(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記測定デバイスが、前記中心通路を通じて前記少なくとも1つの特性を測定するように構成されていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
前記安定化エアナイフは、該安定化エアナイフからの空気の流れが前記板ガラスに対して下方に角度をなすように配向されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般に厚さ1mm以下の薄板ガラスの測定では、ガラスの特定の特性を測定する際、特に、ガラスが大型(例えば、約4m
2超)の場合、困難を生じさせる一定量の湾曲または反りを呈する可能性がある。この欠点を克服するため、まずガラスを平坦にしなければならない。従来、板ガラスの平坦化および安定化には、インライン経路から板を取り出し、板ガラスを精密石定盤に搬送し、その後、個々の板ガラスを吸引台まで吸引し、所望の測定を実施し、板ガラスを取り外し、その後、別の板ガラスにおいて同じ操作を実施することを含む。そのようなまとまりのない手法によって製造工程にかなりの時間と費用がかかる。板ガラスが製造ラインに沿って搬送されている間に板ガラスを測定する必要がある場合、大型薄板ガラスの計測における問題は悪化する。
【0006】
いくつかの製造工程では、板ガラスは、オーバーヘッドコンベヤの可動部材に板ガラスを固定することによって1つの位置から別の位置まで運搬されうる。最初に板ガラスを取り外して板ガラスを静止物体として測定台の上に配置することなく、板ガラスが移動している間に1つまたは複数の上述のキャラクタリゼーションを達成することができれば有利であろう。
【0007】
この目的のため、液晶ディスプレイデバイスにおける使用に適した板ガラスのような移動する板ガラスを、コンベヤ搬送台になお保持している間に板ガラスを拘束することによって精密計測を実施するための装置を開示する。装置のマテリアルハンドリング機能には、装置に入る板ガラスを非接触とするが、測定が実施されうる箇所まで拘束力が段階的に増加するような、直線式に配置された、エアナイフと圧力真空(PV)空気軸受とを含む。その後、板が装置から解放されるまで拘束力の段階的な減少が生じる。コンベヤ搬送台近辺の挟持点において板を拘束することなく板の動きを制限するため、この段階的な力の技法が板ガラスの移動する方向に、また、板の高さに沿って垂直上方に適用される。
【0008】
したがって、内部多孔質体部分の表面にある環状溝と、環状の溝に交差する複数の半径方向の溝とを含む環状の内部多孔質体部分であって、空気軸受の厚さ全体に延びる中心通路を画定する内部多孔質体部分と、内部多孔質体部分の周りに配置された外部多孔質体部分であって、外部多孔質体部分の表面に複数の連続的な溝を含む外部多孔質体部分と、を含み、外部多孔質体部分の各連続的な溝が複数の真空ポートを含む空気軸受を開示する。内部多孔質体部分の環状の溝および内部多孔質体部分の半径方向の溝は内部多孔質体部分の表面を複数の下位表面に分割し、複数の下位表面の下位表面は真空ポートを含む。好ましくは、複数の下位表面の各下位表面は真空ポートを含む。
【0009】
外部多孔質体部分は、好ましくは、弓形の外周を含む。好ましくは、外部多孔質体部分は、空気軸受が、環状の内部多孔質体部分と、内部多孔質体部分の周りに配置され、かつ内部多孔質体部分と同軸である環状の外部多孔質体部分とを含むような環状の外周を含む。いくつかの実施形態では、空気軸受は複数の内部多孔質体部分を含む。例えば、複数の内部多孔質体部分は水平軸線に沿って整列されてもよい。
【0010】
別の実施形態では、板ガラスが装置を通過して移動する際に板ガラスをキャラクタリゼーションするための装置を開示する。この装置は、環状の内部多孔質体部分と、内部多孔質体部分の周りに配置された外部多孔質体部分であって、空気軸受の厚さ全体に延びる中心通路を画定する内部多孔質体部分と、を含む空気軸受と、板ガラスの移動方向を基準として空気軸受の上流側に配置されている複数の安定化エアナイフと、板ガラスの少なくとも1つの特性を測定するための測定デバイスであって、空気軸受の中心通路と並んだ測定デバイスと、を含む。内部多孔質体部分はその表面にある環状の溝を含む。内部多孔質体部分は環状の溝に交差する複数の半径方向の溝をさらに含んでもよい。内部多孔質体部分の表面は真空ポートを含む。内部多孔質体部分が環状溝と複数の半径方向の溝とを含む場合、環状溝および半径方向の溝は内部多孔質体部分に複数の下位表面を画定する。好ましくは、各下位表面は真空ポートを含む。
【0011】
外部多孔質体部分は、複数の連続的な(すなわち閉じた)溝を含む。各連続的な溝は複数の真空ポートを含む。例えば、各連続的な溝は、環形、楕円形、長円形、または任意の他の閉じた連続的な形とすることができる。好ましくは、外部多孔質体部分の外周は弓形である。例えば、外部多孔質体部分の外周は環状であってもよい。いくつかの実施形態では、空気軸受は複数の内部多孔質体部分を含んでもよい。
【0012】
測定デバイスは、好ましくは、内部多孔質体部分によって画定された通路を通じて少なくとも1つの特性を測定する。
【0013】
安定化エアナイフは安定化エアナイフからの空気の流れが下方に角度をなすように配向されている。つまり、安定化エアナイフからの空気の流れは、好ましくは、空気の流れが板ガラスとともに鋭角を形成するように水平面に対して下方に案内される。例えば、空気の流れの方向は板ガラスに対して約15度〜約75度の範囲の角度を形成してもよい。好ましくは、安定化エアナイフは弓形の形状である。
【0014】
本実施形態による装置は、空気軸受の下流側に配置された、板ガラスを空気軸受から離れる方向に押すための位置決めエアナイフをさらに含んでもよい。
【0015】
さらに別の実施形態では、移動する板ガラスをキャラクタリゼーションする方法を説明する。この方法は、所定の経路に沿って第1の方向に板ガラスを移動するステップであって、板ガラスが、一対の対向する主表面と、底縁と、第1の方向に対する前縁とを含む、ステップと、板ガラスが第1の方向に移動する際に、少なくとも2つの安定化エアナイフ間に板ガラスを通すことにより、第1の方向に垂直な第2の方向における板ガラスの動きを減衰するステップと、板ガラスを環状の空気軸受と係合させるステップであって、環状の空気軸受が、内部多孔質体部分と、内部多孔質体部分の周りに配置された外部多孔質体部分とを含み、内部多孔質体部分がその中を通る中心通路を画定する、ステップと、板ガラスが第1の方向に移動する際に板ガラスの少なくとも1つの特性を測定するステップと、を含む。方法は、「V字」形のスロットを間に形成するように配置されたガイドアームを含む縁案内デバイスによって板ガラスの底縁を案内するステップをさらに含んでもよい。
【0016】
空気軸受の高さ、特に外部多孔質体部分の高さは板ガラスの高さの2分の1未満である。空気軸受は、板ガラスを測定する際、板ガラスの上2分の1が好ましくは空気軸受に隣接しないように配置される。空気軸受は、好ましくは、内部多孔質体部分からの所定の距離+/−15μm内に板ガラスを維持することが可能である。
【0017】
第1の内部多孔質体部分はその表面にある環状の溝を含む。内部多孔質体部分は、好ましくは、また、内部多孔質体部分の表面にある複数の半径方向の溝を含む。複数の半径方向の溝は環状の溝に交差している。
【0018】
空気軸受の外部多孔質体部分は、好ましくは、複数の同心の溝を含む。複数の同心の溝の各溝は複数の真空ポートを含む。
【0019】
さらに別の実施形態では、板ガラスを製造する方法を説明する。この方法は、溶融ガラスを形成するために融解炉においてバッチ材料を加熱するステップと、ガラスリボンを生成するために成形主要部の収束成形面上に溶融ガラスを流すステップと、ガラスリボンから板ガラスを切断するステップと、コンベヤから垂直方向に板ガラスを吊すステップであって、コンベヤは所定の経路に沿う第1の方向に板ガラスを移動するステップと、板ガラスが第1の方向に移動する際に少なくとも2つの安定化エアナイフ間に板ガラスを通すことにより第1の方向に垂直な第2の方向における板ガラスの動きを減衰するステップと、板ガラスを空気軸受と係合するステップであって、空気軸受が環状の内部多孔質体部分と、環状の内部多孔質体部分の周りに配置された外部多孔質体部分とを含み、環状の内部多孔質体部分がその中を通る中心通路を画定する、ステップと、板ガラスが第1の方向に移動する際に、板ガラスの少なくとも1つの特性を中心通路を通じて測定するステップと、を含む。外部多孔質体部分は、好ましくは、環状の外周などの、弓形の外周を含む。
【0020】
内部多孔質体部分は、その表面にある環状の溝を含み、好ましくは、環状の溝に交差する複数の半径方向の溝をさらに含む。外部多孔質体部分はその表面にある複数の連続的な溝を含む。
【0021】
方法は、空気軸受の前縁から離れる方向に板ガラスを移動するために第1の位置決めエアナイフを使用するステップをさらに含んでもよい。さらに任意選択的なステップでは、方法は、空気軸受に向かう方向に板ガラスを移動するために第2の位置決めエアナイフを使用するステップをさらに含んでもよい。さらに別の任意選択的なステップでは、方法は、板ガラスを空気軸受の後縁から離すために第3の位置決めエアナイフを使用するステップをさらに含んでもよい。
【0022】
少なくとも2つの安定化エアナイフの各安定化エアナイフは空気の流れを下方に案内する。少なくとも2つの安定化エアナイフの安定化エアナイフの先端は、任意選択的に安定化エアナイフの後端に対して下方に勾配していても、傾斜していてもよい。
【0023】
本発明のさらなる特徴および利点が以下の説明において示され、当業者にはこの説明からある程度明らかになるであろう。あるいは以下の詳細な説明、特許請求の範囲、ならびに添付図面を含む本明細書に記載した本発明の実施によって理解するであろう。
【0024】
前述の概略的な説明および以下の詳細な説明は本発明の実施の形態を示し、特許請求の範囲で規定される発明の本質および性質を理解するための概要または基礎を提供することを意図している。添付の図面は、発明のさらなる理解を提供するために含められ、明細書の一部を構成する。図面は発明のさまざまな実施形態を示し、説明とともに、発明の原理および動作を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下の詳細な説明においては、限定ではなく説明のため、具体的詳細を開示する実施形態例を明記して本発明の完全な理解を提供する。しかしながら、本開示から利益を得る当業者には、本発明がここで開示される具体的詳細とは異なる他の実施形態において実施されうることは明らかであろう。さらに、周知のデバイス、方法、および材料についての説明は、本発明の説明を不明瞭にしないよう省略されることがある。最後に、適用できる限り、同じ参照番号は同様の要素を示す。
【0027】
例えばフュージョンダウンドロー法のようなダウンドロー板ガラス製造法では、ガラスのリボンを形成するのに適した条件の粘度および延伸速度の下で粘性ガラス材料を下方に垂直に延伸することによって板ガラスが形成される。ガラスのリボンはリボンの最上端位置では粘性液体を含み、材料がガラス転移温度範囲を通過するにつれて粘性液体から固体ガラスリボンに遷移する。リボンの流下する底部部分が適切な温度および粘度に達すると、板ガラスがリボンから切断され、工程が継続される。板ガラスは連続的に流下するガラスリボンから切断される。
【0028】
例示的なフュージョンダウンドローガラス製造システム6を
図1に示す。
図1によれば、バッチ材料8を融解炉10に投入し、加熱して粘性溶融ガラス材料12を形成する。溶融ガラス材料12は、溶融ガラス材料から気泡が除去される精製部14内を搬送され、その後、撹拌装置16において攪拌され、溶融ガラス材料が均質化される。撹拌作業は、溶融ガラス材料の化学的濃度のばらつきをなくし、それによって最終ガラスの物理的特性および光学的特性のばらつきを防止しようとするものである。溶融ガラス材料が攪拌されると、それは受容容器18内を流れ、その後、成形主要部20に流れる。受容容器18は軽微な流れの変動を減衰することによりアキュムレータとして機能する。成形主要部20は、主要部の上部部分に開きょ22を有するセラミック主要部と、成形主要部の底部において結合する一対の収束外部成形面24とを含む。溶融ガラス材料は成形主要部の開きょからあふれ、成形主要部の収束成形面を、溶融ガラス材料の2つの別個の流れとして流下する。収束成形面が結合する位置において溶融ガラス材料の別個の流れが合流し、材料の1つの流れまたはリボン26を形成する。リボンはガラス転移温度範囲を降下するにつれて冷却され、固体ガラスリボンを形成する。この固体ガラスリボンから板ガラス28が切断線29に沿って切断される。
【0029】
融解炉10は、融解部と精製部との連結管30を通じて精製部14に連結され、かつ精製部14と流体連通している。精製部14は、精製部と撹拌装置との連結管32を通じて撹拌装置16に連結され、かつ撹拌装置16と流体連通している。撹拌装置16は、攪拌部と受容容器との管34を通じて受容容器18に連結され、かつ受容容器18と流体連通している。受容容器18は、下降管36を通じて成形主要部20および成形主要部入口38に連結され、かつ成形主要部20および成形主要部入口38と流体連通している。融解炉10は、通常、セラミックレンガなどのセラミック材料(例えば、アルミナまたはジルコニア)から形成されるが、溶融ガラス材料の搬送および加工に関わる構成要素は、通常、白金または白金ロジウム合金のような白金合金から形成される、したがって、融解部と精製部との連結管30、精製部14、精製部と撹拌装置との連結管32、撹拌装置16、撹拌装置と受容容器との管34、受容容器18、下降管36および成形主要部入口38は、通常、白金または白金ロジウム合金を含む。
【0030】
板ガラスは、ガラスリボン26から取り出された際に垂直に向く板として開始するため、板ガラスが、成形工程の下流側における製造工程の少なくとも一部内において搬送される際に垂直方向に維持されうる場合、取り扱いを減らすことが可能である。したがって、特定の製造工程において、板ガラスは、リボンから切断された後、上昇したコンベヤに取り付けられるとともに、それによって支持され、工程ラインの少なくとも一部を垂直方向に移動する。さらに、板を取り外し、板を取付具に配置し、板を処理し、板を再び取り付け、それを次の工程に搬送する代わりに、板ガラスが移動している間に後成形処理を実施することがより効率的である。この目的のため、板がリボンから切断された後および板ガラスが移動している際に板ガラスの特性を測定するための装置を本明細書中に開示する。測定される特性には、すじ、縞または厚みを含みうる。すじは、バルクガラスの組成不均質性に関連する。この組成不均質性は周期的なナノメートルスケールのトポグラフィー偏差につながるおそれがある。液晶ディスプレイ(LCD)分野においては、これら偏差が、ディスプレイパネル自体の周期的なセルギャップのばらつきにつながるおそれがあり、これがさらには、人間の知覚が良好に認識するコントラスト縞につながる。縞はLCDパネルに同様の歪みを引き起こすおそれがあるが、これは板ガラスを成形するために使用される主要部の流れ歪みに起因する。
図2によれば、装置40に入る前、板ガラスは、板ガラスがこの支持部から自由に垂下するように、板ガラスを板ガラスの上縁においてのみ固定することによって搬送される。
【0031】
上述の短い説明ではフュージョンダウンドロー板ガラス製造法に焦点をあてたが、本発明はフュージョンダウンドロー法に限定されるものではなく、スロットドロー法などの他の板ガラス製造法においても実施されうる。
【0032】
図2および
図3は、板ガラスの特性を測定するための装置40の例示的な実施形態を示す。
図2および
図3の両方に示すように、装置40は、環状の空気軸受44を直立する垂直方向に支持するフレーム42を含む。空気軸受44は、板ガラスなどの基板を空気軸受の表面から所定の距離に、かつ最大偏差内に維持するように設計された圧力真空デバイスである。この所定の距離は浮上高さと呼ばれる。浮上高さは空気軸受に対する基板の平衡位置を表す。板ガラスと空気軸受との間から1つまたは複数の真空ポートを通じて空気を抜き取るため、周囲空気圧力が基板を空気軸受に向かって押す。しかしながら、基板が空気軸受に向かって動くと、力が平衡する位置に基板が到達するまで、空気軸受の多孔質表面から放出される空気によって生成される、基板に対する力が増加する。したがって、基板は空気軸受によって捕捉かつ維持される。浮上高さは特定の名目的な浮上高さの近辺において多少の偏差を示す。本明細書では、真空ポートは、パイプ、チューブまたは気体の搬送用の他の構造などの通路と流体連通し、真空ポンプなどの真空源と連結されている、または連結されることを意図している空気軸受44の表面内の任意の開口部である。真空ポートは、例えば、空気軸受44内に配置された共通のプレナムを通じて、空気軸受44の外部にある共通のプレナムを通じて相互連結しても、真空を個々に供給してもよい。
【0033】
空気軸受44は主表面46を含む。主表面46は隣接する測定されるべき板ガラスに最も近い表面であり、以下により詳細に説明するように、流路または溝および真空ポートを含む。明確化のため、0度の位置が空気軸受の最上点にあり、環状の空気軸受の中心に対する角度位置の増加が時計回りで360度にわたり生じる環状の空気軸受の外周を参照することにより主表面46の角度位置について述べる。
【0034】
図2を参照すると、板ガラスの測定を実施できるように、装置40における所定の経路に沿った移動の方向50に板ガラスを搬送するためにコンベヤ48を使用してもよい。例えば、コンベヤ48は、レールに沿って移動し、同様に、測定されるべき板ガラスの上縁を固定するクランプ機構49が備えられたオーバーヘッドレールを含んでもよい。好ましくは、クランプ機構はレールに沿って転がるように、または摺動するように構成されている。さらに、コンベヤ48は、好ましくは、クランプ機構および板ガラスをレールアセンブリに沿って移動させる駆動機構を備えている。例えば、レールアセンブリには、クランプ機構に連結された駆動チェーンまたはベルトを取り付けてもよい。チェーンまたはベルトを動かすためにモータまたは他の駆動力が使用されることによって、クランプ機構、したがって、クランプ機構49によって固定された板ガラスがレールアセンブリに沿って、および装置40内を横断する。本明細書では、移動する方向50は、装置40における板ガラスの前方移動を示す。加えて、上流側および下流側という用語は移動する方向50に対して使用される。つまり、上流側は移動する方向50とほぼ逆の方向と解釈され、一方で、下流側は方向50とほぼ同じ方向と解釈される。しかしながら、上流側および下流側という呼称は、言及した方向が、移動する方向50と同一またはその真逆であることを必須としないことに留意されたい。言及した方向が逆方向のベクトル成分を有しないことを必須とするのみである。例えば、上流側方向は下流側ベクトル成分を有しない。加えて、上流側および下流側を、移動する板ガラスに対する固定位置を言及するために使用してもよい。この点で、上流側は、別の固定位置に対して、移動する板ガラスに最初に遭遇する位置を意味する。したがって、移動する方向50に移動する板ガラスは次の点または物体を通過する前に1つの固定点または物体を通過してもよい。第1の通過点または物体は、次の点に対する上流点または物体と呼ばれる。一方で、次の点または物体は、第1の通過点に対する下流点または物体である。
【0035】
装置40は、複数の板ガラス安定化エアナイフをさらに含む。複数の板ガラス安定化エアナイフは、(板ガラスの第1の主表面が空気軸受に最も近いまたは隣接するガラス表面である場合)第1の安定化エアナイフが板ガラスの第1の主表面に対向して配置された第1の安定化エアナイフ52aと、板ガラスの第2の主表面に対向する第2の安定化エアナイフ52bとを含む。より簡潔に述べると、一方のエアナイフが板ガラスの一方の側に隣接して配置されている一方で、もう一方のエアナイフが板ガラスのもう一方または逆側に隣接して配置されている。追加の板ガラス安定化エアナイフ52a、52bを、必要に応じて、板ガラスの第1の主表面または第2の主表面に対向するように配置してもよい。例えば、
図2および
図3は、横列および縦列に並んだ4つの対の安定化エアナイフを示す。以下により詳細に説明するように、装置40は、空気軸受44の上流側、空気軸受の下流側および/または空気軸受の逆側に配置される、空気軸受に対する板ガラスの位置決めを支援するための、追加の位置決めエアナイフを含んでもよい。
【0036】
また、装置40は、板ガラスを測定用の位置に案内するための縁案内デバイス54を含む。縁案内デバイス54は、板ガラスの移動方向に対して安定化エアナイフの上流側に配置され、板ガラスの横方向の揺れを低減または除去するように機能し、かつ板ガラスを安定化エアナイフ間に案内するように機能する。
図2および
図3に示される、およびおそらくは
図4に最も良く示される実施形態では、縁案内デバイス54は、板ガラスの下縁を受容するためのガイドスロット58を形成するように構成された一対のガイドアーム56a、56bを含む。好ましくは、ガイドスロット58はくさび形またはV字形であり、板ガラスがガイドスロットに入る(板ガラスの移動する方向50を基準とした)ガイドスロット58の入口(上流側)端部におけるガイドアーム間の距離dがガイドスロットの出口(下流側)端部におけるガイドアーム56aとガイドアーム56bとの間の距離d’よりも大きい。より簡潔に述べると、ガイドアーム間の距離は、板ガラスがガイドスロットを進むにつれてガイドスロットが狭くなり、それによって空気軸受44に向かう方向に狭くなるV字形のスロットを形成するように、ガイドスロットの長さおよび方向50に沿って変化する。好ましくは、
図4の実施形態に示すように、各ガイドアームは、各ガイドアームの相補形の穴60に挿入される軸ピンまたはボルトによってフレーム42に回転自在に取り付けられ、かつフレーム42に固定されてもよい。その代わりに、各ガイドアームはフレーム42の相補形の穴内に嵌合するピンを含んでもよい。したがって、ガイドアームはガイドスロット58の形状を変化させるために回転することができる。また、ガイドアームをロックするための手段が好ましくは設けられ、それによって適切なスロット形状が実現されると各ガイドアームを不動化することを可能にする。例えば、ガイドアームに絞金または止めネジを取り付けてもよい。いくつかの実施形態では、装置40は複数の縁案内デバイス54を含んでもよい。(板ガラスがクランプ機構49を中心として回転する場合)、板ガラスの捕捉を容易にするため、ガイドスロット58の幅dは、板ガラスの予想される最大の横方向の動きまたは揺れに対応するのに十分とすべきである。例えば、dが十分に広くない場合、揺れる板ガラスがガイドスロット58内に捕捉されない可能性があり、代わりに装置40の部品に接触して搬送され、それによって板ガラスまたは装置を損傷するおそれがある。幅dは特定のプロセス構成のパラメータに依存する。説明したように、幅dよりも小さな幅d’は、板ガラスがガイドスロット58内を移動する際、その拘束を防ぐために十分に大きくすべきだが、同様に、横方向の揺れが低減されるまたは排除されるほど十分に狭くすべきである。例えば、幅d’は板ガラスの厚さおよび板が呈する任意の湾曲の大きさに依存する。代わりに、縁案内デバイス54はブロックの上面に機械加工されたスロットを含む材料のブロックであってもよい。
【0037】
装置40は、好ましくは、
図5に最も良く見られる、板ガラスが空気軸受に隣接して第1の方向50に移動する際に板ガラスの下縁63を保持するための縁拘束デバイス62も含む。例えば、縁拘束デバイス62は複数のガイドローラとすることができる。複数のガイドローラは、板ガラスが装置40を横断する際に板ガラスの経路に沿って配置される1つまたは複数の対の対向するローラを含む。
図5の実施形態によれば、各ローラ対は、固定位置ローラ64と対向する可動可能なローラ66とを含む。ローラ対の固定されたローラは回転可能となるように構成されているが、別のように動かすことはできない。つまり、固定位置ローラ64はローラの回転軸線を中心として回転することができるが、平行移動または揺動する(弧を描く)ようにはなっていない。その一方で、ローラ対の対向する可動可能なローラ66は、固定位置ローラ64と対向する可動可能なローラ66との間の距離を変えることができるように、回転可能にも、可動可能(例えば、平行移動可能)にもなるように構成される。好ましくは、可動可能なローラ66は、例えばバネ68により固定位置ローラ64に向かって押し動かされる。
図5に示すように、可動可能なローラ66は旋回点72を中心として旋回する旋回アーム70に連結されている。バネ68が旋回アーム70とバネ止め74との間に圧縮され、それにより可動可能なローラ66が固定位置ローラ64に向かって押し動かされる。固定位置ローラ64と可動可能なローラ66との間に挿入された板ガラス28によって、可動可能なローラ66が旋回点72を中心に回転し、旋回点72を中心とした円弧を描く。同時に起こるバネ68に対する旋回アーム70の動きがバネ68をさらに圧縮する。つまり、可動可能なローラ66の回転軸線自体が旋回点72を中心として回転する。したがって、バネ68により旋回アーム70に作用する力によって、可動可能なローラ66が固定位置ローラ64から離れて動くことが阻止され、固定されたローラと可動可能なローラとの間に板ガラス28が挟まれるように、可動可能なローラ66が板ガラス28に対して押し動かされる。
【0038】
装置40を通過する板ガラスの進行を追跡するため、拘束デバイス62の少なくとも1つのローラが回転式エンコーダデバイスを含んでもよい。回転式エンコーダデバイスは、回転するローラの回転運動を検出し、回転運動を電気信号に変換する。
図6は、ローラ軸76と、ローラ軸76および駆動ベルト80を介してローラに結合された回転式エンコーダ78とを含む固定位置ローラ64の側面図を示す。当技術分野において公知のように、回転式エンコーダ78を結合する他の方法を用いてもよい。回転式エンコーダ78はローラの回転比で回転し、電気信号79を発生させる、または変更する。回転式エンコーダ78により発生した、または変更された電気信号79は、その後、受信用計算デバイス(図示せず)に伝達されてもよい。受信用計算デバイスでは、回転式エンコーダからの回転データを使用して板ガラスの直線運動を計算することができる。
図6に最も良く示すように、各固定位置ローラ64および各可動可能なローラ66は、ローラと板ガラスとの間の接触から生じる損傷を防ぐための弾性表面82を含む。
【0039】
ここで
図7および
図8を参照すると、空気軸受44は、略平坦な主表面46を含む多孔質体84を含む。本明細書では、多孔質とは、剛体だが、材料の厚さ全体に無数の微細な不規則な流路を含むため、その外部表面に穴が一様に分布し、各穴が単独ではほぼ意味をなさない海綿状の材料であることを意味する。しかしながら、多孔質材料に加圧気体が供給されると、穴は共に材料の表面から実質的に均一な空気の流れを供給する。本定義を維持するのに適した多孔質材料は黒鉛である。焼結金属粉などの他の材料も使用してもよいが、金属の硬質研磨特性によりガラス表面に傷が付く危険性が増すため、黒鉛のようなより軟質の材料が良いとされる。
図9に示すように、板ガラスがコンベヤ48から垂直に吊されている際、板ガラスの高さが垂直方向における板ガラスの寸法である場合、多孔質体84の全体的な高さDは、通常、測定されるべき板ガラス28の高さHの2分の1以下であり(破線88の位置がH/2を示す)、好ましくは、多孔質体84の高さは板ガラスの高さの3分の1以下または未満である。さらに、同様に
図9に示すように、作動時、空気軸受が板ガラスの底部部分のみに隣接して配置されることが好ましい。つまり、空気軸受は、好ましくは、多孔質体84が板ガラスの下半分またはそれ未満もしくはその一部のみに隣接するように配置される。多孔質体84が板ガラス上に(例えば、破線88を越えて)高く配置された場合、コンベヤのクランプ機構と空気軸受によって加えられる拘束との両方によって板ガラスにかけられる拘束により発生する過度の応力が板ガラスにかかる可能性がある。発生する応力は板ガラスを破損するおそれがある。
【0040】
図7に戻ると、多孔質体84は、第1の、すなわち内部多孔質体部分90と、内部多孔質体部分の周りに配置された、第2の、すなわち外部多孔質体部分92とにさらに分割されている。したがって、平坦な主表面46は、内部多孔質体部分90を含む内部平坦表面94と、外部多孔質体部分92を含む外部平坦表面96とに分割されている。内部平坦表面94と外部平坦表面96は同一平面上にあってもよい。
【0041】
空気軸受44の内部多孔質体部分90は、内周の中心から半径r
1で画定される環状の内周98と、内周の中心から半径r
2で画定される外周100とを有する環状の形状である。加えて、内周98は、空気軸受44内に延在する通路102の外周を示す。典型的な実施形態では、通路102は直径約3cm〜約8cmの範囲である。しかしながら、通路102は、必要によって、および実施される測定の性質によって、より大きくても、より小さくてもよい。測定デバイス104(
図2を参照)は、空気軸受44が板ガラス28と測定デバイス104との間に配置されるように、かつ測定デバイスの光軸105が通路102全体に延びるように配置されている。(測定デバイス104によって固定された)検査面とガラスの面とが同一平面上にあるため、そのような「全体的な」測定が有益となる。
図7に示すように、光軸105は、例えば、内周98の中心に一致してもよい。他の実施形態では、測定デバイス104は、板ガラス28が測定デバイス104と空気軸受44との間にあるように配置してもよい。それでも、測定デバイス104は、なお、測定デバイスの光軸105が通路102を貫通するように並ぶよう配置されるべきである。しかしながら、特定の実施形態においては、多孔質体84に面した板ガラス28の側部から測定が行われる場合、多孔質体84からの光の反射が、実施される特定の測定の質に影響を及ぼさないのであれば、またはそうでなければ実施される特定の測定の妨げにならないのであれば、通路102を排除してもよい。測定デバイス104の光軸105は、例えば、測定デバイスが板ガラス28に向かって発するレーザービームであってもよい。
【0042】
ここで
図10を参照すると、内部多孔質体部分90は、内周98と同心の少なくとも1つの環状溝106を含む。内部多孔質体部分90は、内部平坦表面94において半径方向に延びて、環状溝106と交差する複数の溝108をさらに含む。半径方向の溝108は、好ましくは、スポークのような様式の周期的な角度位置で配置されている。環状溝106および交差する半径方向の溝108は内部平坦表面94を複数の下位表面87に分割する。上述したように、各下位表面87は、真空源(図示せず)と流体連通している少なくとも1つの真空ポート110を含む。
【0043】
内部多孔質体部分90のように、空気軸受44の外部多孔質体部分92は弓形の形状であるが、環状の外周を有している必要はない。例えば、外部多孔質体部分は長円形状または楕円形状であってもよい。外部多孔質体部分92は内部多孔質体部分90の周りに配置され、上記の内部多孔質体部分90の中心からの半径r
3で画定される環状の内周112を含む。外部多孔質体部分92が環状の外周、すなわち
図7に示す周114を含む実施形態では、外周114は内周98の中心からの半径r
4で画定される。いくつかの実施形態では、r
2=r
3であるため、外部多孔質体部分92の内周112は内部多孔質体部分90の外周100と同じである。
【0044】
さらに
図10に関して述べると、外部多孔質体部分92は、外部平坦表面96に形成された複数の連続的な溝116をさらに含む。各連続的な溝116は、多孔質体内に延び、真空源に連結している複数の真空ポート118を含む。好ましくは、複数の真空ポート118は、特定の連続的な溝に配置された真空ポート間の角変位が等しくなるように各連続的な溝116内に周期的に並んでいる。例えば、特定の連続的な溝116内では、真空ポート118は溝の周りに5度毎、10度毎または15度毎に配置されてもよい。1つの連続的な溝116の真空ポートが別の連続的な溝116の真空ポートと角度的に一致している必要はない。いくつかの場合においては、特に、外部多孔質体部分92の外周が環状である場合、連続的な溝116は好ましくは環状かつ同心である。
【0045】
図11に示すようないくつかの実施形態では、空気軸受44が複数の内部多孔質体部分90を含んでもよい。複数の内部多孔質体部分90は外部多孔質体部分92内に配置され、各内部多孔質体部分は通路102を画定する。これは、板ガラスの複数の特性を同時に決定するために複数の測定を実施し、単一の測定デバイスに組み込むことができない場合に特に有用となりうる。
【0046】
溝および真空ポートの構成は、
図12Aおよび
図12Bの支援でより良く見ることができる。
図12Aは、内部多孔質体部分90の一部の断面図を示す。
図12Bは、外部多孔質体部分92の一部の断面図を示す。内部多孔質体部分90と外部多孔質体部分92との両方に、矢印117で示されるように各多孔質体部分の平坦表面から放出される空気などの加圧気体が供給される。矢印119で示される、真空ポートにおいて生成される真空と、多孔質体部分の平坦表面上に生じる気圧が、共に、2つの領域を画定する。この2つの領域とは、外部平坦表面96に隣接する低精度捕捉領域と、内部平坦表面94に一致する高精度捕捉領域である。低精度捕捉領域では、板ガラスの浮上高さは高精度捕捉領域に隣接する板ガラスの浮上高さよりも大きくてもよい。低圧捕捉領域に隣接する板ガラスの浮上高さは、通常、約40μm〜60μmの範囲とされうる。一方では、高精密領域に隣接する板ガラスの浮上高さは、通常、40μm未満とされうる。
【0047】
上述したように、および
図2および
図3の実施形態によれば、装置40は、装置40を通過する板ガラス28の移動の方向50を基準として空気軸受44の上流側に配置された複数の安定化エアナイフ52a、52bを含む。複数の安定化エアナイフは、第1の安定化エアナイフが板ガラス28の第1の主表面121(
図18を参照)に対向して位置するように配置された第1の安定化エアナイフ52aと、第2の安定化エアナイフが板ガラス28の第2の主表面123に対向して位置するように配置された第2の安定化エアナイフ52bとを含む。板ガラス28の第1の主表面121は、板ガラスが空気軸受に隣接している際、多孔質体84に最も近い板ガラスの表面である。一方で、第2の主表面123は、同じ条件下において多孔質体84から最も遠い板ガラス28の表面である。複数の安定化エアナイフの少なくとも第1の安定化エアナイフおよび第2の安定化エアナイフからの空気の流れは、板ガラスが安定化エアナイフ間の空間に入ると、板ガラスの側方の(横方向の)動きを少なくとも1つの縁案内デバイス54とともに安定させ、板を平坦にする。より簡潔に述べると、板ガラスの上縁にあるコンベヤクランプ機構49と板ガラスの下縁にある縁案内デバイス54とによって、板ガラスの上縁および下縁における側方への動きが妨げられたとしても、板ガラスは、布帆が風で膨らむことができるのとほぼ同じように、板ガラスの全体的な面に垂直な方向になお変形する可能性がある。これは、板ガラスが非常に大きく、非常に薄い場合があるため、より厚いガラスプレートと比較した場合に、板ガラスの可撓性が高くなるためである。例えば、板ガラスの厚さは1mm未満とすることができる。
【0048】
各安定化エアナイフは、板ガラスの主表面上にさらなる空気の層流を生成し、乱流と後の板ガラスのバフェッティングを防ぐために、各安定化エアナイフからの空気の流れが板ガラスに向かって下方に、全般的に板ガラスの底部に向かって案内されるように配向される。必ずというわけではないが、好ましくは、第1の安定化エアナイフ52aと第2の安定化エアナイフ52bとは板ガラスを挟んで互いに同じになるように配置されている。例えば、
図2および
図3の実施形態などのいくつかの実施形態では、複数の安定化エアナイフは、好ましくは、複数の対の、部分的に、または実質的に対向するエアナイフとして配置されている。つまり、エアナイフは互いに正対してもよいが、これは必須ではなく、そのような「対」のエアナイフ間に多少の片寄りがあってもよい。しかしながら、いくつかの実施形態では片寄りが大きくてもよい。安定化エアナイフの数はプロセスに依存し、例えば、板ガラスの搬送速度、板ガラスの大きさおよび重さ、特定の製造プロセスラインにおいて板ガラスが呈する横方向の揺れの量に依存する。同様に、板ガラスのもう一方の側における別のエアナイフの配置と比較した板ガラスの一方の側におけるエアナイフの正確な配置は、設備の特定のプロセス条件に依存する。
【0049】
図13は、細長いオリフィス124を有する略細長い本体122を含む、(ここでは全体として参照番号120で示す)例示的な安定化エアナイフを示す。細長いオリフィス124から空気の流れ126が発生する。簡略化のため、エアナイフは長手方向に延びる矩形のブロックで示される。各細長いオリフィス124は継手を通じてエアナイフに入る加圧気体源と流体連通している。エアナイフは、オリフィス124と流体連通している内部プレナムを含んでもよい。空気が、豊富であるとともに実質的に無料であり、気体として大変満足なものであるため、残りの説明では空気ベースのエアナイフを想定する。各細長い本体122は、各細長いオリフィス124から放出される空気の流れの方向が基準水平面に対して下方角度であるように配置されている。例示的な安定化エアナイフ120によって示されるような各安定化エアナイフは、板ガラスの移動する方向50を基準とした前方端または先端Lと、後方端または後端TRとを含む。つまり、エアナイフの先端はエアナイフの後端よりもさらに先の上流側である。エアナイフに加圧空気が供給されると、空気が細長いオリフィス124から高速で放出される。細長いオリフィス124から放出される空気は、安定化エアナイフを離れた後、約数十ミリメートルの少なくとも短い距離の間、最終的に分岐し始めてもよいが、空気は実質的に面に近似しうる層流126としてエアナイフから放出される。例示的な安定化エアナイフ120は頂部表面Tをさらに含む。
【0050】
安定化エアナイフが補完的な(すなわち、空気軸受の主表面46と平行する安定化エアナイフ間に介在する垂直面を挟んで同じである)対向関係において配置された場合、対向する安定化エアナイフの対の先端間の距離は、対向する安定化エアナイフの対の後端間の距離より大きくてもよい。つまり、対向するエアナイフ間の距離は、ガイドスロット58が狭くなるのと同様の方式で板ガラスがエアナイフ間を進むにつれて狭くなる。
【0051】
さらに別の任意の特性では、複数の安定化エアナイフの各安定化エアナイフは、各安定化エアナイフの後端が安定化エアナイフの先端よりも高くなる(または低くなる)ように配向してもよい。いくつかの実施形態では、各安定化エアナイフは、例示的なエアナイフ120に類似する真直(すなわち、矩形形状)とすることができる。しかしながら、好ましくは、各安定化エアナイフは弓形であり、円弧を含んでもよい。真直な(直線の)種類、または弓形の設計のいずれかの適切な安定化エアナイフは、例えば、Cincinnati、Ohio、USAにあるExair Corporationから得られる。
【0052】
各安定化エアナイフをどう空間的に配向してもよいかが以下の説明および
図14〜
図16の支援によりさらに詳細に視覚化されうる。3次元空間における本体の向きには、基準座標系と、その基準座標系に本体を配向する手段とを必要とする。
図14は、多孔質体84の主表面46と同一平面上にある垂直X−Y面を示す。さらなる説明のため、このX−Y面は3次元のデカルト座標系の基準座標系において1つの面を形成する。このX−Y面は
図14が示されるページの面内に配置される。第2の垂直面は、
図14においてその縁から見ると、Z方向がページに垂直に延び、したがって、ページから出るデカルト座標系のY−Z面を形成する。Y−Z面はX−Y面に垂直である。第3のX−Z面は、また、
図14においてその縁から見ると、X−Y面とY−Z面との両方に垂直となるように配置されている。さらなる説明のため、および特に説明しない限りは、上記の3つの面X−Yと、Y−Zと、X−Zとによって形成されるデカルト座標系の原点は内部多孔質体部分90の中心にあり、このデカルト座標系は、3次元空間におけるエアナイフの向きを説明するために使用される。
【0053】
図14〜
図16は、例示的な安定化エアナイフ120の3つの任意の向き、ひいては、したがって、向きの視覚化を支援するために別個に示される各安定化エアナイフの任意の空間的向きを示す。
図14は、主表面46に着目して見た空気軸受44の外形を示すとともに、板ガラスの移動する方向50を示す。例示的な安定化エアナイフ120は、水平X−Z面を基準として、安定化エアナイフの先端Lが安定化エアナイフの後端TRよりも低い下降勾配または傾斜を示す。すなわち、面128は、例示的な安定化エアナイフからの空気の流れがX−Z面とともに角度αを形成することを示す。
【0054】
図15は、空気軸受44の縁を見下ろす第2の図を示すとともに、Y−Z面の縁およびX−Y面の縁を示す。X−Z面は、X−Y面とY−Z面との両方に対して垂直である。面130は、例示的な安定化エアナイフ120の頂部表面Tを長手方向に二分する面であり、かつエアナイフからの空気の流れを示す面126に垂直である。
図15によれば、例示的な安定化エアナイフ120は、非ゼロの角度βが面130とX−Y面との間に形成されるように、垂直なX−Y面に対して角度をなしてもよい。
【0055】
図16は、空気軸受44の縁を見下ろす第3の図を示すとともに、X−Z面の縁およびX−Y面の縁を示す。Y−Z面は、X−Y面とX−Z面との両方に対して垂直である。
図16は、エアナイフを出る空気の流れが、例えば、板ガラスに垂直に案内される代わりに、(例えば、水平なX−Z面と平行する基準水平流から)下方に案内され、空気流の面がX−Y面とともに鋭角σを形成するようにその端部から配向された例示的な安定化エアナイフ120を示す。好ましくは、σは、約15度〜約75度の範囲、好ましくは、約25度〜約65度の範囲、より好ましくは、約35度〜約55度の範囲である。一実施形態において、空気流の角度は垂直のX−Y面に対して約45度である。空気流の好ましい方向は下方であることに留意されたい。その理由は、板ガラスに対して空気軸受を低く配置すると空気流による板ガラスの座屈に耐えるためのさらなる剛性が板ガラスの下部に付与されるからである。しかしながら、いくつかの実施形態では、プロセス条件および特定の実施、例えば、空気軸受の位置決めによっては上方の空気流が好まれてもよい。
【0056】
上記の説明では、例示的な安定化エアナイフ120の3つの任意の向きを示した。複数の安定化エアナイフの各安定化エアナイフは、代表例な、例示的な安定化エアナイフに関して上記の3つの任意の向きの少なくとも1つの向きを呈してもよい。例えば、複数の安定化エアナイフの各安定化エアナイフは、エアナイフからの空気流の方向がほぼ下方(すなわち、流れのベクトルが垂直ベクトル成分を含む)になるように空気を排出してもよい。したがって、例えば、板ガラスの両側にあり、安定化エアナイフが互いに対称になっている、2つの安定化エアナイフは、「V」が下方を向いた略V字形の空気の流れを形成する。
【0057】
同様に、複数の安定化エアナイフの各安定化エアナイフは各安定化エアナイフの先端が後端よりも板ガラスから離れるように配向してもよい。したがって、例えば、板ガラスの両側にあり、安定化エアナイフが互いに対称になっている2つの安定化エアナイフは、「V」が空気軸受に向かって下流側を向いた略V字形の空気の流れを形成する。これが、エアナイフ間に入る際に側方の動きを呈する板ガラスにさらなる側方の間隙を提供する。各安定化エアナイフの先端からの空気の流れから板ガラスにかかる圧力が安定化エアナイフの後端に隣接する板ガラスにかかる空気の圧力より小さくなるため、それは、また、安定化エアナイフから流れる空気のカーテンをより緩やかに適用する。
【0058】
同様に、複数の安定化エアナイフの各安定化エアナイフは、各安定化エアナイフの先端が、水平基準面(例えばX−Z面)を基準として、後端よりも低くなるように配向してもよい。板の任意の形状歪み(例えばそり)を平坦にするため、安定化エアナイフを前方に勾配させる、または傾斜させると言われる。
【0059】
複数のエアナイフの各安定化エアナイフは上記の1つまたは複数の向きを呈してもよい。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の安定化エアナイフは、すべての3つの向きを同時に呈してもよい。
【0060】
安定化エアナイフに加えて、および
図3に見られるように、例えば、第1の位置決めエアナイフからの空気の流れ126が空気軸受の前縁に隣接する板ガラスの第1の主表面121にあたるように、第1の位置決めエアナイフ132を安定化エアナイフ(52a、52b)と空気軸受44との間に配置してもよい。例えば、第1の位置決めエアナイフ132は空気軸受44上に約270度の位置で配置してもよい。板ガラスが第1の位置決めエアナイフ132に隣接して通過する際に板ガラス上に生成される圧力が板ガラスを空気軸受から離す。これにより、板ガラスが板ガラスを空気軸受によって「捕捉」することができるまで空気軸受に近づくため、板ガラスの前縁または前方縁間の接触が防止される。
【0061】
第2の位置決めエアナイフ134は、第2の位置決めエアナイフからの空気が板ガラスの第2の主表面123にあたるように配置してもよい。第2の位置決めエアナイフからの空気の効果は、板ガラスを空気軸受に向かう方向に押すため、板ガラスが空気軸受に近づき、空気軸受が板ガラスを捕捉することを可能にすることである。板ガラスの最初の捕捉は外部多孔質体部分によって生じた圧力と真空との組み合わせによって達成される。
【0062】
第3の位置決めエアナイフ136は空気軸受から下流側に配置してもよく、第3の位置決めエアナイフによって放出される空気が板ガラスの第1の主表面121に対して案内されるように配置される。第3の位置決めエアナイフ136によって生成される空気圧力は板ガラスを空気軸受の下流側縁近辺の空気軸受面から離し、それによって、板ガラスが空気軸受を通過し、空気軸受から離れる際に、板ガラスと空気軸受との間の接触を防ぐ。各位置決めエアナイフ132、134および136は設計が安定化エアナイフに類似していてもよい。例えば、各安定化エアナイフおよび各位置決めエアナイフは、弓形の設計のものでも、直線の設計のものでもよい。好ましくは、位置決めエアナイフ132、134および136のそれぞれから放出される空気は、各位置決めエアナイフからの気体のカーテンが、板ガラスの表面とともに90度未満だがゼロより大きい角度、例えば、25度超および75度未満、好ましくは35度超および65度未満、好ましくは35度超および55度未満の角度を形成するように板ガラスに案内される。例えば、典型的な実施形態では、空気の流れが約45度の角度で板ガラスにあたるように各位置決めエアナイフを配向してもよい。90度未満の衝突角度では、例えば、板ガラスに垂直な空気流に比べ、板ガラスの表面において生成される乱流が少なくなる。
【0063】
装置40の種々の非接触式板ガラスハンドリング構成要素の全体的な効果は、測定のために板ガラスを用意するため段階的に増加する拘束を板ガラスに提供することである。上述したように、いくつかの例において、板ガラスはコンベヤのクランプ部によって板ガラスの上部においてのみ固定されて垂直に搬送される。板ガラスが非常に薄く、1mm以下、場合においては0.7mm以下、または他の場合においては0.3mm以下である場合があるため、ガラスは横方向に揺れることによる側方の動きを容易に示すおそれがある(すなわち、固定された搬送台の接触点を中心として回転する)、または種々の曲げモードにより変形するおそれがある(本明細書では、曲げモードは振動モードに類似している)。ガラスは、また、搬送台毎の固定におけるばらつきおよびコンベヤにおける搬送台の位置のために片寄る可能性がある。同様に、ガラスは垂直に反る可能性がある。
【0064】
装置40の種々の板ガラスハンドリング構成要素は、これら動きおよび反りなどの固定形状を低減するように、または除去するように機能する。したがって、装置40の操作は以下のステップに沿って進めてもよい。
【0065】
板ガラスを板ガラスの上縁に沿って把持し、板ガラスを装置40中において平行移動させる1つまたは複数のクランプ機構49によって、板ガラス28をコンベヤ48に取り付ける。板ガラス28はそれによって1つまたは複数のクランプ機構から吊され、板ガラスの上部部分に沿って板ガラスを固定した1つまたは複数のクランプ機構のみによって支持される。板ガラスの下縁63は支持されず、装置40に入る前に、側方への動き、すなわち左右の動きが最初に可能となる。側方への動きに加えて、板ガラスは、また、たわみまたは曲げを呈する可能性がある。例えば、板は、円筒状にまたは双曲状に曲がる可能性がある、もしくは鞍形、ドーム形になる可能性がある、もしくは他の曲げモードまたはその組み合わせを呈する可能性がある。
【0066】
板ガラス28が装置40に近づくと、板ガラスは、板ガラスの下縁63と係合し、安定化エアナイフ52aと、安定化エアナイフ52bとの間に板ガラスの前縁を案内する少なくとも1つの縁案内デバイス54によって案内される。下縁63は板ガラスの「低品質」部の部分を形成し、後に取り除かれてもよい。少なくとも1つの縁案内デバイス54は横方向の揺れを最小化する、または取り除く。試験は、本明細書中に開示したような縁案内デバイス54の実施形態によって、最大変位の+/−75mmから+/−10mm未満まで揺れの側方の動きを低減することができることを示した。しかしながら、少なくとも1つの縁案内デバイス54が板ガラスの下縁の側方への動きの優れた制御を提供することができる一方で、板ガラスは上縁および底縁においてのみ実質的に拘束され、なお板ガラスの本体内において種々の曲げモードおよび固定形状を呈することが可能である。多孔質体84の近傍に移動する前に板ガラスのこの余分な動きまたは形状を最小化するため、または取り除くために、安定化エアナイフが用いられる。
【0067】
対向する安定化エアナイフによって好ましくは下方に放出される空気の流れは、板ガラスの横方向の揺れを取り除くため、特に、曲げモードを低減するために、または排除するために板ガラスの側方への動きをさらに低減してもよい。事実上、安定化エアナイフは、曲げの大きさを少なくとも低減することによって、および場合においては、1つまたは複数の曲げモードを排除することによって、板ガラスの補強を支援する。安定化エアナイフの数および位置は、板ガラスの大きさ、板ガラスの厚さ、ガラスの密度、および装置40を通過する板ガラスの横断速度のような要素に依存する。
【0068】
板ガラスが安定化エアナイフ間を通過する際、板ガラスの下縁63を、板ガラスをさらに案内し、安定させるために、1つまたは複数の追加の縁案内デバイス54によって案内してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、複数の縁案内デバイスは、安定化エアナイフの上流側において用いられている第1の縁案内デバイスと、縁拘束デバイス62の直前に配置された第2の縁案内デバイスとともに用いてもよい。
【0069】
板ガラスが空気軸受44に近づくと、板ガラスの第1の主表面121において空気の流れを案内するために任意の第1の位置決めエアナイフ132を使用してもよい。板ガラス28の第1の主表面121に対する第1の位置決めエアナイフ132からの空気の力が板ガラスを空気軸受44の前縁140から押し離し(
図17、および特に
図18の領域Aを参照)、板ガラスが空気軸受44の外部多孔質体部分92の影響下に置かれた際、空気軸受の前縁140と板ガラス28の前縁141との間の接触を防ぐ。板ガラスと空気軸受との間の接触は、板ガラスの、場合によっては致命的な破損につながるおそれがある。
【0070】
板ガラスが移動する方向50に沿って前進を続けると、板ガラスは外部多孔質体部分92の第1の真空ポート118上を通過する。好ましくは、外部多孔質体部分92の最も外側の溝内に配置された真空ポート118が、板ガラスが前進すると、板ガラスがまずこの単一の真空ポート118の近傍に移動するように配置されるように、空気軸受44が配置されている。
図10を参照すると、この第1の真空ポート118は、左に最も遠く、
図10において最も外側にある連続的な溝116内に配置され、破線119と交差する真空ポートである。第1の真空ポート118とのこの最初の接触の効果は、板ガラス28の前縁141が外部多孔質体部分92により接近することである。つまり、空気軸受の前縁141に隣接する板ガラスの領域が空気軸受の前縁から押し離される一方、第1の真空ポート118に隣接する板ガラスの領域は外部多孔質体部分92の方向に押し動かされる。第1の真空ポート118に隣接する板ガラスの少なくともこの部分を空気軸受に近づけることによって、板ガラスのその部分が空気軸受44の外部多孔質体部分92によって捕捉される。板ガラスの継続的な前方移動が板ガラスを外部多孔質体部分92の追加の真空ポート118に隣接させる。追加の外部多孔質体部分の真空ポート118に隣接して通過する板ガラス28の前縁の短い距離内では、外部多孔質体部分における空気流のため十分な力が板ガラスに作用する。外部多孔質体部分では、空気軸受44に隣接する板ガラスのかなりの部分が空気軸受の第1の主表面に対して実質的に均一な浮上高さを呈する。
【0071】
また、板ガラスが内部多孔質体部分90に隣接して前進を続けるため、通路102を通じて測定デバイス104により測定を実施することができるように、特に、内部多孔質体部分90に直に隣接した板ガラス28の部分における板ガラスの平坦さと剛性が増加する。
【0072】
板ガラス28の表面トポグラフィーを判定するための干渉測定などの板ガラスの測定を、板ガラスの前方(すなわち方向50の)移動と同時に実施してもよいことを想起されたい。板ガラスの後縁が内部多孔質体部分90、その後、外部多孔質体部分92を通過すると、空気軸受44の動作によって加えられる板ガラスの拘束が低下し、板ガラスと空気軸受との間の接触が生じないよう板ガラスの後縁が空気軸受から押し離されるように、任意の位置決めエアナイフ136からの空気圧力が空気軸受44によって加えられる保持力を克服することができる。例えば、板ガラスの浮上高さが約30μm未満(+/−15μm)の偏差を有するように維持されるように、内部多孔質体部分90に供給される加圧空気および真空を調節してもよい。
【0073】
上述より、板ガラスが空気軸受44を通過すると板ガラスの特定の領域が通路102に対向することがわかる。したがって、通路102は環状の測定領域を画定する一方で、
図9に示すように、板ガラスの矩形の測定領域138を「一掃」する。測定デバイス104はこの矩形領域内のガラスの連続測定を行う。例えば、測定デバイス104は、矩形の測定領域内の板ガラスの表面トポグラフィー測定を実施するための干渉計であってもよい。または、測定デバイス104は板ガラスの厚さの測定を実施してもよい。
【0074】
最終的に、移動する方向50に沿った板ガラスの継続的な前方移動によって板ガラスの後縁142が空気軸受44を通過する。第3の位置決めエアナイフ136から放出され、板ガラスの第1の主表面121にあたる空気が空気軸受44の後縁142に近接する板ガラスの領域を空気軸受から離し、それによって板ガラスと空気軸受面との間の接触を防止する。これは、安定化エアナイフおよび/または空気軸受の影響下にある板ガラスの表面積が減少するため特に有利になる。
【0075】
位置決めエアナイフ132、134および136によって供給される力の結果は、装置40を頂面図において示すとともに、板ガラス28を示す
図18の支援により理解することができる。位置決めエアナイフ132および136の効果が、参照符号AおよびBで示され、かつ破線で囲まれた領域において見られる。実際、
図18から、板ガラス全体は板ガラスが空気軸受に完全に係合するまで非平面態様をとることがわかる。この箇所では空気軸受に隣接する板ガラスは完全に平坦であるが、平坦度が必要な領域は測定が実施される箇所のみ、例えば、測定領域の中心であることに留意されたい。
【0076】
図19は、内部多孔質体部分の中心から空気軸受の前縁まで延びる板ガラスの縁の図を示すとともに、空気軸受上の板ガラスの形状をより詳細に示す。対象とするゆがみが約数十マイクロメートルであるため、
図19の図は大幅に誇張されていることに留意されたい。示したように、板ガラスは、同様に異なる境界によって分離されるいくつかの異なる領域に分割することができ、空気軸受上にある板ガラスの部分がS字形の境界特徴145によって分離される一連の比較的平坦な水平域144の外観になる。水平域の浮上高さは内部多孔質体部分の中心に向かう方向に減少する(例えば、通路102によって画定される領域)。
【0077】
図20は、移動速度100mm/秒で、板ガラスの2つの異なる位置において測定した、装置40の一実施形態内を移動する板ガラスについて測定した浮上高さのグラフである。縦軸「Y」は浮上高さをマイクロメートルで示し、横軸「X」は時間を示す。測定は特定の位置において所定の周波数(250/秒)で実施した。したがって、
図20のグラフは、空気軸受に隣接して板ガラスが移動する際、特定の時間にわたり所定の位置における浮上高さを得るために使用することができる。板ガラスは、当初、名目的な中心線位置から+/−75mmの横方向の揺れを有した。各安定化エアナイフは空気を板ガラスに対して45度の下方角度で案内した。空気軸受の内部多孔質体部分には、20psi(137931.034482Pa)〜60psi(413793.103446Pa)の圧力、0.63+/−0.25CFMの流量で空気が供給された。一方、外部多孔質体部分には、40psi(275862.068964Pa)〜85psi(586206.8965485Pa)の圧力および0.96+/−0.35CFMの流量で空気が供給された。通路102によって画定される環状の測定領域上における板ガラスの浮上高さは名目上28μmであり、ばらつきは+/−2.5μm未満であった。
図20の曲線146は、約210度の位置における、内部多孔質体部分材90の外周における板ガラスの浮上高さを示す。この板ガラスは100mm/秒の速度で移動する。一方、
図20の曲線148は、内部多孔質体部分の中心(すなわち通路102の中心)における浮上高さを示す。板ガラスの移動における曲線は、板ガラスの、外部多孔質体部分の外周における測定位置と多孔質体の中心上における測定位置との両位置における浮上高さの安定性を示すことを特に示している。名目的な浮上高さは2つの領域間において異なり、多孔質体の中心よりも外部多孔質体位置においてかなり高いが、両位置における浮上高さは驚くほど安定しており、約±2.5マイクロメートル未満のばらつきを示す。
【0078】
本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明に対して様々な修正及び変形を行えることは当業者には自明であろう。したがって、本発明は、この発明の変更形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびその均等物に含まれる限り、それらを包含するものである。