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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5936903
(24)【登録日】2016年5月20日
(45)【発行日】2016年6月22日
(54)【発明の名称】加速度信号処理装置および電子デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01H 35/14 20060101AFI20160609BHJP
   G01P 15/08 20060101ALI20160609BHJP
   G01P 15/135 20060101ALI20160609BHJP
【FI】
   H01H35/14 C
   G01P15/08 101A
   G01P15/135 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-98599(P2012-98599)
(22)【出願日】2012年4月24日
(65)【公開番号】特開2013-229116(P2013-229116A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2015年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】715010864
【氏名又は名称】エスアイアイ・セミコンダクタ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】下田 貞之
【審査官】 出野 智之
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/108559(WO,A1)
【文献】 特開2011−094987(JP,A)
【文献】 特開平11−248742(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0033598(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 35/14
G01P 15/08
G01P 15/135
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、前記回路基板上に配置されるバンプ材と、
前記バンプ材を介して前記回路基板に設置されるとともに絶縁性である第一基板と、前記第一基板に接続されるとともに半導体素子からなる周辺部および中心体と、前記バンプ材と前記周辺部および前記中心体を電気的に接続し前記第一基板に貫通する貫通電極と、
前記周辺部の内部で懸架される質量体と、を有する加速度スイッチと、によって構成される加速度信号処理装置であって、
前記回路基板と前記加速度スイッチとの接合において、前記バンプ材は、2個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴とする加速度信号処理装置。
【請求項2】
前記2個のバンプ材は、前記周辺部の一方端側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の加速度信号処理装置。
【請求項3】
回路基板と、前記回路基板上に配置されるバンプ材と、
前記バンプ材を介して前記回路基板に設置されるとともに絶縁性である第一基板と、前記第一基板に接続されるとともに半導体素子からなる周辺部および中心体と、前記バンプ材と前記周辺部および前記中心体を電気的に接続し前記第一基板に貫通する貫通電極と、
前記周辺部の内部で懸架される質量体と、を有する加速度スイッチと、によって構成される加速度信号処理装置であって、
前記回路基板と前記加速度スイッチとの接合において、前記バンプ材は、3個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴とする加速度信号処理装置。
【請求項4】
前記3個のバンプ材は、前記周辺部の一方端側に配置されていることを特徴とする請求項に記載の加速度信号処理装置。
【請求項5】
回路基板と、前記回路基板上に配置されるバンプ材と、
前記バンプ材を介して前記回路基板に設置されるとともに絶縁性である第一基板と、前記第一基板に接続されるとともに半導体素子からなる周辺部および中心体と、前記バンプ材と前記周辺部および前記中心体を電気的に接続し前記第一基板に貫通する貫通電極と、
前記周辺部の内部で懸架される質量体と、を有する加速度スイッチと、によって構成される加速度信号処理装置であって、
前記回路基板と前記加速度スイッチとの接合において、前記バンプ材は、4個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴とする加速度信号処理装置。
【請求項6】
前記4個のバンプ材は、前記周辺部の四隅あるいは四辺端部に配置されていることを特徴とする請求項に記載の加速度信号処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度信号処理装置および電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来からある加速度スイッチ(加速度信号処理装置)として、錘(質量体)内部に対向電極を持ち、錘(質量体)を梁で支持する無指向性の加速度スイッチについて、図12に基づき説明する。図12は従来の加速度スイッチの上面図であり、この加速度スイッチ100は、周辺部200と、対向電極(中心体)300と、梁と、錘(質量体)からなり、この錘(質量体)と周辺部200とは梁で結合されている。なお、簡単のため、図12においては梁と質量体は図示しない。なお、周辺部200と、対向電極(中心体)300とは、単結晶シリコンなどの導電体で形成しており、また、図12(b)に示す第一基板900および第二基板1000は、ガラスなどの材料により形成することができる。
【0003】
このような加速度スイッチは、加速度スイッチ100に印加される加速度に応じて、錘(質量体)と錘(質量体)の内部に配置されている対向電極300が接触することにより、加速度スイッチ100に接続した外部装置が、振動を検出する。この加速度スイッチは、ノーマリーオフかつ無指向性のスイッチとして使用できる。
【0004】
そこで、この加速度スイッチを省電力用に、たとえば少容量のバッテリーしか内蔵できないようなポータブル機器に搭載すれば、人間の振動を検出しない時、すなわち、機器を使用しない時は動作を停止し、振動を検出した時、すなわち、機器を使用するのみ、自動的に動作を開始して、無駄なバッテリーを使用しない電子デバイス(電子機器)を実現することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−145740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、本加速度スイッチの実装に関する従来の形態においては、無指向性の感度が有効でなくなり、所定の感度を得られなくなる場合がある。
【0007】
例えば、従来の形態において、図12に示すように、加速度スイッチ100は周辺部200と対向電極(中心体)300とから2つの電極700,800が第一基板900を介して外部に引き出されるように構成される。つまり、この2つの電極700、800は第一基板900を貫通し、周辺部200と対向電極(中心体)300とまでそれぞれ達している。なお、単結晶シリコンなどの導電体で形成されている対向電極(中心体)300と周辺部200は、この電極700、800によって外部と電気的に接続される。
【0008】
さらに、これらの電極700、800は、不図示の配線や回路素子を有する回路基板400と電気的に接続される。具体的に、電極700はバンプ500を介して回路基板400と電気的に接続され、電極800はバンプ600を介して回路基板400と電気的に接続される。つまり、加速度スイッチ100を回路基板400に実装するときは、2個のバンプ500、600を用いることになる。
【0009】
このように、加速度スイッチ100を回路基板400に実装する場合、略正方形のチップに対して、バンプ500,600が2個であるために、チップマウンタで加速度スイッチ100を回路基板400上に配置した場合、非常に不安定な状態になる。この状態で、リフロー炉を通し実装すると、位置ずれ等が発生し回路基板400に対して水平に加速度スイッチ100を実装できない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記加速度スイッチを回路基板に実装したときに、回路基板に対して水平性を保つような実装方法を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加速度信号処理装置は、回路基板と、前記回路基板上に配置されるバンプ材と、前記バンプ材を介して前記回路基板に設置されるとともに絶縁性である第一基板と、前記第一基板に接続されるとともに半導体素子からなる周辺部および中心体と、前記バンプ材と前記周辺部および前記中心体を電気的に接続し前記第一基板に貫通する貫通電極と、前記周辺部の内部で懸架される質量体と、を有する加速度スイッチと、によって構成される加速度信号処理装置であって、前記回路基板と前記加速度スイッチとの接合において、前記バンプ材は前記中心体および前記周辺部に対応する3点以上に設けることを特徴としている。
【0012】
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記バンプ材は、2個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記2個のバンプ材は、前記周辺部の一方端側に配置されていることを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記バンプ材は、3個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が中心体に対応することを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記3個のバンプ材は、前記周辺部の一方端側に配置されていることを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記バンプ材は、4個のバンプ材が前記周辺部に対応し、1個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴としている。
【0013】
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記4個のバンプ材は、前記周辺部の四隅あるいは四辺端部に配置されていることを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記バンプ材は、2個のバンプ材が前記中心体に対応することを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記対向電極は、前記2個のバンプ材に対応して分割されていることを特徴としている。
さらに、本発明の加速度信号処理装置は、前記周辺部に一端が接続されるとともに前記質量体に他端が接続される梁を有することを特徴としている。
さらに、本発明の電子デバイスは、上記いずれかの加速度信号処理装置を有し、前記加速度信号処理装置から出力される検出信号を検出し、前記検出信号に応じた所定の動作を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路基板に対して水平なに実装できる加速度スイッチを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図2】本発明の第二実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図3】本発明の第三および第四実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図4】本発明の第五実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図5】本発明の第六実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図6】本発明の第七および第八実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図7】本発明の第九および第十実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図8】本発明の第十一実施形態に係る加速度信号処理装置を説明するための図である。
図9】本発明の第十二実施形態に係る加速度信号処理装置の電極配線を説明するための図である。
図10】本発明の加速度スイッチの正面断面図である。
図11】本発明の加速度スイッチの側面断面図である。
図12】従来公知の加速度信号処理装置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の一形態について図面を参照して説明する。
[加速度スイッチの構成]
まず本加速度スイッチの構成と動作について、図10および11に基づいて説明する。
図10は、本発明に係る、加速度スイッチ1の正面断面図である。図11は、図10におけるFF断面の断面図である。なお、図10図11におけるGG断面の側面断面図である。
【0017】
図10および11に示すように、加速度スイッチ1は、図11において示すように、ガラスなどの絶縁材料で構成された第一基板9および第二基板10と、第一基板9および第二基板10に挟まれるとともに単結晶シリコンなどで構成された中間基板とにより、積層されるように構成されている。
【0018】
中間基板には、シリコンのエッチングにより、図10における中心から、円柱形状の対向電極(中心電極、中心体)13、対向電極13の半径方向に空隙を介して位置する錘(質量体)13、錘13に一端12aが接続される梁12、および梁12の他端12bが接続されるとともに加速度スイッチ1のフレームである周辺部2が形成される。言い換えると、加速度スイッチ1の最も外側に周辺部2が存在し、周辺部2は梁12によって錘13を支持し、錘13の略中心には空間が存在し、その空間に対向電極3が配置されている。
【0019】
図11に示すように、第一基板9には第一貫通電極7と中心貫通電極8が第一基板9を貫くように形成されている。第一貫通電極7は、第一基板9を貫通し、中間基板の周辺部2に達している。同様に、中心貫通電極8は、第一基板9を貫通し、中間基板の対向電極3に達している。この第一貫通電極7と中心貫通電極8には、後述する回路基板と接続するために、後述するバンプ材が接続される。
【0020】
[加速度スイッチの動作]
本発明における加速度スイッチ1の動作原理は、いわゆる接触式タイプであって、加速度スイッチ1に振動または加速度が加わった場合に、電位差を有する二つの部位が接触し、電気的に導通したことによって、加速度を検知するものである。具体的な動作を以下のように例示して説明する。
【0021】
以下、上記の異なる二つの部位における電位は、どちらの部位がどちらの電位でも構わないが、例えば対向電極3における電位をGND(低電圧側、検出側)とし、錘13における電位をVdd(高電圧側、供給側)として説明する。
【0022】
まず、対向電極3は、図11における図面上側および下側を第一基板9および第二基板10によって固定されている。よって、対向電極3は、加速度スイッチ1に与えられた加速度によっては変位しない。また上述の通り、対向電極3には中心貫通電極8が接続されており、対向電極3は中心貫通電極8を介して加速度スイッチ1の外部に位置する図示しない回路基板からGND電位を与えられている。
【0023】
次に、錘13は、周辺部2を基礎として梁12によってのみ支持されており、図11に示すように図面上側および下側を第一基板9および第二基板10によって固定されていない。さらに、錘13を支持する梁12は錘13の外周を略一周し弾性力を有するように周辺部2に固定されている。よって、錘13は、加速度スイッチ1に与えられた加速度によって変位する。また上述の通り、錘13には第一貫通電極7が接続されており、錘13は第一貫通電極7を介して加速度スイッチ1の外部に位置する図示しない回路基板からVdd電位を与えられている。
【0024】
ここで、加速度スイッチ1に所定の加速度が与えられた場合を検討する。この場合、対向電極3は変位しないため、錘13のみが変位することになる。そして、錘13が対向電極3と錘13の間の空隙を移動するほど、加速度スイッチ1に与えられた加速度が大きかった場合は、錘13と対向電極3は接触する。なお、錘13と対向電極3の向かい合った表面には、それぞれ第一貫通電極7および中心貫通電極8に電気的に接続された電極が形成されている。よって、錘13と対向電極3が接触によって、錘13側から対向電極3側に向けて電流が流れる。この電流は、第一貫通電極7と中心貫通電極8から個別に配線が接続されるとともに図示しない外部の回路基板上に位置する検知部によって検知され、同じく回路基板上に位置する制御部が検知部からの検知信号を受け取り、加速度スイッチ1に所定値以上の加速度が与えられたことを判断する。
【0025】
なお、本発明において、梁12の一端12aと他端12bが接近しすぎると、錘13と対向電極3が接触するより先に一端12aと他端12bが接触する。この場合、水平方向に一定以上の振動・加速度が加わった場合でも加速度スイッチで振動を検出しない現象が発生する。そこで、梁の周辺部2側の一端12aと錘13側の他端12bとの間隔(距離)を、錘13と対向電極3との間隔(距離)以上確保することにより、一定の振動以上で錘13と対向電極3を確実に接触するように構成する。
【0026】
また、本発明において、中間基板の単結晶シリコンは、周辺部2から梁12、錘13を介して対向電極3への電気的な導通を取るため、低抵抗シリコン等を使用することも可能である。また、第一貫通電極7と中心貫通電極8は、第一基板9に金などの導体を埋め込むことにより第一基板9を貫通するように形成することが可能である。さらに、第一基板9、中心基板および第二基板10は、陽極接合などの方法により、互いに接合することが可能である。そして、この説明においては、梁12を一本梁であるように説明したが、必要に応じて複数の梁を有するように構成することも可能である。
【0027】
本発明に係る加速度スイッチ1を、電子デバイスの起動用スイッチとして使用することにより、振動を検出することが可能となる電子デバイスが実現できる。この電子デバイスは、これまで説明した加速度スイッチ1と接続され、加速度スイッチ1の第一貫通電極7と中心貫通電極8を介して、加速度スイッチ1に加わる振動を検出する。これにより、振動を検出したときに自らを起動し、振動を検出しないときに自らを停止(オフ)もしくは休止状態に維持、もしくは起動(オン)状態から停止もしくは休止状態に移行することができるので、無駄なバッテリーの使用を制限することができる。
【0028】
加速度スイッチ1の感度は、錘13の変位量に比例し、錘13と対向電極3との距離である電極間隔に反比例する。仮に加速度スイッチ1に1Gの加速度が加わったときに錘13の変位量が10μmの場合、錘13と対向電極3の電極間隔を10μmに設定する。これにより、対向電極3と錘13が接触して電気的に導通し、最終的に加速度スイッチ1に接続された電子デバイスが接触信号として検出する。この電極間隔10μmの加速度スイッチ1は、感度1Gの加速度スイッチとなる。また、電極間隔を5μmに設定することにより、錘13は半分の変位量、すなわち半分の加速度の0.5Gでスイッチが入る。すなわち、この電極間隔5μmの加速度スイッチ1は感度0.5Gの加速度スイッチとなる。このように、電極間隔は感度を決める重要な要素であり、電極間隔をより短く設定することにより、加速度スイッチ1の感度を高めることができる。
【0029】
錘13は、中心基板であるシリコン基板の厚みをそのまま錘13の厚みとすると作製が容易であり、またシリコン基板自体も厚い方が錘の変位量が多くなり、加速度スイッチ1の感度を高めることができる。一方、シリコン基板を厚くすると、ドライエッチング処理の制約で、加速度スイッチ1の各部を形成するエッチング処理時間が長くなる問題がある。このシリコンのエッチングには、ドライエッチングの一種であるボッシュプロセスを適用することにより、厚いシリコン基板でも短時間にエッチング処理を終了させることが可能である。しかし、シリコン基板が厚すぎる場合はボッシュプロセスを適用してもシリコンエッチングの処理時間が長くなるため、製造コストが上昇するとともに、エッチング可能なアスペクト比の限界から、錘13の寸法、形状の制御が困難となる。したがって、シリコン基板の厚みは500μm以下であることが望ましい。通常はシリコン基板の厚みを350μm程度に設定する。
【0030】
また、加速度スイッチ1の周辺部2側の一端12aは、陽極接合等に使用する際に必要となる接合用の領域でもある。この領域の条件として、接合用ののりしろを外形寸法2mm□の加速度スイッチ1の場合は20%程度、すなわち片側200μm程度、チップ両サイドを合計すると400μm程度の領域を確保する必要がある。したがって、錘13及び錘13の周囲に配置される梁12の外周までの直径寸法は1600μm程度となる。ここでは、梁12の幅を5〜10μm程度とし、梁12と錘13、及び梁12と周辺部2との隙間も確保する必要があるため、錘13の外側の寸法は1550μm程度となる。
【0031】
錘13と対向電極3の電極間隔に関しても、製造面の制約がある。錘13と対向電極3の電極間の隙間を形成するためのシリコンエッチングプロセスとして、ボッシュプロセスを適用すると、電極間隔の精度で感度が大きく変化するため、より高精度なエッチングを行う必要がある。電極間隔の寸法をより短く形成すると、サイドエッチングやスキャロッピングなどの現象により、電極間隔の寸法精度が感度に影響するようになる。したがって、加速度スイッチ1の製造時の再現性や精度を考慮すると、電極間隔1μm程度が現実的な最小値となり、20μm程度が現実的な最大値となる。
【0032】
また、梁12の寸法に関する製造面の制約についても、電極間隔と同様にシリコンエッチングプロセスの制約を受ける。前記の電極間隔である隙間の作製条件と同様に、ボッシュプロセスを使用する場合、シリコン厚:350μmの条件で梁幅1μm程度に設定することも可能であるが、この梁に関しても、製造上の再現性や精度等の制約により、梁幅4μm程度が現実的な最小値となる。
【0033】
なお、梁厚に関しては、SOI層を含むSOIウエハを中間基板として使用すれば、この活性層の厚みをそのまま梁12の厚みとして作製できるため、製造の再現性や精度等による作製可能な寸法の制約が少なくなるとともに、一定の寸法精度も確保することもできる。ただし、加速度スイッチ1の落下時を想定した場合の耐衝撃性を考慮すると、梁厚を極端に薄く作製することは避ける必要があるため、5μm程度が現実的な梁厚の最小値となる。
【0034】
[実施形態1]
ここで、上記の加速度スイッチ1を回路基板に実装する場合を検討する。
本実施形態1における加速度スイッチ1を図1に示す。図1(a)は加速度スイッチ1の正面模式図であり、図1(b)は図1(a)におけるAA断面の加速度スイッチ1の断面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態1における加速度スイッチ1は、第一基板9と第二基板10に挟まれた周辺部2が最も外側に位置し、周辺部2の内部には空隙が設けられ、空隙の略中心に中心体(対向電極)3が配置されている。中心体3は、周辺部2と同様に、第一基板9と第二基板10に固定されている。
【0036】
また、第一基板9は、周辺部2に達する第一貫通電極7aおよび第二貫通電極7bを有し、中心体3に達する中心貫通電極8を有している。そして、第一貫通電極7aは第一バンプ5aに接続され、第二貫通電極7bは第二バンプ5bに接続され、中心貫通電極8は中心バンプ6に接続されている。さらに、第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび中心バンプ6は、図示しない配線や回路素子を有する回路基板4に固定されている。
【0037】
つまり、本実施形態1における加速度スイッチ1は、周辺部2に貫通電極が複数設け、それぞれバンプによって回路基板4に接続固定される構成を採用した。これによって、加速度スイッチ1は、3つのバンプによって回路基板4に固定されている。さらに、第一バンプ5aは−X方向と−Y方向の間、第二バンプ5bは+X方向と−Y方向の間に配置した。そして、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bの位置は、中心バンプ6を中心として90°ずれて配置している。
【0038】
このような構成を採用したことによって、チップマウンタで加速度スイッチ1を回路基板4上に配置した場合、三点支持なので安定な状態で回路基板4上に置くことができる。この状態で、リフロー炉を通し実装すると、位置ずれ等も起こらず回路基板4に対して水平に加速度スイッチ1を実装することができる。このため、本実施形態1における加速度スイッチ1は、周辺部2に関連する第一バンプ5aおよび第二バンプ5bと、中心体3に関連する中心バンプ6の三点で回路基板4に固定される。よって、加速度スイッチ1は回路基板4に対して平行に配置することができる。つまり、従来は回路基板を水平に配置したとしても、加速度スイッチが回路基板と平行でないことがあったが、本実施形態1はそのような問題を解決するものである。
【0039】
なお、図1では省略して記載していないが、梁12の一端12aの配置について、本実施形態1における第一バンプ5aおよび第二バンプ5bのちょうど間、図1(a)における−Y方向の周辺部2に一端12aを配置することが可能である。このようにすることで、錘13を支持する一端12aの付近に第一バンプ5aおよび第二バンプ5bを配置することができるため、加速度スイッチ1の錘13の配置を安定させることができる。
【0040】
なお、図1(a)では各バンプを描いているが、これは加速度スイッチ1におけるバンプの位置を明確にするために描いたものであって、加速度スイッチ1の正面(図1(b)における図面上側の面)にバンプが形成されているのではない。また、図1(b)は加速度スイッチ1のAA断面図であるが、AA断面を断面に対して垂直に見た図ではなく、図1(a)における−Y方向から加速度スイッチ1を見た断面図である。以下の断面図においては、図1と同様に取り扱う。
【0041】
[実施形態2]
本実施形態2における加速度スイッチ1を図2に示す。図2(a)は加速度スイッチ1の正面模式図であり、図2(b)は図2(a)におけるBB断面の加速度スイッチ1の断面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態2が有する実施形態1との差異は、第二バンプ5bの配置に特徴がある。よって、以下、特に実施形態1との差異を記載し、実施形態1と同様の構成については、簡略して記載する。
【0042】
図2に示すように、本実施形態2における加速度スイッチ1は、第一基板9と第二基板10に挟まれた周辺部2が最も外側に位置し、略中心に中心体(対向電極)3が配置されている。中心体3は、周辺部2と同様に、第一基板9と第二基板10に固定されている。
【0043】
また、第一基板9は、周辺部2に達する第一貫通電極7aおよび第二貫通電極7bを有し、中心体3に達する中心貫通電極8を有している。そして、第一貫通電極7aは第一バンプ5aに接続され、第二貫通電極7bは第二バンプ5bに接続され、中心貫通電極8は中心バンプ6に接続されている。さらに、第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび中心バンプ6は、図示しない配線や回路素子を有する回路基板4に固定されている。つまり、本実施形態2における加速度スイッチ1は、周辺部2に貫通電極が複数設け、それぞれバンプによって回路基板4に接続固定される構成を採用した。これによって、本実施形態2における加速度スイッチ1は、実施形態1と同様の効果を有する。
【0044】
本実施形態2における加速度スイッチ1の特徴は、実施形態1と比較して第二バンプ5bの位置にある。本実施形態2における加速度スイッチ1では、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bの位置は、中心バンプ6を中心として135°ずれて配置している。
【0045】
このような構成を採用したことによって、第一バンプ5aと第二バンプ5bが互いに離間して配置することができる。よって、周辺部2あるいは第一基板9を広範囲に渡って回路基板4に支持することができ、結果として、加速度スイッチ1を回路基板4に強固に保持することができる。ついには、加速度スイッチ1が回路基板4に対して平行に設置することが可能である。
【0046】
[実施形態3および実施形態4]
本実施形態3および本実施形態4における加速度スイッチ1を図3に示す。図3(a)は本実施形態3における加速度スイッチ1の正面模式図であり、図3(b)は本実施形態4における加速度スイッチ1の正面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態3,4が有する実施形態1、2との差異は、第二バンプ5bの配置に特徴がある。よって、以下、特に実施形態1、2との差異を記載し、実施形態1、2と同様の構成については、簡略して記載する。
【0047】
本実施形態3,4における加速度スイッチ1の特徴は、実施形態1、2と比較して第二バンプ5bの位置にある。本実施形態3における加速度スイッチ1では、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bの位置は、中心バンプ6を中心として45°ずれて配置している。本実施形態4における加速度スイッチ1では、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bの位置は、中心バンプ6を中心として60°ずれて配置している。
【0048】
このような構成を採用したことによって、第一バンプ5aと第二バンプ5bが互いに近接して配置することができる。よって、回路基板4上において、第一バンプ5aと第二バンプ5bから引き出す配線も近接して配置することができる。つまり、回路基板4において必要な配線領域を狭くすることができる。そのため、回路基板4の全体の大きさを小さくすることが可能である。
【0049】
また、実施形態1乃至4においては、上述の通り、中心バンプ6を含む総バンプ数が3個であり、加速度スイッチ1を回路基板4に安定して配置することができる点が共通している。さらに、この実施形態1乃至4においては、周辺部2に関連する第一バンプ5aと第二バンプ5bから引き出される回路基板4上の配線にとって、たいへん有利な構成である。つまり、例えば図1(a)において、第一バンプ5aと第二バンプ5bから引き出される回路基板4上の配線を−Y方向に配置し、中心バンプ6から引き出される回路基板4上の配線を+Y方向に配置することが可能である。このように、回路基板4上の配線を互いに離間して設けることができるので、互いの配線が混線することを防止することができるし、回路素子の配置において設計上の自由度が高まり、相当なメリットが期待される。
【0050】
また、実施形態1乃至4においては、バンプ材の位置について、中心バンプ6を中心として90°、135°、45°および60°を例示したが、他の度数を排除するような意味はなく、例えば180°にすることも可能である。この場合は、対角線上に第一バンプ5a、中心バンプ6および第二バンプ5bが配列されることになり、対角線上で第一バンプ5aと第二バンプ5bが配置されているので、より強固に加速度スイッチ1を回路基板4に設置することができる。
【0051】
[実施形態5]
本実施形態5における加速度スイッチ1を図4に示す。図4(a)は加速度スイッチ1の正面模式図であり、図4(b)は図4(a)におけるCC断面の加速度スイッチ1の断面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態5が有する実施形態1乃至4との差異は、第三バンプ5cを設けた点に特徴がある。よって、以下、特に実施形態1乃至4との差異を記載し、実施形態1乃至4と同様の構成については、簡略して記載する。
【0052】
図4に示すように、本実施形態5における加速度スイッチ1は、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bに加えて、第三バンプ5cを設けた点に特徴がある。第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cは、それぞれ周辺部2と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材であり、中心バンプ6のみが対向電極3と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材である。つまり、バンプ材の総数は4個である点が実施形態1乃至4との差異であり、実施形態1乃至4と比較して、周辺部2に関連するバンプ材を1個増加した形態となっている。
【0053】
各バンプ材の配置について、第一バンプ5aは、中心バンプ6を中心として−X方向と+Y方向から互いに45°傾斜した位置に配置している。第二バンプ5bは、中心バンプ6から+X方向に離れた位置に配置している。第三バンプ5cは、中心バンプ6を中心として−X方向と−Y方向から互いに45°傾斜した位置に配置している。言い換えると、第一バンプ5aと第二バンプ5b、および第二バンプ5bと第三バンプ5cは中心バンプ6を中心として135°傾斜した位置にそれぞれ位置し、第三バンプ5cと第一バンプ5aは中心バンプ6を中心として90°傾斜した位置に位置している。
【0054】
このような構成を採用したことによって、加速度スイッチ1をより安定して回路基板4に設置することができる。つまり、実施形態1乃至4が3点支持であるのに対し、本実施形態5は4点支持としたため、本実施形態5における加速度スイッチ1は回路基板4に対してより確実に平行に設置することが可能である。
【0055】
[実施形態6]
本実施形態6における加速度スイッチ1を図5に示す。図5(a)は加速度スイッチ1の正面模式図であり、図5(b)は図5(a)におけるDD断面の加速度スイッチ1の断面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態6が有する実施形態5との差異は、3つのバンプ材の位置に特徴がある。よって、以下、特に実施形態5との差異を記載し、実施形態5と同様の構成については、簡略して記載する。
【0056】
図5に示すように、本実施形態6における加速度スイッチ1は、第5実施形態と同様に、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bに加えて、第三バンプ5cを設けている。第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cは、それぞれ周辺部2と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材であり、中心バンプ6のみが対向電極3と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材である。
【0057】
各バンプ材の配置について、第一バンプ5aは、中心バンプ6を中心として−X方向と−Y方向から互いに45°傾斜した位置に配置している。第二バンプ5bは、中心バンプ6から−Y方向に離れた位置に配置している。第三バンプ5cは、中心バンプ6を中心として+X方向と−Y方向から互いに45°傾斜した位置に配置している。言い換えると、第一バンプ5aと第二バンプ5b、および第二バンプ5bと第三バンプ5cは中心バンプ6を中心として45°傾斜した位置にそれぞれ位置し、第三バンプ5cと第一バンプ5aは中心バンプ6を中心として90°傾斜した位置に位置している。
【0058】
このような構成を採用したことによって、周辺部2に関連する第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cを例えば−Y方向側に集中させることができる。つまり、同電位である第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cを加速度スイッチ1の一辺側に集中させることで、各バンプから引き出される配線の共通化も容易に実施することができる。さらに、第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cと電位が異なる中心バンプ6の配線を他辺側(例えば、+Y側)に引き出すことで、引き出した配線の短絡現象を防止することができる。つまり、4点支持であったとしても、引き出し配線が複雑な形状を必要としないという利点がある。
【0059】
[実施形態7および実施形態8]
本実施形態7および本実施形態8における加速度スイッチ1を図6に示す。図6(a)は本実施形態7における加速度スイッチ1の正面模式図であり、図6(b)は本実施形態8における加速度スイッチ1の正面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態7,8が有する実施形態6との差異は、各バンプの配置に特徴がある。よって、以下、特に実施形態6との差異を記載し、実施形態6と同様の構成については、簡略して記載する。
【0060】
図6に示すように、本実施形態7、8における加速度スイッチ1は、第6実施形態と同様に、第一バンプ5aおよび第二バンプ5bに加えて、第三バンプ5cを設けている。第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cは、それぞれ周辺部2と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材であり、中心バンプ6のみが対向電極3と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材である。
【0061】
各バンプ材の配置について、本実施形態7では、第一バンプ5aは、中心バンプ6から−X方向に離れた位置に配置している。第二バンプ5bは、中心バンプ6を中心として−X方向と−Y方向から互いに45°傾斜した位置に配置している。第三バンプ5cは、中心バンプ6から−Y方向に離れた位置に配置している。言い換えると、第一バンプ5aと第二バンプ5b、および第二バンプ5bと第三バンプ5cは中心バンプ6を中心として45°傾斜した位置にそれぞれ位置し、第三バンプ5cと第一バンプ5aは中心バンプ6を中心として90°傾斜した位置に位置している。
【0062】
本実施形態8では、第一バンプ5aは、中心バンプ6から−X方向に離れた位置に配置している。第二バンプ5bは、中心バンプ6から−Y方向に離れた位置に配置している。第三バンプ5cは、中心バンプ6から+X方向に離れた位置に配置している。言い換えると、第一バンプ5aと第二バンプ5b、および第二バンプ5bと第三バンプ5cは中心バンプ6を中心として90°傾斜した位置にそれぞれ位置し、第三バンプ5cと第一バンプ5aは中心バンプ6を中心として180°傾斜した位置に位置している。
【0063】
このような構成を採用したことによって、周辺部2に関連する第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cを例えば加速度スイッチ1の一辺側に限らずとも集中して配置することが可能である。さらに、本実施形態8では、第一バンプ5a、中心バンプ6および第三バンプ5cが一直線上に並んでいる形態であり、これに加えて第二バンプ5bが−Y方向に配置されている。よって、一直線X方向に垂直なY方向のバンプを有することで、より強固に加速度スイッチ1を回路基板4に設置することができるし、加速度スイッチ1の回路基板4に対する平行度も安定する。
【0064】
[実施形態9および実施形態10]
本実施形態9および本実施形態10における加速度スイッチ1を図7に示す。図7(a)は本実施形態9における加速度スイッチ1の正面模式図であり、図7(b)は本実施形態10における加速度スイッチ1の正面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態9,10が有する実施形態7,8との差異は、各バンプの配置に特徴がある。よって、以下、特に実施形態7,8との差異を記載し、実施形態7,8と同様の構成については、簡略して記載する。
【0065】
図7に示すように、本実施形態9,10における加速度スイッチ1は、第一バンプ5a、第二バンプ5bおよび第三バンプ5cに加えて、第四バンプ5dを設けている。第一バンプ5a、第二バンプ5b、第三バンプ5cおよび第四バンプ5dは、それぞれ周辺部2と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材であり、中心バンプ6のみが対向電極3と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材である。
【0066】
各バンプ材の配置について、特に限定しないが、例えば、互いに中心バンプ6を中心として、それぞれ90°傾斜した配置とすることができる。このような構成を採用したことによって、より強固に加速度スイッチ1を回路基板4に設置することができるし、加速度スイッチ1の回路基板4に対する平行度も安定する。
【0067】
[実施形態11]
本実施形態11における加速度スイッチ1を図8に示す。図8(a)は加速度スイッチ1の正面模式図であり、図8(b)は図8(a)におけるDD断面の加速度スイッチ1の断面模式図である。なお、簡単のために梁と錘は省略して記載する。本実施形態11が有する実施形態1との差異は、中心バンプの構成に特徴がある。よって、以下、特に実施形態1との差異を記載し、実施形態1と同様の構成については、簡略して記載する。
【0068】
図8に示すように、本実施形態11における加速度スイッチ1は、中心バンプ6が第一中心バンプ6aと第二中心バンプ6bに分かれて設けられている。第一バンプ5aおよび第二バンプ5bは、それぞれ周辺部2と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材であり、第一中心バンプ6aおよび第二中心バンプ6bが対向電極3と回路基板4とを第一基板9を介して接続するためのバンプ材である。
【0069】
第一中心バンプ6aと第二中心バンプ6bの配置について、第一中心バンプ6aは、対向電極3の中心から−X方向にずれて配置されている。第二中心バンプ6bは、対向電極3の中心から+X方向にずれて配置されている。
【0070】
このような構成を採用したことによって、加速度スイッチ1の中心に位置する対向電極3は第一基板9を介して、複数点で支持することができる。つまり、より強固に加速度スイッチ1を回路基板4に設置することができるし、加速度スイッチ1の回路基板4に対する平行度も安定する。
【0071】
また、図面には記載しないが、第一中心バンプ6aと第二中心バンプ6bに対応するように、対向電極3を分割することも可能である。分割は先に記したエッチングにより容易に実施することができる。例えば、図8に示した構成に基づき、対向電極3を−X側と+X側に分割することが可能である。また、対向電極3を−Y側と+Y側に分割することが可能である。さらに2分割に限らず、3分割、4分割と分割数を増加させることが可能である。4分割の場合は、−X側、+X側、−Y側および+Y側に分割を配当することによって、4方向に関して錘の移動方向を検知することが可能である。
【0072】
なお、以上の実施形態で複数のバンプ材を有する構成を記載したが、これらの構成の利点としては、周辺部2あるいは対向電極3から引き出す電気配線上の導通不良による不具合を防止することができる点が挙げられる。
【0073】
[実施形態12]
図9は、本実施形態12における加速度スイッチの実装に関する接続形式の一例を説明するための図である。図9(a)〜図9(d)までが途中の工程を示し、図9(e)は完成した状態を示している。実施形態1乃至11で示した構成と同じ構成については、図9で同じ符号を用いており、周辺部2、対向電極3、第二基板10および回路基板4は省略した。なお、本実施形態12は加速度信号処理装置の実装に関する接続形式の単なる一例に過ぎず、以下に記載した再配線層を構成する工程は必要に応じて削除したり、他の工程を追加したりすることが可能である。
【0074】
本実施形態12は、説明のモデルとして再配線層型のウエハレベルCSP (Chip Size Package)を使用する。なお、図9図1(b)などの模式的断面図と上下方向が逆さになるように示す。すなわち図9の図面上側に回路基板4が配置され、図面下側に周辺部2、対向電極3や第二基板10が配置されることになる。
【0075】
図9(a)に第一基板9と貫通電極8(7)を示し、第一工程である貫通電極形成工程を説明する。第一基板9は例えばガラスなどの絶縁素子によって構成されており、貫通電極8(7)は金、銅やアルミニウム金属などによって構成されている。貫通電極形成工程では、第一基板9に形成した所望の貫通孔に対し、不活性ガスプラズマによりアルミターゲットをスパッタリングし、第一基板9の表面にアルミ金属膜を形成する。なお、図9に示す貫通電極8(7)は、第一基板9の上下にその一部が飛び出た構成であるが、周辺部2、対向電極3および再配線層の配線(後述する再配線23)と電気的な接続がとれていれば構わず、必ずしも第一基板9の上下に飛び出た構成である必要はない。
【0076】
次に、図9(b)にパッシベーション膜20を示し、第二工程であるパッシベーション膜形成工程を説明する。パッシベーション膜20は、窒化シリコンや酸化シリコンなどによって構成されており、第一基板9の表面での機械的な保護及び吸湿などによる素子劣化の防止並びに絶縁の確保などの機能を持たせることが可能である。パッシベーション膜20は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法で第一基板9の全面に塗布されたのち、フォトレジストをマスクにエッチングされ、窓30が開口される。
【0077】
さらに、図9(c)に樹脂層21と樹脂コア22を示し、第三工程である保護樹脂形成工程を説明する。樹脂層21と樹脂コア22は、熱硬化性を有するエポキシ系の樹脂などによって構成されている。樹脂層21と樹脂コア22は、第一基板9を上下から覆う樹脂成型用の鋳型と樹脂塊を用い、熱を伴う圧延加工によってパッシベーション膜20の表面に積層される。樹脂層21の機能は、衝撃、温度や湿度などの不具合から加速度スイッチを保護する点にある。先に説明したパッシベーション膜20に加えて樹脂層21を用いることによって、これらの不具合からより効果的に加速度スイッチを保護することができる。なお、パッシベーション膜20の窓30と同様に、樹脂層21にも窓31が設けられていて、貫通電極8(7)はその一部が露出している。樹脂コア22は、例えば円錐台形状の形状よりなり、後述する再配線23を図面上側に引き上げるために形成される。樹脂層21と樹脂コア22は別工程によってそれぞれ形成されても構わない。
【0078】
そして、図9(d)に再配線23を示し、第四工程である再配線形成工程を説明する。再配線23は、金、銅やアルミニウム金属などによって構成されている。その形状は、樹脂層21と樹脂コア22の表面に堆積するように形成されていて、パッシベーション膜20の窓30と樹脂層21にも窓31を介し、貫通電極8(7)に接触し電気的な接続状態にある。その形成方法は、第一工程である貫通電極形成工程と同様であるため省略する。樹脂コア22の表面に堆積した再配線23は、樹脂層21の表面に堆積した再配線23よりも図面上側に突き出た配置となっている。
【0079】
最後に、図9(e)に封止樹脂24を示し、第五工程である封止樹脂形成工程を説明する。封止樹脂は、熱硬化性を有するエポキシ系の樹脂などによって構成されている。その形成方法は、第三工程である保護樹脂形成工程と同様であるため省略する。その形状は、樹脂コア22の影響で突き出た再配線23の頭頂部が外部に露出するように形成されている。この再配線23の頭頂部は、後に接続される回路基板4上に配置したバンプ6(5)と接続される。つまり、貫通電極8(7)は再配線23を介してその位置を変更し、自由な配線が可能となる。
【0080】
これによって、貫通電極8(7)は図9(e)に示したWの距離を図面右側に引き延ばすことができた。特に、貫通電極8は加速度スイッチのほぼ中心に配置されているため、加速度スイッチを回路基板4に配置する際に、上記の再配線層を介することで、実装上の利便性が向上する。
【0081】
さらに、ウエハレベルCSPは、半導体の製造工程において、チップを切断することなくウエハ状態のままでパッケージまでを行う手法である。つまり、ウエハを切断したチップ単体が既に配線の引き回しが完了したチップであるため、この実施形態12によれば、配線の引き回しを行う際に従来のワイヤボンディングなどで必要であった接着スペースが必要ない。よって、加速度信号処理装置の小型化、軽量化および高密度実装に効果的である。
【0082】
なお、先に述べたように、本実施形態12は他の実装方法を排除するものではない。他の実装方法として、最も単純な端子間のワイヤボンディングはもちろん、応力緩和型のウエハレベルCSPあるいは、DIP(Dual In−line Package)やQFP(Quad Flat Package)と呼ばれる「周辺端子配置型」の形態を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 加速度スイッチ
2 周辺部
3 対向電極
4 回路基板
5 バンプ
6 中心バンプ
7 貫通電極
8 中心貫通電極
9 第一基板
10 第二基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12