(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、基板の上に例えば抵抗やコンデンサ等の電子部品を搭載するためにチップマウンタと称される電子部品搭載装置が広く利用されている。電子部品搭載装置にはX−Y方向に移動自在のヘッドが備えられており、ヘッドにはZ軸方向移動自在、且つ、Z軸回りに回転自在のスライドシャフトが備えられている。スライドシャフトの下端には電子部品吸着ノズルが着脱自在に装着され、スライドシャフトを介して電子部品吸着ノズルに負圧を供給することにより電子部品吸着ノズルの下端において電子部品を真空吸着し、基板上の所定の位置に搭載するようになっている。搭載対象の電子部品には様々な形状のものが存在し、又、抵抗やコンデンサ等の小型の電子部品だけでなくCPUやコネクタ等の大型の電子部品も存在するため電子部品の形状や大きさに適した電子部品吸着ノズルを選択してヘッドのスライドシャフトに装着し電子部品の搭載を行うようにしている。
【0003】
電子部品吸着ノズルの交換はノズルストッカにおいて自動的に行われるようになっている。具体的には、電子部品吸着ノズルとスライドシャフトはクリック機構によって着脱されるようになっており、電子部品吸着ノズルの上方への移動を規制した状態でスライドシャフトを上昇させることにより電子部品吸着ノズルがスライドシャフトから取外され、又、電子部品吸着ノズルの下方への移動を規制した状態で電子部品吸着ノズルの上方からスライドシャフトを下降させることにより電子部品吸着ノズルがスライドシャフトに装着されるようになっている。より詳細には電子部品吸着ノズルにはフランジが備えられておりフランジよりも上側の部分の外周面には円周方向の係合溝が形成されている。一方、スライドシャフトの下端部にはこの係合溝に係合する係合部材が備えられており、係合部材はばね要素によって中心側(係合溝の側)に付勢されている。ノズルストッカには電子部品吸着ノズルを下方から支持して保持するように構成されたノズル保持部が水平方向に並んで複数備えられている。又、ノズル保持部の上方には水平面に平行な板状体で電子部品吸着ノズルのフランジよりも広い大開口部とフランジよりも狭い小開口部とが交互に並んだ構成の開口部を有するスライドプレートが備えられている。スライドプレートは各ノズル保持部の真上に大開口部が位置する開位置とノズル保持部の真上に小開口部が位置する閉位置との間で水平方向にスライドするようになっており、スライドプレートが開位置に位置する状態で上方から電子部品吸着ノズルがノズル保持部に向かって下降し電子部品吸着ノズルのフランジがスライドプレートの下方まで下降した後、スライドプレートが閉位置へ移動してスライドシャフトが上昇すると電子部品吸着ノズルはフランジにおいてスライドプレートによって上方への移動が阻止され、スライドシャフトから電子部品吸着ノズルが取り外されるようになっている。又、ノズル保持部に保持された電子部品吸着ノズルの上方から、電子部品吸着ノズルが装着されていないスライドシャフトを下降させることでスライドシャフトに電子部品吸着ノズルが装着されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このように搭載対象である電子部品に適した電子部品吸着ノズルをノズルストッカにおいてスライドシャフトに自動的に装着して電子部品の搭載を行うことにより信頼性が高い電子部品の搭載を実現することができる。
【0005】
ここで近年、電磁波の漏洩を防止するためのシールドケースを電子部品搭載装置によって基板上に搭載したいというニーズが高まっている。シールドケースの形状や大きさは様々であるが、典型的には例えば
図11に示されるシールドケース100のように、平面視(基板に設置された状態で基板に対して垂直な方向から見た場合)における形状が矩形又は矩形に近い薄い筐体である。シールドケースは、このような形状の輪郭に沿う側壁部を有しており、下面側(基板に当接する側)は完全に開口している。又、上面部も一部(場合によっては多くの部分)が開口していることがあり、筐体というよりもフレームのような形態である場合もある。又、シールドケースの側壁部や上面部は薄肉であることが多い。又、シールドケースの中にはCPUやコネクタ等の大型の電子部品よりも更に大型なものも存在する。このような形態のシールドケースをCPUなどの電子部品用の電子部品吸着ノズルで真空吸着して基板上に搭載した場合、電子部品吸着ノズルの先端部によってシールドケースに部分的に負荷が加わり、シールドケースが変形してしまうことがある。
【0006】
これに対し下面視の形状がH形であり、平行な2つの直線部が接近/離間自在であるように構成され、対角部に2つの吸着孔が形成された下端部を備える電子部品吸着ノズルが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、シールドケースは他の電子部品よりも著しく大きい場合があり、シールドケース用の電子部品吸着ノズルは他の電子部品用の電子部品吸着ノズルよりも著しく大きくなってしまう場合がある。このような場合、シールドケース用の電子部品吸着ノズルをノズルストッカに収容することが困難であり、シールドケース用の電子部品吸着ノズルを自動交換できないという問題がある。尚、
図12に示されるようにシールドケース用の大型の電子部品吸着ノズル10に対応するような大開口部と小開口部が形成されたスライドプレートを備えるノズルストッカを用いればシールドケース用の大型の電子部品吸着ノズル10の自動交換も可能であるが、ノズルストッカが著しく大型なものとなり、ノズルストッカを設置するために広いスペースを要するという問題がある。
【0009】
又、H形の下端部を備える電子部品吸着ノズルを用いても、シールドケースによっては変形が生じてしまうことがあった。尚、例えば電子部品吸着ノズルの下端部に多孔質体を備え、この多孔質体をシールドケースの上面部に当接させると共に多孔質体を介してシールドケースの上面部に負圧を供給する手法も考えられる。このように多孔質体を用いることでシールドケースの変形を防止しつつシールドケースを真空吸着することが期待されるが、シールドケースの上面部に開口部がある場合、多孔質体は開口部から空気を吸い込むことになる。即ち、エアリークが生じることになる。従って、充分な吸着力が得られずシールドケースが電子部品吸着ノズルから不適切に落下してしまう可能性がある。
【0010】
本発明は、以上の問題点に鑑みてなされたものであって、シールドケース用の電子部品吸着ノズルの自動交換が可能で設置スペースの節約に寄与するノズルストッカ、及びシールドケースの変形を防止しつつシールドケースを確実に真空吸着できる電子部品吸着ノズルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、電子部品吸着ノズルの自動交換のために電子部品搭載装置に備えられるノズルストッカであって、電子部品吸着ノズルを下方から支持して保持するように構成され水平方向に所定の間隔で並んで設置された少なくとも一対のノズル保持部と、水平面に平行な板状体でノズル保持部の上方に一対のノズル保持部が並ぶ方向にスライド可能であるように設置され、スライド方向の両側の端部に電子部品吸着ノズルにおけるフランジよりも上の部分が上下方向に挿通可能、且つ、フランジの上下方向の挿通を阻止する形状の一対の切欠きが対称的に形成されたスライドプレートと、を備え、スライドプレートの一対の切欠きの一方の切欠きが一対のノズル保持部の一方のノズル保持部の真上に位置する状態で一方のノズル保持部の真上における電子部品吸着ノズルの上下動がスライドプレートによって規制され、且つ、他方のノズル保持部の真上からはスライドプレートが一方のノズル保持部の側に離れて他方のノズル保持部の真上における電子部品吸着ノズルの上下動が自在であるように構成されたノズルストッカにより上記課題を解決したものである。
【0012】
このノズルストッカは、
図12に示されるような、スライドプレートの小開口部において電子部品吸着ノズルの上下動が規制され、又、大開口部において電子部品吸着ノズルの上下動が自在である従来のノズルストッカのような構成ではなく、スライドプレートの一対の切欠きの一方の切欠きが一対のノズル保持部の一方のノズル保持部の真上に位置する状態で一方のノズル保持部の真上における電子部品吸着ノズルの上下動がスライドプレートによって規制され、且つ、他方のノズル保持部の真上からはスライドプレートが一方のノズル保持部の側に離れて他方のノズル保持部の真上における電子部品吸着ノズルの上下動が自在であるように構成されているので、シールドケース用の大型の電子部品吸着ノズルに対応する大開口部と小開口部とが交互に並んだ
図12に示されるような構成のスライドプレートを備えるノズルストッカに比べてノズル保持部の間隔を小さくでき、スライドプレートを小さくすることができる。又、ノズル保持部を超えてスライドプレートがスライドすることがない。従って、ノズルストッカの設置スペースが小さくて足りる。
【0013】
又、本発明は、電子部品搭載装置に備えられ、下端部において電子部品を真空吸着するように構成された電子部品吸着ノズルであって、下端部は、真空吸着対象のシールドケースの輪郭を包含する形状の下面を有し、下面におけるシールドケースの上面部の非開口部位に対応する位置に複数の吸着孔が形成され、下面における少なくともシールドケースの輪郭の内側に対応する部分は吸着孔を除いてシールドケースの上面部の非開口部位と接する形状である電子部品吸着ノズルにより上記課題を解決したものである。
【0014】
この電子部品吸着ノズルは、下端部の下面における少なくともシールドケースの輪郭の内側に対応する部分が吸着孔を除いてシールドケースの上面部の非開口部位と接する形状であるので、シールドケースは上面部の非開口部位のほぼ全面が電子部品吸着ノズルの下端部の下面に当接した状態で電子部品吸着ノズルに真空吸着される。又、電子部品吸着ノズルの下端部の下面におけるシールドケースの上面部の非開口部位に対応する位置に複数の吸着孔が形成されているのでシールドケースはバランスよく真空吸着されると共にエアリークも生じにくい。従って、充分な吸着力が確実に得られシールドケースの変形を防止しつつシールドケースを確実に真空吸着できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、シールドケース用の電子部品吸着ノズルの自動交換が可能で設置スペースの節約に寄与するノズルストッカ、及びシールドケースの変形を防止しつつシールドケースを確実に真空吸着できる電子部品吸着ノズルを実現できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。本実施形態は前記
図11に示されるシールドケース100のようなシールドケースを基板の上に搭載できるようにした電子部品搭載装置に関し、
図1〜4に示されるような下端部においてシールドケース100を真空吸着するように構成された電子部品吸着ノズル10、及び電子部品吸着ノズル10の自動交換のために電子部品搭載装置に備えられる
図6〜9に示されるようなノズルストッカ50に特徴を有している。他の構成については本実施形態の理解のために特に重要とは思われないため説明を適宜省略する。
【0018】
電子部品吸着ノズル10は、下端部12が、真空吸着対象のシールドケース100の輪郭を包含する形状の下面14を有し、下面14におけるシールドケース100の上面部の非開口部位に対応する位置に複数(本実施形態では2つ)の吸着孔16が形成されている。又、下面14におけるシールドケース100の輪郭の内側に対応する部分は吸着孔16を除いてシールドケース100の上面部の非開口部位と接する形状である。
図5に電子部品吸着ノズル10の下端部12の下面14の形状とシールドケース100の形状を重ねて示す。尚、本実施形態ではシールドケース100の上面部の非開口部位は平坦であり電子部品吸着ノズル10の下端部12の下面14も平坦であるが、
図10に示されるシールドケース100’のように上面部の非開口部位が段差を有する形状である場合もある。このような場合は
図10に示されるように電子部品吸着ノズルの下端部の下面14’もシールドケース100’の上面部の非開口部位の段差に対応した段差を有する形状として、電子部品吸着ノズルの下端部の下面14’におけるシールドケース100’の輪郭の内側に対応する部分が吸着孔を除いてシールドケース100’の上面部の非開口部位と接するようにすればよい。尚、本出願書類において「シールドケースの輪郭を包含する形状」とは、シールドケースの輪郭と輪郭が一致する形状、シールドケースの輪郭よりも一回り(例えば数mm程度)大きい形状、シールドケースの輪郭と相似のシールドケースの輪郭よりも大きい形状、例えば正方形や長方形(角部にRやCがあってもよい)、円形、楕円形のようなシールドケースの輪郭とは異なる形状でシールドケースの輪郭を包含するようなシールドケースの輪郭よりも広い形状を含む意義で用いる。
【0019】
下端部12は下面14を有するゴム製の下部12Aと下部12Aを支持する金属製の上部12Bとを有する構成であり、下部12Aに複数の吸着孔16が形成されている。尚、複数の吸着孔16はシールドケース100の重心に対して対称的な位置、又はこれに近い位置に形成されていることが好ましい。又、複数の吸着孔16はシールドケース100の上面部の非開口部位に対応する領域でできるだけ相互間の間隔が広くなるように形成されていることが好ましい。
【0020】
下部12Aの厚さは例えば1mmである。又、下部12Aの材料は例えば導電性のウレタンゴムである。下部12Aは上面において上部12Bの下面に接着剤によって接着されている。吸着孔16は下部12Aを垂直方向に貫通している。
【0021】
上部12Bの材料は例えば鋼材、鋳鉄、アルミニウム、真鍮である。上部12Bには中心部の孔から下部12Aの複数の吸着孔16に連通する複数(本実施形態では2つ)の負圧供給孔18が形成されている。各負圧供給孔18は上部12Bの下面における下部12Aの吸着孔16に対応する位置から上方の途中の位置まで形成された垂直孔と垂直孔から中心部まで形成された水平孔とで構成されている。尚、水平孔を機械加工によって上部12Bの側面から中心部に向かってドリル等を進行させて形成する場合、形成された孔の外側の端部(上部12Bの側面に開口する部分)はプラグ等で閉塞すればよい。上部12Bの中心部の孔は電子部品吸着ノズル10の上端まで連通している。
【0022】
又、電子部品吸着ノズル10は上下方向の中央近傍に円形のフランジ20を備えている。又、電子部品吸着ノズル10の上端部には円周方向の係合溝22が形成されている。
【0023】
ノズルストッカ50は、電子部品吸着ノズル10を下方から支持して保持するように構成され、水平方向に所定の間隔で並んで設置された複数対(本実施形態では4対)のノズル保持部52A及び52Bと、水平面に平行な板状体でノズル保持部52A及び52Bの上方に各対のノズル保持部52A及び52Bが並ぶ方向にスライド可能であるように設置され、スライド方向の両側の端部に各対のノズル保持部52A及び52Bに対応して電子部品吸着ノズル10におけるフランジ20よりも上の部分が上下方向に挿通可能、且つ、フランジ20の上下方向の挿通を阻止する形状の複数対の切欠き54A及び54Bが対称的に形成されたスライドプレート56と、を備えている。
【0024】
ノズル保持部52A及び52Bは、スライドプレート56のスライド方向と垂直な方向に並んで複数対備えられ、これらスライド方向と垂直な方向に並ぶ複数対のノズル保持部52A及び52Bに対応してスライドプレート56にも切欠き54A及び54Bがスライド方向と垂直な方向に並んで複数対形成されている。
【0025】
又、ノズル保持部52A及び52Bは、スライドプレート56のスライド方向にも並んで複数対備えられ、これらスライド方向にも並ぶ複数対のノズル保持部52A及び52Bに対応してスライドプレート56もスライド方向に並んで複数(本実施形態では2つ)備えられ、これらスライドプレート56は一体でスライドするように構成されている。
【0026】
ノズルストッカ50は、スライドプレート56の各対の切欠き54A及び54Bの一方の切欠き54Bが各対のノズル保持部52A及び52Bの一方のノズル保持部52Bの真上に位置する状態(
図6〜8の状態)で、ノズル保持部52Bの真上における電子部品吸着ノズル10の上下動がスライドプレート56によって規制され、且つ、他方のノズル保持部52Aの真上からはスライドプレート56がノズル保持部52Bの側に離れてノズル保持部52Aの真上における電子部品吸着ノズル10の上下動が可能であるように構成されている。
【0027】
又、スライドプレート56の各対の切欠き54A及び54Bの一方の切欠き54Aが各対のノズル保持部52A及び52Bの一方のノズル保持部52Aの真上に位置する状態(
図9の状態)では、ノズル保持部52Aの真上における電子部品吸着ノズル10の上下動がスライドプレート56によって規制され、且つ、他方のノズル保持部52Bの真上からはスライドプレート56がノズル保持部52Aの側に離れてノズル保持部52Bの真上における電子部品吸着ノズル10の上下動が自在であるように構成されている。
【0028】
ノズル保持部52A及び52Bは、電子部品吸着ノズル10の下端部12の下面14に当接して電子部品吸着ノズル10を下方から支持する板状体の下部と、この下部の上に設置された板状体で電子部品吸着ノズル10の下端部12を囲む孔が形成されて電子部品吸着ノズル10の水平方向の移動を規制する上部とを有して構成されている。
【0029】
2つのスライドプレート56は共通の板材の一部として形成されている。この共通の板材におけるスライド方向と垂直な方向の両側の端部にはスライド方向に長いガイド孔が形成されている。各ガイド孔にはそれぞれスライド方向に所定の間隔離れて設置された、上下方向に平行な2つの棒状のガイド部材が挿通しており、これらのガイド部材に案内されてスライドプレート56が一定の範囲でスライド可能となっている。尚、各スライドプレートが別々の板材で形成されると共に他の部材によって連結されて一体でスライドする構成であってもよい。切欠き54A及び54Bは(平面視において)奥側の半円形部分とスライド方向に平行な直線部分とで構成されている。半円形部分の直径及び直線部分の幅は、電子部品吸着ノズル10のフランジ20の直径よりも小さく、電子部品吸着ノズル10におけるフランジ20よりも上の部分の最大の幅(直径)よりも大きい。
【0030】
次に、電子部品吸着ノズル10及びノズルストッカ50の作用について説明する。まず電子部品吸着ノズル10の作用について説明する。電子部品吸着ノズル10は、下端部12の下面14におけるシールドケース100の輪郭の内側に対応する部分がシールドケース100の上面部の非開口部位のほぼ全面と接する形状であるので、シールドケース100は上面部のほぼ全面が電子部品吸着ノズル10の下端部12の下面14に当接した状態で電子部品吸着ノズル10に真空吸着される。又、電子部品吸着ノズル10の下端部12の下面14におけるシールドケース100の上面部の非開口部位に対応する位置には複数の吸着孔16が形成されているのでシールドケース100はバランスよく真空吸着されると共にエアリークも生じにくい。更に、下端部12はシールドケース100の上面部に接するゴム製の下部12Aを備えているので下面14とシールドケース100の上面部とが密着しやすくエアリークが一層生じにくくなっている。従って、充分な吸着力が確実に得られシールドケース100の変形を防止しつつシールドケース100を確実に真空吸着できる。
【0031】
次にノズルストッカ50の作用について説明する。まずノズルストッカ50によって電子部品搭載装置のヘッドのスライドシャフト(図示省略)から電子部品吸着ノズル10を取外す方法について説明する。例えば
図6〜8に示されるように、スライドプレート56の各対の切欠き54A及び54Bの一方の切欠き54Bが各対のノズル保持部52A及び52Bの一方のノズル保持部52Bの真上に位置する状態では他方のノズル保持部52Aの真上からはスライドプレート56がノズル保持部52Bの側に離れるのでノズル保持部52Aの真上において電子部品吸着ノズル10は上下動自在である。ノズル保持部52Aには電子部品吸着ノズル10は保持されていないものとする。この状態で、下端に電子部品吸着ノズル10が装着されたスライドシャフトをノズル保持部52Aの上方から下降させ、電子部品吸着ノズル10のフランジ20がスライドプレート56よりも低い位置まで下降したら下降を停止させる。次に、
図9に示されるように、スライドプレート56の各対の切欠き54A及び54Bの一方の切欠き54Aが各対のノズル保持部52A及び52Bの一方のノズル保持部52Aの真上に位置する状態になるようにスライドプレート56をスライドさせる。これによりノズル保持部52Aの真上における電子部品吸着ノズル10の上下動がスライドプレート56によって規制される。この状態でスライドシャフトを上昇させると電子部品吸着ノズル10も僅かに上昇するがフランジ20がスライドプレート56に当接すると電子部品吸着ノズル10の上昇は阻止される。スライドシャフトを更に上昇させると電子部品吸着ノズル10はスライドシャフトから取外されてノズル保持部52Aに保持される。これによりスライドシャフトから電子部品吸着ノズル10を取外す作業が完了する。
【0032】
次に、ノズルストッカ50によってスライドシャフトに電子部品吸着ノズル10を装着する方法について説明する。例えば
図6〜8に示される状態で、ノズル保持部52Aに保持された電子部品吸着ノズル10の上方から、電子部品吸着ノズルが装着されていないスライドシャフトを下降させることでスライドシャフトに電子部品吸着ノズル10が装着される。これらスライドシャフト及び電子部品吸着ノズル10をスライドプレート56よりも上方へ上昇させることで電子部品吸着ノズル10はノズルストッカ50から完全に解放されシールドケース100の搭載等を行うことができる。尚、
図9に示される状態で、ノズル保持部52Aに保持された電子部品吸着ノズル10の上方から、電子部品吸着ノズルが装着されていないスライドシャフトを下降させることでスライドシャフトに電子部品吸着ノズル10を装着し、その後
図6〜8に示される状態になるようにスライドプレート56をスライドさせてスライドシャフト及び電子部品吸着ノズル10をスライドプレート56よりも上方へ上昇させるようにしてもよい。
【0033】
このようにノズルストッカ50は、
図12に示されるような、スライドプレートの小開口部において電子部品吸着ノズルの上下動が規制され、又、大開口部において電子部品吸着ノズルの上下動が自在である従来のノズルストッカのような構成ではなく、スライドプレート50の一対の切欠き54A及び54Bの一方の切欠き54A(又は54B)が一対のノズル保持部52A及び52Bの一方のノズル保持部52A(又は52B)の真上に位置する状態で一方のノズル保持部52A(又は52B)の真上における電子部品吸着ノズル10の上下動がスライドプレート56によって規制され、且つ、他方のノズル保持部52B(又は52A)の真上からはスライドプレート56が一方のノズル保持部52A(又は52B)の側に離れて他方のノズル保持部52B(又は52A)の真上における電子部品吸着ノズル10の上下動が自在であるように構成されているので、シールドケース用の大型の電子部品吸着ノズル10に対応する大開口部と小開口部とが交互に並んだ
図12に示されるような構成のスライドプレートを備えるノズルストッカに比べてノズル保持部の間隔を小さくでき、スライドプレート56を小さい構成とすることができる。又、ノズル保持部52A及び52Bを超えてスライドプレート56がスライドすることがない。従ってノズルストッカ50の設置スペースは小さくて足りる。
【0034】
又、ノズル保持部52A及び52Bは、スライドプレート56のスライド方向と垂直な方向に並んで複数対備えられ、これら複数対のノズル保持部52A及び52Bに対応してスライドプレート56にも切欠き54A及び54Bがスライド方向と垂直な方向に並んで複数対形成されているので、それだけ多くの種類の電子部品吸着ノズルの収容や交換が可能である。又、電子部品搭載装置のヘッドに複数のスライドシャフトが所定のピッチで一列に並んで備えられている場合、複数のスライドシャフトのピッチと等しいピッチで複数対のノズル保持部52A及び52Bをスライドプレート56のスライド方向と垂直な方向に並べて設置し、スライドシャフトの列方向に対してスライドプレート56のスライド方向が垂直になるように電子部品搭載装置にノズルストッカ50を設置すればノズルストッカ50において複数のスライドシャフトに複数の電子部品吸着ノズルを同時に装着したり、又、複数のスライドシャフトから複数の電子部品吸着ノズルを同時に取外すことも可能である。
【0035】
又、ノズル保持部52A及び52Bは、スライドプレート56のスライド方向にも並んで複数対備えられ、これら複数対のノズル保持部52A及び52Bに対応してスライドプレート56もスライド方向に並んで複数備えられ、これら複数のスライドプレート56は一体でスライドするように構成されているので、この点でも多くの種類の電子部品吸着ノズルの収容や交換が可能となっている。
【0036】
尚、本実施形態では対をなすノズル保持部52A及び52Bは、スライドプレート56のスライド方向と垂直な方向にもスライド方向にも2列に並んで配置されているが、ニーズに応じて、対をなすノズル保持部52A及び52Bはスライドプレート56のスライド方向と垂直な方向及び/又はスライド方向に3列以上並んでいてもよい。又、スライド方向と垂直な方向又はスライド方向のいずれか一方の方向だけに複数対のノズル保持部52A及び52Bが並ぶ構成としてもよい。又、例えば、使用されるシールドケース用の電子部品吸着ノズルの種類が少ないような場合には、ノズル保持部52A及び52Bが一対だけ備えられる構成としてもよい。尚、いずれの場合もノズル保持部52A及び52Bの対の数と切欠きの対の数が一致するようにスライドプレートを構成すればよい。
【0037】
又、本実施形態において電子部品吸着ノズル10の下端部12はシールドケースの上面部に接するゴム製の下部12Aと金属製の上部12Bとを有してなる構成であるが、下端部の下面とシールドケースの上面部とが充分に密着しエアリークが防止又は充分に抑制されるのであれば、電子部品吸着ノズルの下端部はゴム製の下部を有しておらず金属のみからなる構成であってもよい。
【0038】
又、本実施形態では
図11に示されるシールドケース100や
図10に示されるシールドケース100’を想定した例が示されているが、シールドケース100、100’と形状や大きさが異なるシールドケースについても本発明は適用可能である。シールドケース100、100’と形状や大きさが異なるシールドケースの場合、そのシールドケースの形状や大きさに応じて電子部品吸着ノズルの下端部の下面の形状や、ノズルストッカの構成を適宜変更すればよい。