉扉は、前記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変更することができる。たとえば、第3実施形態に示す押圧具81において、支持棒85を雄ねじとし、支持台71に雄ねじが螺合する雌ねじを設け、支持棒85を回転自在に押圧板83と接続し、支持棒85をねじ込むことで磁石23を固定するようにしてもよい。
【0060】
また本発明のガラリ自動開閉扉は、ガラリ自動開閉扉を取付けたガラリの内外に予め定める圧力差以上の圧力差が生じたときにガラリ自動開閉扉が開き、ガラリの内外の圧力差が予め定める圧力差を下回ったときにガラリを完全に塞ぐ点に特徴があるので、給気以外に、排気ガラリにも使用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 ガラリ自動開閉扉
3 ガラリ自動開閉扉
5 ガラリ自動開閉扉
10 開閉扉
11 開閉扉
12 開閉扉
13 開閉扉の両側辺部(両方の側辺部)
15 開閉扉の上辺部
20 磁石
21 磁石
22 磁石
23 磁石
31 磁石固定手段
33 磁石固定手段
35 磁石固定手段
40 磁石収納溝
41 磁石収納溝
42 磁石収納溝
43 磁石収納溝
51 スプリング
59 ゴム材
61 ピンチ
81 押圧具
100 ガラリ
図1
図2
図3
図4
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図11
図12